JP5321239B2 - Ledを光源とする照明装置反射板用難燃性ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、光源としてLEDや半導体レーザー等の半導体発光素子を用いた照明装置に用いられる反射板用の難燃ポリエステル樹脂組成物に関するものである。
最近、光源としてLED素子等の半導体発光素子(以下、単にLEDと言うことがある。)を光源として用いた、照明・表示装置等の開発が盛んに行われている。LEDは白熱電灯や蛍光灯に比して小型であり、長寿命、高発光効率で省電力性に優れるという特徴がある。
照明・表示灯等の装置には、大きな照度を得るために、表面実装型LEDパッケージ、即ち例えばアルミニウム等の金属製のベース基板(LED実装用基板:反射板)上に複数のLED素子を配置し、各LEDの周りに光を所定方向に反射させるリフレクターを配設する方式が多用されている。
LED実装用基板である反射板は、種々の材料で製作し得るが、中でも製作が容易で且つ軽量な点で、樹脂製の反射板が好んで用いられる傾向がある。また樹脂製の基材にアルミニウムなどを蒸着させて反射効率を高めたものも、用いられている。
そして近年のLEDは、光の三原色である赤(R;630nm)、緑(G;525nm)、青(B;470nm)の再現が可能となり、また白色LEDの開発によって、LEDを用いた液晶表示板や照明等の市場が急成長している。
LEDを用いた光源(LED光源)照明・表示装置の反射板として、樹脂製又は樹脂製の基材にアルミニウムを蒸着したものを用いる際の課題として、LEDの発光時に生ずる熱による影響、具体的には例えば、輝度の低下やLEDの寿命縮小等が挙げられる。
そして、反射板の反射効率が低下することも課題として挙げられている。これはつまり、LED素子からの熱による反射板を構成する樹脂の劣化や、反射板に配合されている添加剤の表面へのブリードアウトによる表面性の低下である。そして、アルミニウム蒸着を施した樹脂成形体からなる反射板の場合には、アルミニウム蒸着膜が剥離する恐れもあり、これに応じた開発が成されてきた。
具体的には例えば、LED光源用樹脂製反射板として、ポリカーボネートに酸化チタンを配合した材料等が提案されている(特許文献1参照)。しかしLED発光時に生ずる熱のために、ポリカーボネート製樹脂では耐熱性が不充分となる場合があり、より高耐熱性で、且つ寸法安定性に優れた結晶性樹脂、例えばポリエステル樹脂製の反射板が、近年検討され始めている。
また、LED光源用反射板は、高温度雰囲気下で長時間使用されることから、火災安全性を高めるために、使用材料には高い難燃性が要求される。しかし従来の難燃剤、例えば臭素系難燃剤を配合した材料では耐光変色が著しく、樹脂成形体そのものでの使用が難しいので、アルミニウム等の金属蒸着膜を施さざるを得ず、コストに加え重量が大幅に増加するという問題がった。
さらに、長時間・高温下での使用ため、臭素系難燃剤から遊離する臭素により、アルミニウム蒸着膜の反射率が低下するという問題もあった。これに対しては、非臭素系難燃剤である燐酸エステル系の難燃樹脂組成物が提案されている(例えば特許文献2参照)。
しかしリン酸エステル系の難燃剤は反射板表面へのブリードアウトが著しいので、アルミニウム蒸着を施した反射板の場合には、アルミニウム蒸着膜が剥離したり、ブリードアウトした難燃剤による悪臭が著しく、使用者に不快をもたらすという問題があった。
特開2007−284462号公報 特開2007−321144号公報
本発明は、上記従来の実状に鑑みてなされたものであって、アルミニウム蒸着膜を施さなくても、樹脂成形体そのものでもLED光源用反射体として充分な反射率を有し、そして反射率低下が抑制された反射板を与える難燃性樹脂組成物を提供するものである。
本発明者は、上述した課題について鋭意検討を行った。そして、LED光源照明・表示装置の反射板、即ち樹脂製反射板または樹脂成形体基体上に反射層として金属層を設けた反射板に用いる難燃性樹脂組成物において、主たる樹脂としてポリエステル樹脂を用い、ポリエステル樹脂に対して特定のホスフィン酸塩を用い、そしてこれと二酸化チタン、及び極性基を有するポリオレフィンを特定量配合した樹脂組成物が、充分な難燃性を示し且つ反射率の低下が抑制された、半導体発光素子を光源とする照明装置反射板用に適した樹脂組成物となることを見出した。
本発明はこの様な知見に基づいて成されたものであり、以下を要旨とするものである。
(A)ポリエステル樹脂100質量部に対し、
(B)アニオン部分が下記一般式(1)又は(2)で表されるホスフィン酸のカルシウム塩又はアルミニウム塩であるホスフィン酸塩2〜50質量部、
(C)二酸化チタン0.5〜30質量部、及び
(D)極性基を有するポリオレフィン樹脂0.01〜3質量部
を配合したことを特徴とする、半導体発光素子を光源とする照明装置反射板用難燃性ポリエステル樹脂組成物。
Figure 0005321239
Figure 0005321239
(式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素又は炭素原子数1〜6のアルキル基又は置換されていてもよいアリール基を表し、Rは炭素原子数1〜10のアルキレン基若しくは置換されていてもよいアリーレン基又はこれらの混合基を表す。)
本発明の樹脂組成物を用いることによって得られる樹脂成形体、そしてこの樹脂成形体からなる反射体は、高温雰囲気下でのブリードアウトが抑制され、表面性、難燃性に優れたものである。更に、樹脂下地層等を設けなくとも、当該樹脂成形体表面に金属蒸着膜等の光反射層を直接設けることができる光反射体基体、および高温度雰囲気に曝されても高輝度感の保持が可能であり、アルミニウム蒸着膜を施しても剥離が抑制され、長期間に亘り優れた特性を維持できる難燃性光反射体が得られ、LEDを光源とする照明・表示灯等の装置の反射板として適している。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
ポリエステル樹脂
本発明の樹脂組成物の主成分であるポリエステル樹脂としては、市場で入手し得るものを用いればよい。通常はポリブチレンテレフタレート樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂を用いる。好ましくはポリブチレンテレフタレート樹脂、又はポリブチレンテレフタレート樹脂を主体とし、具体的にはポリエステル樹脂中50質量%以上、中でも好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80質量%以上がポリブチレンテレフタレート樹脂であって、これに少割合の、具体的には20質量%以下でポリエチレンテレフタレート樹脂を配合したものを用いる。中でも、本発明に用いるポリエステル樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート樹脂が80〜100質量%、ポリエチレンテレフタレート樹脂が0〜20質量%(合計100質量%)のポリエステル樹脂であることが好ましい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸又はその反応性誘導体と1,4−ブタンジオールとの重縮合反応により、ポリエチレンテレフタレート樹脂は同じくテレフタル酸成分とエチレングリコールとの共重縮合により製造されているが、周知のように他のカルボン酸やポリオールを共重合させることもできる。本発明ではこの様な共重合樹脂を用いることもできるが、通常は共重合成分が酸成分及びグリコール成分のそれぞれ5質量%以下のものを用いる。中でも共重合成分が樹脂の20質量%以下であることが好ましい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度は、一般的に0.5〜1.5dl/gであり、好ましくは0.6〜1.3dl/gである。0.5dl/gより小さいと機械的強度に優れた樹脂組成物を得るのが困難である。また1.5dl/gより大きいと、樹脂組成物の流動性が低下して成形性が低下する場合がある。また末端カルボキシル基量は30meq/g以下であることが好ましい。更に、1,4−ブタンジオールに由来するテトラヒドロフランの含有量は300ppm以下であることが好ましい。
またポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度は、一般的に0.4〜1.0dl/gであり、好ましくは0.5〜1.0dl/gである。固有粘度が0.4未満であると機械的特性が低下し易く、1.0を超えると流動性が低下し易い。なお、いずれの固有粘度も、フェノール/テトラクロロエタン(質量比1/1)混合溶媒中、30℃での測定値である。
本発明ではポリエステル樹脂成分として、ポリエステル樹脂と他の樹脂との混合物を用いることもできる。他の樹脂の含有量は、ポリエステル樹脂の特性を損なわないように、10質量%以下、特に8.5質量%以下とすることが好ましい。このような樹脂としてはポリエステル樹脂と相溶性のあるものであれば、いずれも用いることができる。好ましくは、スチレン系樹脂である。
ここでスチレン系樹脂とは、スチレン又はこれと共重合し得るモノマーとの重合体であり、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、アクリロニトリルースチレン樹脂、アクリロニトリルーブタジエンースチレン樹脂、メチルメタクリレートーブタジエンースチレン樹脂、スチレンーエチレンープロピレンースチレン樹脂など、市場で入手し得るものが挙げられる。またこれらの樹脂を無水マレイン酸やグリシジルメタクリレートなどで変性したスチレン系樹脂を用いることもできる。
ホスフィン酸塩
本発明では、難燃剤としてアニオン部分が下記式(1)又は(2)で表されるホスフィン酸のカルシウム塩又はアルミニウム塩を用いる。
Figure 0005321239
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上記式において、R及びRは、それぞれ独立して、水素又は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基など炭素数1〜6のアルキル基や、フェニル基、o−、m−又はp−メチルフェニル基、種々のジメチルフェニル基、α―又はβ―ナフチル基などで置換されていてもよいアリール基を表す。
好ましくはR及びRはメチル基又はエチル基である。Rはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、2−エチルヘキシレン基などの炭素数1〜10のアルキレン基、o―、m−又はp−フェニレン基、1,8−又は2,6−ナフチレン基などのアリーレン基、又はメチレンフェニレン基、エチレンフェニレン基などの上記2種の混合基を表す。Rはこのましくは炭素数1〜4のアルキレン基又はフェニレン基である。
ホスフィン酸塩の具体例としては、ジメチルホスフィン酸カルシウム、ジメチルホスフィン酸アルミニウム、エチルメチルホスフィン酸カルシウム、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸カルシウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸カルシウム、メチル−n―プロピルホスフィン酸アルミニウム、メチルフェニルホスフィン酸カルシウム、メチルフェニルホスフィン酸アルミニウム、ジフェニルホスフィン酸カルシウム、ジフェニルホスフィン酸アルミニウム、フェニルホスフィン酸アルミニウム、メタンビス(ジメチルホスフィン酸)カルシウム、メタンビス(ジメチルホスフィン酸)アルミニウム、ベンゼンー1,4−ビス(ジメチルホスフィン酸)カルシウム、ベンゼンー1,4−ビス(ジメチルホスフィン酸)アルミニウムなどが挙げられる。なかでも難燃性及び電気特性の点から、ジエチルホスフィン酸アルミニウムが好ましい。
樹脂組成物から得られる成形品の外観や機械的強度の点で、ホスフィン酸塩はレーザー回折法で測定して粒径100μm以下、特に50μm以下に粉砕した粉末を用いるのが好ましい。なかでも平均粒径が0.5〜50μmのものは、高い難燃性を発現するばかりでなく、成形品の強度が著しく高くなるので、特に好ましい。
二酸化チタンとその表面処理剤
本発明における二酸化チタンとその表面処理剤は、樹脂組成物から得られる成形品の遮光性、白度、光線反射特性などを向上させる様に機能する。二酸化チタンは、製造方法、結晶形態および平均粒子径などは、特に限定されるものではない。二酸化チタンの製造方法には(1)硫酸法および(2)塩素法があるが、特に限定されるものではない。
二酸化チタンの結晶形態には、ルチル型とアナターゼ型があるが、耐光性の観点からルチル型の結晶形態のものが好適である。二酸化チタン系添加剤の平均粒子径は、通常0.1〜0.7μm、好ましくは0.1〜0.4μmである。平均粒子径が0.1μm未満では成形品の光線遮蔽性に劣り、0.7μmを超える場合は、成形品表面に肌荒れを起こしたり、成形品の機械的強度が低下したりする。なお本発明においては平均粒径の異なる酸化チタンを2種類以上混合して使用してもよい。
なお、市場で入手し得る二酸化チタンは無機化合物や有機化合物で表面処理されているものが多いが、本発明ではこのような表面処理されたものを用いるのが好ましい。二酸化チタンの表面処理剤は、例えば後記するオルガノシロキサン系化合物やポリオール系化合物等の有機化合物系の表面処理剤で表面処理する前に、アルミナ系表面処理剤で前処理するのが好ましい。アルミナ系表面処理剤としてはアルミナ水和物が好適に用いられる。さらにアルミナ水和物とともに珪酸水和物で前処理しても良い。前処理の方法は特に限定されるものではなく、任意の方法によることが出来る。アルミナ水和物、さらに必要に応じて珪酸水和物による前処理は、二酸化チタンに対して1〜15質量%の範囲で行なうのが好ましい。
アルミナ水和物、さらに必要に応じて珪酸水和物前処理された二酸化チタンは、更にその表面を、オルガノシロキサン系やポリオール系の表面処理剤で表面処理することにより、熱安定性を大幅に改善することが出来る他、樹脂組成物中での均一分散性および分散状態の安定性を向上させることができる。オルガノシロキサン系の表面処理剤としては、ジメチルシロキサンやポリオルガノハイドロジェンシロキサン化合物が好ましい。
二酸化チタンの有機化合物系の表面処理剤による表面処理法には、(1)湿式法と(2)乾式法とが挙げられる。湿式法は、オルガノシロキサン系の表面処理剤と溶剤との混合物に、アルミナ水和物、さらに必要に応じて珪酸水和物で前処理された二酸化チタンを加え、撹拌した後に脱溶媒を行い、更にその後100〜300℃で熱処理する方法である。
乾式法は、上記と同様に前処理された二酸化チタンと有機化合物系表面処理剤とを、ヘンシェルミキサー等で混合する方法、前処理された二酸化チタンに有機化合物系表面処理剤の有機溶液を噴霧して付着させ、100〜300℃で熱処理する方法などが挙げられる。
有機化合物系表面処理剤の表面処理剤の量は、特に制限されるものではないが、二酸化チタンの反射性、樹脂組成物の成形性などを勘案すると、二酸化チタンに対し、通常1〜5質量%の範囲である。
なかでも本発明に使用される二酸化チタンの表面処理剤としては、上述した特定のホスフィン酸金属塩化合物存在下での組成物中において、良好な熱安定性を示すものが好ましく、具体的には以下の二つの式、(式1)及び(式2)を満たすことを特徴とする。
二酸化チタン表面処理剤を蛍光X線分析することによって得られた二酸化チタン表面処理剤中のアルミニウム含有量a(質量%)、二酸化チタン表面処理剤を高周波燃焼式炭素分析装置を用いて分析して得られた二酸化チタン表面処理剤中の炭素量c(質量%)、および二酸化チタンの平均粒径(μm)をdとした際に、以下の式1及び2を満足する場合、熱安定性、難燃性、光反射性に優れた効果を発揮する。
4≦(a/d)≦20 (式1)
0.3≦(c/d)≦15.5 (式2)
さらに良好な熱安定性を得るためには、(式1)の(a/d)の値が4以上であることが好ましい。また(式2)の(c/d)の値は14未満、中でも13未満であることが好ましい。
二酸化チタンの平均粒径と表面積は相関があり、平均粒径が小さくなるほど単位質量あたりの表面積は大きくなる。本発明では比較的平均粒径の小さい、すなわち細かい粒径の二酸化チタンを用い、小さな粒径の二酸化チタンの表面に適量のアルミニウム等を分散させることにより優れた光反射性が得られるものである。
上述の(式1)における(a/d)は、二酸化チタンの単位表面積に対するアルミニウム添加量を表し、(式2)における(c/d)は、二酸化チタンの単位表面積に対する有機系表面処理剤に含まれていた有機炭素の量を表す。(式1)、(式2)の範囲を満たすことにより、二酸化チタンに対する表面処理が適切となり、熱安定性、難燃性、光反射性に優れた樹脂組成物を得ることが出来る。
(a/d)の値が4未満だと、組成物中の二酸化チタンの分散が不充分となり、二次凝集を生じやすく、外観および反射率が低下する場合がある。また15.5を超えると、アルミナ処理により二酸化チタン粒子の塩基性がより高まるために、樹脂組成物の熱安定性が低下し、衝撃性・成形安定性が低下する場合がある。
(c/d)の値が0.3未満だと二酸化チタンによる表面活性およびアルミナにより塩基性を付与された二酸化チタン粒子の活性を充分に被覆できないため、樹脂組成物の熱安定性および密着性が低下し、衝撃性や成形安定性が低下する場合がある。また20を超えると、二酸化チタンと化学結合していないポリオール系やオルガノシロキサン系表面処理剤が成形時に揮発しやすくなり、金型汚染の原因となる場合がある。
本発明の樹脂組成物における二酸化チタンの配合量は、ポリエステル樹脂100質量部に対し、0.5〜30質量部の範囲である。二酸化チタンの配合量が0.5質量部未満の場合は、樹脂組成物から得られる成形品の遮光性および反射特性が不十分となり、逆に30質量部を超えると耐衝撃性が不十分となる。
二酸化チタンの好ましい配合量は、ポリエステル樹脂100質量部に対し、2〜20質量部、更に好ましくは3〜20質量部である。なお、二酸化チタンの質量は、アルミナ水和物、珪酸水和物、ポリオール系、オルガノシロキサン系の表面処理剤によって表面処理されている場合は、これらの処理剤も含めた質量を意味する。
極性基を有するポリオレフィン樹脂
本発明においては、極性基を有するポリオレフィン樹脂を、ポリエステル樹脂100質量部に対して、0.01〜3質量部含有する。
本発明に用いる極性基を有するポリオレフィン樹脂(以下、「変性ポリオレフィン樹脂」ということがある。)は、その原料であるポリオレフィン樹脂(以下、「未変性ポリオレフィン樹脂」ということがある。)に、カルボキシル基(カルボン酸(無水物)基、即ちカルボン酸基および/またはカルボン酸無水物基を表す。以下同様。)、ハロホルミル基、エステル基、カルボン酸金属塩基、水酸基、アルコシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基等の、ポリアルキレンテレフタレート樹脂と親和性のある官能基を付与したものや、未変性ポリオレフィン樹脂を酸化した、酸化ポリオレフィン樹脂を示す。以下、酸変性ポリオレフィン樹脂と酸化ポリオレフィン樹脂を合わせて、変性ポリオレフィン樹脂ということがある。
未変性ポリオレフィン樹脂としては、従来公知の任意のものを使用でき、例えば、好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは2〜12、さらに好ましくは2〜10の、オレフィンの一種、または任意の割合の二種以上を含む(共)重合体(重合体または共重合体を意味する。以下同様。)が挙げられる。
炭素数2〜30のオレフィンとしては、具体的には例えばエチレン、プロピレン、炭素数4〜30の、好ましくは炭素数4〜12、さらに好ましくは炭素数4〜10のα−オレフィン、および炭素数4〜30の、好ましくは炭素数4〜18、さらに好ましくは炭素数4〜8のジエンが挙げられる。α−オレフィンとしては、例えば1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンおよび1−ドデセン等が挙げられる。ジエンとしては、例えばブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエン、11−ドデカジエン等が挙げられる。
未変性ポリオレフィン樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンブロックコポリマー、エチレン−プロピレンランダムコポリマー、ポリブテンや、これらの混合物が挙げられる。これらの中でも、耐熱性の点からプロピレンホモポリマー、エチレン−プロピレンブロックコポリマー、エチレン−プロピレンランダムコポリマー等の結晶性ポリプロピレン系樹脂およびこれらの混合物が好ましい。
未変性ポリオレフィン樹脂としては、中でも(共)重合体モノマーとしてエチレン、プロピレン、炭素数4〜12のα−オレフィン、ブタジエン、イソプレン等からなるものが好ましく、更にはエチレン、プロピレン、炭素数4〜8のα−オレフィン、ブタジエンからなるものが、特にエチレン、プロピレン、ブタジエンからなるものが好ましい。
未変性ポリオレフィン樹脂の製造方法は、従来公知の任意の方法を使用でき、特に制限はない。具体的な製造方法としては例えば、ラジカル触媒、金属酸化物触媒、Ziegler触媒、Ziegler−Natta触媒、各種メタロセン触媒等の存在下で(共)重合反応させる方法などが挙げられる。
ラジカル触媒としては例えば、ジターシャルブチルパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、デカノイルパーオキサイド、ドデカノイルパーオキサイド、過酸化水素−Fe+塩およびアゾ化合物等が挙げられる。金属酸化物触媒としては、シリカ−アルミナ担体に酸化クロム等を付着させたものが挙げられる。Ziegler触媒およびZiegler−Natta触媒としては、(CAl−TiCl等が挙げられる。
本発明に用いる変性ポリオレフィン樹脂は、上述した未変性ポリオレフィン樹脂に、ポリアルキレンテレフタレート樹脂と親和性のある官能基を導入したものである。これら官能基の導入方法は任意であり、従来公知の任意の方法を用いればよい。
ポリエステル樹脂と親和性のある官能基としては、具体的には例えば、カルボキシル基[カルボン酸(無水物)基すなわちカルボン酸基および/またはカルボン酸無水物基を示す。以下同様。]、ハロホルミル基、エステル基、カルボン酸金属塩基、水酸基、アルコシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基等が挙げられる。
カルボキシル基としては、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸、およびメタクリル酸などのカルボン酸基を含有する低分子量化合物、スルホン酸などのスルホ基を含有する低分子量化合物、ホスホン酸などのホスホ基を含有する低分子量化合物などを挙げることができる。これらの中でもカルボン酸基を含有する低分子量化合物が好ましく、特にマレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸、およびメタクリル酸などが好ましい。
変性に用いるカルボン酸は、一種または任意の割合で二種以上を併用してもよい。また本発明に用いる変性ポリオレフィン樹脂(酸変性ポリオレフィン樹脂)における酸の付加量としては、酸変性ポリオレフィン樹脂に対して、通常、0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜5質量%である。
ハロホルミル基としては具体的には例えば、クロロホルミル基、ブロモホルミル基等が挙げられる。これらの官能基を、未変性ポリオレフィン樹脂に付与する手段は、従来公知の任意の方法によれば良く、具体的には例えば、官能基を有する化合物との共重合や、酸化などの後加工など、いずれの方法でもよい。
また、官能基の種類としては、適度なポリエステル樹脂との親和性があることから、カルボキシル基が好ましい。本発明に用いる変性ポリオレフィン樹脂におけるカルボキシル基の濃度は適宜選択して決定すればよいが、低すぎるとポリエステル樹脂との親和性が小さく、揮発分の抑制効果が小さくなり、また離型効果が低下する場合がある。逆に濃度が高すぎると、例えば変性の際にポリオレフィン樹脂を構成する高分子主鎖が過度に切断さて、変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量が著しく低下することで揮発分の発生が多くなり、ポリエステル樹脂成形体表面に曇りが発生する場合がある。
よってこの濃度は、変性ポリオレフィン樹脂の酸価として、1mgKOH/gを超えて50mgKOH/g未満、中でも2〜50mgKOH/g未満、さらには3〜50mgKOH/g未満、特に5〜50mgKOH/g未満であることが好ましい。また光反射体基体用においては揮発分が少なく、同時に離型性の改良効果も著しい点で、本発明に用いる変性ポリオレフィン樹脂としては、酸化ポリオレフィン樹脂、具体的には酸化ポリエチレンワックスが好ましい。
尚、本発明に用いる変性ポリオレフィン樹脂としては、その酸価が1mgKOH/g以下のもの(未変性ポリオレフィン樹脂を含む。)や、50mgKOH/g以上のものを併用してもよい。また、本発明において、複数種類の変性ポリオレフィン樹脂を用いる場合、該変性ポリオレフィン樹脂全体としての酸価が、1mgKOH/gを超えて50mgKOH/g未満となれば、本発明の範囲に含まれるものとする。
本発明に用いる変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は、一般的に2000以上である。2000より小さいと揮発分が著しく多くなり、成形体表面に曇りが発生する場合がある。この重量平均分子量の上限は特に定めるものではないが、重量平均分子量が大きすぎると、分散性が低下し、成形体の表面性や離型性が低下する傾向にあるので、通常500000以下、中でも300000以下、その中で100000以下、さらにその中でも30000以下、特に10000以下であることが好ましい。
尚、本発明に用いる変性ポリオレフィン樹脂においては、二種以上の変性ポリオレフィンを任意の割合で用いてもよい。この際、用いる全ての変性ポリオレフィン樹脂を含めた全体としての変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量が2000以上となれば、重量平均分子量が2000未満のものを含んでいてもよい。
本発明に用いる変性ポリオレフィン樹脂が、重量平均分子量20000以上のものとしては、具体的には例えば、無水マレイン酸グラフト変性ポリオレフィン樹脂、エチレン−(メタ)アクリレート共重合樹脂、エチレン−メチルアクリレート共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、エチレン−グリシジルアクリレート共重合樹脂などが挙げられる。
また重量平均分子量が2000以上20000未満の、ワックスタイプの変性ポリオレフィン樹脂としては、具体的には例えば、酸化ポリエチレン(例えば、クラリアント社製 リコワックスPEDシリーズ、セリダスト3700シリーズなど)、無水マレイン酸グラフト重合ポリプロピレン(例えば、クラリアント社製 リコワックスARシリーズ)、酸化酢ビ−エチレン共重合体(例えば、クラリアント社製 リコワックス371FP)、アミド変性ポリエチレンワックス(クラリアント社製 セリダスト9615A)等の酸化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
尚、本発明における重量平均分子量の測定方法は、GPC(Gel Permeation Chromatography)法であり、また酸価の測定方法は、0.5molKOHエタノール溶液による電位差滴定法(ASTM D 1386)による。
本発明の樹脂組成物における変性ポリオレフィン樹脂の含有量は、ポリエステル樹脂100質量部に対して0.01〜3質量部である。0.01質量部未満では、射出成形時の離型不良により表面性が低下し、逆に3質量部を超えると、樹脂成形体表面へ金属層、特に金属蒸着層を設けても、金属表面のくもりが見られる。よって変性ポリオレフィン樹脂の含有量は、ポリエステル樹脂100質量部に対して、中でも0.01〜2質量部、特に0.01〜1質量部であることが好ましい。
本発明に係る樹脂組成物には、所望により更に常用の種々の助剤を配合することができる。例えば強化材としガラス繊維、ワラストナイト、タルクなど、また熱安定剤としてのリン化合物、酸化防止剤としてのヒンダードフェノール化合物、染顔料、帯電防止剤、滴下防止剤としてのフルオロポリマーなどが配合される。
また、さらに難燃助剤として、窒素含有化合物、ケイ素含有化合物、ホウ素含有化合物、炭化促進剤系ポリマー等をも配合することができる。本発明に係る樹脂組成物は、樹脂組成物を調製する定法により製造することができる。通常は上記の各成分をよく混合し、混合物を一軸又はニ軸押出機で溶融混練してストランド状に押出し、冷却・固化させたのち切断してペレットとする。
本発明の難燃ポリエステル樹脂組成物を用いて得られる反射板は、従来公知の任意の樹脂成形技術により、得ることが出来る。また当該反射板に要求される特性に応じて、本発明の難燃ポリエステル樹脂を成形し反射板基体とし、当該基体上に反射用に適した金属、具体的には例えば、アルミニウム等の薄膜層を設けて、反射板としてもよい。
以下に実施例、比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例では下記の原料を用いた。
ポリエステル樹脂:ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂 三菱エンジニアリングプラスチックス社製 ノバデュラン(登録商標)5020 固有粘度1.20dl/g(フェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンの1:1(質量比)の混合溶媒中、30℃で測定)
難燃剤(1):ジエチルホスフィン酸アルミニウム クラリアント社製 エキソリットOP1240
難燃剤(2):縮合リン酸エステル 大八化学社製 PX200
難燃剤(3):臭素系難燃剤(ブロム化ポリスチレン) アルベマール社製 サイテックスHP−3010
難燃剤(4):窒素系難燃剤(シアヌル酸メラミン) サンケミカル社製 MCA
難燃助剤:三酸化アンチモン 鈴裕化学社製 ファイヤーカットAT−3CN
滴下防止剤:フッ素系ポリマー 住友スリーエム社製 ダイニオンTF−1750
酸化チタンとしては以下の(1)から(11)のものを用いた。これら酸化チタンの成分分析結果を表1に示す。
二酸化チタン(1):石原産業社製 タイペークCR60(アルミナ水和物で表面処理)
二酸化チタン(2):石原産業社製 タイペークCR60−2(アルミナ水和物とトリメチロールプロパノールで表面処理)
二酸化チタン(3):石原産業社製 タイペークCR63(アルミナ水和物、シリカ水和物、トリメチロールプロパノール及びジメチルシロキサンで表面処理)
二酸化チタン(4):石原産業社製 タイペークPC−3(アルミナ水和物、シリカ水和物、トリメチロールプロパノール及びオルガノ水素シロキサンで表面処理)
二酸化チタン(5):Kronos社製 Kronos 2233(無機化合物及び有機化合物で表面処理)
二酸化チタン(6):DuPont社製 Tipure PCX−01(無機化合物及び有機化合物で表面処理)
二酸化チタン(7):レジノカラ−社製 PC−5(無機化合物及び有機化合物にて表面処理)
二酸化チタン(8):Kronos社製 Kronos 2230(無機化合物系、有機化合物系にて表面処理)
二酸化チタン(9):石原産業社製 タイペークPF−740(アルミナ水和物、ジルコニア化合物、トリメチロールプロパノールで表面処理)
二酸化チタン(10):Millenium Chemical社製 TiONA188(無機化合物及び有機化合物で表面処理)
二酸化チタン(11):Millenium Chemical社製 RCL−69(無機化合物及び有機化合物で表面処理)
Figure 0005321239
変性PO(1):酸化ポリエチレンワックス クラリアント社製リコワックスPED521(分子量3100、酸価22〜28mgKOH/g)
変性PO(2):酸化ポリエチレンワックス クラリアント社製リコワックスPED521(分子量4200、酸価15〜19mgKOH/g)
変性PO(3):ポリエチレンワックス クラリアント社製リコワックスPE130(分子量4800、酸価0mgKOH/g)
脂肪酸エステル:グリセリンモノステアレート 理研ビタミン社製 リケマールS100A
酸化防止剤(1):亜リン酸エステル(ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト) 旭電化社製 アデカスタブPEP−36
酸化防止剤(2):ヒンダードフェノール系化合物(ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]) イルガノックス1010
実施例1〜7及び比較例1〜4:
表2に示す通り、全成分を一括してスーパーミキサー(新栄機械社製SK−350型)で混合し、L/D=42の2軸押出機(日本製鋼所社製、TEX30XCT)のホッパーに投入し、吐出量20kg/hr、スクリュー回転数200rpm、バレル温度260℃の条件下押出してポリエステル樹脂ペレットを得た。
得られたペレットについて、このペレットを120℃で5時間乾燥した後、射出成型機(住友重機械社製、型式SH−100)を使用して、シリンダ温度260℃、金型温度80℃の条件で試験片を製造した。試験片は、縦横各々10cm、厚さ3mmの平板試験片(鏡面金型を使用して得た反射率評価用試験片)、及び、厚さ0.8mmのUL−94規格の燃焼試験片の2種を製造した。
反射率評価は、平板試験片、及びこれを150℃で24時間加熱処理(熱風乾燥機:ヤマト科学社製送風定温恒温器DN−43)したものについて、分光測色計(コニカミノルタ社製CM−3600d)用いて480nmでの反射率を測定した。結果を表2に示す。
上述した様に成形した鏡面平板試験片の表面に、プライマー処理を施さずにアルミニウム膜厚140nmになるよう、アルミニウム蒸着を行い、アルミニウム蒸着試験片を得た。この試験片のアルミニウム面の外観を、下記の基準にて目視で評価した。
A:輝度感が高く曇りも無く、反射像が鮮明に映る。熱処理後も曇りはみられない。
B:高い輝度感を有するが反射像は多少ぼやける。熱処理後は曇りが多少みられた。
C:高い輝度感を有するものの反射像はぼやける。熱処理後は曇りがみられた。
D:表面が均一でなく反射像は歪んで見える。熱処理後は曇りがみられた。
E:表面が均一でなく反射像を認識できない。熱処理後は曇りが酷く、表面が白化した。
またこの試験片を180℃で24時間加熱処理したものについて、上記と同様の条件で反射率を測定した。更にこの180℃x24時間の加熱処理を経た試験片について、基材の成形品とアルミニウム蒸着層との接着力を下記のテープ剥離試験で評価した。これらの結果を表2に示す。
テープ剥離性
後述する方法により作製したアルミ蒸着した試料を熱風乾燥機で150℃、24時間加熱処理した後、アルミ蒸着面にナイフで傷を入れ、その上からセロハンテープを貼り付け、そのセロハンテープをはがした時の接着性を以下に示す基準により評価した。
○:アルミ蒸着膜の剥がれが殆どみられない。
△:アルミ蒸着膜の剥がれが多少みられる。
×:アルミ蒸着膜剥がれが著しい。
燃焼性テスト(UL94)
アンダーライターズ・ラボラトリーズのサブジェクト94(UL94)の方法に準じ、5本の試験片(厚み0.8mm)を用いて難燃性について試験した。難燃性は、UL94記載の評価方法に従って、V−0、V−1、V−2、HBに分類した。V−0表記が、難燃性レベルが最も高く、HBが難燃性レベルが最も低いことを示す。
二酸化チタンの表面処理成分の測定
二酸化チタンのAlの表面処理量については、リガク社製波長分散型蛍光X線分析装置ZSXminiIIを用い、X線管にパラジウム管、電圧40kV/管電流1.2mA、測定面積径30mm、真空雰囲気条件でTi、Alのスペクトルの強度比を用いて算出した。またC量については、堀場製作所社製の高周波誘導加熱炉方式EMIA−921V炭素分析装置を用い、陽極出力:2.3kW、周波数:18MHz、175mAの高周波電流を負荷することにより算出した。結果を表−1に示す。
二酸化チタンの平均粒径測定方法
実施例および比較例に使用した二酸化チタンの1次粒子径の測定は、以下の方法にて試料を調製し、測定を行った。
ポリエステル樹脂中に、実施例および比較例に使用した二酸化チタン5質量部を添加し、実施例・比較例同様の混練方法にてペレットを製造した。このペレットからSTEM観察用の約200nmの厚さの超薄肉切片をウルトラミクロトームで切り出し、日立ハイテクノロジーズ社製走査型電子顕微鏡S−4800を用い、TEM観察(倍率:50,000倍)で二酸化チタンの1次粒子像を得た。1次粒子の長径と短径の平均値を1次粒径とし、1次粒径の測定は1次粒子30個の平均値(0.05μm刻みの値)を用いた。結果を表−1に示す。
Figure 0005321239
表2より、本発明の様に特定のホスフィン酸塩(難燃剤)、特定の二酸化チタン、特定の変性基を有するポリオレフィン樹脂(離型剤)を用いた実施例は、その他難燃剤、その他二酸化チタン、その他離型剤を用いた比較例と比較すると、高温雰囲気暴露後の表面外観性、光反射率、およびテープ剥離性がいずれも良好である。反射率については数%の差であっても光反射体としての性能を左右する重要な特性であるので、本発明の樹脂組成物、およびこれを用いた光反射体としてが、良好な特性を有していることが判る。

Claims (13)

  1. (A)ポリエステル樹脂100質量部に対し、
    (B)アニオン部分が下記一般式(1)又は(2)で表されるホスフィン酸のカルシウム塩又はアルミニウム塩であるホスフィン酸塩2〜50質量部、
    (C)二酸化チタン0.5〜30質量部、及び
    (D)極性基を有するポリオレフィン樹脂0.01〜3質量部
    を配合したことを特徴とする、半導体発光素子を光源とする照明装置反射板用難燃性ポリエステル樹脂組成物。
    Figure 0005321239
    Figure 0005321239
    (式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素又は炭素原子数1〜6のアルキル基又は置換されていてもよいアリール基を表し、Rは炭素原子数1〜10のアルキレン基若しくは置換されていてもよいアリーレン基又はこれらの混合基を表す。)
  2. (A)ポリエステル樹脂が、ポリブチレンテレフタレート樹脂又はポリブチレンテレフタレート樹脂を主体とし、少割合のポリエチレンテレフタレート樹脂を含む混合物であることを特徴とする請求項1記載の難燃ポリエステル樹脂組成物。
  3. (C)二酸化チタンが、表面処理剤で表面処理されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の難燃ポリエステル樹脂組成物。
  4. (C)二酸化チタンが、無機化合物及び有機化合物で表面処理したものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の難燃ポリエステル樹脂組成物。
  5. (C)二酸化チタンが、アルミナ水和物及びシリカ水和物及び/又はジルコニア化合物よりなる群から選ばれた無機化合物で表面処理した後、有機化合物で表面処理したものであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の難燃ポリエステル樹脂組成物。
  6. (D)極性基を有するポリオレフィン樹脂が酸変性ポリオレフィン樹脂又は酸化ポリオレフィン樹脂であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の難燃ポリエステル樹脂組成物。
  7. (D)極性基を有するポリオレフィン樹脂の酸価が1〜50mgKOH/gであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の難燃ポリエステル樹脂組成物。
  8. (A)ポリブチレンテレフタレート樹脂が80〜100質量%を占め、残部がポレエチレンテレフタレート樹脂であるポリエステル樹脂100質量部に対し、
    (B)アニオン部分が下記一般式(1)又は(2)で表されるホスフィン酸のカルシウム又はアルミニウム塩であるホスフィン酸塩10〜30質量部、
    Figure 0005321239
    Figure 0005321239
    (式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素又は炭素原子数1〜4のアルキル基又は炭素原子数6〜8のアルキル置換基を有していてもよいフェニル基を表し、Rは炭素原子数1〜4のアルキレン基又は、炭素原子数6〜8の、置換されていてもよいフェニレン基を表す。)
    (C)二酸化チタン5〜20質量部、及び
    (D)酸変性又は酸化ポリオレフィン樹脂0.05〜3質量部
    を配合したことを特徴とする半導体発光素子を光源とする照明装置反射板用難燃ポリエステル樹脂組成物。
  9. (C)二酸化チタンが、アルミナ水和物及びシリカ水和物及び/またはジルコニア化合物よりなる群から選ばれた無機化合物と、有機化合物とで表面処理されていることを特徴とする請求項8記載の難燃ポリエステル樹脂組成物。
  10. (C)二酸化チタンが、アルミナ水和物及びシリカ水和物及びまたはジルコニア化合物よりなる群から選ばれた無機化合物と、有機化合物とで表面処理されており、二酸化チタンを蛍光X線分析することによって得られた酸化チタン表面処理剤中のアルミニウム含有量a(質量%)、酸化チタン表面処理剤を高周波燃焼式炭素分析装置にて分析して得られた酸化チタン表面処理剤の炭素量c(質量%)、及び酸化チタンの平均粒径(μm)をdとし、
    4≦(a/d)≦20 (式1)
    0.3≦(c/d)≦15.5 (式2)
    を満足することを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の難燃ポリエステル樹脂組成物。
  11. (D)酸変性又は酸化ポリオレフィン樹脂が、酸価が5〜50mgKOH/gであり、重量平均分子量が2000以上であることを特徴とする請求項8ないし10のいずれかに記載の難燃ポリエステル樹脂組成物。
  12. 請求項1ないし11のいずれかに記載の難燃ポリエステル樹脂組成物で製作したことを特徴とするLEDを光源とする照明・表示灯等の装置に使用される反射板。
  13. 請求項1ないし12のいずれかに記載の難燃ポリエステル樹脂組成物で製作された基材表面に、アルミニウムが蒸着されていることを特徴とするLEDを光源とする照明・表示灯等の装置に使用される反射板。
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