JP5284958B2 - 前立腺癌と良性前立腺肥大症とを識別する方法 - Google Patents

前立腺癌と良性前立腺肥大症とを識別する方法 Download PDF

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Description

本発明は、前立腺癌と良性前立腺肥大症とを識別する新規な方法に関する。より詳細には、本発明は、前立腺特異抗原(PSA)の糖鎖構造の差異に基いて、前立腺癌と良性前立腺肥大症とを識別する新規な方法に関する。
前立腺癌(prostate carcinoma:以下「PC」と称する)は男性の主要な死亡原因の1つである。前立腺特異抗原(prostate specific antigen:以下「PSA」と称する)はPCに対する最も重要な腫瘍マーカーとして認識されている(たとえば、非特許文献1参照)。PSAは、約26kDaの分子量を有する237個のアミノ酸残基からなるタンパク部分と、該タンパク部分のアミノ酸残基(たとえばAsn45など)に結合した糖鎖部分とから構成される約30kDaの分子量を有する糖タンパク、またはその誘導体もしくは類似体である。糖鎖部分は、PSAの分子量の約8%を示す。PCの初期診断に対する血清PSA試験の有用性は既に多くの文献に記載されているが、良性前立腺肥大症(benign prostatic hyperplasia:以下「BPH」と称する)に罹患している男性とPCに罹患している男性との間に、グレーゾーン(gray zone)と呼ばれるPCまたはBPHの何れとも判断できない領域がある(たとえば、非特許文献2参照)。この問題を解決するために、これまでにいくつかの試み(たとえば、PSA密度、PSA勾配(年間増加度)、遊離PSA/全PSAの比などによる識別)が実施されてきたが、2つの病変(lesions)の間にはかなり重複する点がある。
最近、コンカナバリンA、植物凝集素E4(PHA−E4)およびPHA−L4を用いた連続的レクチンアフィニティークロマトグラフィー法を用いた研究において、PSAのアスパラギン(N)に結合する糖鎖の構造が、PC組織とBPH組織との間で相違するという結果が報告された(非特許文献3参照)。この報告は、PSA中のN−結合糖鎖がヒト前立腺における癌化の過程で変化すること、ならびにPSA中のN−結合糖鎖がPCの診断ツールとして役立つ可能性があることを記載している。
PSAの構造を検出する方法として、PSAの糖鎖に結合する結合分子を用いるいくつかの免疫学的方法が提案されてきている。たとえば、PSAをレクチンと接触させ、PSAの糖鎖とレクチンとの親和性に基づいて分別されたPSAを測定することによって、PCとBPHとを識別する方法が報告されている(特許文献1参照)。この報告において、PSAの糖鎖とレクチン(イヌエンジュ(Maackia amurensis)レクチンなど)との親和性の差異は、糖鎖末端のシアル酸のコンフォメーションに基づくと記載されている。しかしながら、PCまたはBPHに罹患した被験者のPSA糖鎖の具体的構造を決定していない。また、PSA糖鎖に対するフコース付加に関しては、PCおよびBPH間で相違を見いだしていない。
また、PSA中に少なくとも三分岐の糖鎖が存在するかどうかに基づいてPCを検定する方法が報告されている(特許文献2参照)。この方法においては、少なくとも三分岐の糖鎖に結合するが、一分岐および二分岐の糖鎖とは結合しない結合分子を用いる。用いることができる結合分子は、レクチン(PHA−Lなど)および抗体を含む。
別のアプローチとして、PSA糖鎖中のフコースに注目したいくつかの報告がなされている。たとえば、PSA糖鎖中のフコースの含有量を測定し、該含有量が異常に増加している際にPCと診断する方法が提案されている(特許文献3参照)。
あるいはまた、PSAを含む標的糖タンパク質の糖鎖の糖プロファイルを決定することにより、被験者の臨床状態を評価する方法が提案されている(特許文献4参照)。該文献は、MALDI−MS法を用いた解析において、PCに罹患した被験者のPSA糖鎖が、正常なPSA糖鎖とは異なるフコシル化構造を有することを記載している。しかしながら、PCに罹患した被験者のPSA糖鎖の具体的構造を記載していない。
さらに、PSA中のフコース結合糖鎖およびフコース非結合糖鎖の含有量に注目した報告がなされている(非特許文献4参照)。該報告は、顕著に高い血清中のPSA濃度(1.8μg/mL)を有する被験者の1例のみのPSA糖鎖構造をHPLCにて解析し、フコース非結合糖鎖/フコース結合糖鎖の含有量の比が5.25(84/16)であることを記載している。一方で、さらに高濃度の血清PSA濃度(10μg/mL以上)を有するPCに罹患している被験者2名の血清PSAから調製された糖ペプチドのMALDI−QIT−TOF MSによる解析が発表されている(非特許文献11参照)。ここで、フコース結合糖鎖の含有量はそれぞれ100%及び64%を示し、フコース結合糖鎖の方がフコース非結合糖鎖に比べて多いと発表されている。
しかしながら、BPHに罹患した被験者のPSA糖鎖の構造は未だ解明されておらず、PSA糖鎖の具体的な構造に基づいてBPHとPCとを識別することは、これまでなされていない。
特開2002−55108号公報 特表2000−514919号公報 英国特許出願公開第2361060号明細書 特表2006−515927号公報 Stamey他, N. Engl. J. Med., 317, 909-916 (1987) Catalona他, j. Am. Med. Assoc, 279, 1542-1547 (1998) Sumi他, J. Chromatogr. B, 727, 9-14 (1994) Tabares他, Glycobiology, 16(2), 132-145 (2006) Peter他, Anal. Biochem., 273(1), 98-104 (1999) Kawinski他, Prostate, 50(3):145-153 (2002) Bindukumar他, J. Chromatogr. B, Analyt. Technol. Biomed. Life. Sci., 813(1-2), 113-120 (2004) Zhang他, Clin. Chem., 41(11), 1567-1573 (1995) Okada他, Biochim. Biophys. Acta, 1525(1-2), 149-160 (2001) Peracaula他, Glycobiology, 13(6), 457-470 (2003) Tajiri他, Glycobiology Advance Access published October 23, 2007 <http://glycob.oxfordjournals.org/cgi/reprint/cwm117v1>
したがって、本発明の課題は、BPHまたはPCに罹患した被験者のPSA糖鎖の具体的な構造を決定することにより、PSAの糖鎖構造に基づいてBPHとPCとを的確に識別する方法を提供することである。
本発明に係るPCとBPHとの識別方法は、(1)被験者由来の試料からPSAを精製する工程と、(2)工程(1)で精製したPSAからPSA誘導体を調製する工程と、(3)工程(2)で得られたPSA誘導体を標識する工程と、(4)工程(3)で得られた標識化PSA誘導体を質量分析法により分析する工程とを含み、該標識化PSA誘導体中のフコース非結合糖鎖のシグナル強度とフコース結合糖鎖のシグナル強度との比が1.0を越える際に前立腺癌であると識別し、1.0以下である際に良性前立腺肥大症であると識別することを特徴とする。ここで、工程(2)で調製されるPSA誘導体は、PSA由来の糖鎖または糖ペプチドであってもよい。
以上のような工程を採ることによって、血清中PSA濃度がほぼ同レベルの被験者についても、そのPSA糖鎖中のフコース非結合糖鎖/フコース結合糖鎖とのシグナル強度比Rを測定することによって、PCとBPHとを高精度で識別できる。また、PCおよびBPHの両方において、フコース非結合糖鎖/フコース結合糖鎖のシグナル強度比Rは血清PSA濃度とは全く相関がなく、PCにおいてはRは1.0より大きく、BPHにおいてはRは1.0以下である。
したがって、現行のPCのスクリーニングに繁用されている血清中PSA濃度を測定する方法において高いPSA値(4ng/mL以上)を示し、苦痛な2次検査である針生検を受けていた被験者についても、本発明を適用することによって不必要な検査を回避することができる。また、年齢とともに血清中PSA濃度が上昇することが知られている。よって、特に高齢化社会において、本発明の方法によって高精度でPCとBPHとを識別することは、医学に貢献するのみならず、医療経済にも良好な効果を奏する。
図1は、実施例1で得られたネガティブイオンMSスペクトルを示す図である。 図2は、実施例1において、m/z=2077のピークP2Aをプリカーサーイオンとして得られるネガティブイオンMSスペクトルを示す図である。 図3は、実施例1において、m/z=1931のピークP2Bをプリカーサーイオンとして得られるネガティブイオンMSスペクトルを示す図である。 図4は、実施例15で得られたネガティブイオンMSスペクトルを示す図である。 図5は、実施例17で得られたポジティブイオンMSスペクトルを示す図である。 図6は、実施例20で得られたポジティブイオンMSスペクトルを示す図である。 図7Aは、実施例21で得られた、PSA由来の糖ペプチドのポジティブイオンMSスペクトルを示す図である。 図7Bは、実施例21で得られた、PSA−ACT複合体由来の糖ペプチドのポジティブイオンMSスペクトルを示す図である。 図8は、実施例22で得られたポジティブイオンMSスペクトルを示す図である。
本発明に係るPCとBPHとの識別方法は、(1)被験者由来の試料からPSAを精製する工程と、(2)工程(1)で精製したPSAからPSA誘導体を調製する工程と、(3)工程(2)で得られたPSA誘導体を標識する工程と、(4)工程(3)で得られた標識化PSA誘導体を質量分析法により分析する工程とを含み、該標識化PSA誘導体中のフコース結合糖鎖のシグナル強度とフコース非結合糖鎖のシグナル強度との比が1.0を越える際に前立腺癌であると識別し、1.0以下である際に良性前立腺肥大症であると識別することを特徴とする。
工程(1)において、被験者由来の試料から、PSAを精製する。工程(1)において用いられる被験者由来の試料は、血液(血清および血漿を含む)、尿、および***(精漿)などの体液、および前立腺細胞を含む。好ましくは、試料は血清である。工程(1)は、当該技術において知られている任意の方法で実施することができる。
たとえば、工程(1)において被験者由来の血清を試料として用いる場合、磁性ビーズを用いた免疫沈降法を用いてPSAの精製を行うことができる(非特許文献5参照)。たとえば、(a)ストレプトアビジン被覆された磁性ビーズにビオチン化ジゴキシゲニン抗体を結合させた抗体磁性ビーズを作製し、(b)抗体磁性ビーズに対してジゴキシゲニン標識されたPSA抗体を添加してインキュベーションを行い、(c)被験者由来の血清を添加して免疫沈降を行う。次いで、ジゴキシゲニンリジン塩酸塩を加えて、沈降させた抗体磁性ビーズに結合した化合物を溶出させ、次いでドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS−PAGE)を用いてPSAを分離し、PSA由来ペプチドを得る。前述の文献によれば、得られたPSA由来ペプチドのMALDI−TOF MS法による解析を行うために、被験者由来の試料中に約7.6μgのPSAが必要であった。
あるいはまた、工程(1)において被験者由来の血清を試料として用いる場合、数種のアフィニティークロマトグラフィーを組み合わせた方法を用いることができる。たとえば、被験者由来の血清に対して、親イオウ吸着に基づくアフィニティークロマトグラフィー(フラクトゲル(Fractogel)(登録商標) EMD TA)、アフィニティークロマトグラフィー(Cibacron Blue 3GA)、アフィニティークロマトグラフィー(プロテインAセファロースCL-4B)、およびアフィニティークロマトグラフィー(HiTrapヘパリンカラムHPLC)を行う(非特許文献4参照)。得られた溶離液をエタノールアミンで処理して、遊離のPSAを得る。遊離のPSAを前述の免疫沈降法を用いて処理し、PSA誘導体を得る。前述の文献によれば、得られたPSA誘導体の解析を行うために、被験者由来の試料中に約63μgのPSAが必要であった。
さらに、工程(1)における試料として被験者由来の血清を用いる場合、1工程の親イオウ吸着に基づくアフィニティークロマトグラフィーを用いて、PSAの精製を実施することができる(非特許文献6参照)。たとえば、3S, T-gelスラリー(フラクトゲル(登録商標) EMD TA)を用いるクロマトグラフィーによって、ヒト***、前立腺癌患者の血清、前立腺癌細胞(LNCaP)培養液の上清からPSAを精製し、ウェスタンブロット法を用いて、遊離形態またはα1−アンチキモトリプシン(ACT)等との複合体状態を同定することができる。あるいはまた、被験者由来の***を試料として用いる場合、親イオウ吸着に基づくアフィニティークロマトグラフィーとゲル濾過を組み合わせることによって、PSAを精製してもよい(非特許文献7参照)。たとえば、親イオウ吸着に基づくアフィニティークロマトグラフィー(フラクトゲル(登録商標) TA 650(S))と、ゲル濾過(Ultrogel AcA-54)とを組み合わせることができる。この組み合わせ方法では、遊離のPSAを72%の収率で回収することができた。
あるいはまた、工程(1)における試料として被験者由来の***を用いる場合、以下の方法を用いてPSAの精製を行うことができる(非特許文献8および9参照)。たとえば、硫酸アンモニウムの添加による沈殿、疎水性相互作用クロマトグラフィー(Phenyl-Sepharose-HPカラム)、ゲル濾過(Sephacryl S-200カラム)、およびアニオン交換クロマトグラフィー(Resourse Qカラム)を順次行うことによって、PSAを精製することができる。この方法において、試料中に33.9mgのPSAが含まれる場合、最終的なPSAの回収率が30.1%であったことが報告されている。
さらに、工程(1)における試料として被験者由来のアンドロゲン依存性のLNCaPを用いる場合、限外濾過と各種クロマトグラフィーとを組み合わせた方法によって、PSAを精製することができる(非特許文献10参照)。たとえば、適切な手段で培養したLNCaPを含む培養液の限外濾過(5kDaカットオフ・ポリスルホン膜(Millipore))、アフィニティークロマトグラフィ(Cibacron Blue 3GA)、ゲル濾過(Biogel P60)、アフィニティークロマトグラフィ(Cibacron Blue 3GA)、および逆相クロマトグラフィー(214TP-RP C4、HPLC使用)を順次行うことによって、PSAを精製することができる。
次いで、工程(2)において、精製されたPSAからPSA誘導体を調製する。本発明における「PSA誘導体」とは、PSAから分離される糖鎖および糖ペプチドを意味する。たとえば、PSAに対して、エンドプロテアーゼ(サーモリシン、エンドプロテイナーゼArg−C、エンドプロテイナーゼLys−C、トリプシン、キモトリプシン、ペプシン、プロリン特異的エンドペプチダーゼ、プロテアーゼV8,プロテイナーゼK、アミノペプチダーゼM,カルボキシペプチダーゼBなど)またはペプチド結合開裂剤を作用させて糖ペプチドを形成し、糖ペプチドを工程(3)で使用してもよい。
別法として、PSAを酵素的に処理して遊離の糖鎖を形成してもよい。あるいはまた、PSAから誘導された前述の糖ペプチドを酵素的に処理して遊離の糖鎖を形成してもよい。このようにして得られた糖鎖を工程(3)で使用してもよい。この酵素的処理においては、たとえば、ペプチドN−グリカナーゼ(PNGase F、PNGase A)、エンドグリコシダーゼ(EndoH, EndoF)、および/または1つまたは複数のプロテアーゼ(トリプシン、エンドプロテイナーゼLys−Cなど)を用いることができる。あるいはまた、PSAまたはPSAから誘導された糖ペプチドを化学的手段(無水ヒドラジンによる分解、還元的または非還元的β−脱離など)を用いて処理して、遊離の糖鎖を形成してもよい。このようにして得られる遊離の糖鎖を、以下の工程(3)で使用してもよい。また、シアリダーゼ処理または酸加水分解を行なってシアル酸を除去した糖鎖および糖ペプチドを用いてもよい。
また、工程(1)の最終段階で電気泳動を行い、PSAのバンドを切り出した場合、切り出したバンドに対して上記の反応剤を作用させてゲル内消化を行い、糖ペプチドおよび/または糖鎖を生成してもよい。
工程(3)において、PSA誘導体を標識する。標識化合物としては、ナフタレン、アントラセン、ピレンなどの縮合多環炭化水素部分と、分析対象の分子と結合することが可能である反応性官能基と、必要に応じて該縮合多環炭化水素部分と該反応性官能基とを連結するスぺーサー部分とを有する化合物を用いることができる。縮合多環炭化水素部分は、好ましくはピレンである。反応性官能基は、シアル酸のカルボキシ基または糖の還元末端との反応性を有し、たとえばジアゾメチル基、アミノ基、ヒドラジド基などを含む。スペーサー部分は、たとえば直鎖または分岐状のアルキレン基などを含む。本発明において用いることができる標識化合物は、1−ピレニルジアゾメタン(PDAM)、1−ピレンブタン酸ヒドラジド(PBH)、1−ピレン酢酸ヒドラジド、1−ピレンプロピオン酸ヒドラジド、アミノピレン(構造異性体を含む)、1−ピレンメチルアミン、1−ピレンプロピルアミン、1−ピレンブチルアミンなどを含む。最も好ましく用いられる標識化合物は、PDAMである。
工程(3)は、PSA誘導体および標識化合物を混合し、加熱することによって行うことができる。加熱は、たとえば40〜50℃の範囲内の温度で実施することができる。任意選択的に、水溶性カルボジイミドまたはN−ヒドロキシスクシンイミドなどの促進剤の存在下で、標識を行ってもよい。より好適には、MALDI法にて用いられるターゲットプレート上にPSA誘導体の溶液を滴下して乾燥させ、その上に標識化合物の溶液を滴下して加熱乾燥させることによって、標識を実施することができる。
工程(4)において、標識されたPSA誘導体を質量分析法(MS)により分析する。MSにおいて用いることができるイオン化部は、マトリクス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)型、またはエレクトロスプレーイオン化(ESI)型の装置を含む。本発明においては、ピレンなどの縮合多環炭化水素基を結合することによって、MALDI法における標識されたPSA誘導体のイオン化効率が、未標識のPSA誘導体と比較して向上する。また、本発明の標識されたPSA誘導体は、ESI法の適用がより容易である。なぜなら、PSA誘導体は親水性が高く、ESI法に用いる試料の有機溶液を得るのが困難であるのに比較して、本発明の標識されたPSA誘導体は、縮合多環炭化水素基の導入によって有機溶媒に可溶性となっているためである。
MSにおいて用いることができる分離部は、飛行時間型(TOF型)、二重収束型、四重極収束型等の当該技術において知られている任意の装置を含む。特に、MS(n≧2)分析を行うことを考慮して、イオントラップを有する装置を用いることが便利である。特に好適な装置は、四重極イオントラップ−飛行時間型(QIT−TOF)である。ここで、飛行時間型装置として、リニア型、リフレクトロン型または周回型のいずれの装置を用いてもよい。
次いで、得られたMSスペクトルにおいて、フコースの有無に相当する分子量差146DaのピークPおよびPの対を選定する。ここで、Pはフコース結合糖鎖に相当するより大きな分子量のピークを意味し、Pはフコース非結合糖鎖に相当するより小さな分子量のピークを意味する。そして、フコース結合糖鎖およびフコース非結合糖鎖に相当するピークのシグナル強度S(P)およびS(P)を求め、その比R=S(P)/S(P)を計算する。得られたRが1より大きい場合、被験者がPCに罹患していると識別し、得られたRが1以下である場合、被験者がBPHに罹患していると識別する。本工程において得られるMSスペクトルにおいて、分子量差146Daの複数のピーク対を選定して、上記の識別手順を実施してもよい。あるいはまた、標識化合物および/またはシアル酸残基などが質量分析装置中で脱離したピークで、分子量差146Daのピーク対を選定し、上記の識別手順を実施してもよい。
(実施例1)
(a)工程1 PSAの単離
最初に血清中の免疫グロブリンの除去を行った。4mLのプロテインAアガロース(PIERCE)をディスポーザブルプラスティックカラム(PIERCE)に充填し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を用いて平衡化した。プロテインAアガロース充填カラムに対して、BPHと診断された被験者(T−13)の血清およびPBSの混合物を添加し、2倍のカラムボリューム(CV)のPBSにて洗浄した。この担体に結合しないPSAを含む画分を採取し、最終濃度が1MになるようにNaSOを加えた。
次に、血清中の主要タンパクであるアルブミンの除去を行った。1mLのフラクトゲル(商標) EMD TA(S)(Merck)をディスポーザブルプラスティックカラムに充填し、20mMリン酸緩衝液(pH7.4、NaSO(1M)含有)にて平衡化させた。フラクトゲル充填カラムに対して上述のPSAを含む画分を添加し、送液ポンプを用いて7CVの同緩衝液でカラムを洗浄した。次いで、吸着したタンパクを20mMリン酸緩衝液(pH7.4、NaSO不含)にて溶出し、PSAを含む画分を得た。
次に、血清中のPSAとα−アンチキモトリプシンとの複合体(PSA−ACT)から、PSAを遊離させた。前述のPSAを含む画分に同量の4Mエタノールアミン溶液(pH10.5)を加え、最終のエタノールアミン濃度を2Mとし、25℃において14時間にわたって振盪して、反応させた。その後、反応混合物を氷浴で冷却しながら、2Mの塩酸を加え、反応混合物を中和した。
次に、PSA抗体を用いた免疫沈降を行った。最初に、ダイナビーズ(登録商標)プロテインG(Invitrogen)に対して市販の抗ヒトPSA・ウサギポリクローナル抗体(DAKO社製)を結合させ、続いてジメチルピメルイミデート(DMP、PIERCE)を用いて処理して抗体と磁気ビーズを架橋させて、抗体磁気ビーズを得た。前述の中和された反応混合物に対して、PSA抗体磁気ビーズを添加し、4℃にて1時間にわたって振盪した。続いて、PSA抗体磁気ビーズを、0.02%のTween−20を含むPBSで3回、およびPBSで1回洗浄した。さらに、PSA抗体磁気ビーズに1Mプロピオン酸を加え、4℃にて40分間にわたって振盪し、PSA抗体磁気ビーズに吸着したタンパクを溶出させて回収した。溶出したタンパクを遠心式濃縮機(SpeedVac)を用いて乾固させた。
乾固させたタンパクを、酵素免疫定量法(ELISA、栄研化学)および電気泳動にて分析した結果、最初の血清中に含まれていたPSAの約50%を回収できることが判明した。以上の工程は2日以内に完了することができ、簡便かつ迅速な工程でありながら、高収率である。
0.125MのTris−HCl緩衝液(pH6.8)に対して、10%のメルカプトエタノール、4%のSDS、10%のショ糖、0.004%のブロモフェノールブルーを添加して、サンプルバッファーを調製した。20μLのサンプルバッファーに対して工程1で精製したPSAを添加し、3分間にわたって100℃に加熱し、そして氷浴中に静置して冷却した。得られたサンプルを、10%ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動による分離した。電気泳動による分離後、ポリアクリルアミドゲルを純水で軽く洗浄し、引き続いてSYPRO(登録商標) Ruby (Invitrogen)による染色を行なった。染色されたタンパク質を含むゲルを切り出し、1.5mLチューブに移した。切り出したゲルを純水、50%アセトニトリル水溶液、およびアセトニトリルを用いて順次洗浄し、そしてゲルを乾燥させた。
また、別途、4〜10ng/mLのPSA濃度を有する血清1mLを用いて上記の手順を繰り返したところ、ウエスタンブロットにてPSAのバンドが強く観察された。この結果から、このように低い濃度のPSAであっても、前述の方法によって効率よく精製することが可能であることが証明された。
(b) 工程2 糖鎖(PSA誘導体)の調製
工程(a)で得られた乾燥ゲルの入ったチューブに対して、10mMのジチオトレイトール(DTT)および25mMの炭酸水素アンモニウムを含む水溶液(pH8.0)を加え、遮光条件下1時間にわたって56℃で振盪して還元反応を行い、チューブ内の溶液を除去した。チューブに対して55mMのヨードアセトアミドを含む水溶液を加えて、遮光条件下45分間にわたって室温で振盪してアルキル化反応を行い、チューブ内の溶液を除去した。還元およびアルキル化を行ったゲルを、25mMの炭酸水素アンモニウム水溶液(pH8.0)、およびアセトニトリルで洗浄し、その後、ゲルを乾燥させた。
上記により得られたゲルに、リシルエンドペプチダーゼ(登録商標)溶液(250ng、和光純薬(質量分析グレード)、25mM炭酸水素アンモニウム水溶液(pH8.0)を加えて、45分間にわたって氷中で静置し、ゲルを膨潤させた。その後、18時間にわたって37℃において、反応混合物を緩やかに撹拌した。75%アセトニトリル水溶液(0.1%トリフルオロ酢酸を含む)を加えて20分間にわたって振盪して抽出を行い、溶液を回収した。
回収した溶液を遠心式濃縮機によって乾固させた。残渣に対して、1μgのフェタブロックSC(ロシュ・ダイアグノスティックス)を含む50mM炭酸水素アンモニウム水溶液(pH8.0)を加え、引き続いて1単位(1単位/μL)のペプチドN−グリコシダーゼF(Sigma)を加えて、18時間にわたって37℃で振盪した。振盪終了後、反応混合物に1μLのトリフルオロ酢酸1%水溶液を添加した。オクタデシル(C18)シリカ担体が充填されたC18チップを用いた反応混合物の吸引および排出を繰り返して、ペプチドを吸着させて反応混合物中の糖鎖と分離し、糖鎖画分を得た。続いて、70%アセトニトリル0.1%トリフルオロ酢酸水溶液を用いてC18チップからペプチドを溶出させて、ペプチド画分を得た。得られたペプチド画分からは、PSAに由来するペプチドが検出された。
マイクロスピンカラムに30mgのカーボングラファイト(GLサイエンス)を充填して洗浄した。グラファイト充填マイクロスピンカラムに対して糖鎖画分を加え、さらに洗浄液として5%アセトニトリル水溶液(0.1%トリフルオロ酢酸)を加え、遠心分離(300×g、1分〜2分)により洗浄した。洗浄液を除去した後に、50%アセトニトリル水溶液(0.1%トリフルオロ酢酸)を加え、遠心分離(300×g、1分〜2分)を行い、糖鎖を溶出させ、糖鎖溶出液を得た。回収した糖鎖溶出液を遠心式濃縮機を用いて乾固させ、2μLの純水に再溶解させて、糖鎖溶液を得た。
(c) 工程3 糖鎖(PSA誘導体)の標識
MALDI用ターゲットプレートの上に、工程2で得られた糖鎖溶液0.5μLを滴下し、風乾させた。次に、ターゲットプレート上に、1−ピレニルジアゾメタン(PDAM、500pmol)のDMSO溶液0.25μLを滴下し、約25分間にわたって40℃に加熱し、乾燥させた。この操作によって、ターゲットプレート上に、PDAMで標識された糖鎖が得られた。
(d) 工程4 MS分析
工程3で得られた標識糖鎖を担持したターゲットプレートに対して、2,5−ジヒドロキシ安息香酸(DHBA)の50%アセトニトリル溶液(濃度10mg/mL)0.5μLを滴下し、室温において乾燥させた。
得られたターゲットプレートをMALDI−QIT−TOFMS装置AXIMA−QIT(島津製作所/Kratos社製)に設置し、MS分析を行った。定量的な比較を行うために、ターゲットプレート上の試料の広がりよりも大きい外周で囲まれた領域をラスタースキャンし、有意な全シグナルを積算した。得られたMSスペクトルの代表例を図1に示す。
別途、種々のイオンをプリカーサーイオンとして用いたMS分析を行った結果、図1中のm/z=2582のピークP1Aが式Aに示すフコース結合糖鎖に相当し、m/z=2436のピークP2Aが式Bに示すフコース非結合糖鎖に相当することが判明した。なお、式中の「Pyrene」は、PDAMによるピレン標識部(1−ピレニルメチル基)を示し、左中括弧(open brace)は、左側に示した部分構造が、右側に示した部分構造のいずれかに結合していることを示す。また、式中、Neu5AcはN−アセチルノイラミン酸を示し、Galはガラクトースを示し、GlcNAcはN−アセチルグルコサミンを示し、Fucはフコースを示し、およびManはマンノースを示す。
ピークP1AおよびP2Aのシグナル強度S(P1A)およびS(P2A)を求め、その比R=S(P2A)/S(P1A)を計算して、R=0.69という数値が得られた。
Figure 0005284958
図1中のm/z=2077のピークP2Aをプリカーサーイオンとして得られるMSスペクトルを図2に示す。ピークP2Aのイオンは、N−アセチルノイラミン酸およびフコースが1個ずつ結合した2本鎖構造を有することが推定された。さらに、以下の考察に基づいて、それらの付加位置を決定した。図2のスペクトルにおいて、Fuc−GlcNAcが遊離したm/z=1709のピークが検出されたが、GlcNAcのみが遊離したm/z=1856のピークが検出できなかったことから、フコースは還元末端のGlcNAcに結合していることが分かった。また、図2のスペクトルにおいて、Neu5Ac−Gal−GlcNAcに相当するm/z=655のピーク、およびNeu5Ac−Gal−GlcNAc−Manに相当するm/z=817のピークなどが検出されたことから、N−アセチルノイラミン酸は、非還元末端に結合していることが分かった。さらに、DイオンであるNeu5Ac−Gal−GlcNAc−Man−Manに相当するm/z=961のピークが検出されたことから、Manの6位側の分岐構造にN−アセチルノイラミン酸が結合する異性体が存在することも明らかとなった。加えて、m/z=1316、m/z=1113、およびm/z=799などのピーク群を検出したことにより、N−アセチルノイラミン酸がα2−6結合している異性体(式Cに示す構造)と、N−アセチルノイラミン酸がα2−3結合している異性体(式Dに示す構造)とが混在していることが判明した。
Figure 0005284958
図1中のm/z=1931のピークP2Bをプリカーサーイオンとして得られるMSスペクトルを図3に示す。ピークP2Bのイオンは、フコースを持たず、N−アセチルノイラミン酸が1個結合した2本差構造を有することが推定された。DイオンであるNeu5Ac−Gal−GlcNAc−Man−Manに相当するm/z=961のピークがほとんど検出され無いことから、Manの3位側の分岐構造にN−アセチルノイラミン酸が結合する異性体が主であることが分かった。また、m/z=1316およびm/z=799などのピーク群に代ってm/z=835のピークが顕著に検出されたことから、N−アセチルノイラミン酸がα2−3結合している異性体(式Fに示す構造)と、N−アセチルノイラミン酸がα2−6結合している異性体(式Eに示す構造)が主であることが解明できた。
加えて、式A〜Fに示した構造の他に、Gal残基がN−アセチルガラクトサミン(GalNAc)残基に置換されている構造も検出された。
このように、本発明の方法により、BPH患者由来の血清PSAの糖鎖構造の詳細が初めて明らかとなった。
(実施例2〜16)
BPHと診断され、匿名化され識別コードを付した3名の被験者の血清(実施例2〜4)、ならびに生検によりPCと診断され、匿名化され識別コードを付した12名の被験者の血清(実施例5〜16)を用いて、実施例1の手順を繰り返した。なお、医療機関の倫理審査を受け承認され、被験者には説明をし同意を得ている。
それぞれの被験者の血清中PSA濃度およびフコース非結合糖鎖(m/z=2436)/フコース結合糖鎖(m/z=2582)のシグナル強度比Rを、以下の第1表に示す。また、ピレン標識部および1つのN−アセチルノイラミン酸残基が脱離したフコース非結合糖鎖(m/z=1931)/フコース結合糖鎖(m/z=2077)のシグナル強度比も同様のR値を示した。
Figure 0005284958
PCと診断された被験者の血清を用いた場合の代表例として、実施例1で用いた血清と同程度の血清中PSA濃度を有する血清を用いた実施例15で得られたMSスペクトルを図4に示す。実施例1と同様の手順によるMS分析によって、実施例15においても式A〜Fに示した構造を有する糖鎖の存在が確認された。
加えて、式A〜Fに示した構造の他に、Gal残基がGalNAc残基に置換されている構造も検出された。また、PCと診断された被験者の血清からは、2本鎖構造の糖鎖に加えて、より高度に分岐した3本鎖および4本鎖の糖鎖も検出された。さらに、2本鎖、3本鎖および4本鎖の糖鎖のいずれにおいても、Gal残基がGalNAc残基に置換されている構造も検出された。
(評価)
表1に示したように、PCと診断された被験者の血清に由来する試料は、1.0より大きいフコース非結合糖鎖/フコース結合糖鎖のシグナル強度比Rを示し、フコース非結合糖鎖を多く含有することを見出した。それに対して、BPHと診断された被験者の血清に由来する試料のシグナル強度比Rは1.0以下であった。すなわち、BPHと診断された被験者の血清中には、フコース結合糖鎖がフコース非結合糖鎖よりも多く存在することが初めて明らかになった。
さらに、実施例2〜4および9〜10の比較、ならびに実施例1と実施例14との比較から明らかなように、血清中PSA濃度がほぼ同レベルの試料であっても、そのPSA上の糖鎖中のフコース非結合糖鎖およびフコース結合糖鎖の量の関係は、PCの場合とBPHの場合とでは全く異なるという結果を見出した。
さらに、驚くべきことに、PCにおいてもBPHにおいても、フコース非結合糖鎖/フコース結合糖鎖のシグナル強度比Rは血清PSA濃度とは全く相関がないことが見いだされた。この結果は、本発明の方法が、PSA濃度に依存することなしにPCとBPHとを精度よく区別できることを示している。したがって、本発明の方法は、1〜1200ng/mL、好ましくは1〜100ng/mL、さらに好ましくは4〜50ng/mLの血清中PSA濃度の範囲の試料に適用できる。特に、グレーゾーンと呼ばれる血清中PSA濃度の範囲(4〜10ng/mL)においてさえ、本発明の方法は高精度でのPCとBPHとの区別に有効である。
(実施例17)
本実施例は、前述の実施例における糖鎖に代えて糖ペプチドを用いることができることを示す例である。
標準品PSA(CHEMICON)を用いて、実施例1の工程1に記載の第5の段階の電気泳動、および工程2に記載のDTTによる還元、ヨードアセトアミドによるアルキル化、洗浄および乾燥の工程を実施し、乾燥ゲルを得た。この時、工程2記載のDTTによる還元およびヨードアセトアミドによるアルキル化を行なわなくてもよい。
次に、乾燥ゲルに対して、1〜100単位のサーモリシン(Calbio Chem)の25mM炭酸水素アンモニウム水溶液(pH8.0)を加えて、45分間にわたって氷浴中で静置して、ゲルを膨潤させた。膨潤したゲルを18時間にわたって56℃で軽く攪拌した。ゲルに対して、抽出液(70〜80%アセトニトリルおよび0.1%トリフルオロ酢酸を含有する水溶液)を加えて20分間にわたって振盪し、溶液を回収した。
洗浄した25mgのZIC(登録商標)HILIC固相カラム充填剤(SeQuant)に対して、回収した溶液を加えた。続いて、80%アセトニトリルおよび0.1%トリフルオロ酢酸を含有する水溶液を加えて洗浄し、そして0.1%トリフルオロ酢酸の水溶液を用いて糖ペプチドを溶出させた。糖ペプチド溶出液を遠心式濃縮機によって乾固させ、次いで固形物を2μLの純水に溶解させて糖ペプチド溶液を得た。
得られた糖ペプチド溶液に対して実施例1の工程3と同様の手順を適用して、糖ペプチドの標識を行った。次いで、得られたターゲットプレートに対して実施例1の工程4の手順を適用して、MS分析を行った。MS分析によって、PSA由来のペプチド43−47に糖鎖が結合した糖ペプチドが検出された。得られたMSスペクトルを図5に示した。図5に示すように、フコースの有無に対応する146Daの分子量差を有する、4つのフコース結合糖ペプチド(P)およびフコース非結合糖ペプチド(P)の対が見いだされた。
1A(m/z=2891.2) / P2A(m/z=2745.2)
1B(m/z=2677.2) / P2B(m/z=2531.2)
1C(m/z=2427.1) / P2C(m/z=2281.0)
1D(m/z=2386.1) / P2D(m/z=2240.0)
いずれの対においても、フコース非結合糖ペプチド/フコース結合糖ペプチドのシグナル強度比R’が1.0以下であった。また、本実施例で用いた標準品PSAに対して実施例1の工程1に記載の第5の段階の電気泳動、および工程2〜4と同様の手順を適用して糖鎖構造を解析した。得られたフコース非結合糖鎖/フコース結合糖鎖のシグナル強度比Rは1.0以下であった。
以上のように、PSA誘導体として糖ペプチドを用いた場合であっても、標識後のMS分析において、フコースの有無に相当する146Daの分子量差を有するフコース非結合糖ペプチドおよびフコース結合糖ペプチドのピーク対を検出することができた。さらに、糖ペプチドのピーク対のシグナル強度比R’は、糖鎖のピーク対のシグナル強度比Rと同様の結果を示した。したがって、実施例1〜16に示したフコース非結合糖鎖/フコース結合糖鎖のシグナル強度比Rと同様に、フコース非結合糖ペプチド/フコース結合糖ペプチドのシグナル強度比R’を求めることによって、PCとBPHとを高精度で区別することが可能であると考えられる。
また、糖ペプチドを用いる場合、糖鎖にペプチドが結合していることによって、PSAの同定および糖鎖付加位置の確認が可能となる。このことによって、他の糖タンパク質が混在する場合であっても、フコース非結合糖ペプチド/フコース結合糖ペプチドのシグナル強度比R’を正確に求めることが可能となる。
(実施例18)
サーモリシンの炭酸水素アンモニウム水溶液に代えて、200ngのエンドプロテイナーゼArg−C(ロシュ・ダイアグノスティックス)を含む緩衝液(50mMのTris−HCl、pH7.6、5mMのDTT、および0.5mMのEDTAを含有する)を用い、ゲル内消化の反応温度を37℃に変更したことを除いて、実施例9の手順を反復した。
MS分析において、PSA由来のペプチド45−53に糖鎖が結合した糖ペプチドが検出された。実施例17と同様にフコースの有無に相当する146Daの分子量差を有するフコース非結合糖ペプチド/フコース結合糖ペプチドのピーク対を検出することができた。
(実施例19)
BPHまたはPCに罹患している患者の血清から、実施例1にしたがって工程1を実施してPSAを精製し、その後、実施例17または18の手順にしたがって工程2を実施することによって、糖ペプチドを調製することができる。さらに実施例17または18の手順にしたがって工程3および4を実施することによって、フコースの有無に相当する146Daの分子量差を有するフコース非結合糖ペプチド/フコース結合糖ペプチドのピーク対を検出することができる。
(実施例20)
実際にPCに罹患している患者(N-46、PSA濃度1.6μg/mL)の血清をもちいて、実施例17の手順にしたがって、ゲル内でサーモリシン処理を行なった。ゲル抽出液を遠心式濃縮機によって乾固させた。得られた固形物を0.8%トリフルオロ酢酸水溶液に溶解し、80℃、30分にわたって静置し、脱シアル酸化反応を行った。脱シアル酸化されたサンプルを遠心式濃縮機によって乾固させた。得られた固形物を5%アセトニトリルおよび0.1%トリフルオロ酢酸を含有する水溶液に溶解した。オクタデシル(C18)シリカが充填されたC18チップを用いた反応混合物の吸引および排出を繰り返して、ペプチドを吸着させて糖ペプチド画分を得た。得られた糖ペプチド画分にアセトニトリルを加えて、アセトニトリルの最終濃度を80%になるように調整し、ZIC(登録商標)HILIC固相カラム充填剤(SeQuant)による精製、引き続き工程3および4を実施例17と同様に行なった。その結果、得られたMSスペクトルを図6に示す。フコース非結合糖鎖/フコース結合糖鎖のシグナル強度比は確かに1.0より大きい値を示した。この結果は、糖鎖解析の結果と一致していた。
(実施例21)
実施例1の工程1に記載のPSA単離、および工程2に記載のDTTによる還元、ヨードアセトアミドによるアルキル化の工程を実施せずに、市販品PSA(CHEMICON)50ngまたはPSA−ACT複合体(CORTEX BIOCHEM)50ngに対して、10単位のサーモリシン(Calbio)の25mM炭酸水素アンモニウム水溶液(pH8.0)を直接加えて、18時間にわたって56℃で静置反応させた。
サーモリシン消化された溶液を遠心式濃縮機によって乾固させた。得られた固形物を0.8%トリフルオロ酢酸水溶液に溶解し、80℃、30分にわたって静置し、脱シアル酸化反応を行った。脱シアル酸化されたサンプルを遠心式濃縮機によって乾固させた。得られた固形物を5%アセトニトリルおよび0.1%トリフルオロ酢酸を含有する水溶液に溶解した。オクタデシル(C18)シリカが充填されたC18チップを用いた反応混合物の吸引および排出を繰り返して、ペプチドを吸着させて反応混合物中の糖ペプチドと分離し、糖ペプチド画分を得た。得られた糖ペプチド画分にアセトニトリルを加えて、アセトニトリルの最終濃度を80%になるように調整した。洗浄した25mgのZIC(登録商標)HILIC固相カラム充填剤(SeQuant)に対して、糖ペプチド画分を加えた。続いて、80%アセトニトリルおよび0.1%トリフルオロ酢酸を含有する水溶液を加えて洗浄し、そして0.1%トリフルオロ酢酸の水溶液を用いて糖ペプチドを溶出させた。糖ペプチド溶出液を遠心式濃縮機によって乾固させ、次いで固形物を2μLの純水に溶解させて糖ペプチド溶液を得た。
得られた糖ペプチド溶液に対して実施例1の工程3と同様の手順を適用して、糖ペプチドの標識を行った。次いで、得られたターゲットプレートに対して実施例1の工程4の手順を適用して、MS分析を行った。MS分析によって、PSA由来のペプチド43−47に糖鎖が結合した糖ペプチドがPSA及びPSA−ACT複合体から同様に検出された。得られたMSスペクトルを図7Aおよび図7Bに示した。図7AはPSA由来の糖ペプチドのMSスペクトルを示す図であり、図7BはPSA−ACT複合体由来の糖ペプチドのMSスペクトルを示す図である。図7Aおよび図7Bに示すように、フコースの有無に対応する146Daの分子量を有する、2つのフコース結合糖ペプチド(P)およびフコース非結合糖ペプチド(P)の対が見いだされた。
1A(m/z=2386.1) / P2A(m/z=2240.0)
1B(m/z=2600.1) / P2B(m/z=2454.0)
このように、実施例1のようにPSA−ACT複合体から遊離PSAを調製しなくても、複合体から糖ペプチドを直接的に調製して、PSAのフコース結合糖ペプチドおよびフコース非結合糖ペプチドを検出することができた。この方法は、工程が少なくなるので、簡便迅速となる上、糖ペプチドの回収率が向上する。したがって、この方法は臨床試料への適用に好ましい。
(実施例22)
本実施例は、実施例21と同様に、実施例1の工程1に記載のPSA単離、および工程2に記載のDTTによる還元、ヨードアセトアミドによるアルキル化の工程を実施することなしに、患者血清の分析を行った例である。
最初に、PCに罹患している患者(N−99、PSA濃度90.3ng/mL)の血清から、免疫グロブリンの除去を行った。3mLのプロテインAアガロース担体(PIERCE)をPBSを用いて平衡化した。これをディスポーザブルプラスティックカラム(PIERCE)に充填し、被験者(N−99)の血清およびPBSの混合物を添加し、4℃にて30分間にわたって振盪した。この担体に結合しないPSAを含む画分を回収した。さらに、分離したプロテインAアガロース担体を、担体の3倍の体積(3CV)のPBSにて洗浄し、洗浄液をPSA含有画分に加えた。PSA含有画分に対して、最終濃度が1MになるようにNaSOを加えた。
次に、PSA含有画分から、血清中の主要タンパクであるアルブミンを除去した。2.5mLのフラクトゲル(商標)EMD TA(S)(Merck)をディスポーザブルプラスティックカラムに充填し、20mMリン酸緩衝液(pH7.4、NaSO(1M)含有)にて平衡化させた。フラクトゲル(商標)充填カラムに対して上記にて得られた画分を添加し、送液ポンプを用いて7CVの同緩衝液をカラムに送液し、アルブミンを流出させた。次いで、20mMリン酸緩衝液(pH7.4、NaSO不含)を用いて、フラクトゲル(商標)充填カラムから吸着したタンパクを溶出させ、PSAを含む画分を得た。
次いで、PBSにて平衡化させた2mLのプロテインAアガロース担体に対してこの画分を添加し、4℃にて30分間にわたって振盪することにより、免疫グロブリンのさらなる除去を行った。プロテインAアガロース担体に結合しないPSAを含む画分を回収した。さらに分離したプロテインAアガロース担体を、担体の3倍の体積(3CV)のPBSにて洗浄し、洗浄液をPSA含有画分に加えた。この画分を、次の免疫沈降に用いた。
引き続いて、免疫沈降に使用する抗PSA抗体ビーズの作製を行った。NHS-activated Sepharose 4 Fast Flow(GEヘルスケアバイオサイエンス社)を、1mMのHClで3回洗浄した。次に、洗浄後のビーズに対して、市販の抗ヒトPSA・ウサギポリクローナル抗体(DAKO社製)を添加し、その混合物を室温にて30分間にわたって振盪し、抗体とビーズとの架橋を行った。続いて、0.5MのNaClを含む0.5Mのモノエタノールアミン溶液を加え、30分間にわたって振盪して、残余の活性基のマスキングを行った。得られた抗PSA抗体ビーズを、0.5MのNaClを含む0.1Mの酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0)、および、0.5MのNaClを含む0.1Mのトリス緩衝液(pH9.0)で、交互に3回洗浄した。次いで、抗PSA抗体ビーズを、PBSで3回洗浄した。最後に、抗PSA抗体ビーズを0.02%アジ化ナトリウムを含むPBSで洗浄し、使用時まで4℃にて保存した。
次に、免疫沈降を行った。前述のアルブミンおよびグロブリンを除去したPSA含有画分に対して、0.1mlの抗PSA抗体ビーズを添加し、4℃にて1時間にわたって振盪した。続いて、抗PSA抗体ビーズを、Micro Bio-Spinクロマトグラフィーカラム(バイオ・ラッドラボラトリーズ社)に移した。抗PSA抗体ビーズカラムを、PBSで4回、0.02%のTween-20を含むPBSで3回、および蒸留水で2回洗浄した。さらに、抗PSA抗体ビーズカラムに1Mプロピオン酸を加え、抗体ビーズに吸着したタンパクを溶出させて回収した。1Mプロピオン酸での溶出を10回にわたって行い、合わせた溶出液を遠心式濃縮機(SpeedVac (SAVANT))を用いて乾固させた。
乾固させたタンパクを、酵素免疫定量法(ELISA、栄研化学)および電気泳動にて分析した結果、最初の血清中に含まれていたPSAの約70%を回収できることが判明した。以上の工程は2日以内に完了することができ、簡便かつ迅速な工程でありながら、高収率である。
次に、サーモリシンによるタンパク質の酵素消化を行った。乾固させたタンパクを50mM炭酸水素アンモニウム水溶液(pH8.0)に溶解し、50単位のサーモリシン(Calbio)を加えて、18時間にわたって56℃で静置した。反応混合物を遠心式濃縮機によって乾固させた。得られた固形物を0.8%トリフルオロ酢酸水溶液に溶解し、40分間にわたって80℃で静置し、脱シアル酸化反応を行った。脱シアル酸化されたサンプルを遠心式濃縮機によって乾固させて、糖ペプチド画分を得た。
続いて、カーボングラファイト充填カートリッジであるIntersep GC 50mg(GLサイエンス)を用いて、得られた糖ペプチド画分の粗精製および脱塩を行った。最初に、カートリッジに対して、1MのNaOH水溶液、蒸留水、30%酢酸水溶液、蒸留水、80%アセトニトリルおよび0.1%トリフルオロ酢酸を含有する水溶液、ならびに5%アセトニトリルおよび0.1%トリフルオロ酢酸を含有する水溶液を順次送液し、充填されたカーボングラファイトの洗浄および平衡化を行った。次に、乾固した糖ペプチド画分を、5%アセトニトリルおよび0.1%トリフルオロ酢酸を含有する水溶液に溶解し、カートリッジに送液した。糖ペプチド画分を吸着させたカートリッジに対して、蒸留水、5%アセトニトリルおよび0.1%トリフルオロ酢酸を含有する水溶液を順次送液し、糖ペプチド画分の粗精製および脱塩を行った。その後に、カートリッジに対して、80%アセトニトリルおよび0.1%トリフルオロ酢酸を含有する水溶液を送液して、吸着した糖ペプチドを溶出した。この糖ペプチドを含む溶出液を回収し、遠心式濃縮機によって乾固させた。
Sepharose CL-4B(シグマアルドリッチ社)を用いて、糖ペプチドの精製を行った。使用前に、Sepharoseを50%エタノール水溶液で5回洗浄し、次いで、ブタノール:蒸留水:エタノール=4:1:1の混合溶液で5回洗浄した。乾固させた粗精製の糖ペプチドを、同混合溶液に溶解させた。その溶液に対して、洗浄したSepharoseを6μL加え、1時間にわたって室温にて震盪して、糖ペプチドをSepharoseに吸着させた。続いて、前述の混合溶液を用いて、9回にわたってSepharoseを洗浄した。糖ペプチドの吸着したSepharoseに50%エタノール水溶液を加え、30分間にわたって室温で震盪して、糖ペプチドを溶離させた。溶離した糖ペプチドを含む溶液を回収し、遠心式濃縮機によって乾固させた。次いで、得られた固形物を5%アセトニトリル水溶液4μLに溶解した。
得られた糖ペプチド溶液に対して実施例1の工程3と同様の手順を適用して、糖ペプチドの標識を行った。次いで、得られたターゲットプレートに対して実施例1の工程4の手順を適用して、MS分析を行った。MS分析によって、確かにPSA由来のペプチド43−47に糖鎖が結合した糖ペプチドが検出された。得られたMSスペクトルを図8に示した。フコースの有無に対応する146Daの分子量を有する、2つのフコース結合糖ペプチド(P)およびフコース非結合糖ペプチド(P)が見いだされた。
(m/z=2386.4) / P(m/z=2240.3)
被験者の血清中PSA上のフコース非結合糖鎖(m/z=2240.3)/フコース結合糖鎖(m/z=2386.4)のシグナル強度比Rは1.23であった。
以上のように、90.3ng/mLの低いPSA濃度を有する前立腺癌患者の血清からの糖ペプチドを、MSによって検出することに初めて成功した。また、低いPSA濃度を有する前立腺癌患者の血清中のPSAにおいても、1000ng/ml以上という高いPSA濃度を有する前立腺癌患者の血清中のPSAと同様に、フコース非結合糖鎖/フコース結合糖鎖のシグナル強度比が1.0より大きいことが明らかになった。

Claims (3)

  1. (1) 被験者由来の試料からPSAを精製する工程と、
    (2) 工程(1)で精製したPSAからPSA誘導体を調製する工程と、
    (3) 工程(2)で得られたPSA誘導体を標識する工程と、
    (4) 工程(3)で得られた標識化PSA誘導体を質量分析法により分析する工程と
    を含み、該標識化PSA誘導体中のフコース非結合糖鎖のシグナル強度とフコース結合糖鎖のシグナル強度との比が1.0を越える際に前立腺癌であると識別し、1.0以下である際に良性前立腺肥大症であると識別することを特徴とする、前立腺癌と良性前立腺肥大症とを識別する方法。
  2. 工程(2)において調製されるPSA誘導体が、PSA由来の糖鎖であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 工程(2)において調製されるPSA誘導体が、PSA由来の糖ペプチドであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
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