JP5330144B2 - 微量固体試料分析器具 - Google Patents

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Description

本発明は、微量の固体試料を液体で処理するために用いられる器具及び該器具を用いた固体試料の処理方法に関する。
固体試料から幅広い極性の成分を溶媒抽出する方法として、Bligh&Dyer法などの多段階抽出法が知られている(非特許文献1参照)。しかしながら、試料が生体から得られるものである場合、その量は微量であることが多く、Bligh&Dyer法を用いたのでは、試料とは別に抽出溶媒のみを取り出すことが困難である。
そこで、微量の固体試料の溶媒抽出に関する技術として、特許文献1においては、固体状試料に含有される溶媒に可溶な成分と溶媒に不溶な成分とを溶媒抽出により分離する抽出分離装置が提案されている。この装置は、(イ)送液路に沿って溶媒を供給する送液管、(ロ)着脱可能に保持されたフィルタを備えた抽出部、(ハ)抽出部から流出した抽出液を捕集しかつ濃縮する濃縮部、(ニ)送液管、抽出部及び濃縮部を一体に保持する保持部材を備えている。
しかし前記の抽出分離装置は、抽出のための溶媒が送液路内を流下する構造のものなので、溶媒と試料の接触時間が短い。その結果、抽出効率の低い成分や、試料の内部に存在する成分を抽出することが困難である。また、この装置はその構造上、加温抽出することが容易でなく、そのことによっても、抽出効率を高めることが困難である。
特開2005−214785
E.G.Bligh and W.J.Dyer,Can.J.Biochem.Physiol.,37,911(1957)
本発明は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る微量固体試料処理器具及びそれを用いた微量固体試料の処理方法を提供するものである。
本発明は、微量の固体試料をその内部に保持可能なキャピラリー部を有する保持具と、該保持具の密閉収容が可能な収容具とを備えた微量固体試料処理器具を提供するものである。
また本発明は、前記の微量固体試料処理器具における前記保持具のキャピラリー部内に微量固体試料を設置し、
前記試料が設置された前記保持具を前記収容具内に収容するとともに、収容の前若しくは後又は収容と同時に収容具内に処理液を充填し、次いで
前記収容具を密閉し、前記処理液によって前記試料を処理する微量固体試料の処理方法を提供するものである。
本発明によれば、微量の固体試料を処理液と長時間接触させることが可能となる。また、接触後に、固体試料と処理液とを容易に分離することが可能となる。更に、加温処理を行うことも可能となり、処理液による処理効率を高めることができる。
図1(a)は、本発明の微量固体試料処理器具の一実施形態を示す斜視図であり、図1(b)は、図1(a)に示す微量固体試料処理器具の分解斜視図である。 図2(a)ないし(d)は、図1に示す微量固体試料処理器具を用いた試料の処理方法を示す工程図である。 液体クロマトグラフ−質量分析装置を用いた、実施例における、コレステロールの測定結果である。 アミノ酸分析計を用いた、実施例における、蛋白質加水分解アミノ酸の測定結果である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1(a)及び(b)に示すように、本発明の一実施形態の微量固体試料処理器具10は、大別して試料の保持具20と収容具30とから構成されている。
試料の保持具20は、細い管状のキャピラリー部21と、該キャピラリー部21の上端に連接された筒状部22とから構成されている。キャピラリー部21は微量試料をその内部に保持可能な部位である。キャピラリー部21は、その上下端が開口した管状のものであり、上端は上述のとおり筒状部22に連接している。キャピラリー部21はその横断面積が、好ましくは0.1〜3mm2、更に好ましくは0.5〜1mm2という微細な管である。このような微細な管であることによって、キャピラリー部21は、微量の試料を首尾良く保持することができる。キャピラリー部21の横断面積は、その値が前記の範囲内であることを条件として、キャピラリー部21の全長にわたって同じでもよく、あるいは異なっていてもよい。一般に横断面積は、キャピラリー部21の全長にわたって同じになっている。
キャピラリー部21の横断面の形状に特に制限はない。横断面の形状は、一般に円形とすることができる。この場合、横断面の形状は、キャピラリー部21の全長にわたって同じでもよく、あるいは異なっていてもよい。一般に横断面の形状は、キャピラリー部21の全長にわたって同じになっている。
横断面積と異なり、キャピラリー部21の長さは本発明において特に臨界的でない。この長さを一般に2〜4cmに設定することで、満足すべき効果が得られる。
キャピラリー部21は、その内部に液体透過性のフィルタ23を有している。フィルタ23は、その上に固体試料(図示せず)を載置するためのものである。また、固体試料が処理液とともにキャピラリー部21から流下することを防止するためのものである。フィルタ23は、液体透過性であればよく、その例としては繊維材料からなる綿状体、オープンセル状の多孔質体などが挙げられる。フィルタ23が繊維材料からなる綿状体である場合、該繊維材料の太さ及び繊維間距離は、固体試料の量や形態に応じて適切な値が選択される。多孔質体の孔径についても同様である。これらの値は本発明において臨界的でなく、当業者が適宜設定し得る事項である。
フィルタ23を構成する材料としては、固体試料の種類や、処理液の種類に応じて適切なものが選択される。例えばポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂等を初めとする各種の熱可塑性樹脂、ガラスや石英等の酸化ケイ素質材料などを用いることができる。これらの材料のうち、コンタミネーションの低減の点から、灰化処理が可能な材料である酸化ケイ素質材料を用いることが好ましい。
筒状部22は、その上下端が開口した管状のものであり、その下端は筒状部22の上端に滑らかに連接している。筒状部22はその横断面積が、キャピラリー部21の横断面積よりも大きくなっている。このような筒状部22を設けることで、固体試料をキャピラリー部21に充填する操作を容易に行うことができる。すなわち、横断面積の小さな部位であるキャピラリー部21に固体試料を直接充填することは容易でないのに対し、キャピラリー部21に連接して、横断面積が大きい筒状部22を設け、該筒状部22に固体試料を入れることで、固体試料をキャピラリー部21に充填することが容易になる。筒状部22の横断面積や横断面の形状は、この観点から決定すればよい。一般に筒状部22の横断面積は20〜30mm2に設定することが好ましく、筒状部22の横断面の形状は円形にすればよい。同様に、筒状部22の長さも、固体試料を該筒状部22に入れやすい長さであれば、その値に特に制限はない。例えば筒状部22の長さは5〜7cm程度に設定することができる。
保持具20においては、キャピラリー部21と筒状部22とは一体的に形成され、同一の材料から構成されていてもよく、あるいはキャピラリー部21と筒状部22とを別異の材料から構成し、両者を接着や嵌合等の接合手段によって一体にしてもよい。
キャピラリー部21と筒状部22とが同一の材料から構成されているか、別異の材料から構成されているかを問わず、これらを構成する材料としては、固体試料の種類や、処理液の種類に応じて適切なものが選択される。例えばポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂等を初めとする各種の熱可塑性樹脂、ガラス等の酸化ケイ素質材料などを用いることができる。これらの材料のうち、コンタミネーションの低減の点から、灰化処理が可能な材料である酸化ケイ素質材料を用いることが好ましい。これら熱可塑性樹脂や酸化ケイ素質材料からなるキャピラリー部21は、例えばこれらの材料からなる管状体を加熱して引き伸ばすことで得ることができる。
次に、保持具20が収容される収容具30について説明する。収容具30は、収容部31とキャップ32とから構成される。収容部31は、上端に開口部31aを有する有底管状のものである。収容部31の深さは、保持具20の全長よりも大きくなっている。また、収容部31の横断面の面積及び形状に特に制限はなく、保持具20を収容部31内に挿入可能になっていればよい。
収容部31は、開口部寄りの部位32が同じ太さになっている。一方、収容部31は、その下端寄りの部位33が、下方に向かうに連れて縮径している。収容部31の横断面形状がこのようになっていることで、保持具20を収容部31内に収容しやすくなり、かつ収容部31内に収容された保持具20が、該収容部31内で移動しづらくなる。また、処理液(図示せず)の使用量が過度に多くなることを防止できる。これらの観点から、収容部31における縮径している部位33の長さ(収容部31内部における長さ)は、保持具20におけるキャピラリー部21の長さを超えないことが好ましい。
収容部31の開口部31a及びその近傍の外側面にはネジ山が設けられている。このネジ山によって、収容部31とキャップ32とが螺合するようになっている。両者が螺合することによって、キャップ32は収容部31の開口部31aを密栓し、収容具30は、その内部に保持具20を密閉収容することが可能になっている。なお、キャップ32の密栓手段は螺合に限られず、収容部31とキャップ32とが着脱可能であれば、他の手段、例えば嵌合等を採用してもよい。また、密栓できる限り、収容部31とキャップ32とは別体であることを要しない。例えば両者を、ヒンジを介して一体となし、キャップ32を収容部31に嵌合させて密閉状態となしてもよい。
収容具30における収容部31を構成する材料としては、固体試料の種類や、処理液の種類に応じて適切なものが選択される。そのような材料としては、保持具20を構成する材料として先に述べたものと同様のものを用いることができる。特に、コンタミネーションの低減の点から酸化ケイ素質材料を用いることが好ましい。収容具30におけるキャップ32を構成する材料も、固体試料の種類や、処理液の種類に応じて適切なものが選択される。なお、キャップ32は、処理液と直接に接触する可能性が低く、灰化処理を行う必要性が低いので、酸化ケイ素質材料から構成されている必要性は低い。
次に、図1に示す処理器具10を用いた処理方法について、図2(a)ないし(d)を参照しながら説明する。まず、前処理として処理器具10を清浄な状態にする。保持具20、フィルタ23及び収容具30の収容部31がいずれも酸化ケイ素質材料から構成されている場合には、これらを500℃前後の温度で灰化処理して有機物を除去し、コンタミネーションを防止することが好ましい。
前処理が完了したら、図2(a)に示すように、保持具20の筒状部22における上端の開口部から微量の固体試料40を入れる。その後に保持具20を軽くタップすることで、固体試料40は、キャピラリー部21内のフィルタ23上に設置される。本処理方法で処理可能な固体試料40の量の下限値は、固体試料40の種類にもよるが好ましくは10μg、更に好ましくは100μgである。上限値に特に制限はないが、多量である場合には、本処理方法を採用する利益が薄れる。この観点から上限値は好ましくは1mg、更に好ましくは500μgである。なお、図2(a)に示す固体試料40は、長さ1mm前後のヒトの毛髪の切片をイメージしている。
固体試料40が設置された保持具20は、図2(b)に示すように、収容部31内に収容される。この収容の前若しくは後又は収容と同時に、収容部31内に処理液を充填する。保持具20を収容部31内に収容した後に処理液を充填する場合には、該処理液は、同図に示すように保持具20内に注入されることが、固体試料40の効率的な処理の観点から好ましい。処理液の充填量は、充填された処理液の液面が、固体試料40の位置よりも高くなるような量とする。
収容部31内への保持具20の収容及び収容部31内への処理液の充填が完了したら、収容部31の上端における開口部31aをキャップ32で閉じ、図2(c)に示すように収容部31内を密閉する。これによって、処理状態が完成する。本処理方法によれば、背景技術の項で説明した特許文献1に記載の技術と異なり、処理液が収容部31内に保持されるので、処理液と固体試料40との長時間にわたる接触が可能となる。その結果、効率的な処理が可能となる。例えば処理液が溶媒抽出用の液である場合には、固体試料40に抽出効率の低い成分が含まれている場合や、固体試料40の内部に存在する成分を抽出する場合であっても、目的とする成分を効率よく抽出できる。また、処理液が染色液である場合には、固体試料40の内部まで効率的に染色できる。更に、処理液が、固体試料40を化学的に修飾する液である場合には、固体試料40の内部まで効率的に反応を起こさせることができる。
処理液による固体試料40の処理は、収容具30を静置した状態下に行ってもよく、あるいは穏やかに振盪させた状態下に行ってもよい。
図2(c)に示すように、保持具20に保持された固体試料40は、処理液とともに収容具30内に密閉されているので、収容具30を例えば湯煎することで、加温することができる。これによって、処理液による処理の一層の効率化を図ることができる。加温の程度は、収容具30の密閉性の程度、固体試料40の種類、処理液の種類等に応じて適切に選択される。例えば固体試料40がヒトの毛髪であり、処理液として有機溶媒を使用する場合には40℃程度、あるいは酸加水分解を行う場合には110℃程度に加温することができる。
固体試料40と処理液とを所定の時間接触させたら、キャップ32を回して収容具30を開き、図2(d)に示すように、該収容具30内に保持されている保持具20を取り出す。この際、保持具20の上端開口部より空気等の気体を吹き込み、保持具20内に残留している溶媒を、収容具30内に吹き出すことにより、溶媒の回収を効率良く行うことができる。この場合、保持具20内に保持されている固体試料40は、フィルタ23上に載置された状態になっているので、保持具20の取り出しとともに収容具30外に取り出される。また、保持具20内に存在していた処理液は、フィルタ23によって液切りがされて、収容部31内に残存する。したがって、本実施形態の処理器具10を用いれば、固体試料40が微量であっても、処理液との分離を容易に、かつ確実に行うことができる。その結果、処理後の処理液のみを容易に回収することができる。該処理液は、後工程である分析等の工程に付される。
固体試料40の種類や処理液の種類によっては、多段階処理を行うことが有利である。多段階処理を行う場合には、図2(d)に示すように、固体試料40を保持具20とともに収容具30外に取り出した後、固体試料40から分離された処理液を取り出して、別の容器50に移し替える。次いで、空になった収容具30内に、先に取り出した保持具20を固体試料40とともに再び収容具30内に収容する。つまり、図2(b)に示す工程に戻る。そして、保持具20を収容具30内に収容する前若しくは後又は収容と同時に、収容具30の収容部31内に、先に使用した処理液とは異なる第2の処理液を収容部31内に充填する。しかる後、収容部31の上端における開口部31aをキャップ32で閉じ、図2(c)に示すように収容部31内を密閉し、第2の処理液による固体試料40の処理を行う。その後は、図2(d)に示す操作が再び行われる。
多段階処理は2回に限られず、必要に応じて3回以上行ってもよい。つまり、図2(b)ないし図2(d)に示す手順の操作を複数回行うことができる。
本処理方法の対象となる固体試料の種類に制限はない。本処理方法は、採取量が微量である固体試料を処理の対象とする場合にその利点が際立つ。そのような固体試料としては、例えば生体から採取した試料が挙げられる。具体的には、ヒトの毛髪、ヒトの皮膚、ヒトの臓器から採取した生体試料が挙げられる。採取量が微量である別の固体試料として、犯罪現場に残された微量の繊維及びその他の固体付着物等が挙げられる。
一方、処理液としては、固体試料の種類に応じて適切なものが選択される。本処理方法の趣旨にかんがみて、処理液は、固体試料を溶解させるものであってはならない。具体的な処理液としては、溶媒抽出のための各種の液(水性液、有機溶媒)、染色液、固体試料と化学反応し、固体試料に所定の基を結合させる液等が挙げられる。
処理液として、溶媒抽出のための液を用いる場合には、上述した多段階処理として、多段階抽出を行うことができる。この場合には、抽出用溶媒Aを用いて、対象物Aを抽出し、次いで抽出用溶媒Aとは極性の異なる抽出用溶媒Bを用いて対象物Bを抽出し、・・という多段階の抽出操作を行い、抽出用溶媒に応じて対象物を抽出することができる。本処理方法によれば、微量の固体試料を対象として、ロスやコンタミネーションなく多段階抽出を行うことができる。
固体試料として、微量のヒトの毛髪を用いる場合には、上述した利点に加え、以下の利点もある。多段階抽出後において毛髪を酸で加水分解し、それによって生じたアミノ酸を分析することで容易に蛋白質量を測定ことができる。アミノ酸の定量技術は確立されたものである(日本生化学会編「新生化学実験講座1 蛋白質II 一次構造」東京化学同人)。まず本処理方法に従い溶媒抽出によって毛髪から脂質を除去し、次いで脂質が除去された毛髪について、同じ処理器具10を用い、塩酸等の酸によって保持具20内に保持された毛髪を完全分解させる。このようにして得られた液を対象として、公知のアミノ酸の定量分析を行う。その分析結果から、毛髪の蛋白質の質量を算出する。これにより毛髪に含まれる微量成分の割合を、蛋白質量を基準として正確に表現することができる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態における保持具20は、キャピラリー部21と筒状部22とから構成されていたが、これに代えてキャピラリー部21のみから保持具20を構成してもよい。また、収容具30における収容部31は、その下端寄りの位置が下方に向けて縮径していたが、これに代えて収容部31はその全長にわたって同じ太さであってもよい。
また前記実施形態においては、キャピラリー部21の下端が収容部31の底部内壁に接していたが、これに代えて、キャップ32によって筒状部22の上端を保持できるようにし、キャピラリー部21の下端を収容部31の底部内壁に接しないようにしてもよい。こうすることによって、キャピラリー内外の溶媒の移動を一層容易にすることができる。
更に、キャピラリー部21の下端と収容部31の底部内壁の一部は接するが、他部は接しないように、キャピラリー部21の下端の形状あるいは収容部31の底部内壁形状を調整してもよい。例えばキャピラリー部21の下端部の切断面に傾斜をもたせることによって、該下端部の一部が収容部31の底部内壁に接するようにして、キャピラリー内外の溶媒の移動が一層容易となるようにしてもよい。
また前記実施形態において用いた処理液は、これを溶媒抽出に用いる場合には、固体試料を溶解させるものであってはならないが、他の処理を行う場合には、固体試料を溶解させる処理液を用いることは何ら差し支えない。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
(1)毛髪の採取
被験者1名の頭皮から1cmの毛元部分を6本、1mmの毛元部分を3本採取した。1cmの毛髪は、天秤によりそれぞれの毛髪質量を測定した(1mmの毛髪においては毛髪の正確な質量が測定できない)。1cmの毛髪3本と1mmの毛髪3本はそれぞれ1本ずつ、図1に示す微量固体試料処理器具10に収容した。一方、残りの1cmの毛髪3本は、保持具20が分析値に与える影響を調べるため、保持具20を取り除いた収容具30に収容した。
(2)毛髪脂質の抽出
上記で準備した微量固体試料処理器具に、クロロホルム/メタノール=2/1(体積比)溶液を加えて、40℃で24時間静置させることにより脂質を抽出した。抽出液を回収した後、同様にクロロホルム/メタノール=1/1(体積比)溶液、クロロホルム/メタノール=1/2(体積比)溶液、クロロホルム/メタノール/水=18/9/1(体積比)溶液においても抽出を行い、全ての抽出液を混合した。このように調製した脂質の抽出液を窒素気流下で乾固し、メタノールを加えて溶解することで、脂質試料を調製した。
(3)毛髪の酸加水分解
残った毛髪試料を含む微量固体試料処理器具に6N塩酸を加えて、110℃で24時間反応させた。反応液を全て流下させ保持具20を取り除いた後、エバポレーターを用いて乾固し、水を加えて溶解することで、蛋白質加水分解アミノ酸試料を調製した。
(4)コレステロールの測定
上記(2)で調製した脂質試料を用いて、液体クロマトグラフ−質量分析法でコレステロールの測定を行った。液体クロマトグラフ−質量分析法による条件は以下のとおりである。
(4−1)液体クロマトグラフ−質量分析装置
液体クロマトグラフと質量分析装置が一体になった分析システムとして、アジレント社製1100シリーズLC/MSDを使用した。
(4−2)カラム及び分離条件
カラム及び分離条件は次のとおりとした。
分離カラム:化学物質評価研究機構、L−column ODS 2.1mmΦ×150mm(5μm)
移動相:メタノール
移動相流速:0.2mL/分
カラム温度:40℃
試料溶液注入量:5μL
(4−3)質量分析装置における検出条件
質量分析装置における検出条件は次のとおりとした。
イオン化法:APCI
極性:正イオン
フラグメンター電圧:120V
Vcap電圧:3500V
ネブライザー圧力:60psig
乾燥ガス流量:4.0L/分
乾燥ガス温度:320℃
ベーポライザー温度:300℃
コロナ電流:6μA
SIMモニターイオン:m/z=369.3
(5)蛋白質加水分解アミノ酸の測定
上記(3)で調製した蛋白質加水分解アミノ酸試料を用いて、アミノ酸分析計でアミノ酸の測定を行った。アミノ酸分析計の条件は以下のとおりである。
(5−1)アミノ酸分析計
アミノ酸分析計として、日立社製L−8800シリーズを使用した。
(5−2)分析条件
分析条件として、アミノ酸分析計にデフォルトで登録されている蛋白質加水分解アミノ酸分析条件をそのまま用いた。
(5−3)アミノ酸分子の略語
本明細書において、各アミノ酸分子を以下のように表記する。Asp/アスパラギン酸、Thr/スレオニン、Ser/セリン、Glu/グルタミン酸、Pro/プロリン、Gly/グリシン、Ala/アラニン、Cys/シスチン、Val/バリン、Met/メチオニン、Ile/イソロイシン、Leu/ロイシン、Tyr/チロシン、Phe/フェニルアラニン、Lys/リシン、His/ヒスチジン、Arg/アルギニン。
(6)測定データの解析
コレステロールの測定データを図3、蛋白質加水分解アミノ酸の測定データを図4に示す。コレステロール、アミノ酸ともにピーク面積から定量値を算出し、アミノ酸においては各アミノ酸分子の定量値を合わせることで蛋白質量を算出した。そして、コレステロールの定量値を毛髪質量あるいは蛋白質量で除することにより、毛髪質量当たり又は蛋白質量当たりのコレステロールの絶対量を算出した。
上記の操作によって、採取した毛髪に含まれるコレステロールの量を測定した。以後は1cmの毛髪を微量固体試料処理器具10で処理した試料を〔1〕、1mmの毛髪を微量固体試料処理器具10で処理した試料を〔2〕、1cmの毛髪を保持具20を取り除いた器具30で処理した試料を〔3〕として表記する。試料〔1〕及び〔3〕における毛髪質量当たりのコレステロールの絶対量を表1に、試料〔1〕、〔2〕及び〔3〕における蛋白質量当たりのコレステロールの絶対量を表2に示す。なお、表に示す定量値はn=3の平均値及び標準偏差を示している。
Figure 0005330144
Figure 0005330144
表1において、毛髪間誤差があるため全く同じ値にはならないが、〔1〕及び〔3〕でほぼ同等の定量値が得られ、本発明の微量固体試料処理器具が有用であることが証明された。一方、表2において、蛋白質量は毛髪質量に比べて90%程度であることから、毛髪質量当たりでの定量値と蛋白質量当たりの定量値は若干異なってくるが、〔1〕、〔2〕及び〔3〕でほぼ同等の定量値が得られ、本発明の微量固体試料処理器具が、特に毛髪の質量が正確に量れないような微量試料の解析に有用であることが証明された。
10 微量固体試料処理器具
20 保持具
21 キャピラリー部
22 筒状部
30 収容具
31 収容部
32 キャップ
40 微量固体試料

Claims (9)

  1. 微量の固体試料をその内部に保持可能なキャピラリー部を有する保持具と、該保持具の
    密閉収容が可能な収容具とを備えた微量固体試料処理器具であって、
    前記保持具のキャピラリー部内に、液体透過性のフィルタを有し、
    前記収容具の収容部は、その下端寄りの部位が、下方に向かうに連れて縮径している、微量固体試料処理器具。
  2. 前記収容部における縮径している前記部位の長さが、前記保持具における前記キャピラリー部の長さを超えていない請求項1記載の微量固体試料処理器具。
  3. 前記収容具が、上端に開口部を有する有底管状の収容部と、該開口部を密栓するキャップとを備え、
    前記収容部、前記保持具及び前記フィルタが酸化ケイ素質材料製である請求項1又は2記載の微量固体試料処理器具。
  4. 固体試料の溶媒抽出処理に用いられる請求項1ないし3のいずれかに記載の微量固体試料処理器具。
  5. 請求項1に記載の微量固体試料処理器具における前記保持具のキャピラリー部内に微量固体試料を設置し、
    前記試料が設置された前記保持具を前記収容具内に収容するとともに、収容の前若しくは後又は収容と同時に収容具内に処理液を充填し、次いで
    前記収容具を密閉し、前記処理液によって前記試料を処理する微量固体試料の処理方法。
  6. 前記処理液が溶媒抽出のための液である請求項5記載の処理方法。
  7. 前記固体試料が生体から採取した試料である請求項5又は6記載の処理方法。
  8. 生体から採取した試料が毛髪であり、前記処理液が該毛髪に含まれる脂質の抽出が可能な液であり、
    該処理液によって該毛髪から脂質を抽出した後に該毛髪を酸で加水分解し、分解液中に含まれるアミノ酸を定量分析することで、該毛髪中に含まれる蛋白質量を算出する請求項5ないし7のいずれかに記載の処理方法。
  9. 前記処理液で前記試料を処理した後、前記収容具を開いて該処理液を取り出し、次いで該処理液とは異なる第2の処理液を該収容具内に充填し、そして該収容具を密閉し、該第2の処理液によって該試料を処理する請求項5ないし8のいずれかに記載の処理方法。
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