JP5299917B2 - 炭化水素油及び潤滑油基油の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、炭化水素油及び潤滑油基油の製造方法に関する。
石油製品の中で、例えば潤滑油、軽油、ジェット燃料等は低温における流動性が重要視される製品である。そのため、これらの製品に用いられる基油は、低温流動性の低下の原因となるノルマルパラフィンや、わずかに分岐を有するイソパラフィンなどのワックス成分が、完全に若しくは部分的に除去されているか、又はワックス成分以外のものに転換されていることが望ましい。
炭化水素油からワックス成分を除去する脱蝋技術としては、例えば、液化プロパンやMEK等の溶媒によりワックス成分を抽出する方法が知られている。しかし、この方法は、運転コストが大きい上に、適用可能な原料油種が限定されること、さらには製品収率が原料油種により制限されてしまうことなどの問題がある。
一方、炭化水素油中のワックス成分を非ワックス成分へと転換する脱蝋技術としては、例えば、炭化水素油を、水素存在下で、水素化−脱水素能及び異性化能の二元機能を有する水素化異性化触媒に接触せしめ、炭化水素油中のノルマルパラフィンをイソパラフィンに異性化する接触脱蝋が知られている。また、接触脱蝋に使用される水素化異性化触媒としては、固体酸、中でもゼオライト及び周期表第8〜10族あるいは第6族に属する金属を含む触媒が知られている。
接触脱蝋は炭化水素油の低温流動性を改善する方法として有効であるが、潤滑油用基油に適した留分を得るためには、ノルマルパラフィンの転化率を十分高くする必要がある。しかし、接触脱蝋で使用される水素化異性化触媒は異性化能とともに炭化水素の分解能も有していることから、ノルマルパラフィンの転化率の上昇に伴い炭化水素油の分解、軽質化も進行して、所望の留分の収率が低下する。特に、高粘度指数及び低流動点が要求される高品質の潤滑油用基油を製造する場合、ノルマルパラフィンが実質的に含有されない程度までその転化率を高める必要があり、炭化水素油の接触脱蝋により目的留分を経済性よく得ることが非常に難しかった。
上記事情により、燃料基油及び潤滑油基油の製造分野において、ワックス成分を含む炭化水素油から所望のイソパラフィン留分を収率よく得るために、炭化水素に対する抑制された分解活性及び高められた異性化活性、すなわち優れた異性化選択性を有する水素化異性化触媒が求められている。
これまでにも、接触脱蝋で用いる水素化異性化触媒の異性化選択性を向上させる試みがなされている。例えば、下記特許文献1には、周期表第8〜10族等の金属を含むZSM−22、ZSM−23、ZSM−48等の中程度の大きさの一次元状細孔を有し、結晶子の大きさが約0.5μmを超えないゼオライトからなる触媒に、直鎖状またはわずかに分岐を有する炭素数10以上の炭化水素原料を異性化条件下に接触せしめ、脱蝋された潤滑油を製造するプロセスが開示されている。
なお、水素化異性化触媒を構成するゼオライトは、所定の細孔構造を構築するために、通常、アミノ基、アンモニウム基等を有する有機テンプレートと呼ばれる有機化合物の存在下に水熱合成して製造される。そして、合成されたゼオライトは、例えば、下記非特許文献1の451ページ、「2.1. Materials」項、最終段落に記載されているように、分子状酸素を含む雰囲気下、例えば550℃程度以上の温度で焼成されることにより、含有する有機テンプレートが除去される。次に、焼成されたゼオライトは、例えば、下記非特許文献1の451ページ、「2.3. Catalytic experiments」項に記載されているように、典型的にはアンモニウムイオンを含有する水溶液中でアンモニウム型にイオン交換される。イオン交換後のゼオライトには、さらに周期表第8〜10族等の金属成分が担持される。そして、金属成分が担持されたゼオライトは、乾燥、必要により成型等の工程を経て反応器に充填され、典型的には400℃程度の温度において分子状酸素を含む雰囲気下に焼成され、さらに同程度の温度において水素等により還元処理を行うことによって、二元機能触媒としての触媒活性が付与される。
商業的使用に供される触媒は、取扱い易さの向上、触媒床における反応流体の圧力損失の低減等を目的として、成型された成型体の形態にて使用されることが一般的である。しかし、ゼオライト粉末は自己粘結性に乏しく、それ自体のみを成型して得られる成型体からなる触媒の機械的強度は小さいため、実用に供することが困難である。そこで、ゼオライトを用いる触媒においては、ゼオライト粉末にバインダーと呼ばれる無機酸化物粉末を配合した組成物を成型した成型体の形態で使用されることが通常である。
米国特許第5,282,958号公報
J.A.Martens et al.,「J.Catal.」,2006年,第239巻,p.451
上記特許文献1に記載の製造プロセスにあっても、触媒の異性化選択性が十分とはいえず、分解活性が十分に抑制されていないために、ノルマルパラフィン成分を含む炭化水素油から所望の燃料基油又は潤滑油基油に適したイソパラフィン留分を高収率で得ることは困難であった。特に、高品質の潤滑油の基油の製造においては、ノルマルパラフィンを実質的に含まない程度までその転化率を高める必要があり、その場合、ノルマルパラフィン及び/又は異性化生成物であるイソパラフィンの分解反応が盛んとなり、経済性をもった収率で目的とするイソパラフィン留分を得ることができなかった。
また、経済合理性をもってイソパラフィンを生産するには、水素化異性化触媒が、異性化選択性に優れていることのみならず、商業的使用に耐え得る機械的強度を有していることが必要である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ノルマルパラフィンを含む原料炭化水素油から燃料油基油及び/又は潤滑油基油、特には高品質の潤滑油基油に適した炭化水素油を安定して高収率で得ることを可能とする、異性化選択性及び機械的強度に優れた水素化異性化触媒、該水素化異性化触媒の製造方法、該水素化異性化触媒を用いるノルマルパラフィンを含む原料炭化水素油から燃料油基油に好適な炭化水素油の製造方法、及び該水素化異性化触媒を用いる潤滑油基油の製造方法を提供することを目的とする。
燃料油基油としては、軽油、ジェット燃料等の中間留分が挙げられ、低温使用下では異性化を施してイソパラフィンの割合を高くし、流動点等を低下させ、低温性能を向上させることが求められている。
潤滑油基油としては、入手性やコストの面から石油系潤滑油基油が多く使用されている。特に摩擦・摩耗を低減する性能が要求される潤滑油にはパラフィン系基油が広く利用される。このパラフィン系基油は、近年の省燃費性や長寿命化要求によってより高性能化されてきている。APIのグループIII規格のエンジン油基油は、水素化分解プロセスを利用し、硫黄分や芳香族炭化水素成分を低くした高粘度指数基油である。近時、このような基油の生産性を更に高めることが求められている。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究した結果、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は、炭素数10以上のノルマルパラフィンを含む原料油を、分子状水素存在下、水素化異性化触媒に接触させて、上記ノルマルパラフィンの一部又は全部をイソパラフィンに転化する、炭化水素油の製造方法であって、上記水素化異性化触媒が、合成、焼成、次いでイオン交換する工程を経て得られる一次元10員環構造を有する結晶性アルミノシリケートを含み、前記結晶性アルミノシリケートの合成に用いるテンプレートとしてアルキル鎖長(Cn)が7〜9である直鎖アルキルジアミンを用い、かつ針状結晶のSEM(走査型電子顕微鏡)像から求めた粒径分布の中央値(L)が100nm〜300nmの範囲にあり、かつ針状結晶のSEM(走査型電子顕微鏡)像から求めた結晶直径の中央値(D)に対する長さ(L)の比L/D比が1.5〜4.4の範囲であり、かつ珪素原子とアルミニウム原子とのモル比([Si]/[Al])が10〜400である、結晶性アルミノシリケートを触媒活性成分として含む成型体である担体と、該担体に担持され、周期表第8〜10族に属する金属、モリブデン及びタングステンからなる群より選択される少なくとも一種の金属と、を含有し、上記担体は、アルミナ、シリカ、チタニア、ボリア、ジルコニア、マグネシア、セリア、酸化亜鉛及び酸化リンより選択される少なくとも一種の無機酸化物が、500℃以上の加熱を含む熱履歴を受けて焼成されてなる焼成無機酸化物を含むものであることを特徴とする炭化水素油の製造方法を提供する。
なお、本明細書において、周期表とは、国際純正及び応用化学連合(IUPAC)が規定する長周期型の表を指す。
本発明の炭化水素油の製造方法によれば、特定の結晶性アルミノシリケート(ゼオライトともいう)及び特定の無機酸化物を含んでなる担体と、該担体に担持された特定の活性金属とを含有する上記本発明に係る水素化異性化触媒が、十分な機械的強度を有し、且つ、高い異性化選択性を有することから、上記原料油から異性化率を高めた炭化水素油を効率よく得ることが可能となる。
本発明はまた、前記炭化水素油の製造方法において、上述の原料油が、水素化処理及び/又は水素化分解された直留系の中間留分及び減圧軽油、スラックワックス、脱蝋油、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、及びフィッシャー・トロプシュ合成油からなる群より選択される少なくとも一種であることを特徴とする炭化水素油の製造方法を提供する。
本発明はまた、前記炭化水素油の製造方法において、一次元10員環構造を有する結晶性アルミノシリケートが、ZSM−22、ZSM−23及びZSM−48型ゼオライトからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする炭化水素油の製造方法を提供する。
本発明はまた、前記炭化水素油の製造方法において、無機酸化物がアルミナであることを特徴とする炭化水素油の製造方法を提供する。
本発明はまた、前記炭化水素油の製造方法において、担体に担持された金属が、白金又は/およびパラジウムであることを特徴とする炭化水素油の製造方法を提供する。
本発明はまた、前記炭化水素油の製造方法において、水素化異性化反応における温度が200〜450℃、圧力が0.1〜20MPa、原料油の触媒に対する液空間速度が0.01〜100h −1 、水素と原料油との供給比率が100〜1000Nm /m であることを特徴とする炭化水素油の製造方法を提供する。
本発明はまた、炭素数10以上のノルマルパラフィンを含む原料油を、分子状水素存在下、水素化異性化触媒に接触させて脱蝋油を得る工程と、上記脱蝋油を水素化仕上げ処理して水素化精製油を得る工程と、上記水素化精製油を蒸留して潤滑油留分を得る工程と、を備える潤滑油基油の製造方法であって、上記水素化異性化触媒が、合成、焼成、次いでイオン交換する工程を経て得られる一次元10員環構造を有する結晶性アルミノシリケートを含み、前記結晶性アルミノシリケートの合成に用いるテンプレートとしてアルキル鎖長(Cn)が7〜9である直鎖アルキルジアミンを用い、かつ針状結晶のSEM(走査型電子顕微鏡)像から求めた粒径分布の中央値(L)が100nm〜300nmの範囲にあり、かつ針状結晶のSEM(走査型電子顕微鏡)像から求めた結晶直径の中央値(D)に対する長さ(L)の比L/D比が1.5〜4.4の範囲であり、かつ珪素原子とアルミニウム原子とのモル比([Si]/[Al])が10〜400である、結晶性アルミノシリケートを触媒活性成分として含む成型体である担体と、該担体に担持され、周期表第8〜10族に属する金属、モリブデン及びタングステンからなる群より選択される少なくとも一種の金属と、を含有し、上記担体は、アルミナ、シリカ、チタニア、ボリア、ジルコニア、マグネシア、セリア、酸化亜鉛及び酸化リンより選択される少なくとも一種の無機酸化物が、500℃以上の加熱を含む熱履歴を受けて焼成されてなる焼成無機酸化物を含むものであることを特徴とする潤滑油基油の製造方法を提供する。
本発明の潤滑油基油の製造方法によれば、特定の結晶性アルミノシリケート及び特定の無機酸化物を含んでなる担体と、該担体に担持された特定の活性金属とを含有する上記本発明に係る水素化異性化触媒が、十分な機械的強度を有し、且つ、高い異性化選択性を有することから、上記原料油から異性化率を高め、好ましくない分解反応を抑制した潤滑油基油を効率よく得ることが可能となる。
本発明はまた、前記潤滑油基油の製造方法において、上述の原料油が、スラックワックス、脱油蝋、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、フィッシャー・トロプシュ合成ワックス、及び減圧軽油の水素化分解油からなる群より選択される少なくとも一種であることを特徴とする潤滑油基油の製造方法を提供する。
本発明はまた、前記潤滑油基油の製造方法において、水素の存在下、炭素数10以上のノルマルパラフィンを含有する原料油と、水素化異性化触媒とを、下記式(I)で定義される前記ノルマルパラフィンの転化率が95質量%以上となる条件で接触させる工程を、備えることを特徴とする潤滑油基油の製造方法を提供する。
Figure 0005299917
[式(I)中、Cnは、接触前の原料油中に含まれる炭素数10以上のノルマルパラフィンのうちで最小の炭素数を示す。]
本発明はまた、前記潤滑油基油の製造方法において、一次元10員環構造を有する結晶性アルミノシリケートが、ZSM−22、ZSM−23及びZSM−48型ゼオライトからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする潤滑油基油の製造方法を提供する。
本発明はまた、前記潤滑油基油の製造方法において、無機酸化物がアルミナであることを特徴とする潤滑油基油の製造方法を提供する。
本発明はまた、前記潤滑油基油の製造方法において、担体に担持された金属が、白金又は/およびパラジウムであることを特徴とする潤滑油基油の製造方法を提供する。
本発明はまた、前記潤滑油基油の製造方法において、水素化異性化反応における温度が200〜450℃、圧力が0.1〜20MPa、原料油の触媒に対する液空間速度が0.01〜100h −1 、水素と原料油との供給比率が100〜1000Nm /m であることを特徴とする潤滑油基油の製造方法を提供する。
本発明によれば、水素化異性化選択性及び機械的強度に優れた水素化異性化触媒を用いて、ノルマルパラフィンを含む原料炭化水素油から燃料油基油及び/又は潤滑油基油に適した炭化水素油を安定して高収率で得ることを可能とするノルマルパラフィンを含む原料炭化水素油から燃料油基油に好適な炭化水素油の製造方法、並びに、ノルマルパラフィンを含む原料炭化水素油から高性能の潤滑油基油を高収率で得ることを可能とする潤滑油基油の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明に係る水素化異性化触媒は、特定の方法によって製造されることでその特徴が付与される。以下、本発明の水素化異性化触媒について、その好ましい製造の態様に沿って説明する。
本発明に係る水素化異性化触媒を構成する結晶性アルミノシリケート(ゼオライト)は、ノルマルパラフィンの水素化異性化反応における高い異性化活性と抑制された分解活性とを高水準で両立する観点から、10員環からなる一次元状細孔構造を有するもの(一次元10員環構造を有する結晶性アルミノシリケート)が好ましい。このようなゼオライトとしては、AEL、EUO、FER、HEU、MEL、MFI、NES、TON、MTT、WEI、及びMREなどが挙げられる。なお、上記の各アルファベット三文字は、分類分けされたモレキュラーシーブ型ゼオライトの各構造に対して、国際ゼオライト協会構造委員会(The Structure Commission of The International Zeolite Association)が与えている骨格構造コードを意味する。また、同一のトポロジーを有するゼオライトは包括的に同一のコードで呼称される。
上記ゼオライトとしては、上記の10員環一次元状細孔構造を有するゼオライトの中でも、高異性化活性及び低分解活性の点で、TON、MTT構造を有するゼオライト、及びMRE構造を有するゼオライトが好ましい。TON構造を有するゼオライトとしてはZSM−22型ゼオライトがより好ましく、また、MTT構造を有するゼオライトとしてはZSM−23型ゼオライトが好ましく、MRE構造を有するゼオライトとしてはZSM−48型ゼオライトが好ましい。
本発明に係る水素化異性化触媒を構成する結晶性アルミノシリケートは、シリカ源、アルミナ源及び上記所定の細孔構造を構築するために添加するテンプレートから、公知の方法によって水熱合成される。
上記結晶性アルミノシリケートの合成に用いるテンプレートは、アルキル鎖長(Cn)が7〜9である直鎖アルキルジアミンである。このような直鎖アルキルジアミンとしては、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナンが挙げられる。
一次元10員環構造を有する結晶性アルミノシリケートは、その針状結晶の長軸方向長さの中心(L)が100nm〜300nmの範囲にあり、好ましくは120nm〜280nmの範囲であり、かつ結晶直径(D)に対する針状結晶の長軸方向長さの中心(L)の比:L/D比が1.5〜4.4の範囲であり、好ましくは1.8〜4.2の範囲である。
針状結晶の長軸方向長さの中心(L)の下限値は、結晶構造の安定性の点で100nm以上であり、120nmが好ましく、Lの上限値は異性化選択性向上の点で300nm以下であり、280nm以下が好ましい。
また、結晶直径(D)は特に限定されるものではないが、活性点を増大させる点で50nm以上が好ましい。
結晶直径(D)に対する針状結晶の長軸方向長さの中心(L)の比:L/D比の下限値は結晶構造の安定性の点で1.5以上であり、1.8以上が好ましく、上限値は触媒活性を向上させる点で4.4以下であり、4.2以下が好ましい。
ここで、針状結晶の長軸方向長さの中心(L)とは、結晶のSEM(走査型電子顕微鏡)像から求めた粒径分布の中央値(nm)を意味し、結晶直径(D)は、前記(L)と同様の方法によって求めた結晶直径の中央値(nm)を意味する。
一次元10員環構造を有する結晶性アルミノシリケートを構成する珪素原子とアルミニウム原子とのモル比([Si]/[Al])(以下、「Si/Al比」という。)は、10〜400であることが好ましく、20〜350であることがより好ましい。Si/Al比が10未満の場合には、ノルマルパラフィンの転換に対する活性は高くなるが、イソパラフィンへの異性化選択性が低下し、また反応温度の上昇に伴う分解反応の増加が急激となる傾向にあることから好ましくない。一方、Si/Al比が400を超える場合には、ノルマルパラフィンの転換に必要な触媒活性が得られにくくなり好ましくない。
合成、次いで焼成された結晶性アルミノシリケート(焼成ゼオライト)は、対カチオンとして通常アルカリ金属カチオンを有する。なお、焼成は水熱合成された結晶性アルミノシリケート中のテンプレートを除去するために行い、焼成温度は500〜600℃が好ましく、530〜580℃がより好ましい。
上記焼成ゼオライトは、次に、アンモニウムイオン及び/又はプロトンを含む溶液中でイオン交換される。イオン交換処理により、ゼオライト中に含まれる対カチオンは、アンモニウムイオン及び/又はプロトンに交換される。
上記イオン交換処理に使用する溶液は、水を少なくとも50容量%含有する溶媒を用いた溶液であることが好ましく、水溶液であることがより好ましい。また、アンモニウムイオンを溶液中に供給する化合物としては、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等の無機及び有機の各種のアンモニウム塩が挙げられる。一方、プロトンを溶液中に供給する化合物としては、通常、塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸が利用される。焼成ゼオライトをアンモニウムイオンの存在下でイオン交換することにより得られるイオン交換ゼオライト(ここでは、アンモニウム型ゼオライト)は、後の焼成の際にアンモニアを放出し、対カチオンがプロトンとなってブレンステッド酸点となる。イオン交換に用いるカチオン種としてはアンモニウムイオンが好ましい。溶液中に含まれるアンモニウムイオン及び/又はプロトンの含有量は、使用するゼオライトに含まれる対カチオンの量に対して10〜1000当量となるように設定されることが好ましい。
上記イオン交換処理は、粉末状の焼成ゼオライト単体に対して行ってもよく、またイオン交換処理に先立って、焼成ゼオライトにバインダーである無機酸化物を配合し、成型を行い、得られる成型体に対して行ってもよい。
イオン交換処理は、定法、すなわち、アンモニウムイオン及び/又はプロトンを含む溶液、好ましくは水溶液に焼成ゼオライトを浸漬し、これを攪拌又は流動する方法によって行うことが好ましい。また、上記の撹拌又は流動は、イオン交換の効率を高めるために加熱下に行うことが好ましい。本発明においては、上記水溶液を加熱し、沸騰、還流下でイオン交換する方法が特に好ましい。
更に、イオン交換の効率を高める点から、溶液によって焼成ゼオライトをイオン交換する間に、溶液を二回以上新しいものに交換することが好ましく、溶液を二回新しいものに交換することがより好ましい。溶液を一回交換する場合、例えば、焼成ゼオライトをアンモニウムイオン及び/又はプロトンを含む溶液に浸漬し、これを24時間加熱還流し、次いで、溶液を新しいもの交換した後、更に24時間加熱還流することにより、イオン交換効率を高めることが可能となる。
イオン交換処理により、焼成ゼオライト中のアルカリ金属等の対カチオンのほぼ全てをアンモニウムイオン及び/又はプロトンに交換することが可能である。
次に、上記の方法にて得られたイオン交換ゼオライトに、バインダーである無機酸化物を配合し、得られる組成物を成型して成型体を形成することが好ましい。無機酸化物をイオン交換ゼオライトに配合する目的は、成型体の焼成によって得られる担体(特には、粒子状の担体)の機械的強度を、実用に耐えられる程度に向上することにあるが、本発明者は、無機酸化物種の選択が水素化異性化触媒の異性化選択性に影響を与えることを見出している。このような観点から、上記無機酸化物として、アルミナ、シリカ、チタニア、ボリア、ジルコニア、マグネシア、セリア、酸化亜鉛及び酸化リンから選択される少なくとも一種の無機酸化物が用いられる。中でも、水素化異性化触媒の異性化選択性が更に向上するとの観点から、50質量%以上のアルミナ成分を含有するアルミナを主成分とする無機酸化物が好ましい。
上記組成物におけるイオン交換ゼオライトと無機酸化物との配合比率は、イオン交換ゼオライトの質量:無機酸化物の質量の比として、好ましくは10:90〜90:10、より好ましくは30:70〜85:15である。この比が10:90よりも小さい場合には、水素化異性化触媒の活性が充分ではなくなる傾向にあるため好ましくない。一方、上記比が90:10を超える場合には、組成物を成型及び焼成して得られる担体の機械的強度が充分ではなくなる傾向にあるため好ましくない。
イオン交換ゼオライトに上記の無機酸化物を配合する方法は特に限定されないが、例えば両者の粉末に適量の水等の液体を添加して粘ちょうな流体とし、これをニーダー等により混練する等の通常行われる方法を採用することができる。
上記イオン交換ゼオライトと上記無機酸化物とを含む組成物或いはそれを含む粘ちょうな流体は、押出成型等の方法により成型され、好ましくは乾燥されて粒子状の成型体となる。成型体の形状としては特に限定されないが、例えば、円筒状、ペレット状、球状、三つ葉・四つ葉形の断面を有する異形筒状等が挙げられる。成型体の大きさは特に限定されないが、取り扱いの容易さ、反応器への充填密度等の観点から、例えば長軸が1〜30mm、短軸が1〜20mm程度であることが好ましい。
次に、上記のようにして得られた成型された成型体を、分子状酸素を含む雰囲気下、500〜600℃、好ましくは500〜580℃、より好ましくは500〜560℃の温度にて焼成して、500℃以上の加熱を含む熱履歴を受けて焼成された担体とすることが好ましい。「分子状酸素を含む雰囲気下」とは、酸素ガスを含む気体、中でも好ましくは空気と接触することを意味する。焼成の時間は特に限定されないが、1〜24時間であることが好ましい。
上記焼成により、成型体を構成するイオン交換ゼオライトは焼成ゼオライトとなり、無機酸化物は焼成無機酸化物となる。
本実施形態において、上記焼成温度が500℃より低い場合は、担体の機械的強度が充分に向上しない傾向にあるため好ましくない。一方、焼成温度が600℃を超える場合には、得られる水素化異性化触媒の異性化選択性が充分に向上しない傾向にあることから好ましくない。
焼成は、上述のように、イオン交換ゼオライトに無機酸化物を配合した組成物を成型して得られる成型体の状態にて行う以外に、粉末状のゼオライト単体の状態にて行ってもよい。但し、その場合は、得られる焼成ゼオライトに無機酸化物を配合した組成物を成型してなる成型体を、機械的強度を付与する目的で500℃以上の温度、例えば、500〜600℃の範囲内の温度において焼成を行う必要がある。
本発明に係る水素化異性化触媒は、上記により得られた、500℃以上の加熱を含む熱履歴を受けて焼成された成型体である担体に、周期表第8〜10族に属する金属、モリブデン及びタングステンの少なくとも一種の金属(以下、「活性金属」ということがある。)を担持することにより形成される。
周期表第8〜10族に属する金属としては、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム及び白金が挙げられる。これらの中でも、活性、異性化選択性及び活性の持続性の観点から、白金及びパラジウムが好ましく、白金が特に好ましい。上記の活性金属は、一種を単独で又は二種以上の組合せによって用いることができる。また、本発明に係る水素化異性化触媒が含イオウ化合物及び/又は含窒素化合物を多く含む炭化水素油の水素化異性化に用いられる場合、触媒活性の持続性の観点から、活性金属としては、ニッケル−コバルト、ニッケル−モリブデン、コバルト−モリブデン、ニッケル−モリブデン−コバルト、ニッケル−タングステン−コバルト等の組み合わせが好ましい。
上記担体に、上記活性金属を担持する方法は特に限定されず、上記活性金属元素を含む化合物(以下、「活性金属前駆体」ということがある。)を用いた含浸法(平衡吸着法、ポアフィリング法、初期湿潤法)、イオン交換法等の公知の方法が採用される。
活性金属前駆体の例としては、上記活性金属の塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、錯化合物等が挙げられる。活性金属が白金である場合には、活性金属前駆体としては塩化白金酸、テトラアンミンジニトロ白金、ジニトロアミノ白金、テトラアンミンジクロロ白金などが好ましく使用される。
ゼオライト及び焼成無機酸化物が含まれる担体に担持される活性金属の合計の担持量は、担体の質量を基準として、0.001〜20質量%が好ましい。担持量が0.001質量%未満の場合には、所定の水素化/脱水素機能を付与することが困難となる。一方、担持量が20質量%を超える場合には、当該活性金属上での炭化水素の分解による軽質化が進行しやすくなり、目的とする留分の収率が低下する傾向にあり、さらには触媒コストの上昇を招く傾向にあるため好ましくない。
活性金属は、担体を構成するゼオライト及び焼成無機酸化物のいずれか一方又は両方に担持されていてよい。本発明の水素化異性化触媒が、担体に活性金属を含浸法等により担持する方法を経て製造されたものである場合、活性金属が担持される部位の配分は、主として担持の際に使用する活性金属前駆体とゼオライト及び焼成無機酸化物との親和性により決定される。
活性金属の担持は、成型及び焼成された担体に対して行われる態様に限定されるものではない。例えば、粉末状のイオン交換ゼオライト、或いはこれを350〜450℃の温度において焼成した焼成ゼオライトに、活性金属を担持してもよく、粉末状の無機酸化物に担持してもよく、更にその両方であってもよい。
活性金属成分が担持された担体は、活性金属前駆体中に含まれるアニオン成分あるいは配位子成分を除去することを主たる目的として、好ましくは分子状酸素を含む雰囲気下に焼成されることが好ましい。焼成温度としては、250℃〜600℃が好ましく、300〜500℃がより好ましい。分子状酸素を含有する雰囲気としては、空気が好ましい。焼成時間は、通常、0.5〜20時間程度である。このような焼成処理を経て、活性金属前駆体は金属単体、その酸化物又はそれに類した種へと変換される。
以上のように、本発明に係る水素化異性化触媒の製造の好ましい態様においては、「ゼオライト焼成」、「イオン交換」、及び「無機酸化物を含む組成物の成型」、「500〜600℃での加熱による成型体の焼成」、「担体への活性金属の担持」、並びに「活性金属が担持された担体の焼成」の各工程を有している。
本発明に係る水素化異性化触媒は、上記の焼成処理に続いて、好ましくは水素化異性化の反応を行う反応器に充填後に還元処理されたものであることが好ましい。具体的には、分子状水素を含む雰囲気下、好ましくは水素ガス流通下、好ましくは250〜500℃、より好ましくは300〜400℃にて、0.5〜5時間程度の還元処理が施されたものであることが好ましい。このような工程により、炭化水素油の異性化・脱蝋に対する高い活性をより確実に触媒に付与することができる。
本発明に係る水素化異性化触媒においては、本発明の効果が損なわれない範囲で、ゼオライト及び/又は焼成無機酸化物上に、周期表第8〜10族に属する金属、モリブデン及びタングステン以外の金属が更に担持されていてもよい。
本発明の水素化異性化触媒の製造方法としては、上述の本発明の水素化異性化触媒の好適な実施形態を得る手順として例示したものが挙げられる。
以下に、本発明の炭化水素油の製造方法及び潤滑油基油の製造方法について説明する。
まず、炭化水素油の製造方法について説明する。
本発明の炭化水素油の製造方法は、炭素数10以上のノルマルパラフィンを含有する原料油を、分子状水素存在下、前記本発明に係る水素化異性化触媒に接触させて、前記ノルマルパラフィンの一部又は全部をイソパラフィンに転化する工程を備える。
本発明の炭化水素油の製造方法に供される原料油は、炭素数10以上のノルマルパラフィンを含有するものであれば特に限定されず、好ましくは、炭素数15以上のノルマルパラフィンを含有するものである。具体的には、灯油及びジェット燃料のような比較的軽質の蒸留留分から、全ての原油、常圧蒸留残油、真空塔残油、減圧残油、循環油、合成原油(例えば、シェール油、タール油等)、軽油留分(水素化精製処理された軽油留分も含む)、減圧軽油、蝋下油、FT合成油から誘導される燃料留分若しくはワックス分、及び他の重油のような高沸点原料油に及ぶ様々なものが挙げられる。また、これらの炭化水素油は、ノルマルパラフィンの他に側鎖に長鎖の直鎖状アルキル基を有するナフテン系炭化水素、あるいは芳香族炭化水素からなるワックス成分を含んでいてもよい。
本発明の炭化水素油の製造方法によって異性化処理される原料油として特に好ましいものは、沸点が約180℃以上の炭素数10以上の炭化水素から構成される炭化水素油である。これより軽質の炭化水素油は、通常、低温における流動性に影響を与えるワックス成分を実質的に含有していないため、異性化処理を行う必要性が低く、本発明による効果が得られにくくなる。
一方、ワックス成分を含む留出原料油、すなわち軽油、灯油及びジェット燃料を包含する中間留分原料油、潤滑油原料油、暖房用油、並びに、他の蒸留留分であって、それらの流動点及び粘度が所定の範囲内に維持される必要のある当該留分に対して本発明に係る製造方法を適用することは特に有効である。このような炭化水素油としては、例えば、水素化処理又は水素化分解された灯油・軽油留分に相当する直留系の中間留分、重質軽油及び減圧軽油、潤滑油ラフィネート、潤滑油原料、ブライトストック、スラックワックス(粗蝋)、蝋下油、脱油蝋、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、合成油、フィッシャー・トロプシュ合成油、高流動点ポリオレフィン、直鎖αオレフィンワックスなどが挙げられる。これらは、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の炭化水素油の製造方法における水素化異性化反応の温度は、一般には200〜450℃、好ましくは220〜400℃である。反応温度が200℃を下回る場合、原料油中に含まれるノルマルパラフィンの異性化が進行しにくくなり、ワックス成分の低減、除去が不十分になる傾向にある。一方、反応温度が450℃を超える場合、原料油の分解が顕著となり、目的とする生成油の収率が低下する傾向にある。
本発明の炭化水素油の製造方法における水素化異性化反応の圧力は、一般には0.1〜20MPa、好ましくは0.5〜18MPaである。反応圧力が0.1MPaを下回る場合、コーク生成による触媒の劣化が早まる傾向にある。一方、反応圧力が20MPaを超える場合、装置建設コストが高くなるため経済的なプロセスを実現しにくくなる傾向にある。
本発明の炭化水素油の製造方法における水素化異性化反応の原料油の触媒に対する液空間速度は、一般には0.01〜100h−1、好ましくは0.1〜50h−1である。液空間速度が0.01h−1未満の場合、炭化水素油の分解が過度に進行しやすくなり、目的とする基油の生産効率が低下する傾向にある。一方、液空間速度が100h−1を超える場合、炭化水素油中に含まれるノルマルパラフィンの異性化が進行しにくくなり、ワックス成分の低減、除去が不十分になる傾向にある。
本発明の炭化水素油の製造方法における水素化異性化反応の水素と原料油との供給比率は、一般には100〜1000Nm/m、好ましくは200〜800Nm/mである。供給比率が100Nm/m未満の場合、例えば原料油が硫黄、窒素化合物を含む場合、異性化反応と併発する脱硫、脱窒素反応により発生する硫化水素、アンモニアガスが触媒上の活性金属を吸着被毒するため、所定の触媒性能が得られにくくなる傾向にある。一方、供給比率が1000Nm/mを超える場合、大きな能力の水素供給設備を必要とするため経済的なプロセスを実現しにくくなる傾向にある。
本発明の炭化水素油の製造方法における水素化異性化反応のノルマルパラフィンの転化率は、目的とする生成油の用途に応じて適宜調節される。
次に、本発明の潤滑油基油の製造方法について説明する。
潤滑油基油の製造方法の場合は、炭素数10以上のノルマルパラフィンを含有する原料油を、分子状水素存在下、前記本発明に係る水素化異性化触媒に接触させて脱蝋油を得る工程と、上記脱蝋油を水素化仕上げ処理して水素化精製油を得る工程と、上記水素化精製油を蒸留して潤滑油留分を得る工程とを備える。
さらに、炭素数10以上のノルマルパラフィンを含有する原料油を、分子状水素存在下、前記本発明に係る水素化異性化触媒に接触させて脱蝋油を得る工程において、下記式(I)で定義されるノルマルパラフィンの転化率が95質量%以上となる条件で接触させることが好ましく、98質量%以上となる条件で接触させることがより好ましく、実質的に100質量%となる条件で接触させることがさらに好ましい。
Figure 0005299917
[式(I)中、Cnは、接触前の原料油中に含まれる炭素数10以上のノルマルパラフィンのうちで最小の炭素数を示す。]
ここで、「転化率が実質的に100質量%」とは、接触後の生成油中に含まれるノルマルパラフィンの含有量が0.1質量%以下であることを意味する。
本発明の潤滑油基油の製造方法に供される原料油は、炭素数10以上のノルマルパラフィンを含有するものであれば特に限定されないが、好ましくは、所望する潤滑油基油の初留点よりも高い初留点を有する炭化水素油を含むことが好ましい。このような原料油としては、常圧換算の沸点が360℃を超える留分である石油留分、合成油・ワックスなどが好適であり、具体的には、重質軽油、減圧軽油、潤滑油ラフィネート、ブライトストック、スラックワックス(粗蝋)、蝋下油、脱油蝋、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、合成油、フィッシャー・トロプシュ合成ワックス、高流動点ポリオレフィン、直鎖αオレフィンワックスなどが挙げられる。これらは、一種を単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。さらに、これらの油は、水素化処理又は軽度の水素化分解を施されたものであることが好ましい。これらの処理により、含イオウ化合物、含窒素化合物等の水素化異性化触媒の活性低下をもたらす物質、及び芳香族炭化水素、ナフテン系炭化水素等の潤滑油基油の粘度指数を低下する物質を低減あるいは除去することができる。
上記の比較的重質の炭化水素油を原料油とし、これを分子状水素存在下、本発明に係る水素化異性化触媒と接触させることにより、原料油中に含まれるノルマルパラフィンの異性化、すなわち炭化水素油の脱蝋反応を、軽質化を十分抑制しつつ進行させることができる。これにより、常圧換算の沸点が360℃を超える留分の割合が90容量%以上である基油を高い収率で得ることができる。また、本発明に係る潤滑油基油の製造方法によれば、分岐鎖構造を有する異性体を多く含む潤滑油基油を得ることができる。特に、高品質の潤滑油基油に対しては、ノルマルパラフィン含有量が0.1質量%以下であること要求されるが、本発明に係る潤滑油基油の製造方法によれば、この要求レベルを満たす潤滑油基油を高収率で得ることができる。
なお、本発明に係る潤滑油基油の製造方法における水素化異性化反応の温度、水素化異性化反応の圧力、液空間速度、水素と原料油との供給比率等は上述した炭化水素油の製造方法の条件に準じるものである。
ノルマルパラフィンを含む炭化水素油の水素化異性化においては、通常、例えば反応温度を高めることにより、ノルマルパラフィンの転化率を上昇させることができ、得られる反応生成物中のノルマルパラフィン含有量を低くすることができるので、炭化水素油の低温流動性を向上させることができる。しかし、反応温度を高めると、原料の炭化水素油及び異性化生成物の分解反応が促進されるので、ノルマルパラフィンの転化率の上昇とともに軽質留分が増加する。この軽質留分の増加は、炭化水素油の粘度指数を低下させる原因となることから、潤滑油基油としての性能を所定の範囲に収めるためには、蒸留等によりこの軽質留分を分離、除去する必要がある。特に、米国石油協会の潤滑油グレードの分類によるグループIII+等の高性能の潤滑油基油を炭化水素油の接触脱蝋によって製造する場合には、原料である炭化水素油中のノルマルパラフィン転化率を実質的に100%とする必要がある。従来の接触脱蝋用触媒を用いた潤滑油基油の製造方法では、ノルマルパラフィン転化率を実質的に100%とする条件では、上記高性能の潤滑油基油の収率は極端に低いものとなる。これに対して、本発明に係る潤滑油基油の製造方法によれば、ノルマルパラフィン転化率を実質的に100%となる条件で水素化処理工程を行った場合であっても、上記高性能の潤滑油基油の収率を高水準に維持することができる。
本発明の炭化水素油の製造方法及び潤滑油基油の製造方法を実施するための設備については特に限定されず、公知のものを使用することができる。反応設備としては、連続流通式、回分式、半回分式のいずれであってもよいが、生産性、効率の観点から連続流通式が好ましい。触媒層は、固定床、流動床、攪拌床のいずれであってもよいが、設備費用等の面から固定床が好ましい。反応相は気液混相であることが好ましい。
本発明の炭化水素油の製造方法及び潤滑油基油の製造方法においては、上記水素化異性化反応による異性化工程(脱蝋工程)の前段階として、供給原料の炭化水素油を水素化処理又は水素分解処理してもよい。その設備、触媒、反応条件は公知のものが使用される。これらの前処理を実施することにより、本発明に係る水素化異性化触媒の活性をより長期間に亘って維持することができ、また、生成物中の含イオウ及び含窒素化合物などの環境負荷物質を低減することができる。
本発明の潤滑油基油の製造方法においては、上記脱蝋工程で得られる脱蝋油を、水素化仕上げ処理(hydrofinishing)して水素化精製油を得る工程が必要である。水素化仕上げ処理は、一般的に、水素存在下、担持金属水素化触媒(例えば、アルミナに担持された白金)に被仕上げ物を接触させることにより実施できる。このような水素化仕上げを行うことにより、脱蝋工程で得られた反応生成物の色相、酸化安定性等が改良され、製品の品質を向上させることができる。水素化仕上げは、上記脱蝋工程とは別の反応設備において実施してもよいが、脱蝋工程を行う反応器内に設けられた本発明に係る水素化異性化触媒の触媒層の下流側に水素化仕上げ用の触媒層を設けて、上記脱労工程に続けて行ってもよい。
なお、通常、異性化とは炭素数(分子量)が変化することなく、分子構造のみ変化する反応をいい、分解とは炭素数(分子量)の低下を伴う反応をいう。異性化反応を利用した接触脱蝋反応においては、原料の炭化水素及び異性化生成物の分解がある程度起きても、その生成物の炭素数(分子量)が、目的とする基油を構成することが許容される所定の範囲内に収まればよく、分解生成物が基油の構成成分となっていてもよい。
本発明の潤滑油基油の製造方法においては、上記水素化仕上げ処理工程で得られる水素化精製油を、蒸留して潤滑油留分を得る工程が必要である。
水素化精製油を蒸留する場合には、例えば、減圧蒸留により複数の留分に分留することが好ましく、上記複数の留分としては、例えば、常圧での沸点範囲が343℃未満であるナフサ・灯軽油留分、343〜390℃である70Pale留分、390〜440℃であるSAE−10留分、440〜510℃であるSAE−20留分、510℃を超えるボトム留分としてSAE−30留分等が挙げられる。
以上説明した本発明に係る潤滑油基油の製造方法によれば、高品質の潤滑油基油を効率よく生産することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[水素化異性化触媒の製造]
(1)水素化異性化触媒A
Si/Al比が36である結晶性アルミノシリケートからなるZSM−22型ゼオライトをChem. Commun,3303,2007.に記載の方法に準拠して、以下の手順で水熱合成により製造した。
試薬にはコロイダルシリカ(Ludox AS−30:Aldrich社製)、硫酸アルミニウム・18水和物(和光純薬製)、水酸化カリウム(和光純薬製)、1,8−ジアミノオクタン(SDA:Aldrich社製)をそれぞれ以下の質量比で混合しゲル状物質を得た。
SiO−0.3SDA(Structure Directing Agent:テンプレート)−0.3KOH−0.022Al−40H
上記の操作にて得たゲル状物を、内容積120mlのステンレス鋼製オートクレーブ反応器に移し、160℃のオーブン中で72時間、オートクレーブ反応器をタンブリング装置上で20rpmの回転速度にて回転させ水熱合成反応を進行させた。水熱合成反応の終了後、反応器を冷却し、各反応器から生成した固形分をろ過により採取し、イオン交換水による洗浄を行い、80℃の乾燥器中で一夜乾燥して、650℃で10時間焼成しSi/Al比が36であるZSM−22型ゼオライト(以下、「ZSM−22」ということもある。)を得た。
上記にて得られたZSM−22をフラスコ中に取り、該ZSM−22:NHNO:HO=1:2:50(質量比)の比率で混合し、80℃で24時間イオン交換する操作を3回繰り返した。
その後、固形分をろ過により採取し、イオン交換水で洗浄し、80℃の乾燥器中で一晩乾燥して、イオン交換されたNH型ZSM−22を得た。
上記で得たNH型ZSM−22と、バインダーであるアルミナとを質量比7:3にて混合し、ここに少量のイオン交換水を添加して混練した。得られた粘ちょうな流体を押出成型機に充填、成型し、直径約1.5mm、長さ約5mmの円筒状の成型体を得た。この成型体を120℃の乾燥器中で空気流通下に3時間乾燥し、さらに空気流通下、550℃にて3時間焼成して、成型・焼成された担体粒子を得た。
テトラアンミンジクロロ白金(II)(Pt(NHCl)を、成型・焼成された担体粒子の吸水量(予め測定した量)に相当するイオン交換水に溶解して含浸溶液を得た。この溶液を、上記の成型、焼成された担体粒子に初期湿潤法により含浸し、ZSM−22型ゼオライトの質量に対して0.5質量%の白金量となるように担持を行った。次に、得られた含浸物を60℃の乾燥器中で一晩乾燥した後、空気流通下、550℃で3時間焼成して水素化異性化触媒Aを得た。なお、得られた触媒粒子の圧壊強度は、12.4N/mmであった。触媒粒子の圧壊強度は、JIS R2206「耐火煉瓦の圧縮強さの試験法」に準拠して測定した。
(2)水素化異性化触媒B
1,8−ジアミノオクタンの代わりに1,9−ジアミノノナン(Aldrich社製)を用いた以外は触媒Aと同様にして触媒Bを調製した。
(3)水素化異性化触媒C
1,8−ジアミノオクタンの代わりに1,7−ジアミノヘプタン(Aldrich社製)を用いた以外は触媒Aと同様にして触媒Cを調製した。
(4)水素化異性化触媒D
1,8−ジアミノオクタンの代わりに1,6−ジアミノヘキサン(Aldrich社製)を用いた以外は触媒Aと同様にして触媒Dを調製した。
Figure 0005299917
[水素化精製触媒の製造]
市販のアモルファスシリカ・アルミナ担体を1/16シリンダー型に押し出し成型し、これを空気流通下550℃で3時間焼成し触媒担体を得た。得られた担体に活性金属として白金及びパラジウムをそれぞれ0.2質量%及び0.3質量%含浸担持し、空気流通下550℃で3時間焼成することで水素化精製触媒を得た。
<原料油>
実施例及び比較例に用いた原料油として、中東産原油を処理して得られた脱硫直留系軽油留分、市販のスラックワックス、中東産原油を処理して得られた減圧軽油水素化分解油の性状を表2に示す。
なお、沸点範囲はJIS K2254「石油製品‐蒸留試験方法」に、密度はJIS K2249「原油及び石油製品‐密度試験方法及び密度・質量・容量換算表」に、流動点はJIS K2269「原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法」に、炭素数10以上のノルマルパラフィン含有割合はガスクロマトグラフィー分析により求められる値を示す。
Figure 0005299917
(実施例1)
内径15mm、長さ380mmのステンレス鋼製反応管に上記で得られた触媒Aを200ml充填し、触媒層平均温度350℃、水素流通下(5MPa)で12時間還元処理を行った。その後、原料油として表2の性状を有する脱硫直留系軽油留分を反応温度331℃、水素分圧4MPa、LHSV3.0h−1、水素/油比335Nm/mの条件で通油し水素化異性化した。得られた生成油のノルマルパラフィン転化率は90質量%以上、生成油収率(原料油の200〜370℃の留分を100とした時の生成油の200〜370℃留分の割合)は95質量%以上であった。得られた結果を表3に記載する。なお、表3の流動点はJIS K2269に基づいて測定した。
(実施例2)
水素化異性化触媒を触媒Bに変更し、水素化異性化反応条件の反応温度を328℃に変更した以外は実施例1と同様に行なった。得られた結果を表3に記載する。
(実施例3)
水素化異性化触媒を触媒Cに変更し、水素化異性化反応条件の反応温度を332℃に変更した以外は実施例1と同様に行なった。得られた結果を表3に記載する。
(比較例1)
水素化異性化触媒を触媒に変更し、水素化異性化反応条件の反応温度を330℃に、水素/油比を335Nm/mに変更した以外は実施例1と同様に行なった。得られた結果を表3に記載する。
(実施例4)
内径15mm、長さ380mmのステンレス鋼製反応管に上記で得られた触媒Aを200ml充填し、触媒層平均温度350℃、水素流通下(5MPa)で12時間還元処理を行った。その後、表2の性状を有するスラックワックスを反応温度328℃、水素分圧5MPa、LHSV1.0h−1、水素/油比500Nm/mの条件で通油し水素化異性化した。得られた脱蝋油のノルマルパラフィン濃度は0.01質量%未満であった。
内径15mm、長さ380mmのステンレス鋼製反応管に上記で得られた水素化精製触媒を200ml充填し、触媒層平均温度350℃、水素流通下(18MPa)で12時間還元処理を行った。その後、原料油として上記水素化異性化処理後の脱蝋油を反応温度220℃、水素分圧18MPa、LHSV2h−1、水素/油比3000scfbの条件で通油し水素化精製した。得られた脱蝋油に対する水素化精製油の収率は99質量%以上であり、セイボルトカラーは+30以上、硫黄分は0.1質量ppm、窒素分は0.1質量ppmであった。
水素化仕上げで得られた水素化精製油をさらに減圧蒸留を行い、常圧蒸留換算で沸点343〜390℃の70ペール留分、沸点390〜440℃のSAE−10留分を得た。
得られた70ペール相当の潤滑油基油、SAE−10相当の潤滑油基油の収率は、それぞれ35質量%、43質量%であった。また、70ペール相当の潤滑油基油の流動点、粘度指数は、それぞれ−27.5℃、121であり、SAE−10相当の潤滑油基油の流動点、粘度指数は、それぞれ−25.0℃、141であった。
上記で得られた結果を表3に示す。なお、セイボルトカラーはJIS K2580、硫黄分はJIS K2541、窒素分はJIS K2609、粘度指数はJIS K2283、流動点はJIS K2269に基づいて測定した。また、収率は、原料油の343℃以上の留分を100とした時の各潤滑油基油の収率(質量%)を示す。
(実施例5)
触媒Aに代えて触媒Bを反応管に充填し、水素化異性化反応条件の反応温度を324℃とした以外は実施例4と同様に水素化異性化処理を行ない、脱蝋油を得た。得られた脱蝋油のノルマルパラフィン濃度は0.01質量%未満であった。
その後、実施例4と同様の操作を行った。結果を表3に示す。
(実施例6)
触媒Aに代えて触媒Cを反応管に充填し、水素化異性化反応条件の反応温度を330℃とした以外は実施例4と同様に水素化異性化処理を行ない、脱蝋油を得た。得られた脱蝋油のノルマルパラフィン濃度は0.01質量%未満であった。
その後、実施例4と同様の操作を行った。結果を表3に示す。
(実施例7)
原料油をスラックワックスから減圧軽油水素化分解油に代え、水素化異性化反応条件の反応温度を335℃、水素分圧18MPaとした以外は実施例4と同様に水素化異性化処理を行ない、脱蝋油を得た。得られた脱蝋油のノルマルパラフィン濃度は0.01質量%未満であった。
その後、実施例4と同様の操作を行った。結果を表3に示す。
(実施例8)
触媒Aに代えて触媒Bを反応管に充填し、水素化異性化反応条件の反応温度を329℃、水素分圧18MPaとした以外は実施例4と同様に343℃以上の水素化分解油の水素化異性化処理を行ない、脱蝋油を得た。得られた脱蝋油のノルマルパラフィン濃度は0.01質量%未満であった。
その後、実施例4と同様の操作を行った。結果を表3に示す。
(実施例9)
触媒Aに代えて触媒Cを反応管に充填し、水素化異性化反応条件の反応温度を336℃、水素分圧18MPaとした以外は実施例4と同様に343℃以上の水素化分解油の水素化異性化処理を行ない、脱蝋油を得た。得られた脱蝋油のノルマルパラフィン濃度は0.01質量%未満であった。
その後、実施例4と同様の操作を行った。結果を表3に示す。
(比較例2)
触媒Aに代えて触媒を反応管に充填し、水素化異性化反応条件の反応温度を327℃とした以外は実施例4と同様に水素化異性化処理を行ない、脱蝋油を得た。得られた脱蝋油のノルマルパラフィン濃度は0.01質量%未満であった。
その後、実施例4と同様の操作を行った。結果を表3に示す。
Figure 0005299917
本願に係る所定の条件を満たす水素化異性化触媒A、B、Cを用いて、同じ原料油を処理した場合、所定の条件を満たさない水素化異性化触媒Dを用いた場合に比べ、低温性能に優れた生成油を高収率で得ることができた。
本発明により、ノルマルパラフィンを含む原料炭化水素油から燃料油基油及び/又は潤滑油基油に適した高品質の炭化水素油を安定して高収率で得ることができる。

Claims (13)

  1. 炭素数10以上のノルマルパラフィンを含む原料油を、分子状水素存在下、水素化異性化触媒に接触させて、前記ノルマルパラフィンの一部又は全部をイソパラフィンに転化する、炭化水素油の製造方法であって、
    前記水素化異性化触媒が、合成、焼成、次いでイオン交換する工程を経て得られる一次元10員環構造を有する結晶性アルミノシリケートを含み、前記結晶性アルミノシリケートの合成に用いるテンプレートとしてアルキル鎖長(Cn)が7〜9である直鎖アルキルジアミンを用い、かつ針状結晶のSEM(走査型電子顕微鏡)像から求めた粒径分布の中央値(L)が100nm〜300nmの範囲にあり、かつ針状結晶のSEM(走査型電子顕微鏡)像から求めた結晶直径の中央値(D)に対する長さ(L)の比L/D比が1.5〜4.4の範囲であり、かつ珪素原子とアルミニウム原子とのモル比([Si]/[Al])が10〜400である、結晶性アルミノシリケートを触媒活性成分として含む成型体である担体と、
    該担体に担持され、周期表第8〜10族に属する金属、モリブデン及びタングステンからなる群より選択される少なくとも一種の金属と、を含有し、
    前記担体は、アルミナ、シリカ、チタニア、ボリア、ジルコニア、マグネシア、セリア、酸化亜鉛及び酸化リンより選択される少なくとも一種の無機酸化物が、500℃以上の加熱を含む熱履歴を受けて焼成されてなる焼成無機酸化物を含むものであることを特徴とする、炭化水素油の製造方法。
  2. 前記原料油が、水素化処理及び/又は水素化分解された直留系の中間留分及び減圧軽油、スラックワックス、脱蝋油、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、及びフィッシャー・トロプシュ合成油からなる群より選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の炭化水素油の製造方法。
  3. 一次元10員環構造を有する結晶性アルミノシリケートが、ZSM−22、ZSM−23及びZSM−48型ゼオライトからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の炭化水素油の製造方法。
  4. 無機酸化物がアルミナであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の炭化水素油の製造方法。
  5. 担体に担持された金属が、白金又は/およびパラジウムであることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の炭化水素油の製造方法。
  6. 水素化異性化反応における温度が200〜450℃、圧力が0.1〜20MPa、原料油の触媒に対する液空間速度が0.01〜100h −1 、水素と原料油との供給比率が100〜1000Nm /m であることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の炭化水素油の製造方法。
  7. 炭素数10以上のノルマルパラフィンを含む原料油を、分子状水素存在下、水素化異性化触媒に接触させて脱蝋油を得る工程と、
    前記脱蝋油を水素化仕上げ処理して水素化精製油を得る工程と、
    前記水素化精製油を蒸留して潤滑油留分を得る工程と、
    を備える潤滑油基油の製造方法であって、
    前記水素化異性化触媒が、合成、焼成、次いでイオン交換する工程を経て得られる一次元10員環構造を有する結晶性アルミノシリケートを含み、前記結晶性アルミノシリケートの合成に用いるテンプレートとしてアルキル鎖長(Cn)が7〜9である直鎖アルキルジアミンを用い、かつ針状結晶のSEM(走査型電子顕微鏡)像から求めた粒径分布の中央値(L)が100nm〜300nmの範囲にあり、かつ針状結晶のSEM(走査型電子顕微鏡)像から求めた結晶直径の中央値(D)に対する長さ(L)の比L/D比が1.5〜4.4の範囲であり、かつ珪素原子とアルミニウム原子とのモル比([Si]/[Al])が10〜400である、結晶性アルミノシリケートを触媒活性成分として含む成型体である担体と、
    該担体に担持され、周期表第8〜10族に属する金属、モリブデン及びタングステンからなる群より選択される少なくとも一種の金属と、を含有し、
    前記担体は、アルミナ、シリカ、チタニア、ボリア、ジルコニア、マグネシア、セリア、酸化亜鉛及び酸化リンより選択される少なくとも一種の無機酸化物が、500℃以上の加熱を含む熱履歴を受けて焼成されてなる焼成無機酸化物を含むものであることを特徴とする、潤滑油基油の製造方法。
  8. 前記原料油が、スラックワックス、脱油蝋、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、フィッシャー・トロプシュ合成ワックス、及び減圧軽油の水素化分解油からなる群より選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項7に記載の潤滑油基油の製造方法。
  9. 水素の存在下、炭素数10以上のノルマルパラフィンを含有する原料油と、水素化異性化触媒とを、下記式(I)で定義される前記ノルマルパラフィンの転化率が95質量%以上となる条件で接触させる工程、
    を備えることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の潤滑油基油の製造方法。
    Figure 0005299917
    [式(I)中、Cnは、接触前の原料油中に含まれる炭素数10以上のノルマルパラフィンのうちで最小の炭素数を示す。]
  10. 一次元10員環構造を有する結晶性アルミノシリケートが、ZSM−22、ZSM−23及びZSM−48型ゼオライトからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載の潤滑油基油の製造方法。
  11. 無機酸化物がアルミナであることを特徴とする請求項7〜10のいずれか一項に記載の潤滑油基油の製造方法。
  12. 担体に担持された金属が、白金又は/およびパラジウムであることを特徴とする請求項7〜11のうちのいずれか一項に記載の潤滑油基油の製造方法。
  13. 水素化異性化反応における温度が200〜450℃、圧力が0.1〜20MPa、原料油の触媒に対する液空間速度が0.01〜100h −1 、水素と原料油との供給比率が100〜1000Nm /m であることを特徴とする請求項7〜12のうちのいずれか一項に記載の潤滑油基油の製造方法。
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