JP5314847B2 - 熱線高反射外装材及びその製造方法、並びに、外装仕上げ工法 - Google Patents
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Description
実施例に示すように、Biおよび/またはYの酸化物とMnの酸化物とを含む複合金属酸化物顔料(以下「複合顔料」という。)と、一般式Si(OR)4(式中、Rは互いに同一でも異なってもよく、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を示す。)で表される化合物またはその部分縮合物(以下「化合物A」という。)とを含有する塗料組成物は、クロムを含有していないので環境性に優れており、また、当該塗料組成物の層は、優れた防汚性及び熱線反射性能を有し、熱線反射性能を安定して維持することができる。
以下に、塗料組成物Xの各構成成分について説明する。
複合顔料Mは、Biおよび/またはYの酸化物とMnの酸化物とを含有する。複合顔料M中のマンガンの含有量は、5〜65重量%であることが好ましく、10〜50重量%であることがより好ましい。マンガンの含有量が5%より少ないと、熱線反射効果が充分得られない恐れがある。
複合顔料Mの樹脂固形分に対する含有量は、塗料組成物X中の顔料として複合顔料Mのみを使用する場合、0.01〜200重量%であることが好ましい。複合顔料Mの含有量が0.01重量%より少ないと、熱線反射効果が充分に得られない。一方、含有量が200重量%より多いと光沢が低下する恐れがある。なお、樹脂固形分に対する複合顔料Mの含有量は、外装基材の意匠性を損なわないようにするために、0.01〜10.00重量%とすることがより好ましく、0.02〜4.00重量%とすることが特に好ましく、0.20〜2.00重量%とすることが最も好ましい。また、塗料組成物Xに樹脂を含有する必要がない場合には、外装基材の意匠性を損なわないようにするために、複合顔料Mの含有量を塗料組成物Xの総重量に対して0.005〜5.00重量%とすることが好ましい。
化合物Aは、一般式Si(OR)4(式中、Rは互いに同一でも異なってもよく、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を示す。)で表される化合物またはその部分縮合物である。
塗料組成物Xは、化合物Aを含有することにより、複合顔料Mの熱線反射性能を安定して維持することができる。
なお、化合物Aに含まれるシリカ分とは、化合物Aに対して、化合物Aが100%加水分解縮合した場合に得られるシリカ(SiO2)が占める割合(重量%)である。
光触媒としては、例えば、酸化チタン、あるいは、その含有物(例えば、酸化チタンと、チタン以外の金属若しくは金属酸化物又はシリカゲルとを含むもの)など既存のものを用いることができる。
上述のように、例えば、塗料組成物Xに浸透性吸水防止材である珪酸塩系表面含浸材を含有する場合には、塗料組成物Xに樹脂を含有する必要はないが、必要に応じて塗料組成物Xに樹脂を含有してもよい。塗料組成物Xに樹脂を含有する場合には、樹脂の一部または全部がフッ素樹脂であることが好ましい。フッ素樹脂を用いることにより、良好な耐候性を有する膜が得られるからである。
また、フルオロオレフィン系共重合体は、後述の硬化剤と反応して架橋結合を形成できる官能基を有することが好ましい。官能基の種類は、硬化剤との組み合わせにより適宜選択できる。代表的な例としては、水酸基、カルボキシル基、加水分解性シリル基、エポキシ基、アミノ基などが例示される。
塗料組成物Xは、硬化剤を含有してもよい。硬化剤としては、塗料用硬化剤として知られた種々の硬化剤が使用できる。硬化剤の具体例としては、アミノプラスト、尿素樹脂などのアミノ系硬化剤、多価イソシアネート系硬化剤、ブロック多価イソシアネート系硬化剤などが例示される。
硬化剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、自己硬化性の樹脂を用いる場合、硬化剤は必須ではない。
なお、塗料組成物Xの硬化の方式に限定はなく、熱硬化型、熱可塑型、常温乾燥型、常温硬化型等種々の硬化方式の塗料組成物Xとすることができる。
塗料組成物Xは、必要に応じて、微粒子状の充填剤、添加剤、溶剤等を含んでいてもよい。
微粒子状の充填剤としては、断熱性を付与できる中空球状体が一般に使用されている。中空球状体は、その材質により、無機質バルーン、樹脂バルーンなどが知られている。具体的には、ガラスバルーン、シラスバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーン、アルミノシリケートバルーンなどが挙げられる。
添加剤としては特に限定されず、例えば、シリカ、アルミナ等の艶消し剤、消泡剤、レベリング剤、たれ防止剤、表面調整剤、粘性調整剤、分散剤、紫外線吸収剤、光安定剤、硬化触媒等の慣用の添加剤等を挙げることができる。
塗料組成物Xは、非水溶剤型塗料、水性塗料、非水エマルジョン型塗料等のいずれであってもかまわない。
溶剤を用いる場合、樹脂を溶剤に溶解または分散させて樹脂溶液として用いることが好ましい。
塗料組成物Xは、上記各成分を混合することにより得られる。混合の順番に特に限定はないが、塗料組成物Xが樹脂を含有する場合には、予め樹脂溶液に顔料を混合し、これに一般式Si(OR)4(式中、Rは互いに同一でも異なってもよく、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を示す。)で表される化合物、その部分縮合物、および光触媒からなる群から選ばれる1または2以上の物質、必要に応じて硬化剤等を添加する方法が好ましい。
次に、本発明に係る熱線高反射外装材の製造方法について説明する。
本発明に係る熱線高反射外装材は、塗料組成物Xからなる膜、あるいは、塗料組成物Xの層を含む膜を外装基材上に形成することにより製造することができる。
本発明に係る外装仕上げ工法は、上述の熱線高反射外装材を用いて外装を仕上げる施工方法であれば特に制限されるものではなく、例えば、構造物の外装部分に上述の熱線高反射外装材を付着剤(例えば、モルタル、接着剤等)を用いて貼り付けたり、固定具(例えば、釘、針金等)で固定したりする施工方法を挙げることができる。
本実施例において用いた基材、主剤、及び硬化剤組成物は、下記のとおりである。
基材としては、140mm×240mm×0.5mmのクロメート処理されたアルミ板に、下塗り剤と中塗り剤とを順次塗布したものを用いた。
下塗り剤としては、ボンエポコート55MP−S、グレー色(旭硝子コートアンドレジン社製、エポキシ塗料)を用いた。中塗り剤としては、ボンフロン#1000白色(旭硝子コートアンドレジン社製、フッ素塗料)を用いた。
クロロトリフルオロエチレン、シクロヘキシルビニルエーテル、エチルビニルエーテルおよびヒドロキシアルキルビニルエーテルの共重合体であるフッ素樹脂ルミフロンLF−200[旭硝子社製、水酸基含有フルオロオレフィン系共重合体(水酸基価:52mgKOH/g)60重量%を含む有機溶剤溶液]63.0gにキシレン15.0gを加えた。次に、ブラック6301(アサヒ化成工業社製 Mn、Bi複合酸化物顔料)を22.0g加えてサンドミルで分散させ、さらにジブチル錫ジラウリレートの0.0005gを加えて撹拌したものを主剤1とした。
フッ素樹脂ルミフロンLF−200の63.0gにキシレン16.0gを加えた。次に、ブラック6303(アサヒ化成工業社製、Mn、Y複合酸化物顔料)を21.0g加えてサンドミルで分散させ、さらにジブチル錫ジラウリレートの0.0005gを加えて撹拌したものを主剤2とした。
フッ素樹脂ルミフロンLF−200の63.0gにキシレン34.0gを加えた。次に、三菱カーボンブラックMA−11(三菱化学社製)を3.0g加えてサンドミルで分散させ、さらにジブチル錫ジラウリレートの0.0005gを加えて撹拌したものを主剤3とした。
主剤3の83.4g(固形分として34.03g)に、フッ素樹脂ルミフロンLF−200の10.0gとキシレン3.0gを加えた。次に、光触媒作用が起こりにくいように処理を施した酸化チタン(石原産業製、商品名CR−90)を3.6g加えてサンドミルで分散させ、さらにジブチル錫ジラウリレートの0.000083gを加えて撹拌したものを主剤4とした。
コロネートHX(日本ポリウレタン製、無黄変タイプイソシアネート系硬化剤)の30.0gにアルミキレートD(川研ファインケミカル社製、アルミニウムキレート化合物)を1.7g加え混合し、さらに、化合物AとしてMKCシリケートMS56S〔三菱化学社製、シリカ分56重量%のメチルシリケート縮合物〕を17.0g加えて混合したものを硬化剤組成物1とした。
コロネートHXの30.0gにキシレン18.7gを加え混合したものを硬化剤組成物2とした。
主剤1の100g(固形分として59.8g)に、硬化剤1を12g混合して得た塗料組成物を、基材の上にバーコーターにて、膜厚30μmとなるように塗布した。その後、気温23℃相対湿度60%下にて7日間養生を行い、実施例1の試験体を得た。
主剤2の100g(固形分として59.8g)に、硬化剤1を12g混合して得た塗料組成物を、基材の上にバーコーターにて、膜厚30μmとなるように塗布した。その後、気温23℃相対湿度60%下にて7日間養生を行い、実施例2の試験体を得た。
主剤3の100g(固形分として40.8g)に、硬化剤2を12g混合して得た塗料組成物を、基材の上にバーコーターにて、膜厚30μmとなるように塗布した。その後、気温23℃相対湿度60%下にて7日間養生を行い、比較例1の試験体を得た。
主剤4の100g(固形分として43.3g)に、硬化剤1を12g混合して得た塗料組成物を、基材の上にバーコーターにて、膜厚30μmとなるように塗布した。その後、気温23℃相対湿度60%下にて7日間養生を行い、比較例2の試験体を得た。
主剤1の100g(固形分として59.8g)に、硬化剤2を12g混合して得た塗料組成物を、基材の上にバーコーターにて、膜厚30μmとなるように塗布した。その後、気温23℃相対湿度60%下にて7日間養生を行い、比較例3の試験体を得た。
主剤2の100g(固形分として59.8g)に、硬化剤2を12g混合して得た塗料組成物を、基材の上にバーコーターにて、膜厚30μmとなるように塗布した。その後、気温23℃相対湿度60%下にて7日間養生を行い、比較例4の試験体を得た。
各試験体の表面について、分光測色計CM−2002型(ミノルタ社製)を使用して、JIS Z 8729に規定された明度L*を測定した。結果を表1に示す。
FACE接触角計CA−A型(協和界面化学社製)を使用して、0.005ミリリットルのイオン交換水の液滴について、接触角を測定した。結果を表1に示す。
各試験体について、以下の手順にて、赤外線ランプを10分間照射したときの膜の温度を測定した。
まず、試験体表面の中央部に熱電対を設置した。また、試験体表面から60cmのところに赤外線ランプを設置した。この赤外線ランプを10分間点灯した後、消灯した。
赤外線ランプの点灯開始から消灯の5分後までの15分間、熱電対にて、試験体表面の温度を連続的に測定した。この15分間の間に得られた最も高い温度を初期温度T1とした。結果を表1に示す。
各試験体について、以下に手順を示すように、(財)土木研究センター法(防汚材料評価促進試験方法I)の防汚試験に準じて促進汚れ付着を行った後、汚染後温度T2を測定した。結果を表1に示す。
(1)汚れ物質として、顔料用カーボンブラック(デッグサ社製、粒径0.002〜0.028μm)5重量%に脱イオン水95重量%をよく混ぜ、懸濁液を作製した。
(2)懸濁液に、ガラスビーズ(2mmφ)を懸濁液の容積の1/3程度加え撹拌機を用いて2500rpmの回転数で撹拌した。その後、ガラスビーズを取り除いてカーボンブラック懸濁液を分離した。
(3)上記カーボンブラック懸濁液の約200g/m2を試験体表面に吹き付けた。吹き付け後、60℃の乾燥機で1時間焼き付け乾燥した。
(4)室温まで冷却した後、水道水流水下、ガーゼを試験体表面にて縦、横、縦の順で移動させ、汚れ物質を軽く洗い落とした。
(5)その後、室温にて乾燥し、汚れ試験体を得た。
(6)試験体を、汚れ試験体に代えた他は、初期温度T1の測定と同様にして、15分間の間に得られた最も高い温度を求め、汚染後温度T2とした。
Claims (15)
- Biおよび/またはYの酸化物とMnの酸化物とを含む複合金属酸化物顔料と、
光触媒、または、光触媒並びに一般式Si(OR) 4 (式中、Rは互いに同一でも異なってもよく、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を示す。)で表される化合物および/もしくはその部分縮合物と、
を混合して含有する塗料組成物の層を含む膜を外装基材上に有することを特徴とする熱線高反射外装材。 - Biおよび/またはYの酸化物とMnの酸化物とを含む複合金属酸化物顔料と、
一般式Si(OR) 4 (式中、Rは互いに同一でも異なってもよく、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を示す。)で表される化合物、その部分縮合物、および光触媒からなる群から選ばれる1または2以上の物質と、
を混合して含有する塗料組成物の層を含む膜を外装基材上に有し、
前記膜の表層が、光触媒からなる層であることを特徴とする熱線高反射外装材。 - 前記塗料組成物は、前記一般式Si(OR)4で表される化合物またはその部分縮合物を混合して含有し、
前記一般式Si(OR)4で表される化合物またはその部分縮合物を100%加水分解縮合することにより得られるシリカが、前記一般式Si(OR)4で表される化合物またはその部分縮合物に対して20〜60重量%含むことを特徴とする請求項1または2に記載の熱線高反射外装材。 - 前記複合金属酸化物顔料の含有量が、総重量に対して0.005〜5.00wt%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱線高反射外装材。
- 前記塗料組成物がさらに樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱線高反射外装材。
- 前記複合金属酸化物顔料の含有量が、前記樹脂の固形分に対して0.01〜10.00wt%であることを特徴とする請求項5に記載の熱線高反射外装材。
- 前記膜が、表面含浸材をさらに含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱線高反射外装材。
- Biおよび/またはYの酸化物とMnの酸化物とを含む複合金属酸化物顔料と、
光触媒、または、光触媒並びに一般式Si(OR) 4 (式中、Rは互いに同一でも異なってもよく、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を示す。)で表される化合物および/もしくはその部分縮合物と、
を混合して含有する塗料組成物の層を含む膜を外装基材上に形成する工程を含むことを特徴とする熱線高反射外装材の製造方法。 - Biおよび/またはYの酸化物とMnの酸化物とを含む複合金属酸化物顔料と、
一般式Si(OR) 4 (式中、Rは互いに同一でも異なってもよく、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を示す。)で表される化合物、その部分縮合物、および光触媒からなる群から選ばれる1または2以上の物質と、
を混合して含有する塗料組成物の層を含む膜を外装基材上に形成する工程を含み、
前記膜の表層が、光触媒からなる層であることを特徴とする熱線高反射外装材の製造方法。 - 前記塗料組成物は、前記一般式Si(OR)4で表される化合物またはその部分縮合物を混合して含有し、
前記一般式Si(OR)4で表される化合物またはその部分縮合物を100%加水分解縮合することにより得られるシリカが、前記一般式Si(OR)4で表される化合物またはその部分縮合物に対して20〜60重量%含むことを特徴とする請求項8または9に記載の熱線高反射外装材の製造方法。 - 前記複合金属酸化物顔料の含有量が、総重量に対して0.005〜5.00wt%であることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の熱線高反射外装材の製造方法。
- 前記塗料組成物がさらに樹脂を含有することを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の熱線高反射外装材の製造方法。
- 前記複合金属酸化物顔料の含有量が、前記樹脂の固形分に対して0.01〜10.00wt%であることを特徴とする請求項12に記載の熱線高反射外装材の製造方法。
- 前記膜が、表面含浸材をさらに含むことを特徴とする請求項8〜13のいずれかに記載の熱線高反射外装材の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の熱線高反射外装材を用いることを特徴とする外装仕上げ工法。
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