JP5304065B2 - 表示部材の製造方法 - Google Patents
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Description
すなわち、従来は、高い周期配列度および低い内部空隙率の両方を有する表示部材はなかった。
構造色を発現する、周期配列度が90%以上の規則的な周期構造状態を有する、球体およびマトリックスよりなる表示層を有する表示部材を得ることを特徴とする。
本発明の表示部材の表示層10は、具体的には、マトリックスM中に固体の粒子よりなる球体12による周期構造体16が形成されてなるものであり、より詳細には、マトリックスM中に球体12同士が面方向に接触して規則的に形成される球体層15が、厚み方向においても球体12同士が接触する状態で規則的に配された構成を有するものである。
また例えば、マトリックスM中に球体12同士が面方向に非接触状態で規則的に配されて形成される球体層15が、厚み方向においても球体12同士が非接触状態で規則的に配された構成を有していてもよい。
この球体層15は、光が入射する方向に対して一方向に規則的に球体12が配列された構成を有しており、特に、周期構造体が面心立方構造などの立方最密構造や、六方最密構造などの最密充填構造を呈するよう球体12が配列された構成を有することが好ましい。
表示層10は、当該表示層10によって光を反射することのできる構造を有しており、観察角に基づいて規定される波長の光が選択的に反射されることにより、構造色の発現が視認される。
本発明に係る表示層10における球体12の周期配列度が90%以上であることにより、得られる表示部材が反射スペクトルにおける構造色の発現の波長ピークがシャープなものとなる。表示層10における球体12の周期配列度は95%以上であることがより好ましい。
すなわち、表示層10を、クライオミクロトームを用いて適宜の球体12の中心位置を通る状態で当該表示層10の垂線方向に切断して断面切片を作製し、走査型電子顕微鏡「JSM−7410」(日本電子社製)を用いて当該断面切片の50,000倍の写真を2枚撮影し、この2枚の写真画像における球体12の100個ずつについて、それぞれ理想位置からのズレを測定し、そのズレ総量により下記式(1)を用いて算出される。
ここに、「理想位置からのズレ」とは、球体12を理論上の規則的な周期構造状態の位置からの変位距離をいう。
式(1):周期配列度(%)=[1−{(ズレ総量)/(a×200)}]×100
上記式(1)において、aは、理論上の規則的な周期構造状態における隣り合う球体12の中心間距離であり(図2(a)または図3(a)参照)、ズレ総量は、図2(b)または図3(b)に示されるように、個々の球体121,122,123,124,125・・・の理想位置からの変位距離をaとの比で表したズレ量z1,z2,z3,z4,z5・・・を合計した量(z1+z2+z3+z4+z5・・・)である。なお、図2(b)においてz1,z3およびz5は0であり、図3(b)においてz2,z4およびz5は0である。
この周期配列度の測定において、ズレの測定の対象となる200個すべての球体12が理論上の規則的な周期構造状態の位置にある場合は、周期配列度は100%となる。
また、本発明に係る表示層10における球体12の内部空隙率が10%以下であることにより、得られる表示部材が大きな反射光強度を有するものとなる。表示層10における球体12の内部空隙率は5%以下であることがより好ましい。
すなわち、表示層10を、クライオミクロトームを用いて断面切片を作製し、走査型電子顕微鏡「JSM−7410」(日本電子社製)を用いて当該断面切片の50,000倍の写真を2枚撮影し、この2枚の写真画像における任意の10cm×10cmの領域について、それぞれ球体12および、空洞部分x1,x2などのマトリックスM以外の空洞部分の面積を算出し、下記式(2)を用いて算出される。
式(2):内部空隙率(%)=(空洞部分の面積(cm2 )/100(cm2 ))×100
この屈折率差が0.02未満である場合は、構造色が発色しにくくなり、この屈折率差が2.0より大きい場合は、光散乱が大きく生じることによって構造色が白濁化してしまうおそれがある。
本発明の表示部材において得られる構造色とは、色素などの光の吸収による色ではなく、周期構造などによる選択的な光の反射により発現される色のことである。
なお、下記式(3)および下記式(4)は近似式であり、実際上はこれらの計算値に完全には合致しない場合もある。
式(3):λ=2nD(cosθ)
この式(3)において、λは構造色のピーク波長、nは下記式(4)で表される表示層10の屈折率、Dは球体層15の層間隔(球体12の表示部材の垂線方向における間隔)、θは表示部材の垂線との観察角である。
式(4):n={na・c}+{nb・(1−c)}
この式(4)において、naは球体12の屈折率、nbはマトリックスMの屈折率、cは表示層10における球体12の体積率である。
ここに、構造色のピーク波長λは、ファイバーを用いて反射光源と観察角度との関係を確認できる「MCPD−3700」(大塚電子社製)を用いて測定されるものとすることができる。
周期数が1未満である場合は、表示層が構造色を発現するものとすることができない。
本発明において、球体とは、3次元において球体形状を有する固体の物質のことであり、真球に限定されるものではなく、おおよそ球体形状を有すればよい。
表示層10を構成する球体12を形成すべき材料としては、その屈折率がマトリックスMの屈折率と異なるものであること、およびマトリックスMを形成する充填剤と非相溶性であるものを、適宜に選択することができる。
また、表示層10を構成する球体12は、マトリックスMを形成すべき充填剤との親和性の高い材料よりなることが好ましい。
具体的には例えば、スチレン、メチルスチレン、メトキシスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、クロルスチレンなどのスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸(イソ)プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エチルヘキシルなどのアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸などのカルボン酸単量体などの重合性単量体のうちの1種を重合した粒子、または2種以上を共重合した有機粒子を挙げることができる。
また、重合性単量体に架橋性単量体を加えて重合した有機粒子であってもよく、架橋性単量体としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどを挙げることができる。
また例えば、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅、硫酸バリウム、酸化第二鉄などの無機酸化物および複合酸化物などや、ガラス、セラミックスなどにより形成された無機粒子を挙げることができる。
また例えば、上記の有機粒子または無機粒子をコア粒子として、これの表面に当該コア粒子を構成する材料と異なる材料のシェル層が形成されてなるコア−シェル型粒子を挙げることができる。シェル層は、金属微粒子、チタニアなどよりなる金属酸化物微粒子、チタニアなどよりなる金属酸化物ナノシートなどを用いて形成することができる。
さらに例えば、上記のコア−シェル型粒子から、焼成、抽出などの方法によってコア粒子を除去することにより得られる中空型粒子を挙げることができる。
球体12の平均粒径が上記の範囲にあることにより、その分散液を安定したコロイド溶液とすることができ、また、得られる表示部材において発現する構造色が近紫外〜可視〜近赤外域にピーク波長を有する色となる。
一方、球体の平均粒径が50nm未満である場合は、視認される構造色の色が薄いものとなるおそれがあり、球体の平均粒径が500nmよりも大きい場合は、光散乱が大きく生じることによって構造色の発現の程度が小さく、その結果、白濁化して構造色の認識をしにくいものとなることがある。
CV値が20より大きい場合は、規則的に配列されるべき球体層が大きな乱れが生じたものとなって得られる表示部材が構造色の発現の程度が小さく、その結果、白濁化して構造色の認識をしにくいものとなることがある。
平均粒径は、球体12について走査型電子顕微鏡「JSM−7410」(日本電子社製)を用いて50,000倍の写真を2枚撮影し、この2枚の写真画像における球体12の100個ずつについて、それぞれ最大長を測定し、その個数平均値を算出することにより、得られるものである。ここに、「最大長」とは、球体12の周上の任意の2点による2点間距離のうち、最大のものをいう。
なお、球体12が凝集体として撮影される場合には、凝集体を形成する一次粒子(球体)の最大長を測定するものとする。
CV値は、個数基準の粒度分布における標準偏差および上記の平均粒径の値を用いて下記式(CV)より算出されるものである。
式(CV):CV値=((標準偏差)/(平均粒径))×100
球体12の屈折率の具体的な例としては、例えばポリスチレンが1.59、ポリメタクリル酸メチルが1.49、ポリエステルが1.60、フッ素変性ポリメタクリル酸メチルが1.40、ポリスチレン・ブタジエン共重合が1.56、ポリアクリル酸メチルが1.48、ポリアクリル酸ブチルが1.47、シリカが1.45、酸化チタン(アナターゼ型)が2.52、酸化チタン(ルチル型)が2.76、酸化銅が2.71、酸化アルミニウムが1.76、硫酸バリウムが1.64、酸化第二鉄が3.08である。
単分散性の高い球体を得るために、球体12が有機物による粒子である場合は、球体12は、通常一般的に用いられるソープフリー乳化重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの重合法によって得ることが好ましい。
表示層10を構成するマトリックスMは、固体状のものであり、当該マトリックスMを形成すべき充填剤としては、製造過程における周期構造体16に添加する工程において液体状であり、熱、光などのエネルギーが付与されることにより固化することができるものが使用される。
表示層10を構成するマトリックスMとしては、その屈折率が球体12の屈折率と異なるものであり、球体12を構成する材料と非相溶性であるものを、適宜に選択することができる。
また、マトリックスMを形成すべき充填剤としては、球体12との親和性の高い材料が好ましい。
有機溶剤に可溶である樹脂としては、具体的には、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられ、水に可溶である樹脂としては、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニルなどが挙げられる。
ヒドロゲルとしては、具体的にはゼラチン、カラギナン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウムなどのゲル化剤と水とを混合して得られるゲルが挙げられ、オイルゲルとしては、シリコーンゲル、フッ素系シリコーンゲルなどや、アミノ酸系誘導体、シクロヘキサン系誘導体、ポリシロキサン系誘導体などのゲル化剤とシリコーンオイル、有機溶剤とを混合して得られるゲルが挙げられる。
マトリックスの屈折率の具体的な例としては、例えばシリコーンゲルが1.41、ゼラチン/アラビアゴムが1.53、ポリビニルアルコールが1.51、ポリアクリル酸ナトリウムが1.51、フッ素変性アクリル樹脂が1.34、N−イソプロピルアミドが1.51、発泡アクリル樹脂が1.43である。
このような表示層10は、球体12を、当該球体12を構成する材料と相溶しない液体に分散させた分散液(球体分散液)による層を形成し、当該層を静置または乾燥させて前記球体12を自己配列させて周期構造体16を形成させ、当該周期構造体16を含有する層における液体含有量が5〜20%となった時点において、液体状の充填剤を周期構造体16に対して添加して球体12間に隙間なく充填させ、前記充填剤を固化してマトリックスMを形成させる工程を経ることにより、得られる。
球体分散液を得るための液体としては、溶解性の低い水系溶媒が好ましい。
ここに、「水系媒体」とは、水50〜100質量%と、水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体をいう。水溶性の有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどが挙げられ、樹脂を溶解しないことから、アルコール系有機溶媒が好ましい。
その理由としては、以下のように推測される。
一方、乾燥があまり進行しておらず、周期構造体16を含有する層における液体含有量が過多である時点において充填剤を添加した場合は、球体12間における液架橋力の作用が弱く、充填剤の添加によって球体12の配列に乱れが生じて所期の周期配列度を得ることができず、その結果、得られる表示部材が反射スペクトルにおける構造色の発現の波長ピークがブロードなものとなる。
また、乾燥が進み、周期構造体16を含有する層における液体含有量が過少、あるいは完全に水分が蒸発した時点において充填剤を添加した場合は、当該充填剤の球体12間への導入状態が程度の低くなって所期の内部空隙率が得られず、その結果、得られる表示部材が大きな反射光強度を有するものとならない。
なお、面状の狭隘な間隙は、毛管現象により球体分散液が充填される距離を有する間隙であればよく、例えばその距離が0.1〜100μmであることが好ましい。
また、基板の材料としては、下記の基板13の材料として挙げられたものを挙げることができる。
また、セルの材料としては、下記の基板13の材料として挙げられたものを挙げることができる。
本発明の表示部材は、色表示の効果をより得るために、以上のような表示層10が黒色、灰色など所望に応じた光を吸収する色の層や基板上に積層された構成とされていることが好ましい。具体的には、例えば、図1に示されるように、基板13上に表示層10が積層されたシート状のものとして構成することができる。この基板13は、例えば表示層10の製造方法に係る球体分散液による層を塗布により形成する場合は、塗布層を形成させる基板をそのまま表示部材における基板として用いてもよい。
また、表示層10は球体12の球体分散液を用いて作製するために、基板13としては、表面の水に対する接触角はある程度低いものが好ましい。また、表面平滑性は高いものが好ましいことから、基板13について適宜の表面処理を行ってもよい。また、ブラスト処理などを行って球体が付着し易い状態にして使用することもできる。
このような表示部材において、基板13、粘着層および表面被覆層は、用途などに応じて必要に応じて設けられるものであり、また、基板13の裏面に、ラベル用粘着層を設けた構成としてもよい。
表面被覆層を設ける場合は、当該表面被覆層として、透明性が高く、表示層10において発現される構造色の視認を阻害しないポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などよりなるフィルム、UV硬化樹脂よりなるフィルムなどを用いることができる。
また、ラベルとして使用する場合は、ラベル用粘着層として、例えばアクリル系粘着剤、アクリル・オレフィン共重合粘着剤などの接着性の粘着材を用いることができる。
また、以下において、透過スペクトルは、分光光度計「U−4100」(日立製作所社製)により測定し、反射スペクトルは、分光測色計「CM−3600d」(コニカミノルタセンシング社製)により測定し、この反射スペクトルより反射率および1/4値幅を計測した。なお、1/4値幅は、反射スペクトルにおけるピーク部分以外のベース部分の反射率を0、ピーク部分の反射率の最高値を100とし、反射率が25である場合のピークの幅をいう。
スチレン71質量部、n−ブチルアクリレート20質量部およびメタクリル酸9質量部を80℃に加温して単量体溶液を調製した。一方、ドデシルスルホン酸ナトリウム0.2質量部をイオン交換水263質量部に溶解させた界面活性剤溶液を80℃に加熱し、この界面活性剤溶液と上記の単量体混合液とを混合した後、機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック社製)によって30分間分散処理することにより、乳化分散液を調製した。
撹拌装置、加熱冷却装置、窒素導入装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応容器に、上記乳化分散液とドデシルスルホン酸ナトリウム0.1質量部をイオン交換水142質量部に溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下200rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。この溶液に過硫酸カリウム1.4質量部、水54質量部を投入し、3時間重合を行うことによって微粒子の分散液を得、これを遠心分離機により大径粒子/小径粒子を分離し、単分散性の高い真球微粒子の分散液(以下、「球体分散液」という。)〔1〕を得た。この球体分散液〔1〕中の球体〔1〕は平均粒径が250nm、CV値が2.8、屈折率が1.55であった。
スチレン71質量部、n−ブチルアクリレート20質量部およびメタクリル酸9質量部を80℃に加温して単量体溶液を調製した。一方、ドデシルスルホン酸ナトリウム0.4質量部をイオン交換水263質量部に溶解させた界面活性剤溶液を80℃に加熱し、この界面活性剤溶液と上記の単量体混合液とを混合した後、機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック社製)によって30分間分散処理することにより、乳化分散液を調製した。
撹拌装置、加熱冷却装置、窒素導入装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応容器に、上記乳化分散液とドデシルスルホン酸ナトリウム0.1質量部をイオン交換水142質量部に溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下200rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。この溶液に過硫酸カリウム1.4質量部、水54質量部を投入し、3時間重合を行うことによって微粒子の分散液を得、これを遠心分離機により大径粒子/小径粒子を分離し、単分散性の高い球体分散液〔2〕を得た。この球体分散液〔2〕中の球体〔2〕は平均粒径が205nm、CV値が2.3、屈折率が1.55であった。
洗浄したガラス板の向い合う二辺に厚み10μmの両面テープを貼り、もう1枚の洗浄したガラス板を重ねて当該両面テープにより貼り合わせることにより、厚み10μmの空隙を有するガラスセルを作成した。このガラスセルを球体分散液〔1〕の入ったビーカー中にほぼ垂直に設置し、毛管現象によりガラスセル中に球体分散液〔1〕を充填した。この状態より上方向より乾燥させてガラスセル中に粒子を配列させ、赤色の構造色が出現して周期構造体が形成されるまで静置した。赤色の構造色が出現したガラスセルを球体分散液〔1〕の入ったビーカーより取り出し、ガラスセル中の液体含有量を測定したところ、28%であった。このガラスセルを更に乾燥させて液体含有量が15%になった時点で、一方のガラス板を剥離して他方のガラス板を周期構造体が形成された面を上にして水平方向に設置し、シリコーンゲル「SE1891H」(束レ・ダウコーニング社製)を滴下し、周期構造体上部の余分なシリコーンゲルを除去した後、55℃で1時間硬化させることにより、ガラス板上に表示層〔1〕が形成された表示部材〔1〕を作製した。
この表示部材〔1〕の波長に対する透過率(透過スペクトル)を測定したところ、図4において線〔1〕で示されるように、構造色の発現に係る波長ピークの透過率と当該波長ピーク以外の波長範囲の透過率との差が大きく、波長ピークがシャープである、すなわちその半値幅が狭いことが確認された。
また、この表示層〔1〕上に黒色ポリエチレンテレフタレート(PET)シートを被せ、ガラス板側から波長に対する反射率(反射スペクトル)を測定したところ、図5において線〔1〕で示されるように、構造色の発現に係る波長ピークの反射率が高く、当該波長ピークがシャープである(その1/4値幅が狭い)ことが確認された。結果を表1に示す。
なお、反射率が55%以上であれば表示色が十分に高い色濃度を有するものと判断され、1/4値幅が45nm以下であれば表示色が色濁りのない色純度の高いものと判断される。以下の実施例および比較例においても同じである。
実施例1において、シリコーンゲルの滴下をガラスセル中の液体含有量が7%になった時点で行ったことの他は同様にして、表示部材〔2〕を作製した。この表示部材〔2〕について実施例1と同様にして透過スペクトルおよび反射スペクトルの測定を行った。結果を図4、図5および表1に示す。なお、当該実施例2に係る結果は、図4および図5において線〔2〕で示した。
実施例1において、球体分散液〔1〕の代わりに球体分散液〔2〕を用い、さらに、シリコーンゲルの滴下をガラスセル中の液体含有量が20%になった時点で行ったことの他は同様にして、表示部材〔3〕を作製した。この表示部材〔3〕について実施例1と同様にして反射スペクトルの測定を行った。結果を表1に示す。
洗浄したガラス板に、バーコーターを用いて球体分散液〔1〕を塗布した。この塗布面が均一に水分が除去できるように制御しながら塗布層による周期構造体の液体含有量が15%になった時点で、シリコーンゲル「SE1891H」(東レ・ダウコーニング社製)を滴下し、周期構造体上部の余分なシリコーンゲルを除去した後、55℃で1時間硬化させることにより、ガラス板上に表示層〔4〕が形成された表示部材〔4〕を作製した。
この表示部材〔4〕の透過スペクトルを測定したところ、構造色の発現に係る波長ピークの透過率と当該波長ピーク以外の波長範囲の透過率との差が大きく、波長ピークがシャープである(その半値幅が狭い)ことが確認された。
また、この表示部材〔4〕について実施例1と同様にして反射スペクトルの測定を行ったところ、構造色の発現に係る波長ピークの反射率が高く、当該波長ピークがシャープである(その1/4値幅が狭い)ことが確認された。結果を表1に示す。
実施例4において、シリコーンゲルの滴下をガラスセル中の液体含有量が5%になった時点で行ったことの他は同様にして、表示部材〔5〕を作製した。
この表示部材〔5〕について実施例1と同様にして反射スペクトルの測定を行ったところ、構造色の発現に係る波長ピークの反射率が高く、当該波長ピークがシャープである(その1/4値幅が狭い)ことが確認された。結果を表1に示す。
実施例1において、シリコーンゲルの滴下をガラスセル中の液体含有量が1%になった時点で行ったことの他は同様にして、表示部材〔6〕を作製した。
この表示部材〔6〕の透過スペクトルを測定したところ、図4において線〔6〕で示されるように、構造色の発現に係る波長ピークの透過率と当該波長ピーク以外の波長範囲の透過率との差が小さいことが判明した。
また、この表示部材〔6〕について実施例1と同様にして反射スペクトルの測定を行ったところ、図5に線〔6〕で示されるように、構造色の発現に係る波長ピークの反射率が低いことが判明した。結果を表1に示す。
さらに、この表示部材〔6〕を角度を付けて観察したところ、かなり白濁して見えた。
実施例1において、シリコーンゲルの滴下をガラスセル中の液体含有量が28%になった時点で行ったことの他は同様にして、表示部材〔7〕を作製した。
この表示部材〔7〕の透過スペクトルを測定したところ、図4において線〔7〕で示されるように、構造色の発現に係る波長ピークの透過率と当該波長ピーク以外の波長範囲の透過率との差は大きいものの、波長ピークがブロードである、すなわちその半値幅が広いことが判明した。
また、この表示部材〔7〕について実施例1と同様にして反射スペクトルの測定を行ったところ、図5に線〔7〕で示されるように、構造色の発現の波長ピークがブロードである(その1/4値幅が広い)ことが判明した。結果を表1に示す。
さらに、この表示部材〔7〕を角度をつけて観察したところ、色がかなり薄く見えた。
実施例4において、シリコーンゲルの滴下をガラスセル中の液体含有量が80%になった時点で行ったことの他は同様にして、表示部材〔8〕を作製した。
この表示部材〔8〕について実施例1と同様にして反射スペクトルの測定を行ったところ、構造色の発現に係る波長ピークの反射率が極めて低いことが確認された。結果を表1に示す。
さらに、この表示部材〔8〕を角度をつけて観察したところ、かなり白濁して見えた。
12 球体
13 基板
15 球体層
16 周期構造体
D 層間隔
M マトリックス
Claims (3)
- 球体を液体に分散させた分散液による層を形成し、当該層を静置または乾燥させ、当該層における液体含有量が5〜20%となった時点において液体状の充填剤を当該層に対して添加し、前記充填剤を固化することによりマトリックスを形成する工程を経ることにより、
構造色を発現する、周期配列度が90%以上の規則的な周期構造状態を有する、球体およびマトリックスよりなる表示層を有する表示部材を得ることを特徴とする表示部材の製造方法。 - 前記球体を液体に分散させた分散液による層が、基板上に当該分散液が塗布されて形成された塗布層であることを特徴とする請求項1に記載の表示部材の製造方法。
- 前記球体を液体に分散させた分散液による層が、面状の狭隘な間隙を有するセル中に当該分散液が導入されて形成された層であることを特徴とする請求項1に記載の表示部材の製造方法。
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