JP5333699B1 - 長尺延伸フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の一局面による長尺延伸フィルムの製造方法は、熱可塑性樹脂フィルムの両端部を、等速で移動する複数の把持具で把持して搬送しつつ、一方の端部を把持した把持具の搬送方向における移動速度を他方の端部を把持した把持具よりも徐々に早くすることで一方の把持具を先行させることにより斜め延伸する工程を少なくとも有し、先行させた把持具が把持する端部におけるネックイン率を、0より大きく5%以下に調整することを特徴とする。当該長尺延伸フィルムの製造方法によれば、直進速度差方式の斜め延伸装置を用いた場合に、得られる長尺延伸フィルムの光学軸の軸ズレを抑制でき、有機ELディスプレイ等に用いられる円偏光板に用いた場合であっても色ムラの発生を抑制し得る。

Description

本発明は、長尺延伸フィルムの製造方法、該製造方法により得られた長尺延伸フィルム、該長尺延伸フィルムを用いた円偏光板および有機ELディスプレイに関する。
樹脂を延伸してなる延伸フィルムは、その光学異方性を利用して、各種ディスプレイ装置において様々な光学的機能を果たす光学フィルムとして用いられている。たとえば、液晶表示装置において、該延伸フィルムを着色防止、視野角拡大などの光学補償などのための光学補償フィルムとして用いたり、該延伸フィルムと偏光子とを貼り合わせることで、該延伸フィルムを、偏光板保護フィルムを兼ねた位相差フィルムとして用いたりすることが知られている。
一方、近年では新たなディスプレイ装置として、有機エレクトロルミネッセンス表示装置のような自発光型の表示装置が注目されている。自発光型表示装置は、バックライトが常に点灯している液晶表示装置に対して消費電力を抑制できる余地があり、さらに、有機ELディスプレイのような各色に対応した光源がそれぞれ点灯する自発光表示装置では、コントラスト低減の要因となるカラーフィルターを設置する必要がないため、コントラストをさらに高めることが可能である。
有機ELディスプレイにおいては、光取り出し効率を高めるために、ディスプレイの背面側にアルミニウム板等の反射体が設けられる。そのため、ディスプレイに入射した外光がこの反射体で反射されることで画像のコントラストを低下させるという問題がある。そこで、外光反射防止による明暗コントラスト向上のために該延伸フィルムと偏光子とを貼り合わせて円偏光板をディスプレイに表面側に用いることが知られている。また、このような円偏光板は、立体映像を表示するいわゆる3D液晶表示装置においても用いられる場合がある。
上記の円偏光板は、偏光子の吸収軸に対して、該延伸フィルムの面内遅相軸を所望の角度で傾斜するような配置で貼り合わされる必要がある。たとえば、λ/4位相差フィルムと呼ばれる透過波長に対してλ/4に該当する面内位相差を付与した延伸フィルムを1枚用いる場合には、偏光子の吸収軸とλ/4位相差フィルムの遅相軸とのなす角度を約45°とすると高い反射防止性能が得られる。
しかしながら、一般的な偏光子(偏光フィルム)は、搬送方向に高倍率延伸することにより得られるものであり、その吸収軸が搬送方向と一致している。一方、従来の位相差フィルムは、縦延伸(搬送方向への延伸)または横延伸(幅手方向への延伸)で製造され、通常、延伸フィルムは延伸方向と平行な方向または垂直な方向に遅相軸が発現するため、原理的に面内の遅相軸はフィルムの長手方向に対し0°または90°方向となる。このため、上記のように偏光子の吸収軸と延伸フィルムの遅相軸との関係が傾斜した所望の角度となった円偏光板を得るためには、長尺の偏光フィルムおよび/または延伸フィルムを特定の角度で切り出してフィルム片同士を1枚ずつ貼り合せるバッチ式で行わざるを得ず、生産性の悪化や切り屑等の付着による製品の歩留まりの低下が問題として挙げられていた。特に、有機ELディスプレイが大型化されつつある昨今においては、円偏光板も大型化が求められており、得られた延伸フィルムを斜めに切りだして偏光子に貼り合わせる方法ではさらにフィルムの利用効率が悪くなり生産性が悪化するため、改善が必要とされていた。
そのため、斜め延伸装置を用いて樹脂フィルムを所望の角度で斜め方向に延伸し、遅相軸フィルムの幅手方向に対し、0°でも90°でもない方向に制御可能な長尺の延伸フィルムの製造方法が検討されている。
このような方法で得られた斜め方向に延伸されたフィルムを用いることで、従来のバッチ式の貼り合せではなく、長尺の偏光フィルムと延伸フィルム(λ/4位相差フィルム)をロール・トウ・ロールで貼り合わせて円偏光板を製造することが可能になる。これにより、生産性が飛躍的に向上され、歩留まりを大幅に改善し得る。また、ロール・トウ・ロールで貼り合わせて円偏光板を作成することができるため、大型のディスプレイに用いられる場合においても、長尺延伸フィルムの利用面積を高めることが可能となり、円偏光板の製造コストを大幅に低減することが可能となる。
上記のような斜め延伸方法に用いられる斜め延伸装置としても、種々の方法が検討されている。
たとえば、屈曲方式の斜め延伸装置(方法)が検討されている(たとえば、特許文献1参照)。屈曲方式の斜め延伸装置は、左右の把持具が走行する把持具搬送レールの形状を屈曲形状とし、内周側の把持具と外周側の把持具の移動軌跡長に差を設けることで、内周側の把持具搬送レールを走行する把持具が先行することで、樹脂フィルムを斜め方向に延伸し、長尺の斜め延伸フィルムを製造する方式である。このような屈曲方式の斜め延伸方法では、両端を支持する把持具の移動軌跡長に差を持たせることで斜めに延伸しているため、両端を把持する把持具の走行速度は同じ速度で斜めに延伸することができる。そのため、一旦製造条件が定まり製造開始されれば、製造中は、安定的に生産することが可能となる。しかしながら、屈曲方式の斜め延伸装置では、たとえば、延伸フィルムの配向角を変更する場合には、把持具搬送レールの位置や形状を変更する必要があり、装置全体のレイアウトを見直す必要があり、調整が大掛かりとなる。また、屈曲方式の斜め延伸装置では搬送経路が屈曲するため、従来の延伸フィルムである縦延伸や横延伸に対して、設置面積が大型化(広幅化)することが多く、従来の製造装置を収容していた建物や敷地が使用できなかったり、新たに建設する場合においても大きな設置スペースを必要とされたりする場合があるという課題があった。
一方、別の斜め延伸方式として、直進速度差方式の斜め延伸装置(方法)が検討されている(たとえば特許文献2、参照)。
直進速度差方式の斜め延伸装置は、樹脂フィルムの両端部を一対の把持具によって把持し、樹脂フィルムを搬送しながら、一方の把持具の走行速度を他方の把持具の走行速度よりも徐々に速くして、一方の把持具を他方の把持具より先行させることにより、フィルムを斜め方向に延伸し、長尺の斜め延伸フィルムを製造する方法である。直進速度差式の斜め延伸装置は、両端の把持具の走行速度の違いにより、斜め方向に延伸するため、従来の縦延伸や横延伸の延伸設備と同様の形状の装置とすることができるため、従来の製造設備や敷地が使用可能であり、比較的小さな設置スペースで製造が可能となる。また、把持具搬送レールの形状を変更しなくても把持具の走行速度を変更することでフィルムの配向角を調整できるため、配向角の設定の変更が容易に行うことができる。
そこで本発明者らは、このような直進速度差方式の斜め延伸装置を用いて、長尺延伸フィルムを製造し、有機ELディスプレイの円偏光板等で用いられる光学フィルムの製造を検討した。
ところが、直進速度差方式の斜め延伸装置では、製造した長尺延伸フィルムを用いて作成した円偏光板を有機ELディスプレイに搭載した際に、有機ELディスプレイの黒表示時の画像を見てみると、黒に対して赤あるいは青の色味がかかり、さらにはディスプレイ上の場所によって前記色味が異なる、いわゆる「色ムラ」という現象が見られた。この色ムラは、有機ELディスプレイを製造する際に使用した長尺延伸フィルムの部位により程度が異なり、使用した部位によってディスプレイの見え方が異なることが判った。
これらの課題を検討した結果、有機ELディスプレイのような各色に対応した光源がそれぞれ点灯する自発光表示装置では、コントラスト低減の要因となるカラーフィルター等の部材が少なく、非常にコントラストが高い反面、わずかな光学特性のばらつきが色ムラとなって顕著に観察されるため、問題として認識されるということが判った。
このような問題をさらに検討した結果、上記した従来の直進速度差方式の斜め延伸装置で製造した長尺延伸フィルムは、遅相軸の角度(配向角)がフィルムの長手方向で連続的に変動しており、このような変動がディスプレイとされた場合に、色ムラ(光学ムラ)となって観察されているということが判った。また、このような色ムラは、把持具の走行速度が一定となる屈曲式の斜め延伸装置では発生せず、把持具の隣接距離が変動する直進速度差方式の斜め延伸装置において顕著に発生する問題であることが判った。
特開2008−80674号公報 特開2008−23775号公報 特開2012−163931号公報
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、直進速度差方式の斜め延伸装置において、得られる長尺延伸フィルムの光学軸のズレを抑制でき、有機ELディスプレイ等の非常にコントラストの高い画像表示装置に用いられる円偏光板に用いられた場合であっても色ムラの発生を抑制できる長尺延伸フィルムの製造方法、該製造方法により得られた長尺延伸フィルム、該長尺延伸フィルムを用いた円偏光板および有機ELディスプレイを提供することを目的とする。
本発明者は、光学ムラの原因となる軸ズレの原因をさらに精査するにあたり、まず、通常の横延伸、屈曲式および直進速度差方式の斜め延伸を問わず、延伸装置を用いて延伸する際に、図1Aおよび図1Bに示されるようなネックインNが長尺フィルムFの両端部に生じることに着目した。図1Aは、従来の横延伸において長尺フィルムFに発生するネックインNを概略的に説明する模式図であり、図1Bは、直進速度差方式の斜め延伸において長尺フィルムFに発生するネックインNを概略的に説明する模式図である。なお、本明細書において、「ネックイン」とは、長尺フィルムの端部のうち、把持具により把持されていない箇所に発生する、長尺フィルムの幅方向への収縮をいう。
図1Aに示されるように、従来の横延伸方式(幅手方向の延伸方式)を例に説明すると、フィルム両端のネックインN部分を結んだ線L1と、把持具Cによる把持部分を結んだ線L2とが、いずれもフィルム幅手方向と平行となり、幅手方向の両端では同程度のネックインが発生する。そのため、延伸方向に沿って光学軸が形成され易く、軸ズレの抑制された長尺延伸フィルムが得られ得る。一方、図1Bに示されるように、直進速度差方式の斜め延伸では、斜め延伸時に遅相軸が先行する側の把持具である把持具C1は、把持後に長尺フィルムFの搬送方向下流側に向けて徐々に加速し、把持開始位置で対をなして長尺フィルムを把持した把持具C2よりも先行する。このとき、図1Bに示されるように、把持具C1が把持する側のフィルム端部は、延伸による大きな応力が発生する一方で、把持具C1により保持されない把持具の間隔が大きくなるが、把持具C2が把持する側のフィルム端部の把持具間隔は変わらないため、把持具C1が把持する側のフィルム端部に生じるネックイン(ネックインN1)は、把持具C2が把持する側のフィルム端部に生じるネックイン(ネックインN2)よりも大きくなる。後述するように、大きなネックインを生じた箇所は、把持具により把持されて充分に延伸された箇所と比較して充分に延伸されないため、フィルムの両端部で異なる大きさのネックインが発生すると、把持具で把持している位置と、把持していない位置で遅相軸の方向が変化することとなり、その結果、長尺フィルムFの長手方向に沿って連続的に遅相軸の軸ズレが生じ得る。その結果、大きな軸ズレを生じた箇所の長尺延伸フィルムを用いて作製した円偏光板を用いて有機ELディスプレイを作製した場合に、顕著な色ムラとなり得る。一方、屈曲式の斜め延伸装置では、把持開始位置で両端を把持した把持具はそれぞれ同じ速度で移動する。延伸時の各端部の移動距離が異なるため、一方の把持具が先行することで斜め延伸されるが、各端部において搬送方向に隣り合う把持具の間隔は一定のため、両端部におけるネックインの発生量も同様となるため、大きな軸ズレの原因とはならないものと考えられる。
そこで、上記の課題を解決する為の、本発明の一局面による長尺延伸フィルムの製造方法は、熱可塑性樹脂からなる長尺フィルムの両端部を、等速で移動する複数の把持具で把持して搬送しつつ、一方の端部を把持した把持具の搬送方向における移動速度を他方の端部を把持した把持具よりも徐々に早くすることで一方の把持具を先行させることにより前記長尺フィルムの遅相軸の方向が長尺方向に対して0°よりも大きく90°より小さい角度となるように斜め延伸する工程を少なくとも有する長尺延伸フィルムの製造方法において、先行させた前記把持具が把持する前記長尺フィルムの端部における、下記式で表されるネックイン率を、0より大きく5%以下となるよう調整することを特徴とする。
ネックイン率=(d/W)×100(%)
(式中、dはネックイン距離(mm)であり、Wは斜め延伸工程における長尺フィルムの幅方向の長さ(mm)である)
本発明の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
図1Aは、従来の横延伸において長尺フィルムに発生するネックインを概略的に説明する模式図である。 図1Bは、直進速度差方式の斜め延伸において長尺フィルムに発生するネックインを概略的に説明する模式図である。 図2は、本発明の一実施形態において、長尺延伸フィルムの製造方法に用いられる斜め延伸装置を説明するための模式図である。 図3は、延伸中の長尺フィルムに生じるネックインを説明する概略的な模式図である。 図4は、本発明の一実施形態において、フィルム端部の温度が延伸温度よりも低くなるよう調整する方法を説明するための模式図である。 図5は、本発明の一実施形態において、フィルム端部をピンテンターで固定する方法を説明する模式図である。 図6は、本発明の一実施形態において、フィルム端部に保護フィルム等を貼合する方法を説明する模式図である。 図7は、本発明の一実施形態において、把持具間の距離が短くなるよう調整する方法を説明する模式図である。 図8は、本発明の一実施形態における有機ELディスプレイの構成を概略的に説明する模式図である。 図9は、参考例で使用する延伸装置の構成を概略的に説明する模式図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者は、上記目的を達成するために検討した結果、直進速度差方式の斜め延伸装置において、下記式で表されるフィルムの遅相軸が先行する端部におけるネックイン率を所定の範囲内に調整することで、上記目的が達成できることを見出した。そして、本発明者は、さらに検討を進め、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の一実施態様は、熱可塑性樹脂からなる長尺フィルムの両端部を、等速で移動する複数の把持具で把持して搬送しつつ、一方の端部を把持した把持具の搬送方向における移動速度を他方の端部を把持した把持具よりも徐々に早くすることで一方の把持具を先行させることにより前記長尺フィルムの遅相軸の方向が長尺方向に対して0°よりも大きく90°より小さい角度となるように斜め延伸する工程を少なくとも有する長尺延伸フィルムの製造方法において、先行させた前記把持具が把持する前記長尺フィルムの端部における、下記式で表されるネックイン率を、0より大きく5%以下となるよう調整する、長尺延伸フィルムの製造方法である。
ネックイン率=(d/W)×100(%)
dはネックイン距離(mm)であり、Wは斜め延伸工程における長尺フィルムの幅方向の長さ(mm)である。本明細書において、dは、ネックインの頂点(最大収縮した箇所)から、後述する図3の破線で示したフィルム端部までの長さであり(参照符号dを参照)、Wは、ネックインの頂点を通過する長尺フィルムFの幅(後述する図3の、破線で示したフィルム両端部を結ぶ直線の長さWを参照)である。
上記の構成によれば、直進速度差方式の斜め延伸装置を用いて長尺フィルムを延伸した場合であっても、得られる長尺延伸フィルムの遅相軸の軸ズレを抑制できる。そのため、得られた長尺延伸フィルムを用いて有機ELディスプレイ等の非常にコントラストの高い画像表示装置に用いられる円偏光板に用いた場合であっても、色ムラの発生を抑制することが可能となる。
本発明は、上記のとおり、斜め延伸工程に特徴を有しているため、斜め延伸工程を特に詳細に説明する。
なお、本明細書において、長尺とは、フィルムの幅に対し、少なくとも5倍程度以上の長さを有するものをいい、好ましくは10倍もしくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻回されて保管または運搬される程度の長さを有するもの(フィルムロール)とし得る。
以下において、本発明を、適宜図面を参照して具体的に説明する。
<長尺延伸フィルムの製造方法>
(斜め延伸工程)
斜め延伸工程は、製膜された長尺フィルムを長尺方向に対して斜めの方向に延伸する工程である。長尺フィルムの製造方法では、長尺延伸フィルムを連続的に製造することにより、所望の任意の長さに長尺延伸フィルムを製造し得る。なお、長尺延伸フィルムの製造方法は、長尺フィルムを製膜した後に一度巻芯に巻き取り、巻回体にしてから斜め延伸工程に供給するようにしてもよいし、製膜後の長尺フィルムを巻き取ることなく、製膜工程から連続して斜め延伸工程に供給してもよい。製膜工程と斜め延伸工程を連続して行うことは、延伸後の膜厚や光学値の結果をフィードバックして製膜条件を変更し、所望の長尺延伸フィルムを得ることができるので好ましい。
本実施形態の長尺延伸フィルムの製造方法では、長尺フィルムの長尺方向に対して0°を超え90°未満の角度に遅相軸を有する長尺延伸フィルムを製造し得る。ここで、長尺フィルムの長尺方向に対する角度とは、フィルム面内における角度であり、配向角ともいう。遅相軸は、通常延伸方向または延伸方向に直角な方向に発現するので、本実施形態の製造方法では、実質的に長尺フィルムの長尺方向に対して0°を超え90°未満の角度で延伸を行う、すなわち、フィルムの延伸倍率が最大となる方向が長尺フィルムの長尺方向に対して0°を超え90°未満の角度となるように延伸条件を調整することにより、このような配向角を有する長尺延伸フィルムを製造し得る。
(斜め延伸装置)
本実施形態における延伸に供される長尺フィルムに斜め方向の配向を付与するために、直進速度差方式の斜め延伸装置を用いる。本実施形態で用いられる斜め延伸装置は、走行する長尺フィルムの両端に、長尺フィルムの両端部を把持する複数の把持具が走行する把持具走行支持具を備える。この斜め延伸装置は、装置の入口部に順次供給される長尺フィルムの両端を、把持具で把持し、加熱ゾーン内に長尺フィルムを導いて、長尺フィルムを延伸し得る任意の温度に加熱しつつ、長尺フィルムの一方の端部を把持した把持具を長尺フィルムの他方の端部を把持した把持具よりも先行させることにより、斜め方向に延伸し得る。
本実施形態において、フィルムの延伸速度は適宜選択できるが、なかでも10〜20000%/分が好ましい。フィルムの延伸速度が10%/分より遅くなると、延伸に時間がかかりすぎて配向に必要な応力が緩和してしまうため所望の配向角が発現せず、20000%/分よりも早くなると、フィルム端部のネックイン部分にかかる局所的な延伸応力が大きくなることで、フィルムにシワや寄りが発生したり、フィルムが裂けて搬送中の破断を引きおこす傾向がある。
本実施形態では、後述するように、一部の区間においてのみ、一方の把持具走行支持具を走行する把持具が、他方の把持具走行支持具を走行する把持具よりも先行するように、走行速度が加速される。この加速される区間を除き、少なくとも長尺フィルムを把持している把持具対の走行速度の差は、走行速度の通常1%以下、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.1%以下であり、実質的に等速に調整され得る。これは、延伸工程の入口および出口で長尺延伸フィルムの左右に走行速度差があると、作製した長尺フィルムの長尺方向において配向角の分布にムラができたり、延伸工程出口におけるシワ、寄りが発生するため、把持具対を構成する左右の把持具の速度差は、実質的に等速であることが求められるためである。
斜め延伸装置の方式としては、直進速度差方式であれば特に限定はされず、たとえば前述の特許文献2に記載のような装置等を用いることができる。
本実施形態において、長尺フィルムは、斜め延伸装置の予熱ゾーン、延伸ゾーン、熱固定ゾーンを有する加熱ゾーンを順に通過する。
予熱ゾーンとは、加熱ゾーン入口部において、両端を把持した把持具の間隔が一定の間隔を保ったまま走行する区間をさす。
延伸ゾーンとは、長尺フィルムの両端を把持した把持具の間隔が開きだし、所定の間隔になるまでの区間をさす。本実施形態においては、延伸ゾーン内において前述した通り、長尺フィルムの一方の端部を把持した把持具を長尺フィルムの他方の端部を把持した把持具よりも先行させることにより斜め方向に延伸することができるが、斜め方向の延伸だけに限らず、延伸ゾーン内で長尺フィルムの両端部を把持した把持具を等速に走行させて幅手方向に延伸した後に把持具の走行速度に差を設けて斜め延伸してもよいし、斜め延伸した後に両端部の把持具の走行速度を等速に戻した状態でさらに幅手方向に延伸してもよい。
熱固定ゾーンとは、延伸ゾーンより後の把持具の間隔が再び一定となる期間において、両端の把持具が互いに平行を保ったまま走行する区間をさす。熱固定ゾーンを通過した後に、ゾーン内の温度が長尺フィルムを構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg℃以下に設定される区間(冷却ゾーン)を通過してもよい。このとき、冷却による長尺延伸フィルムの縮みを考慮して、予め対向する把持具間隔を狭めるようなレールパターンとしてもよい。
本実施形態においては、長尺フィルムの機械物性や光学特性を調整する目的で斜め延伸装置に長尺フィルムを導入する前後の工程において必要に応じて横延伸および縦延伸を実施してもよい。
各ゾーンの温度は、長尺フィルムを構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgに対し、予熱ゾーンの温度はTg〜Tg+30℃、延伸ゾーンの温度はTg〜Tg+30℃、冷却ゾーンの温度はTg−30〜Tg℃に設定することが好ましい。
なお、幅方向の厚みムラの制御のために延伸ゾーンにおいて幅方向に温度差を付けてもよい。延伸ゾーンにおいて幅方向に温度差をつけるには、温風を恒温室内に送り込むノズルの開度を幅方向で差を付けるように調整する方法や、ヒーターを幅方向に並べて加熱制御するなどの公知の手法を用いることができる。
延伸工程における延伸倍率は、好ましくは1.2〜3.0、より好ましくは1.5〜2.8である。延伸倍率がこの範囲にあると幅方向厚みムラが小さくなるので好ましい。斜め延伸テンターの延伸ゾーンにおいて、幅方向で延伸温度に差を付けると幅方向厚みムラをさらに良好なレベルにすることが可能になる。
次に、長尺フィルムを斜め延伸する具体的な機構について詳述する。図2は、本実施形態の長尺延伸フィルムの製造方法に用いられる斜め延伸装置Tを説明するための模式図である。ただし、これは一例であって本実施形態はこれに限定されるものではない。
図2に示されるように、長尺フィルムFは、斜め延伸装置Tの入口(把持具が長尺フィルムFを把持する把持開始点であり、当該把持開始点を結んだ直線を参照符号Aで示す)においてその両端を左右の把持具(一対の把持具対)によって把持され、把持具の走行に伴い搬送される。
把持具対は、斜め延伸装置Tの入口で、長尺フィルムの搬送方向に対して略垂直な方向に相対している左右の把持具C1、把持具C2からなる。左右の把持具C1および把持具C2は、それぞれ略対照に形成された把持具走行支持具R1および把持具走行支持具R2に沿って走行し、延伸終了時の位置(把持具が把持を解放する把持解放点であり、当該把持解放点を結んだ直線を参照符号Bで示す)で把持した長尺延伸フィルムを解放する。
具体的には、本実施形態の斜め延伸装置Tでは、把持具C1および把持具C2は、把持開始点Aにおいて長尺フィルムFの両端部をそれぞれ把持し、長尺フィルムFの搬送を開始する。把持具C1は、参照符号P1で示された位置まで走行すると、把持具C2よりも先行するよう加速される。把持具C1を加速する機構については後述する。把持具C1の加速は、参照符号P2で示された位置まで継続される。把持具C1が加速している間、把持具C2の走行速度は維持される。そのため、把持具C1は、把持具C2よりも先行して把持具走行支持具R1を走行し、長尺フィルムFの搬送方向下流側へ移動する。参照符号P3は、把持具C1がP2に到達したときの把持具C2の位置を示している。
P2に到達した把持具C1は、速度を維持しながら把持解放点Bまで走行する。一方、P3に到達した把持具C2は、把持具C1と同様に加速する。把持具C2を加速する機構については後述する。把持具C2の加速は、P4まで継続される。その結果、P4に到達した把持具C2の速度と、先行する把持具C1の速度とは同じになる。P4に到達した把持具C2は、速度を維持しながら把持解放点Bまで走行する。
把持開始点AでフィルムFを把持した把持具C1およびC2は、把持解放点Bにおいて、フィルムFの長尺方向に対して斜めに位置することとなり、その結果、長尺フィルムFは斜め方向に延伸されることとなる。
なお、本実施形態では、把持具C1および把持具C2が、把持開始点AからP1まで等速で移動し、P1において把持具C1のみが加速される場合を例示したが、斜め延伸装置Tの構成はこれに限定されない。すなわち、所望の配向角が得られるように、加速が開始される位置や加速度を適宜設定することができる。たとえば把持開始点Aにおいて把持具C1が加速され始めてもよく、把持開始点Aから把持解放点Bまで等加速度で把持具C1を加速させてもよい。
また、本実施形態では、把持具C2をP3からP4において、把持具C1と等速となるよう加速させる場合を例示したが、把持具C2の走行速度はこのように調整されなくてもよい。すなわち、長尺フィルムFに斜め方向の配向を付与するためには、把持具C1が先行して把持解放点Bに到達すればよい。そのため、把持具C2を加速させなくてもよく、加速させる場合であっても、必ずしも把持具C1と等速になるまで加速させる必要は無い。なお、把持解放点Bにおいて把持具C1および把持具C2が等速で走行するように調整することにより、把持解放時に長尺延伸フィルムに加わる応力(幅手中心方向への収縮力)が打ち消されるため、得られる長尺延伸フィルムに軸ズレが生じにくい。
把持具C1および把持具C2を加速する方法としては特に限定されず、連続する把持具C1または把持具C2のピッチ(長尺フィルムFの搬送方向における把持具同士の間隔)を変化させ得る方法であればよい。ピッチを変化させ得る方法としては、たとえば、パンタグラフ機構やリニアガイド機構を利用する方法を採用することができる。
次に、図3を参照して、延伸時のネックイン(幅手方向の収縮)について説明する。図3は、延伸中の長尺フィルムFに生じるネックインを説明する概略的な模式図である。
図3に示されるように、ネックインは、把持具走行支持具(たとえば把持具走行支持具R1)を走行する把持具(たとえば把持具C1)間に生じる。
斜め延伸中において、把持具C1は把持具C2よりも先行する。そのため、把持具C1が把持するフィルム端部に生じる幅手方向の収縮力(長尺フィルムFの幅手方向への応力)は、把持具C2が把持するフィルム端部に生じる収縮力よりも大きくなる。その結果、把持具C1間に形成されるネックイン(参照符号N1で示される)の大きさは、把持具C2間に形成されるネックイン(参照符号N2で示される)の大きさよりも大きくなる。
図3に示されるゾーン(図2のP1〜P2に示される区間に相当)では、把持具C1は走行するにつれて加速されるため、把持具C1のうち先に走行する把持具C1とその後を走行する把持具C1との離間距離は、長尺フィルムFの搬送方向下流側に進むにつれて大きくなる。その結果、ネックインN1は、長尺フィルムFの搬送方向下流側において大きくなる。ネックインを生じた箇所は、把持具で把持された箇所と比較して、フィルムの幅手方向の延伸が不足し得る。そのため、得られる長尺延伸フィルムには、所望の方向に配向された光学軸が形成されず、フィルムの長手方向に光学軸の周期的な軸ズレが生じる。
そこで、本実施形態では、下記式で表される、把持具C2に対して先行する把持具C1側に形成されるネックインN1のネックイン率(以後、単にネックイン率と表記)が0より大きく5%以下となるよう調整されていることを特徴とする。
ネックイン率=(d/W)×100(%)
なお、dおよびWは、基準とするネックインの大きさにより変化し得る。
ネックイン率が0より大きく5%以下となるよう調整されている場合、ネックインの発生が顕著に抑制されるため、把持具に把持されていない箇所も充分に延伸され、光学軸の軸ズレが0.6°未満に抑制される。その結果、得られる長尺延伸フィルムは、長手方向に沿って光学軸が略同じ方向に形成されるため、有機ELディスプレイ等の非常にコントラストの高い画像表示装置に用いられる円偏光板に用いられた場合であっても、使用する部位に因らず色ムラの発生を抑制できる。ネックイン率は、より光学軸の軸ズレを抑制する観点から、0より大きく3%以下に調整されることが好ましい。
上記範囲にネックイン率を調整する方法としては特に限定されず、たとえば、フィルム端部の温度が延伸温度よりも低くなるよう調整することにより長尺フィルムの変形を防止する方法、把持具間のフィルム端部をピンで固定することにより長尺フィルムの変形を防止する方法、フィルム端部に保護フィルム等を貼合することにより、長尺フィルムの変形を防止する方法、把持具間の距離が短くなるよう調整することにより、長尺フィルムの変形を防止する方法等を採用することができる。
図4は、フィルム端部の温度が延伸温度よりも低くなるよう調整する方法を説明するための模式図であり、図4(a)は温度調整前のネックインの状態を説明する模式図であり、図4(b)は温度調整後のネックインの状態を説明する模式図である。図4(b)において、破線で示される領域は、延伸温度よりも低い温度に設定された領域(低温領域)を示している。
図4(a)に示される長尺フィルムFは、フィルム端部の温度を調整されずに斜め延伸されている。そのため、長尺フィルムFの搬送方向下流側において大きなネックインが生じている。その結果、得られる長尺延伸フィルムは、長手方向に光学軸の軸ズレを生じる。
一方、図4(b)に示される長尺フィルムFは、フィルム端部のみが延伸温度よりも低い温度に調整されているため、フィルム端部の弾性が低下し、ネックインが小さくなっている。その結果、ネックイン率が0より大きく5%以下に調整され、把持具に把持されていない箇所も、把持具に把持された箇所と同様に充分に延伸される。その結果、得られる長尺延伸フィルムは、所望の方向に配向が付与され、長手方向の光学軸の軸ズレが抑制される。
フィルム端部の温度としては特に限定されず、延伸温度よりも低い温度であり、かつ、長尺フィルムFを延伸し得る温度であればよい。たとえば、延伸温度が150〜200℃である場合には、フィルム端部の温度は、140〜195℃に調整し得る。
フィルム端部の温度を調整する方法としては特に限定されず、たとえば、延伸温度よりも低い温度に調整された温風を吹き付ける方法や、延伸装置に入る直前で把持具を冷却して、延伸装置内での把持部分の温度の上昇を抑制する方法を採用することができる。
なお、図4(b)に示されるように、本実施形態では、把持具C1が把持するフィルム端部だけでなく、把持具C2が把持するフィルム端部も冷却する場合を例示したが、本実施形態はこれに限定されない。すなわち、低温領域は、少なくとも把持具C1が把持するフィルム端部を冷却すればよく、長尺フィルムFのフィルム両端部を冷却する必要はない。
図5は、フィルム端部をピンテンター(ピン)で固定する方法を説明する模式図であり、図5(a)はピンでフィルム端部を固定しない場合のネックインの状態を説明する模式図であり、図5(b)はピンでフィルム端部を固定する場合のネックインの状態を説明する模式図である。
図5(a)に示される長尺フィルムFは、フィルム端部がピンで固定されずに斜め延伸されている。そのため、長尺フィルムFの搬送方向下流側において大きなネックインNが発生している。その結果、得られる長尺延伸フィルムは、長手方向に光学軸の軸ズレを生じる。
一方、図5(b)に示される長尺フィルムFは、フィルム端部がピンPで固定された状態で斜め延伸されているため、ネックインNの発生が抑制されている。その結果、ネックイン率が0より大きく5%以下に調整され、把持具に把持されていない箇所も、把持具に把持された箇所と同様に充分に延伸される。その結果、得られる長尺延伸フィルムは、長手方向の光学軸の軸ズレが抑制される。
フィルム端部をピンPで固定する方法としては特に限定されず、たとえば、搬送される長尺フィルムFの端部をピンPで突き刺す機構を採用することができる。具体的には、特開平6−160623号公報に記載の方法を採用することができる。
なお、ピンPは、把持具が走行する把持具走行支持具に設けられてもよく、把持具走行支持具に沿って別部材として設けられてもよい。ピンPの径、長さ、ピッチ、配列等は特に限定されず、適宜選択することができる。また、ピンPは、長尺フィルムFを突き刺して把持してもよく、突き刺して貫通させてもよい。ピンPを突き刺すことにより変形または破損したフィルム端部は、斜め延伸後に切除されることが好ましい。
なお、図5(b)に示されるように、本実施形態では、フィルムの両端部をピンPで固定する場合を例示したが、本実施形態はこれに限定されない。すなわち、少なくとも把持具C1が把持するフィルム端部をピンPで固定すればよく、長尺フィルムFのフィルム両端部をピンPで固定する必要はない。
図6は、フィルム端部に保護フィルム等を貼合する方法を説明する模式図であり、図6(a)は保護フィルムを貼合しない場合のネックインの状態を説明する模式図であり、図6(b)は保護フィルムで貼合する場合のネックインの状態を説明する模式図である。
図6(a)に示される長尺フィルムFは、フィルム端部に保護フィルムが貼合されていない状態で斜め延伸されている。そのため、長尺フィルムFの搬送方向下流側において大きなネックインNが発生している。その結果、得られる長尺延伸フィルムは、長手方向に光学軸の軸ズレを生じる。
一方、図6(b)に示される長尺フィルムFは、フィルム端部に保護フィルムFaが貼合された状態で斜め延伸されているため、ネックインNの発生が抑制されている。その結果、ネックイン率が0より大きく5%以下に調整され、把持具に把持されていない箇所も、把持具に把持された箇所と同様に充分に延伸される。その結果、得られる長尺延伸フィルムは、所望の方向に配向が付与され、長手方向の光学軸の軸ズレが抑制される。
フィルム端部に貼合される保護フィルムFaの種類としては特に限定されず、たとえば、プロピレン系フィルム、ポリイミド系フィルム等の延伸可能なフィルムを採用することができる。中でも、耐熱性の観点から、ポリイミド系フィルムを採用することが好ましい。
保護フィルムFaを長尺延伸フィルムFのフィルム端部に貼合する方法としては特に限定されず、たとえば、斜め延伸工程の前に、フィルム端部に保護フィルムを積層して、把持具で積層箇所を把持することにより貼合する工程を採用することができる。
なお、図6(b)に示されるように、本実施形態では、フィルムの両端部を保護フィルムFaで固定する場合を例示したが、本実施形態はこれに限定されない。すなわち、少なくとも把持具C1が把持するフィルム端部に保護フィルムFaを貼合すればよく、長尺フィルムFのフィルム両端部に保護フィルムFaを貼合する必要はない。
図7は、把持具間の距離が短くなるよう調整する方法を説明する模式図であり、図7(a)は把持具間の距離を調整する前のネックインの状態を説明する模式図であり、図7(b)は把持具間の距離を調整した後のネックインの状態を説明する模式図である。
図7(a)に示される長尺フィルムFは、把持具間の距離が調整されていない状態で斜め延伸されている。そのため、長尺フィルムFの搬送方向下流側において大きなネックインNが発生している。その結果、得られる長尺延伸フィルムは、長手方向に光学軸の軸ズレを生じる。
一方、図7(b)に示される長尺フィルムFは、把持具間の距離が、図7(a)に示される把持具間の距離よりも短くなるよう調整された状態で斜め延伸されている。そのため、把持具間において長尺フィルムFの中心方向に加わる応力が小さくなるためネックインNの発生が抑制されている。その結果、ネックイン率が0より大きく5%以下に調整され、把持具に把持されていない箇所も、把持具に把持された箇所と同様に充分に延伸される。その結果、得られる長尺延伸フィルムは、所望の方向に配向が付与され、長手方向の光学軸の軸ズレが抑制される。
把持具間の距離を短くする方法としては特に限定されない。たとえば、先行する把持具C1の加速度を調整する方法や、高加速後に減速させることにより後続する把持具との距離を狭くする方法等を採用することができる。
なお、図7(b)に示されるように、本実施形態では、把持具C1の数を増やすことにより把持具C1間の距離を短くする場合を例示したが、本実施形態はこれに限定されない。すなわち、少なくとも把持具C1間の距離を短くすればよく、併せて、把持具C2間の距離を調整してもよい。
(斜め延伸工程以外の工程)
次に、本実施形態が採用し得るその他の工程について説明する。なお、本実施形態は、上記した斜め延伸工程を有していればよく、その他の工程については特に限定されない。そのため、以下に説明するその他の工程は、例示であり、適宜設計変更を行うことができる。
(長尺フィルムの製膜工程)
製膜工程は、熱可塑性樹脂からなる長尺フィルムを製膜する工程である。
本実施形態で製膜する長尺フィルムとしては、特に限定されず、熱可塑性樹脂から構成されている長尺フィルムであればよい。
たとえば、延伸後の長尺延伸フィルムを光学用途に使用する場合には、所望の波長に対して透明な性質を有する樹脂からなるフィルムが好ましい。このような樹脂としては、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテルスルフォン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリスルフォン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、脂環構造を有するオレフィンポリマー系樹脂、セルロースエステル系樹脂などが挙げられる。これらの中でも、透明性や機械強度などの観点からポリカーボネート系樹脂、脂環構造を有するオレフィンポリマー系樹脂、セルロースエステル系樹脂が好ましい。
<ポリカーボネート系樹脂>
ポリカーボネート系樹脂としては、特に限定なく種々のものが使用でき、化学的性質および物性の点から芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましく、特にビスフェノールA系ポリカーボネート樹脂が好ましい。その中でも、ビスフェノールAにベンゼン環、シクロヘキサン環、および脂肪族炭化水素基等を導入したビスフェノールA誘導体を用いたものがより好ましい。さらに、ビスフェノールAの中央の炭素に対して、非対称に上記官能基が導入された誘導体を用いて得られた、単位分子内の異方性を減少させた構造のポリカーボネート樹脂が特に好ましい。このようなポリカーボネート樹脂としては、たとえば、ビスフェノールAの中央の炭素の2個のメチル基をベンゼン環に置き換えたもの、ビスフェノールAのそれぞれのベンゼン環の一の水素をメチル基やフェニル基などで中央炭素に対し非対称に置換したものを用いて得られるポリカーボネート樹脂が特に好ましい。具体的には、4,4′−ジヒドロキシジフェニルアルカンまたはこれらのハロゲン置換体からホスゲン法またはエステル交換法によって得られるものであり、たとえば、4,4′−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエタン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルブタン等が挙げられる。また、この他にもたとえば、特開2006−215465号公報、特開2006−91836号公報、特開2005−121813号公報、特開2003−167121号公報、特開2009−126128号公報、特開2012−31369号公報、特開2012−67300号公報、国際公開第00/26705号等に記載されているポリカーボネート系樹脂が挙げられる。
前記ポリカーボネート樹脂は、ポリスチレン系樹脂、メチルメタクリレート系樹脂、およびセルロースアセテート系樹脂等の透明性樹脂と混合して使用してもよい。また、セルロースアセテート系樹脂を用いて形成した樹脂フィルムの少なくとも一方の面にポリカーボネート系樹脂を含有する樹脂層を積層してもよい。
前記ポリカーボネート系樹脂は、ガラス転移点(Tg)が110℃以上であって、吸水率(23℃水中、24時間の条件で測定した値)が0.3%以下のものであることがこのましい。また、Tgが120℃以上であって、吸水率が0.2%以下のものがより好ましい。
本実施形態で用いることができるポリカーボネート系樹脂フィルムは公知の方法で製膜することができ、その中でも溶液流延法や溶融流延法が好ましい。
<脂環式オレフィンポリマー系樹脂>
脂環式オレフィンポリマー系樹脂としては、特開平05−310845号公報に記載されている環状オレフィンランダム多元共重合体、特開平05−97978号公報に記載されている水素添加重合体、特開平11−124429号公報に記載されている熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体およびその水素添加物等を採用することができる。
脂環式オレフィンポリマー系樹脂は、飽和脂環炭化水素(シクロアルカン)構造や不飽和脂環炭化水素(シクロアルケン)構造のごとき脂環式構造を有するポリマーである。脂環式構造を構成する炭素原子数には、格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲であるときに、機械強度、耐熱性および長尺フィルムの成形性の特性が高度にバランスされ、好適である。
脂環式オレフィンポリマー中の脂環式構造を含有してなる繰り返し単位の割合は、適宜選択すればよいが、好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。脂環式ポリオレフィン樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合がこの範囲にあると、本実施形態の長尺延伸フィルムより得られる位相差フィルム等の光学材料の透明性および耐熱性が向上するので好ましい。
脂環構造を有するオレフィンポリマー系樹脂としては、ノルボルネン系樹脂、単環の環状オレフィン系樹脂、環状共役ジエン系樹脂、ビニル脂環式炭化水素系樹脂およびこれらの水素化物等を挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン系樹脂は、透明性と成形性が良好なため、好適に用いることができる。
ノルボルネン系樹脂としては、たとえば、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との開環共重合体またはそれらの水素化物、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との付加共重合体またはそれらの水素化物等を挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン構造を有する単量体の開環(共)重合体水素化物は、透明性、成形性、耐熱性、低吸湿性、寸法安定性および軽量性などの観点から、特に好適に用いることができる。
上記した好ましいノルボルネン系樹脂を用いた長尺フィルムを成形する方法としては、溶液製膜法や溶融押出法の製造方法が好まれる。溶融押出法としては、ダイスを用いるインフレーション法等が挙げられるが、生産性や厚さ精度に優れる点でTダイを用いる方法が好ましい。
Tダイを用いた押出成形法は、特開2004−233604号公報に記載されているような、冷却ドラムに密着させる時の溶融状態の熱可塑性樹脂を安定な状態に保つ方法により、リタデーションや配向角といった光学特性のばらつきが小さい長尺フィルムを製造できる。
具体的には、1)溶融押出法で長尺フィルムを製造する際に、ダイスから押し出されたシート状の熱可塑性樹脂を50kPa以下の圧力下で冷却ドラムに密着させて引き取る方法;2)溶融押出法で長尺フィルムを製造する際に、ダイス開口部から最初に密着する冷却ドラムまでを囲い部材で覆い、囲い部材からダイス開口部または最初に密着する冷却ドラムまでの距離を100mm以下とする方法;3)溶融押出法で長尺フィルムを製造する際に、ダイス開口部から押し出されたシート状の熱可塑性樹脂より10mm以内の雰囲気の温度を特定の温度に加温する方法;4)関係を満たすようにダイスから押し出されたシート状の熱可塑性樹脂を50kPa以下の圧力下で冷却ドラムに密着させて引き取る方法;5)溶融押出法で長尺フィルムを製造する際に、ダイス開口部から押し出されたシート状の熱可塑性樹脂に、最初に密着する冷却ドラムの引取速度との速度差が0.2m/s以下の風を吹き付ける方法;が挙げられる。
この長尺フィルムは、単層若しくは2層以上の積層フィルムであってもよい。積層フィルムは共押出成形法、共流延成形法、フィルムラミネイション法、塗布法などの公知の方法で得ることができる。これらのうち共押出成形法、共流延成形法が好ましい。
<セルロースエステル系樹脂>
セルロースエステル系樹脂としては、下記式(i)および(ii)を満たすセルロースアシレートを含有し、かつ、下記一般式(A)で表される化合物を含有することを特徴とするものが好ましく挙げられる。
式(i) 2.0≦Z1<3.0
式(ii) 0.5≦X
(式(i)および式(ii)において、Z1はセルロースアシレートの総アシル置換度を表し、Xはセルロースアシレートのプロピオニル置換度およびブチリル置換度の総和を表す)
(一般式(A)の化合物)
以下、一般式(A)について詳細に説明する。
Figure 0005333699
一般式(A)において、LおよびLは各々独立に単結合または2価の連結基を表す。
およびLとしては、たとえば、下記構造が挙げられる。(下記Rは水素原子または置換基を表す)
Figure 0005333699
およびLとして、好ましくは−O−、−COO−、−OCO−である。R、RおよびRは各々独立に置換基を表す。
およびRとしては、好ましくは、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のシクロヘキシル基である。より好ましくは置換基を有するフェニル基、置換基を有するシクロヘキシル基であり、さらに好ましくは4位に置換基を有するフェニル基、4位に置換基を有するシクロヘキシル基である。
として、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、シアノ基、アミノ基であり、さらに好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、アルコキシ基である。
WaおよびWbは水素原子または置換基を表すが、
(I)WaおよびWbが互いに結合して環を形成してもよく、
(II)WaおよびWbの少なくとも一つが環構造を有してもよく、または
(III)WaおよびWbの少なくとも一つがアルケニル基またはアルキニル基であってもよい。
(1)WaおよびWbが互いに結合して環を形成する場合、以下のような構造が挙げられる。
WaおよびWbが互いに結合して環を形成する場合、好ましくは、含窒素5員環または含硫黄5員環であり、特に好ましくは、下記一般式(1)または一般式(2)で表される化合物である。
Figure 0005333699
一般式(1)において、AおよびAは各々独立に、−O−、−S−、−NRx−(Rxは水素原子または置換基を表す)またはCO−を表す。Rxで表される置換基の例は、上記WaおよびWbで表わされる置換基の具体例と同義である。Rxとして、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基である。一般式(1)において、Xは第14〜16族の非金属原子を表す。Xとしては、=O、=S、=NRc、=C(Rd)Reが好ましい。ここでRc、Rd、Reは置換基を表し、例としては上記WaおよびWbで表わされる置換基の具体例と同義である。L、L、R、R、R、nは、一般式(A)におけるL、L、R、R、R、nと同義である。
Figure 0005333699
一般式(2)において、Qは−O−、−S−、−NRy−(Ryは水素原子または置換基を表す)、−CRaRb−(RaおよびRbは水素原子または置換基を表す)またはCO−を表す。ここで、Ry、Ra、Rbは置換基を表し、例としては上記WaおよびWbで表わされる置換基の具体例と同義である。
Yは置換基を表す。Yで表わされる置換基の例としては、上記WaおよびWbで表される置換基の具体例と同義である。Yとして、好ましくは、アリール基、ヘテロ環基、アルケニル基、アルキニル基である。Yで表わされるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ビフェニル基等が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
(2)一般式(A)において、WaおよびWbの少なくとも一つが環構造を有する場合の具体例としては、好ましくは、下記一般式(3)である。
Figure 0005333699
一般式(3)において、Qは=N−または=CRz−(Rzは水素原子または置換基)を表し、Qは第14〜16族の非金属原子を表す。ZはQおよびQと共に環を形成する非金属原子群を表す。Q、QおよびZから形成される環は、さらに別の環で縮環していてもよい。Q、QおよびZから形成される環として、好ましくは、ベンゼン環で縮環した含窒素5員環または6員環である。L、L、R、R、R、nは、一般式(A)におけるL、L、R、R、R、nと同義である。
(3)WaおよびWbの少なくとも一つがアルケニル基またはアルキニル基である場合には、好ましくは、置換基を有するビニル基、エチニル基である。
上記一般式(1)、一般式(2)および一般式(3)で表される化合物のうち、特に、一般式(3)で表される化合物が好ましい。
一般式(3)で表される化合物は、一般式(1)で表される化合物に比べて耐熱性および耐光性に優れており、一般式(2)で表される化合物に比べ、有機溶媒に対する溶解性やポリマーとの相溶性が良好である。
本実施形態の一般式(A)で表される化合物は、所望の波長分散性、および滲み防止性を付与するのに適宜量を調整して含有することができるが、添加量としてはセルロース誘導体に対して、1〜15質量%含むことが好ましく、特には、2〜10質量%含むことが好ましい。この範囲内であれば、本実施形態のセルロース誘導体に十分な波長分散性、および滲み防止性を付与することができる。
なお、一般式(A)、一般式(1)、一般式(2)および一般式(3)で表わされる化合物は、既知の方法を参照して行うことができる。具体的には、Journal of Chemical Crystallography(1997);27(9);512−526)特開2010−31223号公報、特開2008−107767号公報等を参照に合成することができる。
(セルロースアシレート)
本実施形態で用いることができるセルロースアシレートフィルムは、セルロールアシレートを主成分として含有する。
本実施形態で用いることができるセルロースアシレートフィルムは、フィルムの全質量100質量%に対して、セルロースアシレートを好ましくは60〜100質量%の範囲で含む。
セルロースアシレートとしては、セルロースと、炭素数2〜22程度の脂肪族カルボン酸および/または芳香族カルボン酸とのエステルが挙げられ、特に、セルロースと炭素数が6以下の低級脂肪酸とのエステルであることが好ましい。
セルロースの水酸基に結合するアシル基は、直鎖であっても分岐していてもよく、また環を形成してもよい。さらに別の置換基が置換してもよい。同じ置換度である場合、上述した炭素数が多いと複屈折性が低下するため、炭素数としては炭素数2〜6のアシル基の中で選択することが好ましく、プロピオニル置換度およびブチリル置換度の総和は0.5以上である。前記セルロースアシレートとしての炭素数が2〜4であることが好ましく、炭素数が2〜3であることがより好ましい。
具体的には、セルロースアシレートとしては、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレートまたはセルロースアセテートフタレートのようなアセチル基の他にプロピオネート基、ブチレート基またはフタリル基が結合したセルロースの混合脂肪酸エステルを用いることができる。なお、ブチレートを形成するブチリル基は、直鎖であっても分岐していてもよい。
本実施形態においては、セルロースアシレートとして、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、またはセルロースアセテートプロピオネートが特に好ましく用いられる。
また、本実施形態に係るセルロースアシレートは、下記の数式(iii)および数式(iv)を同時に満足するものが好ましい。
式(iii) 2.0≦X+Y<3.0
式(iv) 0.5≦X
式中、Yはアセチル基の置換度を表し、Xはプロピオニル基もしくはブチリル基またはその混合物の置換度を表す。
また、目的に叶う光学特性を得るために、置換度の異なる樹脂を混合して用いてもよい。その際の混合比としては、1:99〜99:1(質量比)が好ましい。
上述した中でも、特にセルロースアセテートプロピオネートが、セルロースアシレートとして好ましく用いられる。セルロースアセテートプロピオネートでは、0≦Y≦2.5であり、かつ、0.5≦X≦3.0である(ただし、2.0≦X+Y<3.0である)ことが好ましく、0.5≦Y≦2.0であり、かつ、1.0≦X≦2.0である(ただし、2.0≦X+Y<3.0である)ことがより好ましい。なお、アシル基の置換度は、ASTM−D817−96に準じて測定されうる。
セルロースアシレートの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ、ケナフなどが挙げられる。また、それらから得られたセルロースアシレートは、それぞれ任意の割合で混合使用されうる。
セルロースアシレートは、公知の方法により製造することができる。具体的には、たとえば、特開平10−45804号公報に記載の方法を参考にして合成することができる。
(添加剤)
本実施形態により得られた長尺延伸フィルムは後述するセルロースエステル以外の高分子成分を適宜混合したものでもよい。混合される高分子成分はセルロースエステルと相溶性に優れるものが好ましく、長尺延伸フィルムにした時の透過率が80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは92%以上であることが好ましい。
添加される添加剤としては、可塑剤、紫外線吸収剤、リタデーション調整剤、酸化防止剤、劣化防止剤、剥離助剤、界面活性剤、染料、微粒子等がある。本実施形態において、微粒子以外の添加剤についてはセルロースエステル溶液の調製の際に添加してもよいし、微粒子分散液の調製の際に添加してもよい。有機ELディスプレイ等の画像表示装置に使用する偏光板には耐熱耐湿性を付与する可塑剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤等を添加することが好ましい。
これらの化合物は、セルロースエステルに対して1〜30質量%、好ましくは1〜20質量%となるように含まれていることが好ましい。また、延伸および乾燥中のブリードアウト等を抑制させるため、200℃における蒸気圧が1400Pa以下の化合物であることが好ましい。
これらの化合物は、セルロースエステル溶液の調製の際に、セルロースエステルや溶媒と共に添加してもよいし、溶液調製中や調製後に添加してもよい。
(リタデーション調整剤)
リタデーションを調整するために添加する化合物は、欧州特許911,656A2号明細書に記載されているような、二つ以上の芳香族環を有する芳香族化合物を使用することができる。
また、2種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。該芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族性ヘテロ環であることが特に好ましく、芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。中でも1,3,5−トリアジン環が特に好ましい。
(ポリマーまたはオリゴマー)
本実施形態におけるセルロースエステルフィルムは、セルロースエステルと、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基、およびスルホ基から選ばれる置換基を有しかつ重量平均分子量が500〜200,000の範囲内であるビニル系化合物のポリマーまたはオリゴマーとを含有することが好ましい。当該セルロースエステルと、当該ポリマーまたはオリゴマーとの含有量の質量比が、95:5〜50:50の範囲内であることが好ましい。
(マット剤)
本実施形態では、マット剤として微粒子を長尺延伸フィルム中に含有させることができ、これによって、延伸フィルムが長尺の場合、搬送や巻き取りをしやすくすることができる。
マット剤の粒径は10nm〜0.1μmの1次粒子もしくは2次粒子であることが好ましい。1次粒子の針状比は1.1以下の略球状のマット剤が好ましく用いられる。
微粒子としては、ケイ素を含むものが好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。本実施形態に好ましい二酸化珪素の微粒子としては、たとえば、日本アエロジル(株)製のアエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されているものを挙げることができ、アエロジル200V、R972、R972V、R974、R202、R812を好ましく用いることができる。ポリマーの微粒子の例として、シリコーン樹脂、弗素樹脂およびアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、たとえば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120および同240(東芝シリコーン(株)製)を挙げることができる。
(その他の添加剤)
その他、カオリン、タルク、ケイソウ土、石英、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナ等の無機微粒子、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の塩等の熱安定剤を加えてもよい。さらに界面活性剤、剥離促進剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、油剤等も加えてもよい。
本実施形態で用いることができるセルロースエステル系樹脂フィルムは公知の方法で製膜することができ、その中でも溶液流延法や溶融流延法が好ましい。
<溶液流延法>
フィルムの着色抑制、異物欠点の抑制、ダイラインなどの光学欠点の抑制、フィルムの平面性、透明度に優れるなどの観点からは溶液流延法が好ましい。
(有機溶媒)
ドープを形成するのに有用な有機溶媒としては、たとえば、塩素系有機溶媒として、塩化メチレン、非塩素系有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることが出来、塩化メチレン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンを好ましく使用し得る。
ドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有させることが好ましい。
炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖状の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることが出来る。これらの内ドープの安定性、沸点も比較的低く、乾燥性もよいこと等からエタノールが好ましい。
(溶液流延)
溶液流延法では、樹脂および添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープをベルト状もしくはドラム状の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸または幅保持する工程、さらに乾燥する工程、仕上がった長尺延伸フィルムを巻き取る工程により行われる。
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルト若しくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。
流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤が沸騰して発泡しない温度以下に設定される。温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高すぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。
<溶融流延法>
溶融流延法は、斜め延伸後の厚み方向のリタデーションRtを小さくすることが容易となり、残留揮発性成分量が少なくフィルムの寸法安定性にも優れる等の観点から好ましい製膜法である。溶融流延法は、樹脂および可塑剤などの添加剤を含む組成物を、流動性を示す温度まで加熱溶融し、その後、溶融物を流延することをいう。溶融流延によって形成される方法は、溶融押出成形法、プレス成形法、インフレーション法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類できる。これらの中で、機械的強度および表面精度などに優れる長尺フィルムが得られる、溶融押出し法が好ましい。
上記方法により製膜された長尺フィルムは、上記した延伸装置に搬送され、斜め方向に延伸される。
長尺フィルムの厚さは、好ましくは20〜400μm、より好ましくは30〜200μmである。
本実施形態では、延伸に供給される長尺フィルムの流れ方向の厚みムラσmは、上記した斜め延伸テンター入口での長尺フィルムの引取張力を一定に保ち、配向角やリタデーションといった光学特性を安定させる観点から、0.30μm未満、好ましくは0.25μm未満、さらに好ましくは0.20μm未満であることが好ましい。長尺フィルムの流れ方向の厚みムラσmが0.30μm以上となると長尺延伸フィルムのリタデーションや配向角といった光学特性のばらつきが顕著に悪化する。
また、長尺フィルムとして、幅方向の厚み勾配を有する長尺フィルムが供給されてもよい。長尺フィルムの厚みの勾配は、後工程の延伸が完了した位置におけるフィルム厚みを最も均一なものとしうるよう、実験的に厚み勾配を様々に変化させた長尺フィルムを延伸することにより、経験的に求めることができる。長尺フィルムの厚みの勾配は、たとえば、厚みの厚い側の端部の厚みが、厚みの薄い側の端部よりも0.5〜3%程度厚くなるように調整することができる。
長尺フィルムの幅は、特に限定されないが、500〜4000mm、好ましくは1000〜2000mmとすることができる。
長尺フィルムの斜め延伸時の延伸温度での好ましい弾性率は、ヤング率で表して、0.01Mpa以上5000Mpa以下、さらに好ましくは0.1Mpa以上500Mpa以下である。弾性率が低すぎると、延伸時・延伸後の収縮率が低くなり、シワが消えにくくなり、また高すぎると、延伸時にかかる張力が大きくなり、長尺フィルムの両側縁部を保持する部分の強度を高くする必要が生じ、後工程のテンターに対する負荷が大きくなる。
長尺フィルムとしては、無配向なものを用いてもよいし、あらかじめ配向を有する長尺フィルムが供給されてもよい。また、必要であれば長尺フィルムの配向の幅手分布が弓なり状、いわゆるボウイングを成していてもよい。要は、長尺フィルムの配向状態を、後工程の延伸が完了した位置における長尺延伸フィルムの配向を所望なものとしうるよう、調整することができる。
(斜め延伸工程)
斜め延伸工程は、すでに上記したとおりである。斜め延伸工程を経た長尺延伸フィルムは、長尺フィルムの幅手方向に対して0°より大きく90°未満の方向に斜め延伸されている。延伸された長尺延伸フィルムは、後続する巻き取り工程により巻き取られる。
(巻き取り工程)
巻き取り工程は、延伸工程を経た長尺延伸フィルムをロール状に巻き取る工程である。巻き取り工程で使用される巻き取り装置は、斜め延伸装置の出口に設けられている。巻き取り装置は、延伸装置に対して所定角度で長尺延伸フィルムを引き取れるように配置することにより、長尺延伸フィルムの引き取り位置および角度を細かく制御することが可能となり、膜厚、光学値のばらつきが小さい長尺延伸フィルムを巻き取ることが可能となる。そのため、長尺延伸フィルムのシワの発生を有効に防止することができるとともに、長尺延伸フィルムの巻き取り性が向上するため、延伸フィルムを長尺で巻き取ることが可能となる。本実施形態において、延伸後の長尺フィルムの引取り張力T(N/m)は、100N/m<T<300N/m、好ましくは150N/m<T<250N/mの間で調整することが好ましい。
前記引取張力が100N/m以下では長尺延伸フィルムのたるみや皺が発生しやすく、リタデーション、配向軸の幅方向のプロファイルも悪化する傾向がある。一方、引取張力が300N/m以上となると幅方向の配向角のばらつきが悪化し、幅収率(幅方向の取り効率)を悪化させてしまう傾向がある。
また、本実施形態においては、上記引取張力Tの変動を±5%未満、好ましくは±3%未満の精度で制御することが好ましい。上記引取張力Tの変動が±5%以上であると、幅方向および流れ方向の光学特性のばらつきが大きくなる。上記引取張力Tの変動を上記範囲内に制御する方法としては、テンター出口部の最初のロールにかかる荷重、すなわち長尺延伸フィルムの張力を測定し、その値を一定とするように、一般的なPID制御方式により引取ロールの回転速度を制御する方法が挙げられる。前記荷重を測定する方法としては、ロールの軸受部にロードセルを取り付け、ロールに加わる荷重、すなわち長尺延伸フィルムの張力を測定する方法が挙げられる。ロードセルとしては、引張型や圧縮型の公知のものを用いることができる。
長尺延伸フィルムは、把持具による把持が開放され、テンター出口から排出され、順次巻芯(巻き取りロール)に巻き取られて、巻回体にすることができる。
また、テンターの把持具で把持されていた長尺延伸フィルムの両側についた把持痕を切除したり、所望の幅を得たりする目的で、長尺延伸フィルムの両端(両側)をトリミングすることが望ましい。
上記トリミングは、一度に行ってもよいし、複数回に分けて実施してもよい。
また、長尺延伸フィルムを一旦巻き取った後に、必要に応じて再度長尺延伸フィルムを繰り出して、長尺延伸フィルムの両端をトリミングし、再度巻き取って長尺延伸フィルムの巻回体としてもよい。
また、巻き取る前に、長尺延伸フィルム同士のブロッキングを防止する目的で、マスキングフィルムを重ねて同時に巻き取ってもよいし、長尺延伸フィルムの少なくとも一方、好ましくは両方の端にテープ等を張り合わせながら巻き取ってもよい。マスキングフィルムとしては、上記長尺延伸フィルムを保護することができるものであれば特に制限されず、たとえば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどが挙げられる。
<長尺延伸フィルム>
本実施形態の製造方法により得られた長尺延伸フィルムは、フィルム面内における配向角、すなわち、フィルム面内における遅相軸の方向とフィルムの巻取方向(フィルムの長尺方向)とがなす角度が、0°より大きく90°未満の範囲となる。具体的な値は用途によって適宜選択することができるが、たとえば15°、22.5°、45°、67.5°、75°などの値が挙げられる。
本実施形態の製造方法により得られた長尺延伸フィルムの面内リタデーションの値は120nm以上160nm以下であることが好ましく、さらに好ましくは130nm以上150nmである。面内リタデーションの値を上記範囲にすることにより、有機ELディスプレイ用の円偏光板用の位相差フィルムとして用いた場合に外光反射を抑制し、表示品質を良好なものにすることが可能になる。
本実施形態の製造方法により得られた長尺延伸フィルムの幅方向の配向角のばらつきは、少なくとも1300mmの幅において、0.6°未満であることが好ましく、さらに好ましくは0.4°以下であることが好ましい。配向角のばらつきが0.6°以上の長尺延伸フィルムを偏光子と貼り合せて円偏光板を得、これを有機ELディスプレイ表示装置などの自発光型画像表示装置に据え付けると、黒画像表示時に色ムラが生じることがある。
本実施形態の製造方法により得られた長尺延伸フィルムの面内リタデーションのばらつきは、幅方向の少なくとも1300mmにおいて、3nm以下であることが好ましく、さらに好ましくは1nm以下であることが好ましい。面内リタデーションのばらつきを、上記範囲にすることにより、有機ELディスプレイ用の位相差フィルムとして用いた場合に黒画面表示時の色ムラ等を抑制することが可能となる。
本実施形態の製造方法により得られた長尺延伸フィルムの面内リタデーションは、用いられる表示装置の設計によって最適値が選択される。なお、前記フィルムの面内リタデーションは、面内遅相軸方向の屈折率nxと面内で前記遅相軸に直交する方向の屈折率nyとの差に長尺延伸フィルムの平均厚みdaを乗算した値((nx−ny)×da)である。
本実施形態の製造方法により得られた長尺延伸フィルムの膜厚としては機械的強度などの観点から、たとえば、長尺延伸フィルムの膜厚は、10〜200μmであることが好ましく、より好ましくは、10〜60μmであり、さらに好ましくは、10〜35μmである。
また、幅方向の厚みムラは、巻き取りの可否に影響を与えるため、3μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましい。
<円偏光板>
本実施形態の円偏光板は、偏光板保護フィルム、偏光子、λ/4位相差フィルム(上記実施形態で得られた長尺延伸フィルム)、粘着層がこの順で積層されており、前記λ/4位相差フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸とのなす角度が45°である。
本実施形態においては、長尺状偏光板保護フィルム、長尺状偏光子、長尺状λ/4位相差フィルムがこの順で積層して形成されることが好ましい。
本実施形態の円偏光板は、偏光子としてヨウ素または二色性染料をドープしたポリビニルアルコールを延伸したものを使用し、λ/4位相差フィルム/偏光子の構成で貼合して製造することができる。
偏光子の膜厚は、5〜40μm、好ましくは5〜30μmであり、特に好ましくは5〜20μmである。
偏光板は、一般的な方法で作製することができる。アルカリ鹸化処理したλ/4位相差フィルムは、ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。
偏光板は、さらに当該偏光板の偏光板保護フィルムの反対面に剥離フィルムを貼合して構成することができる。保護フィルムおよび剥離フィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。
<有機ELディスプレイ>
また、本実施形態の長尺延伸フィルムを用いたλ/4板は、有機ELディスプレイのような自発光型表示装置の反射防止の用途に用いられる円偏光板として特に好ましく用いられる。本実施形態の長尺延伸フィルムは、幅手方向における遅相軸の方向(配向角)の均一性に優れる為、有機ELディスプレイに用いられた場合には、特に色味の均一性に優れた表示装置とすることができる。
図8に、本実施形態の有機ELディスプレイDの構成の一例を示すが、本実施形態は、これに限定されるものではない。図8は、本実施形態の有機ELディスプレイの構成を概略的に説明する模式図である。
図8に示されるように、有機ELディスプレイDは、ガラスやポリイミド等を用いた基板F1上に順に金属電極F2、発光層F3、透電極(ITO等)F4、封止層F5を有する有機EL素子上に、接着槽F6を介して、偏光子F8をλ/4位相差フィルムF7と保護フィルムF9によって挟持した円偏光板を設けて、有機ELディスプレイを構成する。該保護フィルムF9には硬化層が積層されていることが好ましい。硬化層は、有機ELディスプレイの表面のキズを防止するだけではなく、円偏光板による反りを防止する効果を有する。さらに硬化層上には、反射防止層を有していてもよい。上記有機EL素子自体の厚さは1μm程度である。
一般に、有機ELディスプレイは、透明基板上に金属電極と発光層と透明電極とを順に積層して発光体である素子(有機EL素子)を形成している。ここで、発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、たとえばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の組み合わせをもった構成が知られている。
有機ELディスプレイは、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物資を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
有機ELディスプレイにおいては、発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
このような構成の有機ELディスプレイにおいて、発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機ELディスプレイの表示面が鏡面のように見える。
本実施形態を用いて製造された長尺延伸フィルムからなる円偏光板は、このような外光反射が特に問題となる有機ELディスプレイに適している。
上記長尺延伸フィルムの製造方法の技術的特徴を下記にまとめる。
本発明の一局面による長尺延伸フィルムの製造方法は、熱可塑性樹脂からなる長尺フィルムの両端部を等速で移動する複数の把持具で把持して搬送しつつ、一方の端部を把持した把持具の搬送方向における移動速度を他方の端部を把持した把持具よりも徐々に早くすることで一方の把持具を潜航させることにより前記長尺フィルムの遅相軸の方向が長尺方向に対して0°よりも大きく90°より小さい角度となるように斜め延伸工程を少なくとも有する長尺延伸フィルムの製造方法において、先行させた前記把持具が把持する前記長尺フィルムの端部における、下記式で表されるネックイン率を、0より大きく5%以下となるよう調整することを特徴とする。
ネックイン率=(d/W)×100(%)
(式中、dはネックイン距離(mm)であり、Wは斜め延伸工程における長尺フィルムの幅方向の長さ(mm)である)
上記範囲内にネックイン率を調整することにより、直進速度差方式の斜め延伸装置を用いて長尺フィルムを延伸した場合であっても、得られる長尺延伸フィルムの光学軸のズレを抑制することができる。そのため、得られる長尺延伸フィルムを用いて有機ELディスプレイ等の非常にコントラストの高い画像表示装置に用いられる円偏光板に用いた場合であっても、色ムラの発生を抑制することが可能な長尺延伸フィルムを作製することができる。
上記製造方法において、前記ネックイン率が0より大きく3%以下となるよう調整されることが好ましい。
ネックイン率を0より大きく3%以下となるように調整することにより、得られる長尺延伸フィルムの光学軸のズレをさらに抑制することができる。そのため、得られる長尺延伸フィルムを用いて有機ELディスプレイ等の非常にコントラストの高い画像表示装置に用いられる円偏光板に用いた場合であっても、色ムラの発生を顕著に抑制することが可能な長尺延伸フィルムを作製することができる。
上記製造方法において、前記熱可塑性樹脂からなる長尺フィルムの光弾性係数が、1.0×10−11(Pa−1)以上1.0×10−10(Pa−1)以下であることが好ましい。
従来、上記のような比較的大きい範囲の光弾性率を有する長尺フィルムを直進速度差方式の斜め延伸装置を用いて斜め延伸した際には、フィルム端部のネックインによって生じた変形応力がフィルム中央部まで伝播し、特に光学軸の発現性にムラを発生し易い傾向にあった。しかし、本実施形態の製造方法によれば、ネックイン起因でフィルム端部から中央に伝播する変形応力を低減することができるため、長尺フィルムの光弾性率が1.0×10−11(Pa−1)以上1.0×10−10(Pa−1)以下の場合においても、特に光学軸のズレを抑制する効果が顕著に得られる。
上記製造方法において、前記熱可塑性樹脂がポリカーボネート系樹脂であることが好ましい。
ポリカーボネート系樹脂を使用して得られる長尺延伸フィルムは、透明性や機械強度が高く、有機ELディスプレイ等の機能を向上させ得る。
本発明の他の局面による長尺延伸フィルムは、上記長尺延伸フィルムの製造方法で作製したことを特徴とする。
この長尺延伸フィルムは、上記製造方法により製造されるため、配向軸の軸ズレが抑制されており、有機ELディスプレイ等の非常にコントラストの高い画像表示装置に用いられる円偏光板に用いた場合であっても、色ムラの発生を抑制することが可能となる。
本発明の他の局面による円偏光板は、上記長尺延伸フィルムを用いて作製したことを特徴とする。
この円偏光板は、配向軸の軸ズレが抑制された上記長尺延伸フィルムを使用して作製されているため、たとえば有機ELディスプレイ等に貼りあわせた際に、明暗コントラストを向上させる効果が優れている。
本発明の他の局面による有機ELディスプレイは、上記円偏光板を用いて作製したことを特徴とする。
この有機ELディスプレイは、配向軸の軸ズレが小さい上記長尺延伸フィルムを使用して作製されているため、明暗コントラストが特に向上されている。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<長尺フィルムの作製>
製膜工程では、以下の方法により、長尺フィルムA〜Cを作製した。
(長尺フィルムA)
長尺フィルムAは、セルロースエステル系樹脂フィルムであり、以下の製造方法により作製した。
<微粒子分散液>
微粒子(アエロジル R972V 日本アエロジル(株)製)11質量部
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。
<微粒子添加液>
以下の組成に基づいて、メチレンクロライドを入れた溶解タンクに充分攪拌しながら、上記微粒子分散液をゆっくりと添加した。さらに二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液を調製した。
メチレンクロライド 99質量部
微粒子分散液1 5質量部
<主ドープ液>
下記組成の主ドープ液を調製した。まず加圧溶解タンクにメチレンクロライドとエタノールを添加した。溶剤の入った加圧溶解タンクにセルロースアセテートを攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープ液を調製した。なお、糖エステル化合物およびエステル化合物は、以下の合成例により合成した化合物を用いた。また、化合物(B)は、以下のものを用いた。
<主ドープ液の組成>
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部
セルロースアセテートプロピオネート(アセチル基置換度1.39、プロピオニル基置換度0.50、総置換度1.89) 100質量部
化合物(B) 5.0質量部
糖エステル化合物 5.0質量部
エステル化合物 2.5質量部
微粒子添加液1 1質量部
Figure 0005333699
(糖エステル化合物の合成)
以下の工程により、糖エステル化合物を合成した。
Figure 0005333699
攪拌装置、還流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた四頭コルベンに、ショ糖34.2g(0.1モル)、無水安息香酸180.8g(0.6モル)、ピリジン379.7g(4.8モル)を仕込み、攪拌下に窒素ガス導入管から窒素ガスをバブリングさせながら昇温し、70℃で5時間エステル化反応を行った。
次に、コルベン内を4×10Pa以下に減圧し、60℃で過剰のピリジンを留去した後に、コルベン内を1.3×10Pa以下に減圧し、120℃まで昇温させ、無水安息香酸、生成した安息香酸の大部分を留去した。
最後に、分取したトルエン層に水100gを添加し、常温で30分間水洗後、トルエン層を分取し、減圧下(4×10Pa以下)、60℃でトルエンを留去させ、化合物A−1、A−2、A−3、A−4およびA−5の混合物(糖エステル化合物)を得た。
得られた混合物をHPLCおよびLC−MASSで解析したところ、A−1が1.3質量%、A−2が13.4質量%、A−3が13.1質量%、A−4が31.7質量%、A−5が40.5質量%であった。平均置換度は5.5であった。
<HPLC−MSの測定条件>
1)LC部
装置:日本分光(株)製カラムオーブン(JASCO CO−965)、ディテクター(JASCO UV−970−240nm)、ポンプ(JASCO PU−980)、デガッサ−(JASCO DG−980−50)
カラム:Inertsil ODS−3 粒子径5μm 4.6×250mm(ジーエルサイエンス(株)製)
カラム温度:40℃
流速:1ml/min
移動相:THF(1%酢酸):HO(50:50)
注入量:3μl
2)MS部
装置:LCQ DECA(Thermo Quest(株)製)
イオン化法:エレクトロスプレーイオン化(ESI)法
Spray Voltage:5kV
Capillary温度:180℃
Vaporizer温度:450℃
(エステル化合物の合成)
以下の工程により、エステル化合物を合成した。
1,2−プロピレングリコール251g、無水フタル酸278g、アジピン酸91g、安息香酸610g、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.191gを、温度計、攪拌器、緩急冷却管を備えた2Lの四つ口フラスコに仕込み、窒素気流中230℃になるまで、攪拌しながら徐々に昇温する。15時間脱水縮合反応させ、反応終了後200℃で未反応の1,2−プロピレングリコールを減圧留去することにより、エステル化合物を得た。エステル化合物は、1,2−プロピレングリコール、無水フタル酸およびアジピン酸が縮合して形成されたポリエステル鎖の末端に安息香酸のエステルを有した。エステル化合物の酸価0.10、数平均分子量450であった。
次いで、無端ベルト流延装置を用い、ステンレスベルト支持体上に均一に流延した。
無端ベルト流延装置では、上記主ドープ液をステンレススティールベルト支持体上に均一に流延した。ステンレススティールベルト支持体上で、流延(キャスト)した長尺フィルム中の残留溶媒量が75%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレススティールベルト支持体上から剥離し、多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、幅1000mmの長尺フィルムAを得た。このとき長尺フィルムAの膜厚は80μmで、光弾性係数は2.0×10−12Pa−1であった。
(長尺フィルムB)
長尺フィルムBは、ポリカーボネート系フィルムであり、以下の製造方法により作製した。
<ドープ組成物>
ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量4万、ビスフェノールA型)
100質量部
2−(2′ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)−ベンゾ
トリアゾール 1.0質量部
メチレンクロライド 430質量部
メタノール 90質量部
上記組成物を密閉容器に投入し、加圧下で80℃に保温し攪拌しながら完全に溶解して、ドープ組成物を得た。
次いで、このドープ組成物を濾過し、冷却して33℃に保ち、ステンレスバンド上に均一に流延し、33℃で5分間乾燥した。その後、65℃でリタデーション5nmになるように乾燥時間を調整し、ステンレスバンド上から剥離後、多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ膜厚80μm、光弾性係数が2.5×10−11Pa−1、幅1000mmの長尺フィルムBを得た。
(長尺フィルムC)
長尺フィルムCは、シクロオレフィン系樹脂フィルムであり、以下の製造方法により作製した。
窒素雰囲気下、脱水したシクロヘキサン500質量部に、1−ヘキセン1.2質量部、ジブチルエーテル0.15質量部、トリイソブチルアルミニウム0.30質量部を室温で反応器に入れ混合した後、45℃に保ちながら、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(ジシクロペンタジエン、以下、DCPと略記)20質量部、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン(以下、MTFと略記)140質量部および8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エン(以下、MTDと略記)40質量部からなるノルボルネン系モノマー混合物と、六塩化タングステン(0.7%トルエン溶液)40質量部とを、2時間かけて連続的に添加し重合した。重合溶液にブチルグリシジルエーテル1.06質量部とイソプロピルアルコール0.52質量部を加えて重合触媒を不活性化し重合反応を停止させた。
次いで、得られた開環重合体を含有する反応溶液100質量部に対して、シクロヘキサン270質量部を加え、さらに水素化触媒としてニッケル−アルミナ触媒(日揮触媒化成(株)製)5質量部を加え、水素により5MPaに加圧して攪拌しながら温度200℃まで加温した後、4時間反応させ、DCP/MTF/MTD開環重合体水素化ポリマーを20%含有する反応溶液を得た。
濾過により水素化触媒を除去した後、軟質重合体((株)クラレ製;セプトン2002)および酸化防止剤(チバスペシャリティ・ケミカルズ(株)製;イルガノックス1010)を、得られた溶液にそれぞれ添加して溶解させた(いずれも重合体100質量部あたり0.1質量部)。次いで、溶液から、溶媒であるシクロヘキサンおよびその他の揮発成分を、円筒型濃縮乾燥器((株)日立製作所製)を用いて除去し、水素化ポリマーを溶融状態で押出機からストランド状に押出し、冷却後ペレット化して回収した。重合体中の各ノルボルネン系モノマーの共重合比率を、重合後の溶液中の残留ノルボルネン類組成(ガスクロマトグラフィー法による)から計算したところ、DCP/MTF/MTD=10/70/20でほぼ仕込組成に等しかった。この開環重合体水素添加物の、重量平均分子量(Mw)は31,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.5、水素添加率は99.9%、Tgは134℃であった。
得られた開環重合体水素添加物のペレットを、空気を流通させた熱風乾燥器を用いて70℃で2時間乾燥して水分を除去した。次いで、前記ペレットを、コートハンガータイプのTダイを有する短軸押出機(三菱重工業(株)製:スクリュー径90mm、Tダイリップ部材質は炭化タングステン、溶融樹脂との剥離強度44N)を用いて溶融押出成形して厚み80μmのシクロオレフィンポリマーフィルムを製造した。押出成形は、クラス10,000以下のクリーンルーム内で、溶融樹脂温度240℃、Tダイ温度240℃の成形条件にて幅1000mm、光弾性係数5.0×10−12Pa−1の長尺フィルムCを得た。
上記長尺フィルムA〜Cの光弾性係数の測定方法としては、以下のような手順で実施した。
得られた長尺フィルムA〜Cを30mm×50mmのサンプルサイズに切り出し、大塚電子(株)製のセルギャップ検査装置(RETS−1200、測定径:直径5mm、光源:589nm)を用い、フィルム厚みがd(nm)であるサンプルを支持具に挟み長手方向に9.81×10の応力σ(Pa)をかけた。この応力下での位相差R1(nm)を測定した。応力をかける前の位相差をR0(nm)とし下記式に代入して光弾性係数Cσ(Pa−1)を求めた。
Cσ(Pa−1)=(R1−R0)/(σ×d)
<長尺延伸フィルムの作製>
図2に示される斜め延伸装置Tを用いて、長尺フィルムA〜Cを延伸し、ロール状に巻き取った。長尺フィルムFの搬送速度は20m/分とした。P1からP2において把持具C1を加速させることにより、把持具C1を把持具C2よりも先行させた。また、P3からP4において把持具C2を加速させ、把持具C1と把持具C2とが等速で長尺延伸フィルムを解放するように設定した。延伸装置から排出された長尺延伸フィルムの端部トリミング処理を施し、最終的な長尺延伸フィルムのフィルム幅が1600mmとなるように調整した。その後、出口に設けられた巻き取り装置により、引取り張力200(N/m)でロール状に巻き取った。
(実施例1)
上記斜め延伸装置Tを使用して、把持具C1および把持具C2の加速度を調整して斜め方向に長尺フィルムAを延伸した。加速前の把持具C1および把持具C2の走行速度は、10m/分とし、加速後の把持具C1の走行速度は10m/分および把持具C2の走行速度は12m/分とした。テンターオーブンの温度条件としては、予熱ゾーンは180℃、延伸ゾーンは180℃、熱固定ゾーンは177℃、冷却ゾーンは90℃に調整した。延伸ゾーンでは、把持具部の走行部分に冷却風を当てることにより、フィルム端部を170℃に調整した。得られた長尺延伸フィルムの面内リタデーションReは137nmであり、配向角θは45°であり、ネックイン率は1%であった。また、このときの長尺延伸フィルムの膜厚は35μmであった。
次いで、以下の方法により、得られた長尺延伸フィルムを使用して、有機ELディスプレイを作製した。
まず、厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。
これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し偏光子を得た。
上記により作製した長尺延伸フィルムを、ポリビニルアルコール5%水溶液を粘着剤として、上記偏光子の片面に貼合した。その際、偏光子の吸収軸とλ/4位相差フィルムの遅相軸が45°の向きになるように貼合した。偏光子のもう一方の面に、コニカミノルタタックフィルムKC6UA(コニカミノルタオプト(株)製)を、同様にアルカリケン化処理して貼り合わせて円偏光板を作製した。
ガラス基板上にスパッタリング法によって厚さ80nmのクロムからなる反射電極、反射電極上に陽極としてITO(酸化インジウムスズ)をスパッタリング法で厚さ40nmに製膜し、陽極上に正孔輸送層としてポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)をスパッタリング法で厚さ80nm、正孔輸送層上にシャドーマスクを用いて、RGBそれぞれの発光層を100nmの膜厚で形成した。
赤色発光層としては、ホストとしてトリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム(Alq)と発光性化合物[4−(dicyanomethylene)−2−methyl−6(p−dimethylaminostyryl)−4H−pyran](DCM)とを共蒸着(質量比99:1)して100nmの厚さで形成した。緑色発光層としては、ホストとしてAlqと、発光性化合物クマリン6とを共蒸着(質量比99:1)して100nmの厚さで形成した。青色発光層としては、ホストとして、以下に示すBAlqと発光性化合物Peryleneとを共蒸着(質量比90:10)して厚さ100nmで形成した。
Figure 0005333699
さらに、発光層上に電子が効率的に注入できるような仕事関数の低い第1の陰極としてカルシウムを真空蒸着法により4nmの厚さで製膜し、第1の陰極上に第2の陰極としてアルミニウムを2nmの厚さで製膜した。ここで、第2の陰極として用いたアルミニウムはその上に形成される透明電極をスパッタリング法により製膜する際に、第1の陰極であるカルシウムが化学的変質をすることを防ぐ役割がある。以上のようにして、有機発光層を得た。次に、陰極上にスパッタリング法によって透明導電膜を80nmの厚さで製膜した。ここで透明導電膜としてはITOを用いた。さらに、透明導電膜上にCVD法(化学蒸着法)によって窒化珪素を200nm製膜することで、絶縁膜とした。
得られた有機エレクトロルミネッセンス表示装置の絶縁膜上に、円偏光板1を、λ/4位相差フィルムの面が絶縁膜の面に向くように粘着剤で固定化し有機ELディスプレイを作製した。
(実施例2)
上記斜め延伸装置Tを使用して、把持具C1および把持具C2の加速度を調整して斜め方向に長尺フィルムAを延伸した。加速前の把持具C1および把持具C2の走行速度は、10m/分とし、加速後の把持具C1の走行速度は10m/分および把持具C2の走行速度は12m/分とした。テンターオーブンの温度条件としては、予熱ゾーンは160℃、延伸ゾーンは160℃、熱固定ゾーンは157℃、冷却ゾーンは80℃に調整した。延伸ゾーンでは、把持具部の走行部分に冷却風を当てることにより、フィルム端部を155℃に調整した。得られた長尺延伸フィルムの面内リタデーションReは、138nmであり、配向角θは45°であり、ネックイン率は3%であった。また、このときの長尺延伸フィルムの膜厚は35μmであった。また、実施例1と同様に、有機ELディスプレイを作製した。
(実施例3)
上記斜め延伸装置Tを使用して、把持具C1および把持具C2の加速度を調整して斜め方向に長尺フィルムAを延伸した。加速前の把持具C1および把持具C2の走行速度は、10m/分とし、加速後の把持具C1の走行速度は10m/分および把持具C2の走行速度は12m/分とした。テンターオーブンの温度条件としては、予熱ゾーンは140℃、延伸ゾーンは140℃、熱固定ゾーンは137℃、冷却ゾーンは80℃に調整した。延伸ゾーンでは、把持具部の走行部分に冷却風を当てることにより、フィルム端部を138℃に調整した。得られた長尺延伸フィルムの面内リタデーションReは、140nmであり、配向角θは45°であり、ネックイン率は5%あった。また、このときの長尺延伸フィルムの膜厚は35μmであった。また、実施例1と同様に、有機ELディスプレイを作製した。
(実施例4)
上記斜め延伸装置Tを使用して、把持具C1および把持具C2の加速度を調整して斜め方向に長尺フィルムAを延伸した。加速前の把持具C1および把持具C2の走行速度は、10m/分とし、加速後の把持具C1の走行速度は10m/分および把持具C2の走行速度は11m/分とした他は、実施例1と同様にして長尺延伸フィルムを得た。得られた長尺延伸フィルムの面内リタデーションReは、137nmであり、配向角θは20°であり、ネックイン率は1%であった。また、このときの長尺延伸フィルムの膜厚は35μmであった。また、実施例1と同様に、有機ELディスプレイを作製した。
(実施例5)
上記斜め延伸装置Tを使用して、把持具C1および把持具C2の加速度を調整して斜め方向に長尺フィルムAを延伸した。加速前の把持具C1および把持具C2の走行速度は、10m/分とし、加速後の把持具C1の走行速度は10m/分および把持具C2の走行速度は11m/分とした他は、実施例2と同様にして長尺延伸フィルムを得た。得られた長尺延伸フィルムの面内リタデーションReは、138nmであり、配向角θは20°であり、ネックイン率は3%であった。また、このときの長尺延伸フィルムの膜厚は35μmであった。また、実施例1と同様に、有機ELディスプレイを作製した。
(実施例6)
上記斜め延伸装置Tを使用して、把持具C1および把持具C2の加速度を調整して斜め方向に長尺フィルムAを延伸した。加速前の把持具C1および把持具C2の走行速度は、10m/分とし、加速後の把持具C1の走行速度は10m/分および把持具C2の走行速度は11m/分とした他は、実施例3と同様にして長尺延伸フィルムを得た。得られた長尺延伸フィルムの面内リタデーションReは、140nmであり、配向角θは20°であり、ネックイン率は5%であった。また、このときの長尺延伸フィルムの膜厚は35μmであった。また、実施例1と同様に、有機ELディスプレイを作製した。
(実施例7)
上記斜め延伸装置Tを使用して、把持具C1および把持具C2の加速度を調整して斜め方向に長尺フィルムAを延伸した。加速前の把持具C1および把持具C2の走行速度は、10m/分とし、加速後の把持具C1の走行速度は10m/分および把持具C2の走行速度は15m/分とした他は、実施例1と同様にして長尺延伸フィルムを得た。得られた長尺延伸フィルムの面内リタデーションReは、137nmであり、配向角θは70°であり、ネックイン率は1%であった。また、このときの長尺延伸フィルムの膜厚は35μmであった。また、実施例1と同様に、有機ELディスプレイを作製した。
(実施例8)
上記斜め延伸装置Tを使用して、把持具C1および把持具C2の加速度を調整して斜め方向に長尺フィルムAを延伸した。加速前の把持具C1および把持具C2の走行速度は210m/分とし、加速後の把持具C1の走行速度は10m/分および把持具C2の走行速度は15m/分とした他は、実施例2と同様にして長尺延伸フィルムを得た。得られた長尺延伸フィルムの面内リタデーションReは、138nmであり、配向角θは70°であり、ネックイン率は3%であった。また、このときの長尺延伸フィルムの膜厚は35μmであった。また、実施例1と同様に、有機ELディスプレイを作製した。
(実施例9)
上記斜め延伸装置Tを使用して、把持具C1および把持具C2の加速度を調整して斜め方向に長尺フィルムAを延伸した。加速前の把持具C1および把持具C2の走行速度は、10m/分とし、加速後の把持具C1の走行速度は10m/分および把持具C2の走行速度は15m/分とした他は、実施例3と同様にして長尺延伸フィルムを得た。得られた長尺延伸フィルムの面内リタデーションReは、140nmであり、配向角θは70°であり、ネックイン率は5%であった。また、このときの長尺延伸フィルムの膜厚は35μmであった。また、実施例1と同様に、有機ELディスプレイを作製した。
(実施例10〜実施例18)
長尺延伸フィルムBを使用した以外は、実施例1〜9と同様の方法により長尺延伸フィルムおよび有機ELディスプレイを作製した。
(実施例19〜27)
長尺延伸フィルムCを使用した以外は、実施例1〜9と同様の方法により長尺延伸フィルムおよび有機ELディスプレイを作製した。
(比較例1)
上記斜め延伸装置Tを利用して、斜め延伸装置内の延伸ゾーンにおいて、フィルム端部に冷風を吹き付ける等の処理を行わなかったほかは、実施例1と同様の方法より長尺フィルムAを斜め延伸し、長尺延伸フィルムおよび有機ELディスプレイを作製した。得られた長尺延伸フィルムの面内リタデーションReは、137nmであり、配向角θは44°であり、ネックイン率は7%であった。また、実施例1と同様に、有機ELディスプレイを作製した。
(比較例2)
上記斜め延伸装置Tを利用して、斜め延伸装置内の延伸ゾーンにおいて、フィルム端部に冷風を吹き付ける等の処理を行わなかったほかは、実施例10と同様の方法より長尺フィルムBを斜め延伸し、長尺延伸フィルムおよび有機ELディスプレイを作製した。このとき得られた長尺延伸フィルムの面内リタデーションReは、138nmであり、配向角θは44°であり、ネックイン率は7%であった。また、実施例10と同様に、有機ELディスプレイを作製した。
(比較例3)
上記斜め延伸装置Tを利用して、斜め延伸装置内の延伸ゾーンにおいて、フィルム端部に冷風を吹き付ける等の処理を行わなかったほかは、実施例19と同様の方法より長尺フィルムCを斜め延伸し、長尺延伸フィルムおよび有機ELディスプレイを作製した。得られた長尺延伸フィルムの面内リタデーションReは、140nmであり、配向角θは43°であり、ネックイン率は7%であった。また、実施例19と同様に、有機ELディスプレイを作製した。
(参考例1)
図9に示される屈曲式の斜め延伸装置を用いて、長尺フィルムAを延伸して長尺延伸フィルムを作製した。図9は、本参考例で使用する延伸装置の構成を概略的に説明する模式図である。それぞれの把持具走行支持具Riおよび把持具走行支持具Roを走行する把持具Ciおよび把持具Coの走行速度は、10m/分とした。延伸装置から排出された長尺延伸フィルムの端部トリミング処理を施し、最終的な長尺延伸フィルムのフィルム幅が1600mmとなるように調整した。その後、出口に設けられた巻き取り装置により、引取り張力200(N/m)でロール状に巻き取った。得られた長尺延伸フィルムの面内リタデーションReは、137nmであり、配向角θは44°であり、ネックイン率は1%であった。また、実施例1と同様に、有機ELディスプレイを作製した。
<評価>
得られた長尺延伸フィルムについて、以下の評価を行った。
(光学軸の軸ズレ)
作成した長尺延伸フィルムの配向角を位相差測定装置(王子計測(株)製、KOBRA−WXK)を用いて測定した。評価方法としては、長尺延伸フィルムのフィルム幅方向に長尺延伸フィルムの50mmの間隔で測定を行い、全データの平均をとった。また、全測定値の最大値と最小値との差を光学軸の軸ズレとして評価した。
(評価基準)
(配向角の幅手ばらつきの評価基準)
◎:光学軸の軸ズレが0.4°未満であった。
○:光学軸の軸ズレが0.4°以上0.6°未満であった。
△:光学軸の軸ズレが0.6°以上1.0°未満であった。
×:光学軸の軸ズレが1.0°以上であった。
(面内リタデーションおよび面内リタデーションの幅手分布)
作成した長尺延伸フィルムの面内リタデーションを位相差測定装置(王子計測(株)製、KOBRA−WXK)を用いて測定した。評価方法としては、長尺延伸フィルムのフィルム幅方向に長尺延伸フィルムの50mmの間隔で測定を行い、評価した。
得られた有機ELディスプレイについて、以下の評価を行った。
(色ムラ)
上記作成した有機ELディスプレイにおいて、黒表示した際のディスプレイ全面における色ムラを、以下の基準で目視評価した。
(色ムラの評価基準)
◎:作成した有機ELディスプレイにおいて、箇所ごとの色味に違いは見られなかった。
○:作成した有機ELディスプレイにおいて、箇所ごとに色味に違いが見られるが使用に際して問題がない程度であった。
△:作成した有機ELディスプレイにおいて、箇所ごとに色味に違いが見られ、製品として使用できない程度であった。
×:作成した有機ELディスプレイにおいて、箇所ごとに色味違いが大きく、製品として使用できない程度であった。
上記各種長尺延伸フィルムと有機ELディスプレイの概要と各種評価の結果をまとめて表1〜表5に示す。
Figure 0005333699
Figure 0005333699
Figure 0005333699
Figure 0005333699
Figure 0005333699
表1〜3に示されるように、実施例1〜27で作製した長尺延伸フィルムは、光学軸の軸ズレが0.6°未満に抑制され、有機ELディスプレイを作製した場合に色味が良好であった。特に、ネックイン率が1%または3%となるよう調整した実施例では、光学軸の軸ズレが0.4°未満に抑制され、有機ELディスプレイを作製した場合に色味が特に良好であった。
一方、表4に示されるように、ネックイン率が7%となるよう調整した比較例1〜3の長尺延伸フィルムでは、光学軸の軸ズレが0.6°以上となり、有機ELディスプレイを作製した場合に色味に違いが見られた。特に、長尺フィルムの光弾性係数が2.5×10−11(Pa−1)であるポリカーボネート系樹脂からなる長尺フィルムBを用いた比較例2の長尺延伸フィルムでは、光学軸の軸ズレが1.0°以上となり、有機ELディスプレイを作製した場合に色味に大きな違いが見られた。

Claims (4)

  1. 熱可塑性樹脂からなる長尺フィルムの両端部を、移動する複数の把持具で把持して搬送し、一部の区間において一方の端部を把持した把持具の搬送方向における移動速度を他方の端部を把持した把持具よりも徐々に早くすることで一方の把持具を先行させることにより前記長尺フィルムの遅相軸の方向が長尺方向に対して0°よりも大きく90°より小さい角度となるように斜め延伸する工程を少なくとも有する長尺延伸フィルムの製造方法において、
    先行させた前記把持具が把持する前記長尺フィルムの端部における、下記式で表されるネックイン率を、0より大きく5%以下となるよう調整する、長尺延伸フィルムの製造方法。
    ネックイン率=(d/W)×100(%)
    (式中、dはネックイン距離(mm)であり、Wは斜め延伸工程における長尺フィルムの幅方向の長さ(mm)である)
  2. 前記ネックイン率が0より大きく3%以下となるよう調整される、請求項1記載の長尺延伸フィルムの製造方法。
  3. 前記熱可塑性樹脂からなる長尺フィルムの光弾性係数が、1.0×10−11Pa−1以上1.0×10−10Pa−1以下である、請求項1または2記載の長尺延伸フィルムの製造方法
  4. 前記熱可塑性樹脂がポリカーボネート系樹脂である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の長尺延伸フィルムの製造方法。
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