以下、適宜図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。なお、本実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
図1は、本発明のインク容器の一例であるインクカートリッジ10の外観形状を示す斜視図であり、(A)には、挿入方向30の前方側から見た斜視図が示されており、(B)には、挿入方向30の後方側から見た斜視図が示されている。図2は、インクカートリッジ10の分解斜視図である。図3は、インクカートリッジ10の側面図である。なお、図3(B)には、容器本体20が破線で示されている。
インクカートリッジ10は、インクジェット方式のプリンタなどに代表される記録装置に装着されて使用される。詳細については省略するが、インクカートリッジ10は、記録装置が備えるカートリッジ収容部に着脱可能に構成されており、上記カートリッジ収容部に対して、図1に示される状態で矢印30の方向(以下「挿入方向30」と称する。)に挿入されて装着される。インクカートリッジ10が装着されると、インクカートリッジ10に収容されたインクが記録装置の記録ヘッドへ供給可能となる。
図1に示されるように、インクカートリッジ10は、扁平形状の略六面体として構成されている。詳細には、インクカートリッジ10は、幅方向(矢印31の方向)に細く、高さ方向(矢印32の方向)及び奥行き方向(矢印33の方向)が上記幅方向よりも長い略直方体形状に形成されている。
図1及び図2に示されるように、インクカートリッジ10は、大別して、容器本体20(本発明の本体の一例)と、ハウジング26と、スライダ27(本発明のスライド部材の一例)と、コイルバネ23,24(本発明の第2支持部材の一例)とを備えている。インクカートリッジ10の外装はハウジング26及びスライダ27で構成されている。
ハウジング26は、容器本体20を保護するものである。このハウジング26によって、容器本体20の前面41(挿入方向30の前方側の面)を除く略全体が覆われている。ハウジング26は、容器本体20を2方向(図2の左右方向)から挟み込む第1カバー21及び第2カバー22から構成されている。図2に示されるように、第1カバー21は、容器本体20の右側面46(挿入方向30の前方側から見て右側の面)に取り付けられている。具体的には、第1カバー21の内面に設けられた複数の係合爪12が容器本体20に形成された係合溝13に嵌め入れられることによって、第1カバー21が容器本体20に取り付けられる。これにより、第1カバー21によって容器本体20の右側面46が覆われる。一方、第2カバー22は、容器本体20の左側面45(挿入方向30の前方側から見て左側の面)に、第1カバー21と同様の取付方法で取り付けられている。これにより、第2カバー22によって容器本体20の左側面45が覆われる。なお、これらのカバー21,22は、容器本体20を構成するフレーム50や大気連通バルブ80(本発明のシール部材の一例)、インク供給バルブ90などと干渉しない形状に形成されている。
スライダ27は、容器本体20との間にコイルバネ23,24を介在させた状態で容器本体20に着脱可能に取り付けられている。本実施形態では、容器本体20の前面41の上部に穿設されたバネ受け23Aにコイルバネ23が装着され、前面41の下部に穿設されたバネ受け24Aにコイルバネ24が装着されており、容器本体20に設けられた係合爪15,16が、スライダ27に形成された摺動溝17,18に挿入されることによって、ハウジング26の前方部(挿入方向30の前方側の部位)28を覆うようにしてスライダ27が取り付けられている。なお、スライダ27の取付機構については後段で詳細に説明する。
また、本実施形態では、スライダ27は、ハウジング26の前方部28に沿って奥行き方向(長手方向、矢印33の方向)へスライドするように設けられている。図3(A)には、スライダ27が容器本体20の前面41(本発明の所定壁面に相当)に最も近づいた第2位置(本発明の第8姿勢に相当)にある状態が示されており、図1及び図3(B)には、スライダ27が容器本体20の前面41から離れた第1位置(本発明の第7姿勢に相当)にある状態が示されている。スライダ27がスライドされて第2位置に配置されると、スライダ27に形成された開口111を通じて、インク供給バルブ90がスライダ27から外部へ露出される。一方、スライダ27が第1位置に配置されると、インク供給バルブ90がスライダ27内に没入される。なお、ハウジング26に対してスライダ27をスライドさせる機構(スライド機構)については後段で詳細に説明する。
次に、図4から図10を参照して、容器本体20について詳細に説明する。ここに、図4は、図1(A)における切断面IV−IVの断面図である。図5は、容器本体20の拡大斜視図である。図6は、容器本体20の内部構造を示す側面図である。図7は、容器本体20の分解斜視図である。図8は、アーム70の外観形状を示す斜視図である。図9は、支持ブロック170の外観形状を示す斜視図である。図10は、支持ブロック170の四面図であり、(A)には正面図が示されており、(B)には左側面図が示されており、(C)には右側面図が示されており、(D)には平面図が示されている。なお、図6では、フィルム65が省略されている。
図5に示されるように、容器本体20は、インクカートリッジ10と概ね同形状の外形を呈しており、扁平形状の略六面体として構成されている。インクカートリッジ10が記録装置のカートリッジ収容部(不図示)に装着されると、容器本体20は、スライダ27が第2位置(図3(A)参照)にある状態で上記カートリッジ収容部に収められる。なお、本実施形態では、図5から図7に示されるように、容器本体20において、挿入方向30の前方側の面を前面41、挿入方向30の後方側の面を後面42、鉛直上方側の面を上面43、鉛直下方側の面を下面44とする。また、前面41、後面42、上面43、下面44それぞれに隣接し、互いに対向する2つの面を左側面45及び右側面46とする。ここで、前面41から見て左側が左側面45であり、右側が右側面46である。本実施形態では、一対の左側面45及び右側面46が容器本体20において最大面積となっている。
容器本体20は、大別して、フレーム50と、アーム70と、支持ブロック170と、保護部材150と、大気連通バルブ80と、インク供給バルブ90と、フィルム65(図7参照)とにより構成されている。
フレーム50は、容器本体20の筐体を構成する部材であり、容器本体20の六面41〜46を形成する。したがって、容器本体20の六面41〜46は、フレーム50の六面に一致する。以下において、容器本体20の各面に付された符号を用いてフレーム50の各面を示す。
フレーム50は、透光性のある透明又は半透明の樹脂材料で構成されており、例えば、樹脂材料を射出成形することにより得られる。本実施形態では、フレーム50は、ポリプロピレンで形成されている。なお、樹脂材料として、ポリアセタールやナイロンなどを採用することも可能である。
図5に示されるように、フレーム50は、外周壁51と、複数の内壁52とを備える。内壁52は、外周壁51の内側に配設されている。外周壁51及び内壁52は、フレーム50として一体に形成されている。外周壁51及び内壁52は、容器本体20の左側面45から右側面46に渡って設けられている。外周壁51は、内部に空間を形成するように、前面41、上面43、後面42、下面44に概ね沿って環状に配設されている。これにより、フレーム50の左側面45及び右側面46それぞれに開口57が形成される。つまり、フレーム50の左側面45及び右側面46は、それぞれ、開放されている。
図7に示されるように、フレーム50の左側面45及び右側面46それぞれに、透明な樹脂で構成された薄肉状のフィルム65が周知の熱溶着法によって溶着されている。具体的には、外周壁51の幅方向31の両端部にフィルム65が溶着される。これにより、フィルム65によって開口57が閉塞されて、外周壁51とフィルム65とによって囲まれた空間がインク室100として区画される。このように区画されたインク室100にインクが収容される。なお、フレーム50に代えて、例えば、一方の側面だけが開放された器状のフレームを用いることも可能である。この場合、上記器状のフレームにおいて開放された側の面がフィルム65で溶着されることにより、インク室100が区画される。
内壁52は、外周壁51で囲まれた領域内に配設されている。フレーム50には、インク室100の上部空間を幅方向31の中央で仕切り分ける仕切り板53が外周壁51と一体に設けられている。内壁52は、外周壁51或いは仕切り板53に一体に設けられている。この内壁52の幅方向31の両端部にもフィルム65が溶着されている。これにより、フィルム65の撓みを抑制することができる。また、第1カバー21及び第2カバー22が容器本体20側に変形したとしても、内壁52によって第1カバー21及び第2カバー22の変形が規制される。これにより、容器本体20やフィルム65の破損が軽減される。なお、インク室100の下部、つまり、仕切り板53の下方の空間102(図7参照)は、後述するアーム70及び支持ブロック170が配置されるため、幅方向31に渡って仕切り分けられておらず、左側面45から右側面46へ貫通している。
フィルム65は、合成樹脂製の複数のフィルムが積層されて構成されており、多層構造を有する。具体的には、フィルム65は、ポリプロピレンからなる第1シートと、ナイロンからなる第2シートと、ポリエチレンテレフタラートからなる第3シートとが、インク室100側から外方向へ順次積層された3層構造を有する。つまり、インク室100側の第1シートは、フレーム50と同じ材質(ポリプロピレン)で構成されている。なお、本実施形態では、合成樹脂製のフィルム65を用いることとしたが、例えば、金属箔を合成樹脂製のフィルムで挟みようにして構成された薄肉状のフィルムを用いることも可能である。もちろん、合成樹脂以外の素材(パルプ、金属、天然樹脂など)で構成されたフィルムを用いてもかまわない。
外周壁51の幅方向(矢印31の方向)の中心に軸受リブ74(図7参照)が立設されている。図7に示されるように、軸受リブ74は、前面41及び下面44で形成されるコーナー付近の外周壁51に設けられている。軸受リブ74は、外周壁51における右側面46側の端部に立設されている。軸受リブ74の左側面45側の面に、円孔状の軸受け67が形成されている。図7に示されるように、この軸受け67に、円柱状の軸77が嵌め入れられ、更に、軸77にアーム70の軸孔78が挿通される。なお、軸77の他端は、後述するように、支持ブロック170側で支持される。
図5及び図6に示されるように、フレーム50の後面42にインク注入部105が形成されている。インク注入部105は、後面42からインク室100側に穿設された円孔である。インク注入部105は、後面42の下端付近においてフレーム50と一体に形成されている。インク注入部105は、インク室100に連通している。インク注入部105を通じてインクがインク室100へ注入される。インクの注入手法としては、インク室100における脱気度を高めてインク室100における気泡の発生を防止するべく、減圧注入法(真空注入法とも呼ばれている)が採用される。具体的には、インク室100にインクを注入する前に、インク室100内の空気を吸引排気してインク室100内の圧力を真空に近い圧力まで減圧する(第1工程)。その後、内外の圧力差を利用してインクをインク室100内に注入する(第2工程)。インクの注入後は、インク室100内の圧力は、大気圧よりも若干低い圧力に維持される。
フレーム50の前面41には、検知窓140が形成されている。検知窓140は、インク室100に収容されているインクの量を視覚的或いは光学的に検知するためのものである。検知窓140は、フレーム50と一体に形成されている。したがって、検知窓140は、フレーム50と同じ材質、つまり、透光性のある透明又は半透明の樹脂材料で構成されている。そのため、検知窓140は、外部からの光を透過することができる。なお、検知窓140には、記録装置に取り付けられたフォトインタラプタなどの光センサによって光が照射される。光センサは発光素子と受光素子とを有する。本実施形態では、発光素子から出射された光が側壁140Bに照射され、側壁140Bを透過した検出光が上記受光素子によって受光される。
検知窓140は、容器本体20の前面41の中段付近から容器本体20の外側(図6の右向き)へ向かって突設されてる。この検知窓140は、図示されるように、略矩形状の5つの壁面で区画され、内部が中空状の略箱状に形成されている。具体的には、検知窓140は、前面41に平行で、前面41から外向きに所定距離だけ離間した矩形状の前壁140Aと、この前壁140Aの幅方向の二辺を含む一対の側壁140Bと、前壁140Aの上辺を含む上壁140Cと、前壁140Aの下辺を含む下壁140Dとにより区画されている。なお、前壁140Aの幅(幅方向31の寸法)は、前面41の幅よりも小さく形成されている。
図4に示されるように、検知窓140の内部には、前壁140A、側壁140B、上壁140C及び下壁140Dによって囲まれた空間142が形成される。検知窓140のインク室100側には壁が設けられておらず、空間142がインク室100へ連続して通じている。この空間142に対して、後述するアーム70のインジケータ部72が進入或いは離間する。図6には、空間142内の所定位置にインジケータ部72が進入した第1姿勢が実線で示されている。
図5に示されるように、検知窓140の両側壁140Bそれぞれに、係合爪144が設けられている。係合爪144は、側壁140Bから垂直に外側へ立設されている。係合爪144は、図6に示されるように、側面視で下向き鉤状に形成されている。この係合爪144に、後述するオープナー200(図11参照、本発明のカバー部材、開放装置の一例)の係合爪222が係合する。
検知窓140の上部に大気連通バルブ80が設けられている。大気連通バルブ80は、フレーム50の前面41の上部に穿設された大気連通用の貫通孔81(図7参照、本発明の孔の一例)を開放又は閉塞する弁機構として構成されている。この大気連通バルブ80は、主として、ロッド88を有するバルブ本体87(本発明の蓋部材の一例)、コイルバネ86(本発明の第1支持部材の一例)、シール83、キャップ85などの部材で構成されている。
バルブ本体87は、貫通孔81から離間して該貫通孔81を開放する開放姿勢(本発明の第5姿勢に相当)と、貫通孔81に当接して該貫通孔81を閉塞する閉塞姿勢(本発明の第6姿勢に相当)とに姿勢変化可能に設けられている。大気連通バルブ80においては、常時は、コイルバネ86がバルブ本体87を上記閉塞姿勢側へ弾性的に付勢している。これにより、貫通孔81は閉塞される。
本実施形態では、容器本体20に対して後述するオープナー200(図11参照)が着脱可能に構成されている。このオープナー200が容器本体20から取り外されると、大気連通バルブ80が作動して、貫通孔81が開放されるようになっている。これにより、インク室100内の空気層が大気圧と同圧になる。なお、貫通孔81を閉塞する機構として大気連通バルブ80を用いることとしたが、大気連通バルブ80に代えて、貫通孔81をビニール製の粘着テープやフィルムなどで閉塞する簡素な機構を用いることも可能である。この場合は、操作部材210のロッド244によって粘着テープやフィルムが穿孔されることによって、インク室内が大気圧となる。
検知窓140の下方にインク供給バルブ90が設けられている。インク供給バルブ90は、フレーム50の前面41の下部に穿設されたインク供給用の貫通孔91を開放又は閉塞する弁機構として構成されている。このインク供給バルブ90は、主として、バルブ本体97、コイルバネ96、バネ受け94、シール93、キャップ95などの部材で構成されている。インク供給バルブ90は、常時は、貫通孔91を液密に閉塞しており、インクカートリッジ10が記録装置に装着されると、図示しないインクニードルによってインク供給バルブ90が作動して、貫通孔91が開放される。これにより、インク室100内のインクを上記インクニードルを通じて記録装置側へ供給することが可能となる。
図5に示されるように、大気連通バルブ80の上側にバネ受け23Aが形成されている。また、インク供給バルブ90の下側にバネ受け24Aが形成されている。バネ受け23A及びバネ受け24Aは、フレーム50の前面41からインク室100側へ穿設された略円筒状の孔である。バネ受け23A及びバネ受け24Aには、スライダ27を前面41から離れる方向(挿入方向30と同方向)へ弾性的に付勢するためのコイルバネ23及びコイルバネ24が収容される。なお、バネ受け23A及びバネ受け24Aの位置や孔の外径寸法又は深さ寸法などは、収容されるコイルバネ23及びコイルバネ24の仕様に応じて適宜決定される要素である。
フレーム50の上面43の挿入方向30の前端部に、支持部115が設けられている。支持部115は、フレーム50に一体に形成されている。支持部115は、スライダ27を容器本体20に対してスライド可能に支持するとともに、スライダ27のスライド範囲を規制する。支持部115と後述する支持部116とによって、スライダ27が2点でスライド可能に支持される。この支持部115は、図4に示されるように、上面43から垂直上方へ突出された台部118と、台部118の挿入方向30の先端に設けられた上向き鉤状の係合爪15とにより構成されている。
フレーム50の下面44の挿入方向30の前端部に、支持部115と略同形状の支持部116が設けられている。この支持部116は、フレーム50に一体に形成されており、下面44から垂直下方へ延出された台部124と、台部124の挿入方向30の先端に設けられた下向き鉤状の係合爪16とにより構成されている。これら支持部115,116によって、スライダ27のスライド機構が具現化される。
以下、図6から図8を参照しながら、アーム70の構成について詳細に説明する。
アーム70は、インク室100に収容されたインクの液量を検知するための部材である。アーム70の一方端(第1端)に、空間142に対して進入し或いは空間142から離間するインジケータ部72が設けられている。また、アーム70の他方端(第2端)にフロート部73(本発明の浮力体の一例)が設けられている。
アーム70は、その略中心部に軸孔78が形成されている。この軸孔78に軸77が挿通される。軸77はアーム70を回動自在に支持するためのものであり、その一端は、軸受リブ74に形成された軸受け67(図7参照)に支持され、その他端は支持ブロック170に支持される。アーム70が軸77で軸支されることによって、インク室100内において矢印35(図6参照)の方向へ揺動可能に支持される。なお、本実施形態では、軸77が別部材として構成されているものとしたが、軸77がアーム70に一体に形成されていてもかまわない。
フロート部73は、例えば、内部が中空状に形成されており、インクなどの液体に対して浮力を有する浮力体の役割を担っている。したがって、フロート部73は、インク量が所定量以下になると上方に変位する。これにより、フロート部73の変位に応じてアーム70が回動する。本実施形態では、インク中において、軸孔78からフロート部73に至る第2部位76が浮き上がるようにフロート部73が形成されている。なお、フロート部73を中空形状とせず、フロート部73自体をインクの比重よりも小さい比重の素材で形成してもよい。
インジケータ部72は、インク室100内のインクの残量を指し示すためのものである。アーム70が図6において時計方向へ回動されると、インジケータ部72が検知窓140の空間142に進入する。空間142に進入したインジケータ部72は、検知窓140の下壁140Dの内面に当接して、それ以上の回動が阻止される。これにより、アーム70が第1姿勢となる。一方、アーム70が図6において反時計方向へ回動されると、インジケータ部72が下壁140Dの内面から離間する第2姿勢に変化する。アーム70は、第2姿勢において、インジケータ部72が下壁140Dの内面から所定距離だけ隔てた位置で静止する。
本実施形態では、アーム70は、軸孔78からフロート部73に至る第2部位76が軸孔78からインジケータ部72に至る第1部位75よりも重量が大きくなるように形成されている。したがって、空気中においては、第2部位76が第1部位75よりも重い。そのため、インク室100にインクが入っていない状態では、アーム70は、軸77を中心にして、図6において反時計方向へ回動する。これにより、インジケータ部72が検知窓140の空間142から離間する。つまり、インジケータ部72が空間142から離間していることは、インク室100にインクが入っていないことを意味する。なお、フロート部73の下端がインク室100の底面に当接すると、アーム70の回動が停止して、アーム70が第2姿勢に維持される。
一方、インク室100に所定量以上のインクが貯留されている状態、言い換えれば、フロート部73がインク液中にある状態では、フロート部73に浮力が発生する。この浮力によって、第1部位75と第2部位76との重量の均衡が逆転する。すなわち、インク中では、フロート部73の重力方向に働く力はインジケータ部72の重量方向に働く力よりも小さくなる。したがって、アーム70は、軸77を中心にして、図6において時計方向へ回動する。このとき、インジケータ部72は検知窓140の空間142に進入して、インジケータ部72の下端が下壁140Dの内面に当接した第1姿勢で保持される。つまり、インジケータ部72が空間142に進入していることは、インク室100に所定量以上のインクが貯留されていることを意味する。
上述のようにアーム70が動作するため、空間142におけるインジケータ部72の位置を検知窓140の外部から目視で確認し、或いは、フォトインタラプタなどの光センサで監視することで、インク室100内のインクの液量が一定量以上あるかどうかを検知することができる。言い換えれば、インジケータ部72の動きによって、インク室100内のインクの量が目視或いは光センサなどにより外部から判別できる。なお、本実施形態においては回動するアーム70によってインクの液量の判別を行うこととしたが、例えば、アーム70に代えて、インクの液面に追従して移動する浮力体を用いてもよい。このような浮力体の位置に基づいてインクの液量の判別を行ってもよい。
図6に示されるように、アーム70の周囲に保護部材150が取り付けられている。保護部材150は、例えばワイヤーや針金などの線状鋼材を屈曲成形することにより製作される。この保護部材150は、U字状に屈曲されたU字部150Aを有する。保護部材150は、図7に示されるように、フレーム50に形成された掛け部131にU字部150Aが引っ掛けられ、軸受リブ74に形成された孔(不図示)及び支持ブロック170に形成された孔183に保護部材150の端部150Bが挿入されることによって、フレーム50に対して固定される。
以下、図7、図9及び図10を参照しながら、支持ブロック170の構成について詳細に説明する。なお、図9には、説明の便宜のため、外周壁51の一部及び保護部材150が破線で示されている。
支持ブロック170は、軸77を支持するとともに、インク室100側に撓むフィルム65を支持するための支持部材である。この支持ブロック170は、インク室100の下部、言い換えれば、仕切り板53の下方において幅方向31に貫通する空間102(図7参照)に配置される。本実施形態では、支持ブロック170は、図7に示されるように、フレーム50に対して着脱可能に構成されている。
図9に示されるように、支持ブロック170は、プレート171と、複数のリブ174〜177(本発明のリブの一例)とを有する。プレート171及びリブ174〜177は、フレーム50と同じ材質で一体に形成されている。
リブ174及びリブ175は、プレート171の第1面172に垂直に立設されている。リブ174,175は、略L字状に形成されている。リブ174及びリブ175は、プレート171の上端187付近に配置されている。本実施形態では、リブ174とリブ175とは、所定間隔だけ隔てられて配置されている。これにより、リブ174とリブ175との間に、プレート171とリブ174とリブ175とによって囲まれた平面視で略C字状の開口179が形成される。本実施形態では、この開口179にアーム70の第1部位75が挿通される。したがって、アーム70は、開口179の範囲内で揺動可能(動作可能)となる。つまり、空間102に支持ブロック170が設けられた状態であっても、アーム70の動作が確保される。
支持ブロック170は、リブ175から略水平方向へ延出された支持部189を有する。この支持部189は、リブ175の略中央部からリブ174とは反対の方向へ延出されている。支持部189に、リブ176及びリブ177が設けられている。リブ176とリブ177とは、所定間隔だけ隔てられている。したがって、リブ174〜177は、空間102(図7参照)において、分散して配置されている。
リブ176及びリブ177は、リブ174,175と略同形状の略L字状に形成されている。本実施形態では、リブ176,177は、支持部189を中心にしてリブ174,175と同方向へ均等長さとなるように延出されている。
リブ174〜177の幅W2は、仮に容器本体20においてフィルム65がインク室100側に撓んだ場合でも、フィルム65がアーム70に接触しないサイズに形成されている。詳細には、リブ174,175の幅W2(図10参照)は、アーム70において最も幅寸法の大きいフロート部73の幅W1(図8参照)よりも大きい寸法に形成されている。更に詳細には、リブ174,175の幅W2は、プレート171の幅と略同じ寸法に形成されている。
図10(B)に示されるように、プレート172の第1面172の下部には、溝182が形成されている。溝182は、横向き略三角形状に形成されている。溝182の頂部181には、孔183が形成されている。このような溝182が形成されているため、支持ブロック170が空間102に配設された状態で、保護部材150の端部150Bが溝182に沿って頂部181へ向けて押し込まれると、端部150Bが頂部181へ案内されて、孔183に挿入される。これにより、保護部材150の端部150Bを孔183に挿入する作業が容易となる。
プレート172の第2面173には、軸77の一端が嵌め入れられる軸受け185が形成されている。軸受リブ74の軸受け67に一端が固定された軸77にアーム70の軸孔78が挿通された状態で、図7に示されるように、軸受け185と軸77の他端とが合わさるように第2面173側から支持ブロック170が軸受リブ74に対して嵌め合わされると、軸受け185が軸77の他端に嵌め入れられる。これにより、アーム70が揺動可能に支持されるとともに、支持ブロック170をプレート50に取り付けることが可能となる。このとき、アーム70の第1部位75(図8参照)が開口179に挿通される。なお、プレート50に支持ブロック170が取り付けられた状態で、リブ174〜177は、左側面45及び右側面46に対して垂直に配置される。
本実施形態では、インク室100の空間102に支持ブロック170が配設されているため、上述した減圧注入法によってインク室100内にインクを注入する際に、内外の圧力差によってフィルム65がインク室100内側に撓もうとしても、フィルム65の内側面が支持ブロック170にリブ174〜177に当接して支持される。そのため、フィルム65の撓みなどの変形が軽減される。その結果、インク室100内において十分なインク収容量を確保することが可能となる。また、インク室100内のインク流路がフィルム65で狭められることもない。
以下、図1から図4の各図を参照しながら、スライダ27の構成とともに、スライダ27のスライド機構について詳述する。
図1から図4に示されるように、スライダ27は、容器本体20の前方部28を収容可能な容器形状に形成されている。このスライダ27は、前方部28の外形に対応して扁平形状に形成されている。具体的には、図1に示されるように、スライダ27は、容器本体20の前面41に対応する前壁161と、上面43に対応する上壁163と、下面44に対応する下壁164と、左側面45に対応する左側壁165と、右側面46に対応する右側壁166とを有する。これら各壁によって囲まれた空間が前方部28を収容する収容空間である。
スライダ27は、図4に示されるように、支持バー168,169と、摺動溝17,18と、開口110,111とを有する。
支持バー168,169は、コイルバネ23,24を支持するとともにその伸縮方向を規制するものである。支持バー168,169は、前壁161の裏面、つまり、容器本体20の前面41に対向する対向面に設けられている。具体的には、支持バー168は、前壁161の上部の裏面であって、バネ受け23Aに対応する位置に設けられている。また、支持バー169は、前壁161の下部の裏面であって、バネ受け24Aに対応する位置に設けられている。
図4に示されるように、支持バー168,169は、前壁161の裏面から容器本体20の奥行き方向(矢印33の方向)へ突出された棒状の部材で構成されている。バネ受け23A,24Aにコイルバネ23,24が収容された状態で、スライダ27が容器本体20の前方部28を覆うように装着されると、支持バー168,169がコイルバネ23,24の内孔に挿通される。これにより、各コイルバネ23,24が支持バー168,169で支持される。また、コイルバネ23,24の伸縮方向が支持バー168,169の延出方向、つまり、容器本体20の奥行き方向に規制される。
本実施形態では、コイルバネ23,24は、所謂圧縮コイルバネとして用いられる。つまり、スライダ27が前方部28に装着された状態で、コイルバネ23,24が圧縮されてバネ受け23A,24Aに収容される。したがって、スライダ27のスライド位置に関係なく、コイルバネ23,24は、常に、スライダ27を容器本体20の前面41から離れる方向へ付勢している。
摺動溝17は、図1に示されるように、上壁163が断面視で逆U字形状に形成される。図4に示されるように、摺動溝17に支持部115が挿入される。上壁163の裏面、つまり、容器本体20の上面43に対向する対向面に、突起片120が形成されている。突起片120によって摺動溝17の一部が狭められている。一方、摺動溝18は、下壁164が断面視でU字形状に形成される。図4に示されるように、摺動溝18に支持部116が挿入される。下壁164の裏面、つまり、容器本体20の下面44に対向する対向面に、突起片126が形成されている。突起片120によって摺動溝18の一部が狭められている。
スライダ27を容器本体20の前方部28に装着する過程において、支持部115が摺動溝17に挿入され、支持部116が摺動溝18に挿入される。支持部115が摺動溝17に挿入されると、突起片120と係合爪15とが当接する。そして、更に支持部115が挿入されると、係合爪15が突起片120を乗り越える。一旦、係合爪15が突起片120を乗り越えると、スライダ27を引き抜こうとしても、係合爪15の鉤部が突起片120に引っ掛かり、容易に抜き出せない構造となっている。なお、支持部116も、上述と同様にして摺動溝18に挿入される。
本実施形態では、スライダ27が前方部28に装着されると、コイルバネ23,24によってスライダ27が前面41から離れる方向へ付勢される。したがって、スライダ27に外力が加えられていない状態では、スライダ27は、図3(B)に示される第1位置に移動してその状態を維持する。なお、スライダ27は、突起片120と係合爪15,16とが引っ掛かることによって第1位置で止まる。一方、スライダ27に対して前壁161に直交方向の外力が加えられると、スライダ27はハウジング26に対して相対的に挿入方向30と反対方向へスライドされて、第1位置から図3(A)に示される第2位置へ姿勢変化する。
図1及び図4に示されるように、前壁161の上端近傍に開口110が設けられる。この開口110は、大気連通バルブ80に対応する位置に形成される。この開口110は、後述するオープナー200(図11参照)に設けられたガイド204やロッド202を挿通可能とするために設けられ、略円形に形成されている。
前壁161の下端近傍に、開口111が設けられる。この開口111は、インク供給バルブ90に対応する位置に形成されている。開口111は、インク供給バルブ90のキャップ95が挿通可能なサイズに形成され、スライダ27が第1位置(図3(B)参照)から第2位置(図3(A)参照)にスライドされると、そのスライド過程において、キャップ95が開口111から露出される。
上述の如く構成されたインクカートリッジ10には、後述するオープナー200(図11参照)を着脱可能に装着することができる。インクカートリッジ10は、インク室100内が低圧に維持された状態で記録装置に装着されると、記録装置側からインクが逆流して、記録ヘッドのノズルのメニスカスが破壊するおそれがある。したがって、インクカートリッジ10を記録装置に装着する前に、予め前面41に形成された貫通孔81を開放させておく必要がある。つまり、インク室100を大気に開放してインク室100の内部を大気圧と同じ圧力にしておく必要がある。本実施形態では、オープナー200の取り外し動作に伴って貫通孔81が開放されて、インク室100と外部とが連通する機構(連通機構)が採用されている。
以下、図11から図19の各図を参照しながら、オープナー200の構成とともに、オープナー200の取付機構、インク室100と外部とを連通させる連通機構について詳述する。ここに、図11は、オープナー200が取り付けられたインクカートリッジ10を示す側面図である。図12は、図11において、ハウジング26及びスライダ27が取り外された状態を示す側面図である。図13は、オープナー200の分解斜視図である。図14は、オープナー200の台座206の構成を示す図であり、(A)に正面図、(B)に底面図、(C)に側面図、(D)に(A)の切断線XIVD−XIVDの断面図が示されている。図15は、オープナー200のカバー208の構成を示す図であり、(A)に正面図、(B)に底面図、(C)に側面図、(D)に(A)の切断線XVD−XVDの断面図が示されている。図16は、オープナー200の操作部材210の構成を示す図であり、(A)に正面図、(B)に(A)の切断線XVIB−XVIBの断面図が示されている。図17は、オープナー200が取り付けられた状態のインクカートリッジ10の部分断面図である。図18は、操作部材210が押圧された状態のインクカートリッジ10の部分断面図である。図19は、オープナー200が取り外された状態のインクカートリッジ10の部分断面図である。
オープナー200は、容器本体20に係合した状態で大気連通バルブ80やインク供給バルブ90などを覆い、且つ、大気連通用の貫通孔81を開放させるためのものである。このオープナー200は、図13に示されるように、台座206と、カバー208と、操作部材210(本発明の第1部材の一例)と、軸212とにより構成されている。本実施形態では、本発明の係合解除部材は、台座206が具備する後述のアーム218,219(本発明の第2部材の一例)と、操作部材210とによって具現化される。
台座206は、図11及び図12に示されるように、容器本体20に直接に取り付けられるものである。この台座206は、フレーム50と同じ樹脂材料で構成されており、例えば、樹脂材料を射出成形することにより得られる。
図13及び図14に示されるように、台座206は、容器本体20に取り付けられる方向(以下「取付方向」と称する)224へ開放された中空状に形成されている。ここに、取付方向224は、大気連通バルブ80のロッド88の長手方向と同方向である。台座206において、容器本体20に対して取り付けられる部位が取付部214である。台座206は、取付部214から取付方向224へ向けて延出された2つのアーム218,219を有する。アーム218,219は、台座206の長手方向(図14の(A)の上下方向)に間隔をあけて配置される。本実施形態では、アーム218は、支持部115(図5参照)の係合爪15に対応する位置に配置される。また、アーム219は、検知窓140の係合爪144に対応する位置に配置される。
図14(D)に示されるように、アーム218は、断面視で略フック状に形成されている。アーム218の基端218Aと先端218Bとの間に、支持部226が設けられている。図14(C)に示されるように、支持部226は、台座206の内壁とアーム218とを連結している。これにより、台座206の内部において、アーム218が支持部226によって支持される。このようにアーム218が支持されているため、アーム218の基端218Aに力が作用していない状態では、容器本体20に対して係合可能な係合姿勢(図18の実線参照、本発明の第3姿勢に相当)となる。一方、アーム218の基端218Aに取付方向224の力が加えられると、アーム218が撓まされて、先端218Bが外方向(図14(D)の上方向)へ退避して、容器本体20に対する係合状態を解除する解除姿勢(図18の破線参照、本発明の第4姿勢に相当)となる。
一方、アーム219は、断面視で略フック状に形成されている。このアーム219は、基端219Aから先端219Bへ向けて、二股に分離されている。つまり、先端219B側において、アーム219は2本に分かれている。2本に分けられた2つの先端219Bそれぞれの位置が、検知窓140の2つの係合爪144それぞれに対応して配置される。アーム219の基端219Aと先端219Bとの間に、支持部228が設けられる。図14(C)に示されるように、支持部228は、台座206の内壁とアーム219とを連結している。これにより、台座206の内部において、アーム219が支持部228によって支持される。このようにアーム219が支持されているため、アーム219の基端219Aに力が作用していない状態では、容器本体20に対して係合可能な係合姿勢(図18の実線参照、本発明の第3姿勢に相当)となる。一方、アーム219の基端219Aに取付方向224の力が加えられると、アーム219が撓まされて、先端219Bが外方向(図14(D)の下方向)へ退避して、容器本体20に対する係合状態を解除する解除姿勢(図18の破線参照、本発明の第4姿勢に相当)となる。
アーム218の先端218Bには、部材115の係合爪15と係合可能な下向き鉤状の係合爪221が設けられる。アーム219の先端219Bには、検知窓140の係合爪144と係合可能な上向き鉤状の係合爪222が設けられる。図12に示されるように、係合爪221と係合爪15とが係合し、係合爪222と係合爪144とが係合することにより、台座206が容器本体20に取り付けられる。
取付部214には、略円筒状のガイド204が設けられる。ガイド204は、スライダ27の開口110に対応する位置に設けられている。台座206が容器本体20に取り付けられる際に、ガイド204が開口110に挿入される。なお、ガイド204の内孔に、後述する操作部材210のロッド244が挿通される。
台座206には、軸212を挿通するための軸受け232が設けられている。軸受け232と後述のカバー208の軸受け236それぞれの軸孔に軸212が挿通されることにより、台座206に対してカバー208が開閉自在に取り付けられる。
台座206の内部には、図14(C)に示されるように、操作部材210を収容するとともに該操作部材210をスライド可能に支持する収容部234が設けられている。この収容部234は、台座206の側壁が操作部材210の形状に対応する形状に形成されることによって構成されている。
図13及び図15に示されるように、カバー208には、台座206側の端部に係合爪238が設けられている。カバー208が台座206に対して閉じられると、係合爪238が台座206に設けられた掛け部225(図14(D)参照)に係合される。これにより、台座206に対してカバー208が係合された係合状態を保持することが可能となる。なお、カバー208の端部に設けられたレバー部240が押圧されると、レバー部240が撓まされることによって、係合爪238と掛け部225との係合状態が解除される。
カバー208には、操作部材210の押圧部246を収容するための収容部241が設けられている。カバー20が台座206に対して閉じられた状態で、収容部241に押圧部246が収容される。
操作部材210は、台座206の収容部234に収容されるものであり、図13及び図16に示されるように、操作部材210は、概ねキノコ形状に形成されており、ロッド244と押圧部246とに大別される。
ロッド244は、丸棒状の部材であり、その外径は、ガイド204の内孔よりも小径であって、その内孔に挿通可能な寸法に形成されている。ロッド244の一端に、押圧部246が設けられている。押圧部246には、2つの係合爪248が設けられている。
以下、図13を参照しながら、オープナー200の組み立て方法について説明する。
まず、台座206の軸受け232とカバー208の軸受け236とを合わせ、双方の軸孔に軸212を挿通させる。その後、操作部材210を収容部234に収容する。操作部材210を収容部234に収容する際は、まず、ロッド244をガイド204の内孔に挿通させる。そして、更にロッド204を押し込むことによって、台座206の側壁に形成された長孔229(図14(A)参照)に係合爪248を嵌め入れる。これにより、台座206に対して操作部材210が取り付けられる。
なお、係合爪248は、長孔229の長手方向のサイズよりも十分に小さく形成されている。そのため、操作部材210は、係合爪248が長孔229の一端から他端へ移動する範囲に限ってスライド可能である。言い換えれば、操作部材210は、台座206に対して姿勢変化可能に設けられている。具体的には、操作部材210は、台座206から押圧部246が突出した突出姿勢(本発明の第1姿勢に相当)と台座206に押圧部246が没入した没入姿勢(本発明の第2姿勢に相当)とに姿勢変化可能である。なお、オープナー200が容器本体20に取り付けられた状態において、上記突出姿勢は、操作部材210が大気連通バルブ80から最も離間する姿勢であり、上記没入姿勢は、ロッド244が大気連通バルブ80のバルブ本体87を押し込んで貫通孔81を開放する姿勢である。
操作部材210を収容部234に収容した後、カバー208を回動させて、台座206に対してカバー208を閉じて固定する。これにより、オープナー200の組立が完了する。
以下、図17を参照しながら、容器本体20にオープナー200を取り付ける方法について説明する。
まず、上述した第1工程及び第2工程を経てインク室100にインクが注入されたインクカートリッジ10において、インク室100を大気圧よりも低い圧力に保持した状態で、スライダ27を容器本体20の前面41側へ押し付けて第2位置( 図3(A))に変化させる(第3工程)。
次に、スライダ27が第2位置にある状態で、オープナー200を容器本体20に取り付ける(第4工程)。具体的には、上述の如く組み立てられたオープナー200の取付部214をスライダ27の前壁161に合わせる。このとき、ガイド204を開口110に対向配置させる。その状態で、前壁161に対して垂直な方向へオープナー200を押し込むと、まず、ガイド204が開口110に挿通される。これにより、スライダ27に対してオープナー200が位置決めされる。その後、更にオープナー200を押し込むと、アーム218の係合爪221が係合爪15に当接する。このとき、アーム218が弾性変形する。これにより、係合爪221が係合爪15を乗り越えて、図17に示されるように、係合爪221が係合爪15に係合する。また、アーム219の係合爪222が係合爪144に当接してアーム219が弾性変形する。これにより、係合爪222が係合爪144を乗り越えて、図17に示されるように、係合爪221が係合爪144に係合する。これにより、容器本体20に対してオープナー200が取り付けられる。
このようにオープナー200が取り付けられることによって、大気連通バルブ80がオープナー200で覆われて保護される。また、スライダ27を第2位置(図3(A)参照)に保持することができる。
以下、図17から図19を参照しながら、容器本体20に取り付けられたオープナー200を取り外す手法について説明する。
まず、図17に示される取付状態において、カバー208のレバー部240を押圧して、台座206に対するカバー208の係合状態を解除する。続いて、図18に示されるように、カバー208を回動させて操作部材210の押圧部246を露出させる。この状態で、押圧部246を押圧すると、ロッド244の先端がバルブ本体87のロッド88をインク室100側へ押し付ける。このとき、コイルバネ86の弾性力に抗して、バルブ本体87が閉塞姿勢(貫通孔81を閉塞する姿勢)から開放姿勢(貫通孔81を開放する姿勢)に変化する。これにより、容器本体20のインク室100と大気とが連通して、インク室100の圧力が大気圧となる。
更に、押圧部246が押圧されると、その押圧操作に伴って、アーム218の基端218A及びアーム219の基端219Aそれぞれに押圧部246が当接する。このとき、基端218Aに加えられた押圧力によってアーム218が撓まされる。これにより、先端218Bが外方向(図18の上方向)へ退避して、容器本体20に対する係合状態を解除する解除姿勢(図18の破線)となる。また、基端219Aに加えられた押圧力によってアーム219が撓まされる。これにより、先端219Bが外方向(図18の下方向)へ退避して、容器本体20に対する係合状態を解除する解除姿勢(図18の破線参照)となる。
その後、押圧部246を押圧させたままオープナー200を引き抜くことによって、容器本体20からオープナー200を取り外すことができる。
このように、本実施形態に係るインクカートリッジ10においては、操作部材210の押圧部246を操作することによって、容器本体20に対するオープナー200の係合状態を解除し、且つ、貫通孔81を開放することができる。これにより、インクカートリッジ10を記録装置に装着する前に貫通孔81を確実に開放することができる。その結果、インクカートリッジ10の装着時にインクの逆流が生じないため、記録ヘッドのノズルのメニスカスが安定する。
なお、上述した実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更することが可能である。