JP5288788B2 - 水性インキ組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ボールペン、マーキングペン等の筆記具用等に好適な水性インキ組成物に関し、更に詳しくは、長期間にわたり気泡の発生抑制効果を持った水性インキ組成物に関する。
従来より、水性インキを搭載したボールペンやマーカーなどの筆記具、インクジェットプリンター用カートリッジは、経時的に記録体内で発生した気泡によって、インキ流出量の不安定化や、吐出部からのインキ噴き出し、または、全く逆にインキ吐出不能などの様々な不具合を生じることがある。
そこで、気泡抑制・除去に関して、様々な手法が採られている。通常、インキ中の気泡の除去に関しては、減圧処理など機械的な手法が用いられている場合があるが、完全な除去は困難な場合が多く、たとえ肉眼で観察できるレベルの気泡除去が行われてとしても、インキ中に溶存した空気が、温度変化等によって析出するなど、その効果に関しては未だ完全とは言えないものである。
そのため、インキ中で発生する気泡の除去を行うために、インキ中に特定の物質を添加する手法が幾つか提案等されている。例えば、少なくとも着色剤、水、水溶性有機溶剤、剪断減粘性付与剤を含んでなる水性インキ組成物において、亜硫酸塩、スルホキシル酸塩、亜ジチオン酸塩、チオ硫酸塩から選ばれる一種又は2種以上の化合物を含んでなる筆記具用水性インキ組成物(例えば、特許文献1参照)が知られている。
しかしながら、この筆記具用水性インキ組成物では、亜硫酸塩、スルホキシル酸塩、亜ジチオン酸塩、チオ硫酸塩などの塩類は他のインキ中の添加物に影響を与えやすく、インキを長期間、安定で保持するために様々な工夫が必要となり、また、インキに配合できるものが制限される等の課題がある。
一方、本願出願人は、少なくとも、着色剤及び水を含有し、かつ、A群:システイン及びその誘導体、並びに、B群:一つ以上のシステイン残基を含むアミノ酸の重合体の中から選ばれる少なくとも1種をインキ組成物全量に対して0.01〜10重量%含有することを特徴とする水性インキ組成物を提案している(例えば、特許文献2参照)。
この水性インキ組成物は、長期的に気泡の発生を抑制することができると共に、経時的にも安定性に優れたものであるが、ペン体にインキを充填後、一定期間経過に後発的に発生した気泡、例えば経時保管後にペン体に落下等の衝撃が加えられて発生した気泡や、ノック式筆記具において、ノック時の衝撃によりチップ先端からチップ内に入り込んだ気泡に対しては、時間の経過にしたがって起泡除去効果が低下するなどの課題が若干生じている。
特開2002−80770号公報(特許請求の範囲等) 特開2004−217826号公報(特許請求の範囲、実施例等)
本発明は、上記従来の課題及び現状に鑑み、これを解消しようとするものであり、長期間にわたって気泡の発生を抑制し、かつ、経時保管後に筆記具(ノック式筆記具を含む)内に発生した気泡に対しても、優れた気泡除去効果を有し、更に経時安定性に優れた水性インキ組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来の課題等について、鋭意検討した結果、少なくとも、着色剤及び水を含有した水性インキ組成物に特定の化合物を含有することにより、水性インキ組成物の本来のインキ特性を損なうことなく、上記目的の水性インキ組成物が得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(6)に存する。
(1) 少なくとも、着色剤及び水を含有し、かつ、シトルリン及び一つ以上のシトルリン残基を含むアミノ酸の重合体の中から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする水性インキ組成物。
(2) シトルリン及び一つ以上のシトルリン残基を含むアミノ酸の重合体の中から選ばれる少なくとも1種の含有量がインキ組成物全量に対して0.01〜10重量%含有することを特徴とする上記(1)記載の水性インキ組成物。
(3) 更に、酸素吸収剤を含有することを特徴とする上記(1)又は(2)記載の水性インキ組成物。
(4) 酸素吸収剤が、システイン及びその誘導体、または、一つ以上のシステイン残基を含むアミノ酸の重合体の中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記(3)記載の水性インキ組成物。
(5) 水性インキ組成物が、ボールペン、マーキングペンに搭載される上記(1)〜(4)の何れか一つに記載の水性インキ組成物。
(6) 上記(1)〜(5)の何れか一つに記載の水性インキ組成物がボールペン用インキ収容体に収容されると共に、該インキ収容体内に収容された水性インキ組成物とは相溶性がなく、かつ、該水性インキ組成物に対して比重が小さい物質がインキ追従体として収容されていることを特徴とするボールペン。
とは相溶性がなく、かつ、該水性インキ組成物に対して比重が小さい物質がインキ追従体として収容されていることを特徴とするボールペン。
本発明によれば、長期間にわたって気泡の発生を抑制し、かつ、経時保管後に筆記具等に衝撃等が加えられた場合や、ノック式筆記具に用いた場合などにおいても、後発的に発生した気泡を除去することができ、更に経時安定性に優れた水性インキ組成物が提供される。
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明の水性インキ組成物は、少なくとも、着色剤及び水を含有し、かつ、シトルリン及び一つ以上のシトルリン残基を含むアミノ酸の重合体の中から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とするものである。
本発明に用いるシトルリンとしては、例えば、(L−)シトルリン、アセチルシトルリンなどが挙げられる。
なお、シトルリン〔2−アミノ−5−(カルバモイルアミノ)ぺンタン酸、C13〕は、アミノ酸の一種で、尿素回路を構成する化合物の1つであり、今まで水性インキ組成物に用いること、水性インキ組成物中に含有した場合に、長期間にわたって気泡の発生を抑制し、かつ、経時保管後に筆記具等に衝撃等が加えられた場合などにおいても発生した気泡を除去することができ、更に経時安定性に優れた機能を発揮することについては今まで全く知られていないものである。
また、本発明に用いる一つ以上のシトルリン残基を含むアミノ酸の重合体としては、一つ以上のシトルリン残基〔−NH−CH(COOH)−(CH−NH−CO−NH−〕を含むアミノ酸の重合体であれば、特に限定されないが、好ましくは、その重合数が2〜5であるものが望ましい。重合数が5を越えると、インキ粘度の上昇や、シトルリン残基同士の分子内共有結合が発生し、気泡抑制効果が低減することとなり、好ましくない。
これらのシトルリン及び一つ以上のシトルリン残基を含むアミノ酸の重合体は、夫々単独で、または、2種以上を混合して用いることができる。
これらの中で特に好ましくは、食品添加物としてその安全性が認められ、入手性、使用性に優れると共に、更にインキ組成中での経時的安定性にも優れる点から、(L−)シトルリン、アセチルシトルリンの使用が望ましい。
これらのシトルリン及び一つ以上のシトルリン残基を含むアミノ酸の重合体の合計含有量は、インキ組成物全量に対して、0.01〜10重量%とすることが好ましく、更に好ましくは、0.05〜5重量%、特に好ましくは、0.1〜1重量%とすることが望ましい。
この含有量が、0.01重量%未満では、十分な気泡抑制効果・持続効果が得られず、逆に10重量%を越えると、インキの安定性が損なわれるため、好ましくない。
本発明に用いる着色剤としては、水に溶解もしくは分散する全ての染料、酸化チタン等の従来公知の無機系および有機顔料系、顔料を含有した樹脂粒子顔料、樹脂エマルションを染料で着色した疑似顔料、白色系プラスチック顔料、シリカや雲母を基材とし表層に酸化鉄や酸化チタンなどを多層コーティングした顔料等を制限なく使用することができる。
染料としては、例えば、エオシン、フオキシン、ウォーターイエロー#6−C、アシッドレッド、ウォーターブルー#105、ブリリアントブルーFCF、ニグロシンNB等の酸性染料;ダイレクトブラック154,ダイレクトスカイブルー5B、バイオレットBB等の直接染料;ローダミン、メチルバイオレット等の塩基性染料などが挙げられる。
無機系顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリノン顔料、ニトロソ顔料などが挙げられる。より具体的には、カーボンブラック、チタンブラック、亜鉛華、べんがら、アルミニウム、酸化クロム、鉄黒、コバルトブルー、酸化鉄黄、ビリジアン、硫化亜鉛、リトポン、カドミウムエロー、朱、カドミウムレッド、黄鉛、モリブデードオレンジ、ジンククロメート、ストロンチウムクロメート、ホワイトカーボン、クレー、タルク、群青、沈降性硫酸バリウム、バライト粉、炭酸カルシウム、鉛白、紺白、紺青、マンガンバイオレット、アルミニウム粉、真鍮粉等の無機顔料、C.I.ピグメントブルー17、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー17、C.I.ピグメントブルー27、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド22、C.I.ピグメントレッド38、C.I.ピグメントレッド48、C.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントレッド53、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド104、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド245、C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー34、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー167、C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ16、C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット3、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット50、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
これらの着色剤は、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
これらの着色剤の含有量は、インキの描線濃度に応じて適宜増減することが可能であるが、インキ組成物全量に対して、0.1〜40重量%程度とすることが好ましい。
本発明に用いる水は、インキの主溶剤として含有するものであり、例えば、イオン交換水、蒸留水、精製水、純水、海洋深層水などが好ましく用いられる。
これらの水の含有量は、インキ組成物全量に対して、30〜80重量%とすることが好ましい。
この水の含有量が30%未満であると、インキの吐出性が劣る場合があり、筆記流量の低下を招くことがある。一方、80%を越えてより多いと、耐乾燥性の低下や筆記感の低下、インキの経時安定性の低下を招くことがある。
本発明の水性インキ組成物では、上記各成分以外に調整剤等として、以下に例示するような任意成分を組み合わせて筆記具用(ボールペン用、マーキングペン用)インキ、インキジェット印刷用インキなどの水性インキの用途に応じて適宜含有することができる。
顔料の分散樹脂としては、例えば、スチレンマレイン酸のアンモニウム塩、スチレンアクリル酸のアンモニウム塩などの水溶性高分子など;粘度調整剤としては、例えば、アクリル系合成高分子、天然ガム、セルロース、多糖類等;水溶性液体媒体としては、例えば、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール類、グリセリンのアルキレンオキサイド付加物およびトリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド付加物およびこれらの混合物など;界面活性剤(潤滑剤)としては、カリ石けん、リシノール酸カリウムなど;防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、サポニン類等;pH調整剤としては水酸化カリウム、リン酸カリウム、トリエタノールアミン等;防腐剤としてはナトリウムオマジン、1,2−ベンゾイソチアゾリン等をそれぞれ必要に応じて使用することができる。
更に、本発明では、更なる本発明の効果の向上を発揮せしめる点から、酸素吸収剤を含有せしめることが望ましい。
本発明で規定する「酸素吸収剤」とは、インキ組成物中の溶存酸素濃度を減じる効果を有する物質をいい、例えば、ポリフェノール類,アミン類、その他の酸素吸収剤が挙げられ、具体的には以下の物質が例示される。
ポリフェノール類としては、例えば、ハイドロキノンン、カテコール、ピロガロール、フロログルシン、レゾルシン、2,3,4−ヒドロキシベンゾフェノン、2,3,5−トリメチルハイドロキノン、コウジ酸、フェルラ酸、クロロゲン酸、エラグ酸、ロスマリン酸、カテキン、セサモール、オレウロペイン及びこれらの誘導体が挙げられる。
アミン類としては、例えば、アルカノールアミン、芳香族アミン、ヒドロキシルアミン、システアミンが挙げられる。
その他の酸素吸収剤としては、例えば、アスコルビン酸及びその誘導体、α−トコフェロール、α−グルコシルルチン、プロアントシアニジン、α−グルコシルルチン、α−マルトシルルチン、α−マルトトリオシルルチン、α−マルトテトラオシルルチン、α−マルトペンタオシルルチン、ヒドロキシチロソール、フィチン酸、コリン、N−ビニル−2−ピロリドンのオリゴマー(2〜20量体)、亜硫酸塩、スルホキシル酸塩、亜ジチオン酸塩、チオ硫酸塩、二酸化チオ尿素、ホルムアミジンスルフィン酸、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、アセトアルドキシム、プロピオンアルドキシム、ジメチルケトキシム、エチルメチルケトキシム、ジエチルケトキシム、システインやその誘導体、システイン残基を有するアミノ酸の重合体が挙げられる。
上記システイン及びその誘導体としては、例えば、(L−)システイン、N−アセチル−L−システイン、(L−)システイン塩酸塩、(L−)システインエチルエステル塩酸塩、(L−)システインメチルエステル塩酸塩などが挙げられる。
また、システイン残基を有するアミノ酸の重合体としては、一つ以上のシステイン残基〔−NH−CH(CHSH)−CO−〕を含むアミノ酸の重合体であれば、特に限定されないが、好ましくは、その重合数が2〜10であるものが望ましく、例えば、グルタチオン(グルタミン酸・システイン・グリシンのトリペプチド)、酸化型グルタチオン、γ−L−グルタミル−L−システイン(グルタミン酸・システインのジペプチド)などが挙げられる。なお、重合数が10を越えると、インキ粘度の上昇や、システイン残基同士の分子内共有結合が発生し、気泡抑制効果が低減することとなり、好ましくない。
これらのシステイン及びその誘導体、並びに、アミノ酸の重合体を含む酸素吸収剤は、夫々単独で、または、2種以上を混合して用いることができる。
これらの酸素吸収剤の中でも気泡抑制効果、インキ組成物としての安定性、金属部材への腐食性等の性能及び価格から、システインやその誘導体、システイン残基を有するアミノ酸の重合体を使用することが好ましく、更に好ましくは、N−アセチル−L−システイン、グルタチオンの使用が望ましい。
なお、酸素吸収性能の測定にあたっては、市販されている溶存酸素測定器、例えばDO402G(横河電機社製)を利用して、通常の手法に従い、酸素吸収剤添加前後におけるインキ中の溶存酸素濃度を測定することで確認することができる。
これらのシステイン及びその誘導体、並びに、アミノ酸の重合体を含む上記酸素吸収剤の合計含有量は、インキ組成物全量に対して、0.01〜5重量%とすることが好ましく、更に好ましくは、0.05〜3重量%、特に好ましくは、0.1〜2重量%とすることが望ましい。
これらの酸素吸収剤の含有量が、0.01重量%未満では、更なる本発明の効果の向上が期待できず、逆に5重量%を越えると、インキの安定性が損なわれるため、好ましくない。
本発明の水性インキ組成物は、水性インキ組成物の用途等に応じて、好適な粘度範囲とすることができ、チキソトロピー性インキ(例えば、ゲルインキ水性ボールペン用インキ)の場合は、25℃の条件下においてEMD型粘度計で測定した剪断速度3.83/sの粘度値を、好ましくは、20〜3000mPa・sの範囲、更に好ましくは、50〜2000mPa・sの範囲とすることが望ましい。
この剪断速度3.83/sの粘度値を、20〜3000mPa・sの範囲にすることにより、更に経時的なインキの分離が発生せず、且つ筆記感が更に良好なインキとすることができる。
また、チキソトロピー性インキ(例えば、ゲルインキ水性ボールペン用インキ)の場合、25℃の条件下においてEMD型粘度計で測定した剪断速度383/sの粘度値を、好ましくは、5〜200mPa・s、更に好ましくは、10〜150mPa・sの範囲とすることが望ましい。
この剪断速度383/sの粘度値の粘度値を、5〜200mPa・sの範囲にすることにより、筆記時におけるインキ粘度が適正な範囲となり、更に良好な筆記性を実現することができる。
更に、本発明の水性インキ組成物がニュートニアン性インキ(例えば、低粘度水性ボールペン用インキ)の場合は、25℃の条件下においてELD型粘度計で測定した剪断速度192/sの粘度値を、好ましくは、1〜20mPa・s、更に、好ましくは、2〜10mPa・sの範囲とすることが望ましい。
この剪断速度192/sの粘度値を、1〜20mPa・sの範囲にすることにより、更に安定な筆記性を示すボールペン用インキを実現することができる。
なお、上記各粘度範囲において、EMD型粘度計で測定した剪断速度3.83/sの粘度範囲、剪断速度383/sの粘度の粘度範囲と、ELD型粘度計で測定した剪断速度192/sの粘度範囲とを規定したのは、各々のインキ粘度特性を示すために、適切な測定領域となるためである。
本発明の水性インキ組成物の製造方法は、他の水性インキ組成物の製造方法と比べて特に変わるところはなく製造することができる。
すなわち、本発明の水性インキ組成物は、上述した各成分をミキサー等によって混合攪拌することによって、各種用途の水性インキ組成物、例えば、チキソトロピー性インキ(例えば、ゲルインキ水性ボールペン用インキ)、ニュートニアン性インキ(例えば、低粘度水性ボールペン用インキ)、インクジェットプリンター用インキなどを製造することができる。
また、本発明の水性インキ組成物のpH(25℃)は、使用性、安全性、インキ自身の安定性、インキ収容体とのマッチング性の点からpH調整剤などにより5〜10に調整されることが好ましく、更に好ましくは、6〜9.5とすることが望ましい。本発明では、一般の水性インキ組成物は、経時によりpHが低下する傾向を示すが、本願発明の水性インキ組成物はpHの低下が緩和されるという特性がある。
本発明の水性インキ組成物は、ボールペンチップ、繊維チップ、フェルトチップ、プラスクチップなどのペン先部を備えたボールペン、マーキングペンや、インクジェットプリンター用カートリッジに搭載される。
本発明におけるボールペンとしては、上記構成の水性インキ組成物をボールペン用インキ収容体(リフィール)に収容すると共に、該インキ収容体内に収容された水性インキ組成物とは相溶性がなく、かつ、該水性インキ組成物に対して比重が小さい物質、例えば、ポリブテン、シリコーンオイル、鉱油等がインキ追従体として収容されるものが挙げられる。
なお、ボールペン、マーキングペンや、インクジェットプリンターの構造は、特に限定されず、例えば、筆記具用にあっては、軸筒自体をインキ収容体として該軸筒内に上記構成の水性インキ組成物を充填したコレクター構造(インキ保持機構)を備えた直液式のボールペン、マーキングペンであってもよいものである。
このように構成される本発明の水性インキ組成物が、何故長期間にわたって、また、長期保管後であっても衝撃等により生じた気泡の発生を抑制する機能を発現するかは以下のように推察される。
すなわち、少なくとも水及び着色剤を含有した水性インキ組成物中に、シトルリン及び一つ以上のシトルリン残基を含むアミノ酸の重合体の中から選ばれる少なくとも1種を含有せしめると、インキ中の酸素と反応して気泡発生抑制効果を発現し、しかも、長期保管後であっても衝撃等により生じた気泡の発生も水性インキ組成物中に残存するシトルリン等により、気泡の発生を抑制しその抑制効果を長期に亘って持続する機能を発現するものと推察される。なお、従来の気泡抑制剤は、水性インキ組成物充填時や充填中に生じた気泡の発生を抑制するものであるが、時間の経過に従ってその効果が減ずるという課題があった。
また、本発明で用いる上記シトルリン及び一つ以上のシトルリン残基を含むアミノ酸の重合体の中から選ばれる少なくとも1種は、経時的にインキの変色を生じせしめたりすることもなく、また、色剤として顔料を使用した場合にも顔料の凝集を発生させることもなく、かつ、気泡抑制効果・持続高価が極めて優れているために多くの含有量が必要でなく、しかも、その効果の発現期間・持続時間も長く、更に水溶性であるために経時的な安定性にも優れたものとなる。
次に、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〜8及び比較例1〜6〕
下記表1に示す配合組成で、常法により本発明範囲となる水性インキ組成物(実施例1〜8)及び本発明の範囲外となる比較インキ(比較例1〜6)を調製した。
得られた各水性インキ組成物の各粘度、pHを下記各方法により測定した。これらの結果を下記表1に示す。
また、得られた各水性インキ組成物において、実施例1〜8及び比較例1〜6に関しては、下記構成のノック式水性ボールペン体(三菱鉛筆社製、uni−ball SigNo、ボール径φ0.7mm)のポリプロピレン製のインキ収容管(内径:4mm、長さ:110mmのリフィール)に1g充填し、水性ボールペンを作製した。なお、インキ追従体として、各水性インキに対して比重の軽いポリブテンを0.15g用いて、フィール内に充填した水性インキの後端部に接触状態で充填した。
上記で得られた各水性ボールペンについて、下記各評価方法により、初期筆記性、経時後の気泡発生、並びに、衝撃後の気泡発生状況等について評価した。
これらの結果を下記表1に示す。
(粘度の測定方法)
EMD型粘度計での測定:
VISCOMETER RE110R(東機産業社製)により、上記25℃、剪断速度3.83/s及び剪断速度383/sでの条件下において測定した。
(pHの測定方法)
初期にpH(25℃)を測定したインキを蓋付きのガラス瓶に充填して、50℃の条件下で1ヶ月間保管してpH(25℃)を測定した。pH測定は、HORIBA pH/ION METER F−23(HORIBA社製)により測定した。
(1) 筆記性の評価方法
実施例1〜8及び比較例1〜6の各配合組成によって得られた水性インキ組成物をそれぞれ上記の各ボールペン体に充填し、ペン先を下向きにして、50℃、30%RHの雰囲気下で1ヶ月保管し、先の期間が経過した後に、ペン先を上向きのまま室温で6時間放置し、直径約2cmの円を連続して30個筆記して、その筆記性を下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:描線が良好に筆記できる
△:長さ1cm未満の描線途切れが発生する。
×:長さ1cm以上の描線途切れが発生する。
(2) 経時後の気泡発生状況の評価方法、経時後における衝撃後の気泡発生状況の評価方法
<経時後の気泡発生状況の評価方法>
実施例1〜8及び比較例1〜6の各配合組成によって得られたインキをそれぞれ上記のボールペン体に充填し、ペン先を下向きにして、50℃、30%RHの雰囲気下で1ヶ月保管し、左記の期間が経過した後に、ペン先を下向きのまま室温で6時間放置し、インキとインキ追従体界面に出現する気泡を目視にて確認し、下記評価基準で評価した。
<衝撃を与えた後の気泡発生状況の評価方法>
また、上記得られたノック式ボールペン体を、ペン先を下向きにして、ノックを5回行った後、ペン先を下向きにして、上記50℃、30%RHの雰囲気下で1週間保管し、左記の期間が経過した後に、ペン先を下向きのまま室温で6時間放置し、インキとインキ追従体界面に出現する気泡を目視にて確認し、下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:インキとインキ追従体界面に気泡が全く存在しない。
△:インキとインキ追従体界面に直径1mm未満の気泡が1個存在する。
×:インキとインキ追従体界面に直径1mm以上の気泡が1個以上、若しくは直径1mm未満の気泡が2個以上存在する。
Figure 0005288788
上記表1中の着色剤A,B、分散剤A,Bは下記のとおりである。
着色剤A:Chromofine Blue 4965(青色顔料、大日精化工業社製)
着色剤B:WATER BLACK R455(黒色染料、オリエント化学工業社製)
分散剤A:ジョンクリルJ62(BASFジャパン社製)
分散剤B:ジョンクリル7001(BASFジャパン社製)
上記表1の結果から明らかなように、本発明の範囲となる実施例1〜8の各水性インキ組成物(ゲルインキ水性ボールペン用インキ)は、本発明の範囲外となる比較例1〜6に較べて、経時的な気泡の抑制・持続効果、経時保管後に筆記具(ノック式筆記具を含む)内に発生した気泡に対しても、優れた気泡除去効果に優れていることが判明した。
これに対して、比較例1〜6は、実施例1〜8のシトルリン及び一つ以上のシトルリン残基を含むアミノ酸の重合体の中から選ばれる少なくとも1種を含有しないインキの配合組成であり、これらの場合は、経時後においてノック等による衝撃で発生した気泡を抑制できないことが判った。また、通常、水性インキ組成物は、経時によりpHが低下する傾向を示すが、本願発明(実施例1〜8)の水性インキ組成物はpHの低下が緩和されるという特性があることが判った。

Claims (6)

  1. 少なくとも、着色剤及び水を含有し、かつ、シトルリン及びアセチルシトルリンの中から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする水性インキ組成物。
  2. シトルリン及びアセチルシトルリンの中から選ばれる少なくとも1種の含有量がインキ組成物全量に対して0.01〜10重量%含有することを特徴とする請求項1記載の水性インキ組成物。
  3. 更に、酸素吸収剤を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の水性インキ組成物。
  4. 酸素吸収剤が、システイン及びその誘導体、または、一つ以上のシステイン残基を含むアミノ酸の重合体の中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項3記載の水性インキ組成物。
  5. 水性インキ組成物が、ボールペン、マーキングペンに搭載される請求項1〜4の何れか一つに記載の水性インキ組成物。
  6. 請求項1〜5の何れか一つに記載の水性インキ組成物がボールペン用インキ収容体に収容されると共に、該インキ収容体内に収容された水性インキ組成物とは相溶性がなく、かつ、該水性インキ組成物に対して比重が小さい物質がインキ追従体として収容されていることを特徴とするボールペン。
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