JP5318059B2 - 空調システムの制御装置及びその制御装置を備えた空調システム - Google Patents
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Description
図1は、本発明の実施の形態1に係る空調システムを備えた店舗構成図である。
図1において、店舗空間Aを空調するために室外機1と室内機2とを備えた空調装置100が設置されている。店舗空間A内には更に、食品を冷却するための低温ショーケース4が設置されている。低温ショーケース4は、内部の食品を冷蔵又は冷凍が可能なショーケースであり、ショーケース4内に冷熱を供給するための冷凍機であるコンデンシングユニット3と組み合わせて冷凍装置200を構成している。なお、図1にはショーケース4が1台しか記載されていないが、ショーケース4が並列に複数台接続されるのが一般的な構成となる。
冷凍空調コントローラ(制御装置)5は、通信部5aと、空調システム全体を制御する制御部5bとを備えている。通信部5aは、室外機1、室内機2、コンデンシングユニット3及びショーケース4のそれぞれに搭載された制御基板(図示せず)と通信可能に接続されている。制御部5bは、各機器のセンサ情報や運転情報を収集するとともに、使用者による設定や、予め搭載されている制御プログラム及び後述の図5に示すフローチャートに対応したプログラムに基づいて、空調装置100及び冷凍装置200の運転を制御する。
(空調装置100の冷凍サイクル動作)
空調装置100では冷房運転の動作を説明する。空調圧縮機6から吐出された高温高圧のガス冷媒は、凝縮器となる室外熱交換器7に流入し、周囲の外気と熱交換して放熱し、凝縮液化される。その後、冷媒は空調膨張弁8にて減圧され低圧の二相冷媒となり、蒸発器となる室内熱交換器9に流入する。室内熱交換器9に流入した冷媒は、室内熱交換器9を通過する店内空気と熱交換して吸熱し、冷房作用を行う。室内熱交換器9にて店内空気と熱交換することにより蒸発ガス化した冷媒は、再び空調圧縮機6に吸入される。
冷凍装置200では、冷凍圧縮機10から吐出された高温高圧のガス冷媒は凝縮器となる冷凍凝縮器11に流入し、周囲の外気と熱交換して放熱し、凝縮液化される。その後、冷媒は冷凍膨張弁12にて減圧され低圧の二相冷媒となり、蒸発器となる冷却熱交換器13に流入する。冷却熱交換器13に流入した冷媒は、ショーケース庫内の空気と熱交換して吸熱し、冷房作用を行う。冷却熱交換器13にてショーケース庫内の空気と熱交換することにより蒸発ガス化した冷媒は、再び冷凍圧縮機10に吸入される。
空調装置100では、25℃前後の店内空気を冷却するため、冷熱源として機能する蒸発器での冷媒温度は10℃程度でよい。しかし、冷凍装置200では、ショーケース4の庫内を冷蔵運転では0℃、冷凍運転では−25℃程度に冷却する必要があり、そのため冷熱源として機能する蒸発器(冷却熱交換器13)での冷媒温度は、冷蔵で−10℃、冷凍で−40℃程度となる。空調装置100及び冷凍装置200共に、凝縮器での放熱は外気に対して実施するので冷凍サイクルの凝縮温度は同等であるが、蒸発温度は空調装置100の方が高いので、一般に冷凍サイクルの運転効率は空調装置100の方が高くなる。冷凍装置200の効率(COP)は、冷蔵運転で2、冷凍運転で1程度であるのに対し、空調装置100の効率では3〜4であり、数倍の差が生じる。
(空調装置100の温度制御)
空調装置100では、温度センサ14aで計測される店内温度が、空調装置100の使用者が設定した温度となるように制御される。すなわち、店内温度が設定温度より高い場合は、空調圧縮機6の運転容量を増加して空調装置100の冷房能力を増加させ、店内温度が設定温度に近づくように温調動作を実施する。一方、店内温度が設定温度より低い場合は、空調圧縮機6の運転容量を減少して空調装置100の冷房能力を減少させ、店内温度が設定温度に近づくように温調動作を実施する。
冷凍装置200では、温度センサ14cで計測される庫内温度が、冷凍装置200の使用者が設定した温度となるように制御される。すなわち、冷凍装置200の冷凍サイクルの蒸発温度が、使用者の設定した庫内温度に応じて決定される目標蒸発温度となるように、冷凍圧縮機10の運転容量が制御される。
(冷凍装置200の閉店時間帯の運転動作)
冷凍装置200は、店舗開店時間帯及び閉店時間帯のどちらの場合も同様に、庫内温度が設定温度近傍となるように運転される。なお、ショーケース4は、閉店時にはナイトカバーが設置されるのが一般的であり、そのため、閉店時間帯のショーケース4の冷却負荷は店舗開店時よりも減少する。よって、庫内温度は低下しやすい一方、上昇しにくくなるため、ショーケース4の運転時間は、開店時よりも閉店時の方が短くなる。
空調装置100は、開店時間帯は、上述したように店内温度が設定温度になるように運転制御されるが、閉店時間帯においては、閉店時間帯全体の冷凍空調用の消費電力量が最小となることを狙って運転制御される。閉店時間帯に空調装置100を全く運転せずに冷凍装置200だけで店舗内(ショーケース内を含む)の冷却を行う場合(第1制御)に比べ、閉店時間帯に冷凍装置200の運転に加えて空調装置100も一時的に運転した場合(第2制御)の方が、閉店時間帯全体の冷凍空調用の消費電力量を低減することが可能な場合がある。よって、どちらの制御が適切かを、店舗内の冷却状況に基づいて判断し、第2制御と判断された場合には、閉店時間帯に空調装置100を一時的に運転する。なお、冷凍空調用の消費電力量とは、冷凍装置200の消費電力量と空調装置100の消費電力量との合算の消費電力量である。
開店時は、上述したように、空調装置100及び冷凍装置200が両方とも運転され、店内温度は開店時は設定温度に制御されている。開店時は、ドア開閉による外気侵入、照明、人員及び換気などの外からの熱の出入りがあるため、その熱による温度上昇が主として空調装置100により取り除かれ、空調装置100の運転により店内温度が設定温度に保たれている。
まず、冷凍空調コントローラ5は、開店時間が終了し閉店時間帯開始時となると、温度センサ14aの検出値(店内温度)を通信部5aを介して取得する(S1)。そして、冷凍空調コントローラ5は、店内温度に基づいて空調装置100の運転要否を判定(第1制御か第2制御かを判定)する(S2)。すなわち、店内温度が予め設定された閾値温度より高いか否かを判定する。店内温度が閾値温度(例えば22℃)よりも高い場合、空調装置100の運転要と判定し、空調装置100の冷房運転を開始させる(S3)。そして、店内温度が終了判定温度(設定温度(ここでは22℃)−所定値T0(ここでは2℃)=20℃)よりも低くなると(S4)、冷凍空調コントローラ5は、空調装置100の運転を終了させる(S5)。ステップS2において店内温度が閾値温度以下の場合、空調装置100の運転否と判定し、空調装置100の運転を停止させる。
(店内温度及び湿度)
空調装置100の運転要否は、結局のところ閉店時間帯の冷凍装置200の冷却負荷次第であるため、運転要否判定の指標は、上述した店内温度に限られず、店舗内の冷却状況(冷却負荷)を判断できる他の指標を用いてもよい。例えば、冷却負荷は店内湿度が高いと大きくなり、湿度が低いと小さくなるので、閉店時間帯開始時の店内温度と湿度の両方を指標値として用いて判定を行うようにしてもよい。すなわち、店内温度が所定温度より高く、且つ、湿度が所定湿度より高い場合には、空調装置100の運転を実施すると判定し、そうでない場合には、空調装置100の運転を実施しないと判定する。
また温度と湿度の両方を同時に評価することを狙って、店内空気のエンタルピを運転要否判定の指標に用いてもよい。冷却負荷は店内空気のエンタルピが高いと大きくなり、エンタルピが低いと小さくなる。よって、閉店時間帯開始時の店内空気のエンタルピが所定値より高い場合は、空調装置100の運転を実施すると判定し、エンタルピが低い場合には、空調装置100の運転を実施しないと判定する。
空調装置100の運転要否を判定する指標の閾値は、上述したように予め定められた固定値でもよいし、運転条件に応じて随時変更してもよい。例えば、冷凍装置200の消費電力量A>消費電力量B+消費電力量Cと想定される場合には、より空調装置100の運転が実施されやすくなるように閾値を変更する。具体的には、外気温度が高い場合は、冷凍装置200の消費電力量Aが高くなるので、運転要否を判定する閾値、例えば店内温度閾値を低く設定し、逆に外気温度が低い場合は店内温度閾値を高く設定する。
(空調装置100の冷却能力の積算値による運転終了判定)
空調装置100の運転終了を判定する条件として、上記では店内温度を設定しているが、空調装置100の運転は、言わば店舗躯体に蓄えられている熱量を所定量取り除くことが狙いとなるので、熱量を把握できる他の判定指標を用いてもよい。例えば、空調装置100の運転状態から空調装置100の冷却能力(kW/h)を把握し、この冷却能力の積算値(kW)が所定値となった場合に、空調装置100の運転を終了すると判定してもよい。この場合、空調装置100の冷却能力より空調装置100の消費電力量が推算できるので、空調装置100の運転に要する消費電力量Cと店内温度低下に伴う冷凍装置200の消費電力量の低減幅(消費電力量A−消費電力量B)との釣り合いを定量的に把握できる。よって、閉店時間帯の冷凍空調の消費電力量が最小となる運転条件を設定しやすくなるという利点を持つ。
空調装置100の運転終了を判定する条件として運転時間を用いてもよい。空調装置100の運転時間と冷却能力とは比例するので、必要な積算冷却能力から運転時間を求めて設定してもよい。この場合、空調装置100が予め設定された所定時間、運転したら、その時点で運転を終了する。
上記では、閉店時間帯の開始時に空調装置100を運転するようにしているが、これに限られたものではなく、閉店時間帯であればどの時間帯に運転してもよい。しかし、冷凍装置200の消費電力低減効果は、空調装置100の運転により店内温度が低下した時点から得られるので、店舗閉店時間帯の開始時に実施する場合が最も冷凍装置200の消費電力量の低減効果が大きい。
Claims (7)
- 店舗内の低温ショーケースの冷凍装置及び前記店舗内の空間を空調する空調装置と通信可能な通信部と、
前記冷凍装置及び前記空調装置の運転を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記店舗の閉店時間帯開始時の前記店舗内の冷却状況を示す指標値を前記通信部を介して取得し、
閉店時間帯に前記冷凍装置のみ運転させる第1制御と、閉店時間帯に前記冷凍装置を運転させると共に前記空調装置も一時的に冷房運転させ、前記一時的な冷房運転を終了して以降は前記空調装置を前記閉店時間帯終了まで停止させる第2制御とのうち、前記取得した指標値に基づいて、閉店時間帯全体における消費電力量が小さくなる方を決定し、決定した制御に従って前記冷凍装置及び前記空調装置を制御することを特徴とする空調システムの制御装置。 - 前記制御部は、前記第2制御において前記空調装置の一時的な冷房運転を、閉店時間帯の開始時に実施することを特徴とする請求項1記載の空調システムの制御装置。
- 前記制御部は、前記指標値として前記店舗内の店内温度を取得し、取得した店内温度が予め設定した閾値より高い場合、前記第2制御に決定し、前記取得した店内温度が前記閾値以下の場合、前記第1制御に決定することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の空調システムの制御装置。
- 前記制御部は、前記第2制御において前記空調装置を一時的に冷房運転させる場合、その運転期間を、前記空調装置の運転を開始させてから店内温度の温度低下幅が所定値となるまでとしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の空調システムの制御装置。
- 前記制御部は、前記第2制御において前記空調装置を一時的に冷房運転させる場合、その運転期間を、前記空調装置の運転を開始させてからの前記空調装置の冷却能力の積算値が所定値となるまでとしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の空調システムの制御装置。
- 前記制御部は、前記第2制御において前記空調装置を一時的に冷房運転させる場合、その運転期間を、前記空調装置の運転を開始させてから所定時間としたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の空調システムの制御装置。
- 請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の制御装置と、前記冷凍装置と、前記空調装置とを備えたことを特徴とする空調システム。
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