本発明に係る薄膜プロセスを経て基板上に形成された微細パターンの欠陥や異物などの欠陥検査方法及び欠陥検査装置の実施の形態について図面を用いて説明する。
[第1の実施の形態]
本発明に係る光学式欠陥検査装置の概略構成を図1に示す。暗視野照明光学系10より複数の波長(発光スペクトル)若しくは複数の波長帯域からなる照明光を、反射対物レンズの外を通してウェハ(試料)1の法線方向から傾斜させた斜方から暗視野照明する。そして、ウェハ(試料)1上の欠陥やパターンで散乱した光を色収差が生じない反射対物レンズ22を有する暗視野検出光学系20にて捕捉(集光)する。この暗視野検出光学系20には、検出光路を分岐するビームスプリッタ(例えば波長分離するダイクロイックミラーまたは偏光分離する偏光ビームスプリッタまたはハーフミラー等で単純に分岐するビームスプリッタ)24が配置され、該分岐された第1の検出光路(メモリ部に対応する)21aにはウェハ1の表面に形成されたメモリ部などの周期パターン部から生じる回折像(回折パターン)を遮光する第1の空間フィルタ50を備え、前記分岐された第2の検出光路(ロジック回路部に対応する)21bには減光するND(Neutral Density)フィルタ90を備え、さらにウェハ1の表面に形成されたロジック回路部のように周期的ではなく特定の開口形状95a、95bを有した第2の空間フィルタ95a、95bを切り替え可能に備え、さらに前記第1及び第2の検出光路21a、21bにはそれぞれ偏光素子(偏光フィルタ)30、35;80、85を備え、前記第1及び第2の検出光路21a、21bの結像面には第1及び第2のイメージセンサ200、210を配置して構成される。これら第1及び第2のイメージセンサ200、210の各々で検出した検出画像信号は、画像処理部230に送られる。この画像処理部230では、図7及び図8に示すように、送られてきた各々の検出画像信号において、例えば隣接する画像信号(参照画像信号)との位置合わせを行い、該位置合わせされた画像信号同士の比較処理にて欠陥又は欠陥候補を検出する。即ち、第1のイメージセンサ200から得られる検出画像信号を基にメモリ部に発生した欠陥又は欠陥候補が検出され、第2のイメージセンサ210から得られる検出画像信号を基にロジック回路部に発生した欠陥又は欠陥候補が検出されることになる。
さらに画像処理部230において検出された各々の領域に発生した欠陥又は欠陥候補の座標やサイズ及び欠陥又は欠陥候補の画像特徴量などの欠陥情報が操作部290に送られる。操作部290は、人が検査装置をオペレーションする部分であり、GUI(Graphical user interface)を介して、検査レシピの作成、作成したレシピによる検査の指示、及び検査結果のマップ表示や検出した欠陥の特徴量表示などが行われる。例えば、操作部290から検査を指示した場合、機構制御部280よりステージ282に検査の開始位置に移動するように命令が出される。このステージ282の移動量はステージ282から機構制御部280に送られ、指示した移動量に対して許容範囲内に位置決めされたかどうかを判断し、許容範囲外の場合はフィードバック制御して許容範囲内に位置決めする。次に、第1及び第2のイメージセンサ200、210が1次元イメージセンサ(TDI(Time Delay Integration)タイプも含む)の場合は、ステージ282を等速度運動させながら、ウェハ1の表面の画像を取得する。TDIイメージセンサの場合、ステージ282の速度むらが生じると、検出画像がボケるためステージ282の速度情報を機構制御部280に送り、TDIイメージセンサ200、210の垂直転送のタイミングに同期させる。また、ウェハ1の表面の反りやステージ移動時のZ方向の偏差により、光学系の焦点位置に対してウェハ1の表面の位置がずれることがある。このため、例えばAF(Auto Focus)照明系250から、スリット像をウェハ1の表面に投影し、反射したスリット像をAF検出系260にて結像させて光検出器270で検出する。検出したスリット像の情報は、機構制御部280に送られてウェハ1の高さ情報を算出する。この検出されたスリット像の位置を算出することにより、ウェハ1の高さを検知することが可能である。この方式は、一般的に光てこ方式と呼ばれるAF方式である。このAF方式以外にも、TTL(Through The Lens)による光てこ方式や縞パターン投影方式などが知られている。このAF方式で検出したウェハ1の高さ情報と暗視野検出光学系20の焦点位置の差が許容範囲以上の場合は、機構制御部280よりステージ系282のZ軸アクチュエータに対してこの差が許容範囲におさまるように駆動の指示が出されて、第1及び第2のイメージセンサ200、210にて検出する画像のデフォーカスを防止する。
そして、図2に示すように、暗視野検出光学系20において、ビームスプリッタ24で分岐した第1及び第2の検出光路21a、21bの各々に配置された第1及び第2のイメージセンサ200、210の各々は、ウェハ1上の同じ位置の画像を検出する。例えば、ウェハ1が周期性を有するセルパターンが配列されたメモリ部と不規則なロジックパターンが形成されたロジック回路部とを形成したダイを配列して形成された混載ウェハ(システムLSIなど)の場合は、周期性を有する回路パターンが形成されたメモリ部からの回折光パターン(回折像)は暗視野検出光学系20において分岐された第1の検出光路21aに配置された、特許文献2の図19に示すように、遮光部を繰り返して構成される第1の空間フィルタ50にて遮光する。このため、第1のイメージセンサ200で検出される画像はランダムな欠陥からの散乱光のみが検出される。これに対して、不規則なロジックパターンが形成されたロジック回路部からの散乱光は、第1の検出光路21aに設けられた上記第1の空間フィルタ50では遮光できないため、第1のイメージセンサ200に到達する光量が多くなる。そこで、この検出光量の違いを、分岐した第2の検出光路21bに配置された減光するND(Neutral Density)フィルタ90により補正して、メモリ部及びロジック回路部共に第1のイメージセンサ200及び第2のイメージセンサ210との間の適切なダイナミックレンジでそれぞれの領域の画像信号を検出するように構成した。このように適切なダイナミックレンジでそれぞれの領域の画像を検出する手段として、回路パターンの周期性の違いに着目してウェハ1上に配列されたダイ内の領域を分割し、分割した領域毎に第1のイメージセンサ200及び第2のイメージセンサ210の各々にて画像信号を検出する。例えば、メモリ部とロジック回路部とのように回路パターンの周期性の違いに基づいてウェハ1に配列されたダイ内を2つの領域に分割し、各々の領域の画像信号を、分岐した第1の検出光路21aに配置した第1のイメージセンサ200と第2の検出光路21bに配置した第2のイメージセンサ210とで検出するように構成した。以上、第2の検出光路21bに非周期的開口空間フィルタ95とNDフィルタ90を設置する場合について説明したが、非周期的開口空間フィルタ95に設定する開口が著しく小さくなると透過する検出光量が減少するので、この場合にはNDフィルタ90を第1の検出光路21aに設置しても良い。なお、ここでは、周期性の違いに基づいて2つの領域に分割した実施例について説明したが、領域を3、4、5など多く分割して、それぞれの像を対応する数のイメージセンサで検出する内容についても本発明の範囲内であることは明らかである。このように、多数の領域に分割するには検出光路を多数に分岐し、各々の検出光路にイメージセンサを配置すればよい。また、分岐の仕方として、ダイクロイックミラー(波長分離光学系)を用いて波長分離して分岐する方法と、偏光ビームスプリッタを用いて偏光分離して分岐する方法と、ハーフミラーのように単純に分岐するビームスプリッタなどが考えられる。
次に、暗視野照明光学系10および暗視野検出光学系20の詳細について図2を用いて説明する。暗視野照明光学系10としては、光軸をウェハ1に対して斜方に配置したオフアクシス照明方式と、反射対物レンズ22を通してウェハ1を照明するTTL方式がある。本発明ではいずれの方式にも適用可能である。本実施の形態では、オフアクシス方式について説明する。暗視野照明光学系10の光軸は、ウェハ1の表面の法線に対して斜めに傾けられている(ウェハ1の表面に対しては仰角αで形成される)。この光源11としては、複数の波長(発光スペクトル)若しくは複数の波長帯域からなる照明光を出射する多波長光源であるレーザ光源やランプ光源(水銀、水銀キセノン、キセノンランプなど)が考えられる。レーザ光源の場合には、YAGの第2高調波の532nm、第3高調波の355nm、第4高調波の266nm、KrF248nm、ArF193nm、さらには199nmの波長の固体レーザが候補であり、図3に示すように、これら複数のレーザ光源12a、12bを設けて同時に出射させてダイクロイックミラー13を用いて合成して複数の波長若しくは波長帯域を含む多波長の照明光にすることが可能である。ランプ光源の場合、水銀ランプや水銀キセノンランプにおいては発光スペクトルとして578nm、547nm、436nm、405nm、365nmを含む多波長の照明光となり、キセノンランプにおいては広帯域の可視光に上記発光スペクトルが重畳された多波長の照明光となる。なお、照明波長は、短くすることにより微細な欠陥からの散乱光量が多くなるため、約450〜約650nmの可視光帯域内の橙色−青色帯域(さらに、例えば、約450〜約550nmの波長帯域と約550〜約650nmの波長帯域に分けても良い。)、約440nm以下の紫色帯域−UV(Ultraviolet)光やDUV(Deep Ultraviolet)光等が考えられる。本実施の形態では光源11としてレーザ光源を用いた場合について説明する。レーザ光源11から出射された多波長を有するレーザ光は、整形光学系である非球面のレンズまたは非球面のミラー(例えばシリンドリカルレンズ)15にて、入射角の方向に屈折され、これと直交する面内では平行光のまま整形された細帯形状である線状ビーム(スリット状ビーム)16としてウェハ1上に暗視野照射される。整形光学系で整形された線状ビーム16は図4に示す平面的にX方向に交差する方向に長手方向を有する。これにより、ウェハ上を第1及び第2のイメージセンサ200、210の視野(長方形状)に対応させて線状(細帯状)に照射することが可能となると共に、照明強度の高い多波長照明光を上記長方形状(細帯状)の視野に対応させて線状ビーム(スリット状ビーム)として効率的に照射することが可能となる。このため、より低出力の安価な複数のレーザ光源12a、12bを用いて多波長線状ビームとして必要強度を満足することが可能であり、装置コストの抑制に有利である。また、多波長で照明することによって酸化膜等の透明膜が形成されたウェハ1上において透明膜の微妙な膜厚変動に応じて生じる回路パターンや欠陥からの検出光量の変動(明るさ変動)を抑制することが可能となる。
そして、図3及び図4に示すように、少なくとも多波長を有する線状ビーム16が傾斜した方向からウェハ1上の欠陥4や回路パターン3に暗視野照射され、ウェハ1上で散乱・回折した光のうち上方に配置された例えばNAが0.6以上で、1.0未満である反射対物レンズ22のNA内に伝播する光は色収差が生じない反射対物レンズ22によって捕捉(集光)される。なお、暗視野検出光学系20を構成する反射対物レンズ22の光軸25をウェハ1の法線に対して傾けて設置してもよい。例えばNAが0.6以上で、1.0未満である反射対物レンズ22で捕捉された光は、ビームスプリッタ(例えば波長分離するダイクロイックミラー(波長分離光学系)24aまたは偏光分離する偏光ビームスプリッタ24b(図示せず)または単純に分岐するビームスプリッタで構成される。)24で2系統の光路に分岐される。ビームスプリッタ(分岐光学系)24としてダイクロイックミラー(波長分離光学系)24aを用いた場合には、検査対象(欠陥材料)に適する波長に分離して分岐される。なお、ビームスプリッタ24で2系統の光路に分岐した後、それぞれの光路に波長選択フィルタを設けることによって、ダイクロイックミラー(波長分離光学系)と同等の機能を実現することが可能となる。
ところで、検査対象がゲートの場合は、約400〜約450nmの波長帯域だと欠陥が明るく見える。また、Al配線の場合は表面にTiNを積層されている場合があり、このTiNは波長450〜500nmにかけて反射率が高くなる特性をもっている。このため、パターンの反射率と背景(下地)の反射率との関係に応じて、検出欠陥を高コントラストに検出できる波長が、450nm以下であったり、500nm以上であったり変化する。また、検査対象がメタル配線等でCuの場合は、約550〜約700nmの波長帯域だと欠陥が明るく見えることになる。また、検査対象が素子分離部の場合、Si及びSiO2によって形成されているため、波長の依存性はない。このように、半導体に使われる材料の分光光学定数を考慮して、光学定数(n,k)が変化する波長よりも短い側と長い側の両方を照明可能にしておくことが、様々な工程・構造のウェハを幅広く高感度検査するのに有効である。即ち、UV光、可視光の青色帯域、可視光の緑色帯域、可視光の赤色帯域という4帯域に分けられると、半導体に使用される材料の分光定数、分光反射率の変化点の短波長側及び長波長側をほぼカバーすることが可能であり、有効である。
即ち、暗視野照明光学系10から得られる可視光の波長帯域を例えば約450nm〜約650nmに狭くし、暗視野検出光学系20内に設置された反射対物レンズ22で集光された散乱・回折光を波長分離光学系(ダイクロイックミラー)24aにより2つの波長帯域(例えば、約550nm〜約650nmの黄−緑色帯域を反射し、約450nm〜約550nmの青−紫色帯域を透過する)に分離し、各々の波長帯域に対応させて第1及び第2のイメージセンサ200、210及び第1及び第2の空間フィルタ50、95を設けた点にある。
即ち、例えば、波長分離光学系24aを透過して分岐された第1の検出光路21aには、ウェハ像のフーリエ変換面に第1の空間フィルタ50が配置される。第1の空間フィルタ50は、ウェハ1に形成されたメモリ部のようなパターンの周期性に応じて、フーリエ変換面に形成される周期的な回折像(回折パターン)を遮光する周期的遮光タイプと、パターンに周期性がない場合には図5(a)に模式的に示すようにロジック回路部などの非周期的なパターン部から生じる散乱光の強度分布が高い領域3s、3rを遮光し、低い領域の散乱光を通す周期的ではなく特定の開口形状を有した非周期的開口タイプの2タイプが考えられる。周期的遮光空間フィルタは、回折像のピッチが変わってもこれを遮光できるように遮光部のピッチが変更可能な構成になっている。また、非周期的開口空間フィルタは図5(b)(c)又は図6(a)(b)に示すように異なる複数の開口形状を形成した複数の空間フィルタが準備されている。この2タイプの空間フィルタは、空間フィルタ切替え機構430にて切り替え可能である。
この空間フィルタ50を透過した光は、1/4波長板30を透過して特定の偏光状態に変更可能な機能を有しており、これを偏光子(ポラライザ)35にてフィルタリングする。この1/4波長板30及び偏光子35は回転及び出し入れが可能な機構400に搭載されている。該偏光素子の切替え機構400は波長板30と偏光子35とを機構制御部280からの制御指令に基いて独立に回転制御可能に構成される。これらの偏光素子30、35を透過した光は、結像レンズ55にて第1のイメージセンサ200上に暗視野像を結像する。
また、暗視野像を第1のイメージセンサ200上に拡大投影する倍率を変更するために、焦点距離が異なる結像レンズ57が準備されており、この倍率変更時には結像レンズ切替え機構440により、選んだ倍率に対応した焦点距離の結像レンズを光路に配置する。また、ウェハ1が静止した状態でウェハ1の2次元画像を検出できるように、2次元イメージセンサ65aが配置されている。このイメージセンサ65aは、主に検査するときの検査レシピを作成する時などに利用されるものであり、必要ない場合には、機構制御部280からの制御指令に基いて出し入れ機構420aを作動させてビームスプリッタ60aを第1の検出光路21aから退避させる。
ところで、周期的な回路パターンが形成されたメモリ部と不規則な回路パターン(非周期的な回路パターン)が形成されたロジック回路部とを形成した混載ウェハ(システムLSIなど)などにおいて、システムLSIの品種に応じて回路パターン形状・ピッチ・配線方向が変化するため、繰り返される遮光部で形成される周期的遮光空間フィルタ50で遮光する位置も変化させる必要がある。また、欠陥の形状や材料及び暗視野照明条件に応じて散乱光の分布が変化するため、複数の開口部を有して形成される非周期的開口空間フィルタ50にて欠陥からの光を通す開口部の位置を変化させる必要がある。このように最適な空間フィルタリングを行うためには、回路パターン3や欠陥4に応じて、空間フィルタ50の形状を最適化する必要がある。同様に、より欠陥4からの散乱光のみを第1のイメージセンサ200に透過させるための偏光フィルタリングの効果もモニタリングする必要がある。このため、第1の検出光路21aにおいては、空間フィルタ50、偏光素子30、35の後に、回路パターン3や欠陥4からの回折像をモニタリングするため、モニタリング時にはビームスプリッタ40aを出し入れ機構410aにより第1の検出光路21aに配置して検出光を分割し、該分割した光を結像レンズ27aにより空間フィルタ面と共役な関係に結像し、該結像した共役像を2次元イメージセンサ25aで検出する。このイメージセンサ25aの像及びウェハ共役面のイメージセンサ200で検出した暗視野像にてフィルタリングの効果を把握し、適切なフィルタとなるようにフィルタリング条件を決定する。ところで、ビームスプリッタの切替え機構410aは、機構制御部280からの制御指令に基づいてビームスプリッタ40aを出し入れできるように構成される。
なお、特に欠陥4からの散乱光を検出す場合には、ウェハ上の視野1μm乃至10μmの視野絞り26にて欠陥周辺のみの光が透過するように絞りを設けて構成する。なお、第1の検出光路21aには、視野絞り26を図示省略している。また、28はコリメータレンズである。これにより、2次元カメラ25aにて検出した光は、主に欠陥部からの散乱光のみとなり、フィルタリングの効果が明確になる。
他方、例えば、波長分離フィルタ24aで反射して分岐された第2の検出光路21bにも第1の検出光路21aと同様の第2の空間フィルタ(周期的遮光タイプと非周期的開口タイプの2つのタイプが考えられる。)95、第2の1/4波長板80、第2の偏光子85、第2の焦点距離の異なる結像レンズ100、110及び第2のイメージセンサ210を設置する。また、第1の検出光路21aと第2の検出光路21bとは、フィルタリングの状態が異なるため、イメージセンサ200、210に到達する光量に差が生じる。イメージセンサ200、210の感度やセンサ出力のアナログ信号をデジタルに変換する場合のゲインなどが同じ場合は、この光量差を同等程度に補正することにより、イメージセンサ200、210のダイナミックレンジを有効に利用することが可能である。これを行うため、検出光量の多い光路(本実施の形態では、周期的遮光タイプではなく、非周期的開口形状タイプの第2の空間フィルタ95を設ける第2の検出光路21b)にND(Neutral Density)フィルタ90を配置して、光量を同等程度にすることが可能である。なお、空間フィルタ切替え機構470、偏光素子回転・出し入れか機構450、結像レンズ切替え機構480は、第1の検出光路21aに配置されたものと同様の機能である。また、検出光量を同等程度に調整するNDフィルタ切替え機構460も搭載している。該偏光素子の切替え機構450は波長板80と偏光子85とを機構制御部280からの制御指令に基いて独立に回転制御可能に構成される。また、71はレンズ、72はコリメータレンズを示す。また、ウェハ1が静止した状態でウェハ1の2次元画像を検出できるように、2次元イメージセンサ65bが配置されている。このイメージセンサ65bは、主に検査するときの検査レシピを作成する時などに利用されるものであり、必要ない場合には、機構制御部280からの制御指令に基いて出し入れ機構420bを作動させてビームスプリッタ60bを第2の検出光路21bから退避させる。
更に、第2の検出光路21bにおいても、最適な空間フィルタリングを行うためには、回路パターン3の種類や欠陥4の種類に応じて、空間フィルタ95の形状を最適化する必要がある。同様に、より欠陥4からの散乱光のみをイメージセンサ210に透過させるための偏光フィルタリングの効果もモニタリングする必要がある。このため、第2の検出光路21bにおいては、空間フィルタ95及び偏光素子80、85の後に、回路パターンからの回折像をモニタリングするため、モニタリング時にはビームスプリッタ40bを出し入れ機構410bにより検出光路21bに配置して検出光を分割し、該分割した光を結像レンズ27bにより空間フィルタ面と共役な関係に結像し、該結像された共役像を2次元イメージセンサ25bで検出する。なお、ビームスプリッタの切替え機構410bは、機構制御部280からの制御指令に基づいてビームスプリッタ40bを出し入れできるように構成される。
そして、このイメージセンサ25bの像及びウェハ共役面のイメージセンサ210で検出した暗視野像にてフィルタリングの効果を把握し、適切なフィルタとなるようにフィルタリング条件を決定する。なお、特に欠陥4からの散乱光を検出する場合には、欠陥周辺のみの光が透過するようにレンズ71の焦点位置にウェハ上の視野1μm乃至10μmの視野絞り26を設けることにより、2次元カメラ25bにて検出した光は、主に欠陥部からの散乱光のみとなり、フィルタリングの効果が明確になる。
なお、本実施例では、検出光路を2分岐した実施例について説明したが、これよりも多い検出系についても、本発明の範囲内であることは明らかである。
また、2光路に分岐した検出光路の使い分けとして、(1)ウェハ1に形成されたパターン3の周期性、(2)検出欠陥種などが考えられる。例えばメモリ部のような周期性のあるパターン部と、ロジック回路部のような周期性のない領域に区別して、メモリ部は第1の検出光路21aにて取得した画像を用いて欠陥若しくは欠陥候補を判定し、ロジック回路部は第2の検出光路21bにて取得した画像にて欠陥若しくは欠陥候補を判定する。メモリ部は回折像が周期的であるため、等間隔ピッチの線状遮光部を有した空間フィルタ50を第1の検出光路21aに設定する。これに対して、ロジック回路部のような周期性のない領域に対しては、周期的ではない開口を有した空間フィルタ95を第2の検出光路21bに設定する。これにより、パターン領域ごとに最適化した空間フィルタリングを行うことにより、欠陥検出に有利な画像を検出する。
さらに、欠陥種(スクラッチ等)に応じて検出光路を区別する手法も考えられる。これは、それぞれの検出光路で異なる偏光フィルタリングを行うものである。欠陥4のコントラストは、欠陥4の方向・形状・位置(積層膜の上或いは、積層膜の中などの違いも含む)及び周辺のパターン3との位置関係などに応じて変化するため、第1の検出光路21aと第2の検出光路21bとの間において異なる偏光フィルタリングを行い、何れかの検出光路にて欠陥4のコントラストを高め、ウェハ1上に存在する欠陥4の捕捉率を反射対物レンズ22を通して高めようとするものである。以上、パターン3の周期性と欠陥種に応じた2系統の検出光路のフィルタリング設定方法について述べたが、これらを複合した設定方法も考えられる。
なお、暗視野検出光学系20内において検出光路を分岐するビームスプリッタ24として、偏光ビームスプリッタ24b(図示せず)を用いる場合には、暗視野照明光学系10内には、ダイクロイックミラー13とシリンドリカルレンズ15との間に偏光方向を変える1/2波長板(図示せず)と円偏光又は楕円偏光に変換する1/4波長板(図示せず)とを備え、多波長で、S偏光、P偏光又は楕円偏光(楕円率1の円偏光も含む)の線状ビームをウェハ1の法線方向から傾斜した方向からウェハ1の表面に照射することが必要となる。その結果、ウェハ1から得られる散乱・回折光を反射対物レンズ22で集光し、該集光された散乱・回折光を上記偏光ビームスプリッタ(図示せず)で例えばS偏光とP偏光とに分離して第1の検出光路21aと第2の検出光路21bとに分岐することが可能となる。
また、欠陥若しくは欠陥候補を判定する場合には、2系統のイメージセンサ200、210で検出した同一空間の2つの画像を用いて欠陥若しくは欠陥候補4を判定する手法も考えられる。さらに、欠陥若しくは欠陥候補の判定のみではなく、同一空間の2つの画像を用いることにより、欠陥4の情報がより多く得られるため、欠陥4の種類の分類(デバイスの致命性に応じた分類,表層や膜中の分類,欠陥サイズの分類)などにも活用することが考えられる。これらについても本発明の範囲内である。
次に、2系統の検出光路21a、21bを回路パターン3の周期性に応じて区別する手法について説明する。ウェハ1上に配列されているダイ内においてメモリ部として区分される周期的な配線(メモリセル)の領域7及びロジック回路部として区分される非周期的な配線の領域8に形成されている回路パターン3の平面図を図4(a)に示す。このモデルは層間絶縁膜として形成されているSiO2など酸化膜上に回路パターン3が形成されているモデルである。回路パターン3は例えば周期的な配線(メモリセル)の領域7と非周期的な配線の領域8に区分されている。また、欠陥4は酸化膜上に存在する場合を示す。非周期的な回路パターン領域8におけるA−A’部の断面図を図4(b)に示す。ウェハ1上にトランジスタ(図示せず)が形成され、この上に酸化膜2が形成され、この上に金属配線(例えば、タングステンや銅、アルミニウムなど)のパターン3が形成される。該パターン3は、主に直交するように配線されており、X又はY方向に平行である。
次に、区分された周期的な回路パターン領域7に対する画像検出について説明する。即ち、メモリ部のように周期的な回路パターン領域7については主に図2に示した第1の検出光路21aにて画像信号を検出する。この第1の検出光路21aに設定される第1の空間フィルタ50の遮光部は、回路パターンの回折像を遮光するように等間隔に遮光部が並んだ周期的遮光タイプの線状空間フィルタである。
次に、区分された非周期的な回路パターン領域8に対する画像検出について説明する。即ち、ウェハ1に対して斜方より照明した(暗視野照明した)場合において、ロジック回路部のように非周期的な回路パターン領域8における回路パターン3と欠陥4にて散乱する光の分布を図5に示す。
図5(a)は、暗視野検出光学系20のフーリエ変換面の平面図と非周期的な回路パターン領域8における欠陥4及び回路パターン3の散乱光分布の模式図を示す。円310が実際の反射対物レンズ22のNAであり、この実施例では0.8を示している。これらの円の中心が、ウェハ1面の法線と平行に伝播する光が到達する位置である。このとき、照明光16は反射対物レンズ22の外側である点5から平面的にX方向に交差する方向に長手方向を有する細帯状に斜方照明され、ウェハ1上で正反射した0次光はNAの中心に対して点対称な点6に到達する。そして、図5(a)には、非周期的な回路パターン領域8における回路パターン3からの散乱光や回折光において、Y方向に平行な回路パターン3からの散乱光や回折光は3rで示すように比較的Y方向に平行な入射面に多く集まり(これ以外の領域にもパターンからの散乱光は伝播するが、ここでの説明は無視する)、回路パターン3のコーナー部やX方向に平行な回路パターン3からの散乱光や回折光は、比較的0次回折光(正反射光)6の周辺3sにおいて光量が高くなり、欠陥4からの散乱光の分布4sは前方散乱の周辺NA部に多く集まるモデルを示す。欠陥検出に有利な欠陥像のコントラストの高い暗視野検出像を得るためには、非周期的な領域の正常な回路パターン3からの散乱光や回折光を遮光して欠陥4からの散乱光のみを検出することが理想である。このため、図5(a)のような散乱分布である場合は、第2の空間フィルタ95として、図5(b)及び図5(c)に示すように、非周期的な回路パターン領域における正常な回路パターン3からの散乱光が少なく、欠陥の散乱光が多い領域に開口96を有した空間フィルタを設定することが有効である。図5(b)に示す実施例は、回路パターン3からの散乱光が強い領域を遮光部95aで遮光し、それ以外の領域を開口部96で形成する。また、図5(c)に示す実施例は、回路パターン3からの散乱光が少なく、欠陥の散乱光が多い領域に絞って開口部96を形成し、他の領域を遮光部95bで形成する。非周期的な領域の正常な回路パターン3の形状・方向・寸法・材料、並びに欠陥の種類・位置・サイズなどに応じてこれらの分布は変化するため、第2の空間フィルタ95は複数を準備しておき、検査対象のウェハ1の構造並びに回路パターン3及び検出したい欠陥4に応じて準備した空間フィルタの中から、検査に有利な空間フィルタの開口形状を選択することが望ましい。
次に、第2の空間フィルタ95の変形例について図6を用いて説明する。ウェハ1の暗視野照明光を偏光照明(例としてS偏光照明、P偏光照明、及び右回りあるいは左回りの円偏光照明、あるいは可干渉距離以上の光路差を持たせたP偏光とS偏光の混合照明などがある)を行った場合、回路パターン3や欠陥4の散乱光にも偏光特性が見られる。この偏光特性は、散乱方向に応じて異なる特性を示すことがあり、これを利用して回路パターン3の散乱光を偏光フィルタリングし、欠陥4からの散乱光を相対的に多く検出することが可能である。このため、図6(a)に示す空間フィルタ95dは、一方の開口96aに偏光の振動面を回転する1/2波長膜や1/4波長の位相差が生じる膜などの複屈折材97を配置し、他方の開口96bに位相差膜を形成しないものである。このような空間フィルタ95aを透過した後に、偏光子85にて特定の偏光のみを透過させて暗視野像を形成することにより、欠陥のコントラストをより強調させることが可能となる。
また、図6(b)に示す空間フィルタ95eは、複屈折材ではなく、開口96cを通る光と開口96dを通る光の位相差を利用してパターンからの強度を低減する方法も考えられる。この空間フィルタ95eは、上記複屈折材の変わりに、一方の開口96cに位相差πを与える材料98を配置するものである。
以上、非周期的開口空間フィルタ95では2開口の実施例について説明したが、2開口よりも多い開口を有する場合は、それぞれの開口を通過する回路パターン3と欠陥4の偏光特性の違いや、位相の状態を考慮して複屈折材や位相差膜(複屈折特性は無視できるほど小さい)を配置することが有効である。また、これらを組合せすることも可能である。
次に、異なる複数の空間フィルタ95a〜95eを切り替える切替え機構470について図7を用いて説明する。切替え機構470は、複数の空間フィルタ95a〜95e(図7には、95a〜95cについて示す。)を配列させたステージ450を機構制御部280からの制御指令に基いて例えば直線運動又は回転運動550させることに選択可能に構成される。即ち、切替え機構470は検査対象ウェハ1に応じて最適な例えば開口形状を有する非周期的開口空間フィルタを選択して設定可能に構成される。空間フィルタの切替え機構430も、空間フィルタの切替え機構470と同様に機構制御部280からの制御指令に基いて検査対象ウェハ1に応じて最適な例えば遮光部の間隔を有する周期的遮光空間フィルタを選択して設定可能に構成される。
なお、前述したように、第1の空間フィルタ50として、非周期的開口タイプの空間フィルタを設定することは可能である。
以上説明したように、本発明に係る第1の実施の形態によれば、暗視野照明による暗視野検出において、対物レンズとして反射対物レンズ22を採用したことにより、色収差が生じることがなく、しかも多波長照明による明るさ変動を抑制すると共に波長選択による欠陥を顕在化した画像信号を例えば第1及び第2のイメージセンサ200、210の各々から取得でき、さらに前記暗視野検出光学系において波長分離によるメモリ部及びロジック回路部での検出光量の最適化を図ることが可能となる。
次に、画像処理部230aが、分岐した2系統についての検出光路21a及び21bの各々におけるイメージセンサ200及び210で取得した互いに異なる種類の画像に基いて欠陥を判定処理することについて図8を用いて説明する。ここでの説明は、図2にて説明した第1の検出光路21a及び第2の検出光路21bでそれぞれの画像を検出し、画像処理部230aにおいてそれぞれ欠陥判定する場合の処理の流れについて説明する。第1のイメージセンサ200と第2のイメージセンサ210とで検出した画像の明るさの分解能は1024階調であるため、各イメージセンサ200、210で検出された画像信号を各階調変換部231a、231bにおいて画像処理するときの256階調に階調変換を行う。この階調変換を行うときの明るさ変換特性は線形、非線形が選択可能である。
以降は第1のイメージセンサ200で検出した検出画像信号f1及び第2のイメージセンサ210で検出した検出画像信号f2の処理の流れについて説明する。即ち、階調変換が行われて明るさ情報が256階調に変換された検出画像信号f1、f2は、画像位置合わせ部233a、233bと遅延メモリ232a、232bの両方に送られる。遅延メモリ232a、232bに送られた検出画像信号は、設計上同一パターンが形成されている例えばダイのピッチに相当する時間を遅らせて参照画像信号g1、g2を作成して画像位置合わせ部233a、233bに送られる。このため、リアルタイムで検出した検出画像信号f1、f2と例えば隣接ダイの参照画像信号g1、g2とが画像位置合わせ部233a、233bに送られ、画像位置合わせ部233a、233bにおいてこの2つの画像信号同士についての位置合わせを行い、該位置合わせされた画像信号同士の差画像を差画像算出部234a、234bにおいて算出する。次に、該算出された差画像は2系統のしきい値処理が行われる。第1の比較部235a、235bは、差画像算出部234a、234bから得られる差画像の絶対値に対して設定された一定のしきい値236a、236bで第1のしきい値判定処理が行われ、このしきい値以上の欠陥候補の領域の画像特徴量(明るさ、サイズ情報など)が欠陥判定部240a、240bに送られる。また、第2のしきい値処理部(積分部)239a、239bは、差画像算出部234a、234bから得られた例えばメモリ領域内、ロジック回路領域内における複数の差画像からメモリ領域内の明るさのばらつきなどを求め、このばらつきを基にして第2のしきい値238a、238bを生成する。第2の比較部237a、237bは差画像算出部234a、234bから得られる差画像の絶対値に対して上記生成された第2のしきい値238a、238bで第2のしきい値判定処理が行われる。この第2のしきい値は、浮動しきい値となる。この浮動しきい値以上となった欠陥候補の領域の画像特徴量についても、第1のしきい値処理と同様に、欠陥判定部240a、240bに送られる。欠陥判定部240a、240bは、これら2系統から送られた画像特徴量を用いて、総合的に例えばメモリ部領域内及びロジック回路部領域内の各々において欠陥が判定される。このとき、特定のパターンなどでは明るさむらが大きく、正常部を誤判定して欠陥としてしまうケースがある。この誤判定は、特定のパターンで生じやすいことを利用して、欠陥判定部240a、240bにウェハの座標情報241a、241bを入力して、誤判定が起こしやすい領域については、例え上記第1及び第2のしきい値以上であっても、欠陥として判定しない又は誤判定である可能性が高いことが分かるようにフラグを立て次の欠陥特徴量演算部242a、242bに送られる。この欠陥特徴量演算部242a、242bでは、検出した画像を用いて比較部235a、237a;235b、237bに送られてきた画像特徴量よりもさらに細かく欠陥部の特徴量を算出する。
以上説明したように、第1及び第2のイメージセンサ200、210の各々で検出された検出画像信号f1、f2に対して画像処理が行われ、例えばメモリ部領域内の欠陥部の画像特徴量と例えばロジック回路部領域内の欠陥部の画像特徴量が算出されて欠陥分類部243に入力される。
欠陥分類部243は、第1のイメージセンサ200で検出された検出画像信号を基に欠陥特徴量演算部242aから得られる例えばメモリ部内の欠陥部の画像特徴量及び第2のイメージセンサ210で検出された検出画像信号を基に欠陥特徴量演算部242bから得られる例えばロジック回路部内の欠陥部の画像特徴量を基づいて各々の欠陥部について分類が行われる。そして、欠陥分類部243で得られた各欠陥部の分類結果・座標情報・画像の特徴量などが操作部290に設けられた表示装置等に出力される。オペレータがこの出力された情報を目視確認することが可能であり、これらの情報はLSI製造工程の工程管理が行われている上位システム(図示せず)に送られる。
次に、画像処理の規模を小さくした実施例について図9を用いて説明する。図2にて説明した第1の検出光路21aにてメモリ部の画像を取得し、第2の検出光路21bにてロジック回路部の画像を検出した場合の処理の流れについて説明する。第1のイメージセンサ200と第2のイメージセンサ210は、メモリ/ロジックの領域に係わらず、画像を検出する。例えば検出した画像の明るさの分解能は1024階調あり、これを画像処理するときの256階調に変換するために階調変換を行う。この階調変換を行うときの明るさ変換特性は線形、非線形が選択可能である。階調変換部231a、231bの各々は、それぞれの画像信号について階調変換を行い、画像選択部244に送られる。画像選択部244には、ステージ282の座標情報245が入力されて流れてきた画像が周期性パターン部であるメモリ部か、非周期性パターン部であるロジック回路部かが判断可能になっている。この情報より、メモリ部の画像が流れてきた場合は第1のイメージセンサ200の検出画像信号を選択し、ロジック回路部の画像が流れてきた場合は第2のイメージセンサ210の検出画像信号を選択する。それぞれ選択された検出画像信号f1、f2は画像位置合わせ部233と遅延メモリ232の両方に送られる。遅延メモリ232に送られた画像は、設計上同一パターンが形成されているダイのピッチに相当する時間を遅らせて画像位置合わせ部233に送られる。このため、リアルタイムで検出した検出画像信号f1、f2と例えば隣接ダイの参照画像信号g1、g2との2つの画像信号が画像位置合わせ部234に送られ、画像位置合わせ部234はこれらの2つの画像信号同士ついての位置合わせを行い、差画像算出部234は該位置合わせした画像信号同士の差画像を算出する。該算出された差画像は第1の比較部235及び第2の比較部237において2系統のしきい値処理が行われる。第1の比較部235は差画像算出部234から得られる例えばメモリ部内、ロジック回路内の各々における差画像の絶対値に対して一定のしきい値で第1のしきい値処理が行われ、このしきい値以上の領域の画像特徴量(明るさ、サイズ情報など)が欠陥判定部240に送られる。また、第2のしきい値処理部(積分部)239は、差画像算出部234から得られる例えばメモリ部内、ロジック回路内の各々における差画像から明るさのばらつきなどを求め、該求められた各々の明るさのばらつきなどを基に第2のしきい値238を生成する。第2の比較部237は、差画像算出部234から得られる例えばメモリ部内、ロジック回路内の各々における差画像と生成された各々の第2のしきい値238と比較する。この第2のしきい値238は、浮動しきい値となる。この浮動しきい値以上となった領域の画像特徴量についても、第1のしきい値処理と同様に、欠陥判定部240に送られる。これら2系統から送られた画像特徴量を用いて、総合的に例えばメモリ部領域内、ロジック回路領域内の各々において欠陥が判定される。このとき、特定のパターンなどでは明るさむらが大きく、正常部を誤判定して欠陥としてしまうケースがある。この誤判定は、特定のパターン3で生じやすいことを利用して、欠陥判定部240にウェハ1の座標情報241を入力して、誤判定が起こしやすい領域については、例え上記第1及び第2のしきい値以上であっても、欠陥として判定しない又は誤判定である可能性が高いことが分かるようにフラグを立て、次の欠陥特徴量演算部242に送られる。この欠陥特徴量演算部242では、検出した画像を用いて比較部235、237に送られてきた画像特徴量よりもさらに細かく欠陥部の特徴量を算出する。そして欠陥分類部243はこの特徴量を用いて欠陥の分類を行い、この分類結果・座標情報・画像の特徴量などが操作部290の表示装置等に出力される。
次に、暗視野検出光学系20の光学条件である空間フィルタ50、95の遮光形状及び偏光素子30、35、80、85の設定条件は、ウェハ1の構造やパターン3の形状及び検出したい欠陥4の種類などに応じて適切な条件を選択して例えば操作部290において検査レシピを作成する必要がある。この検査レシピを作成するときの機能について図10を用いて説明する。暗視野検出光学系20には、図2に示すとおり、検査するときの光学条件の選択に必要なフーリエ変換像を観察するイメージセンサ25a、25bとステージ282を静止した状態でウェハ1上の2次元画像を検出する2次元イメージセンサ(2次元カメラ)65a、65bが配置されている。レシピ作成時には、フーリエ変換面観察イメージセンサ25a、25bとイメージセンサ65a、65bとの夫々に光が分配されるようにビームスプリッタ40a、40b及び60a、60bが各検出光路21a、21bに配置される。2次元イメージセンサ(2次元カメラ)65a、65bを配置する理由は、イメージセンサ200、210では2次元画像を取得する場合、ウェハ1を走査する必要がありこの時間を短縮することが狙いである。また、フーリエ変換面の画像とウェハ1の画像をリアルタイムで同時に観察できることにより、レシピ作成者が光学条件を選択しやすくする狙いがある。なお、ビームスプリッタ60及び2次元イメージセンサ(2次元カメラ)65は各検出光路に設ける必要はない。
フーリエ変換面観察イメージセンサ25a、25bの画像は画像加算部(積分部)246を通り、必要に応じて画像を加算してフィルタ選択部247に画像が送られる。このフィルタ選択部247にて遮光するフーリエ変換面の位置を選択し、このデータが操作部290に送られ、選択した領域が遮光されるように空間フィルタ50、95を選択する。また、2次元カメラ65a、65bの画像は、パターン像判定部248に送られ、検出した暗視野像より、パターン像の明るさや面積などを算出し、この結果を操作部290に送るシステムになっている。
次に、このシステムを用いて、空間フィルタ50、95の遮光部を選択する手順について図11を用いて説明する。最初に、照明エリアと条件設定対象である回路パターンが一致するようにウェハ1を位置決めし、図2に示すウェハ上の視野1μm乃至10μmの視野絞り26の開口形状をイメージセンサ25bの撮像領域に対応させる(S121)。その他、照明の光学条件(照明光の波長帯域の選択、照明光量、線状ビーム16の仰角α、照明方位、照明光の偏光、および照明光のNA等)なども設定する(S121)。そして、イメージセンサ(TVカメラ)25a、25bによりフーリエ変換像を取得する(S122)。次に、周期性判定部(パターン像判定部)247において、空間フィルタ条件設定エリアが、周期的パターン部かどうかを判定する(S123)。周期的パターン部であって、フーリエ変換像の明るさが不足している場合には、暗視野照明光学系10で照射する照明光量(例えばレーザ出力)を増加させるか、画像加算部(積分部)245において複数の画像を加算して画像の明るさを適度にする。この画像をフィルタ選択部246に送り、回折像の領域を算出してこれを遮光する等ピッチの線状空間フィルタの条件を求める(算出する)(S124)。求めた情報を操作部290に送り、機構制御部280を介して第1の空間フィルタ50を設定する(S125)。この設定した結果の良否を判定するため、TVカメラ25aにて周期的な回路パターンの回折像が遮光されていることを確認する(S126)。また、TVカメラ65aにてウェハ像を取得して、周期的な回路パターンの明るさが抑制されていることを確認する(S126)。周期的な回路パターンの回折像の漏れ光を算出し(S127)、ステップS128において漏れ光が許容値でない(回折像が十分に遮光されていない)場合は、ステップS124に戻り再度線状遮光空間フィルタ50の条件を求め、周期的遮光空間フィルタ50の設定を変更する。即ち、ステップS128において周期的な回路パターンの回折像の遮光が許容値に入るまでこの動作を繰り返す。
次に、ステップS123において周期性判定部(パターン像判定部)247で非周期性回路パターンであると判定された場合の非周期的開口空間フィルタ等の設定手順について説明する。基本的には周期性回路パターンと同様の手順で非周期的開口空間フィルタ等を設定する。異なる点は、非周期性パターン部は、ウェハ上の位置に応じてパターンの方向や配列が異なる点である。このため、非周期性パターン部の全体的な回折像を取得して、第2の空間フィルタ95の開口部96の形状を決定することが望ましい。これを行うため、回路パターンの方向や配列の異なる位置にウェハをステップ移動させ(S130)、フーリエ変換像を第2の検出光路21bに設けたビームスプリッタ40b、結像レンズ27b及びTVカメラ25bによりを取得し(S131)、取得した画像を画像加算部(積分部)246で加算する(S129)。これを予め指定しておいた画像取得領域の画像取得が終了するまで繰り返す。この加算した画像の明るさは殆ど回路パターンからの散乱光である。この画像より明るい領域を選択し(空間フィルタの遮光部を算出し)(S132)、これを遮光するように準備した非周期的開口空間フィルタの中から適切な遮光形状をした非周期的開口空間フィルタを選択(設定)する(S133)。この選択された結果の良否を判定するため、TVカメラ25bにて図5(a)に示す非周期的な散乱光像3r、3sが遮光されていることを確認する(S134)。また、TVカメラ65bにてウェハ像を取得して、非周期的な散乱光像が抑制されていることを確認する(S134)。非周期的な散乱光像の漏れ光を算出し(S135)、ステップS136において漏れ光が許容値でない(回折像が遮光されていない)場合は、ステップS132に戻り再度開口空間フィルタ95の条件を求め、非周期的開口空間フィルタ95の選択(設定)を変更する。即ち、ステップS136において非周期性回路パターンの散乱光像の遮光が許容値に入るまでこの動作を繰り返す。以上により空間フィルタ50、95の設定が終了することになる(S137)。
次に、デバイスにとって致命性の高い特定の欠陥を検出するために、各種光学条件を最適化するための手法について図12及び図13を用いて説明する。図12にはウェハ1の平面図を示す。欠陥4は、非周期パターン領域にある検出したい欠陥を示している。空間フィルタの最適化を行うためには、欠陥の散乱光分布を把握する必要がある。照明光は広い範囲に照明されているため、欠陥4のみの散乱光分布を検出するためには。図2に示す暗視野検出光学系20に配置した視野絞り26にて欠陥部近傍のみに開口形状を設定する必要がある。この開口のサイズは欠陥の大きさや周辺パターンとの位置関係に応じて変化する。この視野絞り絞り26の開口の大きさは、LSIパターンでは、一辺の寸法がウェハ上にて1μm〜10μm程度が適切な大きさである(円形開口の場合は、外径に対応する)。この暗視野検出光学系20の視野絞り26により、フーリエ変換像観察カメラ25bで検出される散乱光分布は、主に欠陥からの散乱光分布となり、この散乱光の輝度が高いところに非周期的開口空間フィルタ95の開口を設定することにより、欠陥からの散乱光を検出し、正常な非周期的なパターンからの散乱光を抑制することが可能となる。
次に、検出したい欠陥の光学条件を最適化する手順について図13を用いて説明する。操作部290のGUIにおいて、最初に試行する光学条件を選択する(S141)。次に、操作部290のGUIにおいて、図12に示す画面を基に暗視野検出光学系20の視野絞り26の開口形状を欠陥近傍に設定する(S142)。次に、操作部290のGUIにおいて、固定の光学条件(照明光の波長帯域、照明光量、結像レンズ55、57;100、110の結像倍率等)を設定する(S143)。次に、試行したい光学条件を設定する(S144)。
試行条件の候補としては、例えば、暗視野照明光学系10における照明光(細帯状ビーム)16の仰角α(ウェハ表面から照明光16の光軸のなす角)、照明方位例えばウェハのノッチ方位を基準としてこれとなす角度または装置のXステージ282の走行方向を基準としてこれとなす角度、照明光の偏光、および照明光のNA。
暗視野検出光学系20における1/4波長板30、80と偏光子35、85の回転角度、及び空間フィルタ95の開口形状と複屈折材(上記条件が決定してから選択)などがある。
これらの条件を振りながら下記のループにて最適化を実施する。
カメラ25b、65bにて欠陥部の暗視野像とフーリエ変換像とを取得し(S145)、隣接するダイにウェハを移動する(S146)。このダイでもカメラ25b、65bにて正常部の暗視野像とフーリエ変換像とを取得する(S147)。そして画像処理部230において、これら、隣接ダイの暗視野像及びフーリエ変換像の差画像を算出する(S148)。操作部290において、試行条件が終了したか判定し、終了していない場合はこれらを繰り返す(S149)。次に画像処理部230は、試行した条件のフーリエ変換像の差画像より、欠陥部と正常部の散乱光分布を比較して、分布の異なる領域を算出する(S150)。このときに、フーリエ変換像の差画像なども活用して、欠陥部と正常部の散乱光分布の違う領域を判定する。なお、散乱光分布の違いとは、正常部に対して欠陥部の散乱光が比較的強い領域であったり、正常部には散乱光が出ていない領域に欠陥部の散乱光がある領域などである。これにより、欠陥からの散乱光をより多く、効率的に検出可能な光学条件を把握し、これを選択する(S151)。この選択条件は、1条件ではなく複数あっても良い。以上より、画像処理部230は、散乱光をより多く検出する光学条件と、散乱光が生じるフーリエ変換面上の位置が把握できる。次に、画像処理部230は、欠陥からの散乱光が生じるフーリエ変換面上の位置が開口になっている非周期的開口タイプの空間フィルタ95を選択し(S152)、その情報を操作部290に提供する。以上により、操作部290からの制御指令に基づく機構制御部280の制御に基いて非周期的開口タイプの空間フィルタ等の光学条件の絞り込みが終了する。絞り込んだ条件が複数ある場合には、絞り込んだ条件にてテスト検査を行い、この結果より欠陥の検出と正常パターンの分別性能が高い条件を選択して、光学条件の設定が終了する(S153)。
以上説明した構成や機能及び条件出し内容については、様々な組合せが考えられるが、それらの組合せについても本発明の範囲内であることは明らかである。
1…ウェハ(試料)、3…回路パターン、4…欠陥、10…暗視野照明光学系、11…光源、12a、12b…レーザ光源、13…ダイクロイックミラー、15…整形光学系(非球面レンズ又は非球面ミラー)、16…線状ビーム、20…暗視野検出光学系、21a…第1の検出光路、21b…第2の検出光路、22…反射対物レンズ、23、71…レンズ、24…ビームスプリッタ(分岐光学系)、24a…ダイクロイックミラー(波長分離光学系)、24b…偏光ビームスプリッタ、25a、25b…2次元イメージセンサ、26…視野絞り、27a、27b…結像レンズ、28、72…コリメータレンズ、30、80…1/4波長板、35、85…偏光子(ポラライザ)、40a、40b、60a、60b…ビームスプリッタ、50…第1の空間フィルタ、65a、65b…イメージセンサ、95…第2の空間フィルタ、95a〜95e…空間フィルタ、55、57、100、110…結像レンズ、96a〜96c…開口、97…複屈折材、98…位相差を与える材料、200…第1のイメージセンサ、210…第2のイメージセンサ、230、230a、230b…画像処理部、250…AF照明系、260…AF検出系,270…光検出器、280…機構制御部、282…ステージ(X、Y、Z、θ(回転))、290…操作部、410a、410b、420a、420b…出し入れ機構、430、470…空間フィルタ切替え機構、440、480…結像レンズ切替え機構。