JP5330811B2 - ポリカーボネートおよび光学材料 - Google Patents
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Description
これらの問題を解決するため、溶融法において押出機に低沸点化合物を添加する方法(特開平09−5936号公報)等が提案されているが、未だ十分とはいえない。また、固相法においては、これらについての提案及び報告は成されていない。
[1] ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応によって得られたポリカーボネートであって、生成ポリカーボネート中のアセトン可溶分含量が2.0重量%以下であるポリカーボネート。
[2] 予備重合によりポリカーボネートプレポリマーを調製した後、該プレポリマーを薄膜溶融状態でエステル交換反応によって重合させて得られたポリカーボネートであって、生成ポリカーボネート中のアセトン可溶分含量が3.0重量%以下であるポリカーボネート。
[3] 予備重合によりポリカーボネートプレポリマーを調製した後、該プレポリマーを固相状態又は膨潤固相状態でエステル交換反応によって重合させて得られたポリカーボネートであって、生成ポリカーボネート中のアセトン可溶分含量が3.5重量%以下であるポリカーボネート。
[4] 予備重合によりポリカーボネートプレポリマーを調製した後、該プレポリマーを固相状態又は膨潤固相状態でエステル交換反応によって重合させることにより得られたポリカーボネートであって、生成ポリカーボネート中の水酸基末端分率が2モル%未満であるポリカーボネート。
[5] 予備重合によりポリカーボネートプレポリマーを調製した後、該プレポリマーを薄膜溶融状態でエステル交換反応によって重合させることにより得られたポリカーボネートであって、生成ポリカーボネート中の水酸基末端分率が15モル%未満であるポリカーボネート。
[6] 予備重合によりポリカーボネートプレポリマーを調製した後、該プレポリマーを固相状態、膨潤固相状態又は薄膜溶融状態でエステル交換反応によって重合させることにより得られたポリカーボネートであって、生成ポリカーボネート中の環状オリゴマー含有量が0.45重量%以下であるポリカーボネート。
[7] (A)芳香族ジヒドロキシ化合物、(B)炭酸ジエステル及び(C)一価ヒドロキシ化合物を加熱して予備重合することによりポリカーボネートプレポリマーを調製する上記[3]または[6]に記載のポリカーボネート。
[8] (A)芳香族ジヒドロキシ化合物、(B)炭酸ジエステル及び(C)一価ヒドロキシ化合物を加熱して予備重合することによりポリカーボネートプレポリマーを調製した後、該プレポリマーを固相状態又は膨潤固相状態でエステル交換反応によって重合させることにより得られたポリカーボネートであって、生成ポリカーボネート中の一価ヒドロキシ化合物に由来する末端分率が50モル%以上であるポリカーボネート。
[9] (A)芳香族ジヒドロキシ化合物、(B)炭酸ジエステル及び(C)一価ヒドロキシ化合物を加熱して予備重合することによりポリカーボネートプレポリマーを調製した後、該プレポリマーを固相状態又は膨潤固相状態でエステル交換反応によって重合させることにより得られたポリカーボネートであって、生成ポリカーボネート中の水酸基末端分率が15モル%未満であるポリカーボネート。
[10] 上記[1]〜[9]のいずれかに記載されたポリカーボネートからなる光学材料。
[11] (A)芳香族ジヒドロキシ化合物、(B)炭酸ジエステル及び(C)三個以上の官能基を有する多官能性有機化合物を加熱して予備重合したポリカーボネートプレポリマーを調製する上記[3]または[6]に記載のポリカーボネート。
[12] (A)芳香族ジヒドロキシ化合物、(B)炭酸ジエステル及び(C)三個以上の官能基を有する多官能性有機化合物を加熱して予備重合することによりポリカーボネートプレポリマーを調製した後、該プレポリマーを固相状態又は膨潤固相状態でエステル交換反応によって重合させることにより得られたポリカーボネートであって、生成ポリカーボネート中の水酸基末端分率が15モル%未満であるポリカーボネート。
[13] 上記[11]または[12]に記載されたポリカーボネートからなるブロー成形材料。
(1)予備重合によりポリカーボネートプレポリマーを調製した後、該プレポリマーを固相状態、膨潤固相状態又は薄膜溶融状態でエステル交換反応によって重合させて得られたポリカーボネートであって、生成ポリカーボネート中のジヒドロキシ化合物含量,炭酸ジエステル含量及びモノヒドロキシ化合物含量の合計が100ppm未満である。生成ポリマー中のジヒドロキシ化合物含量,炭酸ジエステル含量及びモノヒドロキシ化合物含量の測定については、以下の高速液体クロマトグラフィでの測定によるものである。即ち、ポリカーボネート2グラムをジクロロメタン50ミリリットルに溶かし、これにアセトン250ミリリットルを少しずつ加え、ポリマーを析出させる。これを吸引ろ過した後、ろ液にアセトニトリル50ミリリットルを加え、約10ミリリットルになるまで濃縮し、この濃縮液を50ミリリットルメスフラスコに入れ、アセトニトリル/水=1/1で定容する。これをクロマトディスク13Pを用いてろ過し、高速液体クロマトグラフィにより測定する。測定条件は次のとおりである。即ち、カラム(東ソー社製 TSKgel ODS−80Ts)を用い、移動相として、アセトニトリル水溶液(A液)(アセトニトリル:水=3:7(容量)とアセトニトリル水溶液(B液)を、A液とB液の比率を100:0(容量)から0:100に35分間かけて変えながら、流速1.0ミリリットル/分、注入量20マイクロリットルとし、検出は217nmの波長を用いて行なった。
OH末端分率=(Ha/2)/(Ha/2 + He/2)
(式中、Haは末端フェニル基におけるベンゼン環のOH基に対しオルト位にある2個の水素に由来するピークの積算比を示し、Heは末端フェニルカーボネート基におけるベンゼン環のCOOに対しメタ位にある2個の水素に由来するピークの積算比を示す。)
(1)原料
例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物,脂肪族ジヒドロキシ化合物が挙げられ、これらから選択される少なくとも一種の化合物である。
この(A)成分の一つとして用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物は、一般式(I)
上記一般式(I)において、R3 及びR4 は、それぞれフッ素、塩素、臭素、ヨウ素のハロゲン原子又は炭素数1〜8のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘブチル基、オクチル基などを示す。R3 及びR4 はたがいに同一であっても異なっていてもよい。また、R3 が複数ある場合は複数のR3 は同一でも異なっていてもよく、R4 が複数ある場合は複数のR4 は同一でも異なっていてもよい。m及びnは、それぞれ0〜4の整数である。そして、Zは単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、又は−S−、−SO−、−SO2−、−O−、−CO−結合若しくは式(II)、(II')
そして、ジヒドロキシ化合物のモノ炭酸エステル類としては、例えば、ビスフェノールAモノメチル炭酸エステル、ビスフェノールAモノエチル炭酸エステル、ビスフェノールAモノプロピル炭酸エステル、ビスフェノールAモノフェニル炭酸エステルなどを挙げることができる。
I)炭酸ジエステル各種のものが用いられる。例えば、炭酸ジアリール化合物,炭酸ジアルキル化合物又は炭酸アルキルアリール化合物から選択される少なくとも一種の化合物である。
この(B)成分の一つとして用いられる炭酸ジアリール化合物は、一般式(III)
予備重合によりポリカーボネートプレポリマーを調製する際においては、(B)成分としてホスゲンを用いることもできる。
本発明のポリカーボネートの原料等として、必要に応じて、末端停止剤、分岐剤、酸化防止剤を反応系に添加してもよい。
I)末端停止剤
末端停止剤としては、例えば、o−n−ブチルフェノール;m−n−ブチルフェノール;p−n−ブチルフェノール;o−イソブチルフェノール;m−イソブチルフェノール;p−イソブチルフェノール;o−t−ブチルフェノール;m−t−ブチルフェノール;p−t−ブチルフェノール;o−n−ペンチルフェノール;m−n−ペンチルフェノール;p−n−ペンチルフェノール;o−n−ヘキシルフェノール;m−n−ヘキシルフェノール;p−n−ヘキシルフェノール;o−シクロヘキシルフェノール;m−シクロヘキシルフェノール;p−シクロヘキシルフェノール;o−フェニルフェノール;m−フェニルフェノール;p−フェニルフェノール;o−n−ノニルフェノール;m−n−ノニルフェノール;p−n−ノニルフェノール;o−クミルフェノール;m−クミルフェノール;p−クミルフェノール;o−ナフチルフェノール;m−ナフチルフェノール;p−ナフチルフェノール;2,6−ジ−t−ブチルフェノール;2,5−ジ−t−ブチルフェノール;2,4−ジ−t−ブチルフェノール;3,5−ジ−t−ブチルフェノール;2,5−ジクミルフェノール;3,5−ジクミルフェノール;p−tert−ブチルフェノール;p−クミルフェノール;p−フェニルフェノール;o,m,p−t−オクチルフェノール;o,m,p−n−オクチルフェノール等の一価フェノールが挙げられる。これらの一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。なお、これらの中にあって、特に2,6−ジ−t−ブチルフェノール;2,5−ジ−t−ブチルフェノール;2,4−ジ−t−ブチルフェノール;3,5−ジ−t−ブチルフェノール;2,5−ジクミルフェノール;3,5−ジクミルフェノール;p−tert−ブチルフェノール;p−クミルフェノール;p−t−オクチルフェノール;p−フェニルフェノールが好ましい。
分岐剤としては、三個以上の官能基を有する多官能性有機化合物が用いられる。具体的には、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、ホルミル基、酸ハライド基、ハロホーメート基などの官能基を一化合物中に三個以上有するもので、例えばフロログルシン;メリット酸;トリメリット酸;トリメリット酸クロリド;無水トリメリット酸;没食子酸;没食子酸n−プロピル;プロトカテク酸;ピロメリット酸;ピロメリット酸第二無水物;α−レゾルシン酸;β−レゾルシン酸;レゾルシンアルデヒド;トリメリチルクロリド;トリメチルトリクロリド;4−クロロホルミルフタル酸無水物;ベンゾフェノンテトラカルボン酸;2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン;2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン;2,4,4’−トリヒドロキシフェニルエーテル;2,2’,4,4’−テトラヒドロキシフェニルエーテル;2,4,4’−トリヒドロキシジフェニル−2−プロパン;2,2’−ビス(2,4−ジヒドロキシ)プロパン;2,2’,4,4’−テトラヒドロキシジフェニルメタン;2,4,4’−トリヒドロキシジフェニルメタン;1−〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α’,α’−ビス(4''−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン;α,α’,α''−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼンン;2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール;4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン−2;4,6−ジメチル−2,4,6−ジメチル−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン−2;1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゼン;1,1,1−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)−エタン;2,2−ビス〔4,4−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕−プロパン;2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−5’−イソプロピルベンジル)−4−イソプロピルフェノール;ビス〔2−ヒドロキシ−3−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−5−メチルフェニル〕メタン;ビス〔2−ヒドロキシ−3−(2’−ヒドロキシ−5’−イソプロピルベンジル)−5−メチルフェニル〕メタン;テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)メタン;トリス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン;2’,4,7−トリヒドロキシフラバン;2,4,4−トリメチル−2’,4’−ジヒドロキシフェニルイソプロピル)ベンゼン;トリス(4’−ヒドロキシアリール)−アミル−s−トリアジン;1−〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕−3−〔α’,α’−ビス(4''−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン;イサチンビス(o−クレゾール);α,α,α’,α’−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン;α,α,α’,α’−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン;α,α,α’,α’−テトラキス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン;α,α,α’,α’−テトラキス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン;α,α,α’,α’−テトラキス(2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン;α,α’−ジメチル−α,α,α’,α’−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン等を挙げることが出来る。これらの分岐剤は、それぞれ単独でも二種以上組み合わせて用いてもよい。
酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤が好ましく、例えばトリアルキルホスファイト、トリシクロアルキルホスファイト、トリアリールホスファイト、モノアルキルジアリールホスファイト、トリアルキルホスフェート、トリシクロアルキルホスフェート、トリアリールホスフェートなどが挙げられる。
予備重合においては、原料である上記(A)成分のジヒドロキシ化合物及び(B)成分の炭酸ジエステル又はホスゲン、必要に応じ(C)成分の末端停止剤あるいは分岐剤等を用いてプレポリマーを調製する。この際、重合触媒として、好ましくは含窒素有機塩基性化合物又は含リン塩基性化合物から選ばれた少なくとも1種が用いられる。
I)予備重合の方法
(イ)ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル、必要に応じ末端停止剤あるいは分岐剤等を加熱下に処理することによって、芳香族モノヒドロキシ化合物を脱離させながら、プレポリマーを調製することができる。この予備重合工程で製造されるプレポリマーの重合平均分子量は、好ましくは2000〜20000の範囲で選ばれる。この予備重合反応は、溶融状態で実施されるのが好ましい。この場合、例えば、ジフェニルエーテル、ハロゲン化ジフェニルエーテル、ベンゾフェノン、ポリフェニルエーテル、ジクロロベンゼン、メチルナフタレン等の芳香族化合物、二酸化炭素、一酸化二窒素、窒素などのガス、クロロフロロ炭化水素、エタン、プロパン等のアルカン、シクロヘキサン、トリシクロ(5,2,10)デカン、シクロオクタン、シクロデカン等のシクロアルカン、エテン、プロペンのようなアルケン等の反応に不活性な溶媒を用いてもよいが、無溶媒で行なってもよい。ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの使用割合(仕込比率)については、用いられる種類や反応温度、反応圧力等の反応条件によっても異なるが、該炭酸ジエステルは、ジヒドロキシ化合物1モルに対して、通常0.9〜2.5モル、好ましくは0.95〜2.0モル、より好ましくは0.98〜1.5モルの割合で用いられる。なお、一価のヒドロキシ化合物である末端停止剤あるいは三個以上の官能基を有する多官能性有機化合物である分岐剤を使用する場合はそれぞれ、前者は、ジヒドロキシ化合物1モルに対して、通常0.001〜20モル、好ましくは0.0025〜15モル、より好ましくは0.005〜10モルの割合で用いられ、後者は、同様にジヒドロキシ化合物1モルに対して、通常0.001〜20モル、好ましくは0.0025〜15モル、より好ましくは0.005〜10モルの割合で用いられる。
反応温度、反応圧力及び反応時間は、用いる原料や触媒の種類や量、得られるプレポリマーの必要重合量、他の反応条件などによって異なるが、好ましくは50〜350℃、より好ましくは100〜320℃、さらには150〜280℃の温度で、好ましくは0.1Torr〜5kg/cm2 Gの圧力で、好ましくは1分〜100時間、より好ましくは2分〜10時間の範囲で選ばれる。
触媒として、含窒素有機塩基性化合物を用いることが好ましい。この含窒素有機塩基性化合物としては、特に制限はなく、脂肪族第三級アミン化合物、芳香族第三級アミン化合物、含窒素複素環化合物などが挙げられる。さらに、一般式(IX)
(NR11 4)+ ( X1 )―・・・(IX)
で表される四級アンモニウム塩を挙げることができる。
上記一般式(IX) において、R11 は有機基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロヘキシル基などのアルキル基やシクロアルキル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビフェニル基などのアリール基、ベンジル基などのアリールアルキル基などを示す。四つのR1 はたがいに同一でも異なっていてもよく、また二つのR11 が結合して環構造を形成していてもよい。X1 はハロゲン原子,水酸基又はBR4 を示す。
ここで、Rは水素原子又はアルキル基やアリール基などの炭化水素基を示し、四つのRはたがいに同一でも異なっていてもよい。
このような含窒素有機塩基性化合物は一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。含窒素有機塩基性化合物は好ましくは10-2 〜10-8 モル、より好ましくは10-3 〜10-7 モル用いるのが望ましい。含窒素有機塩基性化合物の使用量が10-8 モル未満では反応初期での触媒活性が不充分となり、また10-2 モルを超えるとコストアップに繋がり好ましくない。
プレポリマーを結晶化させる方法については、特に制限はないが、溶媒処理法及び加熱結晶化法が好ましく用いられる。前者の溶媒処理法は、クロロメタン、塩化メチレン、クロロホルム等の適当な溶媒を用いてプレポリマーを結晶化させる方法である。用いられる溶媒の量は、種々条件によって異なるが、好ましくはプレポリマーに対して重量基準で0.05〜100倍、好ましくは0.1〜50倍の範囲で選ばれる。
一方、加熱結晶化法は、該プレポリマーを目的とする芳香族ポリカーボネートのガラス転移温度以上で、且つ該プレポリマーが溶融し始める温度未満の範囲の温度で加熱することによって、結晶化させる方法である。この加熱結晶化を行う温度Tc(℃)については、目的とする芳香族ポリカーボネートのガラス転移温度以上で、且つ該プレポリマーの溶融温度Tm(℃)未満であればよく、特に制限はない。
本発明にかかるポリカーボネートを製造するにおいては、ポリカーボネートプレポリマーを調製した後、重合触媒として四級ホスホニウム塩を用いて、該プレポリマーを固相状態、膨潤固相状態又は薄膜溶融状態で重合させるのが好ましい。
I)四級ホスホニウム塩
四級ホスホニウム塩としては、特に制限はなく、各種のものがあるが、例えば一般式(IX)又は(X)
(PR12 4) + ( X2 )- ・・・(X)
(PR12 4)2 + ( Y1 )2- ・・・(XI)
で表される化合物が好ましく用いられる。
上記一般式(X)又は(XI)において、R12 は有機基を示し、この有機基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロヘキシル基などのアルキル基やシクロアルキル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビフェニル基などのアリール基、ベンジル基などのアリールアルキル基などを挙げることができる。四つのR12 はたがいに同一でも異なっていてもよく、また二つのR12が結合して環構造を形成していてもよい。X2 はハロゲン原子、水酸基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、R’COO、HCO3 、(R’O)2P(=O)O又はBR''4 などの1価のアニオン形成が可能な基を示す。ここで、R’はアルキル基やアリール基などの炭化水素基を示し、二つのR’Oはたがいに同一でも異なっていてもよい。またR''は水素原子又はアルキル基やアリール基などの炭化水素基を示し、四つのR''はたがいに同一でも異なっていてもよい。Y1 はCO3 などの2価のアニオン形成が可能な基を示す。
また、テトラメチルホスホニウムヒドロキシド、テトラエチルホスホニウムヒドロキシド、テトラブチルホスホニウムヒドロキシドなどのテトラアルキルホスホニウム塩は、分解温度が比較的低いので、容易に分解し、製品ポリカーボネートに不純物として残る恐れが小さい。また、炭素数が少ないので、ポリカーボネートの製造における原単位を低減でき、コスト的に有利であるという点で好ましい。
また、上記一般式(X)又は(XI)で表される化合物以外に、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのビス−テトラフェニルホスホニウム塩、エチレンビス(トリフェニルホスホニウム)ジブロミド、トリメチレンビス(トリフェニルホスホニウム)−ビス(テトラフェニルボレート)なども挙げることができる。
さらには、アリール基及び/又は分岐状アルキル基を有する四級ホスホニウム塩も用いることができる。例えば、
一般式(XI)
(R13 nPR14 4-n) + ( X2 )- ・・・・(XII)
又は、一般式(XII)
(R13 nPR14 4-n)+ 2( Y1 )2- ・・・(XIII)
で表される化合物が用いられる。
上記一般式(XII)又は(XIII) において、n :1〜4の整数である。
R13:アリール基又は分岐状アルキル基から選ばれた少なくとも1つを示す。分岐状アルキル基とは、「R3C−」なる構造を有し、ここで、Rは、水素,アルキル基,置換基を有するアルキル基,アリール基及び置換基を有するアリール基から選ばれた少なくとも1つであり、3つのRのうち少なくとも2つが結合して環構造を形成していてもよい。但し、同時に2個が水素である場合は除く。例えばシクロアルキル基、イソプロピル基,tert−ブチル基などの分岐状アルキル基やベンジル基などのアリールアルキル基などを挙げることができる。nが2以上の場合、Rは同一でも異なっていてもよい。
R14:アルキル基、置換基を有するアルキル基、アリール基又は置換基を有するアリール基である。
X2 :ハロゲン原子、水酸基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、R’COO、HCO3 、(R’O)2P(=O)O又はBR''4 などの1価のアニオン形成が可能な基を示す。ここで、R’はアルキル基やアリール基などの炭化水素基を示し、二つのR’Oはたがいに同一でも異なっていてもよい。またR''は水素原子又はアルキル基やアリール基などの炭化水素基を示し、四つのR''はたがいに同一でも異なっていてもよい。
Y1 :CO3 などの2価のアニオン形成が可能な基を示す。
また、上記一般式(XII)で表される化合物以外に、一般式(XIII) で表されるような2価の対アニオンを有するもの、例えばビス(テトラフェニルホスホニウム)カーボネート、ビス(ビフェニルトリフェニルホスホニウム)カーボネートなどの四級ホスホニウム塩や、さらに、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのビス−テトラフェニルホスホニウム塩、エチレンビス(トリフェニルホスホニウム)ジブロミド、トリメチレンビス(トリフェニルホスホニウム)−ビス(テトラフェニルボレート)なども挙げることができる。
((R15−Ph)n −PPh(4-n) )+ (X3)− ・・・(XIV)
((R15−Ph)n −PPh(4-n) )2 + (Y2)2- ・・・(XV )
〔式中、R15 は有機基を示し、たがいに同一でも異なっていてもよく、X3 はハロゲン原子、水酸基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、HCO3 又はBR4(Rは水素原子又は炭化水素基を示し、4つのRはたがいに同一でも異なっていてもよい)を示し、Phはフェニル基を示し、
Y2 はCO3 を示し、nは1〜4の整数を示す。〕
このような四級ホスホニウム化合物の具体例としては、例えばテトラフェニルホスホニウムヒドロキシド、ビフェニルトリフェニルホスホニウムヒドロキシド、メトキシフェニルトリフェニルホスホニウムヒドロキシド、フェノキシフェニルトリフェニルホスホニウムヒドロキシド、ナフチルフェニルトリフェニルホスホニウムヒドロキシド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、ビフェニルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、メトキシフェニルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、フェノキシフェニルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、ナフチルフェニルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムフェノキシド、ビフェニルトリフェニルホスホニウムフェノキシド、メトキシフェニルトリフェニルホスホニウムフェノキシド、フェノキシフェニルトリフェニルホスホニウムフェノキシド、ナフチルフェニルトリフェニルホスホニウムフェノキシド、テトラフェニルホスホニウムクロライド、ビフェニルトリフェニルホスホニウムクロライド、メトキシフェニルトリフェニルホスホニウムクロライド、フェノキシフェニルトリフェニルホスホニウムクロライド又はナフチルフェニルトリフェニルホスホニウムクロライドなどが挙げられる。これら四級ホスホニウム塩のうち、触媒効果と得られるポリカーボネートの品質とのバランスからテトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートが好ましく用いられる。
上記、結晶化した状態の固体のプレポリマーについて、さらに四級ホスホニウム塩を触媒として、重合反応を行わせる。この場合、反応によって副生する芳香族モノヒドロキシ化合物、ジアリールカーボネート又はその両方を系外に抜き出すことによって、その反応が促進される。そのためには、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素などの不活性ガスあるいは炭化水素ガスや貧溶媒蒸気などを導入することにより、これらのガスに随伴させて除去する方法、減圧下に反応を行う方法、又はこれらを併用した方法などが好ましく用いられる。また、同伴用のガスを導入する場合には、これらのガスを反応温度付近の温度に加熱しておくことが望ましい。
Tm’−50≦Tp<Tm’ ・・・(XVI)
で示される範囲の温度において、1分〜100時間、さらに好ましくは0.1〜50時間程度加熱することにより、固相重合反応が行われる。
予備重合工程で得られたプレポリマーを結晶化させた後、後述する膨潤ガスにより膨潤した状態での固相重合によって、さらに重合を行わせる方法である。この製造方法は、エステル交換反応によりポリカーボネートを製造する方法において、副生するフェノールのような低分子化合物を脱輝又は抽出除去する場合、膨潤ガスにより膨潤状態にある高分子(プレポリマー)から、低分子化合物を脱輝又は抽出除去する方が、高粘度溶融高分子や結晶化した固体からの脱輝又は抽出除去よりも物質移動速度が速くなり、高効率で反応できることを応用したものである。
本発明においては、その重合が行われる反応系における気相中の酸素濃度が2ppm以下であることが必要である。好ましくは1ppm以下、さらには0.5ppm以下が好ましい。また、反応系内の水分濃度についても2ppm以下、さらには1ppm以下であることが好ましい。重合が行われる反応系内の酸素濃度が2ppmを超えると、得られる樹脂に着色が生じやすくなり、熱安定性が悪くなる。また、反応系内の水分濃度についても2ppmを超えると、反応時に加水分解が生じる等が考えられ、触媒活性低下等の悪影響を及ぼす点で好ましくない。
前記したポリカーボネートプレポリマーを加熱・減圧・液膜形成手段を有する本重合器に投入し、溶融状態にし、減圧手段を作動させつつ、薄い液膜を形成し、高分子量化を図ることができる。この方法は、薄膜重合法と呼ばれ、高分子量化に必要なエステル交換反応を一段と進めるために、通常、前記した四級ホスホニウム塩等触媒の存在下で、溶融状態にあるプレポリマーを膜厚5mm以下、好ましくは3mm以下、より好ましくは1mm以下の薄膜状態にして、反応温度50〜320℃、好ましくは100〜320℃、より好ましくは150〜280℃で、反応圧力0.1Torr〜5kg/cm2 G、反応時間1分〜100時間、好ましくは2〜20時間の条件で行うことができる。
本発明に斯かるポリカーボネートは残留モノマー分が低減されていることから、成形時の焼け、分子量低下及び物性低下を招くことがなく、光学材料用として極めて有用である。
また、本発明で必要に応じてクミルフェノールほか末端停止剤を用いたポリカーボネートは、溶融法ではそのポリカーボネート分子の末端に組み込むことが困難であったが本発明の固相重合又は膨潤固相重合ではそれを容易とし、上記の改良点のほか既に知られるように低温耐衝撃性等の物性が改良されて光学材料用として有用である。
更に、本発明で必要に応じて分岐剤を用いたポリカーボネートは、上記の改良点のほか、既に知られるように溶融張力等の物性が改良されてブロー成形用として有用である。
〔実施例1〕
内容積1リットルの攪拌機付ニッケル鋼製オートクレーブに、ビスフェノールA(BPA)228g(1.0モル)、ジフェニルカーボネート(DPC)246g(1.15モル)、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド(TMAH)(0.5ミリモル)を加え、アルゴン置換を5回行った。その後、混合物を190℃に加熱し、アルゴン雰囲気下で30分間反応させた。次いで温度を徐々に235℃に上昇させると同時に、真空度を60mmHgまで上げて60分間反応させ、さらに温度を徐々に270℃まで昇温すると同時に、真空度を10mmHgまで上げて120分間反応させた。次いで温度を270℃にしたまま真空度を1mmHgに上げ30分間反応させた後、真空度を0.5mmHgに上げ更に30分間反応させた。反応終了後、アルゴンで反応器内を大気圧に戻し、内容物であるプレポリマーを取り出し粉砕した。
このプレポリマーの粘度平均分子量は7200であり、水酸基末端の末端分率は30%であった。このようにして得られたプレポリマー及び触媒としてシクロヘキシルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート(HPTB)10-5 モルを塩化メチレンに溶解し、n−ヘプタンを加えて粉体を析出させ、濃縮乾固後、真空乾燥させてプレポリマー粉体を得た。この粉体を直径10mm,長さ200mmのSUS管に9g仕込み、窒素ガスを100ミリリットル/分の速度で流し、室温から240℃まで昇温し、4時間固相重合をして、ポリカーボネートを得た。結果を第1表に示す。
実施例1において、固相重合時に流すガス種をヘプタンガスにした以外は、実施例1と同様に行なった。結果を第1表に示す。
実施例1で合成したプレポリマー8.04gを直径32cmのSUS製シャーレ上に置き、塩化メチレン10ミリリットルを添加し、シャーレ上でプレポリマー及び触媒としてテトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート(TPTB)10-5 モルを溶解した。その後、塩化メチレンを蒸発させ、膜厚0.1cmの薄膜を調製した。次にホットプレートを備えた減圧仕様のオーブンの中にて、270℃、0.1mmHgで4時間溶融重合してポリカーボネートを得た。結果を第1表に示す。
仕込みのDPCの量を236g(1.1モル)に変える等により、プレポリマーの水酸基末端の末端分率を50%にし、かつ、固相重合時の触媒をテトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート(TPTB)10-5 モルにし、重合時間を0.5時間に変えた以外は実施例1と同様に行なった。結果を第1表に示す。
仕込みのDPCの量を236g(1.1モル)に変える等により、プレポリマーの水酸基末端の末端分率を61%にした以外は実施例1と同様に行なった。結果を第1表に示す。
固相重合時に触媒を用いず、重合時間を93時間にした以外は実施例1と同様に行なった。結果を第1表に示す。
固相重合を行なわず、触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキサイド(0.5ミリモル)とテトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート(0.01ミリモル)を加え、真空度1mmHgでの重合時間を3時間にした以外は実施例1と同様に行なった。結果を第1表に示す。
内容積1リットルの攪拌機付ニッケル製オートクレーブに、ビスフェノールA(BPA)228g(1.0モル)、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニルエタン)(THPE)1.23g(0.004モル)、ジフェニルカーボネート(DPC)257g(1.2モル),テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド(0.5ミリモル)を加え、アルゴン置換を5回行った。その後、混合物を190℃に加熱し、アルゴン雰囲気下で30分間反応させた。次いで温度を徐々に235℃に上昇させると同時に、真空度を60mmHgまで上げて60分間反応させ、さらに温度を徐々に270℃まで昇温すると同時に、真空度を10mmHgまで上げて120分間反応させた。次いで温度を270℃にしたまま真空度を1mmHgに上げ30分間反応させた後、真空度を0.5mmHgに上げ更に30分間反応させた。反応終了後、アルゴンで反応器内を大気圧に戻し、内容物であるプレポリマーを取り出し粉砕した。このプレポリマーの粘度平均分子量は10900であり、水酸基末端の末端分率は30%であった。このようにして得られたプレポリマー及び固相重合用触媒としてシクロヘキシルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート(HPTB)を0.0066g(1×10-5 モル/BPAユニット)を塩化メチレンに溶解し、n−ヘプタンを加えて粉体を析出させ、濃縮乾固後、真空乾燥させてプレポリマー粉体を得た。この粉体20gを直径58mm,長さ170mmのSUS管に入れ、窒素ガスを100ミリリットル/分の速度で流し、室温から240℃まで昇温し、4時間固相重合をして、ポリカーボネートを得た。結果を第2表に示す。
実施例4において、固相重合時に流すガス種をヘプタンガスにした以外は、実施例4と同様に行なった。結果を第1表に示す。
固相重合を行なわず、触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキサイド(TMAH)(0.5ミリモル)とテトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート(TPTB)(0.01ミリモル)を加え、真空度0.5mmHgでの重合時間を3時間にした以外は実施例4と同様に行なった。結果を第1表に示す。
内容積1リットルの攪拌機付ニッケル製オートクレーブに、ビスフェノールA(BPA)228g(1.0モル)、p−クミルフェノール10.6g(0.05モル)、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド(TMAH)(0.5ミリモル)を加え,アルゴン置換を5回行った。その後、混合物を190℃に加熱し、アルゴン雰囲気下で30分間反応させた。次いで、温度を徐々に235℃に上昇させると同時に、真空度を60mmHgまで上げて60分間反応させ、さらに温度を徐々に270℃まで昇温すると同時に、真空度を10mmHgまで上げて120分間反応させた。次いで温度を270℃にしたまま真空度を1mmHgに上げ30分間反応させた後、真空度を0.5mmHgに上げ更に30分間反応させた。反応終了後、アルゴンで反応器内を大気圧に戻し、内容物であるプレポリマーを取り出し粉砕した。このプレポリマーの粘度平均分子量は8600であり、水酸基末端の末端分率は33%であった。このようにして得られたプレポリマー及び固相重合用触媒としてシクロヘキシルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート(HPTB)0.0066g(1×10-5 モル/BPAユニット)を塩化メチレンに溶解し、n−ヘプタンを加えて粉体を析出させ、濃縮乾固後、真空乾燥させてプレポリマー粉体を得た。この粉体20gを直径58mm、長さ170mmのSUS管に入れ、窒素ガスを100ミリリットル/分の速度で流し、室温から240℃まで昇温し、4時間固相重合をして、ポリカーボネートを得た。結果を第3表に示す。
実施例6において、固相重合時に流すガス種をヘプタンガスにした以外は、実施例6と同様に行なった。結果を第3表に示す。
p−クミルフェノールをp−tertブチルフェノールに代えた以外は実施例6と同様に行なった。結果を第3表に示す。
p−クミルフェノールをp−tertオクチュルフェノールに代えた以外は実施例6と同様に行なった。結果を第3表に示す。
固相重合を行なわず、触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキサイド(TMAH)(0.5ミリモル)とテトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート(TPTB)(0.01ミリモル)を加え、真空度0.5mmHgでの重合時間を3時間にした以外は実施例6と同様に行なった。結果を第3表に示す。
内容積1リットルの攪拌機付ニッケル鋼製オートクレーブに、ビスフェノールA(BPA)228g(1.0モル)、ジフェニルカーボネート(DPC)246g(1.15モル)、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド(TMAH)0.5ミリモル、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート(TPTB)1×10-5モルを加え、アルゴン置換を5回行った。その後、混合物を190℃に加熱し、アルゴン雰囲気下で30分間反応させた。次いで温度を徐々に235℃に上昇させると同時に、真空度を60mmHgまで上げて60分間反応させ、さらに温度を徐々に270℃まで昇温すると同時に、真空度を10mmHgまで上げて120分間反応させた。次いで温度を270℃にしたまま真空度を1mmHgに上げ30分間反応させた後、真空度を0.5mmHgに上げ更に30分間反応させた。反応終了後、アルゴンで反応器内を大気圧に戻し、内容物であるプレポリマーを取り出し粉砕した。このプレポリマーの粘度平均分子量は7200であり、水酸基末端の末端分率は30%であった。得られたプレポリマー8.04gを直径32cmのSUS製のシャーレの上に置き、塩化メチレン10ミリリットルを添加してシャーレ上でプレポリマーを溶解した。その後塩化メチレンを蒸発させ、膜厚0.01mmの薄膜を調整し、120℃で一晩真空乾燥した。次に、ホットプレートを備えた減圧仕様のオーブンの中で、270℃、0.1mmHgで4時間溶融重合して、ポリカーボネートを得た。結果を第4表に示す。
実施例10において、薄膜で溶融重合する時間を4時間から1時間に変更した以外は実施例10と同様に行った。結果を第4表に示す。
Claims (1)
- (A)ビス(ヒドロキシアリール)アルカン、ビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン、ビス(ヒドロキシアリール)エーテル、ビス(ヒドロキシアリール)スルフィド、ビス(ヒドロキシアリール)スルホキシド及びビス(ヒドロキシアリール)スルホンから選択される芳香族ジヒドロキシ化合物、(B)炭酸ジエステル及び(C)一価ヒドロキシ化合物を加熱して予備重合することによりポリカーボネートプレポリマーを調製した後、該プレポリマーを薄膜溶融状態でエステル交換反応によって重合させることにより得られたポリカーボネートであって、生成ポリカーボネート中の環状オリゴマー含有量が0.28重量%以下であるポリカーボネートからなる光学材料。
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