以下に、添付図面を参照して、本発明にかかる遊技機の好適な実施の形態を詳細に説明する。
(ぱちんこ遊技機の基本構成)
まず、実施の形態にかかるぱちんこ遊技機の基本構成について説明する。図1は、実施の形態にかかるぱちんこ遊技機の一例を示す正面図である。図1に示すように、実施の形態のぱちんこ遊技機100は、遊技盤101を備えている。遊技盤101の下部位置には、発射部(図8中符号892参照)が配置されている。発射部の駆動によって発射された遊技球は、レール102a,102b間を上昇して遊技盤101の上部位置に達したあと、遊技領域103内を落下する。
遊技領域103には、複数の釘(不図示)が設けられており、この釘によって遊技球は不特定な方向に向けて落下する。また、遊技領域103において遊技球の落下途中となる位置には、遊技球の落下方向を変化させる風車や各種入賞口(始動口や大入賞口など)が配設されている。
遊技盤101の略中央部分には、画像表示部104が配置されている。画像表示部104としては液晶表示器(LCD)などが用いられる。画像表示部104の下方には、第1始動口105と、第2始動口106とが配設されている。第1始動口105、第2始動口106は、始動入賞させるための入賞口である。なお、第2始動口106は、本発明の始動口に相当する。
第2始動口106の近傍には、電動役物としての電動チューリップ107が設けられている。電動チューリップ107は、遊技球を第2始動口106へ入賞し難くさせる閉状態(閉口された状態)と、閉状態よりも入賞し易くさせる開状態(開放された状態)とを有する。これらの状態の制御は、電動チューリップ107が備えるソレノイド(図8中符号831参照)によっておこなわれる。
電動チューリップ107は、画像表示部104の左側に配設されたゲート108を遊技球が通過したことによりおこなわれる普通図柄抽選の抽選結果に基づいて開放される。なお、ゲート108は、画像表示部104の左側(図示の位置)に限らず、遊技領域103内の任意の位置に配設してもよい。
第2始動口106の下方には、大入賞口109が設けられている。大入賞口109は、大当たり状態となったときに開放して、遊技球が入賞することにより所定個数(たとえば15個)の賞球を払い出すための入賞口である。
画像表示部104の側部や下方などには普通入賞口110が配設されている。普通入賞口110は、遊技球の入賞により所定個数(たとえば10個)の賞球を払い出すための入賞口である。普通入賞口110は、図示の位置に限らず、遊技領域103内の任意の位置に配設してもよい。遊技領域103の最下部には、いずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を回収する回収口111が設けられている。
遊技盤101の右下部分には、特別図柄が表示される特別図柄表示部112が配置されている。特別図柄表示部112は、第1特別図柄(以下「特図1」という)が表示される第1特別図柄表示部(図8中符号112a参照)と、第2特別図柄(以下「特図2」という)が表示される第2特別図柄表示部(図8中符号112b参照)とを有する。
ここで、特図1は、遊技球が第1始動口105へ入賞することによりおこなう第1大当たり抽選の抽選結果をあらわす図柄である。特図2は、遊技球が第2始動口106へ入賞することによりおこなう第2大当たり抽選の抽選結果をあらわす図柄である。第1大当たり抽選および第2大当たり抽選は、遊技状態を大当たり状態とするか否かの抽選である。
また、遊技盤101の右下部分には、普通図柄が表示される普通図柄表示部113が配置されている。ここで、普通図柄は、普通図柄抽選の抽選結果をあらわすものである。普通図柄抽選は、前述のように電動チューリップ107を開状態(長開放または短開放)とするか否かの抽選である。普通図柄表示部113は、たとえば、7セグメントディスプレイからなる。
特別図柄表示部112および普通図柄表示部113の左側には、特別図柄または普通図柄に対する保留数を表示する保留球表示部114が配置されている。たとえば、保留球表示部114としてはLEDが用いられる。この保留球表示部114としてのLEDは複数配置され、点灯/消灯によって保留数をあらわす。たとえば、保留球表示部114を構成するLEDのうちの、上段のLEDが2個点灯している場合には、普通図柄に対する保留数は2であることをあらわす。
遊技盤101の遊技領域103の外周部分には、枠部材115が設けられている。枠部材115において遊技領域103の上側および下側となる2辺には、演出ライト部(枠ランプ)116が設けられている。演出ライト部116は、それぞれ複数のランプを有する。各ランプは、ぱちんこ遊技機100の正面にいる遊技者を照射し、その照射位置が遊技者の頭上から腹部に沿って移動するように、光の照射方向を上下方向に変更することができる。各ランプは、演出ライト部116に設けられた不図示のモータによって、光の照射方向を上下方向に変更するように駆動される。
枠部材115の下部位置には、操作ハンドル117が配置されている。操作ハンドル117は、上記の発射部を駆動させて遊技球を発射させる発射指示部材118を備えている。発射指示部材118は、操作ハンドル117の外周部において、遊技者から見て右回りに回転可能に設けられている。発射部は、発射指示部材118が遊技者によって直接操作されている場合に、遊技球を発射させる。
枠部材115において、遊技領域103の下側となる辺には、遊技者による操作を受け付ける演出ボタン(チャンスボタン)119が設けられている。また、枠部材115において、演出ボタン119の隣には、十字キー120が設けられている。これら演出ボタン119および十字キー120は、ぱちんこ遊技機100において遊技者からの操作を受け付ける操作部を構成している。また、枠部材115には、音声を出力するスピーカ(図8中符号854参照)が組み込まれている。
画像表示部104の側部には、可動演出役物130が配設されている。可動演出役物130は、遊技盤101上に、盤面に対して平行方向の移動を可能に設けられており、所定の演出時に画像表示部104側に移動するとともに、所定の色に点灯および点滅する。なお、図示を省略するが、遊技領域103内の所定位置(たとえば画像表示部104の周囲)には演出用の他の役物が設けられている。
(可動演出役物の構成)
次に、図2〜図4を用いて、本実施の形態にかかる可動演出役物130の構成について説明する。図2は、可動演出役物130の分解斜視図である。図3は、演出系およびロック系の組立斜視図である。図4は、可動演出役物130の断面図である。図2において、可動演出役物130は、駆動系200と、演出系210と、ロック系220とからなる。
駆動系200は、駆動モータ201と、駆動伝達軸202と、駆動ギア203と、従動ギア204とからなる。駆動モータ201は、電気エネルギーを機械エネルギーに変換することにより回転駆動力を生成し、駆動伝達軸202を回転させる。駆動ギア203は、駆動モータ201から駆動伝達軸202を介して伝達された回転力によって駆動回転する。従動ギア204は、駆動ギア203と歯合連結し、駆動ギア203の回転力によって従動回転する。また、従動ギア204は、演出系210に連結する連結部207を有する。
また、駆動ギア203は、筒状部材205に接合している。筒状部材205には、原点位置としてのスリット206が設けられており、フォトセンサ208によってスリット206が検出されるようになっている。なお、従動ギア204は、本発明の回転ギアに相当する。フォトセンサ208は、発光素子および受光素子を備え、駆動ギア203の原点位置を検出するためのものである。フォトセンサ208は、スリット206の検出、および筒状部材205の壁面を検出することにより、駆動モータ201の原点位置または回転状態を検出する。
演出系210は、星形形状の大中小3つのランプが連なって構成されたものであり、上部のランプが連結部211を介して従動ギア204に連結している。可動演出役物130は、従動ギア204の回転により、連結部211を支点として回動するようになっている。演出系210は、所定の演出時に、移動するとともに、各ランプが発光するようになっている。
ロック系220は、第1ロック円板221と、第2ロック円板222と、係止片223と、からなる。第1ロック円板221は、従動ギア204に接続して従動ギア204とともに回転する。第1ロック円板221は、外周に設けられた第1係止突起221aと、第2ロック円板222に回転力を伝達する伝達部221bと、従動ギア204に接続する接続軸221cと、を有する。
第2ロック円板222は、第1ロック円板221と同軸上に設けられ、第1ロック円板に従動して回転する。第2ロック円板222は、第2係止突起222aと、遊動部222bとを有する。第2係止突起222aは、突出形状を有し、第2ロック円板222の外周に設けられている。遊動部222bは、第1ロック円板221の伝達部221bからの回転力を非伝達とし、第1ロック円板221および第2ロック円板222を所定範囲内で相互に移動自在にする。
なお、所定範囲は、遊動部222bの領域に相当し、詳細については、図5を用いて後述するが、係止片223による係止を解除するのに要する範囲である。なお、第1係止突起221aおよび第2係止突起222aは、それぞれ、一方がスロープ状に形成され、他方が壁面状に形成されている。
係止片223は、図3に示すように、第1係止突起221aおよび第2係止突起222aが近接する位置にて、第1係止突起221aに係止する。係止片223は、具体的には、第1係止突起221aの壁面側に係止する。本実施の形態においては、このように係止片223が係止する位置を、駆動モータ201の原点位置に対応する位置としている。
なお、係止片223は、支持部224に遊嵌し、重力によって、図3に示すように、矢印A方向に所定の力を付与する。なお、本実施の形態においては、第1ロック円板221に対して、重力によって係止片223を係止させているが、横方向や下方向から係止片223を係止させる場合には、バネなどの付勢力によって係止片223を係止させてもよい。また、図4に示すように、可動演出役物130は、遊技盤101上に演出系210が配置され、遊技盤101の内部に駆動系200およびロック系220が配置されている。
(ロック系の動作)
次に、図5を用いて、ロック系220の動作について説明する。図5は、ロック系220の動作を示した説明図である。図5において、符号J1に示す基準位置は、可動演出役物130が待機した状態を示しており、具体的には、演出をおこなわないときの状態を示している。状態J1では、係止片223が第1係止突起221aに係止した状態にある。なお、係止片223は、第1係止突起221aの壁面側に係止している。
このとき、係止片223により、接続軸221cの回転が規制され、すなわち、従動ギア204の回転が規制される。このように、係止片223が第1係止突起221aに係止することにより、可動演出役物130がロックされ、運搬中などに可動演出役物130が移動することを抑止できるようになっている。
この状態から、従動ギア204の回転に伴って第1ロック円板221と第2ロック円板222とが相対的に変移することにより、係止片223による係止を解除することについて、状態J2および状態J3を用いて説明する。
可動演出役物130を用いた演出をおこなう場合、状態J1から、まず、第1ロック円板221を所定量逆転させることにより状態J2に移行する。状態J2は、第1ロック円板221の伝達部221bが第2ロック円板222を従動回転させることにより、係止片223が第2係止突起222aのスロープ500を摺動することによって第2係止突起222a上に位置した状態を示している。
そして、状態J2から、第1ロック円板221を正転させることにより状態J3に移行する。状態J2から状態J3に移行する際には、第1ロック円板221の伝達部221bによる回転力が、第2ロック円板222の遊動部222bにより伝達されず、第2ロック円板222は静止した状態にあり、第1ロック円板221のみが回転する。このとき、第2ロック円板222の第2係止突起222a上に係止片223が位置しているため、第1係止突起221aが係止片223に移動を妨げられることがなく、第1ロック円板221は正転をおこなうことが可能になっている。このように状態J3は、係止片223による係止が解除された状態を示している。
さらに正転が続くと、可動演出役物130が所定の演出位置に位置する状態J4に移行する。状態J3から状態J4に移行する際には、第1ロック円板221の伝達部221bが第2ロック円板222を従動回転させることにより、第1ロック円板221と第2ロック円板222がともに正転する。
そして、状態J4における可動演出役物130の演出位置での演出の終了に伴って、第1ロック円板221を逆転させることにより状態J5に移行する。なお、状態J4から状態J5に移行する際の逆転開始時には、第1ロック円板221の伝達部221bによる回転力が、第2ロック円板222の遊動部222bにより伝達されず、第2ロック円板222は静止し、第1ロック円板221のみが回転する状態がある。そして、第1ロック円板221のみが遊動部222bに相当する所定範囲を逆転すると、第1ロック円板221の伝達部221bが第2ロック円板222を従動回転させることが可能になる。
状態J5では、係止片223が第1係止突起221aのスロープ510を摺動することによって第1係止突起221a上に位置した状態を示している。さらに逆転が続くと、状態J1に移行する。状態J5から状態J1に移行する際には、係止片223は、第1係止突起221aに乗り上げた後、第1係止突起221a上から壁面に沿って降下する。そして、係止片223は、第1係止突起221aに係止して、状態J1に移行する。
(可動演出役物の動作)
次に、図6および図7を用いて、本実施の形態にかかる可動演出役物130の動作について説明する。図6は、待機時における可動演出役物130の状態を示した説明図である。図6において、可動演出役物130は、画像表示部104に対して退避した待機位置に位置し、可動演出役物130が静止した状態となっている。
図7は、演出時に可動演出役物130が移動した際の状態を示した説明図である。図7において、可動演出役物130は、駆動ギア203が反時計回りに駆動回転するとともに、従動ギア204が当該駆動回転に時計回りに従動回転することにより、演出系210が時計回り方向に移動した、所定の演出位置に位置した状態にある。このとき、たとえば、演出系210は、所定の演出として、各ランプが点灯するようになっている。なお、演出系210最下端のランプのみを、別途設けた駆動部に連結させることにより、最下端のランプのみを単独で回転させたりしてもよい。
(ぱちんこ遊技機の制御部の内部構成)
次に、図8を用いて、実施の形態にかかるぱちんこ遊技機100の制御部の内部構成について説明する。図8は、実施の形態にかかるぱちんこ遊技機100の制御部の内部構成を示すブロック図である。図8に示すように、ぱちんこ遊技機100の制御部800は、遊技の進行を制御する主制御部801と、演出内容を制御する演出制御部802と、賞球の払い出しを制御する賞球制御部803とを備えている。以下にそれぞれの制御部の構成について詳細に説明する。
(1.主制御部)
主制御部801は、CPU(Central Processing Unit)811と、ROM(Read Only Memory)812と、RAM(Random Access Memory)813と、不図示の入出力インターフェース(I/O)などを備えて構成される。
主制御部801は、CPU811がRAM813をワークエリアとして使用しながら、ROM812に記憶された各種プログラムを実行することによって、ぱちんこ遊技機100の遊技の進行を制御するように機能する。具体的には、主制御部801は、大当たり抽選(第1大当たり抽選、第2大当たり抽選)、普通図柄抽選、遊技状態の制御などをおこない、遊技の進行を制御する。たとえば、主制御部801は、主制御基板によって実現される。
CPU811は、予めROM812に記憶された各種プログラムに基づき、遊技内容の進行に伴う基本処理を実行する。ROM812には、大当たり抽選プログラム、普通図柄抽選プログラム、電動チューリップ制御プログラム、大入賞口制御プログラム、などが記憶されている。
大当たり抽選プログラムは、第1始動口SW821または第2始動口SW822によって遊技球が検出されることにより、大当たり抽選をおこなうプログラムである。普通図柄抽選プログラムは、ゲート108への遊技球の通過を検出すると、電動チューリップ107を、当たり(開放)、または、ハズレ(閉状態を保持)とする普通図柄抽選をおこなうプログラムである。電動チューリップ制御プログラムは、通常時では電動チューリップ107を閉状態としておく一方、普通図柄抽選の抽選結果に基づいて、所定期間、電動チューリップ107を開放状態にするプログラムである。大入賞口制御プログラムは、大当たり時に、所定ラウンド数、大入賞口109を開放させるプログラムである。
主制御部801には、遊技球を検出する各種スイッチ(SW)、電動チューリップ107や、大入賞口109などの電動役物を開閉動作させるためのソレノイド、上記の第1特別図柄表示部112a、第2特別図柄表示部112b、普通図柄表示部113、保留球表示部114などが接続される。
具体的には、上記の各種SWとしては、第1始動口105へ入賞した遊技球を検出する第1始動口SW821と、第2始動口106へ入賞した遊技球を検出する第2始動口SW822と、ゲート108を通過した遊技球を検出するゲートSW823と、大入賞口109へ入賞した遊技球を検出する大入賞口SW824と、普通入賞口110へ入賞した遊技球を検出する普通入賞口SW825とが主制御部801に接続される。
それぞれのSW(821〜825)による検出結果は主制御部801へ入力される。これらのSWには、近接スイッチなどを用いることができる。なお、普通入賞口SW825は、普通入賞口110の配置位置別に複数個設けてもよい。
また、上記のソレノイドとしては、電動チューリップ107を開閉動作させる電動チューリップソレノイド831と、大入賞口109を開閉動作させる大入賞口ソレノイド832とが主制御部801に接続される。主制御部801は、それぞれのソレノイド(831,832)に対する駆動を制御する。たとえば、主制御部801は、普通図柄抽選の抽選結果に基づいて電動チューリップソレノイド831の駆動を制御する。また、主制御部801は、大当たり抽選の抽選結果に基づいて大入賞口ソレノイド832の駆動を制御する。
主制御部801は、大当たり抽選(第1大当たり抽選、第2大当たり抽選)、普通図柄抽選の抽選結果に基づいて、第1特別図柄表示部112a、第2特別図柄表示部112b、普通図柄表示部113の表示内容を制御する。たとえば、主制御部801は、第1大当たり抽選をおこなうと第1特別図柄表示部112aの特図1を変動表示させる。そして、所定期間経過後に、第1大当たり抽選の抽選結果を示す図柄にて特図1を停止表示させる。
同様に、主制御部801は、第2大当たり抽選をおこなうと第2特別図柄表示部112bの特図2を変動/停止表示させ、また、普通図柄抽選をおこなうと普通図柄表示部113の普通図柄を、変動/停止表示させる。
さらに、主制御部801は、演出制御部802および賞球制御部803にも接続され、それぞれの制御部に対して各種コマンドを出力する。たとえば、主制御部801は、演出制御部802に対しては変動開始コマンド、大当たり開始コマンドなどを出力する。ここで、変動開始コマンドは、遊技状態を示す情報や特別図柄を変動表示させる時間(以下「変動時間」という)を示す情報などを含む。また、主制御部801は、賞球制御部803に対しては賞球コマンドを出力する。ここで、賞球コマンドには、払い出させる賞球の個数を示す情報などが含まれている。
主制御部801は、実行中の遊技状態を示す情報を演出制御部802にコマンド出力する。この場合、演出制御部802によって、実行中の遊技状態に応じた演出(たとえば図柄変動や可動役物の制御)がなされる。また、主制御部801は、第1始動口105または第2始動口106に対する1回の入賞があると、1回の図柄変動にかける変動時間を示す情報を演出制御部802に対してコマンド出力する。
(2.演出制御部)
演出制御部802は、演出統括部802aと、画像・音声制御部802bと、ランプ制御部802cとによって構成され、ぱちんこ遊技機100の演出内容を制御する機能を有する。
演出統括部802aは、主制御部801から受信した各種コマンド(たとえば変動開始コマンド)に基づいて演出制御部802全体を統括する機能を有している。画像・音声制御部802bは、演出統括部802aからの指示内容に基づいて画像および音声の制御をおこなう機能を有している。また、ランプ制御部802cは、遊技盤101に設けられた可動演出役物130のランプの点灯、枠部材115などに設けられたランプの点灯、可動演出役物130の動作などを制御する機能を有している。
(2−1.演出統括部)
まず、演出統括部802aの構成について説明する。演出統括部802aは、CPU841と、ROM842と、RAM843と、リアルタイムクロック(以下「RTC」という)844と、不図示の入出力インターフェース(I/O)などを備えて構成される。
CPU841は、実行する演出を選択する演出パターン選択処理などを実行する。ROM842には、CPU841が上記の処理を実行するために必要となる各種プログラムなどが記憶されている。RAM843は、CPU841のワークエリアとして機能する。CPU841が各種プログラムを実行することによりRAM843にセットされたデータは、所定のタイミングで画像・音声制御部802bおよびランプ制御部802cに対して出力される。
CPU841は、予めROM842に記憶された各種プログラムに基づき、演出内容に関する処理を実行する。ROM842には、演出統括プログラム、演出制御プログラム、などが記憶されている。演出統括プログラムは、変動開始コマンドに基づいて、特別図柄の変動表示に合わせて実行する演出内容を決定し、画像・音声制御部802b、ランプ制御部802cに所定の処理を実行するように指示出力して、演出制御部802全体を統括するプログラムである。
演出制御プログラムは、画像・音声制御部802bによる画面演出と、ランプ制御部802cによる可動演出役物130のランプ演出や動作演出とを同期させ、同期させた役物併用演出データを用いて演出をおこなうプログラムである。
RTC844は、実時間を計時出力する。RTC844は、ぱちんこ遊技機100の電源が遮断されているときもバックアップ電源(不図示)により計時動作を継続する。なお、RTC844は、演出統括部802aなど演出制御部802内に配置する例に限らず、主制御部801に配置してもよい。また、RTC844は、単独で配置してもよい。
また、演出統括部802aには、演出ボタン119が接続されている。たとえば、演出ボタン119は、遊技者から操作を受け付けると、対応するデータを演出統括部802aへ入力する。また、図8において図示は省略するが、十字キー120も演出統括部802aに接続されている。十字キー120は、遊技者によって選択されたキーに対応するデータを演出統括部802aに入力する。
さらに、演出統括部802aには、開閉扉SW845が接続されている。開閉扉SW845は、遊技盤101前面の開閉扉の開放状態を検出するスイッチであり、開閉扉が開放された際にONになる。開閉扉SW845がONになると、演出統括部802aは、画像・音声制御部802bに対し、スピーカ854から扉が開いている旨の報知をおこなわせる。
(2−2.画像・音声制御部)
次に、画像・音声制御部802bの構成について説明する。画像・音声制御部802bは、CPU851と、ROM852と、RAM853と、不図示の入出力インターフェース(I/O)などを備えて構成される。
CPU851は、画像および音声の生成および出力処理を実行する。ROM852には、画像および音声の生成および出力処理のためのプログラム、該処理に必要となる背景画像・図柄画像・キャラクタ画像など各種画像データや各種音声データなどが記憶されている。RAM853は、CPU851のワークエリアとして機能し、画像表示部104に表示させる画像データやスピーカ854から出力させる音声データが一時的に格納される。
すなわち、画像・音声制御部802bは、CPU851がRAM853をワークエリアとして使用しながら、ROM852に記憶された各種プログラムを実行することによって、演出統括部802aからの指示に基づいて画像および音声の制御をおこなうように機能する。
たとえば、CPU851は、演出統括部802aから指示された指示内容に基づいて、背景画像表示処理、演出図柄変動/停止表示処理、キャラクタ画像表示処理など各種画像処理と音声処理を実行する。このときには、CPU851は、処理に必要な画像データおよび音声データをROM852から読み出してRAM853に書き込む。
RAM853に書き込まれた背景画像や演出図柄画像などの画像データは、画像・音声制御部802bに接続された画像表示部104に対して出力され、画像表示部104の表示画面上において重畳表示される。すなわち、演出図柄画像は、背景画像よりも手前に見えるように表示される。なお、同一位置に背景画像と図柄画像が重なる場合などには、Zバッファ法など周知の陰面消去法により各画像データのZバッファのZ値を参照することで、図柄画像を優先してRAM853に記憶させる。
また、RAM853に書き込まれた音声データは、画像・音声制御部802bに接続されたスピーカ854に対して出力され、音声データに基づく音声がスピーカ854から出力される。
(2−3.ランプ制御部)
次に、ランプ制御部802cの構成について説明する。ランプ制御部802cは、CPU861と、ROM862と、RAM863と、不図示の入出力インターフェース(I/O)などを備えて構成される。CPU861は、ランプを点灯させる処理などを実行する。ROM862には、上記の処理を実行するために必要となる各種プログラム、該処理に必要となるランプ点灯に用いる制御データなどが記憶されている。RAM863は、CPU861のワークエリアとして機能する。
ROM862に記憶されるプログラムの一例として、駆動制御プログラムがある。駆動制御プログラムは、可動演出役物130を用いた役物演出をおこなう際に、第1係止突起221aおよび第2係止突起222aに対する係止片223による係止を解除させるために、駆動モータ201を所定量逆転させた後に、正転させるプログラムである。
ランプ制御部802cは、演出ライト部(枠ランプ)116と、盤ランプ864と演出役物ランプ865と接続され、点灯制御するデータを出力する。これにより、ランプ制御部802cは、遊技盤101および枠部材115などに設けられたランプの点灯や、演出役物ランプ865の点灯や動作を制御するように機能する。また、ランプ制御部802cは、駆動モータ201に接続され、演出統括部802aの指示に基づいて、駆動制御プログラムを実行することにより、駆動モータ201を動作制御するデータを出力する。
また、ランプ制御部802cは、駆動モータ201とフォトセンサ208とに接続され、起動時や変動時に所定量、駆動モータ201を回転させ、フォトセンサ208に原点位置の検出を開始させるとともに、フォトセンサ208による原点位置の検出結果に基づいて、駆動モータ201にその動作を制御するデータを出力する。
本実施の形態では、演出制御部802は、演出統括部802aと画像・音声制御部802bとランプ制御部802cとがそれぞれ異なる基板機能として設けられるが、これらは同じプリント基板上に組み込んで構成してもよい。ただし、同じプリント基板上に組み込まれた場合であってもそれぞれの機能は独立しているものとする。
(3.賞球制御部)
次に、賞球制御部803の構成について説明する。賞球制御部803は、CPU881と、ROM882と、RAM883と、不図示の入出力インターフェース(I/O)などを備えて構成される。CPU881は、払い出す賞球を制御する賞球制御処理を実行する。ROM882には、該処理に必要となる賞球プログラムなどが記憶されている。RAM883は、CPU881のワークエリアとして機能する。
また、賞球制御部803は、払出部(払出駆動モータ)891と、発射部892と、定位置検出SW893と、払出球検出SW894と、球有り検出SW895と、満タン検出SW896と接続される。
賞球制御部803は、払出部891に対して入賞時の賞球数を払い出す制御をおこなう。払出部891は、遊技球の貯留部から所定数を払い出すためのモータからなる。具体的には、賞球制御部803は、払出部891に対して各入賞口(第1始動口105、第2始動口106、大入賞口109、普通入賞口110)に入賞した遊技球に対応した賞球数を払い出す制御をおこなう。
また、賞球制御部803は、発射部892に対する遊技球の発射の操作を検出して遊技球の発射を制御する。発射部892は、遊技のための遊技球を発射するものであり、遊技者による遊技操作を検出するセンサと、遊技球を発射させるソレノイド等を備える。賞球制御部803は、発射部892のセンサにより遊技操作を検出すると、検出された遊技操作に対応してソレノイド等を駆動させて遊技球を間欠的に発射させ、遊技盤101の遊技領域103に遊技球を送り出す。
また、この賞球制御部803には、払い出す遊技球の状態を検出する各所の検出部が接続され、賞球のための払い出し状態を検出する。これらの検出部としては、定位置検出SW893、払出球検出SW894、球有り検出SW895、満タン検出SW896等がある。たとえば、賞球制御部803は、賞球制御基板によってその機能を実現する。
また、主制御部801には、盤用外部情報端子基板897が接続されており、主制御部801が実行処理した各種情報を外部に出力することができる。賞球制御部803についても、枠用外部情報端子基板898が接続されており、賞球制御部803が実行処理した各種情報を外部に出力することができる。
上記構成の主制御部801と、演出制御部802と、賞球制御部803は、それぞれ異なるプリント基板(主制御基板、演出制御基板、賞球制御基板)に設けられるが、これに限らず、たとえば、賞球制御部803は、主制御部801と同一のプリント基板上に設けることもできる。
(ぱちんこ遊技機の基本動作)
本実施の形態にかかるぱちんこ遊技機100の基本動作の一例を説明する。主制御部801のCPU811により遊技中の制御がおこなわれ、各入賞口に対する遊技球の入賞状況を賞球制御部803に出力する。そして、賞球制御部803は、入賞状況に対応した賞球数の払い出しをおこなう。
また、始動口105,106に遊技球が入賞するごとに、対応する制御信号を演出制御部802に出力し、演出制御部802は、画像表示部104の図柄を変動表示させ、停止させることを繰り返す。大当たり発生が決定しているときには、対応する制御信号を演出制御部802に出力し、演出制御部802は、所定の図柄で揃えて停止させる。このときには、さらに、大入賞口109を開放する制御をおこなう。
演出制御部802は、当選したイベントに対応する各種演出をおこなう。ここで、イベントには、たとえば、大当たり(15ラウンド確変大当たり(いわゆる、確変大当たり)、15ラウンド通常大当たり、2ラウンド確変大当たり(いわゆる、突確)、2ラウンド通常大当たり(いわゆる、突時))や、小当たりなどが含まれる。ここで、小当たりとは、ハズレの一つであるが、2ラウンド確変大当たりと同様の振る舞い(演出)を実行させるイベントである。
たとえば、演出制御部802は、大当たり発生期間中、および大当たり発生までの間のリーチ時や、リーチ予告時等には、画像表示部104に対して、図柄の変動表示に加えて各種の演出表示をおこなう。このほか、可動演出役物130に対して特定の駆動をおこなったり、演出ライト部116、盤ランプ864、可動演出役物130の点灯状態を変更したりする演出をおこなう。
そして、たとえば、大当たり(15ラウンド確変/通常大当たり)発生時には、大入賞口109が複数回開放される。1回の開放を1ラウンドとして、15回のラウンドが繰り返し実行される。1ラウンドの期間は、遊技球がたとえば9個入賞したとき、あるいは所定期間(たとえば30秒)とされている。
この際に、賞球制御部803は、大入賞口109に対する遊技球1個の入賞あたり、たとえば15個の賞球数で払い出しをおこなう。大当たり終了後は、大当たり状態が解除され、15ラウンド確変大当たりであった場合には高確率状態の遊技状態へ復帰し、15ラウンド通常大当たりであった場合には低確率状態の遊技状態へ復帰する。
(ランプ制御部がおこなう可動演出役物駆動処理)
次に、図9を用いて、ランプ制御部802cがおこなう可動演出役物駆動処理について説明する。図9は、ランプ制御部802cがおこなう可動演出役物駆動処理を示したフローチャートである。
図9において、ランプ制御部802cのCPU861は、演出統括部802aから、可動演出役物130を用いる演出の演出開始コマンドを受信したか否かを判定する(ステップS901)。演出開始コマンドを受信するまで待機状態にあり(ステップS901:Noのループ)、演出開始コマンドを受信すると(ステップS901:Yes)、駆動モータを所定量逆転させる(ステップS902)。所定量は、具体的には、図5に示した状態J1から状態J2に移行させる量であり、詳細には、第2係止突起222a上に係止片223を位置させる量である。
そして、可動演出役物130の演出位置(図5の状態J4参照)まで正転させた後(ステップS903)、基準位置(図5の状態J1参照)まで逆転させ(ステップS904)、処理を終了する。
以上説明したように、本実施の形態では、係止片223が係止することによって第1ロック円板221の回転を規制し、従動ギア204の回転に伴って第1ロック円板221と第2ロック円板222とが相対的に変移することにより、係止片223による係止を解除するようにした。したがって、人手による操作を要することなく、可動演出役物130をロックすることができるとともに、駆動モータ201の回転方向を制御することによりロックを解除させることができる。これにより、ストッパの取り忘れを防止できるだけでなく、運搬時に可動演出役物130が動いてしまうことを防止することができる。
また、ストッパの取り忘れに伴って、違和感のある演出がおこなわれることを抑止することができるとともに、駆動モータの故障を抑止することができる。なお、本実施の形態においては、駆動モータ201を1つのみ用いたが、これに限らず、第1ロック円板221用の駆動モータ、第2ロック円板222用の駆動モータをそれぞれ別個に設けるようにしてもよい。
また、本実施の形態では、図5の状態J2に示したように、第1ロック円板221を所定量逆転させた際に、伝達部221bにより、第2ロック円板222が従動回転し、当該従動回転に伴って係止片223を第2係止突起222a上に位置させるようにした。この後、状態J3に示したように、第1ロック円板221を正転させた際に、遊動部222bにより、第2ロック円板222に静止状態を保持させるとともに、第1ロック円板221の正転が自在になることに伴って係止片223による係止を解除するようにした。したがって、第1ロック円板221および第2ロック円板222を同一軸上に設け、単一の駆動モータ201を用いて、係止片223による係止および係止の解除を可能にし、可動演出役物130に対するロックおよびロックの解除をおこなうことができるだけでなく、省スペース化やコストダウンを図ることができる。
また、本実施の形態では、図5の状態J2に示したように、第1係止突起221aおよび第2係止突起222aは、それぞれ、一方がスロープ状に形成され、他方が壁面状に形成されたものを用い、第1ロック円板221が所定量逆転した際に、係止片223が第2係止突起222aのスロープ500を摺動することによって第2係止突起222a上に位置させるようにした。したがって、スムースに係止片223を第2係止突起222a上に位置させることができ、駆動モータ201にかかる負荷を抑えることができる。これにより、駆動モータ201の故障を抑制することができる。
また、本実施の形態においては、可動演出役物130を用いた演出をおこなわない待機状態において、第1ロック円板221に係止片223を係止させるようにし、つまり、演出をおこなうとき以外は、常時、可動演出役物130をロックするようにしたが、これに限らず、たとえば、電源遮断時のみロックするようにしてもよい。
具体的には、電源投入時の初期運転時に係止片223による係止を解除させ、以後の遊技可能な状態においては、係止片223による係止を解除させた位置を原点位置として、可動演出役物130を用いた演出をおこなう。このようにすることにより、その都度、ロック解除する必要がなくなり、可動演出役物130を迅速に所定の演出位置に移動させることができる。なお、電源遮断時には、第1ロック円板221に係止片223を係止させるようにすれば、運搬時などにおいて可動演出役物130が動いてしまうことを防止することができる。
なお、本実施の形態においては、ぱちんこ遊技機100によって本発明の遊技機を実現した場合について説明したが、盤面上を可動にして所定の演出をおこなう可動演出役物130を備えたものであれば、回動式遊技機によっても本発明の遊技機を実現することが可能である。また、ぱちんこ遊技機100は、可動演出役物130を備えたものであれば、いわゆる、第一種、第二種などの種別を問わない。