JP5306901B2 - 血液型判定方法およびそのための赤血球固相化容器 - Google Patents

血液型判定方法およびそのための赤血球固相化容器 Download PDF

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Description

本発明は、血液型判定方法、および血液型判定方法で使用される赤血球固相化容器に関する。
ABO血液型などの血液型検査において、赤血球の凝集反応を原理とする判定方法が広く使用されている。ABO血液型のおもて検査は、検体赤血球を、抗A血清試薬および抗B血清試薬のそれぞれと反応させて凝集の有無を確認することにより行われ、ABO血液型のうら検査は、血清検体を、A血球試薬およびB血球試薬のそれぞれと反応させて、凝集の有無を確認することにより行われている。
赤血球の凝集反応は、一般的には、試験管やマイクロプレートウェル、ガラス板表面等で凝集を発生させ、凝集の有無を検査している。反応容器内で赤血球が凝集すると、凝集塊は、大きなかたまりとなり時間とともに容器の底部に沈降する。この沈殿物を、撹拌(アギテーション)して、肉眼または光学的に検出する。ここで沈殿物がほぐれなければ陽性と判定され、ほぐれれば陰性と判定される。
凝集の有無の判定に、より客観性をもたせるために幾つかの方法が考案されている。
特許文献1は、マイクロプレートウェルの底部に、同心円状に一定の間隔でテラス(段差)を設けることで凝集塊をマイクロプレートウェルの底部のテラスに捕獲して、凝集の有無の判定を容易にしている。
また、特許文献2および3は、微細なゲル粒子やガラス粒子(充填剤粒子)を容器に充填し、赤血球の凝集物と非凝集物を遠心分離により充填剤粒子の上下に分離することにより、凝集の有無の判定を容易にしている。
特許文献1に開示される凝集反応判定容器は、底部のテラスを一定の間隔でつくる必要があるため精密さが要求され高価であり、また、テラスに目詰まりが起こりやすく容器の再利用が困難である。特許文献2および3に開示される充填剤粒子含有容器は、陽性パターン/陰性パターンを明瞭に識別することが可能であるが、充填剤粒子の調製が必要である上に、遠心分離の操作があるため、大量の検体の検査には不向きである。
特公昭61−044268号公報 欧州特許第725276号明細書 特公平8−7215号公報
上記事情に鑑み、本発明は、特別な容器を使用することも撹拌(アギテーション)や遠心分離の操作を行うこともなく、凝集の有無を客観的に判定することが可能な血液型判定方法を提供すること、並びにそのための赤血球固相化容器を提供することを目的とする。
本発明者は、斜面を有する容器底面に赤血球を固相化することにより上記目的を達成し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、以下の手段を提供する。
[1] 血液型判定方法であって、
赤血球を結合させるためのバインダー物質を斜面を有する底面に固相化した容器に、(i)検体赤血球と抗体試薬の組み合わせまたは(ii)赤血球試薬と抗体検体の組み合わせを添加する工程と、
凝集の有無を判定する工程と
を含むことを特徴とする方法。
[2] 上記[1]に記載の方法であって、(i)検体赤血球と抗体試薬の組み合わせまたは(ii)赤血球試薬と抗体検体の組み合わせを、同時に添加することを特徴とする方法。
[3] 上記[1]に記載の方法であって、
(i)検体赤血球と抗体試薬の組み合わせを添加する場合、検体赤血球を前記容器に添加してその底面に固相化し、その後、検体赤血球と抗体試薬の組み合わせを添加することを特徴とし、
(ii)赤血球試薬と抗体検体の組み合わせを添加する場合、赤血球試薬を前記容器に添加してその底面に固相化し、その後、赤血球試薬と抗体検体の組み合わせを添加することを特徴とする方法。
[4] 上記[3]に記載の方法であって、被覆率30〜100%で(i)検体赤血球または(ii)赤血球試薬を前記容器に添加してその底面に固相化することを特徴とする方法。
[5] 検体赤血球または赤血球試薬が、バインダー物質を介して、斜面を有する底面に固相化されていることを特徴とする赤血球固相化容器。
[6] 上記[5]に記載の赤血球固相容器であって、検体赤血球または赤血球試薬が、被覆率30〜100%で固相化されていることを特徴とする赤血球固相化容器。
[7] 上記[6]に記載の赤血球固相化容器であって、前記斜面の水平面からの角度が、30〜52.5°であることを特徴とする赤血球固相化容器。
[8] 赤血球を結合させるためのバインダー物質が、斜面を有する底面に固相化されていることを特徴とする容器。
本発明の血液型判定方法は、特別な容器を使用することも撹拌(アギテーション)や遠心分離の操作を行うこともなく、明瞭に識別可能な凝集/非凝集パターンを形成することが可能である。これにより、本発明の方法は、凝集の有無を客観的に判定することが可能であり、大量検体の検査にも適している。
本発明の赤血球固相化容器の種々の態様を示す図。 本発明の赤血球固相化容器の種々の態様を示す図。 本発明の血液型判定方法の第一の態様を模式的に示す図。 本発明の血液型判定方法の第一の態様を模式的に示す図(図3のつづき)。 本発明の血液型判定方法の第二の態様を模式的に示す図。
以下、本発明について詳細に説明する。
1.赤血球固相化容器
本発明の赤血球固相化容器は、検体赤血球または赤血球試薬が、バインダー物質を介して、斜面を有する底面に固相化されている。このように斜面を有する容器底面に赤血球を固相化することにより、本発明の容器では、凝集物が斜面に広がった陽性像を形成し、容器の最深部に非凝集物が沈降した陰性像を形成する。
本発明の赤血球固相化容器は、斜面を有する底面を有しており、たとえばV底またはU底を有するプラスチック、ガラス製の容器であり、液体の収容部を一つ備えていてもよいし、複数個備えていてもよく、市販の容器としては、マイクロタイタープレート、試験管型の小容器などを使用することができる。容器は、凝集パターンを容器上方および底面側(容器下方)の両方から観察可能なように透明であってもよいし、あるいは半透明であってもよい。
本発明において、「底面」とは、容器内部を上方から垂直方向にみた際に底面として観察される領域をいう。また、本発明において、「斜面を有する底面」とは、広がった陽性像を当該斜面上に形成することが可能なように、一定の面積を有する斜面を底面が備えていることを意味し、底面全体が斜面から構成されていてもよいし(たとえば図1(A)参照)、底面が、斜面以外に水平面を含んでいてもよい(たとえば図1(D)参照)。
底部斜面の傾斜角度は、水平面から30〜52.5°であることが好ましく、30〜45°であることが更に好ましい。上記傾斜角度は、斜面上に形成された陽性像が斜面から滑り落ちることなく底面に広がり、かつ陰性像が底面の最深部に沈降して、明瞭に識別可能な陽性/陰性パターンを形成するのに適している。
本発明の赤血球固相化容器は、上記傾斜角度のV底を有していてもよいし、上記傾斜角度のV底を模倣した形態のU底を有していてもよい。U底の傾斜角度は、曲線上に接線を想定することにより求めることができ、たとえば、容器底面の最深点と最も浅い点の中点に接線を想定することにより求めることができる。
本発明の赤血球固相化容器の底面の種々の態様を図1および2に示すが、本発明の容器の底面の形態は、一定面積の斜面を有している限り、例示した態様に限定されない。
本発明の容器は、図1(A)に示すように、容器底面がV底の形態を有し、容器全体にわたって均一な傾斜角度を有していてもよい。
また、図1(B)、(C)に示すように、容器底面がV底の形態を有し、異なる傾斜角度を有していてもよい。図1(B)、(C)に示すように、底部が、急な斜面と緩やかな斜面とを有している場合、急斜面の傾斜角度を、水平面からたとえば45〜57°とすることができ、緩斜面の傾斜角度を、水平面からたとえば30〜45°とすることができる。急斜面は、容器の最深部に沈降した非凝集物の陰性像の形成に適しており、緩斜面は、底面に広がった陽性像の形成に適している。また、緩斜面と急斜面を備えた容器を、凝集反応の反応強度を知るために使用することも可能である。たとえば、緩斜面で強く広がった陽性像が得られ、急斜面でも強く広がった陽性像が得られる場合、反応強度が強いことが確認され、緩斜面で強く広がった陽性像が得られるが、急斜面ではやや崩れた陽性像や崩れた陽性像が得られる場合、反応強度が弱いことが確認される。このように、緩斜面と急斜面で得られる陽性像の違いにより、詳細な判定が可能である。このような反応強度を知ることは、亜型を検出する場合等に有用である。
また、図1(D)に示すように、底部の最深部が水平面を有していてもよいし、図1(E)に示すように、V底の形態を模倣した形態のU底の底面を有していてもよいし、図1(F)に示すように、底部斜面の下端に向かうほど傾斜角度が増大し、底面の深部がシャープな形状を有していてもよい。
また、本発明の容器は、底面が斜面を有している限り、図2(G)、(H)に示すように、底面が、円錐状に底上げされた形態であってもよいし、図2(I)に示すように、底面が、四角錐状に底上げされた形態であってもよいし、図2(J)に示すように、底面が、円錐台状に底上げされた形態であってもよいし、図2(K)に示すように、底面が、山型(ドーム型)に底上げされた形態であってもよい。
本発明において、検体赤血球または赤血球試薬を固相化するための「バインダー物質」は、赤血球の固相化前に容器底面に固相化される。「バインダー物質」として、抗Aモノクローナル抗体、抗Bモノクローナル抗体、抗グリコフォリンモノクローナル抗体、抗Hモノクローナル抗体、小麦胚芽レクチン(WGA)、エニシダレクチン(CSA)、チョウセンアサガオレクチン(DSA)、ピーナツレクチン(PNA)、またはハリエニシダレクチン(H)等を使用することができる。
バインダー物質であるモノクローナル抗体の固相化は、後述の実施例1に記載されるとおり行うことができ、たとえば、マイクロタイタープレートを使用した場合、モノクローナル抗体を固相化するための一次バインダー(すなわち、モノクローナル抗体が由来する生物種に対する抗体)の溶液を、ウェルに添加して、2〜10℃で一晩インキュベートし、ウェルを洗浄し、その後、バインダー物質であるモノクローナル抗体をウェルに添加し、2〜30℃で30分間以上インキュベートすることにより行うことができる。或いは、精製されたモノクローナル抗体をウェルに添加して、2〜10℃で一晩インキュベートし、ウェルを洗浄することでも作ることが出来る。
バインダー物質であるレクチンの固相化は、後述の実施例1に記載されるとおり行うことができ、たとえば、マイクロタイタープレートを使用した場合、レクチン含有溶液をウェルに添加して、2〜10℃で一晩インキュベートすることにより行うことができる。
本発明においてバインダー物質は、底面に広がった陽性像を形成することが可能なように、容器の底面全体に固相化することが好ましい。
本発明において、容器底面に固相化される赤血球は、検体赤血球であってもよいし赤血球試薬であってもよい。たとえば、オモテ試験の場合、検体赤血球が使用され、ウラ試験の場合、赤血球試薬が使用される。
赤血球の固相化は、後述の実施例1および2に記載されるとおり行うことができ、たとえば、マイクロタイタープレートを使用した場合、バインダー物質を固相化したウェルに0.3%以上の赤血球含有液をウェルあたり25〜100μl添加して、室温で10〜30分間静置することにより行うことができる。
本発明において、赤血球は、好ましくは30〜100%の被覆率で容器底面に固相化される。後述の実施例2で実証されるとおり、赤血球を好ましくは30〜100%の被覆率で容器底面に固相化させることにより、容器底面に広がった安定した陽性像を得ることができる。
赤血球を容器底面の全体にわたって密に固相化した状態を被覆率100%と規定する。被覆率100%で固相化されている赤血球を溶血させ、OD405nm(405nmにおける光学密度)を測定する。特定量の赤血球を容器に添加して固相化したときの赤血球の被覆率は、固相化されている赤血球を溶血させ、OD405nmを測定し、被覆率100%のときのOD405nmの値に対するパーセンテージを求めることにより計算することができる。このように特定の被覆率を達成するための赤血球の添加量を予め求めておくことにより、所望の被覆率を達成することができる。すなわち、赤血球の被覆率は、固相化のために添加される赤血球の量(すなわち赤血球含有液の濃度と赤血球含有液の添加量)を調節することにより適宜制御することができる。たとえば、後述の実施例2に記載されるとおり、200μl容量の容器を使用した場合、赤血球被覆率を80%、60%、30%、15%、7%とするためには、分注する赤血球の濃度をそれぞれ0.4体積%、0.3体積%、0.15体積%、0.08体積%、0.04体積%に調整して、それを25μl/well分注することにより、所望の被覆率を達成することができる。
2.血液型判定方法
本発明の血液型判定方法は、
赤血球を結合させるためのバインダー物質を斜面を有する底面に固相化した容器に、(i)検体赤血球と抗体試薬の組み合わせまたは(ii)赤血球試薬と抗体検体の組み合わせを添加する工程と、
凝集の有無を判定する工程と
を含む。
(1)バインダー物質を固相化した容器
本発明の方法を行うためには、まず、「赤血球を結合させるためのバインダー物質を斜面を有する底面に固相化した容器」を調製する。この容器およびその作製の仕方については、上述の説明を参照することができる。
(2)凝集反応
本発明において凝集反応は、公知の血液型判定の手法に従って行うことができるが、一般に、赤血球は、0.5〜1.5%濃度の赤血球含有液を25μl/容器の量で添加することができ、抗体は、特に濃度で示されない市販の抗血清試薬または検体の血清を25〜100μl/容器の量で添加することができる。
第一の態様によれば、バインダー物質を固相化した容器に、(i)検体赤血球と抗体試薬の組み合わせまたは(ii)赤血球試薬と抗体検体の組み合わせを、同時に添加する。第一の態様によれば、ABO血液型のおもて検査の場合、検体赤血球と抗A血清試薬(または抗B血清試薬)の組み合わせを同時に添加し、ABO血液型のうら検査の場合、A血球試薬(またはB血球試薬)と血清検体の組み合わせを同時に添加する。
この第一の態様を模式的に図3および4に示す。図3(A)は、バインダー物質を固相化した容器を示し、図3(B)は、図3(A)に示される容器に、赤血球含有液と抗体含有液を同時に添加し、凝集反応が起こった場合(陽性像)を示し、図4(C)は、図3(A)に示される容器に、赤血球含有液と抗体含有液を同時に添加し、凝集反応が起こらなかった場合(陰性像)を示す。凝集反応が起こらなかった場合、赤血球はバインダー物質上にモノレイヤーの状態で固相化されるが、赤血球と抗体の凝集物は形成されず、未反応の赤血球と抗体は、容器の最深部に沈降する。陽性像および陰性像を容器の上方もしくは下方から観察した様子を模式的に図4(D)に示す。図4(D)の左が陽性像の模式図であり、右が陰性像の模式図である。
第二の態様によれば、
(i)検体赤血球と抗体試薬の組み合わせを添加する場合、バインダー物質を固相化した容器に検体赤血球を添加してその底面に固相化し、その後、検体赤血球と抗体試薬の組み合わせを添加し、
(ii)赤血球試薬と抗体検体の組み合わせを添加する場合、バインダー物質を固相化した容器に赤血球試薬を添加してその底面に固相化し、その後、赤血球試薬と抗体検体の組み合わせを添加する。
第二の態様によれば、ABO血液型のおもて検査の場合、検体赤血球を容器底面に固相化し、その後、検体赤血球と抗A血清試薬(または抗B血清試薬)の組み合わせを添加し、ABO血液型のうら検査の場合、A血球試薬(またはB血球試薬)を容器底面に固相化し、その後、A血球試薬(またはB血球試薬)と血清検体の組み合わせを添加する。
この第二の態様を模式的に図5に示す。図5(A)は、最初に添加された赤血球が、バインダー物質を固相化した容器にモノレイヤーの状態で固相化された様子を示す。図5(B)は、図5(A)に示される赤血球固相化容器に赤血球含有液と抗体含有液の組み合わせを添加し、凝集反応が起こった様子を示す。凝集反応が起こらなかった場合、後で添加された赤血球と抗体は、容器の最深部に沈降する。第二の態様においても、形成された陽性像と陰性像を容器の上方もしくは下方から観察すると、図4(D)に模式的に示したように観察される。
このように第二の態様は、本発明の赤血球固相化容器に赤血球含有液と抗体含有液の組み合わせを添加することを特徴とするため、本発明の赤血球固相化容器を用いた血液型判定方法ということもできる。第二の態様において、赤血球含有液と抗体含有液の組み合わせは、本発明の赤血球固相化容器に同時に添加されてもよいし、最初に抗体含有液を添加し、その後に赤血球含有液を添加してもよい。前者の場合、1ステップで反応を完了させることができるという利点を有し、後者の場合、赤血球固相化容器に更に赤血球が固相化されることを防ぐことができるという利点を有する。
また、本発明の方法において、凝集反応後に容器を傾斜させてもよい。すなわち、緩斜面(たとえば水平面から30〜45°)を有する容器自体を、凝集反応後に徐々に傾斜させて急斜面(たとえば水辺面から45°〜60°)を形成してもよい。緩斜面は、底面に広がった陽性像の形成に適しており、急斜面は容器の最深部に非凝集物が沈降した陰性像の形成に適しているため、容器を傾斜させる操作により、より明瞭に識別可能な凝集/非凝集パターンを形成することが可能である。
(3)凝集の判定
凝集反応の有無は、容器上方または下方から目視またはCCDカメラ等で確認することができる。上述のとおり、陽性像は、赤血球の凝集物が容器底面全体に広がったパターンを示し、陰性像は、容器底面の最深部に赤血球の非凝集物が沈降したパターンを示す。
本発明の血液型判定方法を利用して、オモテ試験、ウラ試験、血液型フェノタイプの判定、不規則性抗体検査など、赤血球の凝集反応を利用した種々の血液型判定を行うことができる。
実施例1:バインダー物質を介した赤血球の固相化
バインダー物質として、以下に記載の各種レクチンや抗体を使用して、ヒト赤血球を固相化した。
1.材料
1−1.レクチン(バインダー物質)
WGA(コムギ胚芽レクチン)は、豊年株式会社製を使用した。APP(エゾボウフウ)、CSA(エニシダレクチン)、DSA(チョウセンアサガオレクチン)、VFA(ソラマメレクチン)、LCH−A(レンズ豆レクチン)、LCH−B、ECA(ディゴマメレクチン)、PNA(ピーナツレクチン)、H(ハリエニシダレクチン)はいずれも、EYラボラトリーズの製品を使用した。
1−2.抗体(バインダー物質)
マウス抗グリコフォリンモノクローナル抗体は、Chemicon社を使用した。
マウス抗Bモノクローナル抗体、マウス抗Aモノクローナル抗体は、市販の抗血清(Ortho社、和光純薬社製)をBioRad製のAffiGelを使用して精製したものを使用した。
マウス抗Hモノクローナル抗体は、ARP社製を使用した。
1−3.一次バインダー
抗ウサギIgG、抗マウスIgG、抗マウスIgG+IgMは、Jackson社製を使用した。
1−4.赤血球
Ortho社の市販血球試薬アファーマジェンを使用した。
1−5.容器
Maxisorp(Nalgen-Nunc)U底プレートを使用した。
2.方法
2−1.レクチン(バインダー物質)の固相化
レクチンは、小麦胚芽レクチンを10μg/mLになるように炭酸バッファーpH9.6で希釈し、Maxisorp(Nalgen-Nunc)U底プレートに50μL/wellずつ分注した。冷蔵庫でOverNightインキュベートし、その後、生理食塩液で3回洗浄し、水切りして、30℃の乾燥機で風乾30分間実施した。後、シリカゲルと共にアルミパックを行った。
2−2.抗体(バインダー物質)の直接の固相化
マウス抗Bモノクローナル抗体は、BioRad社のAffiGel の添付文書に従って、「Ortho社の抗B抗体」から精製を行った。
同様に、「和光純薬の抗B抗体」、「Ortho社の抗A抗体」についても精製を行い、それぞれ、精製マウス抗Bモノクローナル抗体、マウス抗Aモノクローナル抗体とした。
精製した抗B抗体または抗A抗体を10μg/mLになるように炭酸バッファーpH9.6で希釈し、Maxisorp(Nalgen-Nunc)U底プレートに50μL/wellずつ分注した。冷蔵庫でOverNightインキュベートし、その後、生理食塩液で3回洗浄し、水切りして、30℃の乾燥機で風乾30分間実施した。後、シリカゲルと共にアルミパックを行った。
その他の抗体(バインダー物質)も同様に固相化を行った。
2−3.抗体(バインダー物質)の一次バインダーを介しての固相化
「ウサギ抗マウスIgG+IgM(H&L)」を10μg/mLになるように炭酸バッファーpH9.6で希釈し、Maxisorp(Nalgen-Nunc)U底プレートに50μL/wellずつ分注した。冷蔵庫でOverNightインキュベートし、生理食塩液で3回洗浄し、市販抗血清(Ortho社の抗B抗体)を生理食塩液で2倍希釈したものを50μL/well分注して、30分間インキュベートした。精製水で2回洗浄し、水切りして、30℃の乾燥機で風乾 30分間実施した。後、シリカゲルと共にアルミパックを行った。
同様にOrtho社の抗A抗体、和光純薬の抗A, B抗体についても、抗マウスIgG+IgM抗体(一次バインダー)を介してプレートに固相した。
また、その他の抗体(バインダー物質)も同様に一次バインダーを介して固相化を行った。
2−4.レクチン固相化プレートへの赤血球の固相化
WGA(コムギ胚芽レクチン)固相化プレート(上記2−1で作成)に、試薬赤血球1滴(3% 50μL/well)を分注して、10分間放置後、生理食塩液で3回洗浄して、血球結合を観察した。
2−5.抗体固相化プレートへの赤血球の固相化
・抗B抗体固相化プレートへの赤血球の固相化
抗B抗体固相化プレート(上記2−2で作成)あるいは、抗マウスIgG+IgM抗体を介して、抗B抗体を結合したプレート(上記2−3で作成)に、試薬赤血球1滴(3% 50μL/well)を分注して、10分間放置後、生理食塩液で3回洗浄して、血球結合を観察した。
同様にA血球についても固相をこころみた。
・抗H抗体固相化プレート、抗A抗体固相化プレートへの赤血球の固相化
抗マウスIgG+IgM抗体を介して抗A, 抗H抗体を固相化したプレート(上記2−3で作成)に、試薬赤血球1滴(3% 50μL/well)を分注して、10分間放置後、生理食塩液で3回洗浄して、血球結合を観察した。
3.結果
血球結合の結果を、以下の表1に示す。
Figure 0005306901
表1に示されるとおり、レクチンをバインダー物質として用いた場合、小麦胚芽レクチン、エニシダレクチン、チョウセンアサガオレクチン、ピーナツレクチン、ハリエニシダレクチンが有効であることがわかった。
本実施例により、小麦胚芽レクチン、エニシダレクチン、チョウセンアサガオレクチン、ピーナツレクチン、ハリエニシダレクチン、並びに抗Aモノクローナル抗体、抗Bモノクローナル抗体、抗グリコフォリンモノクローナル抗体、抗Hモノクローナル抗体をバインダー物質として使用することにより、容器底面に赤血球を固相化できることがわかる。また、モノクローナル抗体については、これを固相化するための一次バインダーを更に使用することも可能である。
実施例2:赤血球固相化容器を使用した赤血球の凝集反応
本実施例では、バインダー物質として、WGA(小麦胚芽レクチン)を使用し、種々の形状の容器を使用して、陽性/陰性パターンを確認した。
使用した容器は、U底容器Maxisorp(Nalgen Nunc)、社内で製作した底面の内面角75°、90°、105°、120°のV底容器である。
上記容器のそれぞれにWGA(小麦胚芽レクチン) 10μg/mlを50μl/well分注し、冷蔵オーバーナイト放置後、生理食塩水で洗浄して、赤血球固相用容器を作製した。
赤血球固相用容器にA型赤血球試薬アファーマジェン(Ortho)0.9体積%濃度を25μl/well分注し、10分間静置後、生理食塩水で洗浄して余剰の赤血球を除去した。顕微鏡で赤血球が互いに密に固相化されていることを確認した。赤血球が固相化された容器に、精製水100μl/well分注し、溶血させたもののOD405nmを測定して、この測定値を被覆率100%とした。このOD値から、赤血球被覆率が80%、60%、30%、15%、7%になるように、分注する赤血球の濃度をそれぞれ0.4体積%、0.3体積%、0.15体積%、0.08体積%、0.04体積%に調整して、それを25μl/well分注し、異なる赤血球被覆率のA型赤血球固相化容器を作製した。
この赤血球固相化容器に、B型ドナーの血清(社内保有コントロール)を25μl/well分注して、その後1.0体積%濃度の上記A型赤血球試薬を25μl/well分注して、1時間静置した。ここで、B型ドナーの血清をA型赤血球試薬より先に分注すると、後から添加した赤血球試薬が容器底面に更に固相化されることはなかった。このことは、顕微鏡下で確認した。
各容器を使用して得られた陽性像の結果を表2に示す。
Figure 0005306901
表2に示すように、斜面を有する容器底面に赤血球を固相化することにより、容器底面に強く広がった陽性像を形成することができた。赤血球被覆率が15%以下になると、陽性像の広がりが悪くなった。また、容器の内面角が大きい方が、陽性像は明瞭に広がり、赤血球被覆率が低くても強く広がった陽性像を形成することができた。上記結果から、U底容器および底面の内面角75〜120°(すなわち水平面からの傾斜角度30〜52.5°)のV底容器において赤血球被覆率30%以上とすることで、安定した陽性像が得られることがわかる。
また、各容器を使用して得られた陰性像の結果を表3に示す。
Figure 0005306901
U底容器および底面の内面角75〜120°のV底容器において陰性像を形成した場合、いずれの場合も、赤血球試薬の非凝集物は容器の最深部に沈降し、明瞭な陰性像が得られた。底面の内面角75°の容器において最も小さなボタン状の陰性像が得られ、この陰性像は、内面角90°のV底容器、内面角105°のV底容器、内面角120°のV底容器、U底容器の順に大きくなった。
表2および3の結果より、底面に斜面を有する容器を用いて本発明の方法を行うことにより、明瞭に識別可能な凝集/非凝集パターンを形成可能であることがわかる。これにより、本発明の方法は、凝集の有無を客観的に判定可能であることが示された。

Claims (4)

  1. 血液型判定方法であって、
    赤血球を結合させるためのバインダー物質を斜面を有する底面に固相化した容器に、(i)検体赤血球または(ii)赤血球試薬を添加して、被覆率30〜100%で固相化する工程と、
    (i)検体赤血球が固相化された容器には検体赤血球と抗体試薬の組み合わせを添加し、(ii)赤血球試薬が固相化された容器には赤血球試薬と抗体検体の組み合わせを添加する工程と、
    凝集の有無を判定する工程と
    を含み、
    前記容器が、前記斜面が全体にわたって均一な傾斜角度を有し、前記斜面の水平面からの角度が30〜52.5°であるV底容器であることを特徴とする方法。
  2. 前記斜面の水平面からの角度が30〜45°であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 検体赤血球または赤血球試薬が、バインダー物質を介して、斜面を有する底面に被覆率30〜100%で固相化されている赤血球固相化容器であって、前記斜面が全体にわたって均一な傾斜角度を有し、前記斜面の水平面からの角度が30〜52.5°であるV底容器である、赤血球固相化容器
  4. 前記斜面の水平面からの角度が30〜45°であることを特徴とする請求項3に記載の赤血球固相化容器。
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