以下、本発明に係る構成を図面に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
1.電気泳動液
先ず、本発明に係る電気泳動液について説明する。図1に示すように、電気泳動液10は、白色の電気泳動粒子1(以下、電気泳動粒子1ともいう)と、当該白色の電気泳動粒子1と同じ電気極性を有する所定の色の電気泳動粒子2(以下、所定色の電気泳動粒子2、カラー電気泳動粒子2、電気泳動粒子2ともいう)とが、電気泳動粒子2の色に対し補色に着色されている着色透明分散媒(以下、分散媒、着色溶媒、溶媒ともいう)3中に分散されているものである。
このような電気泳動液10によれば、白色の電気泳動粒子1および同じ電気極性の所定の色を有する電気泳動粒子2を電気泳動により表示面側に移動させたとき、白色の電気泳動粒子1があるため、電気泳動液2の色に対し補色に着色されている分散媒3の影響を受けることなく、電気泳動粒子2の色を表示することが可能となる。
すなわち、電気泳動粒子2は所定の波長の光を吸収するが、それ以外の波長の光を反射するよりも透過させてしまう。電気泳動粒子2のみの場合は、例えば、図2に示すように、電気泳動粒子2の層を透過した波長の光は、背後にある補色関係の分散媒3に吸収されてしまい、黒色となってしまう。なお、図2における矢印(a)は入射光、(b)はカラー電気泳動粒子2での吸収、(c)は着色溶媒3での吸収を示している。
しかしながら、電気泳動液10においては、白色の電気泳動粒子1があるため、所定色の電気泳動粒子2で吸収されない波長の光が反射され、電気泳動粒子2の色を見ることができる。
以下、電気泳動液10の詳細を説明する。白色の電気泳動粒子1としては、特に限定されないが、鉛白、亜鉛華、リトポン、二酸化チタン、硫化亜鉛、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、カオリン、雲母、硫酸バリウム、グロスホワイト、アルミナホワイト、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム等の無機粒子;これらの無機粒子を表面改質したもの等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
無機粒子を表面改質する方法としては、特に限定されないが、ポリマー等をコーティングする方法、ポリマーと混合してメカノケミカル処理する方法、チタネート系・シラン系等のカップリング剤で処理する方法、グラフト重合する方法等が挙げられる。
本実施形態では、白色の電気泳動粒子1は、表面改質された二酸化チタンであることが好ましい。表面改質された二酸化チタンは、二酸化チタンの表面をシランカップリング剤で処理してシリル基を導入した後、ラウリル基をグラフト重合させることにより得られる。
なお、電気泳動粒子の分散性並びに電気泳動粒子の泳動性の観点から、白色の電気泳動粒子1は、平均粒径が0.01〜100μmであることが好ましく用いられるが、これらの粒径に限定されるものではない。
カラーの電気泳動粒子2としては、特に限定されないが、カドミウムイエロー、カドミウムリポトンイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエロー、チタンバリウムイエロー、カドミウムオレンジ、カドミウムリポトンオレンジ、モリブデートオレンジ、ベンガラ、鉛丹、銀朱、カドミウムレッド、カドミウムリポトンレッド、アンバー、褐色酸化鉄、亜鉛鉄クロムブラウン、クロムグリーン、酸化クロム、ビリジアン、コバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、チタンコバルトグリーン、紺青、コバルトブルー、群青、セルリアンブルー、コバルトアルミニウムクロムブルー、コバルトバイオレット、ミネラルバイオレット等の無機粒子や、ファストイエロー、ジスアゾイエロー、縮合アゾイエロー、アントラピリミジンイエロー、イソインドリンイエロー、銅アゾメチンイエロー、キノフタロインイエロー、ベンズイミダゾロンイエロー、ニッケルジオキシムイエロー、モノアゾイエローレーキ、ジニトロアニリンオレンジ、ピラゾロンオレンジ、ペリノンオレンジ、ナフトールレッド、トルイジンレッド、パーマネントカーミン、ブリリアントファストスカーレット、ピラゾロンレッド、ローダミン6Gレーキ、パーマネントレッド、リソールレッド、ボンレーキレッド、レーキレッド、ブリリアントカーミン、ボルドー10B、ナフトールレッド、キナクリドンマゼンタ、縮合アゾレッド、ナフトールカーミン、ペリレンスカーレッド、縮合アゾスカーレッド、ベンズイミダゾロンカーミン、アントラキノニルレッド、ペリレンレッド、ペリレンマルーン、キナクリドンマルーン、キナクリドンスカーレッド、キナクリドンレッド、ジケトピロロピロールレッド、ベンズイミダゾロンブラウン、フタロシアニングリーン、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、アルカリブルートーナー、インダントロンブルー、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットレーキ、ジオキサジンバイオレット、ナフトールバイオレット等の有機粒子が挙げられ、また、これらの粒子を表面改質したものが挙げられ、2種以上併用しても良い。
無機および有機粒子を表面改質する方法としては、特に限定されないが、ポリマー等をコーティングする方法、ポリマーと混合してメカノケミカル処理する方法、チタネート系・シラン系等のカップリング剤で処理する方法、グラフト重合する方法等が挙げられる。
なお、電気泳動粒子の分散性並びに電気泳動粒子の泳動性の観点から、カラーの電気泳動粒子2は、平均粒径が0.01〜100μmであることが好ましく用いられるが、これらの粒径に限定されるものではない。
また、本発明に係る電気泳動液において、着色透明の分散媒3は、非極性溶媒及び染料を含むことが好ましい。
分散媒3が染料で着色された透明な溶媒であり、白色の電気泳動粒子1および同じ電気極性の所定の色を有する電気泳動粒子2を電気泳動により表示面の反対側に移動させたとき、分散媒3で所定の波長の光が吸収され、更に分散媒3の色に対し補色である電気泳動粒子2が分散媒3を透過した光を吸収するので、後述するように、表示面から見える電気泳動液10の色を黒色にすることが可能となる(図21参照)。
非極性溶媒としては、特に限定されないが、ベンゼン、トルエン、キシレン、フェニルキシリルエタン、ジイソプロピルナフタレン、ナフテン系炭化水素等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ドデシルベンゼン、シクロヘキサン、ケロシン、パラフィン系炭化水素等の脂肪族炭化水素類;クロロホルム、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ジクロロメタン、臭化エチル等のハロゲン化炭化水素類;リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリシクロヘキシル等のリン酸エステル類;フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジラウリル、フタル酸ジシクロヘキシル等のフタル酸エステル類;オレイン酸ブチル、ジエチレングリコールジベンゾエート、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル、トリメリット酸トリオクチル、クエン酸アセチルトリエチル、マレイン酸オクチル、マレイン酸ジブチル、酢酸エチル等のカルボン酸エステル類;イソプロピルビフェニル、イソアミルビフェニル、塩素化パラフィン、ジイソプロピルナフタレン、1,1−ジトリルエタン、1,2−ジトリルエタン、N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−t−オクチルアニリン等が挙げられ、二種類以上併用してもよい。中でも、パラフィン系炭化水素が好ましい。
また、染料としては、分散媒3に可溶であれば、特に限定されないが、バリファーストイエロー、オイルイエロー、バリファーストレッド、オイルピンク、オイルスカーレット、オイルバイオレット、バリファーストブルー、オイルブルー、オイルレッド、マクロレックスブルー、スミプラストグリーン、オイルグリーン、スーダンレッド、キノリンイエロー、スーダンブルー、ソルベントブルー等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
また、電気泳動液10は、電気泳動粒子の表面電荷量の制御並びに電気泳動粒子の分散性の向上のため、着色透明の分散媒3は、界面活性剤、保護コロイド剤等をさらに含むことも好ましい。
界面活性剤としては、分散媒3に可溶であれば、特に限定されないが、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられ、二種以上併用してもよい。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンジノニルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェノール、ポリオキシポリオキシエチレンビスフェノールA、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ノニルフェノールエトキシレート等のポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル類;ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシアルキレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシプロピレンエーテル等のポリオキシアルキレンエーテル類;モノオールタイプのポリオキシアルキレングリコール、ジオールタイプのポリオキシアルキレングリコール、トリオールタイプのポリオキシアルキレングリコール、モノオール系ブロックタイプのポリアルキレングリコール、ジオール系ブロックタイプのポリアルキレングリコール、ランダムタイプのポリアルキレングリコール等のグリコール類;オクチルフェノールエトキシレート、オレイルアルコールエトキシレート、ラウリルアルコールエトキシレート等の第1級直鎖アルコールエトキシレート、第2級直鎖アルコールエトキシレート、多核フェノールエトキシレート等のアルキルアルコールエーテル類;ポリオキシエチレンロジンエステル、ポリオキシエチレンラウリルエステル、ポリオキシエチレンオレイルエステル、ポリオキシエチレンステアリルエステル等のポリオキシアルキレンアルキルエステル類;ソルビタンモノラウレイト、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジラウレイト、ソルビタンジパルミテート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンセスキラウレイト、ソルビタンセスキパルミテート、ソルビタンセスキステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレイト、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンジラウレイト、ポリオキシエチレンソルビタンジパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンジステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンセスキラウレイト、ポリオキシエチレンソルビタンセスキパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンセスキステアレート等のポリオキシエチレンソルビタンエステル類;飽和脂肪酸メチルエステル、不飽和脂肪酸メチルエステル、飽和脂肪酸ブチルエステル、不飽和脂肪酸ブチルエステル、飽和脂肪酸ステアリルエステル、不飽和脂肪酸ステアリルエステル、飽和脂肪酸オクチルエステル、不飽和脂肪酸オクチルエステル、ステアリン酸ポリエチレングリコールエステル、オレイン酸ポリエチレングリコールエステル、ロジンポリエチレングリコールエステル等の脂肪酸エステル類;ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸等の脂肪酸類及びこれら脂肪酸類のアミド類;ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミンエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアミン類;ラウリル酸モノエタノールアミド、椰子脂肪酸ジエタノールアミド等の高級脂肪酸モノエタノールアミド類、高級脂肪酸ジエタノールアミド類、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ヤシジエタノールアミド(1−2型/1−1型)、アルキルアルキロールアミド等のアミド化合物類及びアルカノールアミド類;一般式
H(OCH2CH2)mNR(CH2CH2O)nH
(式中、Rは、オレイル基、オクチル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基又はオクタデシル基であり、m及びnは、それぞれ独立に、1以上の整数である)で表されるアルカノールアミン類;一般式
RNH2
(式中、Rは、オレイル基、オクチル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基又はオクタデシル基である。)
で表される1級アミン類;一般式
R1R2NH
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、オレイル基、オクチル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基又はオクタデシル基である)
で表される2級アミン類;一般式
R1R2R3N
(式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、オレイル基、オクチル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基又はオクタデシル基である)で表される3級アミン類;各種合成系高級アルコール類及び各種天然系高級アルコール類;アクリル酸系化合物、ポリカルボン酸系化合物、ヒドロキシ脂肪酸オリゴマー、ヒドロキシ脂肪酸オリゴマー変成物等の高分子類及びオリゴマー類が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、ポリカルボン酸型高分子活性剤、ポリカルボン酸型陰イオン活性剤、特殊脂肪酸石鹸、ロジン石鹸等のカルボン酸塩類;ヒマシ油の硫酸エステル塩、ラウリルアルコールの硫酸エステルのナトリウム塩、ラウリルアルコールの硫酸エステルのアミン塩、天然アルコールの硫酸エステルのナトリウム塩、高級アルコールの硫酸エステルのナトリウム塩等のアルコール系硫酸エステルの塩類;ラウリルアルコールエーテルの硫酸エステルのアミン塩、ラウリルアルコールエーテルの硫酸エステルのナトリウム塩、合成高級アルコールエーテルの硫酸エステルのアミン塩、合成高級アルコールエーテルの硫酸エステルのナトリウム塩、アルキルポリエーテルの硫酸エステルのアミン塩、アルキルポリエーテル硫酸エステルNa塩、天然アルコールのエチレンオキシド付加体の硫酸エステルのアミン塩、天然アルコールのエチレンオキシド付加体の硫酸エステルのナトリウム塩、合成アルコールのエチレンオキシド付加体の硫酸エステルのアミン塩、合成アルコールのエチレンオキシド付加体の硫酸エステルのナトリウム塩、アルキルフェノールのエチレンオキシド付加体の硫酸エステルのアミン塩、アルキルフェノールのエチレンオキシド付加体の硫酸エステルのナトリウム塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルの硫酸エステルのアミン塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルの硫酸エステルのナトリウム塩、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテルの硫酸エステルのアミン塩、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテルの硫酸エステルのナトリウム塩等の硫酸エステル塩類;各種アルキルアリルスルホン酸のアミン塩、各種アルキルアリルスルホン酸のナトリウム塩、ナフタレンスルホン酸のアミン塩、ナフタレンスルホン酸のナトリウム塩、各種アルキルベンゼンスルホン酸のアミン塩、各種アルキルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩、ナフタレンスルホン酸縮合物、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物等のスルホン酸塩類;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルスルホン酸のアミン塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルスルホン酸のナトリウム塩、ポリオキシエチレン特殊アリルエーテルスルホン酸のアミン塩、ポリオキシエチレン特殊アリルエーテルスルホン酸のナトリウム塩、ポリオキシエチレントリデシルフェニルエーテルスルホン酸のアミン塩、ポリオキシエチレントリデシルフェニルエーテルスルホン酸のナトリウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸のアミン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸のナトリウム塩等のポリオキシアルキレン系スルホン酸塩類;ジアルキルスルホサクシネートのアミン塩、ジアルキルスルホサクシネートのナトリウム塩、多環フェニルポリエトキシスルホサクシネートのアミン塩、多環フェニルポリエトキシスルホサクシネートのナトリウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸モノエステルのアミン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸モノエステルのナトリウム塩等のスルホコハク酸エステル塩類;アルキルリン酸エステル、アルコキシアルキルリン酸エステル、高級アルコールリン酸エステル、高級アルコールリン酸塩、アルキルフェノール型リン酸エステル、芳香族リン酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアリルエーテルリン酸エステル等のリン酸エステル類及びリン酸塩類が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、一般式
RN+(CH3)3・X−
(式中、Rは、オレイル基、オクチル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基又はオクタデシル基であり、X−は、ハロゲン化物イオン又は酢酸イオンである)で表されるアルキルトリメチルアミン系4級アンモニウム塩類;テトラメチルアミン系塩、テトラブチルアミン塩等の4級アンモニウム塩類;ラウリルジメチルベンジルアンモニウム塩(ハライド塩等)、ステアリルジメチルベンジルアンモニウム塩(ハライド塩等)、ドデシルジメチルベンジルアンモニウム塩(ハライド塩等)等のベンジルアミン系4級アンモニウム塩類;一般式
H(OCH2CH2)mN−R(CH3)(CH2CH2O)n・X−
(式中、Rは、オレイル基、オクチル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基又はオクタデシル基であり、X−は、ハロゲン化物イオンであり、m及びnは、それぞれ独立に、1以上の整数である)で表されるポリオキシアルキレン系4級アンモニウム塩類が挙げられる。
両性界面活性剤としては、各種ベタイン型界面活性剤、各種イミダゾリン系界面活性剤、β−アラニン型界面活性剤、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン塩酸塩等が挙げられる。
また、保護コロイド剤は、分散媒3に可溶であれば、特に限定されない。
また、本発明に係る電気泳動液においては、着色透明分散媒3中での白色の電気泳動粒子1の電気移動度は、着色透明分散媒3中での所定の色の電気泳動粒子2の電気移動度と異なることが好ましい。
このように、電気泳動粒子1の移動度と電気泳動粒子2の電気移動度が異なるものとすることにより、電気移動度の違いを利用して電気泳動粒子1の層と電気泳動粒子2の層とを分離して積層することが可能となる。
すなわち、単に表示面側に電気泳動粒子1と電気泳動粒子2を移動させると、ふたつの粒子が混合した層となるので、電気泳動粒子2の色となってしまう。本発明のように、電気移動度の違いを利用することにより、後述するように、電気泳動粒子1の層/電気泳動粒子2の層の順に表示面側に積層させ白色表示させること(図19参照)や、電気泳動粒子2の層/電気泳動粒子1の層の順に表示面側に積層させ、色濃度の濃い電気泳動粒子2の色を表示させること(図20参照)ができるようになる。また、表示面の反対面に電気泳動粒子2の層/電気泳動粒子1の層の順に積層させ、分散媒を透過した波長の光を電気泳動粒子1の層で反射させることにより、分散媒3の色を表示させること(図23参照)ができるようになる。
2.画像表示媒体
次に、本発明に係る画像表示媒体について説明する。本発明に係る画像表示媒体(表示素子)は、上述の電気泳動液と、画像表示側(視野側、図面における上側)に設けられる透明な第1の電極と、該第1の電極に対向して設けられる第2の電極とを有するものである。
図3に、本実施形態の画像表示媒体20を示す。画像表示媒体は、少なくとも1サブピクセル(表示素子)からなるが、本実施形態の画像表示媒体20は、サブピクセル11(第1のサブピクセル11a、第2のサブピクセル11b、第3のサブピクセル11c)を複数有するものである。それぞれのサブピクセル11a〜cは、透明な第1の共通電極12が形成された透明基板13と、第2の電極14が所定の間隔を隔てて形成された薄膜トランジスタ基板22が、電気泳動液10及び隔壁を介して、対向して配置されている。電気泳動液10は、白色の電気泳動粒子1、カラーの電気泳動粒子2が、補色に着色された分散媒3中に分散されている。なお、薄膜トランジスタ基板22は、ソース電極15、ゲート電極16、ドレイン電極17、半導体層18、絶縁層19からなり、また、21は絶縁体である。
第1の電極12としては、透明であれば、特に限定されないが、ITO、SnO2、ZnO/Al等の薄膜(透明導電膜)が挙げられる。なお、第1の電極12は、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等により形成することができる。
第1の電極12が形成される基板13としては、特に限定されないが、ガラス板、PET(ポリエステル)フィルム、PES(ポリエーテルスルホン)フィルム、PEN(ポリエチレンナフタレート)フィルム等が挙げられる。
第2の電極14としては、特に限定されないが、薄膜、薄膜トランジスタ構造の電極部分を形成するITO、SnO2、ZnO/Al、Ag等が挙げられる。第2の電極14は薄膜トランジスタのドレイン電極17に接続される。
薄膜トランジスタが形成される基板としては、特に限定されないが、ガラス板、シリコン基板、PET(ポリエステル)フィルム、PES(ポリエーテルスルホン)フィルム、PEN(ポリエチレンナフタレート)フィルム等が挙げられる。
図4に、隔壁の一例を示す。図4に示す例では、隔壁の形状は、ハニカム構造であるが、特に限定されない。なお、画像表示媒体20をフルカラー表示用として用いる場合は、各サブピクセル11が、それぞれイエロー&ブルー、マゼンタ&グリーン、及びシアン&レッドを発色することが可能な電気泳動液10を内包することが好ましい。このとき、同じ色を発色することが可能な電気泳動液が隣接しないように配置することが好ましい。
隔壁は、壁厚が0.5〜20μm、高さが30〜200μm、セル間のピッチが30〜200μmであることが好ましい。隔壁は、フォトリソグラフィーにより形成することができる。また、隔壁は、例えば、六方最密に配置された凹部を有する基板上に樹脂を塗布した後、発泡させることにより形成することができる。
隔壁を構成する樹脂としては、特に限定されないが、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリ尿素−ポリウレタン、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリスルホンアミド、ポリカーボネート、ポリスルフィネート、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ゼラチン等の樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ノボラック樹脂、ポリスチレン等をベースとしたフォトレジスト等が挙げられる。
封止膜を形成する際に用いられる樹脂としては、特に限定されないが、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリ尿素−ポリウレタン、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリスルホンアミド、ポリカーボネート、ポリスルフィネート、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ゼラチン等が挙げられる。
画像表示媒体20は、電気泳動液10を駆動させて、白、黒、所定の色、および所定の色に対し補色の色を表示させることが可能となる。特許文献5に記載の発明では、ひとつのサブピクセルで表示可能な色相は3種類であるため、本発明によれば、従来技術に比して、色再現範囲が広い画像表示媒体とすることができる。
異なる色を表示することができる3種類のサブピクセルを1ピクセルとしたときの画像表示媒体20について以下、説明する。
図5は、イエローの電気泳動粒子2yとブルーに着色されている分散媒3bからなるサブピクセル(第1のサブピクセル11a)、マゼンタの電気泳動粒子2mとグリーンに着色された分散媒3gからなるサブピクセル(第2のサブピクセル11b)、シアンの電気泳動粒子2cとレッドに着色された分散媒3rからなるサブピクセル(第3のサブピクセル11c)、以上3種類のサブピクセル11a〜cを1ピクセルとした画像表示媒体20である。
なお、カラー電気泳動粒子2および分散媒3の色は、図5に示す例に限られるものではなく、例えば、ブルーの電気泳動粒子とイエローに着色された分散媒からなるサブピクセル、レッドの電気泳動粒子とシアンに着色された分散媒からなるサブピクセル、グリーンの電気泳動粒子とマゼンタに着色されている分散媒からなるサブピクセル、以上3種類のサブピクセルを1ピクセルとした画像表示媒体とすることも好ましい。
図5に示す画像表示媒体20において、レッドの色相を表現する場合、第1のサブピクセル11aをイエロー、第2のサブピクセル11bをマゼンタ、第3のサブピクセル11cをレッドにする。レッドの吸収波長は400〜600nmであり、第1のサブピクセル11aはレッドの吸収波長の一部の400〜500nm(イエローの吸収波長)の光を吸収し、第2のサブピクセル11bはレッドの吸収波長の一部の500〜600nm(マゼンタの吸収波長)の光を吸収するので、第1および第2のサブピクセルでレッドを表示する。第3のサブピクセル11cは、レッドそのものを表示することが可能である。従って、理想的に赤を表現したい場合に比べて、約2/3の光量を吸収することができる。図6に、このときの模式図を示す。
これに対し、特許文献5に記載の発明において赤の色相を表現する場合、もともと赤の分散粒子が存在しないため、赤の吸収波長である400nmから600nmの一部を吸収するイエロー(400nm〜500nmの光を吸収)とマゼンタ(500nm〜600nmの光を吸収)の粒子が視野側の電極にある場合で色相を表現することになる。理想的には、三種類のセル全てで赤の吸収波長の光を吸収するのが望ましいため、吸収される光は理想的に赤を表現したい場合に比べて、約1/3の光量しか吸収しないことになり、非常に薄い赤色にならざるを得ない。
したがって、本実施形態の画像表示媒体20によれば、特許文献5に記載の発明に比して2倍の光量を吸収することが可能になるため、理想的なレッドに近くなる。
また、グリーン、ブルー、イエロー、マゼンタ、シアンを表現したい場合にも同様である。このときの模式図を図7(グリーン)、図8(ブルー)、図9(イエロー)、図10(マゼンタ)、図11(シアン)にそれぞれ示す。また、白黒表示の模式図を図12(白)、図13(黒)に示す。
このように、本発明に係る画像表示媒体によれば、これまでの三種類の色相をもつセルを並置する構成の欠点であった「白黒を正しくと表現でき、且つ、広いカラーの色範囲を表現可能な方式は無い」という根本的な問題を解決することができ、カラーの文書情報の表示などに非常に適した画像表示媒体とすることができる。また、特許文献4で開示されているような積層構造をとることが無いため、構成が簡単であり、且つ、TFTも積層構造の各層ごとに設ける必要がないため、特許文献4で開示されている構成に対して、大幅なコストダウンが可能になる。
次に、画像表示媒体20の製造方法について説明する。まず、第1の電極12が形成された透明基板13に隔壁を形成した後、各サブピクセル11に電気泳動液を注入する。次に、電気泳動液10の乾燥を防ぐため、スリットコーター等の塗布装置を用いて、電気泳動液10に不溶の樹脂を塗布することにより、電気泳動液上に封止膜を形成する。このとき、電気泳動液10との表面張力を小さくするため、電気泳動液10に不溶の樹脂に界面活性剤を添加してもよい。次に、封止膜上に、第2の電極14が形成された薄膜トランジスタ基板22を接着させることにより、画像表示媒体20が得られる。
図14に、本発明に係る画像表示媒体の他の例を示す。なお、図14において、図5と同一の構成については、同一の符号を付して、説明を省略する。図14の画像表示媒体20は、マイクロカプセル23a〜cを複数有する。マイクロカプセル23a〜cは、透明な第1の電極12が形成された透明基板13と、第2の電極14が形成された基板22が、電気泳動液10を内包したマイクロカプセル及び接着支持層を介して、対向して配置されている。
この画像表示媒体20は、マイクロカプセルと、接着支持層となる接着剤を混合した混合物を、第1の電極12が形成された透明基板13に塗布し、第2の電極14が形成された基板22と張り合わせることにより得られる。塗布方法としては、特に限定されないが、ブレード、ワイヤーバー、ディッピング、スピンコート等が挙げられる。
マイクロカプセルを構成する材料としては、特に限定されないが、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリ尿素−ポリウレタン、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリスルホンアミド、ポリカーボネート、ポリスルフィネート、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ゼラチン等が挙げられる。なお、マイクロカプセルは、in−situ法、界面重合法、コアセルベーション法等により形成することができる。また、マイクロカプセルは、外径が30〜200μmであることが好ましい。
また、接着支持層は、第1の電極12、第2の電極14に接着する材料であれば、特に限定されないが、透明であり、電気的絶縁性に優れることが好ましく、無溶剤型の硬化材料が特に好ましい。このような材料としては、光硬化型のエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。
3.画像表示装置
次に、本発明に係る画像表示装置を図15に基づき説明する。図15に示されるように、本実施形態の画像表示装置30は、上述の画像表示媒体を備えるものである。さらに、画像表示装置30は、情報入力手段31,図示しない駆動回路、演算回路、内部メモリ、画像表示媒体及び情報入力手段に電力を供給する電力供給手段等を備えている。画像表示装置30は、画像表示媒体の指定のピクセルを発色させることにより、画像を表示する。なお、図15において、32は筺体である。また、電力供給手段としては、電池等の内部電力を備えていても、外部の電源から受電するコンセントなどの受電装置でも良い。本発明に係る画像表示媒体を備えた画像表示装置によれば、表現可能な色再現範囲が広い画像表示装置とすることができる。
4.画像表示方法
以下、上述の画像表示媒体または画像表示装置による画像表示方法(本発明に係る画像表示方法)について説明する。
電気移動度の異なる電気泳動粒子1及び電気泳動粒子2に、中心電圧が0Vでない矩形波の電圧を加電することにより、電気泳動粒子1及び電気泳動粒子2の並び替えが発生する。すなわち、電気移動度の小さい電気泳動粒子が矩形波の電圧変化に追従して電気泳動することができず、電気泳動粒子1と電気泳動粒子2とが分離する。電気泳動粒子が負帯電の場合、中心電圧が負の矩形波を第2の電極14に加電すると第1の電極12近傍で粒子の並び替えを行うことができる。また、電気泳動粒子が負帯電の場合、中心電圧が正の矩形波を第2の電極14に加電すると第2の電極14近傍で粒子の並び替えを行うことができる。
また、電気泳動粒子1および電気泳動粒子2の電気極性と同じ極性の電圧を第2の電極14に加電することにより、電気泳動粒子1および電気泳動粒子2が第2の電極14から反発され、第1の電極12へ移動、集積する。このとき、電気泳動粒子1と電気泳動粒子2が混じりあって、第1の電極12に集積する。このとき、図16に示すように、電気泳動粒子2の色となる。ここで、電気泳動粒子1および電気泳動粒子2を第1の電極12に集積させてから、上述のように第2の電極14に中心電圧が0Vでない矩形波の電圧を加電することで、電気泳動粒子1の層と電気泳動粒子2の層を分離することができる。この場合に、どちらの粒子が第1の電極12側に配置するかは、電気泳動粒子の移動度および後述する矩形波の電圧パターンに依存する。
本実施形態では、電気泳動粒子1および電気泳動粒子2が負の電荷を有し、電気泳動粒子1の電気移動度よりも電気泳動粒子2の電気移動度が大きい場合を例に、電気泳動粒子1、電気泳動粒子2の各層の分離の方法について以下、説明する。
矩形波の電圧のパターンの例を図17と図18に示す。図17のパターンは、−15Vから5Vの電圧変化で、パルス幅が10msecのパルスの10Hzの周期のパターンである。図18のパターンは、−15Vから5Vの電圧変化で、パルス幅が90msecのパルスの10Hzの周期のパターンである。
先ず、電気泳動粒子1の色である白色を表示する方法を説明する。まず、第2の電極14に−10Vを加電し、第1の電極12に電気泳動粒子1と電気泳動粒子2を集積させ、図16に示す状態にする。続いて、第2の電極14に図17に示す電圧パターンを加電する。電気泳動粒子1と電気泳動粒子2が混ざった状態で第1の電極12に集積しているが、電気泳動粒子1と電気泳動粒子2の電気移動度が異なるため、図17の電圧パターンにより電気泳動粒子1と電気泳動粒子2の並び替えが発生する。最終的に電気移動度の小さい電気泳動粒子1が第1の電極12側に移動し、表示面が電気泳動粒子1の白色となる。白色となった時点で、第2の電極14に加電する電圧を−10Vへもどすか、あるいは第1の電極12と同様に接地状態とする。このときの状態を図19に示す。
次に、電気泳動粒子2の色を表示する方法を説明する。まず、第2の電極14に−10Vを加電し、第1の電極12に電気泳動粒子1と電気泳動粒子2を集積させ、図16に示す状態にする。続いて、第2の電極14に図18に示す電圧パターンを加電する。パルス幅が図17と異なるため、電気泳動粒子1と電気泳動粒子2の並び替えの順番が異なる。図18の電圧パターンのときは、電気移動度の大きい電気泳動粒子2が第1の電極側12に移動し、表示面が電気泳動粒子2の色となる。電気泳動粒子2の色となった時点で、第2の電極14に加電する電圧を−10Vへもどすか、あるいは第1の電極12と同様に接地状態とする。このときの状態を図20に示す。
図20の状態では、図16の状態により表示される電気泳動粒子2の色よりも濃い色濃度にすることができる。更に、図18の電圧パターンを加電する時間を変えることにより、電気泳動粒子2の色の濃度を制御することが可能となる。
このように、電気泳動粒子1および電気泳動粒子2を第1の電極12に集積させてから、第2の電極14に中心電圧が0Vでない矩形波の電圧を加電することにより、第1の電極上で電気泳動粒子1と電気泳動粒子2の並び替えを行うことができる。さらに、電圧パターンを変えることにより白表示と色表示の切り替えや、加電する時間を変えることにより色表示の濃度を制御することができる。
なお、本実施形態では、電気泳動粒子1および電気泳動粒子2が負の電荷を有し、電気泳動粒子1の電気移動度よりも電気泳動粒子2の電気移動度が大きい場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。
一方、電気泳動粒子1および電気泳動粒子2の電気極性と異なる極性の電圧を第2の電極14に加電することにより、電気泳動粒子1および電気泳動粒子2が第2の電極14へ引き寄せられ、第2の電極14へ移動、集積する。このとき、電気泳動粒子1と電気泳動粒子2が混じりあって、第2の電極14に集積し、図21に示すように、黒色となる。
ここで、電気泳動粒子1および電気泳動粒子2を第2の電極14に集積させてから、上述のように第2の電極14に中心電圧が0Vでない矩形波の電圧を加電することで、電気泳動粒子1の層と電気泳動粒子2の層を分離することができる。
本実施形態では、電気泳動粒子1および電気泳動粒子2が負の電荷を有し、電気泳動粒子1の電気移動度よりも電気泳動粒子2の電気移動度が大きい場合を例に、電気泳動粒子1、電気泳動粒子2の各層の分離の方法について以下、説明する。
矩形波の電圧のパターンの例を図22に示す。図22のパターンは、−5Vから15Vの電圧変化で、パルス幅が10msecのパルスの10Hzの周期のパターンである。
着色された溶媒3の色の表示する方法について説明する。まず、第2の電極14に10Vを加電し、第2の電極14に電気泳動粒子1と電気泳動粒子2を集積させ、図21に示す状態にする。続いて、第2の電極14に図22に示す電圧パターンを加電する。
電気泳動粒子1と電気泳動粒子2が混ざった状態で第2の電極14に集積しているが、電気泳動粒子1と電気泳動粒子2の電気移動度が異なるため、図22の電圧パターンにより電気泳動粒子1と電気泳動粒子2の並び替えが発生する。最終的に電気移動度の大きい電気泳動粒子2が第2の電極側に移動する。
すなわち、表示面の反対面に電気泳動粒子2の層/電気泳動粒子1の層の順に積層させ、分散媒を透過した波長の光を電気泳動粒子1の層で反射させることにより、表示面から見ると分散媒3の色を見ることができる。表示面が分散媒3の色となった時点で、第2の電極14に加電する電圧を10Vへもどすか、あるいは第1の電極12と同様に接地状態とする。このときの状態を図23に示す。
このように、電気泳動粒子1および電気泳動粒子2を第2の電極14に集積させてから、上述のように第2の電極14に中心電圧が0Vでない矩形波の電圧を加電することで、第2の電極14上で電気泳動粒子1と電気泳動粒子2の並び替えを行うことができる。並び替えることにより、表示面を黒から溶媒3の色へ切り替えることができる。
なお、本実施形態では、電気泳動粒子1および電気泳動粒子2が負の電荷を有し、電気泳動粒子1の電気移動度よりも電気泳動粒子2の電気移動度が大きい場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。
尚、上述の実施形態は本発明の好適な実施の例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。なお、部は、質量部を意味する。
[白色の正帯電電気泳動粒子の作製]
撹拌機を備えた反応容器にエタノール30部及び水3部からなる混合溶媒を入れた後、塩化アンモニウムを加えてpHを9.5に調整した。次に、3−(トリメトキシシリル)プロピルアミン4部を加えて溶解させた後、酸化チタン2.5部を加えて10分間攪拌した。さらに、エタノール180部を加えて攪拌した後、遠心分離により固形分を回収し、1昼夜放置した。次に、70℃で4時間真空乾燥し、表面処理酸化チタンを得た。
撹拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応容器にトルエン2.5部を入れた後、2エチルヘキシルメタクリレート3部を加えて溶解させた。次に、表面処理酸化チタン2.5部及びアゾビスイソブチロニトリル0.03部を溶解させたトルエン0.01部を加え、窒素雰囲気下、70℃で7時間加熱攪拌した。さらに、遠心分離を繰り返すことにより固形分をテトラヒドロフランで洗浄した後、70℃で4時間真空乾燥し、平均粒径が400nmの白色の電気泳動粒子を得た。
白色の電気泳動粒子は、界面活性剤のSolsperse17000(アビシア社製)を添加したIsoparG、H、L(エクソンモービル社製)中で良好な分散性を示し、対向する電極の間に2kV/cmの電界を印加した場合に、正帯電の電気泳動粒子の挙動を示した。
[白色の負帯電電気泳動粒子の作製]
撹拌機を備えた反応容器にエタノール93部及び水7部からなる混合溶媒を入れた後、氷酢酸を加えてpHを4.5に調整した。次に、メタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル16部を加えて溶解させた後、酸化チタン100部を加えて10分間攪拌した。さらに、エタノール180部を加えて攪拌した後、遠心分離により固形分を回収し、1昼夜放置した。次に、70℃で4時間真空乾燥し、表面処理酸化チタンを得た。
撹拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応容器にトルエン70部を入れた後、メタクリル酸ラウリル50部を加えて溶解させた。次に、表面処理酸化チタン40部及びアゾビスイソブチロニトリル0.3部を溶解させたトルエン25部を加え、窒素雰囲気下、70℃で7時間加熱攪拌した。さらに、遠心分離を繰り返すことにより固形分をトルエンで洗浄した後、70℃で4時間真空乾燥し、平均粒径が400nmの白色の電気泳動粒子を得た。
白色の電気泳動粒子は、界面活性剤のSolsperse17000(アビシア社製)を添加したIsoparG、H、L(エクソンモービル社製)中で良好な分散性を示し、対向する電極の間に2kV/cmの電界を印加した場合に、負帯電の電気泳動粒子の挙動を示した。
[イエロー色の正帯電電気泳動粒子の作製]
攪拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応容器に水100部、モノアゾ顔料(PY−74)4部、37質量%塩酸0.1部及び4−ビニルアニリン0.1部を入れて攪拌した。次に、亜硝酸ナトリウム0.05部を水0.35部に溶解させた液を1時間程度で滴下した。さらに、65℃まで昇温して3時間攪拌した後、室温まで冷却して1昼夜攪拌した。次に、遠心分離により固形分を回収した後、固形分を水中に分散させた。さらに、遠心分離により固形分を回収し、1昼夜放置した後、40℃で4時間真空乾燥し、表面処理カーボンブラックを得た。
攪拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応容器に表面処理モノアゾ顔料50部、トルエン100部、メタクリル酸2−エチルヘキシル100部及びアゾビスイソブチロニトリル0.65部を入れて、攪拌した。次に、窒素雰囲気下、70℃で7時間加熱攪拌した後、室温まで冷却した。さらに、テトラヒドロフラン500部加えて攪拌した後、メタノール3000部を加えて再沈し、吸引ろ過することにより、固形分を回収した。次に、遠心分離を繰り返すことにより固形分をテトラヒドロフランで洗浄した後、70℃で4時間真空乾燥し、平均粒径が400nmのイエローの電気泳動粒子を得た。
イエローの電気泳動粒子は、Solsperse17000(アビシア社製)を添加したIsoparG、H、L(エクソンモービル社製)中で良好な分散性を示し、対向する電極の間に2kV/cmの電界を印加した場合に、正帯電の電気泳動粒子の挙動を示した。
[マゼンタ色の正帯電電気泳動粒子の作製]
攪拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応容器に水100部、キナクリドン顔料(PR−122)4部、37質量%塩酸0.1部及び4−ビニルアニリン0.1部を入れて攪拌した。次に、亜硝酸ナトリウム0.05部を水0.35部に溶解させた液を1時間程度で滴下した。さらに、65℃まで昇温して3時間攪拌した後、室温まで冷却して1昼夜攪拌した。次に、遠心分離により固形分を回収した後、固形分を水中に分散させた。さらに、遠心分離により固形分を回収し、1昼夜放置した後、40℃で4時間真空乾燥し、表面処理カーボンブラックを得た。
攪拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応容器に表面処理キナクリドン顔料50部、トルエン100部、メタクリル酸2−エチルヘキシル100部及びアゾビスイソブチロニトリル0.65部を入れて、攪拌した。次に、窒素雰囲気下、70℃で7時間加熱攪拌した後、室温まで冷却した。さらに、テトラヒドロフラン500部加えて攪拌した後、メタノール3000部を加えて再沈し、吸引ろ過することにより、固形分を回収した。次に、遠心分離を繰り返すことにより固形分をテトラヒドロフランで洗浄した後、70℃で4時間真空乾燥し、平均粒径が300nmのマゼンタの電気泳動粒子を得た。
マゼンタの電気泳動粒子は、Solsperse17000(アビシア社製)を添加したIsoparG、H、L(エクソンモービル社製)中で良好な分散性を示し、対向する電極の間に2kV/cmの電界を印加した場合に、正帯電の電気泳動粒子の挙動を示した。
[シアン色の正帯電電気泳動粒子の作製]
攪拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応容器に水100部、フタロシアニン顔料(FG−7351)4部、37質量%塩酸0.1部及び4−ビニルアニリン0.1部を入れて攪拌した。次に、亜硝酸ナトリウム0.05部を水0.35部に溶解させた液を1時間程度で滴下した。さらに、65℃まで昇温して3時間攪拌した後、室温まで冷却して1昼夜攪拌した。次に、遠心分離により固形分を回収した後、固形分を水中に分散させた。さらに、遠心分離により固形分を回収し、1昼夜放置した後、40℃で4時間真空乾燥し、表面処理カーボンブラックを得た。
攪拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応容器に表面処理フタロシアニン顔料50部、トルエン100部、メタクリル酸2−エチルヘキシル100部及びアゾビスイソブチロニトリル0.65部を入れて、攪拌した。次に、窒素雰囲気下、70℃で7時間加熱攪拌した後、室温まで冷却した。さらに、テトラヒドロフラン500部加えて攪拌した後、メタノール3000部を加えて再沈し、吸引ろ過することにより、固形分を回収した。次に、遠心分離を繰り返すことにより固形分をテトラヒドロフランで洗浄した後、70℃で4時間真空乾燥し、平均粒径が400nmのシアンの電気泳動粒子を得た。
シアンの電気泳動粒子は、Solsperse17000(アビシア社製)を添加したIsoparG、H、L(エクソンモービル社製)中で良好な分散性を示し、対向する電極の間に2kV/cmの電界を印加した場合に、正帯電の電気泳動粒子の挙動を示した。
[レッド色の負帯電電気泳動粒子の作製]
攪拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応容器に、IsoparH(エクソンモービル社製)を250部、ラウリルメタクリレート68部、グリシジルメタクリレート2部、アリルメタクリレート1部、メタクリル酸0.3部、過酸化物系重合開始剤1部を入れ、窒素雰囲気下90℃で、6時間攪拌した後、室温まで冷却して1昼夜攪拌した。この溶液へピリジン0.01部を入れ、90℃で1時間攪拌後、メタクリル酸メチル8部、アゾ系重合開始剤0.5部を入れ、窒素雰囲気下90℃で2時間攪拌を行い、室温へ冷却する。
上記作製溶液40部と赤色分散染料(Disperse Red 92)40部を混合し、72時間ボールミルで分散を行ない、平均粒径が150nmのレッドの電気泳動粒子を得た。
レッドの電気泳動粒子は、IsoparG、H、L(エクソンモービル社製)中で良好な分散性を示し、対向する電極の間に2kV/cmの電界を印加した場合に、負帯電の電気泳動粒子の挙動を示した。
[グリーン色の負帯電電気泳動粒子の作製]
攪拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応容器に、IsoparH(エクソンモービル社製)を250部、ラウリルメタクリレート68部、グリシジルメタクリレート2部、アリルメタクリレート1部、メタクリル酸0.3部、過酸化物系重合開始剤1部を入れ、窒素雰囲気下90℃で、6時間攪拌した後、室温まで冷却して1昼夜攪拌した。この溶液へピリジン0.01部を入れ、90℃で1時間攪拌後、メタクリル酸メチル8部、アゾ系重合開始剤0.5部を入れ、窒素雰囲気下90℃で2時間攪拌を行い、室温へ冷却する。
上記作製溶液40部と緑色分散染料(Disperse Green 9)40部を混合し、72時間ボールミルで分散を行ない、平均粒径が150nmのグリーンの電気泳動粒子を得た。
グリーンの電気泳動粒子は、IsoparG、H、L(エクソンモービル社製)中で良好な分散性を示し、対向する電極の間に2kV/cmの電界を印加した場合に、負帯電の電気泳動粒子の挙動を示した。
[ブルー色の負帯電電気泳動粒子の作製]
攪拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応容器に、IsoparH(エクソンモービル社製)を250部、ラウリルメタクリレート68部、グリシジルメタクリレート2部、アリルメタクリレート1部、メタクリル酸0.3部、過酸化物系重合開始剤1部を入れ、窒素雰囲気下90℃で、6時間攪拌した後、室温まで冷却して1昼夜攪拌した。この溶液へピリジン0.01部を入れ、90℃で1時間攪拌後、メタクリル酸メチル8部、アゾ系重合開始剤0.5部を入れ、窒素雰囲気下90℃で2時間攪拌を行い、室温へ冷却する。
上記作製溶液40部と青色分散染料(Disperse Blue 73)40部を混合し、72時間ボールミルで分散を行ない、平均粒径が150nmのブルーの電気泳動粒子を得た。
ブルーの電気泳動粒子は、IsoparG、H、L(エクソンモービル社製)中で良好な分散性を示し、対向する電極の間に2kV/cmの電界を印加した場合に、負帯電の電気泳動粒子の挙動を示した。
<実施例1>
染料のオイルイエロー3G(Ardrich社製)を0.1〜0.4質量%、染料のキノリンイエロー(Ardrich社製)を0.1〜0.2質量%、上記作製のブルーの負帯電電気泳動粒子を3〜6質量%、及びIsoparG残余からなる電気泳動液(1)を調製した。
染料のスーダンレッド7B(Ardrich社製)を0.2〜0.6質量%、上記作製のグリーンの負帯電電気泳動粒子を3〜6質量%、及びIsoparG残余からなる電気泳動液(2)を調製した。
染料のオイルブルーN(Ardrich社製)を0.3〜0.8質量%、染料のオイルグリーン502(Ardrich社製)を2〜10質量%、上記作製のレッドの負帯電電気泳動粒子を3〜6質量%、及びIsoparG残余からなる電気泳動液(3)を調製した。
上記作製の白色の負帯電電気泳動粒子を10〜20質量%、Solsperse17000(アビシア社製)0.2〜0.5質量%及びIsoparG残余からなる電気泳動液(4)を調製した。
ITOの導電膜付のガラス基板上にフォトレジストSU−8(日本化薬マイクロ社製)を用いて、フォトリソグラフィーにより隔壁を形成する。隔壁は、厚さが5〜15μm、高さが40〜100μmであり、図4に示すようなハニカム状に、ピッチが200μmとなるように形成する。
各セルに電気泳動液(1)から(3)をディスペンサーを使って注液を行う。隣接するセルで電気泳動液の種類が異なるように液を配置する。注液後、溶媒のIsoparを蒸発させ、各セルの染料および電気泳動粒子を乾燥、あるいは半乾燥状態にする。
全てのセルに、電気泳動液(4)をスキージを用いて注液を行う。あらかじめ、フッ素系の表面改質剤で処理された透明フィルムに紫外線硬化樹脂塗付しておき、電気泳動液(4)の注液後すぐに上記透明フィルムで封止し、紫外線を照射して、樹脂で完全に封止を行う。紫外線硬化樹脂が硬化後、透明フィルムの剥離を行う。
このようにして、電気泳動液を内包するセルからなるシートを形成し、薄膜トランジスタが形成された基板と位置合わせ及び接合を行い、画像表示媒体が完成する。
<実施例2>
染料のオイルブルーN(Ardrich社製)を0.3〜0.8質量%、上記作製のイエローの正帯電電気泳動粒子を3〜6質量%、Solsperse17000(アビシア社製)0.2〜0.5質量%及びIsoparG残余からなる電気泳動液(5)を調製した。
染料のオイルグリーン502(Ardrich社製)4〜10質量%、上記作製のマゼンタの正帯電電気泳動粒子を3〜6質量%、Solsperse17000(アビシア社製)0.2〜0.5質量%及びIsoparG残余からなる電気泳動液(6)を調製した。
染料のオイルレッド5B(Ardrich社製)を0.2〜0.6質量%、染料のスーダンレッド7B(Ardrich社製)を0.2〜0.6質量%、上記作製のシアンの正帯電電気泳動粒子を3〜6質量%、Solsperse17000(アビシア社製)0.2〜0.5質量%及びIsoparG残余からなる電気泳動液(7)を調製した。
上記作製の白色の正帯電電気泳動粒子を10〜20質量%、Solsperse17000(アビシア社製)0.2〜0.5質量%及びIsoparG残余からなる電気泳動液(8)を調製した。
ITOの導電膜付のガラス基板上にフォトレジストSU−8(日本化薬マイクロ社製)を用いて、フォトリソグラフィーにより隔壁を形成する。隔壁は、厚さが5〜15μm、高さが40〜100μmであり、図4に示すようなハニカム状に、ピッチが200μmとなるように形成する。
各セルに電気泳動液(5)から(7)をディスペンサーを使って注液を行う。隣接するセルで電気泳動液の種類が異なるように液を配置する。注液後、溶媒のIsoparを蒸発させ、各セルの染料および電気泳動粒子を乾燥、あるいは半乾燥状態にする。
全てのセルに、電気泳動液(8)をスキージを用いて注液を行う。あらかじめ、フッ素系の表面改質剤で処理された透明フィルムに紫外線硬化樹脂塗付しておき、電気泳動液(8)の注液後すぐに上記透明フィルムで封止し、紫外線を照射して、樹脂で完全に封止を行う。紫外線硬化樹脂が硬化後、透明フィルムの剥離を行う。
このようにして、電気泳動液を内包するセルからなるシートを形成し、薄膜トランジスタが形成された基板と位置合わせ及び接合を行い、画像表示媒体が完成する。
<比較例>
比較例の画像表示媒体は、特許文献5の図4の構成としたものであり、その構成は、次のとおりである。すなわち、図24に示すように、透明な第1の電極と第2及び第3の電極とが電気泳動表示媒体を介して対向して配置されており、第1の電極を配置した面が電気泳動表示素子の表示面となり第2及び第3の電極は表示面とほぼ反対側に配置された単位素子が3個配置されたものである。この場合、3つの素子81,82,83は白の粒子91、黒の粒子92を有し、それぞれ第3の分散粒子としてイエロー粒子93、マゼンタ粒子94、シアン粒子95を有している。そして、それぞれの素子81,82,83は、第1の電極84を共有し、第1の電極84に対して第2の電極85,87,89、第3の電極86,88,90をそれぞれに制御されている。
表1に、本発明の画像表示媒体と、従来技術の表示素子で得られるカラー表示の各波長における原理的な反射率を示す。400〜500nm、500〜600nm、600〜700nmの3つの波長領域に分けて、表示色における波長領域ごとの反射率を評価した。なお、実質的な反射率は、各構成におけるセルや電極のサイズ、透明導電膜やセルの光吸収、製法の違いなどにより原理的な反射率とは異なるため、ここでは「理想的な表示素子」の場合を対象波長領域で100%とする相対評価とした。すなわち、この値に近いほど、色再現範囲が高いことを意味する。
表1において、マゼンタとレッドの色の反射率を示しているが、他の色に関しても同等なので省略している。実施例1及び実施例2のマゼンタは各サブピクセルをブルー/マゼンタ/レッド表示にしたとき、レッドは各サブピクセルをイエロー/マゼンタ/レッド表示にしたときの反射率である。比較例のマゼンタは各サブピクセルを白/マゼンタ/白表示にしたとき、レッドは各サブピクセルをイエロー/マゼンタ/白表示にしたときの反射率である。