JP5298479B2 - 燃料電池および電子機器 - Google Patents

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Description

この発明は、少なくとも正極に酵素が固定化されている燃料電池およびこの燃料電池を用いる電子機器に関する。
燃料電池は、正極(酸化剤極)と負極(燃料極)とが電解質(プロトン伝導体)を介して対向した構造を有する。従来の燃料電池では、負極に供給された燃料(水素)が酸化されて電子とプロトン(H+ )とに分離し、電子は負極に渡され、H+ は電解質を通って正極まで移動する。正極では、このH+ が、外部から供給された酸素および負極から外部回路を通って送られた電子と反応して水(H2 O)を生成する。
このように、燃料電池は燃料の持つ化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する高効率な発電装置であり、天然ガス、石油、石炭などの化石エネルギーが持つ化学エネルギーを使用場所や使用時によらずに、しかも高い変換効率で電気エネルギーとして取り出すことができる。このため、従来から大規模発電用途などとしての燃料電池の開発研究が活発に行われている。例えば、スペースシャトルに燃料電池が搭載され、電力と同時に乗組員用の水を補給できることや、クリーンな発電装置であることを証明した実績がある。
さらに、近年、固体高分子型燃料電池など、室温から90℃程度の比較的低温の作動温度域を示す燃料電池が開発され、注目を集めている。このため、大規模発電用途のみならず、自動車の駆動用電源、パーソナルコンピュータやモバイル機器などのポータブル電源などの小型システムへの応用が模索されつつある。
このように、燃料電池は大規模発電から小規模発電まで幅広い用途が考えられ、高効率な発電装置として多くの注目を集めている。しかしながら、燃料電池では、燃料として通常、天然ガス、石油、石炭などを改質器により水素ガスに変換して用いており、限りある資源を消費するとともに、高温に加熱する必要があったり、白金(Pt)などの高価な貴金属の触媒を必要としたりするなど、いろいろと問題点がある。また、水素ガスやメタノールを直接燃料として用いる場合でも、その取り扱いには注意を要する。
そこで、生物内で行われている生体代謝が高効率なエネルギー変換機構であることに着目し、これを燃料電池に適用する提案がなされている。ここでいう生体代謝には、微生物体細胞内で行われる呼吸、光合成などが含まれる。生体代謝は、発電効率が極めて高く、また、室温程度の穏やかな条件で反応が進行するという特長を兼ね備えている。
例えば、呼吸は、糖類、脂肪、タンパク質などの栄養素を微生物または細胞内に取り込み、これらの化学エネルギーを、数々の酵素反応ステップを有する解糖系およびクエン酸(TCA)回路を介して二酸化炭素(CO2 )を生成する過程でニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+ )を還元して還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)とすることで酸化還元エネルギー、すなわち電気エネルギーに変換し、さらに電子伝達系においてこれらのNADHの電気エネルギーをプロトン勾配の電気エネルギーに直接変換するとともに酸素を還元し、水を生成する機構である。ここで得られた電気エネルギーは、アデノシン三リン酸(ATP)合成酵素を介して、アデノシン二リン酸(ADP)からATPを生成し、このATPは微生物や細胞が生育するために必要な反応に利用される。このようなエネルギー変換は、細胞質ゾルおよびミトコンドリアで行われている。
また、光合成は、光エネルギーを取り込み、電子伝達系を介してニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP+ )を還元して還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)とすることで電気エネルギーに変換する過程で、水を酸化し酸素を生成する機構である。この電気エネルギーは、CO2 を取り込み炭素固定化反応に利用され、炭水化物の合成に利用される。
上述のような生体代謝を燃料電池に利用する技術としては、微生物中で発生した電気エネルギーを電子メディエーターを介して微生物外に取り出し、この電子を電極に渡すことで電流を得る微生物電池が報告されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、微生物および細胞には化学エネルギーから電気エネルギーへの変換といった目的の反応以外にも不要な反応が多く存在するため、上述の方法では望まない反応に電気エネルギーが消費されて十分なエネルギー変換効率が発揮されない。
そこで、酵素を用いて所望の反応のみを行う燃料電池(バイオ燃料電池)が提案されている(例えば、特許文献2〜13参照。)。このバイオ燃料電池は、燃料を酵素により分解してプロトンと電子とに分離するもので、燃料としてメタノールやエタノールのようなアルコール類あるいはグルコースのような単糖類を用いたものが開発されている。
特開2000−133297号公報 特開2003−282124号公報 特開2004−71559号公報 特開2005−13210号公報 特開2005−310613号公報 特開2006−24555号公報 特開2006−49215号公報 特開2006−93090号公報 特開2006−127957号公報 特開2006−156354号公報 特開2007−12281号公報 特開2007−35437号公報 特開2007−87627号公報
上述のバイオ燃料電池の正極には一般に、酸素の供給のために多孔質カーボンなどの空隙を有する材料が用いられるが、このような空隙を有する材料からなる正極では、負極から電解質を通って供給されるH+ が、外部から供給された酸素および負極から外部回路を通って送られた電子と反応することにより生成される水や、緩衝液を含む電解質から浸透圧により出てくる水が、正極の内部の空隙を満たす結果、正極の内部が水没するおそれがある。このように正極の内部が水没すると、正極に対する酸素の供給が困難となることから、バイオ燃料電池から得られる電流が大幅に減少してしまう。このため、正極に含まれる水分量を管理することが重要であるが、これまで、正極に含まれる水分量に関してはほとんど検討されていなかった。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、少なくとも正極に酵素が固定化される場合に、正極に含まれる水分量の最適化により、高い電流値を安定して得ることができる燃料電池を提供することである。
この発明が解決しようとする他の課題は、上記のような優れた燃料電池を用いた電子機器を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、正極に酵素が固定化され、正極が多孔質カーボンなどの空隙を有する材料からなる場合に、正極に含まれる水分量が燃料電池の性能に与える影響について鋭意研究を行った結果、正極に含まれる水分量により触媒電流値が特有の変化を示すことを見出し、この知見に基づいて正極に含まれる水分量の最適範囲を見出し、この発明を案出するに至ったものである。
すなわち、上記課題を解決するために、第1の発明は、
正極と、
電解質層と、
上記電解質層を介して上記正極と対向した負極とを有し、
少なくとも上記正極に酵素が固定化されており、上記正極が内部に空隙を有する多孔質の材料からなり、
動作開始前から動作中に上記正極に含まれる水の体積が上記正極の空隙の体積の70%以下であり、
上記電解質層が、緩衝物質としてのイミダゾール環を有する化合物と塩酸とを含む緩衝液が接触したセロハンからなり、あるいは、上記電解質層が、緩衝物質としてのイミダゾール環を有する化合物と塩酸とを含む緩衝液を含み、かつ上記正極または上記正極と接触した層がフッ素系樹脂を用いたものである燃料電池である。
の発明は、
一つまたは複数の燃料電池を用い、
少なくとも一つの上記燃料電池が、
正極と、
電解質層と、
上記電解質層を介して上記正極と対向した負極とを有し、
少なくとも上記正極に酵素が固定化されており、上記正極が内部に空隙を有する多孔質の材料からなり、
動作開始前から動作中に上記正極に含まれる水の体積が上記正極の空隙の体積の70%以下であり、
上記電解質層が、緩衝物質としてのイミダゾール環を有する化合物と塩酸とを含む緩衝液が接触したセロハンからなり、あるいは、上記電解質層が、緩衝物質としてのイミダゾール環を有する化合物と塩酸とを含む緩衝液を含み、かつ上記正極または上記正極と接触した層がフッ素系樹脂を用いたものである電子機器である。
第1および第2の発明において、正極に含まれる水の体積とは、正極の内部の全ての空隙に含まれる水の体積の総和を意味し、正極の空隙の体積とは、正極の内部の全ての空隙の体積の総和を意味する。正極の空隙の体積は(正極全体の体積)×(正極材料の空隙率)に等しい。従って、正極に含まれる水の体積が正極の空隙の体積の70%以下とは、(正極に含まれる水の体積)/[(正極全体の体積)×(正極材料の空隙率)]≦70%と表すことができる。正極に含まれる水の体積は、好適には、正極の空隙の体積の60%以下であり、また、0%より大きい。正極に含まれる水の形態は、液体のほか固体などであってもよい。
第1および第2の発明において、正極に用いられる空隙を有する材料としては、多孔質カーボン、カーボンペレット、カーボンフェルト、カーボンペーパーなどのカーボン系材料が多く用いられるが、他の材料を用いてもよい。負極の材料についても同様な材料を用いることができる。
正極および負極に固定化される酵素は、種々のものであってよく、必要に応じて選ばれる。また、正極および負極に酵素が固定化される場合、好適には、酵素に加えて電子メディエーターが固定化される。
正極に固定化される酵素は、典型的には酸素還元酵素を含む。この酸素還元酵素としては、例えば、ビリルビンオキシダーゼ、ラッカーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼなどを用いることができる。この場合、正極には、好適には、酵素に加えて電子メディエーターも固定化される。電子メディエーターとしては、例えば、ヘキサシアノ鉄酸カリウム、フェリシアン化カリウム、オクタシアノタングステン酸カリウムなどを用いる。電子メディエーターは、好適には、十分に高濃度、例えば平均値で0.64×10-6mol/mm2 以上固定化する。
負極に固定化される酵素は、例えば、燃料としてグルコースのような単糖類を用いる場合には、単糖類の酸化を促進し分解する酸化酵素を含み、通常はこれに加えて酸化酵素によって還元される補酵素を酸化体に戻す補酵素酸化酵素を含む。この補酵素酸化酵素の作用により、補酵素が酸化体に戻るときに電子が生成され、補酵素酸化酵素から電子メディエーターを介して電極に電子が渡される。酸化酵素としては例えばNAD+ 依存型グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)、補酵素としては例えばニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+ )が、補酵素酸化酵素としては例えばジアホラーゼが用いられる。
燃料として多糖類(広義の多糖類であり、加水分解によって2分子以上の単糖を生じる全ての炭水化物を指し、二糖、三糖、四糖などのオリゴ糖を含む)を用いる場合には、好適には、上記の酸化酵素、補酵素酸化酵素、補酵素および電子メディエーターに加えて、多糖類の加水分解などの分解を促進し、グルコースなどの単糖類を生成する分解酵素も固定化される。多糖類としては、具体的には、例えば、デンプン、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、セルロース、マルトース、スクロース、ラクトースなどが挙げられる。これらは単糖類が二つ以上結合したものであり、いずれの多糖類においても結合単位の単糖類としてグルコースが含まれている。なお、アミロースとアミロペクチンとはデンプンに含まれる成分であり、デンプンはアミロースとアミロペクチンとの混合物である。多糖類の分解酵素としてグルコアミラーゼを用い、単糖類を分解する酸化酵素としてグルコースデヒドロゲナーゼを用いた場合には、グルコアミラーゼによりグルコースにまで分解することができる多糖類、例えばデンプン、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、マルトースのいずれかを含むものであれば、これを燃料として発電することが可能となる。なお、グルコアミラーゼはデンプンなどのα−グルカンを加水分解しグルコースを生成する分解酵素であり、グルコースデヒドロゲナーゼはβ−D−グルコースをD−グルコノ−δ−ラクトンに酸化する酸化酵素である。好適には、多糖類を分解する分解酵素も負極上に固定化される構成とし、最終的に燃料となる多糖類も負極上に固定化される構成とする。
また、デンプンを燃料とする場合には、デンプンを糊化してゲル状の固形化燃料としたものを用いることもできる。この場合、好適には、糊化したデンプンを酵素などが固定化された負極に接触させ、あるいは負極上に酵素などとともに固定化する方法をとることができる。このような電極を用いると、負極表面のデンプン濃度を、溶液中に溶解したデンプンを用いた場合よりも高い状態に保持することができ、酵素による分解反応がより速くなり、出力が向上するとともに、燃料の取り扱いが溶液の場合よりも容易で、燃料供給システムを簡素化することができ、しかも燃料電池を天地無用とする必要がなくなるため、例えばモバイル機器に用いたときに非常に有利である。
電子メディエーターとしては基本的にはどのようなものを用いてもよいが、好適には、キノン骨格を有する化合物、取り分け、ナフトキノン骨格を有する化合物が用いられる。このナフトキノン骨格を有する化合物としては各種のナフトキノン誘導体を用いることが可能であるが、具体的には、例えば、2−アミノ−1,4−ナフトキノン(ANQ)、2−アミノ−3−メチル−1,4−ナフトキノン(AMNQ)、2−メチル−1,4−ナフトキノン(VK3)、2−アミノ−3−カルボキシ−1,4−ナフトキノン(ACNQ)などが用いられる。キノン骨格を有する化合物としては、ナフトキノン骨格を有する化合物以外に、例えば、アントラキノンやその誘導体を用いることもできる。電子メディエーターには、必要に応じて、キノン骨格を有する化合物以外に、電子メディエーターとして働く一種または二種以上の他の化合物を含ませてもよい。キノン骨格を有する化合物、特にナフトキノン骨格を有する化合物を負極に固定化する際に用いる溶媒としては、好適にはアセトンが用いられる。このように溶媒としてアセトンを用いることにより、キノン骨格を有する化合物の溶解性を高めることができ、キノン骨格を有する化合物を負極に効率的に固定化することができる。溶媒には、必要に応じて、アセトン以外の一種または二種以上の他の溶媒を含ませてもよい。
一つの例では、負極に電子メディエーターとしての2−メチル−1,4−ナフトキノン(VK3)、補酵素としての還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)、酸化酵素としてのグルコースデヒドロゲナーゼおよび補酵素酸化酵素としてのジアホラーゼを固定化し、好適には、これらを1.0(mol):0.33〜1.0(mol):(1.8〜3.6)×106 (U):(0.85〜1.7)×107 (U)の比で固定化する。ただし、U(ユニット)とは、酵素活性を示す一つの指標であり、ある温度およびpHにおいて1分間当たり1μmolの基質が反応する度合いを示す。
酵素、補酵素、電子メディエーターなどを負極および正極に固定化するための固定化材としては、各種のものを用いることができるが、好適には、ポリ−L−リシン(PLL)をはじめとしたポリカチオンまたはその塩とポリアクリル酸(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム(PAAcNa))をはじめとしたポリアニオンまたはその塩とを用いて形成されるポリイオンコンプレックスを用いることができ、このポリイオンコンプレックスの内部に酵素、補酵素、電子メディエーターなどが含まれるようにすることができる。
ところで、この燃料電池の正極および負極に電子メディエーターが固定化される場合、電子メディエーターは一般に低分子であることから、溶出を完全に抑え、正極および負極に電子メディエーターが固定化された状態を長時間維持することは必ずしも容易でない。このため、正極に用いられる電子メディエーターが負極側に移動し、逆に負極に用いられる電子メディエーターが正極側に移動することが起き得るが、この場合には燃料電池の出力の低下および電気容量の低下を招くおそれがある。この問題を解消するためには、電解質として電子メディエーターの酸化体または還元体の電荷と同符号の電荷を有するものを用いることが有効である。このようにすることにより、電解質の電荷と電子メディエーターの酸化体または還元体の電荷との間に斥力が働く。このため、電子メディエーターが電解質側に移動しにくくなり、電子メディエーターが電解質を透過して反対側に移動するのを効果的に抑えることができる。典型的には、電解質に、電子メディエーターの酸化体または還元体の電荷と同符号の電荷を有するポリマー、例えばポリアニオンまたはポリカチオンが含まれることにより、電解質が電子メディエーターの酸化体または還元体の電荷と同符号の電荷を有するが、これに限定されるものではなく、他の方法により電解質が電子メディエーターの酸化体または還元体の電荷と同符号の電荷を有するようにしてもよい。具体的には、正極および負極の少なくとも一方に用いられる電子メディエーターの酸化体または還元体が負電荷を有する場合には、負電荷を有するポリマー、例えばポリアニオンが電解質に含まれるようにし、電子メディエーターの酸化体または還元体が正電荷を有する場合には、正電荷を有するポリマー、例えばポリカチオンが電解質に含まれるようにする。ポリアニオンとしては、例えば、含フッ素カーボンスルホン酸基を有するイオン交換樹脂であるナフィオン(商品名、米国デュポン社)のほか、重クロム酸イオン(Cr2 7 2- )、パラモリブデン酸イオン([Mo7 246-)、ポリアクリル酸(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム(PAAcNa))などを用いることができる。ポリカチオンとしては、例えば、ポリ−L−リシン(PLL)などを用いることができる。
一方、本発明者らは、負極に酵素および電子メディエーターに加えてジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)などのリン脂質を固定化することにより、燃料電池の出力の大幅な向上を図ることができるという現象を見出した。すなわち、リン脂質は高出力化剤として機能することを見出した。このようにリン脂質の固定化により高出力化が可能な理由について種々検討を行ったところ、従来の燃料電池において十分に大きな出力が得られない理由の一つが、負極に固定化する酵素と電子メディエーターとが均一に混合せず、両者が互いに分離して凝集状態にあることにあるが、リン脂質の固定化により酵素と電子メディエーターとが互いに分離して凝集してしまうのを防止することができ、酵素と電子メディエーターとを均一に混合することができるためであるという結論に至った。さらに、リン脂質の添加により酵素と電子メディエーターとを均一に混合することができるようになる原因を究明したところ、電子メディエーター還元体の拡散係数がリン脂質の添加により大幅に上昇するという極めて稀有な現象を発見した。すなわち、リン脂質は電子メディエーター拡散促進剤として機能することを見出した。このリン脂質の固定化の効果は特に、電子メディエーターがキノン骨格を有する化合物である場合に著しい。リン脂質の代わりに、リン脂質の誘導体や、リン脂質またはその誘導体の重合体を用いても同様な効果を得ることができる。なお、高出力化剤とは、最も一般的に言うと、酵素および電子メディエーターが固定化された電極における反応速度を向上させ、高出力化を図ることができるものである。また、電子メディエーター拡散促進剤とは、最も一般的に言うと、酵素および電子メディエーターが固定化された電極の内部での電子メディエーターの拡散係数を増加させ、あるいは、電極近傍での電子メディエーターの濃度を維持するか上昇させるものである。
プロトン伝導体としては種々のものを用いることができ、必要に応じて選択されるが、具体的には、例えば、セロハン、パーフルオロカーボンスルホン酸(PFS)系の樹脂膜、トリフルオロスチレン誘導体の共重合膜、リン酸を含浸させたポリベンズイミダゾール膜、芳香族ポリエーテルケトンスルホン酸膜、PSSA−PVA(ポリスチレンスルホン酸ポリビニルアルコール共重合体)や、PSSA−EVOH(ポリスチレンスルホン酸エチレンビニルアルコール共重合体)、含フッ素カーボンスルホン酸基を有するイオン交換樹脂(ナフィオン(商品名、米国デュポン社)など)などからなるものが挙げられる。
プロトン伝導体として緩衝物質(緩衝液)を含む電解質を用いる場合には、高出力動作時において、プロトンを介する酵素反応により、プロトンの増減が電極内部または酵素の固定化膜内で起きても、十分な緩衝作用を得ることができ、至適pHからのpHのずれを十分に小さく抑えることができ、酵素が本来持っている能力を十分に発揮することができるようにするために、電解質に含まれる緩衝物質の濃度を0.2M以上2.5M以下にすることが有効であり、好適には0.2M以上2M以下、より好適には0.4M以上2M以下、さらに好適には0.8M以上1.2M以下とする。緩衝物質は、一般的には、pKa が5以上9以下のものであれば、どのようなものを用いてもよいが、具体例を挙げると、リン酸二水素イオン(H2 PO4 - )、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール(略称トリス)、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、カコジル酸、炭酸(H2 CO3 )、クエン酸水素イオン、N−(2−アセトアミド)イミノ二酢酸(ADA)、ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−3−プロパンスルホン酸(HEPPS)、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン(略称トリシン)、グリシルグリシン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(略称ビシン)などである。リン酸二水素イオン(H2 PO4 - )を生成する物質は、例えば、リン酸二水素ナトリウム(NaH2 PO4 )やリン酸二水素カリウム(KH2 PO4 )などである。緩衝物質としては、イミダゾール環を含む化合物も好ましい。このイミダゾール環を含む化合物は、具体的には、イミダゾール、トリアゾール、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、イミダゾール誘導体(ヒスチジン、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、イミダゾール−2−カルボン酸エチル、イミダゾール−2−カルボキシアルデヒド、イミダゾール−4−カルボン酸、イミダゾール−4,5−ジカルボン酸、イミダゾール−1−イル−酢酸、2−アセチルベンズイミダゾール、1−アセチルイミダゾール、N−アセチルイミダゾール、2−アミノベンズイミダゾール、N−(3−アミノプロピル) イミダゾール、5−アミノ−2−(トリフルオロメチル) ベンズイミダゾール、4−アザベンズイミダゾール、4−アザ−2−メルカプトベンズイミダゾール、ベンズイミダゾール、1−ベンジルイミダゾール、1−ブチルイミダゾール)などである。緩衝物質としては、2−アミノエタノール、トリエタノールアミン、TES(N-Tris(hydroxymethyl)methyl-2-aminoethanesulfonic acid)、BES(N,N-Bis(2-hydroxyethyl)-2-aminoethanesulfonic
acid)などを用いてもよい。緩衝物質を含む電解質のpHは、好適には7付近であるが、一般的には1〜14のいずれであってもよい。必要に応じて、これらの緩衝物質も、上記の酵素や電子メディエーターの固定化膜に固定化してもよい。
この燃料電池の全体構成は必要に応じて選ばれるが、例えば、コイン型またはボタン型の構成とする場合には、好適には、酸化剤が透過可能な構造を有する正極集電体と燃料が透過可能な構造を有する負極集電体との間に形成された空間の内部に、正極、電解質および負極が収納された構造とする。この場合、典型的には、正極集電体および負極集電体の一方の縁が絶縁性の密封部材を介して正極集電体および負極集電体の他方に対してかしめられることで、正極、電解質および負極を収納する空間が形成されるが、これに限定されるものではなく、必要に応じて他の加工方法によりこの空間を形成してもよい。正極集電体と負極集電体とは絶縁性の密封部材により互いに電気的に絶縁される。この絶縁性の密封部材としては、典型的には、シリコーンゴムなどの各種の弾性体からなるガスケットが用いられるが、これに限定されるものではない。これらの正極集電体および負極集電体の平面形状は必要に応じて選ぶことができるが、例えば、円形、楕円形、四角形、六角形などである。典型的には、正極集電体は一つまたは複数の酸化剤供給口を有し、負極集電体は一つまたは複数の燃料供給口を有するが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、正極集電体の材料として酸化剤が透過可能なものを用いたりすることにより酸化剤供給口を形成しないでもよく、負極集電体の材料として燃料が透過可能なものを用いたりすることにより燃料供給口を形成しないでもよい。負極集電体は、典型的には、燃料保持部を有する。この燃料保持部は負極集電体と一体に設けてもよいし、負極集電体に対して着脱自在に設けてもよい。燃料保持部は、典型的には、密閉用の蓋を有する。この場合、この蓋を外して燃料保持部に燃料を注入することができる。密閉用の蓋を用いないで、燃料保持部の側面などから燃料を注入するようにしてもよい。燃料保持部を負極集電体に対して着脱自在に設ける場合には、例えば、燃料保持部として、あらかじめ燃料が充填された燃料タンクや燃料カートリッジなどを取り付けてもよい。これらの燃料タンクや燃料カートリッジは、使い捨て形であってもよいが、資源の有効利用を図る観点より、燃料を充填することができるものが好ましい。また、使用済みの燃料タンクや燃料カートリッジを燃料が充填された燃料タンクや燃料カートリッジと交換してもよい。さらに、例えば、燃料保持部を燃料の供給口および排出口を有する密閉容器状に形成し、この供給口を介して外部から燃料を密閉容器内に連続的に供給することで燃料電池の連続使用が可能である。あるいは、燃料電池に燃料保持部を設けず、開放系の燃料タンクに入れられた燃料の上に燃料電池を負極側が下に、正極側が上になるようにして浮かべた状態で使用してもよい。
この燃料電池は、所定の中心軸の周りに、負極、電解質、正極および酸化剤が透過可能な構造を有する正極集電体が順次設けられており、燃料が透過可能な構造を有する負極集電体が負極と電気的に接続されて設けられている構造としてもよい。この燃料電池において、負極は、断面形状が円、楕円、多角形などの筒状であってもよいし、断面形状が円、楕円、多角形などの柱状であってもよい。負極が筒状である場合、負極集電体は、例えば、負極の内周面側に設けてもよいし、負極と電解質との間に設けてもよいし、負極の少なくとも一端面に設けてもよいし、さらにはこれらの二箇所以上に設けてもよい。また、負極を燃料を保持することができるように構成し、例えば、負極を多孔質材料により形成し、この負極に燃料保持部を兼用させるようにしてもよい。あるいは、所定の中心軸上に柱状の燃料保持部を設けてもよい。この燃料保持部は、例えば、負極集電体が負極の内周面側に設けられる場合、この負極集電体により囲まれる空間そのものであってもよいし、この空間内に負極集電体とは別に設けられる燃料タンクや燃料カートリッジなどの容器であってもよく、この容器は着脱自在でも固定されたものでもよい。燃料保持部は、例えば、円柱状、楕円柱状、四角形、六角形などの多角柱状などであるが、これに限定されるものではない。電解質は、負極および負極集電体の全体を包み込むように袋状の容器に形成するようにしてもよい。こうすることで、燃料保持部に燃料を一杯に入れた場合、この燃料を負極の全体と接触させることができる。この容器のうちの少なくとも正極と負極との間に挟まれた部分を電解質により形成し、その他の部分はこの電解質と異なる材料により形成するようにしてもよい。この容器を燃料の供給口および排出口を有する密閉容器とし、この供給口を介して外部から燃料を容器内に連続的に供給することにより燃料電池の連続使用が可能である。負極としては、好適には、内部に燃料を十分に蓄えることができるようにするために、空隙率が大きいものが好ましく、例えば空隙率が60%以上のものが好ましい。
正極および負極としてペレット電極を用いることもできる。このペレット電極は、カーボン系材料(特に、高導電性・高表面積を有する微細粉末カーボン材料が好ましい)、具体的には、例えば、KB(ケッチェンブラック)などの高導電性を付与したものや、カーボンナノチューブ、フラーレンなどの機能性カーボン材料などと、必要に応じてバインダー、例えばポリフッ化ビニリデンと、上述の酵素の粉末(あるいは酵素溶液)、補酵素の粉末(あるいは補酵素溶液)、電子メディエーターの粉末(あるいは電子メディエーター溶液)、固定化用のポリマーの粉末(あるいはポリマー溶液)などとを、めのう乳鉢などで混合し、適宜乾燥させたものを所定の形状にプレス加工することなどにより形成することができる。このペレット電極の厚さ(電極厚)も必要に応じて決められるが、一例を挙げると50μm程度である。例えば、コイン型の燃料電池を製造する場合には、上記のペレット電極形成用の材料を錠剤製造機により円形の形状(直径の一例を挙げると15mmであるが、直径はこれに限定されるものではなく、必要に応じて決められる)にプレス加工することによりペレット電極を形成することができる。このペレット電極を形成する場合、所要の電極厚とするためには、例えば、ペレット電極形成用の材料に占めるカーボン量やプレス圧などを制御する。コイン型の電池缶に正極または負極を挿入する場合、例えば、これらの正極または負極と電池缶との間に金属メッシュスペーサーを挿入することでそれらの電気的接触を取るのが好ましい。
ペレット電極の製造方法としては、上記の方法以外に、例えば、カーボン系材料と、必要に応じてバインダーと、酵素固定化成分(酵素、補酵素、電子メディエーター、ポリマーなど)の混合溶液(水系あるいは有機溶媒混合溶液)とを集電体などに適宜塗布し、乾燥させ、全体をプレス加工した後、所望の電極サイズに切り分けるようにしてもよい。
この燃料電池は、およそ電力が必要なもの全てに用いることができ、大きさも問わないが、例えば、電子機器、移動体(自動車、二輪車、航空機、ロケット、宇宙船など)、動力装置、建設機械、工作機械、発電システム、コージェネレーションシステムなどに用いることができ、用途などによって出力、大きさ、形状、燃料の種類などが決められる。
電子機器は、基本的にはどのようなものであってもよく、携帯型のものと据え置き型のものとの双方を含むが、具体例を挙げると、携帯電話、モバイル機器、ロボット、パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、車載機器、家庭電気製品、工業製品などである。
第2の発明においては、第1の発明に関連して説明したことが成立する。
上述のように構成されたこの発明においては、正極に含まれる水の体積が正極の空隙の体積の70%以下であることにより、正極において極めて高い触媒電流値を得ることができる。
この発明によれば、正極に酵素が固定化される場合に、正極において極めて高い触媒電流値を得ることができ、高い電流値を安定して得ることができる燃料電池を実現することができる。そして、この優れた燃料電池を用いることにより、高性能の電子機器などを実現することができる。
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1はこの発明の第1の実施形態によるバイオ燃料電池を模式的に示す。このバイオ燃料電池では、燃料としてグルコースを用いるものとする。図2は、このバイオ燃料電池の負極の構成の詳細ならびにこの負極に固定化された酵素群の一例およびこの酵素群による電子の受け渡し反応を模式的に示す。
図1に示すように、このバイオ燃料電池は、負極1と正極2とがプロトンのみ伝導する電解質層3を介して対向した構造を有する。負極1は、燃料として供給されたグルコースを酵素により分解し電子を取り出すとともにプロトン(H+ )を発生する。正極2は、負極1から電解質層3を通って輸送されたプロトンと負極1から外部回路を通って送られた電子と例えば空気中の酸素とにより水を生成する。
負極1は、例えば多孔質カーボンなどからなる電極11(図2参照)上に、グルコースの分解に関与する酵素と、グルコースの分解プロセスにおける酸化反応に伴って還元体が生成される補酵素(例えば、NAD+ 、NADP+ など)と、補酵素の還元体(例えば、NADH、NADPHなど)を酸化する補酵素酸化酵素(例えば、ジアホラーゼ)と、補酵素酸化酵素から補酵素の酸化に伴って生じる電子を受け取って電極11に渡す電子メディエーターとが、例えばポリマーなどからなる固定化材により固定化されて構成されている。
グルコースの分解に関与する酵素としては、例えば、グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)を用いることができる。この酸化酵素を存在させることにより、例えば、β−D−グルコースをD−グルコノ−δ−ラクトンに酸化することができる。
さらに、このD−グルコノ−δ−ラクトンは、グルコノキナーゼとフォスフォグルコネートデヒドロゲナーゼ(PhGDH)との二つの酵素を存在させることにより、2−ケト−6−フォスフォ−D−グルコネートに分解することができる。すなわち、D−グルコノ−δ−ラクトンは、加水分解によりD−グルコネートになり、D−グルコネートは、グルコノキナーゼの存在下、アデノシン三リン酸(ATP)をアデノシン二リン酸(ADP)とリン酸とに加水分解することでリン酸化されて、6−フォスフォ−D−グルコネートになる。この6−フォスフォ−D−グルコネートは、酸化酵素PhGDHの作用により、2−ケト−6−フォスフォ−D−グルコネートに酸化される。
また、グルコースは上記分解プロセスのほかに、糖代謝を利用してCO2 まで分解することもできる。この糖代謝を利用した分解プロセスは、解糖系によるグルコースの分解およびピルビン酸の生成ならびにTCA回路に大別されるが、これらは広く知られた反応系である。
単糖類の分解プロセスにおける酸化反応は、補酵素の還元反応を伴って行われる。この補酵素は作用する酵素によってほぼ定まっており、GDHの場合、補酵素にはNAD+ が用いられる。すなわち、GDHの作用によりβ−D−グルコースがD−グルコノ−δ−ラクトンに酸化されると、NAD+ がNADHに還元され、H+ を発生する。
生成されたNADHは、ジアホラーゼ(DI)の存在下で直ちにNAD+ に酸化され、二つの電子とH+ とを発生する。したがって、グルコース1分子につき1段階の酸化反応で二つの電子と二つのH+ とが生成されることになる。2段階の酸化反応では、合計四つの電子と四つのH+ とが生成される。
上記プロセスで生成された電子はジアホラーゼから電子メディエーターを介して電極11に渡され、H+ は電解質層3を通って正極2へ輸送される。
電子メディエーターは電極11との電子の受け渡しを行うもので、燃料電池の出力電圧は、電子メディエーターの酸化還元電位に依存する。つまり、より高い出力電圧を得るには、負極1側ではよりネガティブな電位の電子メディエーターを選ぶとよいが、電子メディエーターの酵素に対する反応親和性、電極11との電子交換速度、阻害因子(光、酸素など)に対する構造安定性なども考慮しなければならない。このような観点から、負極1に作用する電子メディエーターとしては、2−アミノ−3−カルボキシ−1,4−ナフトキノン(ACNQ)やビタミンK3などが好適である。そのほかに、例えばキノン骨格を有する化合物、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、鉄(Fe)、コバルト(Co)などの金属錯体、ベンジルビオローゲンなどのビオローゲン化合物、ニコチンアミド構造を有する化合物、リボフラビン構造を有する化合物、ヌクレオチド−リン酸構造を有する化合物なども電子メディエーターとして用いることができる。
電解質層3は負極1において発生したH+ を正極2に輸送するプロトン伝導体であり、電子伝導性を持たず、H+ を輸送することが可能な材料により構成されている。この電解質層3は、例えばすでに挙げたものの中から適宜選ばれたものを用いることができる。この場合、この電解質層3には、緩衝液としてイミダゾール環を有する化合物を緩衝物質として含むものが含まれている。このイミダゾール環を有する化合物は、例えばイミダゾールなどの、すでに挙げたものの中から適宜選ぶことができる。この緩衝物質としての、イミダゾール環を有する化合物の濃度は必要に応じて選ばれるが、好適には0.2M以上3M以下の濃度含ませる。こうすることで高い緩衝能を得ることができ、燃料電池の高出力動作時においても、酵素本来の能力を十分に発揮することができる。さらに、イオン強度(I.S.)は、あまり大きすぎても小さすぎても酵素活性に悪影響を与えるが、電気化学応答性も考慮すると、適度なイオン強度、例えば0.3程度であることが好ましい。ただし、pHおよびイオン強度は、用いる酵素それぞれに最適値が存在し、上述した値に限定されない。
上記の酵素、補酵素および電子メディエーターは、電極近傍で起こっている酵素反応現象を効率よく電気信号として捉えるために、固定化材を用いて電極11上に固定化されることが好ましい。さらに、燃料を分解する酵素および補酵素も電極11上に固定化することで、負極1の酵素反応系の安定化を図ることができる。このような固定化材としては、例えば、グルタルアルデヒド(GA)とポリ−L−リシン(PLL)とを組み合わせたものやポリアクリル酸ナトリウム(PAAcNa)とポリ−L−リシン(PLL)とを組み合わせたものを用いてもよいし、これらを単独で用いてもよいし、さらには他のポリマーを用いてもよい。グルタルアルデヒドとポリ−L−リシンとを組み合わせた固定化材を用いることにより、それぞれが持つ酵素固定化能力を大きく改善することが可能となり、固定化材全体として優れた酵素固定化能力を得ることができる。この場合、グルタルアルデヒドとポリ−L−リシンとの組成比は、固定化する酵素とこの酵素の基質とに応じて最適な値が異なるが、一般的には任意の組成比で構わない。具体例を挙げると、グルタルアルデヒド水溶液(0.125%)とポリ−L−リシン水溶液(1%)とを用い、それらの比を1:1、1:2、2:1などとする。
図2には、一例として、グルコースの分解に関与する酵素がグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)、グルコースの分解プロセスにおける酸化反応に伴って還元体が生成される補酵素がNAD+ 、補酵素の還元体であるNADHを酸化する補酵素酸化酵素がジアホラーゼ(DI)、補酵素酸化酵素から補酵素の酸化に伴って生じる電子を受け取って電極11に渡す電子メディエータがACNQである場合が図示されている。
正極2は、例えば多孔質カーボンなどの空隙を有する材料からなる電極上に酸素還元酵素および電極との間で電子の受け渡しを行う電子メディエーターが固定化されたものである。酸素還元酵素としては、例えば、ビリルビンオキシダーゼ(BOD)、ラッカーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼなどを用いることができる。電子メディエーターとしては、例えばヘキサシアノ鉄酸カリウムの電離により生成されるヘキサシアノ鉄酸イオンを用いることができる。この電子メディエーターは、好適には、十分に高濃度、例えば、平均値で0.64×10-6mol/mm2 以上固定化する。
この正極2においては、酸素還元酵素の存在下で、電解質層3からのH+ と負極1からの電子とにより空気中の酸素を還元し水を生成する。
以上のように構成された燃料電池の動作時(使用時)において、負極1側にグルコースが供給されると、このグルコースが酸化酵素を含む分解酵素により分解される。この単糖類の分解プロセスで酸化酵素が関与することで、負極1側で電子とH+ とを生成することができ、負極1と正極2との間で電流を発生させることができる。
このバイオ燃料電池においては、動作開始前(使用前)から動作中(使用中)に、正極2に含まれる水の体積が正極2の空隙の体積の70%以下になるように制御される。この水分量の制御は、例えば、電解質層3の材料の選択により行うことができる。例えば、電解質層3にセロハンを用いると、この正極2に含まれる水の体積を正極2の空隙の体積の45%程度に制御することができる。この水分量の制御には、ダイレクトメタノール燃料電池において用いられている公知の技術を用いてよい。すなわち、正極2または正極2と接した層にフッ素系樹脂(例えば、ナフィオン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなど)などを用いた水分量制御方法を用いてもよい。
ここで、正極2に含まれる水分量による触媒電流値の変化を測定した結果について説明する。図3はその結果を示し、横軸は(電極(正極2)に含まれる水の体積)/(電極(正極2)の空隙体積)(%)、縦軸は触媒電流を示す。この測定は、正極2上にフィルム状のセロハンを載せ、このセロハンにイミダゾール/塩酸緩衝液を接触させた状態で行った。正極2としては、次のようにして作製される酵素/電子メディエーター固定化電極を用いた。まず、多孔質カーボンとして市販のカーボンフェルト(TORAY製 BO050)を用い、このカーボンフェルトを1cm角に切り抜いた。次に、ヘキサシアノ鉄酸イオン(100mM)を80μl、ポリ−L−リシン(1wt%)を80μl、BOD溶液を80μl(50mg/ml)を上記のカーボンフェルトに順に染み込ませ、乾燥することで酵素/電子メディエーター固定化電極を得た。この電極にあらかじめ水を0、5、10、15、20、30、50μl添加したものを作用電極とした。この電極の厚さは0.35mmであり、面積は1cm角であるから、電極の体積は0.035cm3 である。この電極に用いたカーボンフェルトの空隙率を水銀ポロシメーター(島津製作所製のオートポアIV9500シリーズ)を用いて測定した結果、空隙率は80%と見積もられた。なお、空隙率の測定には、ガス吸着比表面積測定装置(日本ベル社製、BELSORP−max)などを用いてもよい。このように、この電極に用いたカーボンフェルトの空隙率は80%であることから、この電極の空隙の体積は0.028cm3 である。このため、30μlあるいは50μlの水分を添加した場合、電極内空隙が全て水につかっている、言い換えれば水没していると考えられる。電極に含まれる水分量は、カール・フィッシャー水分量測定器(例えば、(株)ダイアインスツルメント製、VA−100型)などを用いると容易に測定することができる。
図3から分かるように、(電極に含まれる水の体積)/(電極の空隙体積)=70%を境に触媒電流値が急激に変化しており、70%以下では極めて高い触媒電流値が得られている。逆に言えば、(電極に含まれる水の体積)/(電極の空隙体積)を70%以下に制御することにより、正極2において高い触媒電流値を得ることができることが分かる。具体的には、電極に水を15μl添加した場合は(電極に含まれる水の体積)/(電極の空隙体積)=53%に相当するが、この場合に得られる触媒電流値は、電極に水を20、30、50μl添加した場合((電極に含まれる水の体積)/(電極の空隙体積)はそれぞれ71.4%、107%、179%))の触媒電流値の約1.5〜2.4倍も大きい。電極に水を20μl添加した場合((電極に含まれる水の体積)/(電極の空隙体積)=71.4%)には電極内空隙は水没していないが、この場合には電極内空隙が水没している場合(水分添加量が30μlあるいは50μlの場合)と同様に低い触媒電流しか得られていないことを考えると、電極内空隙が単に水没していないだけでは足りず、電極内空隙に水に占められていない一定以上の余裕がなければならないことを示しており、その条件が(電極に含まれる水の体積)/(電極の空隙体積)=70%である。
次に、正極2に酸素還元酵素としてBODを固定化し、イミダゾールと塩酸とを混合してpH7に調整したものを緩衝液として用いた場合における電流値の維持向上の効果について説明する。表1および図4に、この場合にイミダゾールの濃度を変えて測定したクロノアンペロメトリーの結果を示す。また、図5に電流値(表1および図4の3600秒後の電流密度の値)の緩衝液濃度(緩衝液中の緩衝物質の濃度)依存性を示す。表1および図5には、比較のために、緩衝液として1.0MのNaH2 PO4 /NaOH緩衝液(pH7)を用いた場合の結果も併せて示す。この測定は、図6に示すように、正極2上にフィルム状のセロハン21を載せ、このセロハン21に緩衝液22を接触させた状態で行った。正極2としては、次のようにして作製される酵素/電子メディエーター固定化電極を用いた。まず、多孔質カーボンとして市販のカーボンフェルト(TORAY製 BO050)を用い、このカーボンフェルトを1cm角に切り抜いた。次に、ヘキサシアノ鉄酸イオン(100mM)を80μl、ポリ−L−リシン(1wt%)を80μl、BOD溶液を80μl(50mg/ml)を上記のカーボンフェルトに順に染み込ませ、乾燥することで酵素/電子メディエーター固定化電極を得た。こうして作製した酵素/電子メディエーター固定化電極を2枚重ねて正極2とした。
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表1および図4から分かるように、NaH2 PO4 濃度が1.0Mでは、初期電流は出るが、3600秒後には電流は大幅に減少してしまう。これに対し、特にイミダゾール濃度が0.4M、1.0Mおよび2.0Mでは、3600秒後にも電流の低下はほとんど見られない。図5から分かるように、イミダゾール濃度が0.2〜2.5Mの範囲では濃度に対して電流値が直線的に増加する。また、NaH2 PO4 /NaOH緩衝液とイミダゾール/塩酸緩衝液とはともにpKa が7付近、酸素溶解度もほぼ同じにもかかわらず、同じ濃度の緩衝液においてイミダゾールが存在する場合、大きな酸素還元電流が得られた。
上記のようにしてクロノアンペロメトリーを3600秒間行った後、電位−0.3〜+0.6V間におけるサイクリックボルタンメトリー(CV)を行った。その結果を図7に示す。ただし、この測定は、図8に示すように、上記と同様な酵素/電子メディエーター固定化電極からなる正極2を作用電極とし、これを透気性のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)メンブレン23上に載せ、この正極2に緩衝液22を接触させた状態で行った。緩衝液22内に対極24および参照電極25を浸漬し、作用極としての正極2、対極24および参照電極25に電気化学測定装置(図示せず)を接続した。対極24としてはPt線、参照電極25としてはAg|AgClを用いた。測定は大気圧で行い、測定温度は25℃とした。緩衝液22としては、イミダゾール/塩酸緩衝液(pH7、1.0M)とNaH2 PO4 /NaOH緩衝液(pH7、1.0M)との2種類を用いた。
図7より、緩衝液22としてイミダゾール/塩酸緩衝液(pH7、1.0M)を用いた場合には、極めて良好なCV特性が得られていることが分かる。
以上のことから、測定系を変えても、イミダゾール緩衝液に優位性があることが確認された。
図9は、正極2にBODを固定化し、2.0Mのイミダゾール/塩酸緩衝液および1.0MのNaH2 PO4 /NaOH緩衝液を用いて既に述べた方法と同様して行ったクロノアンペロメトリーの結果を、その間の電極表面上のpHの測定結果とともに示したものである。ただし、イミダゾール/塩酸緩衝液のpKa は6.95、伝導度は52.4mS/cm、酸素溶解度は0.25mM、pHは7、また、NaH2 PO4 /NaOH緩衝液のpKa は6.82(H2 PO4 - )、伝導度は51.2mS/cm、酸素溶解度は0.25mM、pHは7である。図9から分かるように、2.0Mのイミダゾール/塩酸緩衝液を用いた場合には、1.0MのNaH2 PO4 /NaOH緩衝液を用いた場合に比べ
て約15倍も高い電流密度が得られている。また、図9より、電流の変化は電極表面上のpH変化とほぼ一致していることが分かる。これらの結果が得られる理由について図10および図11を参照して説明する。
図10および図11は、電極31にBOD32をポリイオンコンプレックスなどの固定化材33により、電子メディエーター34とともに固定化した様子を示す。図10に示すように、2.0Mのイミダゾール/塩酸緩衝液を用いた場合には、十分に多くのプロトン(H+ )が供給されることにより高い緩衝能が得られ、pHが安定することで高い電流密度が定常的に得られると考えられる。これに対し、図11に示すように、1.0MのNaH2 PO4 /NaOH緩衝液を用いた場合には、H+ の供給量が少ないことにより緩衝能が不十分であるため、pHが大きく増加してしまうことで電流密度が減少してしまうものと考えられる。
図12および図13は種々の緩衝液を用いた場合の3600秒(1時間)後の電流密度の緩衝液濃度に対する変化を示す。図12および図13から分かるように、イミダゾール環を有する化合物を含む緩衝液を用いた場合には、NaH2 PO4 を含む緩衝液などの他の緩衝液を用いた場合に比べ、総じて高い電流密度が得られており、特に緩衝液濃度が高くなるほどその傾向が顕著となる。また、図12および図13より、緩衝物質として2−アミノエタノール、トリエタノールアミン、TESあるいはBESを含む緩衝液を用いた場合にも、高い電流密度が得られており、特に緩衝液濃度が高くなるほどその傾向が顕著となることも分かる。
図14および図15に、図12および図13に示す緩衝液を用いた場合の3600秒後の電流密度を緩衝物質の分子量およびpKa に対してプロットしたものを示す。
このバイオ燃料電池の具体的な構成例を図16AおよびBに示す。
図16AおよびBに示すように、このバイオ燃料電池は、1cm2 のカーボンフェルトに既に述べた酵素や電子メディエーターを固定化材で固定化した酵素/電子メディエーター固定化カーボン電極からなる負極1と、1cm2 のカーボンフェルト上に既に述べた酵素や電子メディエーターを固定化材で固定化した酵素/電子メディエーター固定化カーボン電極からなる正極2とが、イミダゾール環を含む化合物あるいは2−アミノエタノール塩酸塩を緩衝物質として含む電解質層3を介して対向した構成を有している。この場合、正極2の下および負極1の上にそれぞれTi集電体41、42が置かれ、集電を容易に行うことができるようになっている。符号43、44は固定板を示す。これらの固定板43、44はねじ45により相互に締結され、それらの間に、正極2、負極1、電解質層3およびTi集電体41、42の全体が挟み込まれている。固定板43の一方の面(外側の面)には空気取り込み用の円形の凹部43aが設けられ、この凹部43aの底面に他方の面まで貫通した多数の穴43bが設けられている。これらの穴43bは正極2への空気の供給路となる。一方、固定板44の一方の面(外側の面)には燃料装填用の円形の凹部44aが設けられ、この凹部44aの底面に他方の面まで貫通した多数の穴44bが設けられている。これらの穴44bは負極1への燃料の供給路となる。この固定板44の他方の面の周辺部にはスペーサー46が設けられており、固定板43、44をねじ45により相互に締結したときにそれらの間隔が所定の間隔になるようになっている。
図16Bに示すように、Ti集電体41、42の間に負荷47を接続し、固定板44の凹部44aに燃料としてグルコース/緩衝溶液を入れて発電を行った。緩衝液としては、2.0Mのイミダゾール/塩酸緩衝液(pH7)および1.0MのNaH2 PO4 /NaOH緩衝液(pH7)の二種類を用いた。グルコース濃度は0.4Mとした。動作温度は25℃とした。図17に出力特性を示す。図17に示すように、出力(電力密度)は、緩衝液として2.0Mのイミダゾール/塩酸緩衝液を用いた場合の方が、NaH2 PO4 /NaOH緩衝液を用いた場合に比べて、約2.4倍も大きくなっている。
以上のように、この第1の実施形態によれば、動作開始前から動作中に、正極2に含まれる水の体積が正極2の空隙の体積の70%以下であることにより、正極2において高い触媒電流を得ることができ、ひいてはバイオ燃料電池において高い電流値を継続的に得ることができる。加えて、電解質層3が、イミダゾール環を含む化合物を緩衝物質として含むことにより、十分な緩衝能を得ることができる。このため、バイオ燃料電池の高出力動作時において、プロトンを介する酵素反応により、プロトンの増減がプロトンの電極内部または酵素の固定化膜内で起きても、十分な緩衝能を得ることができ、酵素の周囲の電解質のpHの至適pHからのずれを十分に小さく抑えることができる。このため、酵素が本来持っている能力を十分に発揮することができ、酵素、補酵素、電子メディエーターなどによる電極反応を効率よく定常的に行うことができる。これによって、高出力動作が可能な高性能のバイオ燃料電池を実現することができる。このバイオ燃料電池は、各種の電子機器、移動体、発電システムなどの電源に適用して好適なものである。
次に、この発明の第2の実施形態によるバイオ燃料電池について説明する。
このバイオ燃料電池においては、電解質層3が、正極2および負極1に用いられる電子メディエーターの酸化体または還元体の電荷と同符号の電荷を有する。例えば、電解質層3の少なくとも正極2側の表面が負に帯電しており、負電荷を有する。具体的には、例えば、この電解質層3の少なくとも正極2側の部分の全部または一部に、負電荷を有するポリアニオンが含まれる。好適には、このポリアニオンとしては、含フッ素カーボンスルホン酸基を有するイオン交換樹脂であるナフィオン(商品名、米国デュポン社)が用いられる。
ここで、電解質層3が電子メディエーターの酸化体または還元体の電荷と同符号の電荷を有する場合に、この電子メディエーターの酸化体または還元体が電解質層3を透過するのを防止することができることを検証するために行った比較実験の結果について説明する。
まず、市販のグラッシーカーボン(GC)電極(直径3mm)を2本用意し、ともに研磨・洗浄を行った。次に、一方のグラッシーカーボン電極にポリアニオンである市販のナフィオンのエマルジョン(20%)を5μl添加し、乾燥させた。次に、この2本のグラッシーカーボン電極を1mMのヘキサシアノ鉄酸イオン(多価アニオン)水溶液(50mM NaH2 PO4 /NaOH緩衝液、pH7)中に浸し、掃引速度20mVs-1にてサイクリックボルタンメトリー(CV)を行った。その結果を図18Aに示す。図18Bに、図18Aにおける、ナフィオンを添加したグラッシーカーボン電極を用いた場合のCV曲線を拡大して示す。図18AおよびBから分かるように、ナフィオンを添加したグラッシーカーボン電極では、添加していないグラッシーカーボン電極に対し、電子メディエーターであるヘキサシアノ鉄酸イオンに起因する酸化還元ピーク電流は20分の1以下になった。これは、負電荷を有するポリアニオンであるナフィオンに対し、このナフィオンと同じく負電荷を有する多価アニオンであるヘキサシアノ鉄酸イオンが拡散・透過していないことを示している。
次に、多孔質カーボンとして市販のカーボンフェルト(TORAY製 B0050)を用い、このカーボンフェルトを1cm角に切り取り、ヘキサシアノ鉄酸イオン(1M)80μlを染み込ませ、乾燥させた。こうして作製した電極を2枚重ねて試験電極とした。図19に示すように、この試験電極15上にフィルム状のセパレータ16(電解質層3に対応するもの)を載せ、このセパレータ16を挟んで試験電極15と対向するように作用極17を設ける。この作用極17としては、市販のカーボンフェルト(TORAY製 B0050)を1cm角に切り取ったものを用いる。そして、セパレータ16および作用極17に、0.4MのNaH2 PO4 /NaOH(pH7)からなる緩衝液18に電子メディエーターとしてヘキサシアノ鉄酸イオンを溶かしたもの(緩衝液18を入れる容器の図示は省略した)を接触させた。セパレータ16としては、電荷を持たないセロハンと、負電荷を有するポリアニオンであるナフィオン(pH7)とを用いた。ヘキサシアノ鉄酸イオンを溶かした緩衝液18(電解溶液)にセパレータ16を接触させてから5分、1時間、2時間後にサイクリックボルタンメトリーを行うことにより、試験電極15からセパレータ16を透過してきた電子メディエーター、すなわちヘキサシアノ鉄酸イオンの酸化還元ピーク値を比較した。緩衝液18内に対極19および参照電極20を浸漬し、作用極17、対極19および参照電極20に電気化学測定装置(図示せず)を接続した。対極19としてはPt線、参照電極20としてはAg|AgClを用いた。測定は大気圧で行い、測定温度は25℃とした。セパレータ16としてナフィオンを用いた場合の測定結果を図20に示す。また、セパレータ16としてセロハンを用いた場合の測定結果を図21に示す。図20および図21から分かるように、セパレータ16としてセロハンを用いた場合には、測定を開始してから早くも5分後にヘキサシアノ鉄酸イオンの酸化還元ピークが観測され、時間が経過するにつれて酸化還元ピーク値が増加するのに対し、セパレータ16としてナフィオンを用いた場合には、測定を開始してから2時間が経過しても、ヘキサシアノ鉄酸イオンの酸化還元ピークは観測されない。これより、セパレータ16としてセロハンを用いた場合にはこのセパレータ16をヘキサシアノ鉄酸イオンが透過するが、セパレータ16としてナフィオンを用いた場合にはヘキサシアノ鉄酸イオンはこのセパレータ16を透過しないことが確認された。
この第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点に加えて、次のような利点を得ることができる。すなわち、電解質層3が、正極2および負極1に用いられる電子メディエーターの酸化体または還元体の電荷と同符号の電荷を有するため、正極2および負極1の一方の電子メディエーターが電解質層3を透過して正極2および負極1の他方に移動するのを効果的に抑えることができる。このため、バイオ燃料電池の出力の低下および電気容量の低下を十分に抑えることができる。
次に、この発明の第3の実施形態によるバイオ燃料電池について説明する。
図22A、BおよびCならびに図23はこのバイオ燃料電池を示し、図22A、BおよびCはこのバイオ燃料電池の上面図、断面図および裏面図、図23はこのバイオ燃料電池の各構成要素を分解して示す分解斜視図である。
図22A、BおよびCならびに図23に示すように、このバイオ燃料電池においては、正極集電体51と負極集電体52との間に形成された空間の内部に、正極2、電解質層3および負極1が、その上下を正極集電体51と負極集電体52とにより挟まれて収納されている。これらの正極集電体51、負極集電体52、正極2、電解質層3および負極1の隣同士のものは互いに密着している。この場合、これらの正極集電体51、負極集電体52、正極2、電解質層3および負極1は円形の平面形状を有し、このバイオ燃料電池の全体も円形の平面形状を有する。
正極集電体51は、正極2で発生した電流を集めるためのものであり、この正極集電体51から外部に電流が取り出される。また、負極集電体52は、負極1で発生した電流を集めるためのものである。これらの正極集電体51および負極集電体52は、一般的には、金属や合金などにより形成されるが、これに限定されるものではない。正極集電体51は偏平でほぼ円筒状の形状を有する。負極集電体52も偏平でほぼ円筒状の形状を有する。そして、正極集電体51の外周部51aの縁が、例えばシリコーンゴムなどの絶縁性の材料からなるリング状のガスケット56aおよび例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのリング状の疎水性樹脂56bを介して負極集電体52の外周部52aに対してかしめられることにより、正極2、電解質層3および負極1を収納する空間が形成されている。疎水性樹脂56bは正極2、正極集電体51およびガスケット56aにより囲まれた空間に、これらの正極2、正極集電体51およびガスケット56aに密着した状態で設けられている。この疎水性樹脂56bにより、燃料の正極2側への過剰な染み込みを効果的に抑制することができる。電解質層3の端部は正極2および負極1の外側に延在しており、ガスケット56aと疎水性樹脂56bとの間に挟まれている。正極集電体51は、その底面の全面に複数の酸化剤供給口51bを有し、これらの酸化剤供給口51bの内部に正極2が露出している。図22Cおよび図23には13個の円形の酸化剤供給口51bが図示されているが、これは一例に過ぎず、酸化剤供給口51bの個数、形状、大きさおよび配置とも適宜選ぶことができる。負極集電体52も、その上面の全面に複数の燃料供給口52bを有し、これらの燃料供給口52bの内部に負極1が露出している。図23には7個の円形の燃料供給口52bが図示されているが、これは一例に過ぎず、燃料供給口52bの個数、形状、大きさおよび配置とも適宜選ぶことができる。
負極集電体52は負極1と反対側の面に円筒形状の燃料タンク57を有する。この燃料タンク57は負極集電体52と一体に形成されている。この燃料タンク57の中に、使用する燃料(図示せず)、例えば、グルコース溶液やこれにさらに電解質を加えたものなどが入れられる。この燃料タンク57には円筒形状の蓋58が取り外し可能に取り付けられている。この蓋58は、例えば、燃料タンク57に嵌め込まれ、あるいは、ねじ止めされるようになっている。この蓋58の中央部には円形の燃料供給口58aが形成されている。この燃料供給口58aは、例えば、図示省略した密封シールを貼り付けたりすることなどにより密封される。
このバイオ燃料電池の上記以外の構成は、その性質に反しない限り、第1の実施形態と同様である。
次に、このバイオ燃料電池の製造方法の一例について説明する。この製造方法を図24A〜Dに示す。
図24Aに示すように、まず、一端が開放した円筒形状の正極集電体51を用意する。この正極集電体51の底面の全面には複数の酸化剤供給口51bが形成されている。この正極集電体51の内部の底面の外周部の上にリング状の疎水性樹脂56bを載せ、この底面の中央部の上に、正極2、電解質層3および負極1を順次重ねる。
一方、図24Bに示すように、一端が開放した円筒形状の負極集電体52上に円筒形状の燃料タンク57を一体に形成したものを用意する。この負極集電体52には全面に複数の燃料供給口52bが形成されている。この負極集電体52の外周面の縁にU字状の断面形状のガスケット56aを取り付ける。そして、この負極集電体52をその開放部側を下にして負極1の上にかぶせ、正極集電体51とこの負極集電体52との間に、正極2、電解質層3および負極1を挟む。
次に、図24Cに示すように、こうして正極集電体51と負極集電体52との間に正極2、電解質層3および負極1を挟んだものを、かしめ機の台61の上に載せ、押圧部材62により負極集電体52を押圧して正極集電体51、正極2、電解質層3、負極1および負極集電体52の隣同士を互いに密着させ、この状態でかしめ具63を下降させて正極集電体51の外周部51bの縁をガスケット56aおよび疎水性樹脂56bを介して負極集電体52の外周部52bに対してかしめる。このかしめを行う際には、ガスケット56aが徐々に潰れて正極集電体51とガスケット56aとの間および負極集電体52とガスケット56aとの間に隙間ができないようにする。また、この際、疎水性樹脂56bも徐々に圧縮されて正極2、正極集電体51およびガスケット56aと密着するようにする。こうすることで、正極集電体51と負極集電体52とがガスケット56aにより互いに電気的に絶縁された状態でそれらの内部に、正極2、電解質層3および負極1を収納する空間が形成される。この後、かしめ具63を上昇させる。
こうして、図24Dに示すように、正極集電体51と負極集電体52との間に形成された空間の内部に正極2、電解質層3および負極1が収納されたバイオ燃料電池が製造される。
次に、燃料タンク57に蓋58を取り付け、この蓋58の燃料供給口58aより燃料および電解質を注入した後、この燃料供給口58aを密封シールを貼り付けたりすることにより閉じる。ただし、燃料および電解質は、図24Bに示す工程で燃料タンク57に注入してもよい。
このバイオ燃料電池においては、燃料タンク57に入れる燃料として例えばグルコース溶液を用いる場合、負極1は、供給されたグルコースを酵素により分解して電子を取り出すとともに、H+ を発生する。正極2は、負極1からそれぞれ電解質層3を通って輸送されたH+ と負極1から外部回路を通って送られた電子と例えば空気中の酸素とにより水を生成する。そして、正極集電体51と負極集電体52との間に出力電圧が得られる。
図25に示すように、このバイオ燃料電池の正極集電体51および負極集電体52にそれぞれメッシュ電極71、72を形成してもよい。この場合、メッシュ電極71の穴を通して外部の空気が正極集電体51の酸化剤供給口51bに入り、メッシュ電極72の穴を通って燃料が蓋58の燃料供給口58aから燃料タンク57に入る。
図26は2個のバイオ燃料電池を直列接続した場合を示す。この場合、一方のバイオ燃料電池(図中、上のバイオ燃料電池)の正極集電体51と他方のバイオ燃料電池(図中、下のバイオ燃料電池)の蓋58との間にメッシュ電極73を挟む。この場合、メッシュ電極73の穴を通って外部の空気が正極集電体51の酸化剤供給口51bに入るようになっている。燃料の供給は燃料供給システムを用いて行うことも可能である。
図27は2個のバイオ燃料電池を並列接続した場合を示す。この場合、一方のバイオ燃料電池(図中、上のバイオ燃料電池)の燃料タンク57と他方のバイオ燃料電池(図中、下のバイオ燃料電池)の燃料タンク57とをそれらの蓋58の燃料供給口58a同士が一致するように互いに接触させ、これらの燃料タンク57の側面から電極74を引き出す。また、上記一方のバイオ燃料電池の正極集電体51と上記他方のバイオ燃料電池の正極集電体51とにそれぞれメッシュ電極75、76を形成する。これらのメッシュ電極75、76は互いに接続する。メッシュ電極75、76の穴を通って外部の空気が正極集電体51の酸化剤供給口51bに入る。
この第3の実施形態によれば、燃料タンク57を除くとコイン型またはボタン型のバイオ燃料電池において、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。また、このバイオ燃料電池においては、正極集電体51と負極集電体52との間に正極2、電解質層3および負極1を挟み、正極集電体51の外周部51aの縁をガスケット56を介して負極集電体52の外周部52aに対してかしめることにより、このバイオ燃料電池では、各構成要素同士を均一に密着させることができるので、出力のばらつきを防止することができるとともに、各構成要素間の界面から燃料や電解質などの電池溶液が漏液するのを防止することができる。また、このバイオ燃料電池は製造工程が簡単である。また、このバイオ燃料電池は小型化が容易である。さらに、このバイオ燃料電池は、燃料としてグルコース溶液やデンプンを用い、使用する電解質のpHを7付近(中性)に選ぶことにより、万が一、燃料や電解質が外部に漏れても、安全である。
また、現在実用化されている空気電池では燃料および電解質を製造時に添加する必要があり、製造後に添加することは困難であるのに対し、このバイオ燃料電池では、製造後に燃料および電解質を添加することが可能であるので、バイオ燃料電池は現在実用化されている空気電池に比べて製造が容易である。
次に、この発明の第4の実施形態によるバイオ燃料電池について説明する。
図28に示すように、この第4の実施形態においては、第3の実施形態によるバイオ燃料電池から、負極集電体52に一体に設けられた燃料タンク57を取り除き、さらに正極集電体51および負極集電体52にそれぞれメッシュ電極71、72を形成したものを用い、開放系の燃料タンク57に入れられた燃料57aの上にこのバイオ燃料電池を負極1側が下に、正極2側が上になるようにして浮かべた状態で使用する。
この第4の実施形態の上記以外のことは、その性質に反しない限り、第1および第3の実施形態と同様である。
この第4の実施形態によれば、第1および第3の実施形態と同様な利点を得ることができる。
次に、この発明の第5の実施形態によるバイオ燃料電池について説明する。第3の実施形態によるバイオ燃料電池がコイン型またはボタン型であるのに対し、このバイオ燃料電池は円筒型である。
図29AおよびBならびに図30はこのバイオ燃料電池を示し、図29Aはこのバイオ燃料電池の正面図、図29Bはこのバイオ燃料電池の縦断面図、図30はこのバイオ燃料電池の各構成要素を分解して示す分解斜視図である。
図29AおよびBならびに図30に示すように、このバイオ燃料電池においては、円柱状の燃料保持部77の外周に、それぞれ円筒状の負極集電体52、負極1、電解質層3、正極2および正極集電体51が順次設けられている。この場合、燃料保持部77は、円筒状の負極集電体52により囲まれた空間からなる。この燃料保持部77の一端は外部に突き出ており、この一端には蓋78が取り付けられている。図示は省略するが、燃料保持部77の外周の負極集電体52にはその面の全体に複数の燃料供給口52bが形成されている。また、電解質層3は負極1および負極集電体52を包む袋状になっている。電解質層3と燃料保持部77の一端の負極集電体52との間の部分は例えばシール部材(図示せず)などによりシールされており、この部分から燃料が外部に漏れないようになっている。
このバイオ燃料電池においては、燃料保持部77に燃料および電解質を入れる。これらの燃料および電解質は負極集電体52の燃料供給口52bを通って負極1に到達し、この負極1の空隙部に浸透することにより、この負極1の内部に蓄えられるようになっている。負極1の内部に蓄えることができる燃料の量を多くするためには、負極1の空隙率は例えば60%以上とすることが望ましいが、これに限定されるものではない。
このバイオ燃料電池においては、耐久性向上のために、正極集電体51の外周面に気液分離層を設けてもよい。この気液分離層の材料としては、例えば、防水性透湿性素材(ポリテトラフルオロエチレンを延伸加工したフィルムとポリウレタンポリマーとを複合化した素材)(例えば、WLゴア&アソシエイツ社製のゴアテックス(商品名))を用いる。このバイオ燃料電池の各構成要素同士を均一に密着させるために、好適には、この気液分離層の外側または内側に、外部から空気が透過可能な網目構造を有する伸縮性ゴム(バンド状でもシート状でも可)を巻き付けてこのバイオ燃料電池の構成要素の全体を締め付ける。
この第5の実施形態の上記以外のことは、その性質に反しない限り、第1および第3の実施形態と同様である。
この第5の実施形態によれば、第1および第3の実施形態と同様な利点を得ることができる。
次に、この発明の第6の実施形態によるバイオ燃料電池について説明する。
このバイオ燃料電池においては、燃料として、多糖類であるデンプンを用いる。また、デンプンを燃料に用いることに伴い、負極11にデンプンをグルコースに分解する分解酵素であるグルコアミラーゼも固定化する。
このバイオ燃料電池においては、負極1側に燃料としてデンプンが供給されると、このデンプンがグルコアミラーゼによりグルコースに加水分解され、さらにこのグルコースがグルコースデヒドロゲナーゼにより分解され、この分解プロセスにおける酸化反応に伴ってNAD+ が還元されてNADHが生成され、このNADHがジアホラーゼにより酸化されて2個の電子とNAD+ とH+ とに分離する。したがって、グルコース1分子につき1段階の酸化反応で2個の電子と2個のH+ とが生成される。2段階の酸化反応では合計4個の電子と4個のH+ とが生成される。こうして発生する電子は負極1の電極11に渡され、H+ は電解質層3を通って正極2まで移動する。正極2では、このH+ が、外部から供給された酸素および負極1から外部回路を通って送られた電子と反応してH2 Oを生成する。
上記以外のことは第1の実施形態によるバイオ燃料電池と同様である。
この第6の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができるほか、デンプンを燃料に用いていることにより、グルコースを燃料に用いる場合に比べて発電量を増加させることができるという利点を得ることができる。
以上、この発明の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態において挙げた数値、構造、構成、形状、材料などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、構成、形状、材料などを用いてもよい。
この発明の第1の実施形態によるバイオ燃料電池を示す略線図である。 この発明の第1の実施形態によるバイオ燃料電池の負極の構成の詳細ならびにこの負極に固定化された酵素群の一例およびこの酵素群による電子の受け渡し反応を模式的に示す略線図である。 この発明の第1の実施形態によるバイオ燃料電池の正極の水分量による触媒電流値の変化の測定のために行った実験の結果を示す略線図である。 この発明の第1の実施形態によるバイオ燃料電池の評価のために行ったクロノアンペロメトリーの結果を示す略線図である。 この発明の第1の実施形態によるバイオ燃料電池の評価のために行ったクロノアンペロメトリーの結果から得られた緩衝液濃度と得られる電流密度との関係を示す略線図である。 図4に示すクロノアンペロメトリーの測定に用いられた測定系を示す略線図である。 この発明の第1の実施形態によるバイオ燃料電池の評価のために行ったサイクリックボルタンメトリーの結果を示す略線図である。 図7に示すサイクリックボルタンメトリーの測定に用いられた測定系を示す略線図である。 この発明の第1の実施形態によるバイオ燃料電池においてイミダゾールを含む緩衝液およびNaH2 PO4 緩衝液を用いて行ったクロノアンペロメトリーの結果を示す略線図である。 この発明の第1の実施形態によるバイオ燃料電池においてイミダゾールを含む緩衝液を用いた場合に大きな電流を定常的に得ることができるメカニズムを説明するための略線図である。 この発明の第1の実施形態によるバイオ燃料電池においてNaH2 PO4 緩衝液を用いた場合に電流が減少するメカニズムを説明するための略線図である。 この発明の第1の実施形態によるバイオ燃料電池において種々の緩衝液を用いた場合の緩衝液濃度と電流密度との関係を示す略線図である。 この発明の第1の実施形態によるバイオ燃料電池において種々の緩衝液を用いた場合の緩衝液濃度と電流密度との関係を示す略線図である。 この発明の第1の実施形態によるバイオ燃料電池において種々の緩衝液を用いた場合の緩衝液の緩衝物質の分子量と電流密度との関係を示す略線図である。 この発明の第1の実施形態によるバイオ燃料電池において種々の緩衝液を用いた場合の緩衝液のpKa と電流密度との関係を示す略線図である。 この発明の第1の実施形態によるバイオ燃料電池の具体的な構成例を示す略線図である。 この発明の第1の実施形態において評価に用いたバイオ燃料電池の出力の測定結果を示す略線図である。 この発明の第2の実施形態によるバイオ燃料電池における電子メディエーターの透過防止効果を検証するために行ったサイクリックボルタンメトリーの結果を示す略線図である。 この発明の第2の実施形態によるバイオ燃料電池における電子メディエーターの透過防止効果を検証するために行ったサイクリックボルタンメトリーに用いられた測定系を示す略線図である。 この発明の第2の実施形態によるバイオ燃料電池における電子メディエーターの透過防止効果を検証するために行ったサイクリックボルタンメトリーの結果を示す略線図である。 この発明の第2の実施形態によるバイオ燃料電池における電子メディエーターの透過防止効果を検証するために行ったサイクリックボルタンメトリーの結果を示す略線図である。 この発明の第3の実施形態によるバイオ燃料電池を示す上面図、断面図および裏面図である。 この発明の第3の実施形態によるバイオ燃料電池を示す分解斜視図である。 この発明の第3の実施形態によるバイオ燃料電池の製造方法を説明するための略線図である。 この発明の第3の実施形態によるバイオ燃料電池の使用方法の第1の例を説明するための略線図である。 この発明の第3の実施形態によるバイオ燃料電池の使用方法の第2の例を説明するための略線図である。 この発明の第3の実施形態によるバイオ燃料電池の使用方法の第3の例を説明するための略線図である。 この発明の第4の実施形態によるバイオ燃料電池およびその使用方法を示す略線図である。 この発明の第5の実施形態によるバイオ燃料電池を示す正面図および縦断面図である。 この発明の第5の実施形態によるバイオ燃料電池を示す分解斜視図である。
符号の説明
1…負極、2…正極、3…電解質層、11…電極、41、42…Ti集電体、43、44…固定板、47…負荷、51…正極集電体、51b…酸化剤供給口、52…負極集電体、52b…燃料供給口、56a…ガスケット、56b…疎水性樹脂、57…燃料タンク、58…蓋、71、72、73…メッシュ電極、77…燃料保持部、78…蓋

Claims (11)

  1. 正極と、
    電解質層と、
    上記電解質層を介して上記正極と対向した負極とを有し、
    少なくとも上記正極に酵素が固定化されており、上記正極が内部に空隙を有する多孔質の材料からなり、
    動作開始前から動作中に上記正極に含まれる水の体積が上記正極の空隙の体積の70%以下であり、
    上記電解質層が、緩衝物質としてのイミダゾール環を有する化合物と塩酸とを含む緩衝液が接触したセロハンからなり、あるいは、上記電解質層が、緩衝物質としてのイミダゾール環を有する化合物と塩酸とを含む緩衝液を含み、かつ上記正極または上記正極と接触した層がフッ素系樹脂を用いたものである燃料電池。
  2. 上記イミダゾール環を有する化合物がイミダゾールである請求項1記載の燃料電池。
  3. 上記フッ素系樹脂はナフィオン(登録商標)、ポリフッ化ビニリデンまたはポリテトラフルオロエチレンである請求項1記載の燃料電池。
  4. 上記正極に上記酵素に加えて電子メディエーターが固定化されている請求項1記載の燃料電池。
  5. 上記酵素が、上記正極に固定化された酸素還元酵素を含む請求項1記載の燃料電池。
  6. 上記酸素還元酵素がビリルビンオキシダーゼである請求項5記載の燃料電池。
  7. 上記負極に酵素が固定化されており、この酵素が、上記負極に固定化された、単糖類の酸化を促進し分解する酸化酵素を含む請求項1記載の燃料電池。
  8. 上記負極に固定化された酵素が、上記単糖類の酸化に伴って還元された補酵素を酸化体に戻すとともに電子メディエーターを介して電子を上記負極に渡す補酵素酸化酵素を含む請求項7記載の燃料電池。
  9. 上記補酵素の酸化体がNAD+であり、上記補酵素酸化酵素がジアホラーゼである請求項8記載の燃料電池。
  10. 上記酸化酵素がNAD+依存型グルコースデヒドロゲナーゼである請求項7記載の燃料電池。
  11. 一つまたは複数の燃料電池を用い、
    少なくとも一つの上記燃料電池が、
    正極と、
    電解質層と、
    上記電解質層を介して上記正極と対向した負極とを有し、
    少なくとも上記正極に酵素が固定化されており、上記正極が内部に空隙を有する多孔質の材料からなり、
    動作開始前から動作中に上記正極に含まれる水の体積が上記正極の空隙の体積の70%以下であり、
    上記電解質層が、緩衝物質としてのイミダゾール環を有する化合物と塩酸とを含む緩衝液が接触したセロハンからなり、あるいは、上記電解質層が、緩衝物質としてのイミダゾール環を有する化合物と塩酸とを含む緩衝液を含み、かつ上記正極または上記正極と接触した層がフッ素系樹脂を用いたものである電子機器。
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