JP5269706B2 - 液体金属イオン銃の生産方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液体金属イオン源(Liquid Metal Ion Source:LMIS)に関し、特にGa液体金属イオン源のイオン放射(エミッション)を安定に、かつ、長寿命にする技術に関する。
液体金属イオン銃は、液体金属イオン源がその中に配置される真空容器と、真空容器から電気的に絶縁された液体金属イオン源とを有している。液体金属イオン銃には、液体金属イオン源の両端子間に電流を流すことができる高電圧ケーブルが接続されており、これにより液体金属イオン源に高電圧を供給し、適宜、液体金属イオン源に高電圧を印加することと(通電)加熱することができる。
液体金属イオン源と引出電極の間の電圧によりイオン放出量(エミッション電流)を調整することができる。放射したイオンは、ビーム制限アパーチャで受ける。
上記のGa液体金属イオン源のイオン放射を安定に維持することは重要であるが、そのためには、イオン放射により消費されたガリウム(以下「Ga」と称する。)を、リザーバから安定して供給する必要がある。エミッション電流が安定な状態は、Gaの消費とGaの供給とがバランスしている状態、すなわち、イオン放出された分のGaが供給される平衡状態である。
しかしながら、Gaに異物が混入すると、Gaの供給が阻害される場合があり、また、Gaの純度が変わると物性変化が生じ、Gaの消費と供給とのバランスが崩れる。このため、エミッションの安定性が悪くなる。
安定なエミッションを得るために、従来はGaに異物が混入しないように、引出電極を放射イオンビームが直接照射しない構造にしていた。また、放射イオンビームの照射を受ける電極のスパッタ粒子が液体金属イオン源のGaに付着してGaが汚染されてもGaの供給を妨げないようなGaの化合物金属、つまり、Gaの融点を上昇させない金属(Sn,In)により、ビーム照射を受ける電極(ビーム制限アパーチャ)を構成していた。
また、LMISに再吸着するスパッタリング粒子(汚染の原因になる粒子)数は、エミッタとビーム制限アパーチャとの間の距離の2乗に比例して減少するため、エミッタとビーム制限(GUN)アパーチャとの距離を離していた。
例えば特許文献1では、イオンビームによって照射される部分を、低融点金属を浸透させた焼結体により構成する技術が記載されている。特許文献2では、液体金属イオン源として一般的なGaが用いられている場合において、同種のGaを保護用絞り素材に用いられる技術が記載されている。また、特許文献3には、エミッタ電極の表面またはその全部をエミッタ電極の先端に設けられた溶融金属または合金を構成する金属の1種または2種以上で構成することが記載されている。
特許第3190395号公報 特開2001−160369号公報 特開平4−14455号公報
しかしながら、上記各先行技術においてはアパーチャの構成材(母材)の限定に関する言及がない。従って、イオン照射を受けてビーム制限アパーチャの構成材(母材)が露出した場合、母材がスパッタされて液体金属源に混入することによるエミッション安定性の変化については考慮されていない。
上記技術を用いても、数百時間以上の使用が望ましい液体金属イオン源において、エミッションを長時間安定に維持し不安定になったエミッションを安定な状態に戻すことは難しい。つまり、エミッションが不安定になった場合の回復の難易性について考慮されていない。
加えて、大電流かつ高電流密度の加工ビームの集束イオンビーム装置を実現しようとすると、エミッタとビーム制限アパーチャとの距離をあまり長くすることは好ましくない。しかしながら、汚染とビーム制限アパーチャとの寿命を考えると、エミッタとビーム制限アパーチャの距離を長くした方が良く、集束イオンビーム装置の性能を良くすることと、エミッタの汚染を少なくすることとは、相反する関係にあることがわかる。
ビーム制限アパーチャは、イオン源の全エミッション電流(2〜3μA)を受ける構造のため、イオン照射時間(エミッション電流×使用時間)が増えるに従ってビーム制限アパーチャがスパッタリングされて薄くなり開口が拡がり始める。開口が拡がり始めると、ビーム制限アパーチャ下流のビーム電流が増加するのと合わせて下部電極が露出してスパッタリング粒子の中にビーム制限アパーチャ以外の下部電極からの粒子が含まれるようになる。下部電極は、ビーム制限アパーチャと構成材が異なることのが一般的であり、スパッタリング粒子がエミッタに付着すると下部電極からのスパッタリング粒子は、Gaに溶けず、また、溶けても融点が上昇してGaの供給が阻害される。
また、ビーム制限アパーチャをInやSnなどの金属により構成した場合であっても、スパッタリング粒子がエミッタに付着してGaの純度が落ちるという問題がある。InやSnなどの金属が混入しても、それが10wt%程度までであれば、Gaの融点を下げるが、長時間使用してSn、Inが蓄積された結果としてGaの純度が落ち物理特性が変化すると、Gaの供給状態が変わり、エミッション電流が変化する。
以下に、一般的な液体金属イオン銃の問題点について図3を参照しつつより具体的に説明する。図3に示すように、イオン銃は、Ga液体金属イオン源2−1と、イオンを放出させるための引出電極2−2と、ビーム制限アパーチャ2−3とを有しており、引出電極2−2はSUS製で開口φ3mm、開口側壁の厚さ1mm、エミッタ先端から引出電極2−2までの距離は0.8mmであり、液体金属イオン源2−1からの放射イオンビーム7が引出電極2−2に直接照射しない構造を有する。引出電極2−2にはビーム制限(GUN)アパーチャ2−3が内蔵されており、φ0.3mmの開口2−31が形成されており、厚さ3mmのSn製のアパーチャを引出電極2−2上面から5mm下方に配置している。
尚、ビーム制限アパーチャ2−3は、ビーム照射を制限するための絞りとして機能する。引出電極2−2は、エミッタと引出電極の間(エミッタと引出電極上面の空間)に電圧を与えてイオンを放射させる機能を有する。引出電極2−2の中にビーム制限アパーチャ2−3を組み込んだ構造を有しており、両者は同電位であるが役割が異なる。
Ga液体金属イオン源2−1と引出電極2−2の間に7kV程度の電圧差を与えるとGa液体金属イオン源2−1からGa+イオンが放出され、Sn製ビーム制限(GUN)アパーチャ2−3上に照射される。Sn製ビーム制限アパーチャ2−3は、Ga+イオンでスパッタされSn原子(スパッタ粒子11)が周りに飛び散り、その一部は飛散してGa液体金属イオン源2−1に吸着する。
また、ビーム制限(GUN)アパーチャ2−3は、Ga+イオンによるスパッタリングが進むと、その厚さが薄くなり開口径が大きくなるためビーム制限アパーチャ2−3は寿命になる。ビーム制限アパーチャ2−3の寿命を越えて使用すると、ビーム制限アパーチャ2−3の下部電極が露出し、Ga+イオンによるスパッタリングにより電極材の構成原子が周りに飛散し、その一部はGa液体金属イオン源2−1に吸着する。この吸着物は、Gaの融点を上昇させ、あるいは、直接Gaの供給流路を阻害してエミッションを不安定にする。ビーム制限アパーチャがSnの場合は、Snのスパッタ粒子はGaと化合物を作り、Gaの中に溶け込み、約10wt%までは融点30℃以下になるため、Ga液体金属イオン源に吸着したSnはGaに溶解し、その溶質の濃度によりGaの表面張力、融点などの物理特性が変化してしまう。
イオンの安定放射には、放射に見合うGaの供給行われ、これが時間的に変化しないことが望ましいが、Gaの物理特性が変化すると平衡点が変化してしまうためエミッション電流も変化する。また、Gaの流路が塞がったりしGaの供給量が変化した場合にもエミッション電流が変化する。従って、図3に示す一般的な構成例では安定なエミッションを長時間、例えば数100時間にわたって得ることが困難であった。
以上に説明した問題点に鑑み本発明の目的について以下に述べる通りである。すなわち、エミッタとビーム制限アパーチャとの距離が短くても、エミッションを長時間安定にすること。加えて、ビーム照射によるスパッタリングを受けてもビーム制限アパーチャの寿命を延ばすこと。さらに、液体金属イオン源のエミッションが不安定になった場合に、再現性良くエミッションが安定な状態に回復させ、液体金属イオン源を長期間使用することにより寿命を長くすること。また、集束イオンビーム装置のビーム調整を必要としない安定性のある液体金属イオン銃を提供することである。
本発明は、液体金属イオン源と該液体金属イオン源からの放射イオンの照射を受けるビーム制限アパーチャを搭載した液体金属イオン銃の生産方法であって、前記ビーム制限アパーチャを、W(タングステン)の金属材により形成し、酸化のないW表面にGaの塊を置き、前記ビーム制限アパーチャにGaイオンを照射し、照射領域内の前記Gaの塊を溶解させ、前記ビーム制限アパーチャの照射領域内の表面にGaを拡散させる、ことを特徴とする液体金属イオン銃の生産方法に関する。
この場合において、前記ビーム制限アパーチャを次亜塩素酸Na溶液に浸し、酸化のないW表面を得てもよい。また、前記ビーム制限アパーチャを電研磨し、表面の汚れが落ちた前記ビーム制限アパーチャを純水で超音波洗浄し、酸化のないW表面を得てもよい。
本発明によれば、液体金属イオン源を備えた集束イオンビーム装置などの大電流ビームによる加工において、加工周辺にイオン照射のダメージのない加工ができる。本発明の液体金属イン銃によれば、数百時間以上の使用を目的とする液体金属イオン源において、エミッションを長時間安定に維持する点と不安定になったエミッションを安定な状態に確実に戻す点、つまり、エミッション安定性の回復の容易性と再現性が優れている。
本発明の一実施の形態によるイオンビーム装置の構成例を示す図である。 Ga液体金属イオン源の構成を示す図である。 一般的な液体金属イオン銃の構成を示す図である。 図4(a),(b)は、本発明の一実施の形態による液体金属イオン銃であって、Ga溜りを設けた構成例を示す図である。 図5(a)から(c)までは、本発明の一実施の形態によるビーム制限アパーチャの構成例を示す図である。 単原子固体撮像装置のスパッタリング収量の入射角度依存性の例を示す図である。 図7(a)から(c)までは、本発明の一実施の形態によるビーム制限アパーチャの構成例を示す図である。
本発明の一実施の形態による液体金属イオン銃について図面を参照しつつ説明を行う。本発明に係る液体イオン銃は、液体金属イオン源とイオン源からの放射イオンの照射を受けるビーム制限アパーチャを搭載した液体金属イオン銃に関する。
まず、本発明の一実施の形態によるイオン銃を搭載した装置の全体構成について図1を参照しつつ説明を行う。図1は、本発明の一実施の形態によるGa液体金属イオン銃を用いたイオンビーム装置の概略構成図である。図1において。符号1はイオンビーム装置、符号2はイオン銃であって、このうち符号2−1はイオン源、2−2は引出電極、2−3はビーム制限アパーチャ、2−4はアース電極を示す。符号3は真空容器、4は真空排気装置、5はイオンポンプ、6は高電圧電源部であって、このうち符号6−1はイオン加速用の高電圧電源であり、符号6−1a、6−2aは高電圧接続部、符号6−2はイオン引出用の高電圧電源、符号6−3a、6−3bは高電圧ケーブル、符号6−4はイオン源の加熱電源、符号7は照射イオンビーム、符号8は真空容器3と真空排気装置4との間に設けられたゲートバルブである。
本装置の主な動作(作用)について説明する。引出電極2−2によってイオン源(エミッタ) 2−1から引き出されて発生したイオンビームは、ビーム制限アパーチャ2−3においてビームの拡がりが制限されつつこれを通過し、通過したビームはアース電極2−4で加速され下流に照射される。上記構成に加えて、イオンビーム照射試料からの信号を検出する信号検出系と照射イオンビームとをレンズで細く絞り、ビームを偏向制御して試料に照射する機能を付加すると加工観察装置を形成することができる。
次に、LMISの構成と原理について説明する。図2は、液体金属イオン源の構成を示す図である。図2に示すように、液体金属イオン源、例えば、Ga液体金属イオン源2−1は、先端が円錐状の針状エミッタ2−11と、Gaを溜めるリザーバ2−12と、リザーバ2−12内のGa及び針状エミッタ2−11を通電加熱するフィラメント2−13と、フィラメント2−13に通電する端子2−14を固定する碍子ベース2−15とを有している。
針状エミッタ2−11とリザーバ2−12とフィラメント2−13の材質は、タングステン(W)であり、リザーバ2−12内にはGaが充填されている。このように、一般的なGa液体金属イオン源の構成材料は、WとGaと碍子である。
イオン放射に関する動作原理は、針状エミッタの先端が円錐状であるため先端ほど軸方向の電界勾配が強くなる。針状エミッタの先端付近のGaは、電界応力により、電界の強いエミッタ先端に供給され点頂点の円錐状になる。これにより液体金属の頂点はV/Å程度の強電界になるため、イオン化ポテンシャルが下がり電界蒸発を起こしたり電子を失ってイオン化し易くなったりする。従って、V/Å程度の強電界ではイオンが真空中に飛び出しイオン流が発生する。
イオン放出に伴い、Gaイオンの放出量に見合うGaを供給する必要があるが、Gaは流体的にふるまうため圧力勾配が生じ、連続流体の表層流が生じる。この流れは、表面張力に起因するポアゼイユ流であるため表面張力と粘性の変化で流量が変化する。
一般に、純粋なGaは清浄なタングステンに対し濡れ性が良く、例えば、タングステンに細い溝があると表面張力による毛細管現象により溝を通して拡散する。また、一般に針状エミッタは、W材で軸方向に細い縦溝がある材料を用いており、これによりリザーバ内のGaを表面張力の毛細管現象で上記の溝を通して拡散させ、エミッタ先端付近まで供給することができる。安定なエミッションは、イオン放出に見合うGaの供給を受けるが、表面張力が変化すると供給量が変わり、エミッションが変化する。
本実施の形態による液体金属イオン銃においては、以下に説明するようにGa溜り(リザーバを第1のGa供給源とすると、これは第2のGa供給源と称することもできる)を設ける。この構成に関して図4(a)を参照しつつ説明を行う。図4(a)に示すように、Ga液体金属イオン源2−1のエミッタ2−11は、構成材料として母材のW12と、表面を覆うイオン源材料のGa9を含んで構成されている。ここで、スパッタ粒子11がGa液体金属イオン源2−1の構成材(W,Ga)となるようにすることにより、スパッタ粒子11がGa液体金属イオン源2−1に付着した場合でもGa9の物性を変えるような汚染が生じない。
すなわち、ビーム制限(GUN)アパーチャ2−3としてWアパーチャを用い、ビーム照射領域7−1に掛かる部分の表面に約25mgのGa(融点30℃)を置いた(Ga溜り10)。このビーム制限(GUN)アパーチャ2−3にイオン照射すると、照射領域7−1のGaが溶融してWアパーチャのビーム照射領域の表面にGaが拡散する(図4(b)参照)。従って、イオン照射に伴ってGaの溶融および照射領域への拡散が自発的に生じるため、予めWアパーチャにGaを塗布しなくても良い。本実施の形態によるビーム制限アパーチャを、一般的なSn製ビーム制限アパーチャから上記のビーム制限アパーチャに置き換えたところ、安定なエミッション状態を1200時間(h)に渡って得ることができた。
次に液体金属イオン銃の開口について説明する。液体金属イオン源として一般的なガリウムを用いる場合において、Ga液体金属イオン銃のエミッタ先端とビーム制限アパーチャまでの距離L(7mm)とし、Ga溜りのGaの質量m(25mg)と、Gaの密度ρ(5.93g/cm)とし、イオン放射角α(20°)とすると、Ga溜りのあるWビーム制限アパーチャの開口径(半径)rは、
r≧m/ρπ(Lα)
の関係で表され、この場合、開口径(半径)rは0.23mmとなる。
上記の式は、Gaの厚みの断面が開口部で塞がる(図5(a)参照)場合、Gaが開口から厚さを直径とする半円上にはみ出して対向部において接触する(図5(b)参照)ためであり、上記条件では、実際に開口が直径φ0.3では、直ちに開口が詰まるが、φ0.6では詰まりにくいことがわかっている(図5(c)参照)。そこで、開口φ0.6mmのGa溜りのあるWビーム制限アパーチャを用いた。
次に、液体金属イオン銃の角度依存性について説明する。イオンによる加工速度(スパッタリング収量)には、入射角依存性がある。スパッタリング収量の入射角依存性に関する特性例を図6に示す。図6に示すように、入射角θが大きくなるとカスケードがより表面側で発生するため、ジグムンドの理論が示すようにcos-fθ(f=1〜2)で増加する。入射角θが大きくなると、表面にある隣接する原子の遮蔽効果により衝突係数が制限され表面を通過しにくくなり、最後には全ての入射イオンは殆どエネルギーを固体に付与することなく反射され、収量が急激に減少する。
また、スパッタ現象は、結晶粒の結晶方位の違いでスパッタリング速度が違うため結晶粒を起点とした凹凸できる。この凹凸とイオン加工速度の入射角依存性のため表面の凹凸が益々助長され加工速度を速くするためビーム制限アパーチャの寿命が短くなる。しかしながら、Wの結晶粒径は1μm程度で、Snの結晶粒径は6〜10μmである。このため、WはSnに比べ凹凸ができなく、また、スパッタリングイードも小さい。さらに、本発明のGa溜りのあるWビーム制限アパーチャを用いると1μm程度の凹凸が形成された場合でも、表面がGaで濡れるために表面は鏡面状になり、ビーム制限アパーチャを使い込んでもスパッタ速度の変化が少ない。
その上、表面がGaで覆われているため、Gaのスパッタリングが起きてもWのスパッタリングは起きにくい。ビーム制限アパーチャはGaが枯れることが無ければWアパーチャがスパッタリングを受けることが無いため、Wアパーチャが薄くても所望の寿命を得ることができる。
次に、液体金属イオン銃の実装状態について説明する。Ga溜り10dは、開口2−31を有するWビーム制限アパーチャ2−3の表面にGaの塊を置いてGaの塊を溶かし、Wビーム制限アパーチャを−20℃の加冷却雰囲気にして固化したものを用いた(図7(a)参照)。また、イオン照射領域に掛からないように配置されたリング状のW材やW焼結体9にGa10eを塗布し、ビーム制限アパーチャ2−3の上に置いたもの、或いは、Gaをリング状のW材やW焼結体9とWビーム制限アパーチャ2−3との間にサンドイッチした構造のものでも良い(図7(b))。或いは、Ga溜り10fが形成されやすいように、開口2−31から離れた領域に、Wビーム制限アパーチャ2−3の表面に凹部や凹溝2−3−1などを形成することにより、Gaが溶融し流動性を持った場合でも、所定の位置に液状Gaをためておくことも可能である。
WとGaとは濡れ性が良いが、Wが酸化していると濡れにくい。酸化のない清浄なW表面を得るため、Wビーム制限アパーチャを次亜塩素酸Na溶液に1時間浸漬した。あるいは、NaOHなどの電解液を使った電研磨で表面の汚れを落としてから純水で超音波洗浄を行った。
Ga溜りのあるWビーム制限アパーチャを用いたGa液体金属イオン銃を装置に搭載することにより、イオン銃の到達真空度を10-7Paで動作させたところ、引出電圧7kV、エミッション2.4μAの状態を連続して120時間保持することができ、その間、フラッシングやエミッション制御などのメンテナンスを行うことなくビームフォーカス状の変化を抑制することができた。
以上に説明したように、本実施の形態によるWビーム制限アパーチャを用いると、ビーム制限アパーチャからスパッタリングされたGaやW粒子がエミッタに付着しても液体金属イオン源のGaを汚染することにはならないため、Ga液体金属イオン源の近傍に、ビーム制限アパーチャを置いた場合でも安定なエミッション状態を長時間維持することができる。
また、本実施の形態によるWビーム制限アパーチャによれば、基本動作としてGaでイオン照射領域が濡れているために、Wの露出が無く、イオン照射によるスパッタリングはGaが主であり、液体金属イオン源にスパッタリング粒子が吸着しても汚染にならないためエミッションの変化が抑制される。さらに、長時間イオン照射を受けてビーム制限アパーチャの構成材(W母材)が露出した場合、W母材がスパッタされる場合もある。この場合にはWがスパッタリングされてGa液体金属源に付着混入してもエミッションが減少するが、WとGaの濡れ性が良いためフラッシング(エミッタを一時的に加熱)によりWはGaで覆われ回復が簡単である。
この他に、Ga液体金属イオン源の汚染としてGaの酸化物も考えられるが、動作真空度が10-6Paであれば、数日に渡ってエミッションが安定しており、同時にGaの酸化も進むため酸化の進行につれてエミッションが減少する。しかしながら、酸化Gaは700℃程度で30秒間程度のフラッシング(加熱)を行うことにより再現性が良くエミッション状態(エミッション電流と必要な引出電圧と安定性)を回復させることができる。
また、動作真空度が10-7Paオーダであれば、数日間にわたって引出電圧などの放射条件を変えることなくエミッションが安定であるため、イオン光学系のレンズ作用が変化しない。このため、数日間フォーカス調整を行わなくてもイオン加工することができ、装置の安定性と操作性の簡便さとが格段に向上する。
ビーム制限アパーチャのビーム照射領域に一部でもGa溜りがあればビーム制限アパーチャのビーム照射領域に自発的にGaが拡散して濡れる。このため、ビーム制限アパーチャのビーム照射領域は凹凸が存在しないGaの鏡面状になるため、スパッタリングの角度依存性が最低に抑えられ寿命が延びる。さらに、ビーム制限アパーチャの表面ではGaのスパッタリングが主であり、Wのスパッタリングは殆ど無くなるため、ビーム制限アパーチャが薄くても長寿命にできる。
また、薄くするとビーム制限アパーチャの側壁で散乱するビームの数が減るのでエネルギーと方向が整ったビームをビーム制限アパーチャの下流に通すことができる。従って、集束イオンビーム装置の大電流ビームによる加工において、加工周辺にイオン照射のダメージのない加工ができる。特に、本実施の形態によるWビーム制限アパーチャを用いた液体金属イン銃によれば、数百時間以上の使用を目的とする液体金属イオン源において、エミッションを長時間安定に維持する点と不安定になったエミッションを安定な状態に確実に戻す点、つまり、エミッション安定性の回復の容易性と再現性が優れている。
本発明は、長時間の加工が必要な場合に特に有効である。また、メンテナンスが容易なため、大規模な生産ラインにおいても利用性が高い。
1…イオンビーム装置、2…イオン銃、2−1…Ga液体金属イオン源、2−11…エミッタ母材、2−12…リザーバ、2−13…フィラメント、2−14…端子、2−15…ベース、2−2…引出電極、2−21…開口、2−3…ビーム制限アパーチャ、2−31…開口、2−4…アース電極、3…真空容器、4…真空排気装置、5…イオンポンプ、6…高電圧電源、6−1…加速電源、6−1a…高電圧接続部、6−2…引出電源、6−2a…高電圧接続部、6−3a…高電圧ケーブル、6−4…加熱電源、7…照射イオンビーム、7−1…ビーム照射領域、8…ゲートバルブ、9…エミッタ表面を覆うGa、10…Ga溜り、11…スパッタ粒子。

Claims (3)

  1. 液体金属イオン源と該液体金属イオン源からの放射イオンの照射を受けるビーム制限アパーチャを搭載した液体金属イオン銃の生産方法であって、
    前記ビーム制限アパーチャを、W(タングステン)の金属材により形成し、
    酸化のないW表面にGaの塊を置き、
    前記ビーム制限アパーチャにGaイオンを照射し、照射領域内の前記Gaの塊を溶解させ、前記ビーム制限アパーチャの照射領域内の表面にGaを拡散させる、
    ことを特徴とする液体金属イオン銃の生産方法。
  2. 請求項1記載の液体金属イオン銃の生産方法であって、
    前記ビーム制限アパーチャを次亜塩素酸Na溶液に浸し、酸化のないW表面を得ることを特徴とする液体金属イオン銃の生産方法。
  3. 請求項1記載の液体金属イオン銃の生産方法であって、
    前記ビーム制限アパーチャを電研磨し、表面の汚れが落ちた前記ビーム制限アパーチャを純水で超音波洗浄し、酸化のないW表面を得ることを特徴とする液体金属イオン銃の生産方法。
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