JP5277283B2 - スクロール圧縮機およびそれを搭載した冷凍サイクル - Google Patents

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Description

本発明はスクロール圧縮機およびそれを搭載した冷凍サイクルに係り、特に冷凍空調機器やヒートポンプ式給湯機に搭載するのに好適なスクロール圧縮機およびそれを搭載した冷凍サイクルに関する。
従来のスクロール圧縮機の例が、特許文献1に記載されている。この公報に記載のスクロール圧縮機では、旋回スクロールの外線側で形成される圧縮室と内線側で形成される圧縮室との閉込み容積が異なるように、旋回スクロールおよび固定スクロールの歯形またはラップ形状(以後、非対称歯形と称する)を形成している。このように非対称歯形を有するスクロール圧縮機では、圧縮室のシール性を向上させるために、旋回スクロールの内線側に形成される圧力室よりも圧力が高い旋回スクロールの外線側の圧縮室が閉じきった状態になってから、シールのための給油を開始している。
特開2003−172276号公報
上記特許文献1に記載のスクロール圧縮機では、非対称歯形を採用しているので、圧縮室間の圧力分布が旋回スクロールの外線側圧縮室と内線側圧縮室で異なる。つまり、閉込み容積の大きい外線側圧縮室が、常に先に圧縮を開始するので、内線側圧縮室が圧縮を開始する時点では、外線側圧縮室の圧力は吸込圧力よりも高い。この結果、旋回スクロール及び固定スクロールの各渦巻体(ラップ)と相手側スクロール部材の端板間に形成される隙間では、高圧である外線側圧縮室から内線側圧縮室へ向かう漏れ流れが生じる。
そこで、内線側のシール性を向上させるために、外線側からの漏れ流れが潤滑油を含むように、潤滑油の供給路を決定している。しかしながら、吸込圧力と吐出圧力の圧力差の大きい運転条件や冷媒にCO2を用いて高圧となる運転条件では、上記渦巻体と端板間に形成される隙間から漏れ込む潤滑油だけでは潤滑油量が不足し、各スクロールラップの側面間に形成される隙間をシールするための潤滑油が不足するおそれがある。これにより、圧縮機の効率低下を引き起こすおそれがある。
本発明は上記従来技術の不具合に鑑みなされたものであり、その目的は、吸込み圧力と吐出圧力との圧力差が大きいときや冷媒にCO2を用いたときであっても、スクロール圧縮機を高効率で運転可能にすることにある。本発明の他の目的は、非対称歯形となる固定スクロールと旋回スクロール対を用いた横置スクロール圧縮機において、旋回スクロール内線側の圧縮室のシール不足を解消して、圧縮機の効率低下を防止することにある。
上記目的を達成するために本発明は、渦巻状のラップを有する旋回スクロールと固定スクロールとで複数の圧縮室を形成し、旋回スクロールの反ラップ側に背圧室を形成し、前記各部材を密閉容器に収容した密閉型のスクロール圧縮機において、密閉容器に油を貯留する貯油室を形成し、固定スクロールに吸込み部と、この吸込み部を始点とし冷媒流れ方向と周方向反対側に位置する溝とを形成し、旋回スクロールに背圧室または貯油部からラップ側に油を供給する開口を形成し、溝と開口とを用いて旋回スクロールの旋回運動に伴い圧縮室に間欠的に給油するものである。
そして好ましくは、旋回スクロールの外線側に形成される外線側圧縮室の閉込み容積が、内線側に形成される内線側圧縮室の閉込み容積よりも大きい非対称歯形を有するものであり、開口および溝を、旋回スクロールの旋回により、旋回スクロールの外線側圧縮室が閉じきった状態から内線側圧縮室が閉じきった状態に変化する間に少なくともその一部が重なり、その他の状態では重ならない位置に形成したものである。
また上記目的を達成するために、本発明は、旋回スクロールと、この旋回スクロールと互いにかみ合う固定スクロールと、旋回スクロールと固定スクロールがかみ合って形成される複数の圧縮室と、固定スクロールが固定されるフレームと、旋回スクロールと固定スクロールとフレームにより形成される背圧室とを備え、背圧室と外線側圧縮室との間に背圧制御弁を介在させ、各部品を密閉容器に収容したスクロール圧縮機において、密閉容器内に貯油室を形成し、複数の圧縮室のうち、旋回スクロールの外線側に形成される外線側圧縮室の閉込み容積を、内線側に形成される内線側圧縮室の閉込み容積よりも大きくし、旋回スクロールおよび固定スクロールに背圧室または貯油室から油を供給する圧縮室給油経路を形成し、この圧縮室給油経路は固定スクロールでは吸込み部に連通しており、旋回スクロールでは、旋回スクロールの旋回により外線側圧縮室が閉じきった状態から内線側圧縮室が閉じきった状態になるまでの間の少なくともいずれかの時期に、固定スクロールに形成した圧縮室給油経路に連通する位置に形成したものである。
なお、冷媒として二酸化炭素を使用可能な上記スクロール圧縮機を、ヒートポンプ給湯機用の冷凍サイクルが搭載することが望ましい。さらに、上記スクロール圧縮機は、作動冷媒に二酸化炭素を用い、冷凍機油にポリアルキレングリコール油,ポリオールエステル油,ポリアルファオレフィン油,パラフィン系鉱油,ナフテン系鉱油の少なくともいずれかを用いるものがよい。
本発明によれば、特許請求の範囲に記載の構成により、吸込み圧力と吐出圧力との圧力差が大きいときや冷媒にCO2を用いたときであっても、スクロール圧縮機を高効率で運転可能である。また、非対称歯形となる固定スクロールと旋回スクロール対を用いた横置スクロール圧縮機において、旋回スクロール内線側の圧縮室のシール不足が解消され、圧縮機の効率低下が防止される。
本発明に係る横置スクロール圧縮機の一実施例の縦断面図。 図1のA−A矢視断面図。 図1に示したスクロール圧縮機が有する差圧制御弁の詳細縦断面図。 図1に示したスクロール圧縮機に用いる旋回スクロールのラップ側から見た図。 図4のB−B′矢視断面図。 スクロールラップによる圧縮動作を説明する図。 本発明に係る横置スクロール圧縮機の他の実施例に用いる固定スクロールをラップ側から見た図。 図7のC−C′矢視断面図。 図7に示した固定スクロールとともに用いる旋回スクロールをスクロールラップ側から見た図。 スクロールラップによる圧縮動作を説明する図。
以下本発明に係る横置スクロール圧縮機100の一実施例を、図面を用いて説明する。図1は、横置スクロール圧縮機100の縦断面図である。図1では、この横置スクロール圧縮機100が備える旋回スクロール101および固定スクロール102,フレーム109,オルダムリング110の各部を、周方向異なる位置の断面で示している。図2は、図1のA−A矢視断面図であり、固定スクロール102のスクロールラップ102r側から見た図である。図3は、横置スクロール圧縮機100が備える差圧制御弁の詳細断面図である。図4は、旋回スクロール101をスクロールラップ101b側からみた軸方向視図である。図5は、図4のB−B矢視断面図である。図6は、旋回スクロール101および固定スクロール102により形成される圧縮室103の圧縮動作を説明する図である。
横置スクロール圧縮機100は、円筒状に形成された筒部とこの筒部の両側部を覆う鏡板状に形成されたエンドプレートからなる密閉容器122内に、圧縮機要素とモータ112が収容されている。圧縮機要素は、旋回スクロール101とこの旋回スクロールとともに圧縮室103を形成する固定スクロール102とを有している。
旋回スクロール101は、平板状の鏡板101aに、渦巻状に形成されたスクロールラップ101bが立設されている。鏡板101aの背面側には、旋回軸受101cを保持するリング状の軸受保持部101dと、旋回スクロール101が回転軸111の軸心から偏心して回転(旋回)できるように、旋回オルダム溝101eが設けられている。
固定スクロール102の反固定スクロールラップ側の面には、詳細を後述するリリース穴102cを覆うように、リード弁板であるリリース弁板104が設けられている。リリース弁板104に重なり合ってリリース弁板104の開口度を制限するリテーナ104aを配置し、これらリリース弁板104とリテーナ104aの一端側を、固定ねじ105で固定している。固定スクロール102の中央部には、吐出穴102dが開口している。
固定スクロール102では、図2に示すように、固定スクロール基準面102aを端面として切削することにより、渦巻状に固定スクロールラップ102rが形成されている。したがって、固定スクロールラップ102rの端面(歯先面)は、固定スクロール基準面102aと同一平面上にある。固定スクロールラップ102rよりも外周側には、リング状に周囲溝102bが形成されている。固定スクロール102の外周部には、複数の切り欠き部が形成されており、切り欠き部は吐出ガスおよび油を流す複数個の流通溝102gとして作用する。
固定スクロールラップ102rの根元側である歯底には、固定スクロールラップ102rに近接して、2個ずつ計4個のリリース穴102cが形成されている。リリース穴102cは、固定スクロール102の軸方向に貫通している。リリース穴102cを設けた理由は、圧縮室103の圧力が吐出圧以上になった場合に、リリース穴102cから冷媒ガス放出するためである。
固定スクロール102の歯底面であって、固定スクロールラップの102rが終わる外径側には、吸込部102sが形成されている。吸込部102sと、一部位置が重なるように反固定スクロールラップ側から吸込穴102fが形成されている。吸込み部102sから固定スクロールラップ102rに沿って、徐々に深さが変化する吸込掘込102eを形成する。吸込穴102fには、反固定スクロールラップ側から吸込パイプ106が挿入されている。吸込み部102sを挟んで吸込掘込102eとは反対側に、吸込掘込102eと連続して半径が一定のR溝102mが形成されている。R溝102mは、周方向に所定角度範囲だけ、形成されている。
ここで、図1に示すように、吸込穴102fに吸込パイプ106を挿入する際には、この吸込穴102fを封止する弁体107aと、この弁体107aを押圧する逆止弁ばね107bを吸込穴102fに挿入する。弁体107aと逆止弁ばね107bは、吸込側逆止弁107を形成する。
固定スクロール102の周囲溝102b部であって、R溝102mが形成されている位置から離れた位置に、差圧制御弁108を設けている。具体的には、図2及び図3に示すように、固定スクロール102の反固定スクロールラップ側から、順に径が小さくなる段付き穴(弁穴)102hを形成する。
弁穴102hは3段の穴であり、小径部と中間径部の境には、シートの中央部に円柱が取り付けられた形状の弁体108aが保持される。小径部と中間径部の段差面は、弁シール面102iを形成する。中間径部には、弁体108aを押圧する差圧弁ばね108bが挿入されている。大径部には、差圧弁ばね108bに挿入されて差圧弁ばね108bを保持する突起108cが中央部に形成された弁キャップ108dが、弁キャップ挿入部102nをガイドとして、嵌合されている。このように構成した差圧制御弁108では、弁穴102hの中間径部に弁体108aと差圧弁ばね108bを挿入し、突起108cに差圧弁ばね108bの一端を挿入し、弁キャップ108dを弁穴102hの中間径部よりも大径の弁キャップ挿入部102nに圧入する。
弁穴102hの中間径部の側方から固定スクロール102の歯底に向けて斜めに、圧縮室導通路102kが形成されている。圧縮室導通路102kは、固定スクロール内線102jと旋回スクロール外線101fとで形成される圧縮室103(図4参照)に連通する。
図1に戻り、旋回スクロール101の反スクロールラップ側(背面側)と旋回スクロール101の外径側を覆い、固定スクロール102とボルト締結されるフレーム109が、固定スクロール102に対向して配置されている。フレーム109では、外周部に固定スクロール102を取り付ける固定取付面109aが形成されている。固定取付面109aの内側には、旋回はさみこみ面109bが設けられる。
旋回はさみこみ面109bの内側には、フレームオルダム溝109cが設けられている。フレームオルダム溝109cは、旋回スクロール101を旋回運動させるためのオルダムリング110を、フレーム109と旋回スクロール101の間に配置するために設けられる。オルダムリング110では、オルダムリング110がフレーム109に対向する面に、フレーム突起部110aが形成されており、その反対面には旋回突起部110b形成されている。
フレーム109の中央部には、軸貫通孔が形成されており、この軸貫通孔には軸シール109dと主軸受109eが並んで保持されている。フレーム109の中央部であって旋回スクロール101の端面に対向する面は、シャフトスラスト面109fであり、シャフト111からの軸力を支承する面である。フレーム109の外周面には、冷媒ガスおよび油の流路となる複数の流通溝109hが形成されている。
偏心部111eを有するシャフト111は、一端が旋回スクロールに保持された旋回軸受101cで支承されており、中間部は主軸受109eで支承されている。シャフト111は、密閉容器122内を左右に延びている。シャフト111の軸心部を左右に貫通するシャフト給油孔111aが形成されており、このシャフト給油孔111aに連通する半径方向孔が複数設けられている。これら半径方向孔は、旋回スクロール101側から順に、主軸受給油孔111b,軸シール給油孔111c,副軸受給油孔111dである。
シャフト111の一端側である偏心部111eは、旋回スクロール101に保持した旋回軸受101cに嵌合する。シャフト111の他端部は副軸受113に嵌合する。副軸受113は、副軸受ハウジング115に保持されている。副軸受ハウジング115は、密閉容器122に固定された副軸受支持板114に固定される。シャフト111の中間部であって、副軸受113とフレーム109に対応する位置の間には、モータ112を構成するロータ112aが圧入されている。モータ112のステータ112bは、密閉容器122に焼き嵌めされている。
このように構成した横置スクロール圧縮機100の動作を、以下に説明する。モータ112のロータ112aが回転すると、このロータ112aが取り付けられたシャフト111が回転し、シャフト111の端部に取り付けた旋回スクロール101が旋回運動する。オルダムリング110を設けているので、旋回スクロール101は、その自転が防止される。
旋回スクロール101が旋回すると、吸込パイプ106を経て吸込穴102fに導かれた冷媒ガスが、旋回および固定両スクロール101,102の間に形成される圧縮室103に流入する。そして、冷媒ガスは圧縮室103で圧縮されて、吐出穴102dから、密閉容器122の鏡板部と固定スクロール102の反固定スクロールラップ側間に形成される固定背面室117に吐出される。
固定背面室117に吐出された冷媒ガスは、固定スクロール102およびフレーム外周部に形成した流通溝102g,109hを通って、モータ112のロータ112aを収容しているモータ室118に流入する。モータ室118に入った冷媒ガスは、モータ112のロータ112aとステータ112b間を通過する。その過程で、冷媒ガスは、ロータ112aやステータ112bに衝突し、冷媒ガス中に含まれる潤滑油を分離する。分離された潤滑油は、モータ室118の下部に落下する。
モータ室118に流入した冷媒ガスは、副軸受支持板114に形成された通気孔114aを通る。通気孔114aを通過した冷媒ガスは、シャフト111の右端部よりも右側であって、密閉容器122を仕切るように配置された油分離板125に衝突する。油分離板125に衝突した冷媒ガスは、衝突の際に冷媒ガス中に含む潤滑油を分離し、密閉容器122の鏡板部に取り付けた吐出パイプ120から外部に流出する。
密閉容器122の右端側の鏡板と油分離板125間の空間の下部には、潤滑油を貯える貯油室121が形成されている。冷媒ガスが通気孔114aを通る流路抵抗により、貯油室121の圧力は、モータ室118の圧力より低くなる。その結果、モータ室118の潤滑油119は、中央部がモータ112側に凸に形成された副軸受支持板114の下部に形成した導油孔114dから貯油室121側に押し出される。貯油室121の油面が、モータ室118の油面よりも高くなる。
貯油室121に貯えられた潤滑油が、密閉容器122内の各部に給油される様子を、以下に説明する。旋回スクロール101の背面側には、旋回スクロール101と固定スクロール102とフレーム109により、中間圧室123が形成される。この中間圧室123の圧力は、差圧制御弁108により、吸込圧力と吐出圧力の間の圧力(以後、中間圧と呼ぶ)に保たれる。
貯油室121内の潤滑油119は、吐出圧雰囲気にあるので、中間圧室123と貯油室121内の潤滑油119とでは、吐出圧と中間圧の差圧が生じる。この差圧により、給油パイプ124からシャフト給油孔111a経て旋回軸受101cに給油される。さらに、シャフト111が回転すると、遠心力が生じ、シャフト111の軸心部を貫通するシャフト給油孔111aを流通する潤滑油は、シャフト111の半径方向に形成された主軸受給油孔111bおよび軸シール給油孔111c,副軸受給油孔111dから、各摺動部へ給油される。旋回軸受101cに給油された潤滑油119は、中間圧室123に漏れこむ。そして、差圧制御弁108から圧縮室導通路102kに入り、冷媒ガスとともに固定背面室117に吐出される。
図4に、旋回スクロールの上面図を、図5に図4のB−B′断面図を示す。これらの図からわかるように、旋回スクロール101の鏡板101aに、窪みである油ポケット126が形成されている。上述したように、固定スクロール102には、R溝102mが形成されており、このR溝102mは吸込み圧になっている。油ポケット126とR溝102mにより、図6に示すように、旋回スクロール101の内線側圧縮室への給油経路が形成される。
油ポケット126の作用について、図6を用いて説明する。図6は、旋回スクロール101のスクロールラップ101bと固定スクロール102の固定スクロールラップ102aにより形成される圧縮室103が、シャフト111の回転に伴い変化する様子を示した図である。
同図(a)は、シャフト111の偏心部111eの角度が基準位置にある状態で、この角度をクランク角度0゜と称する。同図(b)は、シャフト111の偏心部111eの角度が125゜進んだ角度であり、同図(c)は、シャフト111の偏心部111eの角度が180゜まで進んだ角度であり、同図(d)は、シャフト111の偏心部1111eの角度が270゜まで進んだ角度の状態を示している。
同図(a)に示すクランク角度0゜は、旋回スクロール101の外線側が吸込完了したときに対応する。このクランク角度が0゜から、同図(b)に示したクランク角125゜までのシャフト111の回転区間では、油ポケット126はR溝102mを介して吸込圧力である吸込み部102sと連通している。このとき、潤滑油は同図(a)中に矢印で示したようにR溝102内を流れる。シャフト111の回転角度が、0°〜125°の範囲にあるときに、旋回スクロール101の内線側に形成される圧縮室103aをシールするための給油が完了する。
図6(c)および図6(d)に示すように、旋回スクロール101が旋回運動して、ハッチングして示した固定スクロール102の周囲溝102bに油ポケット126が連通すると、油ポケット126に給油される。周囲溝102bは、中間圧室123と連通しているので、周囲溝102bの圧力は中間圧になる。
旋回スクロール101の外線側に形成される将来圧縮室103bとなる空間へ冷媒ガスを吸込み終えたら、旋回スクロール101の外線側の圧縮室103bに、差圧制御弁108を介して給油される。非対称歯形を有するスクロールラップの場合、圧縮室103a,103bの圧力は、従来の対称歯形と異なり、先に圧縮動作を開始する旋回スクロール101の外線側の圧縮室103bの圧力の方が、内線側の圧縮室103aよりも高い。
したがって、旋回スクロール101の外線側の圧縮室103bに給油された油を、シャフト111の回転により圧縮室103bの圧力が上昇するに伴い、スクロールラップ101b,102rの歯先歯底を介して、内線側の圧縮室103aに流れ込ませる、従来の方法だけでは、内線側の圧縮室103aをシールする潤滑油が不足する。そこで、本実施例では油ポケット126とR溝102mとを利用して、内線側の圧縮室103aへの給油を確実にしている。この油ポケット126から供給された潤滑油は、固定スクロールラップ102aおよび旋回スクロールラップ101bの歯先歯底はもちろんのこと、両スクロールラップ101b,102rの側面間に形成される隙間をもシール可能である。
特に、スクロールラップ101b,102rの歯先と鏡板との隙間は、数μmという微小隙間なのに対して、スクロールラップ101b,102rの熱変形や接触防止を考慮して、側面隙間は数十μmになる。したがって、吸込圧力と吐出圧力の圧力差の大きい運転条件では、本実施例の効果が顕著になる。
本実施例によれば、スクロール圧縮機の漏れ損失を抑えることができるので、スクロール圧縮機の効率が向上する。これにより、冷凍サイクルのシステムCOPが向上する。特に、冷媒にCO2冷媒を用いた場合には、高圧冷媒であることと断熱指数が高いので、圧縮室間の圧力差が大きくなるが、本実施例によれば、確実に圧縮室をシールすることができるので、スクロール圧縮機の効率が大幅に向上する。
なお、上記実施例では、油ポケット126が吸込圧力と連通する区間を、旋回スクロール101の外線側が吸込完了したときのクランク角度を0度として、0゜〜125゜の区間としたが、連通する区間の終点は、クランク角度0゜〜ほぼ180゜までのいずれであってもよい。また、油ポケット126を円径の窪みとしたが、本発明の目的を達成する形状であればどのような形状でもよい。
本発明に係る横置スクロール圧縮機100の他の実施例を、図7ないし図10を用いて説明する。図7は、図2に対応する図であり、図8は図5に対応する図で、図7のC−C′断面図である。図9は図4に対応する図であり、図10は、旋回スクロール101および固定スクロール102の両スクロールラップ101b,102rで形成される圧縮室103の変化を示す図である。
本実施例では、油ポケット126とR溝102mにより構成される旋回スクロール101の内線側の圧縮室103aへの給油経路を上記実施例と異ならせている。つまり、上記実施例では、油ポケット126から供給される潤滑油の圧力は、固定スクロール102に設けた周囲溝102bの中間圧からR溝102mの吸込圧へと圧力が変化しているのに対し、本実施例では、周囲溝102bを設けていないので、貯油室121と連通している貯油導通路102pの吐出圧からR溝102mの吸込圧へと圧力が変化する。
図6に示した実施例と同様、油ポケット126が吸込圧力と連通する区間は、旋回スクロール101の外線側が吸込完了したときのクランク角度を0゜として、0゜〜125゜としている。この連通区間の範囲は、上記実施例と同様変更可能である。本実施例によれば、圧縮機の吐出圧力で給油するので、流路抵抗が大きくて、上記実施例より確実に給油できる。
上記各実施例では、作動冷媒に二酸化炭素を用いた例を示しているが、冷媒としては空気調和装置に通常使用される冷媒であってもよい。なお作動冷媒に二酸化炭素を用いた場合には、冷凍機油にポリアルキレングリコール油,ポリオールエステル油,ポリアルファオレフィン油,パラフィン系鉱油,ナフテン系鉱油の少なくともいずれかを用いるのが好ましい。
101 旋回スクロール
101a 鏡板
101b スクロールラップ
101c 旋回軸受
101d 軸受保持部
101e 旋回オルダム溝
101f 旋回スクロール外線
101g 旋回スクロール内線
102 固定スクロール
102a 固定スクロール基準面
102b 周囲溝
102c リリース穴
102d 吐出穴
102e 吸込掘込
102f 吸込穴
102g,109h 流通溝
102h 弁穴
102i 弁シール面
102j 固定スクロール内線
102k 圧縮室導通路
102m R溝
102n 弁キャップ挿入部
102p 貯油導通路
102r 固定スクロールラップ
103 圧縮室
104 リリース弁板
104a リテーナ
105 固定ねじ
106 吸込パイプ
107 吸込側逆止弁
107a,108a 弁体
107b 逆止弁ばね
108 差圧制御弁
108b 差圧弁ばね
108c 突起
108d 弁キャップ
109 フレーム
109a 固定取付面
109b 旋回はさみこみ面
109c フレームオルダム溝
109d 軸シール
109e 主軸受
109f シャフトスラスト面
110 オルダムリング
110a フレーム突起部
110b 旋回突起部
111 シャフト
111a シャフト給油孔
111b 主軸受給油孔
111c 軸シール給油孔
111d 副軸受給油孔
111e 偏心部
112 モータ
112a ロータ
112b ステータ
113 副軸受
114 副軸受支持板
114a 通気孔
114d 導油孔
115 副軸受ハウジング
116 吸込口
117 固定背面室
118 モータ室
119 潤滑油
120 吐出パイプ
121 貯油室
122 密閉容器
123 中間圧室
124 給油パイプ
125 油分離板
126 油ポケット

Claims (3)

  1. 非対称歯形を有する固定スクロールと、
    背圧室の圧力によって前記固定スクロールに押し付けられ、前記固定スクロールと噛み合って、外線側圧縮室,内線側圧縮室を形成する旋回スクロールと、
    前記背圧室と前記外線側圧縮室との間に配設された背圧制御弁と、
    を密閉容器に収容し、吸込部から前記各圧縮室に吸い込んだ冷媒を圧縮するスクロール圧縮機において、
    前記固定スクロールは、前記密閉容器内と連通する貯油導通路と、前記吸込部に連通する溝と、を有し、
    前記旋回スクロールは、その旋回に伴って、前記貯油導通路と前記溝との双方に交互に連通する油ポケットを有し、
    前記旋回スクロールの旋回により前記外線側圧縮室が形成された状態から前記内線側圧縮室が形成される状態になるまでの間の少なくともいずれかの時期に、前記溝と前記油ポケットが連通する位置に、前記溝,前記貯油導通路,前記油ポケットを配設した
    ことを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 冷媒として二酸化炭素を使用可能であって、請求項1に記載のスクロール圧縮機を搭載したことを特徴とするヒートポンプ給湯機用の冷凍サイクル。
  3. 作動冷媒に二酸化炭素を用い、冷凍機油にポリアルキレングリコール油,ポリオールエステル油,ポリアルファオレフィン油,パラフィン系鉱油,ナフテン系鉱油の少なくともいずれかを用いる請求項1または2に記載のスクロール圧縮機を搭載した冷凍サイクル。
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