JP5285780B2 - テンショナ - Google Patents

Description

本発明はテンショナに関し、より詳しくは、３つ以上の同心的円筒状ブッシュを備えており、各ブッシュが潤滑油に被覆された状態でアームの動作を減衰させるためにアームとスリーブに摩擦係合するテンショナに関する。

カムシャフトおよびバランスシャフトのような、クランクシャフトと同期的に駆動する回転部材にための２つの最も一般的な従来技術は、タイミングチェーンとベルトである。タイミングチェーンは作動するためにエンジンオイルを必要とする。比較すると、ほとんどのタイミングベルト装置は、オイルの存在によってベルトに損傷を与え、その意図した目的を抑制するので、ベルトドライブにオイルは存在しない。ベルトにおける最近の改良により、ベルトがエンジンオイル環境下において密閉されることは要求されない。

しかし、オイルの中で作動するためのベルトの最近の改良は、解決すべき他の問題をもたらしている。一つの問題は、カムシャフトがクランクシャフトに同期することを維持するために、ベルトドライブに適切に張力を付与することである。カムシャフトあるいは他の同期駆動クランクシャフト要素がクランクシャフトに適切に同期しないと、甚大なエンジンの損傷が発生しうる。

回転するクランクシャフトからベルトを介して動力を伝達するために、ベルトの一側は、クランクシャフトの周りにおいて引っ張られ、当業者によって、一般にベルト張り側と呼ばれる。これとは逆に、ベルトの他側はクランクシャフトから離れるように押されるので、ベルト緩み側と呼ばれる。ベルトが過度に緩んでクランクシャフトとクランクシャフトによって回動される要素との間の同期を失わせることを防止するために、ベルトの緩み面に張力を付与することは重要である。この同期の損失は、当業者によって、一般に“歯飛び”あるいは“ラッチェッティング”と呼ばれる。

エンジンの角振動により引き起こされる過度のテンショナアームの運動あるいは振動は、“歯飛び”あるいは“ラッチェッティング”を防止するためにベルトの緩みを除去するという問題を悪化させる。過度のアームの動作は、“歯飛び”あるいは“ラッチェッティング”状態を導くだけでなく、テンショナおよびベルトの寿命を短縮する。アームの振動の量を最小化するため、摩擦減衰が一般的に用いられてテンショナがベルトから離れることを防止している。

オイルの存在は摩擦減衰を難しくさせる。当業者は、潤滑油を２つの摺接面に与えると、２つの面の間の相対運動がさらに容易に発生することを理解する。

この技術の代表は米国特許第５，０６４，４０５号明細書（１９９９年）であり、これは、調節可能な固定中心・動的テンショナを開示し、ベルトあるいはチェーンドライブシステムに張力を付与する方法と、システムの設定トルクに適合するように摩擦トルクを与えるための装置とを含む。この方法は、テンショナを回転させるために目標摩擦トルクが必要となるように、十分なバネ荷重で、静止した取付け面に対してテンショナを付勢することを含む。そしてテンショナアームは、設定トルクが取り除かれるときにベルトあるいはチェーンがテンショナを逆回転させるまで、ベルトあるいはチェーンの方向に回動せしめられ、テンショナの目標摩擦トルクは、目標設定張力をシステムに維持させる。装置は、アームに係合し、かつ固定面に対して固着されたバネを介して、固定面に枢動可能に取り付けられたテンショナアームを含む。修正は、静止した取付け面とテンショナアームの間に、弾性ブッシュあるいはバネのような柔軟なカップラーを導入することである。

必要とされるのは３つ以上の同心的円筒状ブッシュを備え、各ブッシュが、潤滑油の中でアームの動作を減衰させるために、アームとスリーブに摩擦係合するテンショナである。本発明はこの要求に合致する。

本発明の主な特徴は、３つ以上の同心的円筒状ブッシュを備えるテンショナであって、各テンショナが、潤滑油の中でアームの動作を減衰させるために、アームとスリーブに摩擦係合するテンショナを提供することである。

本発明の他の目的は、本発明の以下の説明と添付された図面により指摘され明らかにされる。

本発明は、スリーブを有するベースと、スリーブに揺動可能に係合するアームと、アームとベースの間に係合するバネと、アームに軸支されるプーリと、取付け面におけるスリーブの位置を回転させて調節するためにスリーブに係合されるアジャスタと、アームの動作を減衰させるためにアームとスリーブに摩擦係合する、３つ以上の同心的円筒状ブッシュとを備え、各同心的円筒状ブッシュが潤滑油の被膜とともに動作するために適している、テンショナである。

この明細書に組み込まれその一部を構成する添付図面は、本発明の好ましい実施形態を示し、説明とともに本発明の原理を説明するために用いられる。
本発明テンショナの断面図である。 本発明テンショナの分解図である。

図１はテンショナの断面図である。テンショナはアジャスタ１を備える。アジャスタ１は偏心しており、組み付け時に、テンショナアーム４を動かしてベルトに適切に接触させるために用いられる。工具（図示せず）が工具受け部１１０に挿入されてアジャスタ４が回転せしめられる。アジャスタ１が軸Ａ−Ａの周りに回動されると、アジャスタは、アジャスタ１を貫通するボルトあるいは他の適当な締め具（図示せず）の周りに回転し、スリーブ１０の移動を介してテンショナを所定の位置に押す。

プーリ５は、ベルト（図示せず）に直接接触して適当なベルト張力を与える部品である。プーリ５は軸受５１を介してアーム４に軸支される。軸受５１は図のとおりボール軸受であるが、ニードル軸受あるいは従来公知の他の適当な軸受であってもよい。プーリ５は、タイミングベルトの背面に係合するために平面Ｖを有して示される。

アーム４は軸受け５１のインナーレースに結合され、バネ１１によりベルトに対して付勢される。バネ１１はコイルバネであり、アーム４に係合される端部を有する。バネ１１はベース６にも係合される。ベース６は、テンショナ取付け面として作用するエンジンに静的に取付けられる。バネ１１およびアーム４の有効アーム長さにより生じるトルクは、ベルト張力を生じるために用いられる。

シリンダ部材３はアーム４に圧入される。カラー８はスリーブ１０に間隙をもって嵌合され、カラー８はスリーブ１０に対して可動ではない。スリーブ１０はベース６に圧入される。軸Ａ−Ａに関し、部材３はシリンダカラー８とスリーブ１０の間に介在する。動作中アーム４と部材３はスリーブ１０とカラー８に対して移動可能である。スリーブ１０とカラー８はベースに固定されて結合されるので、テンショナの動作中、動かない。

部材３の介在する位置により、ブッシュ２、ブッシュ７およびブッシュ９に接触する３つの別々の摩擦面が形成され、これらの摩擦接触は摩擦減衰を生じる。各ブッシュ２、７、９は円筒状である。

ブッシュ２は部材３とアジャスタ１の間、そして部材３とスリーブ１０の間に配置される。ブッシュ２は、部分２１と部分２２を備える。部分２２はアジャスタ１と部材３に接触する。部分２１はスリーブ１０と部材３に接触する。ブッシュ７はカラー８とアーム４の間にある。ブッシュ７は部分７１と部分７２を備える。部分７１と部分７２はカラー８とアーム４にそれぞれ接触する。ブッシュ９はカラー８と部材３に接触する。ブッシュ２、７、９のそれぞれは徐々に小さくなる直径を有する。つまり、ブッシュ２はブッシュ９よりも小さな直径であり、ブッシュ９はブッシュ７より小さな直径を有する。

ブッシュのシリンダ形状のさらなる利点は、摩擦力がプーリ５に作用するベルト張力ベクトルVの方向に関係なく発生することである。ベルト張力は、ベルトに対してアーム４を付勢するバネ１１により作り出される。ベクトルVは、軸Ａ−Ａから垂直に延びる放射線に略平行である。

ブッシュ３は、例えば鋳造によって、アーム４と一体的に成形されることができる。ブッシュはまた、アーム４とは別の部材であってもよく、製造を単純化するために圧入されてもよい。ブッシュ２、７、９はプラスチック、フェノール性多層構造、焼結金属および金属であってもよい。ブッシュ２、７、９は軸Ａ−Ａに関して同心的かつ円筒状である。

カラー８はスリーブ１０に対して一体的に回転できるように固定され、これによりブッシュ７（アーム４に取付けられる）とブッシュ９（ブッシュ３に取付けられる）が動作に対して静的摩擦面を有することとなる。カラー８は六角形を用いて回転可能に固定されるが、スプライン、タブ、平面、あるいは強い圧入のような従来公知の種々の方法によりスリーブ１０に対して一体的に回転できるように固定されてもよい。

カラー８、部材３およびアーム４は、テンショナのサイズを最小化するため、そして各円筒状ブッシュ２、７、９を収容するために、同心的に交互配置、すなわち入れ子にされる。

本発明のテンショナはオイル環境において動作する。より詳しくは、テンショナの内部は密閉されていないので、ブッシュ面は継続して露出され潤滑膜を受ける。例えば、本発明のテンショナは、テンショナがエンジンタイミングカバーによって保護される環境にあるタイミングベルトドライブに用いられる。

従来技術のテンショナにおいて、潤滑油は摩擦係数を減少させて摩擦力を低下させるので、このような環境に通常存在する潤滑油はブッシュ面の適当な減衰動作を減少させる。

一方、本発明のテンショナは多重のブッシュ摩擦面により、潤滑油によって被覆されるときであっても、必要な減衰（摩擦）力を発生する。

本発明のテンショナは、いかなる潤滑油の環境であっても使用することができ、潤滑油は、自動車用エンジンアプリケーションに用いられる潤滑油を含み、ブッシュ、アーム４、カラー８、部材３およびスリーブ１０に悪い影響を与えない。

図２はテンショナの分解図である。ベース６は、取付け面におけるテンショナ位置を決定するために用いられる部材６１を備える。テンショナは一般に潤滑油に浸された環境において用いられるので、本発明のテンショナは、異物からブッシュを保護するためにシールを用いない。バネ１１の端部１２はベース６に係合する。バネ１１の端部１３はアーム４に係合する。

本発明のひとつの形態が説明されたが、ここに記載された発明の精神と範囲から逸脱することなく、構成あるいは部分に変更を加えることは当業者にとって自明である。

Claims (3)

1. スリーブを有するベースと、
   前記スリーブに揺動可能に係合するアームと、
   前記アームと前記ベースの間に係合するバネと、
   前記アームに軸支されるプーリと、
   取付け面における前記スリーブの位置を回転させて調節するために前記スリーブに係合されるアジャスタと、
   アームの動作を減衰させるために前記アームと前記スリーブに摩擦係合する、３つ以上の同心的円筒状ブッシュとを備え、
   各同心的円筒状ブッシュが潤滑油の被膜とともに動作するために適しており、
   前記アームが円筒状部材をさらに備え、
   前記スリーブが、前記アームと前記円筒状部材の間に同心的に交互に配置された円筒状カラーをさらに備える
   テンショナ。
2. 前記バネがコイルスプリングである請求項１に記載のテンショナ。
3. 前記アジャスタが工具受け部を備える請求項２に記載のテンショナ。
   

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