JP5289322B2 - 積層型圧電素子、これを用いた噴射装置及び積層型圧電素子の製造方法 - Google Patents

積層型圧電素子、これを用いた噴射装置及び積層型圧電素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えば、自動車エンジンの燃料噴射装置、インクジェットプリンターの液体噴射装置、又は、光学装置に用いられる精密位置決め装置及び振動防止装置に搭載される積層型圧電素子及びこれを用いた噴射装置に関する。
従来から、自動車エンジンの燃料噴射装置等に搭載される積層型圧電素子が知られている。図5Aは従来の積層型圧電素子を示す斜視図である。この積層型圧電素子101は、複数の圧電体層105及び複数の内部電極層(金属層)107とを交互に積層することにより形成された積層体109と、この積層体109の側面に形成された一対の外部電極111とを備えている。
内部電極層107は、圧電体層105の主面全体には形成されておらず、いわゆる部分電極構造となっている。図5Bは、部分電極構造を説明するために図5Aの積層型圧電素子101の一部分を示した分解斜視図である。図5A及び図5Bに示すように、内部電極層107は、一層おきに積層体109の異なる側面に交互に露出するように積層されている。これにより、複数の内部電極層107は、一対の外部電極105に交互に電気的に接続されている。積層体109の積層方向の両端には不活性層113,113がそれぞれ積層されている。
図5A及び図5Bに示す部分電極構造を有する積層型圧電素子において、異極の内部電極層107が圧電体層105を介して対向する活性領域Aと、圧電体層105を介して異極の内部電極層107が対向していない不活性領域Bとが存在する。したがって、積層型圧電素子を駆動させた際には、活性領域Aのみが変位し不活性領域Bは変位しないので、活性領域Aと不活性領域Bの境界部分に応力が集中して亀裂の起点となることがある。
また、図5Aに示すように、積層型圧電素子101はその積層方向の両端に不活性層113を有している。積層型圧電素子101を駆動させた際には、不活性層113は変位しないので、変位する領域と不活性層113との境界部分に応力が集中して亀裂の起点となることがある。
上記したような亀裂は、境界部分から積層体109の側面側(不活性領域B側)に向かって進展する場合もあるが、積層体109の内部側(活性領域A側)に向かって進展することもある。対向する内部電極層107間に電界が印加された場合に、活性領域Aは、逆圧電効果によって電界方向に伸びるとともに、電界方向と直交する方向に収縮する。圧電体層105が電界方向に伸びると、全体として素子101が積層方向に伸びる。素子101がこの伸びを拘束するケースや枠に収納されている場合には、その反力として素子101に圧縮応力が生じる。
境界部分を起点とするとともに活性領域Aに向かって進展する亀裂は、応力の状態に応じて屈折及び分岐することにより、圧電体層105の厚さ方向に進展することがある。圧電体層105の厚さ方向に進展する亀裂が対向する内部電極層107間に生じると、これらの内部電極層107が短絡して積層型圧電素子101の変位量が小さくなることがあった。
近年、大きな圧力下においても小型の積層型圧電素子で大きな変位量を確保することが求められており、より高い電界が印加される条件下において長時間の連続駆動する積層型圧電素子が要求されている。これらの要求を満たすために、内部に応力緩和層を設けた積層型圧電素子が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。しかしながら、高圧力下で長時間連続駆動させる環境下でより高い耐久性が得られる積層型圧電素子が求められていた。
DE10234787A1公報 DE10307825A1公報
本発明の課題は、高電圧、高圧力下で長期間連続駆動させた場合であっても変位量の低下の少ない、耐久性に優れた積層型圧電素子及び噴射装置を提供することである。
本発明の積層型圧電素子は、複数の圧電体層と、複数の内部電極層と、を備え、前記圧電体層と前記内部電極層とが交互に積層され、前記複数の内部電極層のうちの少なくとも一層が、窒化チタン及び窒化ジルコニウムの少なくとも一方の窒化物を含有する。
前記窒化物を含有する内部電極層は、前記圧電体層と対向する面に複数の凹み又は孔を有していることが好ましい。
前記窒化物を含有する前記内部電極層が複数存在し、これらの内部電極層が前記積層体の積層方向に規則的に配置されているのが好ましい。
本発明の噴射装置は、噴射孔を有する容器と、上述の積層型圧電素子とを備え、前記容器内に充填された液体が前記積層型圧電素子の駆動により前記噴射孔から吐出されることを特徴とする。
本発明の積層型圧電素子によれば、複数の内部電極層のうちの少なくとも一層が、窒化チタン及び窒化ジルコニウムの少なくとも一方の窒化物を含有しているので、次のような効果がある。すなわち、窒化チタン及び窒化ジルコニウムは、圧電体層を構成する圧電体粒子及び内部電極層を構成する電極粒子に対するぬれ性が低い。このため、内部電極層自体の強度を弱くさせることができるとともに圧電体層と内部電極層間の密着強度を弱くすることができる。内部電極層は駆動変形する圧電体層をクランプしているので、上記窒化物が添加されていることで、内部電極層が圧電体層を拘束する拘束力を低下させることができる。これにより、積層型圧電素子の変位を大きくすることができるだけでなく、長期駆動時の耐久性を向上させることができる。
また、窒化物を含有する内部電極層が、圧電体層と対向する面に複数の凹み又は孔を有しているときには、内部電極層と圧電体層との接触面積が減少するので、内部電極層が圧電体層を拘束する拘束力を低下させることができる。
図1Aは本発明の一実施形態にかかる積層型圧電素子を示す斜視図であり、図1Bは、図1Aに示す積層型圧電素子の内部構造を説明するために積層型圧電素子の一部分を示した分解斜視図である。 図1Aに示す実施形態にかかる積層型圧電素子の一部を拡大した断面図である。 図2の一部を拡大した断面図である。 本発明の一実施形態にかかる噴射装置を示す概略断面図である。 図5Aは、従来の積層型圧電素子を示す斜視図であり、図5Bは圧電体層と内部電極層との積層状態を示す部分斜視図である。
<積層型圧電素子>
以下、本発明の一実施形態にかかる積層型圧電素子について詳細に説明する。図1Aは本実施形態にかかる積層型圧電素子を示す斜視図である。図1Bは、図1Aに示す積層型圧電素子の内部構造を説明するために積層型圧電素子の一部分を示した分解斜視図である。図2は本実施形態にかかる積層型圧電素子の一部を拡大した断面図である。
図1A及び図1Bに示すように、本実施形態の積層型圧電素子は、複数の圧電体層11と複数の内部電極層12とを交互に積層してなる積層体13を有し、該積層体13の対向する側面に一対の外部電極15が配設されている(一方の外部電極は不図示)。内部電極層12は、圧電体層11の主面全体には形成されておらず、いわゆる部分電極構造となっている。この部分電極構造の複数の内部電極層12は、一層おきに積層体13の対向する側面にそれぞれ露出するように配置されている。これにより、内部電極層12は、一対の外部電極15に交互に電気的に接続されている。なお、一対の外部電極15は、隣設する側面に形成してもよい。
積層体13の積層方向の両端には圧電体で形成された不活性層14,14がそれぞれ積層されている。この積層型圧電素子が圧電アクチュエータとして用いられる場合、リード線を半田により一対の外部電極15にそれぞれ接続固定し、リード線を外部電圧供給部に接続すればよい。この外部電圧供給部から隣り合う内部電極層12間に所定の電圧を印加することにより、各圧電体層11が逆圧電効果によって変位する。一方、不活性層14は一方の主面側に内部電極層12が配置されているのみであり、他方の主面側には内部電極層12が配置されていないので、電圧を印加しても変位が生じない。
図2に示すように、本実施形態の積層型圧電素子は、複数の内部電極層12のうちの少なくとも一層が、窒化チタン(TiN)及び窒化ジルコニウム(ZrN)の少なくとも一方の窒化物を含有することを特徴としている。このような窒化物を含有する内部電極層を、以下、窒化物含有内部電極層12bといい、それ以外の内部電極層を窒化物電極層12aという。
TiN及びZrNの粒子は、導電率の高い窒化物であり、圧電体層11を構成する圧電体粒子および内部電極層12を構成する金属粒子に対してぬれ性が低い。このため、内部電極層にTiN及び/又はZrNを添加することにより、窒化物含有内部電極層12b自体の導電率を下げることなく、窒化物含有内部電極層12b自体の強度を低下させることができるとともに、圧電体層11と窒化物含有内部電極層12b間の密着強度を低下させることができる。
内部電極層12は圧電体層11の駆動変形を拘束している。したがって、TiN及び/又はZrNが添加された窒化物含有内部電極層12bは、圧電体層11を拘束する拘束力が低減されている。これにより、素子の変位量が大きくなる。また、圧電体層11を拘束する拘束力が小さいので、窒化物含有内部電極層12bと圧電体層11との界面において、素子に加わる応力が緩和される。窒化物含有内部電極層12bが複数存在するときには、素子に加わる応力を分散させることができる。また、応力が集中すると素子の変形が抑圧されることになるが、応力が分散されることによりその抑圧が緩和され、変位量の低下が抑制される。これらの応力緩和効果及び応力分散効果の相乗効果により、積層型圧電素子は変位量がさらに大きくなるとともに、長期駆動の耐久性がさらに向上する。
駆動電源に何らかのノイズが入って万が一瞬間的に積層型圧電素子に高電圧が加わった場合や、高温、高湿、高電界、高圧力下で長期間連続駆動させた場合であっても、内部電極層12の主成分である金属成分よりも先に上記窒化物が酸化することで、内部電極層12の酸化を抑制して内部電極層を守ることができる。
上記窒化物の粒子と窒化物含有内部電極層12bの主成分の金属粒子とのぬれ性が低いことに起因して、窒化物粒子と金属粒子との界面に亀裂(剥離)が生じやすい。また、上記窒化物の粒子は、圧電体層11を構成する圧電体粒子ともぬれ性が低いので、窒化物粒子と圧電体層11との界面に亀裂が伝播するのみで、圧電体層11自体に亀裂が伝播するのを抑制できる。すなわち、窒化物含有内部電極層12bの内部または圧電体層11との界面に亀裂が発生するので、圧電体層11を積層方向に縦断するような亀裂が生じるのが抑制され、内部電極層12同士が短絡するのを抑制できる。
また、素子に応力がかかった際には、窒化物の粒子と窒化物含有内部電極層12bを構成する金属粒子との界面に剥離が生じて応力を吸収することができる。また、素子に応力がかかった際には、上記窒化物の粒子自身が破断することによっても応力を吸収することができる。積層型圧電素子の一部に応力が集中した場合にも上記と同様の現象が生じ、密着強度の低い上記窒化物の粒子と窒化物含有内部電極12bの主成分である金属粒子との間に亀裂が生じる。この亀裂が窒化物含有内部電極層12b中に発生して、圧電体11を積層方向に縦断するような亀裂が生じるのを抑制し内部電極層12同士の短絡を抑制することができる。
また、窒化物含有内部電極層12bは、これに隣接する圧電体層11と対向する面に複数の凹み又は孔を有している。これらの凹み又は孔は、次のメカニズムにより形成されるものと推測される。
すなわち、本実施形態の積層型圧電素子は、主成分が圧電セラミックスであるグリーンシートと、主成分が金属であり、窒化チタン及び窒化ジルコニウムの少なくとも一方の窒化物を含有する導電性ペーストとを交互に積層して積層成形体を作製する工程と、この積層成形体を焼成する工程とを含む製造方法により得られる。焼成時には、上記窒化物の一部又は全部が酸化されて酸化物になる。この酸化によりその体積が膨張する。体積膨張の後、酸化物は圧電セラミックス中に吸収されるので、この酸化物が占めていた領域に凹み16a又は孔16bが形成される(図3)。これにより、内部電極層と圧電体層との接触面積が減少するので、内部電極層が圧電体層を拘束する拘束力を小さくすることができる。
上記のように、窒化物が酸化により体積膨張するので、窒化物含有内部電極層12bに凹み16a又は孔16bが形成される際に、窒化物含有内部電極層12bに隣接する圧電体層11にも凹みが形成されることがある。凹み16cは、凹み16aと、これに対応する位置に形成された圧電体層11の凹みと、により構成される。
また、焼成条件によっては、焼成時に全ての窒化物が酸化される。この場合、内部電極層12bには上記凹み又は孔が形成されるが、窒化物は存在しない。焼成時に一部の窒化物が酸化されずに残ると、この残った窒化物は、凹み又は孔における内部又はその近傍に存在する。
なお、焼成温度を上昇させる過程において、600℃〜700℃の温度で上記窒化物の酸化が始まる。そして、900℃〜1000℃の温度で大半の窒化物が酸化される。したがって、窒化物の一部を残留させるためには、焼成温度は1000℃以下であることが好ましい。また、焼成温度は850〜950℃であることがより好ましく、900〜950℃であることが更に好ましい。
上記窒化物の酸化反応が完了する温度以上で圧電体の焼結が進行する場合、圧電体層と対向する面に位置する複数の凹み又は孔が焼失してしまうことがある。したがって、凹み又は孔を残存させるためには、焼成温度は1000℃以下であることが好ましい。また、焼成温度は850〜950℃であることがより好ましく、850〜900℃であることが更に好ましい。
窒化物含有内部電極層12bを積層体13中に複数配置することで、素子の変位の大きさを制御することもできる。これにより、圧電体層11の厚みを変えることなく、或いは、積層数を変えることなく、量産性に優れた構造とすることができる。
内部電極層12の組成は、以下のようにして測定することができる。すなわち、内部電極層12と圧電体層11との界面で積層体13を切断することにより、内部電極層12を露出させ、内部電極層12の一部を採取する。採取したサンプルをICP(誘導結合プラズマ)発光分析のような化学分析することで組成を測定する。また、積層型圧電素子を積層方向に切断した断面は、EPMA(Electron Probe Micro Analysis)法のような分析方法を用いて分析することができる。更に、XPS:X−ray Photoelectron Spectorosscopy、またはESCA:Electron Spectorosscopy of Chemical Analysisを用いて、チタンまたはジルコニウムの電子状態を分析する事により、酸化物か窒化物かを判別する事ができる。SEM(走査型電子顕微鏡)或いは金属顕微鏡による積層型圧電素子の断面における内部電極層の観察で、金属成分だけでなく空孔やセラミックスのような非金属成分の存在もまた明らかにされることがある。このような場合においても、EPMA法等により空孔を除いた領域の成分が分析される。これにより、窒化物含有内部電極層12bとそれ以外の内部電極層12aの組成を特定できる。
窒化物含有内部電極層12bは複数存在するのが好ましい。複数の窒化物含有内部電極層12bが素子の積層方向に規則的に配置されていることもまた好ましい。窒化物含有内部電極層12bを規則的に配置することで、積層型圧電素子に加わる応力が効果的に分散される。
「窒化物含有内部電極層12bが規則的に配置されている」との文言は、いずれの窒化物含有内部電極層12b間においても他の内部電極層12aの層数が同じである場合だけでなく、一部に応力が集中しない程度に、窒化物含有内部電極層12b間における他の内部電極層12aの層数が近似している場合も含むことを意味している。具体的には、窒化物含有内部電極層12b間に存在する他の内部電極層12aの層数は、好ましくは各層数の平均値に対して±20%の範囲内、より好ましくは各層数の平均値に対して±10%の範囲内、さらに好ましくはすべて同数であるのがよい。窒化物含有内部電極層12b間に存在する他の内部電極層12aの層数が、上記範囲内にあることで、積層型圧電素子に加わる応力がより効果的に分散される。
本発明では内部電極層12が絶縁物質を含まないか、あるいは絶縁物質の含有量が小さい方が好ましい。これにより、圧電素子を駆動させた際に、圧電体層11に電圧を印加できない部分が生じることなく、圧電変位を大きくすることができ、しかも絶縁物質の部分に応力が集中するのを抑制できる。
内部電極層12(12a,12b)は空孔を含んでいることが好ましい。なぜなら、内部電極層12中に複数の空孔が存在していることにより、応力が加わった際に金属が変形しやすくなるので、応力を分散緩和することができるからである。また、内部電極層12に接する圧電体層11が圧電変位する際、空孔の部分があることで、圧電体層11を部分的にクランプすることになる。その結果、全面でクランプするときよりも圧電体層11が拘束される力が小さくなるので、変位しやすくなり素子の変位量が大きくなる。
特に、内部電極層12aが空孔を含み、この内部電極層12aの断面における全断面積に対する空孔の占める面積比(空孔率)が5〜70%であることが好ましい。内部電極層12aの空孔率は、より好ましくは7〜70%、さらに好ましくは10〜60%であるのがよい。内部電極層12aの空孔率が5〜70%であることで、圧電体層11がよりスムーズに変形するとともに、内部電極層12が十分な導電性を維持することができるので、積層型圧電素子の変位量を増大させることができる。
空孔率は、走査型電子顕微鏡、金属顕微鏡を用いて積層型圧電素子を積層方向に切断した断面を観察することにより測定できる。空孔率の測定には、走査型電子顕微鏡、金属顕微鏡などを用いることができる。走査型電子顕微鏡などにより素子の断面画像を得、該当する内部電極層の総面積に対する各空孔の面積の和の割合を算出する。このとき、市販の画像処理ソフトを使用することができる。また、より簡便な方法として、内部電極層12を積層方向に垂直な方向に横断する線分を引き、各空孔を横切る長さの合計をトータルの線分長さで割った値を空孔率としても良い。
窒化物含有内部電極層12bは、TiN及びZrNの少なくとも一方の窒化物が内部電極層12b中に点在した形態であるのが好ましい。すなわち、窒化物含有内部電極層12bは、内部電極層12bを構成する金属に対する濡れ性が低い複数の窒化物が内部電極層12b中に点在しているのがよい。これにより、駆動時の応力が内部電極層12bに加わったときに、窒化物粒子と内部電極層12bを構成する金属との間に亀裂が入っても、この亀裂が点在した窒化物粒子間でつながるだけで、圧電体層11を横断するような亀裂が生じるのを抑制できる。これにより、応力緩和効果と強度を両立することができる。
積層体13は、断面が多角形の柱状体であるのが好ましい。積層体13が円柱状である場合には、中心軸がぶれないように断面を真円にする必要があり、生産性を向上させるのが困難である。これに対して、多角形柱状体であれば、基準線を有する圧電体層11に内部電極層12を形成することができ、さらに基準線に沿って積層することができる。そのため、耐久性が高く量産性の高い製法により、中心軸を駆動軸として形成することができる。
内部電極層12の金属組成は主に銀パラジウムからなることが好ましい。銀パラジウムと上記窒化物は類似した熱膨張係数を有しているので、これらを同時に焼結できる。しかも、銀パラジウムと上記窒化物は互いに金属間化合物を形成することがないので、銀パラジウム中に上記窒化物の粒子を分散させた状態で互いに接触して電極が形成される。
また、銀パラジウムは焼結中に液相を形成するため、TiN及びZrNの分散が容易になる。また、TiN及びZrNからTi、Zrの金属成分がわずかに遊離することで、Ti、Zrが銀パラジウムと反応し金属結合する。これにより、銀パラジウムとの相互拡散が可能となり、銀パラジウムと金属結合したTiN及びZrN粒子の一部分(Ti、ZrとAg−Pdとの金属結合部分)とを焼結させることができる。
窒化物含有内部電極層12bにおいて、TiN及び/又はZrNの粒子は、内部電極層12bを構成する金属と濡れ性が低いので、TiN及びZrNからTi、Zrの金属成分が遊離しない場合には、これらの金属成分が内部電極層12b中で孤立した状態になる。この場合、積層型圧電素子に応力がかかった際に、内部電極層12b内で上記窒化物粒子が互いにすべるように移動するだけである。一方、Ti、Zrの金属成分がわずかに遊離して、銀パラジウムとTiN及びZrN粒子の一部分が焼結していることで、応力が加わった際に結合部分が破断する。この破断した箇所を起点として亀裂が進行して、内部電極層12b内において連続した亀裂を形成するように各亀裂がつながり易くなる。これにより、応力を緩和する効果がより高まる。
なお、TiNとZrN以外のBNのような窒化物は、内部電極層12を構成する金属とのぬれ性が低い点ではTiNとZrNと同様である。しかしながら、この窒化物の一部は金属粒子とは焼結しない、あるいは焼結しにくい。そのため、上記のような応力緩和機能が生じにくい。Ti及びZrの金属は、内部電極層12を構成する金属(例えば銀パラジウムなど)と活発に反応する。このため、窒化物となった場合でも、粒子の一部分に金属成分が残っていたり、窒化物が酸化される中間の不安定な状態でTi金属とZr金属が有する活性な機能が発現するためである。
ここで、TiNとZrNを比較すると、より低い温度で内部電極層12の金属粒子と拡散接合して一部分のみで焼結しやすく、TiNを用いることが最も好ましい。
窒化物含有内部電極層12bにおける上記窒化物の含有量は、好ましくは1重量%以上80重量%以下、より好ましくは1重量%以上40重量%以下、さらに好ましくは1重量%以上7重量%以下、特に好ましくは5重量%以上7重量%以下であるのがよい。
窒化物の含有量が1重量%以上であることにより、上記した応力緩和効果、変位量を高める効果が十分に得られる。一方、窒化物の含有量が80重量%以下であることにより、窒化物含有内部電極層12bが圧電体層11との密着性が過度に低下するのを抑制できるので、積層型圧電素子をいかなる形状にも研磨、切削加工することが可能になる。
また、窒化物の含有量が40重量%以下であることにより、窒化物含有内部電極層12bと他の内部電極層12aとの熱膨張特性を同等にできる。これにより、積層型圧電素子の保管環境及び使用環境が過酷な条件であっても、窒化物含有内部電極層12bと圧電体層11との密着性がある程度維持されるので、積層型圧電素子を安定に駆動することが可能になる。
さらに、窒化物の含有量が1重量%以上7重量%以下であることにより、TiN及び/又はZrNが周囲の金属粒子から剥離することで応力を吸収し緩和する効果と、窒化物含有内部電極層12bと圧電体層11の密着性を維持する効果とがバランスよく発揮されるので、積層型圧電素子に加わる応力に対する耐久性が極めて高くなる。
内部電極層12は、この内部電極層12中のパラジウムの含有量をM1(質量%)、銀の含有量をM2(質量%)としたとき、0<M1≦15、85≦M2<100、M1+M2=100を満足する金属組成物を主成分とすることが好ましい。パラジウムが15質量%を超えると、比抵抗が大きくなり、積層型圧電素子を連続駆動させた場合、内部電極層12が発熱しやすくなる。この発熱が温度依存性を有する圧電体層11に作用して変位特性を低下させる。そのため、積層型圧電素子の変位量が小さくなる場合がある。
また、外部電極15を形成した際、外部電極15と内部電極層12との間で金属成分が相互拡散することにより、これらが接合される。パラジウムが15質量%を超えると、外部電極15中に内部電極層成分が拡散した箇所の硬度が高くなるため、駆動時に寸法変化する積層型圧電素子においては、耐久性が低下する場合がある。また、内部電極層12中の銀の圧電体層11へのマイグレーションを抑制するために、パラジウム金属が0.001質量%以上15質量%以下とすることが好ましい。また、積層型圧電素子の耐久性を向上させるという点では、パラジウムの比率は0.1質量%以上10質量%以下であるのが好ましい。また、熱伝導に優れ、より高い耐久性を必要とする場合はパラジウムの比率を0.5質量%以上9.5質量%以下とするのがより好ましく、さらに高い耐久性を求める場合は2質量%以上8質量%以下とするのがさらに好ましい。
一方、銀の比率が85質量%未満になると、内部電極層12の比抵抗が大きくなり、積層型圧電素子を連続駆動させた場合、内部電極層12が発熱しやすくなる。また、内部電極層12中の銀の圧電体層11へのマイグレーションを抑制するために、銀が85質量%以上99.999質量%以下とすることが好ましい。また、積層型圧電素子の耐久性を向上させるという点では、銀の比率が90質量%以上99.9質量%以下であるのが好ましい。また、より高い耐久性を必要とする場合は銀の比率が90.5質量%以上99.5質量%以下であるのがより好ましく、さらに高い耐久性を求める場合は92質量%以上98質量%以下がさらに好ましい。上記の内部電極層12中のパラジウム金属、銀金属はEPMA法等の分析方法で特定できる。
圧電体層11は、ペロブスカイト型酸化物を主成分とすることが好ましい。例えば、圧電体層11がチタン酸バリウム(BaTiO)を代表とするペロブスカイト型圧電セラミックス材料等で形成されると、その圧電特性を示す圧電歪み定数d33が高いことから、変位量を大きくすることができ、さらに、圧電体層11と内部電極層12を同時に焼成することもできる。圧電体層11としては、圧電歪み定数d33が比較的高いチタン酸ジルコン酸鉛(PbZrO−PbTiO)からなるペロブスカイト型酸化物を主成分とすることが好ましい。
特に、積層型圧電素子が、高温、高湿度の環境で使用された場合、内部電極層12の金属が酸化するよりも先に、TiN及びZrNの少なくとも一方の窒化物を含有する内部電極層12bが、チタン酸ジルコン酸鉛の主成分であるチタン酸化物、あるいはジルコニウム酸化物へと変質する。このとき、安定なTiOあるいはZrOへと酸化を進行させるために周囲の物質から酸素を奪うことにより、内部電極層12の金属成分は還元され、安定な金属層として保持される。さらに酸化されたチタン酸化物、あるいはジルコニウム酸化物は圧電体11の成分であるチタン酸ジルコン酸鉛と相互拡散して圧電体11と内部電極層12を強固に接続するアンカー効果も生み出す。よって、耐環境特性の優れた積層型圧電素子とすることができる。
次に、本発明の積層型圧電素子の製法の一例を説明する。まず、例えばPbZrO−PbTiO等のペロブスカイト型酸化物の圧電セラミックスの仮焼粉末と、アクリル系、ブチラール系等の有機高分子から成るバインダーと、DBP(フタル酸ジブチル)、DOP(フタル酸ジオクチル)等の可塑剤とを混合してスラリーを作製する。ついで、ドクターブレード法やカレンダーロール法のような既知の方法或いは他のテープ成型法により、上記のセラミックグリーンシートは、焼成後に圧電体層11となるセラミックグリーンシートに成形される。
次に、内部電極層12を構成する銀−パラジウム等の金属粉末、バインダー及び可塑剤を混合して導電性ペーストを作製する。ついで、これを上記各グリーンシートの上面にスクリーン印刷等によって1〜40μmの厚みに印刷する。
ここで、窒化物含有内部電極層12bを形成するための導電性ペーストは、銀−パラジウムのような金属粉末、TiN及びZrNの少なくとも一方の窒化物、バインダー及び可塑剤を混合して作製される。
このとき、銀−パラジウム等の金属粉末は合金粉末ではなく、銀粉末とパラジウム粉末の混合粉末を用いて組成を調整してもよい。また、銀パラジウムの合金に銀粉末またはパラジウム粉末を加えることで組成を調整してもよい。ペースト中の金属分散を均一にするとともに内部電極層12の同一面内の組成分布を均一にするため、所定の組成で合金化した合金粉末を用いることが好ましい。
次に、導電性ペーストが印刷されたグリーンシートを、所望の配置で複数積層し、脱バインダーを行うため所定の温度に加熱する。この積層されたものを900〜1200℃で焼成することによって積層体13が作製される。
内部電極層12を構成する銀−パラジウムのような金属粉末を、不活性層14を形成するグリーンシート中に加える場合、或いは、不活性層14を形成するグリーンシートを積層する際に、内部電極層12を構成する銀−パラジウムのような金属粉末、無機化合物、バインダー及び可塑剤からなるスラリーを、このグリーンシートに印刷する場合には、不活性層14とその他の部分の焼結時の収縮挙動ならびに収縮率を一致させることができる。これにより、緻密な積層体13を形成することができる。
なお、積層体13は、上記製法によって作製されるものに限定されるものではなく、複数の圧電体層11と複数の内部電極層12とを交互に積層してなる積層体13を作製できれば、どのような製法によって形成されても良い。
次に、ガラス粉末にバインダーを加えて銀ガラス導電性ペーストを作製し、これを積層体13の外部電極形成面に印刷し、ガラスの軟化点よりも高い温度、且つ銀の融点(965℃)以下の温度で積層体を焼成する。これにより、銀ガラス導電性ペーストを用いて外部電極15を形成することができる。
このとき、外部電極15を構成するペーストを多層に積層してから焼付けを行っても、1層で焼付けを行っても良い。量産性を高めるためには、多層に積層してから一度に焼付けを行う方が好ましい。そして、層ごとにガラス成分を変える場合は、層ごとにガラス成分の量を変えたものを用いればよい。圧電体層11に接する部分に非常に薄いガラスリッチな層を構成したい場合は、積層体13に、スクリーン印刷等の方法でガラスリッチなペーストを印刷した上で、多層のシートを積層する方法が用いられる。
最後に、外部電極15にリード線を接続する。このリード線を介して一対の外部電極15に0.1〜3kV/mmの直流電圧を印加し、積層体13を分極処理することによって、本発明の積層型圧電素子を利用した圧電アクチュエータが完成する。リード線を外部の電圧供給部に接続し、リード線及び外部電極15を介して内部電極層12に電圧を印加させると、各圧電体層11は逆圧電効果によって大きく変位し、これによって例えばエンジンに燃料を噴射供給する自動車用燃料噴射装置として機能する。
さらに、外部電極15の外面に、金属のメッシュ若しくはくし状の配線を導電性接着剤で接合してもよい。この場合には、アクチュエータに大電流を投入し、高速で駆動させる場合においても、大電流を直接内部電極近傍に流すことができ、外部電極15上を流れる電流を低減できる。これにより、外部電極15が局所発熱を起こし断線することを防ぐことができ、耐久性を大幅に向上させることができる。
さらに望ましくは、導電性粒子はフレーク状や針状などの非球形の粒子であるのがよい。導電性粒子の形状をフレーク状や針状などの非球形の粒子とすることにより、該導電性粒子間の絡み合いを強固にすることができ、該導電性接着剤のせん断強度をより高めることができる。
以上のように、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の積層型圧電素子は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。
例えば、上記の実施形態では、内部電極層が全て合金からなる場合について説明したが、一部の内部電極層が合金からなり、残りの内部電極層が単一の金属からなる形態であってもよい。また、上記の実施形態では、内部電極層が同じ成分を含有している場合について説明したが、内部電極層が主成分の異なる少なくとも二種以上の層からなる形態であってもよい。
<噴射装置>
図4は、本発明の一実施形態にかかる噴射装置の概略を示す断面図である。図4に示すように、本実施形態にかかる噴射装置は、一端に噴射孔33を有する容器31の内部に収納された上記実施形態に代表される本発明の積層型圧電素子を備えている。容器31内には、噴射孔33を開閉することができるニードルバルブ35が配設されている。噴射孔33には燃料通路37がニードルバルブ35の動きに応じて連通可能に配設されている。この燃料通路37は外部の燃料供給源に連結され、燃料通路37に常時一定の高圧で燃料が供給されている。従って、ニードルバルブ35が噴射孔33を開放すると、燃料通路37に供給されていた燃料が図示しない内燃機関の燃料室内に噴出されるように構成されている。
また、ニードルバルブ35の上端部は内径が大きくなっており、容器31に形成されたシリンダ39と摺動可能なピストン41が配置されている。そして、容器31内には、上記した積層型圧電素子を備えた圧電アクチュエータ43が収納されている。
このような噴射装置では、圧電アクチュエータ43が電圧を印加されて伸長すると、ピストン41が押圧され、ニードルバルブ35が噴射孔33を閉塞し、燃料の供給が停止される。また、電圧の印加が停止されると圧電アクチュエータ43が収縮し、皿バネ45がピストン41を押し返し、噴射孔33が燃料通路37と連通して燃料の噴射が行われるようになっている。
なお、本発明は、圧電アクチュエータユニットに関するものであるが、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を行うことは何等差し支えない。本発明の圧電アクチュエータユニットは、例えば自動車エンジンの燃料噴射装置、インクジェットプリンターの液体噴射装置、光学装置に用いられる精密位置決め装置及び振動防止装置、駆動素子、燃焼圧センサ、ノックセンサ、加速度センサ、荷重センサ、超音波センサ、感圧センサ、ヨーレートセンサ等に搭載されるセンサ素子、並びに圧電ジャイロ、圧電スイッチ、圧電トランス、圧電ブレーカー等に搭載される回路素子の他、圧電特性を利用した素子であれば、種々の用途に適用可能である。
第1の実施形態にかかる積層型圧電素子からなる圧電アクチュエータを以下のようにして作製した。
まず、平均粒径が0.4μmのチタン酸ジルコン酸鉛(PbZrO−PbTiO)を主成分とする圧電セラミックの仮焼粉末、バインダー、及び可塑剤を混合したスラリーを作製し、ドクターブレード法で焼成後の厚みが100μmとなるセラミックグリーンシートを作製した。
ついで、このセラミックグリーンシートの片面に、表1に示す組成となるように、主に銀−パラジウムからなる合金にバインダーを加えた導電性ペーストをスクリーン印刷法により形成した。このシートを300枚積層するとともに、800℃で2時間保持した後に、1000℃で2時間焼成した。
このとき、TiN及びZrNの少なくとも一方の窒化物を含有する内部電極層12bを形成する部分には、表1に示す組成となるように、銀−パラジウム合金にTiN及びZrNを添加してバインダーを加えた導電性ペーストで、3μmの厚さとなるように印刷を行い、TiN及びZrNの少なくとも一方の窒化物を含有する内部電極層12bが50層目、100層目、150層目、200層目、250層目になるように配置した。
次に、平均粒径2μmのフレーク状の銀粉末と、残部が平均粒径2μmのケイ素を主成分とする軟化点が640℃の非晶質のガラス粉末との混合物に、バインダーを銀粉末とガラス粉末の合計質量100質量部に対して8質量部添加し、十分に混合して銀ガラス導電性ペーストを作製した。このようにして作製した銀ガラス導電性ペーストを積層体13の外部電極15の側面に印刷して、700℃で30分焼き付けを行い、外部電極15を形成した。
その後、外部電極15にリード線を接続し、正極及び負極の外部電極15にリード線を介して3kV/mmの直流電界を15分間印加して分極処理を行い、図1に示すような積層型圧電素子を用いた圧電アクチュエータを作製した。
得られた積層型圧電素子に150Vの直流電圧を印加したところ、すべての圧電アクチュエータにおいて、積層方向に変位量が得られた。
さらに、この圧電アクチュエータを室温で0〜+150Vの交流電圧を150Hzの周波数で印加して、1×10回まで連続駆動した試験を行った。
結果は表1に示すとおりである。
Figure 0005289322
表1に示すように、比較例として、TiN及びZrN以外の窒化物であるBNを加えた試料番号9と窒化物を添加しなかった試料番号10は、内部電極間の圧電体を横断する亀裂が生じて変位が小さくなった。これは、内部電極層のみに亀裂を生じて応力を緩和することができずに、応力が内部電極層と圧電体層の境界に集中したことが原因であると推測される。
これに対して、本発明の実施例である試料番号1〜8は、1×10回連続駆動させた後も、素子変位量が著しく低下することなく、圧電アクチュエータとして必要とする実効変位量を有し、優れた耐久性を有した圧電アクチュエータを作製できた。
11 圧電体層
12 内部電極層
12a 他の内部電極層
12b TiN及びZrNの少なくとも一方の窒化物を含有する内部電極層
13 積層体
14 不活性層
15 外部電極
16a 凹み
16b 孔
16c 凹み
31 容器
33 噴射孔
35 バルブ
37 燃料通路
39 シリンダ
41 ピストン
43 圧電アクチュエータ

Claims (1)

  1. 主成分が圧電セラミックスであるグリーンシートと主成分が金属である導電性ペーストとを交互に積層して積層成形体を作製する工程と、
    前記積層成形体を焼成する工程と、を備え、
    前記導電性ペーストは銀−パラジウムを主成分として含有し、複数の前記導電ペーストのうちの少なくとも一つは、窒化チタン及び窒化ジルコニウムの少なくとも一方の窒化物を含有し、前記窒化物の含有量が1〜7質量%であり、
    前記焼成工程において、前記窒化物が全て酸化されて酸化物となり該酸化物が占めていた領域に凹みまたは孔が形成されることを特徴とする積層型圧電素子の製造方法。
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