JP5334380B2 - 色素増感太陽電池及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する色素増感太陽電池とその製造方法、特に、色素増感太陽電池の正極構造に関するものである。
地球全体に降り注ぐ太陽光エネルギーは、全世界が消費する電力の10万倍とも言われる。即ち、我々は特別な工業活動を行わなくても、既に膨大なエネルギー資源に囲まれているのである。そして太陽電池は、この資源(太陽光)を、人類が利用し易い電気エネルギーに変換するための装置であり、50年の歴史がある。ところで現在生産されている太陽電池の90%以上はシリコン(Si)系太陽電池で、更にSi系太陽電池は、単結晶Si、多結晶Si、アモルファスSiの形態に分類される。これらは変換効率(変換効率とは、系内に印加されたエネルギー量と、系外に取り出されるエネルギー量の比。)、コスト、加工性能が異なり、搭載製品、用途、設置場所等に応じて選択されている。ここでSi系太陽電池の中では、単結晶Si太陽電池の変換効率が最も高く、実用レベルで20%に達する製品も製造されている。又、人工衛星用向け等の特殊用途においては、超高変換効率や優れた耐放射線劣化特性を有する化合物半導体が用いられる場合もある。
ところで、太陽電池を始めとした再生可能エネルギーは、環境負荷がほとんどない理想的なエネルギー資源と言われているが、これまでのところ、普及は十分には進んでいない状況にある。その理由は高い発電コストにある。現在、日本国内の電力単価は約20円/kWhであるが、一般家庭の消費電力(3〜5kW)を、ほぼ賄える太陽光発電システムの設置費用が200万円〜400万円であることを考えると、完全償却までに最低20年は必要になる。この償却期間の長さと、高額な初期投資が起因して、一般家庭用への普及は、あまり進んでいない状況である。このような状況下にて市場をより活性化させ、自然と調和するエネルギー供給システム(社会)を実現していくためには、発電の低コスト化が必要である。そして、これには技術面での進歩が必須で、具体的には2方向からのアプローチがある。
第1は、太陽電池それ自体の高効率化を実現していくことにある。仮に同じ製造コストでも発電効率が倍になれば、製品コストは半分になったことと同等である。第2は、材料、製造方法、或いは構造自体を改良して、製品単価自体を下げる方法である。現在、主流のSi系太陽電池は、高純度のSi材料を必要とすること以外に、その製造工程にて高温/高真空が必要であることや、大面積基板へのSi材料の生成/加工においては、生産設備の巨大化等に伴い、製造コストを効果的に下げられない状況にある。このためSi系とは別の材料を用いて材料コストを下げ、更には高温工程や真空工程も極力除外することにより、製造過程でのエネルギー消費も抑え、結果的にトータルコストを大幅に抑えた太陽電池も各種提案されている。
この代表が湿式の色素増感型(グレッツェルセル)の太陽電池(色素増感太陽電池)と、乾式の有機薄膜太陽電池である。前者の色素増感太陽電池は、例えば、下記の特許文献等に記載されているように、構造が簡単で、構成材料としても資源的に豊富な材料を選択することができる。更に製造工程でのエネルギー消費量が少ない点や、大掛かりな設備も不要なため、発電コストが現在主流のSi系太陽電池に比較して1/5以下に抑えられると試算されている。
特開平10−112337号公報
図5は、特許文献1等に記載された従来の一般的な色素増感太陽電池の模式的な構成を示す断面図である。
この色素増感太陽電池は、作用極(「アノード電極」ともいう。)である負極10と、対極(「カソード電極」ともいう。)である正極20との間に、ヨウ素(I)を含む電解質溶液30を充填したものである。
負極10は、ガラス基板11を有し、この表面が、透明導電膜(例えば、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)若しくはスズドープ酸化インジュウム(ITO))12により被覆されている。透明導電膜12上には、二酸化チタン(TiO2、「チタニア」ともいう。)の微粒子を含んだペースト材が塗布され、このチタニアペースト材がアニール処理により焼結されて多孔質の半導体電極13が形成されている。半導体電極13には、ルテニウム(Ru)金属錯体(例えば、Ru色素N719)からなる増感色素14が担持(吸着)されている。負極10と対向する正極20は、ガラス基板21を有し、この表面に触媒電極(例えば、導電膜と薄い白金(Pt))22が形成されている。
この種の色素増感太陽電池では、光を負極10側から入射させると(但し、特許文献1では、光を正極20側から入射させている。)、多孔質の半導体電極13に吸着した増感色素14が光を吸収して、電子e−が励起される。増感色素14の励起順位に対して、半導体電極13の伝導帯は0.2eV程度のエネルギー順位が低いため、この励起した電子e−は、半導体電極13側へ流れて行く。更にこの電子e−は、ガラス基板11上の透明導電膜12を流れて外部負荷35を稼動させた後、正極20側に到達する。その後、この電子e−は電解質溶液30中へヨウ素イオンI−との還元反応にて引き渡され、このヨウ素(I)は拡散して励起した増感色素14へ電子e−を引き渡す酸化反応が起こる。以上のサイクルが繰り返されることにより、定常的な光照射に伴う光起電力が発生する。
図6(A)〜(E)は、図5の色素増感太陽電池における製造方法を示す概略の製造工程図である。
先ず、図6(A)において、表面にFTO若しくはITOの透明導電膜12を被覆したガラス基板11を準備する。透明導電膜12のシート抵抗値は10Ω/□以下で、約0.5μm厚とする。
図6(B)において、スクリーン印刷法、若しくは塗布法にて、10〜30nm程度のチタニアの微粒子を含んだペースト材を塗布する。このチタニアペースト材の厚さは、約50μmとする。次に、500℃、2時間程度のアニール処理にて、チタニアペースト材を焼結する。これによりペーストの溶剤が飛散して、且つチタニアの微粒子がネッキングして、多孔質の半導体電極13が形成され、電子e−の拡散路が形成される。
図6(C)において、Ru金属錯体からなる増感色素14を含んだアルコール溶液中に、多孔質の半導体電極13が形成された基板を半日程度浸漬して、この多孔質の半導体電極13の表面に増感色素14を吸着させる。更に、エタノールで洗浄した後、暗所にて乾燥させる。
図6(D)において、正極20としてガラス基板21上に触媒電極(例えば、導電膜と薄いPt)22をスパッタした基板を準備する。正極20側の触媒電極22の周辺と、負極10側の半導体電極13の周辺とに、熱可塑性フィルム接着剤31であるハイミランフィルム(例えば、三井・ヂュポンケミカル:1004)を形成した後、負極10と正極20とを130℃にて接着させる。
図6(E)において、正極20に注入孔32を形成する。注入孔32からヨウ素(I)を含む電解質溶液30を注入して、負極10及び正極20間の隙間に電解質溶液30を充填し、注入孔32を塞ぐ。その後、負極10へは負電極配線33を結線し、正極20側からは正極配線34を結線すれば、図5に示すような平板状の色素増感太陽電池の製造が終了する。
以上のような製造方法と図5に示す発電のメカニズムにより、安価で高効率の色素増感太陽電池が製造できるようになった。これは現在主流のSi系太陽電池が、高温・高真空の製造方法と大型の設備を必要とし、更に高純度のSiを原材料にしているのに対して、常圧、低温、豊富な資源を使用できるため、Si太陽電池に比較して、極めて安価な太陽電池を製造することが可能となっている。この理由から、低コスト太陽電池の有力候補として注目されている。
しかし、現状での変換効率は、トップデータでも11%程度で、更に実用化レベルの大面積セルとなると、その変換効率が面積の増加に伴い急激に低下する問題を抱えている。このように、色素増感太陽電池は低コスト化に関しては、他の太陽電池を遙かに凌ぐ特長を有しているが、効率面では、トップデータでも11%程度で、単結晶Si太陽電池の半分以下となっている。
ここで、理論効率としては30%程度が期待できる色素増感太陽電池の効率向上を阻害する要因として、セル内部の寄生抵抗が挙げられる。更に、この寄生抵抗は、電池内部の各領域(例えば、負極10側の透明導電膜12、半導体電極13、正極20側の触媒電極22等)や界面(例えば、負極10と電解質溶液30との界面、正極20と電解質溶液30との界面等)にて発生する。
従来、このような問題を解決するために、例えば、特許文献1の技術では、増感色素14を坦持する半導体電極13として、導電性基板を構成する金属(図5の透明導電膜12に相当)を陽極酸化して形成された酸化膜を用い、導電性基板と酸化膜とを強固に結合された一体構造にすることにより、その界面での電気抵抗を低減している。又、陽極酸化及び水熱処理による加熱効果により、陽極酸化膜(図5の多孔質の半導体電極13に相当)を構成する微粒子間の電気抵抗を低減している。これにより、光電変換効率を向上させている。
しかしながら、従来の特許文献1に記載された技術でも、依然として電池内部の寄生抵抗が大きく、光電変換効率を向上させるにも限界があり、所望の光電変換効率を得ることが困難であった。
そこで本発明では、正極と電解質溶液との界面に存在する抵抗成分を低減することにより、色素増感太陽電池の効率を更に改善することを目的とする。
本発明の色素増感太陽電池は、透明導電性の第1の基材と、前記第1の基材上に形成され、増感色素を有する半導体電極と、前記第1の基材に対向して配設された導電性の第2の基材と、前記半導体電極と前記第2の基材との間に封止された電解質と、を有し、前記電解質側における前記第2の基材上に、多孔質酸化物半導体層が形成され、且つ、前記多孔質酸化物半導体層の表面に、前記電解質の反応を促す触媒電極が形成された色素増感太陽電池である。そして、前記多孔質酸化物半導体層は、多孔質酸化チタン層であり、耐電解質性及び導電性を有し酸化チタンより抵抗値の小さい微粒子が混在されていることを特徴とする。
本発明の色素増感太陽電池の製造方法は、前記発明の色素増感太陽電池の製造方法であって、前記第1の基板上に、前記増感色素を有する前記半導体電極を焼成によって形成する工程と、前記第2の基材上に、前記多孔質酸化チタン層を形成し、更に、前記多孔質酸化チタン層の表面に前記触媒電極を形成する工程と、前記触媒電極を前記第1の基材上に対向して配置し、前記半導体電極と前記触媒電極との間に介在させる前記電解質を封止材によって封止する工程と、を有している。そして、前記多孔質酸化チタン層は、前記微粒子を混在させた酸化チタンペーストを、前記第2の基材上に塗布した後に、窒素雰囲気中で焼成して、一部が窒化チタン化した多孔質膜が形成されて生成されていることを特徴とする。
本発明の色素増感太陽電池及びその製造方法によれば、耐電解質性及び導電性を有し、酸化チタンより抵抗値の小さい微粒子が混在された多孔質酸化チタン層からなる多孔質酸化物半導体層を正極側に設け、その多孔質酸化物半導体層の表面に触媒電極を形成したので、正極と電解質との界面抵抗を大幅に改善することができる。従って、比較的簡単な構成と製造方法で、色素増感太陽電池の光電変換効率を向上できる。
本発明を実施するための最良の形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。
(実施例1の構成・動作)
図1は、本発明の実施例1を示す色素増感太陽電池の模式的な断面図である。
この色素増感太陽電池は、負極40と、この負極40に対向して配置された正極50とを有し、これらの負極40及び正極50が封止材60により接着されている。負極40と正極50との間には、電解質(例えば、ヨウ素(I)、ヨウ化リチウム、アセトニトリル、TBP(4-tert-butylpyridine)等を混合した電解質溶液)65が充填され、この電解質溶液65が封止材60により封止されている。
負極40は、透明導電性の第1の基材(例えば、ガラス基板41の表面がFTO、ITO等の透明導電膜42により被覆された基板)を有している。透明導電膜42上には、多孔質の半導体電極(例えば、多孔質の酸化物半導体膜である多孔質酸化チタン膜)43が形成され、この表面に、Ru金属錯体(例えば、Ru色素N719)等の増感色素44が吸着(担持)されている。
正極50は、第2の基材(例えば、透明なガラス基板51の表面がFTO、ITO等の透明導電膜52により被覆された基板)を有している。透明導電膜52の表面には、負極40側の多孔質酸化チタン膜43に対向して、多孔質酸化物半導体層(例えば、厚さが約1μm以下の多孔質酸化チタン層)53が形成されている。多孔質酸化チタン層53を含む透明導電膜52の全面には、電解質溶液65の反応を促す薄いPt膜等の触媒電極54が形成されている。
負極40と正極50とは、所定間隔隔てて封止材60により接着されている。封止材60は、例えば、紫外線(UV)硬化型又は熱硬化型の樹脂体であり、この封止材60により、電解質溶液65が封止される。封止材60として、例えば、熱可塑性フィルム接着剤であるに三菱デュポン製のハイミランフィルムを使用する場合は、負極40と正極50とを熱圧着して内部を封止する。封止材60、負極40又は正極50には、図示しない注入孔が開けられ、この注入孔から注入された電解質溶液65が、その負極40と正極50との間に充填されている。図示しない注入孔は、電解質溶液65を注入した後に、エポキシ系樹脂材等により封止される。
このような構成の色素増感太陽電池では、光を負極40側(又は、正極50側)から入射させると、多孔質酸化チタン膜43に吸着した増感色素44が光を吸収して、電子e−が励起される。励起された電子e−は、多孔質酸化チタン膜43側へ流れて行く。更にこの電子e−は、ガラス基板41上の透明導電膜42を介して図示しない電極へ流れ、外部負荷を稼動させた後、正極50側に到達する。その後、この電子e−は電解質溶液65中へヨウ素イオンI−との還元反応にて引き渡され、このヨウ素(I)は拡散して励起した増感色素44へ電子e−を引き渡す酸化反応が起こる。以上のサイクルが繰り返されることにより、定常的な光照射に伴う光起電力が発生する。
(実施例1の製造方法)
図2(A)〜(D)は、図1の色素増感太陽電池の製造方法を示す製造工程の概略の断面図である。
本実施例1の色素増感太陽電池では、例えば、次の(1)〜(3)のような工程により製造される。
(1) 図2(A)に示す負極40の製造工程
負極40の製造方法は、例えば、従来の製造方法と同一である。即ち、酸化スズ系の透明電極膜42が形成されたガラス基板41に、スクリーン印刷法等にて、約50μmの酸化チタンペースト43aを塗布する。塗布後、温度500℃にて大気雰囲気中、90分間のアニール処理を行い、図1に示すような多孔質酸化チタン膜43を形成させる。この時の多孔質酸化チタン膜厚は約10μmである。
次に、アセトニトリルとtブチルアルコールとの混合溶媒に金属錯体(例えば、Ru色素719)を4mMで溶かした溶液に、多孔質酸化チタン膜43を20時間ディップ(浸積)させる。これにより、多孔質状(ポーラス状)酸化チタン膜43の表面に、増感色素44が吸着され、負極40が形成される。
(2) 図2(B)〜(D)に示す正極50の製造工程
前記負極40と共に正極50を、例えば、次のようにして製造する。
FIO、ITO等の透明導電膜52を形成したガラス基板51に、スクリーン印刷法もしくはスプレー法等にて、約1μm以下の酸化チタンペースト53a等を塗布する。これは、例えば、Solaronix社製の各種酸化チタンペーストを単層、もしくは積層して形成してもよい。酸化チタンペースト53a等の塗布後に、温度500℃にて大気雰囲気中、90分間のアニール処理を行い、図1に示すような多孔質酸化チタン層53を形成させる。この時の多孔質酸化チタン膜厚は、約0.5μm以下である。これにより、表面の粗さ(ラフネス)が数100以上の多孔質酸化チタン層53が形成される。
次に、多孔質酸化チタン層53を含む透明導電膜52の全面に、スパッタリング法により、触媒電極54となるPtを厚さ約150Å程度生成させる。この時、Ptは、多孔質酸化チタン層53の内部にまで入り込む。触媒電極54の他の形成方法としては、スパッタリングに代えて、メッキ法により、多孔質酸化チタン層53の表面に極薄のPt層を形成させてもよい。あるいは、ヘキサクロロ白金酸をイソピロピルアルコール(IPA)に溶融させ、ディップさせた後に、温度400℃程度で焼成処理を行い、多孔質酸化チタン層53の表面にPtの微粒子を析出させてもよい。いずれの方法でも、ポイントは、多孔質酸化チタン層53の表面にPtを形成させることにある。これにより、正極50が形成される。
(3) 図1に示す封止工程
図2(A)の負極40を裏返し、これと正極50とを位置合わせして熱可塑性フィルム接着剤であるハイミランフィルム(例えば、三菱デュポン製の厚さ60μmのハイミランフィルム)からなる封止材60にて熱圧着して封止する。次に、封止材60、負極40あるいは正極50の一部に開けた図示しない注入孔から、ヨウ素、ヨウ化リチウム、アセトニトリル、TBPを混合等した電解溶液65を、負極50と正極60との複合体の間隙に注入する。その後、前記注入孔をエポキシ系樹脂材等にて封止等すれば、図1の色素増感太陽電池の製造が終了する。
(実施例1の効果)
本実施例1によれば、正極50側に多孔質酸化チタン層53を設け、この表面にPtの触媒電極54を形成したので、正極50と電解溶液65との界面抵抗を大幅に改善することができる。
従来の図5の色素増感太陽電池では、負極10側に多孔質の半導体電極13を形成して、その表面に増感色素14を吸着させることにより、実効面積を平坦(フラット)な場合に比較して約1000倍程度広く取ることができた。この結果、光の有効利用が可能となり、変換効率は飛躍的に向上した。しかし、正極20に対しては、若干のラフネスの向上が試みられたが、負極程の試みはない。
本実施例1では、この正極50にも負極40並みの多孔質化によるラフネスファクターの向上を行い、界面抵抗成分の大幅な低減を可能にしている。これにより、色素増感太陽電池の光電変換効率を向上できる。
(実施例2の構成・製造方法)
図3(A)、(B)は、本発明の実施例2における図1の色素増感太陽電池の製造方法を示す概略の製造工程の断面図であり、実施例1を示す図2(C)、(D)中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
本実施例2の色素増感太陽電池における基本的な構成と製造方法は、実施例1とほぼ同様である。実施例1と異なる点は、正極50側にスクリーン印刷等した酸化チタンペースト53aを、純粋な窒素(N2)雰囲気中にてアニール処理する点である。他の製造工程は、全て実施例1と同一である。
(実施例2の効果)
本実施例2によれば、実施例1のような大気もしくは酸素(O2)雰囲気中での焼成処理に比較して、N2中で焼成を行うと、一部が窒化チタン(TiN)化した酸化チタン層が形成される。これは純粋な酸化チタン層に比較して抵抗値が小さい。この結果、正極50と電解溶液65との界面抵抗は、実施例1と同じ程度(レベル)で、内部抵抗値R1が実施例1と比較して小さくすることが可能となり、色素増感太陽電池の光電変換効率を更に向上できる。
(実施例3の構成・製造方法)
図4(A)、(B)は、本発明の実施例3における図1の色素増感太陽電池の製造方法を示す概略の製造工程の断面図であり、実施例1を示す図2(C)、(D)や、実施例2を示す図3(A)、(B)中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
本実施例3の色素増感太陽電池における基本的な構成と製造方法は、実施例1、2とほぼ同様である。実施例1、2と異なる点は、正極50側において、耐電解質性及び導電性を有し、酸化チタンより抵抗値の小さい微粒子55(例えば、約3.6μmのタングステン微粒子、あるいはカーボン微粒子といった金属製の微粒子等)を、酸化チタンペースト53aに混合して分散させ、これを焼成して微粒子入りの多孔質酸化チタン層53を形成している点である。その他の構成や製造方法は、実施例1、2と同一である。
(実施例3の効果)
本実施例3によれば、多孔質酸化チタン層53に、酸化チタンより抵抗値の小さい金属製等の微粒子55を混在させたので、正極50側の内部抵抗値R1をより低減することが可能である。即ち、金属系の微粒子55等を混入させているため、内部抵抗値R1の大幅削減が可能であり、色素増感太陽電池の光電変換効率を更に向上できる。特に、タングステン微粒子について、これまでの報告では、ヨウ素系電解溶液65への耐性が高いため、正極50の一部として使用することが可能である。
(変形例)
本発明は、上記実施例1〜3に限定されず、色素増感太陽電池の形状、構造、構成材料、製造方法等は、図示以外の種々の利用形態や変形が可能である。
本発明の実施例1を示す色素増感太陽電池の模式的な断面図である。 図1の色素増感太陽電池の製造方法を示す製造工程の概略の断面図である。 本発明の実施例2における図1の色素増感太陽電池の製造方法を示す概略の製造工程の断面図である。 本発明の実施例3における図1の色素増感太陽電池の製造方法を示す概略の製造工程の断面図である。 従来の一般的な色素増感太陽電池の模式的な構成を示す断面図である。 図5の色素増感太陽電池における製造方法を示す概略の製造工程図である。
符号の説明
40 負極
41,51 ガラス基板
42,52 透明導電膜
43 多孔質酸化チタン膜
43a,53a 酸化チタンペースト
50 正極
53 多孔質酸化チタン層
54 触媒電極
55 微粒子
60 封止材
65 電解質溶液

Claims (5)

  1. 透明導電性の第1の基材と、
    前記第1の基材上に形成され、増感色素を有する半導体電極と、
    前記第1の基材に対向して配設された導電性の第2の基材と、
    前記半導体電極と前記第2の基材との間に封止された電解質と、
    を有し、前記電解質側における前記第2の基材上に、多孔質酸化物半導体層が形成され、且つ、前記多孔質酸化物半導体層の表面に、前記電解質の反応を促す触媒電極が形成された色素増感太陽電池であって、
    前記多孔質酸化物半導体層は、多孔質酸化チタン層であり、耐電解質性及び導電性を有し酸化チタンより抵抗値の小さい微粒子が混在されていることを特徴とする色素増感太陽電池。
  2. 前記電解質は、ヨウ素系電解質溶液であり、
    前記多孔質酸化チタン層の表面には、前記ヨウ素系電解質溶液の還元反応を促す前記触媒電極が形成されていることを特徴とする請求項1記載の色素増感太陽電池。
  3. 前記多孔質酸化物半導体層の厚さは、0.5μm〜1μmであることを特徴とする請求項1又は2記載の色素増感太陽電池。
  4. 前記触媒電極は、白金であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の色素増感太陽電池。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の色素増感太陽電池の製造方法であって、
    前記第1の基板上に、前記増感色素を有する前記半導体電極を焼成によって形成する工程と、
    前記第2の基材上に、前記多孔質酸化チタン層を形成し、更に、前記多孔質酸化チタン層の表面に前記触媒電極を形成する工程と、
    前記触媒電極を前記第1の基材上に対向して配置し、前記半導体電極と前記触媒電極との間に介在させる前記電解質を封止材によって封止する工程と、を有し、
    前記多孔質酸化チタン層は、前記微粒子を混在させた酸化チタンペーストを、前記第2の基材上に塗布した後に、窒素雰囲気中で焼成して、一部が窒化チタン化した多孔質膜が形成されて生成されていることを特徴とする色素増感太陽電池の製造方法。
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