JP5307195B2 - 同位体比率を制御した炭素材料及び識別マーク - Google Patents

同位体比率を制御した炭素材料及び識別マーク Download PDF

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Description

本発明は、炭素同位体比率を制御した炭素材料及びそれら炭素材料を利用した識別マークに関し、より具体的には、CVD法(化学蒸着法)または燃焼炎法により、炭素の同位体比率を人為的に制御した炭素を含む気体を原料として合成された炭素同位体が制御された単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブまたはカーボンファイバーからなる炭素材料及びそれら炭素材料を利用した識別マークに関する。
カーボンナノチューブは、その発見(1991年)以来注目され、その合成法や利用法についても各種研究、検討が行われている、最近では、炭素同位体比率を天然存在比率(12C:98.9%、13C=1.1%)と異ならせたカーボンナノチューブについてもその合成が試みられている。しかしこれまで、その合成については、以下のような、アーク放電法やレーザー照射法による二、三の合成例の報告があるだけである。
Robert PallasserらやJ.M.Jonesらは、アーク放電法により、0.002〜0.034%12Cリッチなカーボンナノチューブを合成したと報告している(Journal American Chemical Society 115 11634-11635、1993、;Carbon 34,2,231-237、1996)。また、C.Goze Bacらは10%13Cリッチな単層カーボンナノチューブをアーク放電法により合成している(Physical Review B 63,100302、2001)。
レーザー照射法によるカーボンナノチューブの合成については、X.-P.Tangらが、Nd:YAGレーザーをグラファイトに照射することで、10%13Cリッチな単層カーボンナノチューブを合成している(Science 288,492-494、2000)。
Journal American Chemical Society 115 11634-11635、1993、;Carbon 34,2,231-237、1996 Physical Review B 63,100302、2001 Science 288,492-494、2000
ところが、それらアーク放電法及びレーザー照射法のいずれの合成方法によっても、炭素の同位体比率を任意の同位体比率に制御したカーボンナノチューブを合成することは困難である。これらアーク放電法及びレーザー照射法による合成では、排気装置や高電圧、大電流電源などといった危険かつ高価な装置を必要とする。加えて、これらの方法では生産量も少なく、さらには生成物中に、黒鉛、アルモルファスカーボンなどが混在し、得られたカーボンナノチューブの径や長さのばらつきが大きい等の諸問題がある。
本発明者らは、炭素同位体比率に制御したカーボンナノチューブ、特に炭素同位体比率を任意に制御できるカーボンナノチューブの合成技術について実験、研究を続けたところ、炭素同位体比率を任意に(すなわち自由に)制御してなる単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ及びカーボンファイバーを合成することに初めて成功することができた。
すなわち、本発明は、炭素同位体比率が制御され、しかも炭素同位体比率を任意に制御してなる単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブまたはカーボンファイバーからなる炭素材料、その炭素材料を利用した識別マークを提供することを目的とする。
本発明は(1)単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブまたはカーボンファイバーからなる炭素材料であって、該炭素材料が12C及び13Cの同位体比率を人為的に制御した炭素を含む気体を原料として合成してなる炭素同位体比率が制御された単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブまたはカーボンファイバーからなることを特徴とする炭素材料を提供する。
本発明は(2)単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブまたはカーボンファイバーからなる炭素材料を用いた識別マークであって、該炭素材料が、12C及び13Cの同位体比率を人為的に制御した炭素を含む気体を原料として合成してなる炭素同位体比率が制御された単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブまたはカーボンファイバーからなる炭素材料であることを特徴とする識別マークを提供する。
上記炭素同位体比率が制御された単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブまたはカーボンファイバーからなる炭素材料、及び上記の識別マークで用いる炭素材料は、12C及び13Cの同位体比率を人為的に制御した炭素を含む気体を原料としてCVD法または燃焼炎法により合成することにより製造される。
本発明によれば、400〜1200℃という反応温度で、非常に簡便なCVD法または燃焼炎法により、同位体比率を制御した単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブまたはカーボンファイバーからなる炭素材料を製造することができる。本発明の炭素材料は、特に400〜800℃という低い反応温度で、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンファイバーを合成できることから、省エネルギーの点及び装置コストの点でも非常に有利である。
また、本発明の同位体比率を制御した単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブまたはカーボンファイバーからなる炭素材料は、炭素の質量数の違いによって、ラマン分光スペクトル、赤外分光スペクトル、質量スペクトル、核磁気共鳴スペクトルのシフトが生じる。この事実を利用して、それらの炭素材料を認証カード、紙幣、貴金属、工芸品などの各種物品の偽造防止のための識別マークとして利用することができる。本炭素材料は、それ自体偽造困難な材料でありながら、その製造方法が簡易であるので実用上も非常に有用である。
本発明(1)は、12C及び13Cの同位体比率を人為的に制御した炭素を含む気体を原料として合成してなる炭素同位体比率が制御された、すなわち、12C及び13Cの同位体比率を天然同位体比率と異ならせた単層カーボンナノチューブ、多層のカーボンナノチューブまたはカーボンファイバーからなる炭素材料である。
本発明(2)は、12C及び13C炭素同位体比率を人為的に制御した炭素を含む気体を原料として合成してなる炭素同位体比率が制御された単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブまたはカーボンファイバーからなる炭素材料を用いた識別マークである。この識別マークは、認証カード、紙幣、貴金属、工芸品などの各種物品に付与して、それら物品の偽造防止のために用いる。
上記発明(1)の炭素同位体比率が制御された単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブまたはカーボンファイバーからなる炭素材料、及び上記発明(2)の識別マークで用いる炭素材料は、12C及び13Cの同位体比率を人為的に制御した炭素を含む気体を原料としてCVD法または燃焼炎法により合成することができる。CVD法としては、好ましくは熱CVD法及びプラズマCVD法が用いられる。以下、熱CVD法を中心に説明するが、他の手法についても同様である。
上記12C及び13Cの同位体比率を人為的に制御した炭素を含む気体原料、すなわち12C及び13Cの同位体比率を天然同位体比率と異ならせた炭素を含む気体原料としては、メタン、一酸化炭素、二酸化炭素、アセチレン、ベンゼン及びトルエンから選ばれた少なくとも1種の気体原料が用いられる。その比率を天然同位体比率と異ならせる態様としては、その同位体比率を天然存在比率より多くしてもよく、少なくしてもよい。
上記気体原料を用いて得られる、本発明の単層のカーボンナノチューブ、多層のカーボンナノチューブまたはカーボンファイバーからなる炭素材料の炭素同位体比率における炭素原子数比率〔13C/(13C+12C)×100(%)〕は、炭素を含む気体原料の12C及び13Cの同位体比率を人為的に制御することにより任意に制御できる。本発明においては、その炭素原子数比率を、好ましくは、2.0%以上または0.5%以下とする。
本発明の単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブまたはカーボンファイバーからなる炭素材料は、それら炭素材料を成長させるための基体、すなわち活性基体上に生成して製造される。活性基体としてはアルミナに触媒金属とその触媒助剤金属を含有させてなる基体を用いる。
触媒金属としては、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブまたはカーボンファイバーの成長に活性を有する金属、すなわちFe、Co、Ni、Cr、Cu及びPdから選ばれた金属の少なくとも1種類以上を用いる。それらの2種以上を用いる場合には合金として用いてもよい。それら触媒金属のうち、好ましくはFe、Co、Ni、Cr及びPdが用いられる。そして触媒助剤金属としてはMoが用いられる。
アルミナとしては、特にアルカリ金属、Si、S等の不純物の含有量が少ない高純度のアルミナを用いることが重要である。具体的には、Na、K等のアルカリ金属、硫黄(S)及びシリカからなる不純物の総含有量が0.05wt%以下、好ましくは0.01wt%以下の高純度アルミナである。アルミナ中のそれら不純物の含有量を抑制することにより、メタン等の原料ガスの吸着能力が高まり、400〜800℃というような、より低温での単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブまたはカーボンファイバーの製造を可能とすることができる。アルミナの形態は、粉末状、顆粒状、錠剤状、ペレット状、板状などの各種の形状であることができる。
上記活性基体は、アルミナ、特に高純度アルミナに触媒金属とその触媒助剤金属を担持させることで得られる。上記金属触媒及びその触媒助剤金属をアルミナに担持させるに際しては、それら金属を好ましくは可溶性塩、例えば硝酸塩や酢酸塩等の金属塩の形として用い、可溶性塩を溶媒に溶解して金属塩溶液とする。溶媒としては、水、メタノ−ルやエタノ−ル等の低級アルコ−ルその他の有機溶媒、あるいは水と水溶性有機溶媒との混合液が用いられるが、好ましくは水が用いられる。
上記金属塩溶液、すなわち金属触媒及びその触媒助剤金属を含む溶液において、その金属塩の濃度は、その飽和溶液濃度以下とするが、通常は0.01〜0.05wt%の範囲、好ましくは0.005〜0.01wt%の範囲である。そして金属塩溶液をアルミナ含浸、担持させる。アルミナと金属塩溶液との接触法としては、浸漬法やスプレー法などが使用できるが、好ましくは浸漬法が用いられる。その接触温度は、室温から80℃の範囲、好ましくは50〜60℃の範囲である。アルミナと金属溶液との接触により、金属触媒溶液はアルミナに含浸、担持される。
この金属触媒及びその触媒助剤金属を含有するアルミナにおいて、触媒金属の含有量は、金属として1〜20wt%の範囲、好ましくは5〜10wt%の範囲である。また、触媒助剤金属であるMoの含有量は、金属Moとして0.1〜1.5wt%の範囲、好ましくは0.3〜0.8wt%の範囲である。
本発明者らによる各種関連実験の結果によれば、金属触媒がFe、CoまたはNiでは単層カーボンナノチューブが生成し易い傾向があり、金属触媒がFeまたはCoで、高温(例えば1200℃)では多層カーボンナノチューブが生成し易い傾向があり、金属触媒がPdではカーボンファイバーが生成し易い傾向があり、また触媒金属の量がアルミナに比較して多いとカーボンファイバーが生成し易いなど、生成物の種類は各種条件により異なるが、本発明によれば、0.5〜4nm(直径)程度の単層カーボンナノチューブ、2〜100nm(直径)程度多層カーボンナノチューブまたはカーボンファイバーが得られる。
アルミナに含有されたそれら金属の形態は、カーボンナノチューブ、カーボンファイバーの生成を促進させ得る形態であればよく、金属形態のほか、金属酸化物、金属水酸化物の形態であることができる。金属形態の場合、前記のようにして得られた金属塩含有アルミナを水素等の雰囲気中で還元すればよい。また、金属酸化物形態の場合、前記のようにして得られた金属塩含有アルミナを空気等の酸化雰囲気中で焼成すればよい。
本発明により、金属触媒及び触媒助剤金属を含有する基体を製造する上で、好ましい方法としては、先ずそれら触媒金属及び触媒助剤金属を含有する粉末状アルミナを製造する。次に、この粉末状アルミナを所要形状に成形するか、この粉末状アルミナをSiやSiO2等の基板に塗布する。粉末状アルミナの場合は、その比表面積は100〜250cm2/gの範囲、好ましくは200〜250cm2/gの範囲である。
本発明により、炭素同位体比率が制御された単層カーボンナノチューブ、多層のカーボンナノチューブまたはカーボンファイバーからなる炭素材料を製造するには、前記触媒金属と触媒助剤金属を含有するアルミナからなる基体の存在下において、12C及び13Cの炭素同位体比率を人為的に制御した、すなわち炭素同位体分離を行って12Cと13Cを任意の比率に制御した気体原料を流通させながら熱分解させる。
熱分解温度、すなわち反応温度は特に制約されないが、400〜1200℃の範囲で実施することができる。本発明によれば、特に400〜800℃という低い温度においても単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブまたはカーボンファイバーからなる炭素材料の製造ができるので、省エネルギーの点及び装置コストの点でも非常に有利である。
上記12C及び13Cの同位体比率を人為的に制御した炭素を含む気体原料としては、13C/(12C+13C)比率を異ならせた2種の炭素を含む気体を混合して用いることができる。すなわち、(A)13C/(12C+13C)×100比率が大きい気体、例えばその比率が99.90%のメタンガスと、(B)13C/(12C+13C)×100比率が小さい気体、例えばその比率が0.05%のメタンガスを用意しておく。そして、両者を炭素同位体比率が制御された単層カーボンナノチューブ、多層のカーボンナノチューブまたはカーボンファイバーからなる炭素材料を製造する上で必要な所望割合に混合することにより、12Cと13Cを任意の比率に制御した気体原料とすることができる。
上記(A)及び(B)の気体のうち、(A)13C/(12C+13C)×100比率が大きい気体として、例えばその比率が99.90%のメタンガスを用い、(B)13C/(12C+13C)×100比率が小さい気体として、その比率が天然同位体比率である1.10%のメタンガスを用いてもよい。この場合には、(B)の気体として天然同位体比の気体を用いるのでコスト面でも有利である。
この手法、すなわち12C及び13Cの同位体比率を人為的に制御した炭素を含む気体原料として、13C/(12C+13C)比率を異ならせた2種の炭素を含む気体を混合して用いる手法によれば、13C/(12C+13C)比率を異ならせた2種の炭素を含む気体、例えば、13C比率の大きいメタンガス(すなわち12C比率が小さい)と13C比率の小さい(すなわち12C比率が大きい)メタンガスを用意しておくだけで、任意所望割合の気体原料とすることができるので、実用上も非常に有利である。
メタンガス等の気体原料の流通速度は、ガス空間速度(GHSV)で2000〜200000h-1の範囲、好ましくは5000〜100000h-1の範囲である。メタンガスを熱分解する場合、その気体中にアルゴンや水素ガスをキャリアーとして混入することができる。また、メタンガスには、硫化水素やメルカプタン等のイオウ化合物を適量加えることができる。これにより、基体上に真っ直な単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブまたはカーボンファイバーを生成させることができる。
本発明においては、炭素同位体の含有比率を人為的に制御した、単層のカーボンナノチューブ、多層のカーボンナノチューブまたはカーボンファイバーからなる炭素材料を各種物品の識別マークとして利用する。すなわち、各種物品にそれら炭素材料を識別マークとして付与し、各種物品の認証や偽造防止のために用いる。その態様としては、例えばそれら炭素材料をインキ等に混合させた溶液(分散液)とし、これを認証カード、紙幣、貴金属、工芸品などの各種物品に塗布する。それらの炭素材料は、ナノメートル(nm)レベルの微細な材料であるので、インキ等に容易に混入できるなど各種物品に付与すること自体も容易である。
炭素同位体比率を人為的に制御した、単層のカーボンナノチューブ、多層のカーボンナノチューブまたはカーボンファイバーの質量に関しては、ラマン分光、赤外分光、質量スペクトル及び核磁気共鳴スペクトルのいずれかで同定することが可能である。例えば、ラマン分光においては、炭素の平均質量が増加するとスペクトルが低波数側にシフトし、それが減少するとスペクトルが高波数側にシフトする。この事実を利用して炭素同位体比率による識別ができる。
すなわち、本発明の識別マークは、炭素同位体の含有比率を天然含有比率と異ならせているので、天然含有比率の単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブまたはカーボンファイバーとは振動スペクトルやNMR信号スペクトルが異なるものとなる。13Cの含有比率を天然同位体比率と異なる値に制御した単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブまたはカーボンファイバーからなる炭素材料の赤外吸収/透過スペクトルは、天然炭素同位体の含有比率のそれらカーボンナノチューブ、カーボンファイバーの赤外吸収/透過スペクトルに対してシフトする。
この差異は、12Cと13Cの含有比率により個々に異なるので、その差異を赤外分光法により測定することにより、12Cと13Cの含有比率を検知することができる。また同様に、ラマン分光スペクトル、質量スペクトル、核磁気共鳴スペクトルを測定するにより検知することもできる。これらにより識別マークによる認証や真贋の判定を行うことができる。
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳しく説明するが、本発明が実施例に限定されないことはもちろんである。以下の実施例において、反応装置として、炉内寸法:112mmφ(内直径)×570mm(長さ)の管状炉(大倉理研社製、電気炉、最高使用温度=1200℃)を用いた。
本反応装置は、13C/(12C+13C)×100比率が0.05%、1.10%及び99.95%の3種のメタンガスの各導管及びArの導管を有し、各導管からの流量を制御することで、電気炉の炉内へ導入するガス組成を制御する制御機構を備えている。このため、それら各導管のそれぞれにマスフローコントローラーが設けられ、各マスフローコントローラーにより、それら同位体比率が異なる該3種の各メタンガスの流量を制御することにより、所定の同位体比率を有するメタンガスとし、炉内に導入される。ここで、上記3種のメタンガスのうち、13C/(12C+13C)×100比率が0.05%及び99.95%のメタンガスは天然ガスを精密蒸留法により精留して得られたものである。
〈実施例1〉
ナトリウム含有量が0.01wt%以下で且つ純度が99.95wt%以上である、高純度γ−アルミナ粉末1.0gを、硝酸鉄〔Fe(NO32・9H2O〕0.2gと酸化モリブデンアセトナ−ト〔CH3COCHCOCH32MoO3〕0.01gをメタノ−ル35mlに溶解させて得た溶液中に30分間浸漬した後、3時間の超音波処理により分散させた。この分散液をSi基板に塗布し、空気中、120℃で1時間乾燥させた。
次に、上記基板をアルミナボートに載置して電気炉の炉内に挿入し、アルゴン雰囲気下で炉内を700℃まで昇温させた後、制御機構により、13C/(12C+13C)×100比率が0.05%、0.50%、1.10%、2.00%、49.97%及び99.90%の6種の原料ガスとし、これらをそれぞれ炉内に30分間流通させた。この結果、電子顕微鏡(日立製作所社製、S−5000)観察により、いずれの場合も基板表面にチューブ状の生成物が観察された。
これらの各生成物(試料)を透過型電子顕微鏡(日本電子社製JEM−2000FX II)で観察したところ、太さ(直径)がいずれも1nm程度の単層のカーボンナノチューブがバンドル状になっていることが観察された。これら各単層カーボンナノチューブについて、さらにラマン分光装置(日本分光社製、FX−2100)によりスペクトルを測定した。表1に、各生成物試料の13C/(12C+13C)×100比率と、13C/(12C+13C)×100=0.05%で合成した試料からのスペクトルシフト〔Δω(cm-1)〕を示している。
Figure 0005307195
表1のとおり、13C/(12C+13C)×100比率が、0.50%、1.10%、2.00%、49.97%、99.90%のいずれのスペクトルからも、13C/(12C+13C)×100=0.05の試料からのスペクトルシフト〔Δω(cm-1)〕が観察された。このことから、ラマン分光の測定により、6種の単層カーボンナノチューブをそれぞれ識別できることが分かる。
炭素の平均質量数mと波数ωとの間には、m×ω2が一定という関係がある。このことから、下記式(1)が成り立つ。式中、Δmは質量数の増加量である。この関係から、Δω(波数のズレないしシフト)を測定することにより、単層カーボンナノチューブの平均質量数を見積ることが可能である。炭素の平均質量数が極く僅かでも異なると、波数ωの値が変化する。この事実を利用して、13C/(12C+13C)比が、特定の値の単層カーボンナノチューブを各種物品の偽造防止のための識別マークとして利用することができる。
Figure 0005307195
〈実施例2〉
硝酸ニッケル〔Ni(NO32〕0.1gと酸化モリブデンアセチルアセテ−ト0.01gをメタノ−ルに溶解させた。この溶液中に、ナトリウム含有量が0.01wt%以下で且つ純度が99.95wt%以上の高純度γ−アルミナ粉末1.0gを30分間浸漬し、3時間の超音波処理により分散させた。この分散液をSi基板に塗布した。実施例1と同様にして、13C/(12C+13C)×100比率を0.05%、1.10%、49.97%及び99.90%とした4種の原料ガスを、それぞれ、1200℃の炉内に30分間流通させた。
基板表面の生成物(試料)を透過型電子顕微鏡(日本電子社製、JEM−2000FX II)で観察したところ、上記いずれの原料ガスを用いた場合も、太さ(直径)が50〜100nm程度の多層のカーボンナノチューブが生成していることが観察された。また、各基板表面の生成物について、実施例1と同様に、ラマン分光装置(日本分光社製、FX−2100)により、スペクトル測定した。表2に各生成物試料について、13C/(12C+13C)×100=0.05%で合成した試料からのスペクトルシフト〔Δω(cm-1)〕を示している。
Figure 0005307195
表2のとおり、13C/(12C+13C)×100比率が、1.10%、49.97%、99.90%のいずれの試料のスペクトルからも、13C/(12C+13C)×100=0.05%の試料からのスペクトルシフト〔Δω(cm-1)〕が観察された。このことから、ラマン分光の測定により、4種の多層カーボンナノチューブをそれぞれ識別できることが分かる。
炭素の平均質量数mと波数ωとの間には、m×ω2が一定という関係から、前記式(1)が成り立つ。この関係から、Δωを測定することにより、多層カーボンナノチューブの平均質量数を見積ることが可能である。炭素の平均質量数が極く僅かでも異なると、波数ωの値が変化する。この事実を利用して、13C/(12C+13C)比が、特定の値の多層カーボンナノチューブを各種物品の偽造防止のための識別マークとして利用することができる。
〈実施例3〉
ナトリウム含有量が0.01wt%以下で且つ純度が99.95wt%以上の高純度γ−アルミナ粉末1.2gを、硝酸パラジウム〔Pd(NO32〕1.2gと酸化モリブデンアセチルアセテ−ト0.01gをメタノ−ルに溶解させて得た溶液中に30分間浸漬し、3時間の超音波処理により分散させた。この分散液をSi基板に塗布し、実施例1と同様にして、13C/(12C+13C)×100比率を0.05%、1.10%、49.97%及び99.90%の4種の原料ガスをそれぞれ炉内に30分間流通させた。炉内温度、すなわち反応温度は800℃である。
各基板表面の生成物を透過型電子顕微鏡(日本電子社製、JEM−2000FX II)で観察したところ、いずれの場合も、太さ(直径)が20〜30nm程度のカーボンファイバーが生成していることが観察された。基板表面の生成物について、実施例1と同様に、スペクトル測定した。表3に各生成物試料について、13C/(12C+13C)×100=0.05%で合成した試料からのスペクトルシフト〔Δω(cm-1)〕を示している。
Figure 0005307195
表3のとおり、13C/(12C+13C)×100比率が、1.10%、49.97%、99.90%のいずれの試料のスペクトルからも、13C/(12C+13C)×100=0.05%の試料からのスペクトルシフト〔Δω(cm-1)〕が観察された。このことから、ラマン分光の測定により、上記4種のカーボンファイバーをそれぞれ識別できることが分かる。
炭素の平均質量数mと波数ωとの間には、m×ω2が一定という関係から、前記式(1)が成り立つ。この関係から、Δωを測定することにより、カーボンファイバーの平均質量数を見積ることが可能である。炭素の平均質量数が極く僅かでも異なると、波数ωの値が変化する。これを利用して、13C/(12C+13C)比が特定の値のカーボンファイバーを各種物品の偽造防止のための識別マークとして利用することができる。

Claims (5)

  1. 単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブまたはカーボンファイバーからなる炭素材料であって、該炭素材料が、12C及び13Cの同位体比率を人為的に制御した炭素を含む気体を原料として合成してなる炭素同位体比率が制御された単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブまたはカーボンファイバーからなることを特徴とする炭素材料。
  2. 前記12C及び13Cの同位体比率を人為的に制御した炭素を含む気体原料が、メタン、一酸化炭素、二酸化炭素、アセチレン、ベンゼン及びトルエンから選ばれた少なくとも1種の気体原料であることを特徴とする請求項1に記載の炭素材料。
  3. 単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブまたはカーボンファイバーからなる炭素材料を用いた識別マークであって、該炭素材料が、12C及び13Cの同位体比率を人為的に制御した炭素を含む気体を原料として合成してなる炭素同位体比率が制御された単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブまたはカーボンファイバーからなる炭素材料であることを特徴とする識別マーク。
  4. 前記識別マークが認証カード、紙幣、貴金属、工芸品などの物品の偽造防止のために用いる識別マークであることを特徴とする請求項3に記載の識別マーク。
  5. 前記12C及び13Cの同位体比率を人為的に制御した炭素を含む気体原料が、メタン、一酸化炭素、二酸化炭素、アセチレン、ベンゼン及びトルエンから選ばれた少なくとも1種の気体原料であることを特徴とする請求項3または4に記載の識別マーク。
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