以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係るにエンジンの動弁機構10を模式的に示した説明図である。
第1実施形態の動弁機構10は、1気筒あたり図示せぬ2つの動弁(例えば吸気弁)を備え、かつ動弁のバルブリフト量をエンジンの運転状態に応じて変更可能なものである。詳述すると、第1実施形態の動弁機構10は、低速低負荷域では、高速高負荷域に比べて、バルブリフト量が小さくなると共に、動弁のリフト作動角、すなわち動弁の開弁期間が小さくなるよう変更可能であり、高速高負荷域では、低速低負荷域に比べて、バルブリフト量が大きくなると共に、動弁のリフト作動角、すなわち動弁の開弁期間が大きくなるよう変更可能なものである。つまり、動弁機構10は、動弁のバルブリフト量が大きくなると動弁のリフト作動角も大きくなり、動弁のバルブリフト量が小さくなると動弁のリフト作動角も小さくなる。
動弁機構10は、エンジン前後方向(気筒列方向)に沿ってシリンダヘッド上部に回転自在に支持された駆動軸11と、駆動軸11に設けられた駆動カム112と、駆動カム112の外周面に相対回転可能に嵌合したリンクアーム12と、駆動軸11と平行に設けられ、かつ主軸部131と偏心カム部132とウェブプレート133とを有する少なくとも所定角度範囲で回転可能な制御軸13と、制御軸13の偏心カム部132に回転可能に装着され、かつリンクアーム12により揺動される揺動アーム14と、駆動軸11に回転可能に支持されるとともに、揺動アーム14に細長いリンクロッド15を介して連結され、揺動アーム14に伴って揺動することにより動弁(図示せず)を押圧する揺動カム16と、から大略構成され、エンジン回転に同期して回転する駆動軸11に応動して揺動カム16が揺動して動弁を開閉するものである。尚、駆動軸11及び制御軸13は図示せぬ軸受により回転自在に支持されている。
駆動軸11は、エンジンのクランク軸(図示せず)からトルクが伝達されて回転するものであって、円筒形状の駆動軸本体111と駆動カム112とから構成されている。駆動軸本体111の内部には、主油通路31が形成されている。駆動カム112は、円筒形状の固定ピン18(後述する図3〜図6を参照)によって駆動軸本体111に連結固定されており、駆動軸本体111と一体回転する。駆動カム112は、駆動軸本体111の軸心から偏倚した偏心回転カムであって、カムボディ112aとボス部112bとを有し、カムボディ112aとボス部112bとは一体形成されている。また、カムボディ112aの軸心は駆動軸本体111の軸心から径方向へ所定量オフセットするよう設定されている。尚、固定ピン18による駆動カム112と駆動軸本体111との連結構造については後述する。
制御軸13は、主軸部131の軸心に対して偏心カム部132の軸心がオフセットしたクランク形状を呈し、主軸部131と偏心カム部132が薄板状のウェブプレート133を介して接続されている。この制御軸13は、アクチュエータ(図示せず)によって所定回転角度範囲内で回転するように制御される。アクチュエータは、クランク角センサやエアフロメータ、水温センサ等の各種センサからの検出信号から検出されたエンジンの現在の運転状態に基づいて制御軸13を回転制御するものである。そして、制御軸13が回転制御されると、偏心カム部132の偏倚位置が調整され、揺動アーム14の揺動中心が変更される。そして、制御軸13の回転角度位置に応じて動弁のリフトならびに作動角が、両者同時に、連続的に拡大、縮小する。
リンクアーム12は、図1及び図2に示すように、駆動カム112の外周面に相対回転可能に嵌合する大端部12aと、第1の回転支点としての揺動アーム14のピン部21の外周に相対回転可能に嵌合する小端部12bとを有し、揺動アーム14に隣接して配置されている。
揺動アーム14は、キャップ141と、リンクアーム12と連係する円柱形状のピン部21をする有するアームボディ142と、から大略構成され、キャップ141とキャップ141よりも駆動軸11側に位置するアームボディ142とにより偏心カム部132を挟み込み、回転可能に支持している。換言すると、揺動アーム14は、制御軸13の偏心カム部132を回転可能に支持する制御軸支持部143と、リンクアーム12と連係する円柱形状のピン部21とを有している。制御軸支持部143は、キャップ141に形成されたキャップ側制御軸支持部36と、アームボディ142に形成されたアームボディ側制御軸支持部37とによって構成されている。さらに言えば、揺動アーム14は、その一端側に制御軸支持部143が形成され、他端側にピン部21が形成されている。尚、キャップ141とアームボディ142とは、ボルト38により結合されている。
リンクロッド15は、一端が第2の回転支点となるピン22を介して揺動アーム14のアームボディ142に回転可能に連結され、他端が回転支点となるピン23を介して揺動カム16に回転可能に連結されている。換言すれば、リンクロッド15は、一端がピン22を介して揺動アーム14の他端側に連結されている。つまり、リンクロッド15は、制御軸13に対して揺動アーム14のピン部21と同一側に位置するピン22を介して揺動アーム14に連係されている。ここでピン22は、ピン部21よりも偏心カム部132の軸心から離れている。
揺動カム16は、パイプ17に固設された一対の部材であり、パイプ17は、駆動軸11を挿通し、駆動軸11を中心として揺動自在となっている。そして、揺動カム16の回転により動弁が開閉するようになっている。
図3及び図4は、本発明の第1実施形態における駆動カム112を示している。駆動カム112には、駆動軸本体111が貫通する駆動軸貫通孔24と、この駆動軸貫通孔24と直交する直線状の第1貫通孔25とが形成されている。駆動軸貫通孔24の軸心は、駆動カム112の軸心に対してオフセットしている。
第1貫通孔25は、一端が駆動カム112の外周面に開口し、他端が駆動軸貫通孔24の内周面に開口して固定ピン18が内部に圧入される第1孔部26と、一端が駆動カム112の外周面に開口し、他端が第1孔部26の他端と対向するよう駆動軸貫通孔24の内周面に開口し、第1孔部26の孔径よりも孔径の小さい第2孔部27と、によって大略構成されている。第1孔部26の軸心と第2孔部27の軸心と互いに一致するように形成されている。尚、図示はしないが、第1孔部26と連続する孔部が駆動軸本体部111に形成されており、第1孔部26に圧入された固定ピン18が圧入されることで、駆動カム112が駆動本体111に連結固定されている。
そして、第1孔部26は、駆動カム112の外周面のうち弁リフトが減少する際に接触荷重が増加する側(下り正加速度側)に一端が開口するよう形成され、第2孔部27は、駆動カム112の外周面のうち弁リフトが増加する際に接触荷重が増加する側(上り正加速度側)に一端が開口するよう形成されている。換言すれば、図4に示すように、駆動カム112の中心と駆動軸本体111の中心を通る直線Lによって図4の左右に2つに分けられた駆動カム112の外周面のうち、図4における左側(下り正加速度側)の駆動カム112の外周面に第1孔部26が形成され、図4における右側(上り正加速度側)の駆動カム112の外周面に第2孔部27が形成されている。
図5に示すように、固定ピン18は、駆動軸11の主油通路31内の潤滑油を駆動カム11とリンクアーム12との摺動部分に供給する油孔28を備えている。
油孔28は、固定ピン18の中心に固定ピン長手方向に沿って設けられた第1油孔部29と、一端が固定ピン18の外周面に開口し他端が第1油孔部29の内周面に開口すると共に、第1油孔部29に対して直交するよう設けられた2つの第2油孔部30と、から構成されている。2つの第2油孔部30は、互いに直交するよう固定ピン18に形成されている。
また、図6に示すように、第1油孔部29は、その孔径が、第2孔部27の孔径よりも小さくなるよう形成されている。
ここで、第1実施形態の動弁機構10は、リンクアーム14に対する揺動アーム14の回転支点となるピン部21と、揺動アーム14に対するリンクロッド15の回転支点となるピン22とが、揺動アーム14の制御軸13に対して対して同一側、すなわち揺動アーム14の他端側に位置するように設定されているので、駆動カム112で揺動アーム14を引き下げて動弁をリフトさせることになり、リンクアーム12には引っ張り方向の荷重が作用する。
図7を用いて詳述する。図7(A−1)は、制御軸13を挟んでピン部21とピン22とが反対側に位置するタイプ(通常リンク)の可変動弁機構において、動弁を開弁するときのリンクの状態を示す側面図であり、図7(A−2)は通常リンクの可変動弁機構の正面図である。図7(B−1)は、上述した第1実施形態の可変動弁機構と同様に制御軸13に対してピン部21とピン22とが同一側に位置するタイプ(引き下げリンク)の可変動弁機構において、動弁を開弁するときのリンクの状態を示す側面図であり、図7(B−2)は引き下げリンクの可変動弁機構の正面図である。尚、図7(A−1)、図7(A−2)、図7(B−1)、図7(B−2)においては、説明の便宜上、第1実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略するものとする。
図7(A−1)、図7(A−2)に示したような制御軸13を挟んでピン部21とピン22とが反対側に位置するタイプの可変動弁機構においては、動弁が開弁するときに荷重が以下のように作用する。すなわち、駆動軸11が回転してカムボディ112aが上昇すると、リンクアーム12を介してピン部21の位置も上昇する。すると揺動アーム14を介してピン22の位置が下降する。するとリンクロッド15を介して揺動カム16が押し下げられて動弁が開弁する。このように動弁が開弁するときは、図7(A−1)に示すように、リンクアーム12には圧縮方向に荷重が作用し、揺動アーム14の両端には上向き荷重が作用する。そして、揺動アーム14の両端には、同方向の荷重が作用するので、図7(A−2)に示すように、揺動アーム14に生じるモーメントMx1は揺動アーム14を倒すようなモーメントとしては作用しない。
これに対して、図7(B−1)、図7(B−2)に示したような制御軸13に対してピン部21とピン22とが同一側に位置するタイプの可変動弁機構においては、動弁が開弁するときに荷重が以下のように作用する。すなわち、駆動軸11が回転してカムボディ112aが下降すると、リンクアーム12を介してピン部21の位置も下降する。すると揺動アーム14を介してピン22の位置も下降する。するとリンクロッド15を介して揺動カム16が押し下げられて動弁が開弁する。このように動弁が開弁するときは、図7(B−1)に示すようにリンクアーム12には引っ張り方向に荷重が作用し、図7(B−2)に示すように揺動アーム14の制御軸軸方向に沿った一方の端部には下向き荷重が作用するが、揺動アーム14の制御軸軸方向に沿ったもう一方の端部には上向き荷重が作用する。そして、揺動アーム14の制御軸軸方向に沿った両端に反対方向の荷重が作用するので、図7(B−2)に示すように、揺動アーム14を倒すような大きな倒れモーメントMx2が発生することになる。
ここで、上述の図2に示すように、リンクアーム12は、その形状から圧縮方向の剛性は高く、引張方向の剛性は低いことがわかる。つまり、上述した第1実施形態における動弁機構10のような「引き下げリンク」の可変動弁機構においては、リンクアーム12に大きな荷重が作用すると、「通常リンク」の可変動弁機構に比べて、リンクアーム12により大きな変形が生じることになる。
図8は、駆動カム112の外周面(摺動面)に作用する接触荷重を模式的に示した説明図であって、図8(a)はエンジン回転数が低速時、図8(b)はエンジン回転数が高速時をそれぞれ示している。尚、図8(a)及び図8(b)において、上段は、図4における駆動カム112を外周面(摺動面)を平面に展開して示した模式図、中段は、上述した第1実施形態における動弁機構10(引き下げリンク)のリンクアーム12と駆動カム112との接触荷重を模式的に示した説明図、下段は、上述した第1実施形態における動弁機構10が上述の「通常リンク」の場合のリンクアーム12と駆動カム112との接触荷重を模式的に示した説明図である。また、図8(a)及び図8(b)における中段及び下段の説明図において、縦軸はリンクアーム12と駆動カム112との接触荷重を示し、横軸は図4に示した駆動カム112を外周面(摺動面)を平面に展開したときの、当該外周面上の位置(図4に記載したように、反時計回りに0°、90°、180°、270°)を示している。
図8における陰付き部分(網掛け部分)2箇所は、駆動カム112の外周面上に設けられた第1孔部26及び第2孔部27の開口(孔)の位置を示している。この陰付き部分では、摺動幅が減少するので、大きな接触荷重が発生しないことが望ましい。
以下にこの図8から分かることを列挙する。
1)エンジン回転数が低速のとき(図8a)
「引き下げリンク」の可変動弁機構及び「通常リンク」の可変動弁機構ともに、第1孔部26及び第2孔部27の開口の近傍における接触荷重の発生はほぼ皆無である。低速時には、リンク機構に発生する力の主要因がバルブスプリング荷重だからである。このため、接触荷重の波形は、バルブリフト波形と非常によく似ている。この場合は、第1孔部26及び第2孔部27の開口が約90〜270°の範囲に重ならなければよいので、第1孔部26及び第2孔部27の開口の大きさを工夫する必要性があまりない。
2)エンジン回転数が高速のとき(図8b)
「引き下げリンク」の可変動弁機構及び「通常リンク」の可変動弁機構ともに、第1孔部26及び第2孔部27の開口の近傍に接触荷重が発生するようになる。高速時には、リンク機構に発生する力の主要因がバルブ加速度に移行するためである。実際、リフトが最大となる180°近傍の接触荷重はほぼゼロで、その両脇すなわちバルブ加速度が最大となる付近に荷重のピークが現れている(第1のピーク)。また、高速時にはクリアランス内での部品の挙動が激しくなるので、バルブがリフトしている期間以外にも接触荷重が発生している(第2、第3のピーク)。
上り正加速度側に発生する第2のピークと下り正加速度側に発生する第3のピークとで接触荷重の大小を比較すると、「引き下げリンク」の可変動弁機構及び「通常リンク」の可変動弁機構ともに前者側の方が大きい。よって、リンクの形式にかかわらず、上り正加速度側の油孔を小さくし、下り正加速度側の油孔を大きくすることが望ましい、ということがいえる。つまり、「引き下げリンク」の可変動弁機構及び「通常リンク」の可変動弁機構ともに、上り正加速度側の油孔を小さくし、下り正加速度側の油孔を大きくすることで、駆動カム112とリンクアーム12との摺動部分への潤滑油の供給と、当該摺動部分の接触面積の確保とを両立することができる。
また、駆動カム112の外周面のうち弁リフトが減少する際に接触荷重が増加する側の接触荷重は、駆動カム112の外周面のうち弁リフトが増加する際に接触荷重が増加する側の接触荷重よりも相対的に小さいので、上述した第1実施形態の動弁機構10のような「引き下げリンク」の可変動弁機構において、上り正加速度側の油孔を小さくし、下り正加速度側の油孔を大きくすると、駆動カム112とリンクアーム12との摺動部分への潤滑油の供給と、当該摺動部分の接触面積の確保との両立を図る上で一層を有利となる。
要するに、リンクアーム12と揺動アーム14とを連係する第1の回転支点と、揺動アーム14とリンクロッド15とを連係する第2の回転支点とが、制御軸13に対して同一側に位置している場合には、図8に示すように、駆動カム112の外周面のうち弁リフトが減少する際に接触荷重が増加する側の接触荷重(第3のピーク)が、駆動カム112の外周面のうち弁リフトが増加する際に接触荷重が増加する側の接触荷重(第2のピーク)に比べて小さくなるので、孔径の大きい第1孔部26を駆動カム112の外周面のうち弁リフトが減少する際に接触荷重が増加する側に設け、孔径の小さい第2孔部27を駆動カム112の外周面のうち弁リフトが増加する際に接触荷重が増加する側に設けることが、駆動カム112とリンクアーム12との摺動部分への潤滑油の供給と、当該摺動部分の接触面積の確保との両立を図る上でより一層有利となる。
また、この第1実施形態においては、第1油孔部29の孔径が、第2孔部27の孔径よりも小さくなるよう形成されているので、第2孔部側から治具を挿入すれば、圧入された固定ピン18を容易に外すことができ、メンテナンス性を向上させることができる。
そして、第2油孔部30の孔径は、第1油孔部29の孔径よりも小さくなる形成されているので、固定ピン18の剛性を増大させる上で有利な構成となっている。
また、固定ピン18に設けられた2つの第2油孔部30が互いに直交するよう形成されているので、固定ピン18を無作為に圧入しても2つの第2油孔部30の一端側の開口が双方ともが駆動軸11の軸線方向を向かないという状況を回避することができ、固定ピン18内に、第2油孔部30を介して駆動軸10の主油通路31から潤滑油を一層円滑に導入することができ、駆動カム112とリンクアーム12との摺動部分における焼き付き等の摺動トラブル発生をより一層抑制することができる。
尚、固定ピン18に設けられる第2油孔部30の数は、2つに限定されるものではなく、少なくとも2つ以上の第2油孔部30を設けるようにすれば、第2油孔部30の一端側の開口の全てが駆動軸11の軸線方向を向かないという状況を回避しやすくなるので、固定ピンを無作為に圧入しても、給油性能が損なわてしまうことを抑制することができる。すなわち、固定ピン18に少なくとも2つ以上の第2油孔部30を設けるようにすれば、この固定ピン18の圧入作業性が向上し、圧入作業時の作業時間を短縮することができる。そして、固定ピン18内には、複数の第2油孔部30を介して駆動軸11の主油通路31から潤滑油が導入されるので、駆動カム112とリンクアーム12との摺動部分に供給する潤滑油を十分に確保することができ、該摺動部分における焼き付き等の摺動トラブル発生を抑制することができる。
また、上述した第1実施形態における制御軸13は、主軸部131の軸心に対して偏心カム部132の軸心がオフセットしたクランク形状を呈しているが、本願発明は、制御軸13がこのようなクランク形状となっていない動弁機構にも適用可能である。
以下、本発明の他の実施形態について説明する。尚、上述した第1実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付し重複する説明を省略する。
図9及び図10を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、上述した第1実施形態と略同一構成となっているが、駆動カム112の外周面には、第2孔部27の孔径よりも小さい幅で、駆動カム112の周方向に沿って延びる油溝41が、第2孔部27の一端側の開口と連続するように形成されている。詳述すると、駆動カム112の周方向に沿って、第2孔部27の一端側の開口を跨ぐように、駆動カム112の外周面に油溝41が形成されている。
駆動カム112に設ける第1孔部26の径に比べて第2孔部27の径が小さいと、第2孔部27側の給油期間が短くなるという問題がある。そこで、第2孔部27側に駆動カム112の周方向に沿った油溝41を形成することで、第2孔部27側の駆動カム112とリンクアーム12との摺動部分に対する給油期間を相対的に長くすることができる。
また、油溝41の幅を、第2孔部27の孔径よりも小さい幅とすることで、第2孔部27側における駆動カム112とリンクアーム12との摺動部分の摺動幅の減少を抑制しつつ給油期間を相対的に長くすることができる。
図11及び図12を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態は、上述した第1実施形態と略同一構成となっているが、駆動カム112には、駆動軸11の主油通路31と連通する第2貫通孔45が形成されている。
この第2貫通孔45は、一端が駆動軸貫通孔24の中心から最も離れた駆動カム112の外周面に開口し、他端が駆動軸貫通孔24の内周に開口するよう駆動カム112に形成されている。
リンクアーム12と揺動アーム14とを連係する第1の回転支点と、揺動アーム14とリンクロッド15とを連係する前記第2の回転支点とが、制御軸13に対して同一側に位置している場合には、上述したように、駆動カム112で揺動アーム14を引き下げて動弁をリフトさせることになり、リンクアーム12には引っ張り方向の荷重が作用する。
リンクアーム12の変形を考慮しない場合、リンクアーム12と駆動カム112の接触荷重は、図13に斜線で示す位置に強く発生する。ところが実際には、図14に示すように、リンクアーム12は弾性変形し、いわゆるクローズイン(径が縮小して軸に巻き付く現象)が発生する。その結果、最も接触荷重が高い部分は、駆動軸11の中心及び駆動カム112の中心を通り、かつリンクリンクアーム12の中心を通る直線からは若干左右(脇)にずれることとなる。
そのため、一端が駆動軸11の中心から最も離れた駆動カム112の外周面に開口するように第2貫通孔45を設けることによって、駆動カム112とリンクアーム12との摺動部分への給油量を増加させることで、当該摺動部分の冷却性能及び潤滑性能を向上させることができる。
但し、第2貫通孔45は、補助的なものとみなすのがよく、摺動幅を十分に確保しておくのがやはり好ましいので、第2貫通孔45の径、すなわち駆動カム112の外周面に開口した一端側の開口の径は、あまり大きくしないほうが良い。
尚、制御軸13を挟んでピン部21とピン22とが反対側に位置するタイプ(通常リンク)の可変動弁機構においては、上述したように、駆動カム112で揺動アーム14を押し上げて動弁をリフトさせることになり、リンクアーム12には圧縮方向の荷重が作用する。そのため、このような「通常リンク」の可変動弁機構において、リンクアーム12の変形を考慮しない場合、リンクアーム12と駆動カム112の接触荷重は、図15に斜線で示す位置に強く発生することになるが、リンクアーム12の圧縮方向の剛性は高いので、上述したクローズインは全くといってよいほど発生しない。従って、「通常リンク」の可変動弁機構において、上述した第3実施形態における第2貫通孔45を組み合わせるのは好ましくない。それは、当該接触部分にはクリアランスがほとんどなく、第2貫通孔45からの給油の効果は期待できないからである。
図16を用いて、本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態は、上述した第1実施形態と略同一構成となっているが、駆動カム112に貫通形成された第1貫通孔25の軸線が、駆動軸11の中心に対してオフセットするよう形成されている。詳述すると、第1貫通孔25の第1孔部26及び第2孔部27の双方の軸心が駆動軸11の中心に対して、図16における上方側、換言すれば駆動カム112の中心側にオフセットするよう形成されている。尚、第1孔部26の軸心と第2孔部27の軸心は、互いに一致している。
このような第4実施形態においては、第1孔部26に圧入される固定ピン18の長さを相対的に短くすることができ、固定ピン18の剛性を向上させることができる。そして、第1貫通孔25の軸線が、駆動軸11の中心に対して、駆動カム112の中心側にオフセットしているので、駆動カム112の駆動軸貫通孔24周りの肉厚が相対的に増加し、駆動カム112の駆動軸貫通孔24近傍の応力を緩和することができる。尚、第1貫通孔25の軸線と、駆動軸11の中心とのオフセット量は、例えば、図8に示す接触荷重の発生状況から決定すればよい。
また、この第4実施形態においては、第1貫通孔25の第1孔部26及び第2孔部27の双方の軸心が駆動軸11の中心に対してオフセットするよう形成されているが、第1孔部26のみ駆動軸11の中心に対してオフセットするよう形成しても、固定ピン18の長さを相対的に短くすることができる。
図17及び図18を用いて、本発明の第5実施形態について説明する。第5実施形態は、上述した第1実施形態と略同一構成となっているが、駆動カム112に形成された第2孔部27が、駆動軸貫通孔側が相対的に大径となる段付孔状に形成されている。そして、この第2孔部27の段付部分51に固定ピン18の端面が接触可能となるように構成されている。
これによって、第2孔部27の段付部分51を固定ピン18の座面とすれば、固定ピン18の圧入代の管理が容易になり、固定ピン18の圧入作業性を向上させることができる。
図19を用いて、本発明の第6実施形態について説明する。第6実施形態は、上述した第1実施形態と略同一構成となっているが、固定ピン18に設けられた2つの第2油孔部30は、固定ピン18の長手方向に互いにオフセットするよう形成されている。
これによって、2つの第2油孔部30が、固定ピン18の長手方向に互いにオフセットしていない場合に比べて、固定ピン18の剛性を増大させることができる。
図20を用いて、本発明の第7実施形態について説明する。第7実施形態は、上述した第1実施形態と略同一構成となっているが、固定ピン18には、第2油孔部30が1つだけ形成されている。そして、この固定ピン18には、当該固定ピン18を第1孔部26に圧入する際の向きを規定するキー55が設けられている。このキー55は、固定ピン18に形成されたキー溝(図示せず)に嵌合するものであって、固定ピン18とは別体である。また、駆動カム112の第1孔部26には、このキー55と嵌合するキー溝(図示せず)が形成されている。
そして、キー55、固定ピン18に形成されたキー溝及び第1孔部26に形成されたキー溝は、固定ピン18が第1孔部26に圧入された際に第2油孔部30の一端側の開口が駆動軸11の軸線方向を向くように、それぞれ設定されている。
これによって、固定ピン18に複数の第2油孔部30を設けることなく、固定ピン18の第1油孔部29内に駆動軸11の主油通路31から潤滑油を円滑に導入することが可能となる。つまり、複数の第2油孔部30を設けることで固定ピン18の剛性を損なうことなく、駆動カム112とリンクアーム12との摺動部分における焼き付き等の摺動トラブル発生を抑制することができる。
尚、この第7実施形態においては、固定ピン18とキー55が別体であるが、固定ピン18とキー55とが一体となるように形成してもよい。
図21を用いて、本発明の第8実施形態について説明する。第8実施形態は、上述した第1実施形態と略同一構成となっているが、固定ピン18には、第2油孔部30が1つだけ形成されている。そして、この固定ピン18の端面のうち、当該固定ピン18を第1孔部26に圧入する際に圧入治具(図示せず)と当接する端面には、第1孔部26に圧入する際の向きを規定する凹部61が設けられている。
この凹部61は、前記圧入治具側に設けられた凸部(図示せず)と嵌合するものであって、固定ピン18の凹部61と前記圧入治具の凸部とを組み合わせことで、固定ピン18が第1孔部26に圧入された際に第2油孔部30の一端側の開口が駆動軸11の軸線方向を向くように設定されている。
これによって、固定ピン18に複数の第2油孔部30を設けることなく、固定ピン18の第1油孔部29内に駆動軸11の主油通路31から潤滑油を円滑に導入することが可能となる。つまり、複数の第2油孔部30を設けることで固定ピン18の剛性を損なうことなく、駆動カム112とリンクアーム12との摺動部分における焼き付き等の摺動トラブル発生を抑制することができる。
尚、この第8実施形態においては、固定ピン18に凹部61が形成され圧入治具側に凸部が形成されているが、固定ピン18に凸部を形成し、圧入治具側に固定ピン18の凸部に嵌合する凹部を形成することも可能である。但し、一般的に、圧入治具よりも固定ピンの製造数の方が多いので、この第8実施形態のように、固定ピン18に凹部61を設け、圧入治具側に固定ピン18の凹部61に嵌合する凸部を設ける方が合理的である。
尚、上述した各実施形態は、制御軸13に対してピン部21とピン22とが同一側に位置する動弁機構(引き下げリンクの可変動弁機構)を前提としているが、本願発明は、制御軸13を挟んでピン部21とピン22とが反対側に位置する動弁機構(通常リンクの可変動弁機構)にも適用可能である。
上述した実施形態から把握し得る本発明の技術的思想について、その効果とともに列記する。
(1) 内部に主油通路が形成され、エンジン回転に同期して回転する駆動軸と、固定ピンにより前記駆動軸に固定された駆動カムと、該駆動カムの外周面に相対回転可能に嵌合したリンクアームと、前記駆動軸と平行に設けられ、かつ主軸部と偏心カム部とを有する回転可能な制御軸と、該制御軸の偏心カム部に回転可能に装着され、かつ第1の回転支点を介して前記リンクアームにより揺動される揺動アームと、第2の回転支点を介して前記揺動アームに連係されたリンクロッドと、前記駆動軸に回転可能に支持されるとともに、前記揺動アームにリンクロッドを介して連結され、該揺動アームに伴って揺動することにより動弁を押圧する揺動カムと、を備え、前記動弁のバルブリフト量を可変とするエンジンの動弁機構であって、前記駆動軸の主油通路内の潤滑油を前記固定ピンに設けられた油孔を介して前記駆動カムとリンクアームとの摺動部分に供給して、この摺動部分の潤滑を行うエンジンの動弁機構において、前記駆動カムには、前記駆動軸が貫通する駆動軸貫通孔と、該駆動軸貫通孔と直交する直線状の第1貫通孔とが形成され、前記第1貫通孔は、一端が前記駆動カムの外周面に開口し、他端が前記駆動軸貫通孔の内周面に開口して前記固定ピンが内部に圧入される第1孔部と、一端が前記駆動カムの外周面に開口し、他端が前記第1孔部の他端と対向するよう前記駆動軸貫通孔の内周面に開口し、前記第1孔部の孔径よりも孔径の小さい第2孔部と、を有する。これによって、前記駆動カムと前記リンクアームとの摺動部分への潤滑油の供給と、当該摺動部分の接触面積の確保とを両立することができる。
(2) 前記(1)に記載のエンジンの動弁機構において、前記第1貫通孔の前記第1孔部は、前記駆動カムの外周面のうち弁リフトが減少する際に接触荷重が増加する側に一端が開口するよう形成されている。図8に示すように、前記駆動カムの外周面のうち弁リフトが減少する際に接触荷重が増加する側の接触荷重は、前記駆動カムの外周面のうち弁リフトが増加する際に接触荷重が増加する側の接触荷重よりも相対的に小さいので、駆動カムとリンクアームとの摺動部分への潤滑油の供給と、当該摺動部分の接触面積の確保との両立を図る上で一層を有利となる。
(3) 前記(1)または(2)に記載のエンジンの動弁機構において、前記第1の回転支点と前記第2の回転支点は、前記制御軸に対して同一側に位置している。前記リンクアームと前記揺動アームとを連係する前記第1の回転支点と、前記揺動アームと前記リンクロッドとを連係する前記第2の回転支点とが、前記制御軸に対して同一側に位置している場合、図8に示すように、前記駆動カムの外周面のうち弁リフトが減少する際に接触荷重が増加する側の接触荷重が、前記駆動カムの外周面のうち弁リフトが増加する際に接触荷重が増加する側の接触荷重に比べて小さくなるので、前記駆動カムと前記リンクアームとの摺動部分への潤滑油の供給と、当該摺動部分の接触面積の確保との両立を図る上でより一層を有利となる。
(4) 前記(3)に記載のエンジンの動弁機構において、前記駆動カムには、前記駆動軸の主油通路と連通する第2貫通孔が形成され、前記第2貫通孔は、一端が前記駆動軸貫通孔の中心から最も離れた前記駆動カムの外周面に開口し、他端が前記駆動軸貫通孔の内周に開口する。前記第1の回転支点と、前記第2に回転支点とが、前記制御軸に対して同一側に位置していると、前記駆動カムで前記揺動アームを引き下げて前記動弁をリフトさせることになり、前記リンクアームには引っ張り方向の荷重が作用する。前記リンクアームの変形を考慮しない場合、当該リンクアームと駆動カムの接触荷重は、図13に斜線で示す位置に強く発生する。ところが実際には、図14に示すように、リンクアームは弾性変形し、いわゆるクローズイン(径が縮小して軸に巻き付くい現象)が発生する。その結果、最も接触荷重が高い部分は、駆動軸の中心及び駆動カムの中心を通り、かつリンクリンクアームの中心を通る直線からは若干左右(脇)にずれることとなる。そのため、一端が前記駆動軸の中心から最も離れた前記駆動カムの外周面に開口するように第2貫通孔を設けることによって、前記駆動カムと前記リンクアームとの摺動部分への給油量を増加させることで、当該摺動部分の冷却性能及び潤滑性能を向上させることができる。
(5) 前記(1)〜(4)のいずれかに記載のエンジンの動弁機構において、前記駆動カムの外周面には、前記第2孔部の孔径よりも小さい幅で、当該駆動カムの周方向に延びる油溝が、前記第2孔部の一端側の開口と連続するよう形成されている。これによって、前記第1孔部に比べて小径となる前記第2孔部側において、前記駆動カムと前記リンクアームとの摺動部分に対する給油期間を相対的に長くすることができる。また、前記油溝の幅を、前記第2孔部の孔径よりも小さい幅とすることで、前記第2孔部側における前記駆動カムと前記リンクアームとの摺動部分の摺動幅の減少を抑制しつつ給油期間を相対的に長くすることができる。
(6) 前記(1)〜(5)のいずれかに記載のエンジンの動弁機構において、前記第1貫通孔は、少なくとも前記第1孔部の軸線が、駆動軸の中心に対してオフセットするよう形成されている。これによって、固定ピンの長さを相対的に短くすることができ、固定ピンの剛性を向上させることができる。また、駆動カムの駆動軸貫通孔周りの肉厚が相対的に増加するので、駆動カムの駆動軸貫通孔近傍の応力を緩和することができる。
(7) 前記(1)〜(6)のいずれかに記載のエンジンの動弁機構において、前記第2孔部は、前記駆動軸貫通孔側が相対的に大径となる段付孔状に形成され、当該第2孔部の段付部分に前記固定ピンの端面が接触可能となるように構成されている。これによって、前記第2孔部の段付き部分を、前記固定ピンの座面とすれば、固定ピンの圧入代の管理が容易になり、前記固定ピンの圧入作業性を向上させることができる。
(8) 前記(1)〜(7)のいずれかに記載のエンジンの動弁機構において、前記固定ピンに設けられた前記油孔は、該固定ピン長手方向に沿った第1油孔部と、一端が該固定ピンの外周面に開口し他端が前記第1油孔部の内周面に開口する第2油孔部と、を有し、前記第1油孔部の孔径が、前記第2孔部の孔径よりも小さくなるよう形成されている。これによって、第2孔部側から治具を挿入すれば、圧入された前記固定ピンを容易に外すことができ、メンテナンス性を向上させることができる。
(9) 前記(8)に記載のエンジンの動弁機構において、前記固定ピンには、前記第2油孔部が少なくとも2つ以上形成され、これら第2油孔部は、それぞれ前記第1油孔部に対して直交するよう形成されている。前記固定ピンを圧入する際に、その向きが悪いと、該固定ピンの外周面に開口する前記第2油孔部の一端側の開口が駆動軸の軸線方向を向かず、給油性能が損なわれる虞があるが、前記第2油孔部を少なくとも2つ以上形成することで、前記固定ピンを無作為に圧入しても、給油性能が損なわてしまうことを抑制することができる。すなわち、前記固定ピンに少なくとも2つ以上の前記第2油孔部を形成することで、この固定ピンの圧入作業性が向上し、圧入作業時の作業時間を短縮することができる。また、前記固定ピン内には、複数の第2油孔部を介して前記駆動軸の前記主油通路から潤滑油が導入されるので、前記駆動カムと前記リンクアームとの摺動部分に供給する潤滑油を十分に確保することができ、該摺動部分における焼き付き等の摺動トラブル発生を抑制することができる。
(10) 前記(9)に記載のエンジンの動弁機構において、前記第2油孔部の孔径は、前記第1油孔部の孔径よりも小さくなる形成されている。これによって、前記固定ピンの剛性を増大させることができる。
(11) 前記(9)または(10)に記載のエンジンの動弁機構において、前記固定ピンに設けられた2つの第2油孔部が互いに直交するよう形成されている。これによって、前記固定ピンを無作為に圧入しても2つの第2油孔部の一端側の開口が双方とも駆動軸の軸線方向を向かないということを回避することができ、固定ピン内に、前記第2油孔部を介して内前記駆動軸の前記主油通路から潤滑油を一層円滑に導入することができ、前記駆動カムと前記リンクアームとの摺動部分における焼き付き等の摺動トラブル発生をより一層抑制することができる。
(12) 前記(9)〜(11)のいずれかに記載のエンジンの動弁機構において、前記固定ピンの第2油孔部は、当該固定ピンの長手方向に互いにオフセットするよう形成されている。これによって、前記固定ピンの剛性を一層増大させることができる。
(13) 前記(1)〜(8)のいずれかに記載のエンジンの動弁機構において、前記固定ピンには、前記第2油孔部が1つ形成され、この第2油孔部は、前記第1油孔部に対して直交するよう形成され、さらに前記固定ピンには、前記固定ピンが前記第1孔部に圧入された際に前記第2油孔部の一端側の開口が駆動軸の軸線方向を向くよう、前記第1孔部に圧入する際の向きを規定するキーもしくはこのキーに嵌合するキー溝が形成されている。これによって、前記固定ピンに複数の第2油孔部を設けることなく、当該固定ピンの第1油孔部内に前記駆動軸の主油通路から潤滑油を円滑に導入することが可能となる。つまり、前記固定ピンの剛性を損なうことなく、前記駆動カムと前記リンクアームとの摺動部分における焼き付き等の摺動トラブル発生を抑制することができる。
(14) 前記(1)〜(8)のいずれかに記載のエンジンの動弁機構において、前記固定ピンには、前記第2油孔部が1つ形成され、この第2油孔部は、前記第1油孔部に対して直交するよう形成され、さらに前記固定ピンの端面のうち、当該固定ピンを第1孔部に圧入する際に圧入治具と当接する端面には、該圧入治具側に設けられた凸部あるいは凹部と嵌合する凹部あるいは凸部が形成され、これらの凸部及び凹部は、前記固定ピンが前記第1孔部に圧入された際、前記第2油孔部の一端側の開口が駆動軸の軸線方向を向く場合に互いに嵌合するように設定されている。これによって、前記固定ピンに複数の第2油孔部を設けることなく、当該固定ピンの第1油孔部内に前記駆動軸の主油通路から潤滑油を円滑に導入することが可能となる。つまり、前記固定ピンの剛性を損なうことなく、前記駆動カムと前記リンクアームとの摺動部分における焼き付き等の摺動トラブル発生を抑制することができる。