[0040] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示す。この装置は、
[0041] 放射ビームB(例えばUV放射またはDUV放射)を条件付けるように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、
[0042] パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構築されたサポート構造(例えばマスクテーブル)MTであって、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1ポジショナPMに接続されたサポート構造(例えばマスクテーブル)MTと、
[0043] 基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構築された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTであって、特定のパラメータに従って基板Wを正確に位置決めするように構成された第2ポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、
[0044] パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つまたは複数のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSとを備えている。
[0045] この照明システムILは、放射を導くか、整形するか、または制御するために、屈折、反射、磁気、電磁気、静電気など様々なタイプの光学コンポーネント、または他のタイプの光学コンポーネント、あるいはそれらの任意の組合せを含んでよい。
[0046] サポート構造MTはパターニングデバイスMAを保持する。サポート構造MTは、パターニングデバイスMAの方向、リソグラフィ装置の設計、および、例えばパターニングデバイスが真空環境中で保持されるかどうかなど他の条件によって決まる形でパターニングデバイスMAを保持する。サポート構造MTは、パターニングデバイスを保持するために、機械クランプ技法、真空クランプ技法、静電クランプ技法、または他のクランプ技法を用いることができる。サポート構造MTは、例えばフレームまたはテーブルでよく、必要に応じて固定式または可動式でよい。サポート構造MTは、パターニングデバイスMAが、例えば投影システムPSに対して確実に所望の位置にあるようにすることができる。本明細書における用語「レチクル」または「マスク」のいかなる使用も、より一般的な用語「パターニングデバイス」と同義と見なされてよい。
[0047] 本明細書に使用される用語「パターニングデバイス」は、基板のターゲット部分にパターンを生み出すなどためにパターンを放射ビームの断面に与えるように使用することができる任意のデバイスを意味するものと広義に解釈されたい。例えばパターンが位相シフトフィーチャまたはいわゆるアシストフィーチャを含むと、放射ビームに与えられたパターンが、基板のターゲット部分内の所望のパターンと正確に一致しない可能性があることに留意されたい。一般に、放射ビームに与えられたパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイス内の特定の機能の層に相当することになる。
[0048] パターニングデバイスは、透過型または反射型とすることができる。パターニングデバイスの諸例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、プログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクはリソグラフィで周知であり、バイナリ、レベンソン型(alternating)位相シフト、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトなどのマスクタイプ、ならびに様々なハイブリッドマスクタイプを含む。プログラマブルミラーアレイの一例は、小さな鏡の行列構成を使用し、鏡のそれぞれは、入来放射ビームを様々な方向で反射するように個別に傾けることができる。傾斜式鏡は、鏡行列によって反射される放射ビーム内にパターンを与える。
[0049] 本明細書に用いられる用語「投影システム」は、あらゆるタイプの投影システムを包含として広義に解釈されたい。投影システムのタイプには、屈折システム、反射システム、反射屈折システム、磁気システム、電磁気システム、および静電気光学システム、あるいはそれらの任意の組合せが含まれうる。投影システムの選択または組合せは、使用される露光放射あるいは液浸液の使用または真空の使用など他の要因に見合ったものである。本明細書において「投影レンズ」の用語の使用があれば、より一般的な用語「投影システム」と同義と見なされてよい。
[0050] 本明細書で記述されるように、装置は透過タイプ(例えば透過性マスクを使用するタイプ)である。あるいは、装置は反射タイプ(例えば上で言及されたプログラマブルミラーアレイを使用するタイプまたは反射性マスクを使用するタイプ)でもよい。
[0051] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)またはそれより多い基板テーブル(および/または2以上のパターニングデバイステーブル)を有したタイプのものとすることができる。そのような「マルチステージ」の機械では、追加のテーブルを同時に使用することができる、または1つまたは複数のテーブルを露光のために使用しながら、1つまたは複数の他のテーブル上で準備ステップを実施することができる。
[0052] 図1を参照すると、イルミネータILは、放射源SOから放射ビームを受け取る。放射源が例えばエキシマレーザである場合、放射源SOおよびリソグラフィ装置は、個別の構成要素とすることができる。このような場合、放射源SOは、リソグラフィ装置の一部を形成しているとは見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを備えたビームデリバリシステムBDを使用して放射源SOからイルミネータILへ渡される。それ以外の例えば放射源SOが水銀灯などの場合、放射源はリソグラフィ装置の一構成要素とすることができる。放射源SOおよびイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDと共に放射システムと呼ぶことができる。
[0053] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するためのアジャスタADを備えることができる。通常、イルミネータILの瞳面内における強度分布の少なくとも外側および/または内側半径範囲(一般に、それぞれσ-outerおよびσ-innerと呼ばれている)は調整が可能である。また、イルミネータILは、インテグレータINおよびコンデンサCOなどの他の様々なコンポーネントを備えることができる。このイルミネータILを使用して放射ビームを、所望の均一性および強度分布をその断面に有するように調整することができる。放射源SOと同様に、イルミネータILは、リソグラフィ装置の一部を形成すると考えられることも考えられないこともある。例えば、イルミネータILは、リソグラフィ装置の一体型部品であることがあり、あるいはリソグラフィ装置とは別個のものであることもある。後者の場合、リソグラフィ装置は、その上にイルミネータILを装着できるように構成することができる。任意選択により、イルミネータILは取外し可能で、別個に供給されてもよい(例えば、リソグラフィ装置製造業者または他の供給業者から)。
[0054] 放射ビームBは、サポート構造(例えばマスクテーブル)MTに保持されるパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射し、パターニングデバイスMAによってパターン付けされる。放射ビームBはパターニングデバイスMAを通過した後、投影システムPSを通過する。投影システムPSは、ビームBを基板Wのターゲット部分C上に合焦する。第2のポジショナPWおよび位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、または容量センサ)を用いて、例えば放射ビームBの経路中に様々なターゲット部分Cを位置決めするように基板テーブルWTを正確に移動することができる。同様に、第1のポジショナPMおよび別の位置センサ(図1に明確には示されていない)を使用して、例えばマスクライブラリからの機械的抽出の後にまたはスキャン中に、パターニングデバイスMAを放射ビームBの経路に対して正確に位置決めすることができる。一般に、サポート構造MTの移動は、第1のポジショナPMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)を用いて実現することができる。同様に、基板テーブルWTの移動は、第2のポジショナPWの一部を形成するロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールを使用して実現することができる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、サポート構造MTはショートストロークアクチュエータにのみ接続することができ、または固定することができる。パターニングデバイスMAおよび基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1、M2および基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アライメントマークは専用のターゲット部分を占めるが、それらはターゲット部分間の空間に配置することができる(これらはスクライブラインアライメントマークとして知られている)。同様に、1つよりも多いダイがパターニングデバイスMA上に設けられている状況では、パターニングデバイスアライメントマークはダイ間に配置することができる。
[0055] 図示された装置は、以下のモードのうち少なくとも1つで使用することができる。
[0056] ステップモードでは、サポート構造MTおよび基板テーブルWTを本質的に静止したままにしながら、放射ビームBに付与されたパターン全体がターゲット部分C上に一度に投影される(すなわち単一静的露光)。次に、基板テーブルWTは、異なるターゲット部分Cを露光することができるようにXおよび/またはY方向に移動される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズは、単一静的露光で結像されたターゲット部分Cのサイズを制限する。
[0057] スキャンモードでは、サポート構造MTと基板テーブルWTとが同期してスキャンされるとともに、放射ビームBに付与されたパターンがターゲット部分C上に投影される(すなわち単一動的露光)。サポート構造MTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの拡大(縮小)および像反転特性によって決定することができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズが単一動的露光におけるターゲット部分Cの幅を(非スキャン方向で)制限するが、スキャン運動の長さがターゲット部分Cの高さを(スキャン方向で)決定する。
[0058] 別のモードでは、サポート構造MTは本質的に静止したままでプログラマブルパターニングデバイスを保持し、基板テーブルWTが移動またはスキャンされるとともに、放射ビームBに付与されたパターンがターゲット部分C上に投影される。このモードでは、一般に、パルス放射源が使用され、基板テーブルWTの各移動の後にまたはスキャン中の連続する放射パルス間に必要に応じてプログラマブルパターニングデバイスが更新される。この操作モードは、上述したタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
[0059] 前述の使用モードまたはまったく異なった使用モードの組合せおよび/または変形形態も用いられてよい。
[0060] 投影システムPSの最終エレメントと基板の間に液体を供給する構成は、いわゆる局部液浸システムIHである。このシステムでは、液体が基板の局部領域にだけ供給される液体ハンドリングシステムが使用される。液体で充填される空間は、基板の上面よりも平面視で小さく、液体で充填される領域は、その領域の下を基板Wが移動する間、投影システムPSに対して実質的に静止したままである。4つの異なるタイプの局部液体供給システムが図2〜5に示されている。
[0061] 図2および3に示されているように、液体は、少なくとも1つの入口によって、好ましくは基板が最終エレメントに対して移動する方向に添って基板の上に供給される。液体は、投影システムの下方を通過した後、少なくとも1つの出口によって除去される。つまり、基板がエレメントの下方でX方向にスキャンされる際に、エレメントの+X側で液体が供給され、−X側で吸い取られる。図2は、入口を介して液体が供給され、低圧源に接続される出口によってエレメントのもう一方の側で吸い取られる構造を概略的に示したものである。図2の図解では、液体は、必ずしもその必要はないが、基板が最終エレメントに対して移動する方向に添って供給されている。最終エレメントの周りに配置される様々な配向および様々な数の入口および出口が可能であり、図3はその一例を示したもので、両側に出口を備えた4組の入口が最終エレメントの周りに規則的なパターンで提供されている。液体供給デバイスおよび液体回収デバイス内の矢印は、液体の流れの方向を示す。
[0062] 図4は、局部液体供給システムを備えた他の液浸リソグラフィ解決法を示したものである。液体は、投影システムPSの両側の2つの溝入口によって供給され、入口の外側に半径方向に配置された複数の離散出口によって除去される。入口は、投射される投影ビームが通過する孔を中心部分に備えたプレートの中に配置することができる。液体は、投影システムPSの一方の側の1つの溝入口によって供給され、かつ、投影システムPSのもう一方の側の複数の離散出口によって除去され、したがって投影システムPSと基板Wの間に液体の薄膜が流れる。入口および出口のどの組合せを選択して使用するかは、基板Wが移動する方向によって決定することができる(入口および出口の他の組合せは使用されない)。図4の断面図で、矢印は、入口に入り出口から出る液体の流れの方向を示す。
[0063] 提案されている別の構成は、液体閉じ込め部材を有する液体供給システムを設けるものであり、この液体閉じ込め部材は、投影システムの最終エレメントと基板テーブルの間の空間の境界の少なくとも一部に沿って延びる。このような構成が図5に示されている。液体閉じ込め部材は、XY面では投影システムに対して実質的に固定されているが、Z方向(光軸の方向)にはいくらかの相対移動がありうる。液体閉じ込めと基板の表面の間にシールが形成される。一実施形態では、シールが液体閉じ込め構造体と基板の表面の間に形成され、これは、ガスシールなどの非接触シールとすることができる。このようなシステムは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2004−0207824号に開示されている。
[0064] 図5は、液体閉じ込め構造体12を有する局部液体供給システムを概略的に示す。液体閉じ込め構造体12は、投影システムPSの最終エレメントと基板テーブルWTまたは基板Wとの間の空間11の境界の少なくとも一部分に沿って延びる。(以下の文での基板Wの表面についての言及はまた、別に言明されない限り、基板テーブルWTの表面に加えて、またはそれに代えて言及することに留意されたい。)液体閉じ込め構造体12は、XY面では投影システムPSに対して実質的に静止しているが、Z方向(光軸の方向)にはいくらかの相対移動がありうる。一実施形態では、シールが液体閉じ込め構造体12と基板Wの表面の間に形成され、このシールは、流体シール、望ましくはガスシールなどの非接触シールとすることができる。
[0065] 液体閉じ込め構造体12は、投影システムPSの最終エレメントと基板Wとの間の液浸空間11内に、少なくとも部分的に液体を封じ込める。基板Wに対する非接触シール16は、液体が基板Wの表面と投影システムPSの最終エレメントとの間の空間11の中に閉じ込められるように、投影システムPSのイメージフィールドの周囲に形成することができる。液浸空間11は、投影システムPSの最終エレメントの下および周囲に配置された液体閉じ込め構造体12によって少なくとも部分的に形成される。液体が、投影システムPSの下で液体閉じ込め構造体12内部の空間11の中に液体入口13から入れられる。この液体は、液体出口13から排除することができる。液体閉じ込め構造体12は、投影システムPSの最終エレメントの少し上に延びることができる。液体レベルは最終エレメントの上に上昇し、その結果、液体のバッファが形成されることになる。一実施形態では、液体閉じ込め構造体12は、その上端で投影システムPSまたはその最終エレメントの形状とよく一致する内側周辺部を有し、これは例えば円形とすることができる。底部では、内側周辺部はイメージフィールドの形状、例えば長方形とよく一致するが、こうである必要はない。
[0066] 一実施形態では、液体は、使用中に流体閉じ込め構造体12の底面と基板Wの表面との間に形成されるガスシール16によって、液浸空間11内に封じ込められる。シールなし(例えば、オールウェット実施形態において)、あるいは液体閉じ込め構造体12の底面と、基板Wの表面、基板テーブルWTの表面、または両方の組合せの表面など、対向面との間の毛管力によって得られるシールであるような、他のタイプのシールも実現可能である。
[0067] ガスシール16はガスによって、例えば空気または合成空気、ただし一実施形態ではN2、あるいは他では不活性ガスによって形成される。ガスシール16内のガスは圧力を受け、入口15を経由して液体閉じ込め構造体12と基板Wの間のギャップに供給される。ガスは出口14を経由して抽出される。ガス入口15にかかる過圧力、出口14の真空レベル、およびギャップの形状は、液体を閉じ込める高速ガス流が内向きにあるように構成される。液体閉じ込め構造体12と基板Wの間の液体にかかるガスの力で液体を液浸空間11内に封じ込める。入口/出口は、空間11を取り囲む環状の溝とすることができる。環状の溝は、連続していても断続していてもよい。ガスの流れは液体を空間11内に封じ込めるのに効果的である。このようなシステムは、米国特許出願公開第2004−0207824号に開示されている。
[0068] 他の構成も実現可能であり、以下の説明から明らかになるように、本発明の一実施形態で任意のタイプの局部液浸システムを使用することができる。
[0069] 局部液浸システムでは、液体閉じ込め構造体の一部と、基板Wおよび/または基板テーブルWTの表面など、下にある面との間にシールが形成される。このシールは、液体閉じ込め構造体と下にある面との間のメニスカスによって画定することができる。下にある面と液体閉じ込め構造体との間の相対移動により、ある限界速度を超えると、例えばメニスカスであるシールの破損につながる可能性がある。この限界速度を超えると、シールが破損して、液体が、例えば小滴の形で液体閉じ込め構造体から漏れ出る、あるいはガスが、すなわち気泡の形で液浸空間内の液浸液中に封入される可能性がありうる。
[0070] 小滴は欠陥の原因になることがある。小滴は、蒸発するときに、それが位置する表面に熱負荷をかけることがある。小滴は、それが蒸発した後に乾燥しみが残ることで、汚染の原因になることがある。小滴が、投影システムの下で移動する下にある面の上の経路にある場合、その小滴はメニスカスに接触する可能性がある。その結果起こるメニスカスと小滴との衝突により、液体中に気泡が形成されることがある。気泡は欠陥の原因になることがある。液浸液中の気泡は、投影システムと基板の間の空間に吸い込まれ、そこでイメージング投影ビームと干渉することがある。
[0071] 限界速度は、下にある面の特性によって決まりうる。閉じ込め構造体に対するギャップの限界速度は、基板などの比較的平坦な面の表面に対する限界速度よりも小さいことがある。底面の一部に対して最低限界速度を超えてスキャン速度を増大させると、スキャン速度は、より多くの底面に対して限界速度を超えることになる。この問題は、大きいスキャン速度でより顕著になることがある。しかし、スキャン速度の増大は、スループットが増大するので望ましい。
[0072] 図6は、基板Wを支持するために使用できる基板テーブルWTを平面図で示す。この基板テーブルは、ほぼ平坦な上面21を有することができる。上面21には、基板Wを受け取り支持するように構成された凹部22がある。
[0073] この凹部には、基板サポートがあることがあり、これは凹部の表面であってよい。凹部22の表面は、基板の下面を支持する複数の突起を含むことがある。凹部の表面は障壁を含むことがある。凹部の表面には、複数の開口を形成することができる。障壁は、突起を取り囲んで基板Wの下面の下に空間を画定する。開口は、減圧源に接続される。この開口の上に基板が置かれると、基板Wの下に空間が形成される。この空間は、減圧の作用によって排気される。この構成は、基板Wを基板テーブルWTに固定するのに使用することができる。
[0074] 一構成では、凹部は、基板の主面すなわち上面および下面が、基板テーブルの上面21とほぼ平行になるように構成することができる。一構成では、基板Wの上面は、基板テーブルの上面21とほぼ同一平面にあるように配置することができる。
[0075] 本出願では、上および下などの語は、説明されるシステム内のコンポーネントの相対位置を定義するために用いられることがあることを理解されたい。しかし、これらの語は便宜上、装置が特定の向きで使用される場合にコンポーネントの相対位置を示すために使用される。これらの語は、装置を使用することができる向きを指定するものではない。
[0076] 図6に示されるように、ギャップ23が基板Wの縁部と凹部22の縁部との間に存在することがある。本発明の一態様によれば、基板Wを囲んで延びるカバー25が設けられる。カバー25は、基板Wの上面の周辺部(一実施形態では、基板の縁部でありうる)から基板テーブルWTの上面21まで延びる。カバー25は、基板Wの縁部と凹部22の縁部との間のギャップ23を完全に覆うことができる。加えて、カバー25の開放中央部26は、カバーの内側縁部によって画定することができる。開放中央部26は、パターン付き放射ビームを投影することになっている基板Wの一部分を、使用時にカバー25が覆わないように構成することができる。カバーの内側縁部は、パターン付き投影ビームによって結像される基板表面に隣接する基板の一部分を覆うことができる。このカバーは、パターン付き投影ビームによって露光される基板の部分から離して置かれる。
[0077] 図6に示されるように、カバー25が基板W上に配置される場合、開放中央部26のサイズは、基板Wの上面のサイズよりもわずかに小さくすることができる。図6に示されるように、基板Wが円形である場合、カバー25は、平面視で概して環状にすることができる。
[0078] カバー25は、薄いカバープレートの形状とすることができる。このカバープレートは、例えば、ステンレス鋼から形成することができる。他の材料を使用することもできる。カバープレートは、Plasma Electronic GmbHから提供されるタイプのLipocerコーティングで被覆することができる。Lipocerは、疎液性(例えば疎水性)にできるコーティングであり、放射および液浸液(腐食性が強いことがある)にさらされることによる損傷に対し比較的耐性がある。Lipocerに関するより多くの情報は、参照によりその全体を本明細書に組み込む、2008年2月6日出願の米国特許出願第12/367,000号に見出すことができる。
[0079] 図21に概略的に示されているように、Lipocerの層などの疎液性コーティング141を、使用時に基板Wの上面の周辺部から基板テーブルWTの上面21まで延在できるカバー25の下面25a、すなわち表面に塗布することができる。このようなコーティング141を下面25aに施すと、カバー25の下の液浸液の漏洩を最小化または低減することができる。例えば、コーティング141は、カバー25と基板Wの上面との間の液浸液の漏洩を低減することができる。このような液浸液漏洩の最小化または低減により、次には液浸液が基板Wの下側まで進む可能性を低減することができる。これにより、いわゆる裏面汚染の結果として生じることがある欠陥を低減することができる。液浸液漏洩を最小化または低減することで、基板W上の熱負荷を低減することができる。
[0080] カバー25の下面25aのコーティング141は、粘着防止層になるように選択することができる。言い換えると、コーティング141は、カバー25が基板Wの上面および/または基板テーブルWTの上面21に粘着することを防止、最小化、または低減するように選択することができる。これにより、カバー25が基板Wおよび基板テーブルWTから取り外されるときに、カバー25、基板Wおよび/または基板テーブルWTが損傷することを防止または低減することができる。
[0081] カバー25の下面25a上に疎液性および/または粘着防止のコーティング141を使用すると、カバー25の下面に汚染粒子が蓄積することを防止または低減することができる。このような汚染粒子は、カバー25、基板Wおよび/または基板テーブルWTのいずれかの損傷を招き、あるいは、その後の基板W上の欠陥の原因となる可能性がある。あるいは、または加えて、このようの汚染粒子は、カバー25と基板Wの上面および/または基板テーブルWTの上面21との間に十分なシールが形成されることを妨げ、その結果、液浸液の望ましくない漏洩を招くことになる可能性がある。したがって、このような汚染粒子が蓄積することを防止することが望ましくなりうる。
[0082] カバー25の下面25a、および/またはカバー25の下面25aに塗布されるコーティング141の下面141aは、表面粗さが小さくなるように構成することができる。例えば、スプレーコーティングでは、表面粗さRAを1μm未満にすることができる。堆積コーティングでは、表面粗さRAを200nm未満にすることができる。一般に、カバーの下面25aの表面粗さ、および/またはカバー25の下面25aに塗布されるコーティング141の下面141aの表面粗さを低減すると、基板Wの表面の応力集中を低減することができる。使用時に基板と接触するカバー25の部分の表面粗さRAは望ましくは、200nm未満、50nm未満、または10nm未満にすることができる。
[0083] カバー25の下面25aの表面粗さ、および/またはカバー25の下面25aに塗布されるコーティング141の下面141aの表面粗さが確実に小さくなることはまた、カバー25の下の液浸液の漏洩を低減または最小化する助けにもなりうる。カバー25は、カバー25の下面25aの平坦度、および/またはカバー25の下面25aに塗布されるコーティング141の下面141aの平坦度が最大になるように構成することができる。これにより、カバー25と基板Wおよび/または基板テーブルWTとの間に最適化された接触が得られ、それによって液浸液漏洩が低減または最小化される。
[0084] 図21に概略的に示されているように、コーティング142をカバー25の上面25bに代替として、または追加して設けることができる。カバー25の上面25b、またはカバーの上面25bのコーティング142の上面142bは、平滑性が得られるように選択することができる。これにより、メニスカスに穴があく可能性を低減することができる。例えば、カバー25の上面25b、またはカバーの上面25bのコーティング142の上面142bは、表面の山から谷の距離が10μm未満、望ましくは5μm未満になるように平滑にすることができる。
[0085] カバー25の上面25bのコーティング142は、放射および液浸液にさらされることによる損傷に耐性を持つように選択することができる。これは、カバーの動作寿命が、リソグラフィ装置の故障時間を含めて、カバー25の交換に関連する不要なコストを防ぐのに十分なだけ確実に長くなる助けになりうる。カバー25の上面25bのコーティング142は、上で論じたように、疎液性になるように選択することができる。このようなコーティングでは、液浸液に対してより大きい後退接触角を得ることができる。これにより次に、例えば、上で論じたようにメニスカスからの液浸液の喪失を伴わずに、より大きいスキャン速度を用いることが可能になりうる。上記のように、カバー25の上面25bのコーティング142は、Lipocerから形成することができる。
[0086] カバー25の下面25aおよび上面25bのコーティング141、142は、単層の材料から形成できることを理解されたい。あるいは、コーティング141、142の一方または両方を複数の層から形成することもできる。例えば、各層を異なる材料から形成し、それによってコーティング141、142に異なる利益をもたらすことができる。カバー25の下面25aおよび上面25bのコーティング141、142は、互いに同じでも異なってもよいこともまた理解されたい。
[0087] カバープレートは、例えば、厚さ25μmとすることができる。例えば1つまたは複数の縁部で、局部的に厚さが低減するようにエッチングすることができる。局部的に低減した領域では、厚さが10μmになりうる。一部のカバーの厚さは、レーザアブレーション、ミリング、研磨など他の処理によって低減することもできる。
[0088] 図21に示されるように、カバー25の縁部25c、25d、すなわちカバー25の下面25aと上面25bを分けている縁部は、カバー25の下面25aおよび上面25bに対してほぼ直角にすることができる。このような構成は、製造するのに比較的簡単なことがある。
[0089] しかし、図21に示された構成では、カバー25の縁部25c、25dは、基板Wの表面および基板テーブルWTの上面21の上に段差を形成しうる。このような段差は望ましくないことがある。特に、上で論じたように、基板Wおよび基板テーブルWTが液体閉じ込め構造体に対して移動する場合、液体閉じ込め構造体と基板Wおよび/または基板テーブルWTとの間の液体メニスカスによって形成されたシールが破壊しないことを保証するように注意を払わなければならない。表面に段差が生じると、液体閉じ込め構造体および/または基板W/基板テーブルWTの、例えばメニスカスであるシールを破壊せずに移動できる限界速度が、液体閉じ込め構造体と基板Wおよび/または基板テーブルWTとの間で低減することがある。
[0090] カバー25の1つまたは複数の縁部25c、25dは、段差が低減するように構成することができる。例えば、上で論じたようにカバーの厚さは、1つまたは複数の縁部で局部的に低減することができる。例えば、カバーの1つまたは複数の縁部25c、25dは、図22〜25のいずれかの図に概略的に示された断面を有するように構成することができる。
[0091] 図22に示されているように、カバー25の縁部は、カバー25が先端に向かって先細りになっている部分143を有するように構成することができる。したがって、このようなカバーには段差がない。しかし、このカバー25が極端な縁部であると損傷を受けやすくなることがある。
[0092] 一代替構成では、図23に示されるように、カバー25は縁部145を有することができ、この縁部は、カバー25の厚さよりも小さい段差146と、段差146と最大厚さを有するカバー25の本体との間の先細り部分とを含む。例えば、カバー25の本体は厚さ25μmとし、段差146は厚さ10μmとすることができる。このような構成では、直角縁部25c、25dを有するカバーよりも段差が小さいが、図22に示された構成より縁部損傷を受けにくいといえる。
[0093] 図22および図23に示されているように、カバー25の縁部の先細り部分143、145は、縁部からの距離に対して厚さが直線的に増加するように構成することができる。しかし、これは絶対に必要なことではない。図22および図23にそれぞれ対応する図24および図25に示されているように、先細り部分147、148は、そうしないで湾曲させることもできる。こうすると、例えば、カバー25の先細り部分と残りの間、または先細り部分とカバー25の縁部の低減された段差との間に鋭い角部が形成されることを回避することができる。このような鋭い角部は、液体閉じ込め構造体と下にある面との間の、例えばメニスカスであるシールの不安定性の原因になりうる。したがって、このような鋭い角部を回避すると、小滴がメニスカスから失われる可能性が低減し、それによって、上で論じた起こりうる欠陥を低減することができる。
[0094] 図22〜25に示されているように、カバー25の下方の角部、すなわち、使用時に基板Wおよび/または基板テーブルWTの上面と接触しうる角部は、比較的鋭い角部にすることができる。こうすることにより、カバー25と基板Wおよび/または基板テーブルWTの間に比較的良好なシールを実現することができる。しかし、そうしないで下方の角部を湾曲させることが可能なことを理解されたい。これにより、基板Wの損傷の可能性を低減することができる。
[0095] 一般に、鋭い角部をカバー上で避けることにより、必要に応じてカバー25にコーティングを施すことが容易になりうる。
[0096] 図22〜25は、先細り部分および/または丸みのある部分を伴うカバー25の1つの縁部を示すが、カバー25の1つまたは複数の縁部が先細りにされ、および/または、1つまたは複数の上で論じた丸みのある角部を有することが可能なことを理解されたい。さらに、カバー25の各縁部は、先細り部分および/または丸みのある部分それぞれの異なる構成を有することができる。
[0097] カバー25の縁部25c、25dの一方または両方の構成の選択に影響を及ぼしうる別の問題は、液体閉じ込め構造体12がカバー25を横切る場合の液浸液の挙動である。この挙動はまた、液体閉じ込め構造体12の構成、ならびに基板テーブルWTおよびカバー25に使用される1つまたは複数の材料によっても影響を受けることがある。
[0098] 例えば、ガスナイフならびに疎液性(例えば疎水性)の基板テーブルWTおよびカバー25を含まない液体閉じ込め構造体を使用する場合、液膜引張りが存在することがある。液膜引張りはまた、他の構成で起こることもある。液膜引張りは、基板上で液体喪失につながることがあり、これは望ましくない。特に、このような失われた小滴はその後に、液体閉じ込め構造体12と基板テーブルWTの間のさらなる相対移動中にメニスカスと衝突することがある。このような衝突の結果、液浸液中に気泡が形成されることになりうる。
[0099] 液膜引張りは、メニスカスの下でカバー25の縁部の移動によって(またはその逆によって)引き起こされることがある。メニスカスが90°の高さ段差を越えるとき、メニスカス速度はそのステップ中、無限大でなければならない。このような段差は、図21に示されたようなカバー25の直角の縁部25c、25dで生じる。無限大のメニスカス速度は実際にはありえず、したがってメニスカスは引き伸ばされ、その結果、図33に示された液膜引張りが生じる。その後、液膜201が***し、その結果、基板Wおよび/または基板テーブルWT上で液体喪失が生じる。
[00100] 液膜引張りは、例えば図22に示されたような先細りの縁部を使用することによって低減することができる。しかし、液膜は、直角縁部の場合よりも早く穴を塞がれるが、それでもなお液膜が引っ張られることがある。したがって、基板および/または基板テーブル上の液体喪失は低減できるが、依然として望ましいレベルを上回ったままになりうる。これは、カバー25の縁部に無限に鋭い先端部を形成することが不可能であるためといえる。したがって、カバー25の縁部の先端に、実質的に直角である小さな縁部が残りうる。
[00101] 一実施形態では、液浸液膜中断器が、液膜の速い***を促進するために設けられる。こうすると、液体喪失を低減することができる。
[00102] 一実施形態では、液浸液膜中断器は、カバー25の上面および/または縁部に付けることができる1つまたは複数の構造体を含む。この構造体は、膜を不安定にして膜***を生じさせる。このような表面断面は、上述の直角の縁部、または先細りの縁部の任意の構成を有するカバー25と組み合わせることができる。
[00103] カバー25の上面および/または縁部に付けられる構造体は、表面の複数の局部変形物からなる任意の種類の形にすることができる。例えば、***部および/または溝などの細長いフィーチャを与えることができる。このような***部および/または溝の断面は、任意の適切な形状とすることができる。あるいは、または加えて、突起および/またはくぼみなどの比較的短いフィーチャを与えることもできる。このような突起および/またはくぼみは、任意の適切な形状を有することができる。
[00104] 図34は、複数の***部202がカバー25の上面に設けられている一実施形態を示す。図示のように、このような構成は液膜203の***を促進する。このような構成で、メニスカスに穴があく可能性を低減することができる。
[00105] 図35は、複数の溝204がカバー25の縁部に設けられている一実施形態を示す。図示のように、このような構成は液膜204の***を促進する。このような構成で、メニスカスに穴があく可能性を低減することができる。
[00106] 図36およびより詳細に図37に示された一実施形態で、液浸液膜中断器は、液体閉じ込め構造体12によって供給される複数の離散ガス噴射210を含む。ガス噴射210は、液膜が形成し始めるときに液膜の上に向けられて、膜212が速く***することを促進する。このような構成で、メニスカスに穴があく可能性を低減することができる。
[00107] ガス噴射210は、例えば、液体閉じ込め構造体12の表面に形成されてガス供給源に接続されたアパーチャ213の列によって形成することができる。アパーチャは、開口211のラインの外側に設けることができ、開口211は、液体閉じ込め構造体の表面に形成され、液浸液を封じ込めるために液浸液を取り出すのに使用される。言い換えると、ガス噴射210を形成するアパーチャ213は、開口211のラインの、液浸液が封じ込められる空間に対し反対側にあるといえる。例えば、アパーチャ213の列は、液浸液を取り出すために使用される開口211のラインにほぼ平行なラインとして設けることができる。
[00108] 例えば図37に示されているように、等しい数のアパーチャ213および開口211を開口211のラインの所与の部分に設けることができるが、必ずしもこうでなくてもよい。開口211の適切な離隔を決定する要素は一般に、各アパーチャ213間の適切な離隔を決定する要素とは異なることになり、その結果、開口211の数とアパーチャ213の数に相違が生じる。
[00109] 加えて、図36は、液体閉じ込め構造体12が平面視で概して正方形の一構成を示すが、こうである必要はない。さらに、図36に示されているように、開口211のラインは、液体閉じ込め構造体12に対する基板テーブルWT(したがって、基板Wおよびカバー25)のスキャン方向に並行または直角にすることができるが、こうである必要はない。例えば、開口211のラインのそれぞれは、スキャン方向に45度の角度、または任意の望ましい角度に配列することができる。さらに、図36に示されているように、開口211のラインは直線にすることができるが、こうである必要はないことを理解されたい。したがって、例えば、開口211によって境界が定められている液体閉じ込め構造体12の領域は、開口211の複数の凹形のラインによって境界を定めることもできる。
[00110] 一実施形態では、アパーチャ213の列は、開口211のラインの形状に整合する形状で設けることができる。しかし、こうである必要はなく、開口211のラインがアパーチャ213のラインとは異なる形状を画定することが望ましいこともある。特に、開口211のラインによって境界が定められた空間の角部では、開口211の配置と異なるアパーチャ213の配置が行われることがある。
[00111] 図36および図37に示された構成は、液体閉じ込め構造体12の縁部で液浸液を取り出すシステムを、複数の離散開口211であるとして示すが、一実施形態では、異なる液体取出し構成にすることができる。例えば、開口211のラインの代わりに、1つの連続する開口を設けることができる。さらに、1つの連続する開口を設けることもでき、液浸液と接触するその開口面は、多孔質材料などのマイクロふるいによって覆われている。
[00112] 例えばガスナイフではなく、複数の離散ガス噴射210を使用する利点は、液滴がガス噴射210と開口211のラインの間に集まることがないことである。このような領域に液滴が集まると、液体閉じ込め構造体に対して基板テーブルWTが移動する間に問題となりうる。例えば、移動中にこのような領域に集まった液滴は、結合して大きな滴を形成しうる。このような大きな滴は、例えば、液体閉じ込め構造体12に対する基板テーブルWTの移動の方向が逆転したときに、例えばメニスカスと衝突する可能性がある。メニスカスと滴のこのような衝突の結果、液浸液中に気泡が形成されることになり、その結果イメージ欠陥を生じることがある。
[00113] 上で説明したように、複数の離散ガス噴射210を供給することにより、膜212を複数の比較的小さな滴に***させることができる。この小滴は、メニスカスと衝突したときに気泡を生じないように十分に小さくすることができる。液浸液の膜は、カバー25が相対移動して液体閉じ込め構造体12と、液体閉じ込め構造体12と基板W、カバー25および基板テーブルWTの上部の間に形成されたメニスカスとから離れるにつれ、カバー25の縁部から引き出されることを理解されたい。
[00114] 膜に含まれる液体は、膜の厚さに比例する体積を有する。この体積はまた、基板Wおよび/または基板テーブルWTの表面上方の液体閉じ込め構造体12の「飛行」高さ、ならびに液体閉じ込め構造体12に対する基板および/または基板テーブルWTの相対速度を含む様々なパラメータによって決まりうる。膜厚は、液体閉じ込め構造体12内の1つまたは複数の流量など、液体閉じ込め構造体12の様々な設定値によって決まりうる。一例では、膜厚は約10μm〜30μmになりうる。
[00115] 液体の膜212は次に、ガス噴射210によって細流214に***させることができる。例えば、細流214は、隣り合うアパーチャ213に対応する隣り合うガス噴射210の間に形成することができる。図37に示されているように、細流214は、その後に***して離散小滴を形成する。
[00116] 理解されるように、細流214の幅は、各細流に対応する膜212の体積と関係がある。次にまたこれは、上で論じたように、膜の厚さとガス噴射210のピッチ、すなわち隣り合うアパーチャ213の中心間の離隔距離に依存する。
[00117] 次に、結果として生じる小滴215のサイズは、細流214の幅に依存する。したがって、小滴のサイズは、細流214の幅を最小限にすることによって最小にすることができ、細流214は、所与の膜厚に対して、ガス噴射210のピッチ、すなわち隣り合うアパーチャ213の中心間の離隔距離を最小限にすることによって最小にすることができる。
[00118] 図38は、異なる膜厚に対する噴射ピッチと小滴直径の間の関係の理論的分析結果を、2つの実験の結果と共に示す。垂直軸は小滴直径をμm単位で表し、水平軸は噴射ピッチをμm単位で表す。2つの実験結果は大きい正方形で示され、厚さが10μmの膜の分析結果は小さいダイヤモンド形マーカで示され、厚さが20μmの膜の分析結果は小さい正方形マーカで示され、厚さが30μmの膜の分析結果は小さい三角形マーカで示されている。これは、噴射ピッチを最小限にすることが望ましいことを裏付けるものである。
[00119] しかし、機械加工できる最小サイズまで噴射ピッチを簡単に最小化することはできない。これは、ガス噴射210が離散ガス噴射としてとどまり、したがって液膜212を確実に***できることが望ましいからである。
[00120] ガス噴射ピッチが減少するにつれ、ガス噴射210が結合し、実質的にガスナイフを形成する傾向が増大する。使用可能な最小ガス噴射ピッチ、すなわちガス噴射210が液膜212を***できるのに十分なだけ離散したままであるガス噴射ピッチは、液体閉じ込め構造体12の「飛行」高さ、アパーチャ213の直径、およびガス噴射210の速度によって決まりうる。特に、「飛行」高さとアパーチャ直径の比は、重要な要素になりうる。
[00121] 「飛行」高さがアパーチャ213の直径に対して増すにつれ、所与のガス噴射ピッチで各ガス噴射210が結合する傾向が大きくなる。「飛行」高さがアパーチャ213の直径の1.5〜2倍である一構成では、ガス噴射は、ガス噴射ピッチとアパーチャ213の直径の比が約1.5である場合に、液膜212を***させる働きをするのに十分なだけ離隔したままとなりうる。
[00122] 例えば、隣り合うアパーチャの各中心は、約100μm〜1mmの範囲内、例えば約750μmとすることができる。アパーチャ213の直径は、例えば約50μm〜150μmの範囲内、例えば100μmとすることができる。
[00123] 上記のように、ガス噴射210中のガス流の速度は、液膜212を***させる際のガス噴射の働きに影響を及ぼしうる。ガス噴射210が結合することのない使用できるガス噴射ピッチに影響を及ぼすことに加えて、ガス噴射中のガス流の速度はまた、結果として生じる小滴のサイズにも直接影響を及ぼしうる。
[00124] 一実施形態では、ガス速度は約Ma0.3〜Ma0.6、例えば約Ma0.5とすることができる。
[00125] 上で論じたように、ガス噴射210は、それが結合してガスナイフを形成しないように構成することが望ましいことがあるが、加えてガスナイフを形成することが望ましいこともある。一実施形態では、例えば、アパーチャ213のラインと平行なラインに沿って、アパーチャ213のラインの、開口211のラインから反対側にガスナイフを形成することができる。
[00126] 一実施形態では、液体閉じ込め構造体の表面に形成されて液浸液を取り出すのに使用される開口211のラインと、ガス噴射210を形成するアパーチャ213のラインとの間の離隔距離は、例えば約0.5mm〜3mm、例えば約1.5mmとすることができる。
[00127] 図39は、アパーチャ213の列から供給される複数のガス噴射210の断面を概略的に示す。図示のように、各アパーチャ213は、ガス源を含むガス供給源221にガス導管220によって接続することができる。ガス源は、例えば、清浄空気または窒素を供給することができる。
[00128] ガス源は、例えばコントローラ222によって制御することができる。コントローラ222は、ガス供給源221を用いることによって、それぞれのアパーチャ213へのガス流を制御することができる。コントローラ222を使用して、必要なときだけガス噴射210をオンにすることができる。例えば、リソグラフィ装置の通常使用中、ガス噴射210は形成されないことがあるが、液体引張りが発生する可能性がある、液体閉じ込め構造体12がカバー25を横切るときに、ガス噴射210が形成される。あるいは、または加えて、例えば、コントローラ222は、1つまたは複数の適切な制御バルブおよび/またはガス源の制御手段を用いることによって、ガス噴射210のガス速度を制御することもできる。
[00129] さらに、コントローラ222は、1つまたは複数の適切な制御バルブおよび/またはガス源の適切な制御手段を用いることによって、ガス噴射210を形成するのに使用されるべき1つまたは複数のアパーチャ213を選択することもできる。したがって、例えば、使用中に、ガス噴射210は、1組のアパーチャ213によって供給され、第2の組のアパーチャによっては供給されないことがある。例えば、液体閉じ込め構造体12がカバー25を横切るとき、液体閉じ込め構造体12の一方の側のアパーチャ213だけを使用してガス噴射210を形成することがある。
[00130] 図40は、図39に示された実施形態の変形形態を示す。その相違についてのみ論じる。図示のように、図40に示された実施形態は複数の開口230を含み、それぞれがアパーチャ213の隣り合う対の間に設けられている。開口230は、適切なガス導管231によって減圧源232に接続することができる。この減圧源は、図示のコントローラ222によって制御することができ、あるいは別のコントローラを備えることができる。
[00131] 減圧源232は、隣り合うアパーチャ213がガス噴射210を形成するために使用されているときに、開口230を通して抽気を行うように制御することができる。このような構成にすると、ガス噴射210が結合する可能性を増大させることなくガス噴射ピッチを低減することが可能になる。
[00132] 一実施形態では、カバー25の上面25b、またはカバー25の上面25bにあるコーティング142の上面142bは、可能な限り平坦になるように構成することができる。こうすると、上で論じたメニスカスのいかなる不安定性もさらに低減し、それによって、上で論じたようなメニスカスから小滴が失われ、その後に欠陥が生じる可能性を低減することができる。
[00133] 一実施形態では、カバーは基板テーブルの一部とすることができる。少なくとも閉位置と開位置の間でカバーを移動させるようにアクチュエータシステムを設けることができる。閉位置でカバー25は、凹部22の中で基板Wの上面と接触することができる。閉位置でカバー25は、基板テーブルWTの上面21と接触することができる。閉位置でカバー25は、基板Wの縁部と凹部22の縁部との間のギャップ23を覆うことができる。
[00134] カバー25は、空間内の液浸液に対して、ギャップが液浸空間11の下を通るときにギャップが閉じられるように構成することができる。ギャップを閉じることによって、ギャップを横切る際のメニスカスの安定性を改善することができる。一実施形態では、カバーは、凹部22内の基板Wの上面および基板テーブルWTの上面21の一方または両方と共にシールを形成する。基板Wの上面および基板テーブルWTの上面21の両方と共にシールを形成するカバー25は、液浸液がギャップ23に進入するのを防ぐことができる。カバーは、ギャップ23への液浸液の流入を低減することができる。カバーは、ギャップが空間11の下を通る結果として空間11に入る気泡の流れを防止できないとしても、低減する助けになりうる。
[00135] 開位置では、カバー25は、凹部22の表面に対する閉位置でその場所から離して移動させることができる。基板が凹部22の表面によって支持されているとき、カバー25は、基板Wから離れた状態になりうる。開位置は、カバー25が開位置にあるとき、基板Wを基板テーブルWTから取り外せるように配置することができる。基板Wが凹部22内に存在しない場合、基板Wを基板テーブルWTの上に装填することができる。
[00136] 一実施形態では、アクチュエータシステムは、カバー25を閉位置から開位置に移動させることで、図8に示されるようにカバー25の開放中央部26を大きくするように構成することができる。このような方法では、カバー25の開放中央部26は、開放中央部26が開位置で基板Wの上面よりも大きくなるのに十分な大きさにすることができる。カバー25の開放中央部26は、基板Wがカバー25の開放中央部26を通り抜けるのに十分な大きさにすることができる。
[00137] 一実施形態では、カバー25を開位置まで移動し、基板Wをカバー25の中央開放部26に通すことによって、基板Wを基板テーブルの上に装填し、または取り外すことができる。基板Wを基板テーブルWTに装填する場合は、基板Wをカバー25の開放中央部26に通した後、基板テーブルWTの凹部22に基板Wを受け入れることができる。その後、カバー25は、アクチュエータシステムによって閉位置まで移動させることができ、その位置で、基板Wの縁部と、基板Wが支持されている凹部22の縁部との間のギャップ23を覆う。
[00138] アクチュエータシステムは、カバー25を開位置まで移動させる際に、カバー25の複数の部分が互いに異なるそれぞれの方向に移動するように構成することができる。この構成は、開位置まで移動させることでカバー25の開放中央部26を大きくするのに用いることができる。
[00139] 一実施形態では、アクチュエータシステムは、カバー25の少なくとも一部を弾性変形させるように構成することができる。例えば、アクチュエータシステムは、開放中央部26を大きくするためにアクチュエータシステムがカバー25の複数の部分をそれぞれ別々の方向に移動させるときに、カバー25の少なくとも一部を弾性変形させることができる。
[00140] 図7および図8は、本発明の一実施形態による、それぞれ閉位置および開位置にあるカバー25を平面視で示す。図示のように、カバー25は、平面視の形状が概して環状になりうる。カバー25の、例えば円周である内側周辺部31は、カバー25が閉位置にあるときのカバー25の開放中央部26を画定することができる。形状が概して環状のカバー25の切れ目は、カバー25の、例えば円周である内側周辺部31と、例えば円周である外側周辺部32との間に設けることができる。
[00141] 図7および図8に示されたような構成では、カバー25は、アクチュエータシステムによってそれぞれ別々の方向にそれぞれが移動可能である複数の部分35を有する。複数の部分35を移動させると、カバー25の開放中央部26を大きくも小さくもすることができる。複数の部分は、組み合わさって単一の一体形カバーを形成することができる。しかし、図8に示されるように、カバー25の例えば円周である周辺部を横切る切れ目30が設けられると、中央開放部26を大きくするようにカバー25を弾性変形させることが容易になりうる。
[00143] 図7および図8の構成は、カバー25の内側周辺部31から外側周辺部32への切れ目30を含むが、これは不可欠なものではない。
[00144] 本発明のこの態様によるカバー25の開放中央部26を大きくするために、例えば弾性変形によってカバー25の拡大を容易にするように追加の切れ目を設けることができる。
[00145] 本明細書で開示されるカバーのどれが設けられても、上記のように、気泡によって生じる欠陥の低減および/または気泡の低減に加えて、リソグラフィ装置内の基板テーブルに様々な付加的利益がありうる。
[00146] 基板テーブルWTおよび液浸システムを洗浄することは、低減することができる。そうすると、リソグラフィ装置の休止時間を低減することができる。
[00147] カバーは、基板Wの上面から基板Wの下面への汚染物質の移転を低減することができる。これにより、いわゆる裏面汚染の結果として生じうる欠陥を低減することができる。
[00148] 基板Wの縁部と凹部22の縁部の間のギャップを覆うカバーを設けることにより、基板Wの縁部が投影システムおよび液浸システムを、そうしない場合に実現可能な速度よりも高速で横切ることを可能にしうる。これにより、リソグラフィ装置のスループットを向上させることができる。
[00149] カバーを設けることにより、基板Wの縁部と凹部22の縁部の間のギャップから液浸液および気泡を除去するための抽出システムを不要にすることができる。これにより、基板テーブルWTにかかる熱負荷を低減することができる。基板テーブルWTの熱安定性が向上しうる。その結果、基板W上に形成されるパターンのオーバレイ精度が向上しうる。
[00150] 基板Wの縁部と凹部22の縁部との間のギャップ用の抽出システムは、二相抽出器になりうる。このタイプの抽出器は、流れ誘導振動を引き起こすことがある。したがって、カバーを設けると、旧式化している(必要とされない)そのような抽出器になることがあり、基板テーブルWT内の振動を低減することができる。
[00151] カバーを設けると、上で開示した基板Wの縁部と凹部22の縁部との間のギャップ用の抽出器を用いるシステムよりも全体が簡単なシステムになりうる。ギャップ23の上にカバーを設けると、装置の物品のコストを全体として低減することができる。
[00152] 本発明の一態様によるカバーを設けると、上で論じた基板Wの縁部と凹部22の縁部との間のギャップに抽出システムが不要になりうることを理解されたい。しかし、本発明の一態様によるカバーは、抽出システムと組み合わせて使用することもできる。抽出システムの要件が軽減されうるので、上で論じた利益がやはり当てはまりうる。
[00153] 図9および図10は、本発明の一実施形態によるカバー25の一構成を平面視で示す。図9および図10に示されたカバーは、図7および図8に示されたカバーと類似しており、簡潔にするために相違だけを詳細に論じる。
[00154] 図示のように、カバー25は、複数の個別部分40から形成される。閉位置では、部分40は、単一カバー25を形成するためにカバー25の隣り合う部分40と接するように配置される。例えば、図9に示されるように円形の基板Wでは、閉位置でカバー25の個別部分40のそれぞれが互いに接すると、個別部分40の組合せにより、概して環状の形状を有するカバー25が形成される。
[00155] アクチュエータシステムは、カバーを閉位置から開位置に移動させるために、カバー25の各部分を別々の方向に移動できるように構成される。図9および図10に示されたようなカバー25の場合、そのようなカバー25の各部分は、個別部分40の1つである。アクチュエータシステムは、カバー25の各個別部分40をそれぞれ別々の方向に移動させる。
[00156] カバー25が開位置にあるとき、カバー25の各個別部分40は互いに引き離されて、それによって、上記のように基板Wが通り抜けることができる大きな開放中央部26が形成されうる。
[00157] 図11、12および13は、本発明の一態様で使用できる、それぞれ閉位置、中間位置および開位置にあるアクチュエータシステムを断面図で示す。
[00158] 図11に示すように、閉位置でカバー25の各部分は、基板Wの上面の周辺部45および基板テーブルWTの上面21の上に配置され、かつこれらの間に延在する。カバー25を閉位置から開位置に移動させる際、アクチュエータシステム50は、カバー25の各部分がまず、基板Wの上面および基板テーブルWTの上面21にほぼ直角の方向に移動するように構成することができる。
[00159] 図12は、上で説明した最初の移動の後に、閉位置と開位置の間の中間の位置にあるカバー25の一部分を示す。
[00160] 開位置から閉位置に移動する際、カバー25は、基板Wの上面および基板テーブルWTの上面21にほぼ直角の方向の移動によってのみ引き続き閉位置に移動できるようにして、図12に示される中間位置に移動させることができる。
[00161] このような構成により、カバー25が基板Wと接触している、または基板Wに近接しているとき、基板Wに対するカバー25の相対移動が基板Wの上面にほぼ直角の方向のみであることを有利に保証することができる。これにより、基板Wの縁部で汚染粒子が発生することを防止または低減することができる。これにより、基板Wの縁部にすでに存在している汚染粒子が、パターンが形成されるべき基板Wの上面に向かって移動することを防止または低減することができる。カバーを基板Wの面にほぼ直角の方向に移動させることによって基板に接触させると、基板Wにかかる力は、基板Wにほぼ直角の方向にかかる。この力が基板Wの周辺部辺りにかかるとき、かかる力はほぼ均一である。したがって、力がかかることによって生じる基板Wの変形は、最小限にならないとしても低減される。カバー25を当てることによる基板Wの面内の力は、低減または最小限にされ、それによって凹部内の基板Wの移動が制限される。カバー25を基板Wの縁部に当てることによる位置エラーは、防止できないとしても低減することができる。
[00162] アクチュエータシステム50は、カバー25のそれぞれの部分を基板Wの上面および基板テーブルWTの上面21にほぼ平行な方向に移動させることによって、カバー25のそれぞれの部分を図12に示された中間位置と図13に示された開位置の間で移動させることができるように構成することができる。
[00163] 図11、12および13に示されるように、アクチュエータシステム50は、アクチュエータステージ51を含むことができ、このアクチュエータステージは、基板Wの上面および基板テーブルWTの上面21にほぼ直角の方向、例えば鉛直方向にカバー25の移動を行うように構成される。アクチュエータステージ51は横断アクチュエータステージと呼ばれることがある。
[00164] アクチュエータシステム50は、アクチュエータステージ52を含むことができ、このアクチュエータステージは、基板Wの上面および基板テーブルWTの上面21にほぼ平行な方向、例えば水平方向にカバー25の移動を行うように構成される。アクチュエータステージ52は、横アクチュエータステージと呼ばれることがある。
[00165] 図示の空気式アクチュエータを使用することが有益であるが、代替のアクチュエータをアクチュエータステージ51、52の一方または両方に使用できることを理解されたい。例えば、静電気アクチュエータおよび/または電磁アクチュエータを使用することができる。
[00166] アクチュエータステージ51は、行われる移動が実質的に、基板Wの上面および基板テーブルWTの上面21にほぼ直角の方向だけになることを保証するように構成することができる。アクチュエータステージ51は、1つまたは複数の移動ガイドを含むことができる。この1つまたは複数の移動ガイドは、アクチュエータステージ51のコンポーネントが基板Wの上面および基板テーブルWTの上面21にほぼ直角の方向に相対移動できるように構成される。しかし、移動ガイドは、アクチュエータステージ51のコンポーネントが基板Wの上面および基板テーブルWTの上面21にほぼ平行な方向に移動することは低減または最小限にする。
[00167] 図14および図15は、アクチュエータステージ51が特定の方向にだけ移動することを保証する助けになるように使用できる移動ガイドの配置を断面図で示す。このような方向は、基板Wの上面および基板テーブルWTの上面21にほぼ直角の方向になりうる。図14は、カバー25が閉位置にあるときの移動ガイド60を示す。図15は、カバー25が開位置にあるときの移動ガイド60を示す。
[00168] 図示のように、アクチュエータステージ51は、第1のコンポーネント61および第2のコンポーネント62を含む。第1のコンポーネント61および第2のコンポーネント62は、上記のように設けられたアクチュエータを用いることによって、基板Wの上面および基板テーブルWTの上面21にほぼ直角の方向に互いに移動することができる。弾性ヒンジ63が、アクチュエータステージ51の第1のコンポーネント61と第2のコンポーネント62の間に設けられる。この弾性ヒンジにより、第1のコンポーネント61および第2のコンポーネント62が、基板Wの上面および基板テーブルWTの上面21にほぼ直角の方向に移動することが可能になる。弾性ヒンジは、この所望の移動方向にほぼ直角の方向の移動を制限するように構成される。
[00169] 代替または追加の移動ガイドを使用できることを理解されたい。しかし、上記の1つまたは複数のこのような弾性ヒンジを使用することは、この移動ガイドの形状では摩擦力がない、または望ましいことに最小限になるので有益でありえる。摩擦力は、カバー25が閉位置に移動するときに基板Wの上面にかかる力の再現性を低下させることがある。
[00170] 図16、17および18は、本発明の一態様で使用できる別のアクチュエータシステムを示す。図16は、カバー25が閉位置にあるときのアクチュエータシステム70を示す。図17は、中間位置にあるアクチュエータシステム70を示す。図18は、カバー25が開位置にあるときのアクチュエータシステム70を示す。
[00171] 図16、17および18に示されたアクチュエータシステム70では、図11、12および13に示されたものより簡単なアクチュエータシステムを実現することができる。別個のアクチュエータステージが不要である。代わりに、カバー25のそれぞれの部分がピストン71に接続され、このピストンは、基板テーブルWT内の移動ガイド72、73のシステム内に装着される。
[00172] 移動ガイド72は、ピストン71と協働して使用されて、カバー25を閉位置から、基板Wの上面および基板テーブルWTの上面21にほぼ直角の方向に、中間位置まで移動させることができる。移動ガイド73は、ピストン71と共に、基板Wの上面および基板テーブルWTの上面21にほぼ平行な方向にカバー25を移動させるように構成される。カバー25を閉位置と開位置の間で移動させるために、ピストン71の片側または両側のガス圧力は、移動ガイド72、73の一方または両方を適切な減圧限74または過圧源75に接続することによって変えることができる。
[00173] カバー25は、閉位置で、基板Wの縁部と基板テーブル内の凹部22の縁部との間のギャップ23を覆うだけでなく、別のギャップ77も覆うように構成することができる。例えば、追加のギャップが、アクチュエータシステムと、追加コンポーネント78など基板ホルダからさらに離れた基板テーブルの一部分との間に存在することがある。追加コンポーネント78は、投影システムに対する基板テーブルWTの位置および/または変位を監視するために使用されるセンサシステムのコンポーネントであることがある。
[00174] 図19および図20は、基板Wの縁部と、基板Wが支持される基板テーブルWT内の凹部22の縁部との間のギャップ23を覆うために別の構成のカバー125が設けられている、本発明の一実施形態を断面図で示す。具体的には、本発明の一実施形態のカバー125は、基板テーブルWT内の凹部22への基板Wの装填/取外しを可能にするために、基板テーブルWTから離れて移動できるように構成することができる。このような構成では、カバー125を開位置に移動させる際に、カバー125の開放中央部を大きくする必要がない。
[00175] 前に論じた構成と共通して、カバー125は、基板Wの縁部を取り囲む材料の薄い板の形状で構成される。カバー125は、基板Wの上面の周辺領域45から基板受け部の上面21まで延びる。減圧源128に接続されているガス出口の開口127を設けることができる。カバー125の下側125aに対する空間内圧力は、カバー125の上側125bに対するガス圧力よりも低くすることができる。この圧力差は、カバー125を固定し、使用中のカバー125のいかなる移動も実質的に防止するために使用することができる。
[00176] カバー125の変形を防止または低減するために、カバーは、1つまたは複数のサポート126を含むことができ、このサポートは、カバー125が凹部22内の基板Wの上部にあるときにカバー125の下面125aから凹部22の底面まで延びている。
[00177] 基板Wの装填および取外しができるようにカバー125を移動させるために、ロボットアームなどのカバーハンドリングシステム130を設けることができる。カバーハンドリングシステム130は、カバー125が基板Wと接触または基板Wに近接しているときに、カバー125の移動が基板Wの上面および基板テーブルWTの上面21にほぼ直角の方向だけになるよう特に構成することができる。
[00178] 前に論じたように、例えば図11〜18で示した本発明の実施形態では、アクチュエータシステムを設けることができ、このシステムは、基板Wを基板テーブルWTに装填し、および/または基板Wを基板テーブルWTから取り外すことができる開位置から、カバー25が基板テーブルWTの上面21から基板Wの周辺部まで延びる閉位置まで、カバー25を移動させる。閉位置では、特にカバー25がシールを形成すべき場合に、カバー25は、基板Wの周辺部および基板テーブルWTの上面21と物理的に接触しうる。このような物理的接触は、1つまたは複数のカバー25、基板Wおよび/または基板テーブルWTの上面21の損傷をもたらすことがある。したがって、アクチュエータシステムの適切な制御システムが設けられることがある。
[00179] 本発明の一実施形態では、カバー25を位置付けるアクチュエータシステムを制御するためのコントローラが設けられる。カバーが基板Wおよび/または基板テーブルWTに対して正確に移動することを保証する助けになるように、コントローラは、基板テーブルWTの上面21に対する基板Wの少なくとも周辺部の上部(またはその逆)の高さを表すデータを使用することができる。このようなデータは、例えば、リソグラフィ装置の一部、またはリソグラフィ装置を含むリソグラフィシステムの一部とすることが可能なメトロロジーステーションで事前に取得することができる。
[00180] 基板テーブルWTの上面21に対する基板Wの周辺部の上部(またはその逆)の高さを表すデータに基づいて、コントローラは、カバー25と基板Wの上面および基板テーブルWTの上面21との間に望ましい接触を得るためにカバー25を移動させるべき位置を決定することができる。
[00181] コントローラによって決定された望ましい位置までカバー25を移動させるようにアクチュエータシステムを制御するために、コントローラに適切なフィードバック機構を設けることができる。
[00182] コントローラは、例えば、閉位置にあるカバー25の位置が基板Wの周辺部の上面に十分に近接または接触して、液浸液の漏洩を防止、低減または最小限にすることを保証する助けになるように構成することができる。あるいは、または加えて、コントローラは、カバー25が閉位置にあるときに、カバー25の下面によって基板Wの周辺部の上面に作用する力が所与の範囲内にあることを保証する助けになるように構成することができる。例えば、その力が特定の値未満であることを保証することが、基板Wの損傷を防止する、または損傷の可能性を低減するのに望ましいことがある。あるいは、または加えて、カバー25の下面によって基板Wの周辺部の上面に作用する力が、カバー25の下の液浸液の漏洩を制限するための十分な接触が確実に行われる特定の値を越えるように保証するのが望ましいことがある。
[00183] 本発明の一実施形態では、基板テーブルWTの上面21に対する基板Wの周辺部の上面(またはその逆)の高さを表すデータにより、基板Wの周辺部辺りの複数の場所における相対高さのデータを得ることができる。このようなデータから、コントローラは、基板Wの縁部辺りの複数の場所におけるカバー25のそれぞれの位置の所望の位置を決定することができる。
[00184] それに対応して、本発明の一実施形態でアクチュエータシステムは、カバー25の周りの複数の場所において独立してカバー25の高さを調整できるように構成することができる。このような構成では、カバー25を閉位置に位置付ける制御において、基板Wおよび/または基板テーブルWTの上面の高さの局部変化を考慮に入れることができる。こうすると、液浸液漏洩、および/または基板W、基板テーブルWTおよび/またはカバー25の損傷を防止または低減する助けになりうる。
[00185] 上で明らかにされたように、カバー25は、閉位置に移動するときに基板Wの周辺部の上面に力を作用させうる。この力は、カバー25を移動させるために使用されるアクチュエータシステムの制御システムの構成に関係なく作用しうることを理解されたい。基板Wに作用する力は、例えば基板の変形により、および/または基板Wを支持する基板テーブルWTのサポート部の変形により、基板Wの上面を移動させるのに十分なことがある。このような基板Wの上面の移動は、基板W上に形成されるパターンのエラーをもたらす可能性があるので、望ましくないことがある。
[00186] 本発明の一実施形態では、カバー25は、比較的可撓性の、すなわちカバーの残りよりも低い剛性を有する領域を備えることができる。このような比較的可撓性の部分は、カバー25が閉位置に移動するとき、カバーにどんな力が作用しても、および/または基板Wおよび/または基板テーブルWTに対するカバーの位置付けがどれだけ不正確でも、結果として基板W、または基板を支持する基板テーブルWTのサポート部が変形するのではなく、カバーの比較的可撓性の部分が変形することになるように構成される。
[00187] 図26〜30は、本発明の一実施形態の、比較的可撓性の部分を有するカバー25の構成を概略的に示す断面図である。図26〜28に示されるように、カバー25は、単一部分をなす材料から形成し、カバーの厚さが低減されている1つまたは複数の比較的可撓性の部分を設けることができる。例えば、図26に示されるように、カバー25の1つまたは複数の縁部161、162は、カバー25の本体の残り163の厚さよりも薄い。したがって、低減された厚さの部分161、162は、カバー25の本体の残り163よりも剛性が低くなる。
[00188] カバー25の低減された厚さの部分161、162は、カバー25の周り、例えばカバー25の内側および/または外側の縁部全体に沿って延びることができる。いくつかの構成では、比較的可撓性の部分を設けるために、カバー25の1つの縁部だけが、低減された厚さの部分を有することも理解されたい。
[00189] このような構成は、カバー25の縁部が先細りにされている、前に論じた実施形態と組み合わされてよいことを理解されたい。この場合には、低減された厚さの部分162、162の縁部161a、162aを先細りにできることを理解されたい。同様に、以下で説明する図27〜32に示されたカバーの縁部を先細りにすることができる。しかし、簡潔にするために、このことは以下で論じる各実施形態については詳細に論じない。
[00190] 図27に示すように、カバー25の比較的可撓性の部分は、カバー25の下面に溝165を形成することによって設けることができる。溝165は、カバー25の付随部分166になり、これは低減された厚さを有し、したがって低減された剛性を有する。溝165は、カバー25の周りに延在できることを理解されたい。したがって、使用時、溝165は、基板Wの縁部と基板テーブルWT内の凹部の縁部との間のギャップ上に配置されて、基板全部の周辺部辺りに延在することができる。
[00191] 図27は、カバー25の下面に単一の溝165が設けられる一構成を示すが、カバー25の一部分の可撓性を増大させるために複数の溝を設けることができることを理解されたい。しかし、一般に、使用時にカバー25が過度に変形しないことを保証する助けになるように、剛性が比較的高いカバー25の本体部分、すなわち全厚を有するカバーの部分を十分に保持することが望ましい。
[00192] 図28に示すように、図26と図27に示された構成を組み合わせることができる。言い換えると、カバー25は、カバー25の1つまたは複数の縁部に低減された厚さの部分161、162を有することができ、またカバー25の下面に1つまたは複数の溝165を備えることもできる。
[00193] 対応する別の構成では、図29〜31それぞれに示されるように、カバー25の本体は、少なくとも1つのサポート部をなす材料171に付けられた、平坦部をなす材料170から形成することができる。平坦部をなす材料170とサポート部をなす材料171の組合せにより、全厚を有し、それだけカバー25の剛性が比較的高い本体部分が得られる。サポート部をなす材料171によって支持されていない平坦な材料170から形成されるカバー25の本体部分で、厚さが低減された、剛性が比較的低いカバー25の部分161、162が得られる。同様に、材料171の2つのサポート部分の間のギャップで、カバー25の比較的可撓性の部分を形成する溝165が得られる。
[00194] 図20〜31には示されていないが、本発明のこの態様のカバー25は、カバー25をアクチュエータシステムに接続するサポートを含め、前に論じたようなサポートを含むことができることを理解されたい。
[00195] 図32は、カバー25の本体が1つまたは複数のサポート172によって支持される本発明の一実施形態を示す。図示のように、カバー25は、カバー25の両縁部に低減された厚さの部分161、162を有して、カバー25の比較的可撓性の部分が設けられている。加えて、溝165がカバー25の下面に設けられている。溝165は、カバー25のそれぞれの縁部と1つまたは複数のサポート172の場所との間の位置で、それぞれがカバー25の周りに延びるように配置される。したがって、溝165により、カバー25の追加の比較的可撓性の部分が得られる。この構成の変形では、カバー25の1つまたは複数の比較的可撓性の部分を省略できることを理解されたい。
[00196] 本文中では、ICの製造時におけるリソグラフィ装置の使用について具体的に言及することがあるが、本明細書で述べられているリソグラフィ装置には、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイドおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造など、マイクロスケールのフィーチャを有し、またはナノスケールのフィーチャさえも有するコンポーネントを製造する他の応用分野がありうることを理解されたい。そのような代替の応用分野の文脈において、本明細書における「ウェーハ」または「ダイ」という用語を使用することがあればそれは、それぞれより一般的な用語である「基板」または「ターゲット部分」と同義と見なすことができることを、当業者なら理解するであろう。本明細書で参照されている基板は、露光の前後に、例えば、トラック(一般に、レジストの層を基板に付け、露光されたレジストを現像するツール)、メトロロジーツール、および/またはインスペクションツール内で処理することができる。適用可能な場合、本明細書における開示は、そのような、また他の基板処理ツールに適用することができる。さらに、基板は、例えば多層ICを作成するために複数回処理することができ、そのため、本明細書で使用される基板という用語は、複数の処理済みの層をすでに含む基板を指すことがある。
[00197] 本明細書において使用されている「放射」および「ビーム」という用語には、紫外線(UV)放射(例えば365nm、248nm、193nm、157nmまたは126nmの波長を有する放射またはその近辺の波長を有する放射)を含むあらゆるタイプの電磁放射が包含される。
[00198] 文脈によって許される場合、「レンズ」という用語は、屈折光学コンポーネントおよび反射光学コンポーネントを始めとする様々なタイプの光学コンポーネントのうちの任意の1つまたは組合せを意味しうる。
[00199] アクチュエータなど、本発明のコンポーネントの1つまたは複数の移動の動作をさせるために、1つまたは複数のコントローラがありうる。コントローラは、信号を受け取り、処理し、送出するための任意の適切な構成を有することができる。例えば、各コントローラは、1つまたは複数のプロセッサを含むことができ、このプロセッサは、上述の方法のための機械読取可能命令を含むコンピュータプログラムを実行する。コントローラは、このようなコンピュータプログラムを記憶するデータ記憶媒体、および/またはこのような媒体を受け入れるハードウェアを含むことができる。
[00200] 以上、本発明の特定の実施形態について説明したが、本発明は、明示的に説明されている方法以外の方法で実践することも可能であることは理解されよう。例えば、本発明の実施形態は、上で開示した方法を記述した1つまたは複数の機械読取可能命令シーケンスを含んだコンピュータプログラムの形態を取ることができ、あるいはこのようなコンピュータプログラムを記憶したデータ記憶媒体(例えば半導体記憶装置、磁気ディスクまたは光ディスク)の形態を取ることができる。さらに、機械読取可能命令は、複数のコンピュータプログラムの中で具体化することも可能である。これらの複数のコンピュータプログラムは、1つまたは複数の異なる記憶装置および/またはデータ記憶媒体に記憶させることができる。コンピュータプログラムは、本明細書で言及したコントローラを制御するのに適切でありうる。
[00201] 本発明の1つまたは複数の実施形態は、任意の液浸リソグラフィ装置に適用することができ、詳細には、それだけには限定されないが、液浸液が槽の形態で供給されるものであれ、基板の局部表面領域にのみ供給されるものであれ、あるいは液浸液が基板および/または基板テーブル上で閉じ込められないものであれ、上述のタイプの液浸リソグラフィ装置に適用することができる。非閉じ込め構造の場合、液浸液は、基板および/または基板テーブルの表面を流れることができ、したがって覆われていない基板テーブルおよび/または基板の表面の実質的に全体を濡らすことができる。このような非閉じ込め液浸システムの場合、液体供給システムは、液浸液を閉じ込めることができないか、あるいは一部分の液浸液閉じ込めを実現することができるが、液浸液を実質的に完全に閉じ込めることはできない。
[00202] 本明細書において企図されている液体供給システムは、広義に解釈すべきである。特定の実施形態では、液体供給システムは、投影システムと基板および/または基板テーブルの間の空間に液体を供給する機構であっても、あるいはそのような構造体の組合せであってもよい。液体供給システムは、1つまたは複数の構造体、1つまたは複数の液体入口、1つまたは複数のガス入口、1つまたは複数のガス出口、および/または液体を空間に供給する1つまたは複数の液体出口の組合せを備えることができる。一実施形態では、この空間の表面は、基板および/または基板テーブルの一部であってもよく、あるいはこの空間の表面は、基板および/または基板テーブルの表面を完全に覆うことも可能であり、あるいはこの空間は、基板および/または基板テーブルを包絡することも可能である。液体供給システムは、任意選択により、さらに、位置、量、品質、形状、流量または他の任意の液体の特徴を制御するための1つまたは複数のエレメントを含むことも可能である。
[00203] さらに、本発明を特定の実施形態および実施例との関連で開示したが、本発明が、具体的に開示した実施形態を越えて他の代替実施形態および/または本発明の利用法、ならびにそれらの明らかな修正形態および等価物にまで及ぶことは当業者に理解されよう。加えて、本発明のいくつかの変形形態を詳細に図示し説明したが、本開示に基づいて当業者には本発明の範囲内にある他の修正形態が容易に明らかになろう。例えば、諸実施形態の特定の特徴および態様の様々な組合せまたは下位の組合せを作ることができ、これらがやはり本発明の範囲内に入りうることが企図されている。したがって、開示された本発明の変更モードを形成するために、開示された実施形態の様々な特徴および態様を互いに組み合わせ、または置き換えることができることを理解されたい。それゆえに、本明細書で開示された本発明の範囲は、上で説明した特定の開示実施形態によって限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲を公正に読むことによってのみ決定されるべきものである。
[00204] 上記の記述は、説明を意図したものであり、限定するものではない。したがって、以下に詳述される特許請求の範囲から逸脱することなく、説明された本発明に修正を加えることができることが当業者には明白であろう。