JP5269475B2 - 制震デバイス - Google Patents

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Description

本発明は、鉄骨構造或いは木構造の建家の構造枠に取り付けられ、建家の制震機能を有する制震デバイスに関するものである。
比較的小規模の建家は一般に軽量であって、弾性体による振動の吸収が難しく、従来から様々な材料やその作用機構が試みられており、それらの従来例がたとえば特許文献1、非特許文献1、2に記載されている。
特開2006−307527号公報 カタログ類 「i2s2 CORPORATED PROFILE」 株式会社i2s2 平成15年11月発行 騒音制御誌 Vol.23 No.6 社団法人 日本騒音制御工学会 1999年12月発行(第398頁左欄)
特許文献1には、略Ω形状を呈した金属製の弾性湾曲ばねを用いる技術が記載されており、載荷時において三次元方向の振動にも適応するように、弾性湾曲ばねの湾曲部の領域を含み、かつ立上り面の上下の湾曲部間を繋ぐ形で縦方向にスリットを設ける旨記載されている。
このスリットを有する弾性湾曲ばねの小規模実験では所定の成果が得られたが、静的実大実験では屈曲部の付け根に変形が繰返し集中して、図11に示すように屈曲部12の付け根が破断しやすいという問題が確認された。
本発明は、動的振動実験においても安定した変形と震動吸収性能を有する制震デバイスを提供することを目的する。
本発明においては、前記課題を解決するため、建家構造枠の対向する縦材の中間部に取り付けられる低降伏点鋼からなる帯状鋼板製の制震素子と、建家構造枠の隅角部とを斜材で対角線上に固定してなる制震デバイスであって、前記制震素子は、建家構造枠の縦材に取り付けるための両端の枠取付面部と、各枠取付面部から建家構造枠の内側に向けて折曲げてなる、第1曲げ部を経て形成される一対の立上り部と、立上り部から枠取付面部に平行に折曲げてなる、第2曲げ部を経て形成される上辺面部と、上辺面部から一体に立上がり形成され、斜材の一端が取り付けられる斜材取付板と、を有した形状からなり、立上り部において前記両曲げ部の曲げ起点近傍の少なくとも一方に貫通孔が穿設されていることを特徴とする制震デバイスとした。
本発明は、従来技術とは異なり弾性ばねの反発力を利用せず、低降伏点鋼板製の上記制震デバイス(制震素子)の塑性曲げ変形によって、建家構造枠に作用する地震力を吸収するものである。
「特許文献1」の技術は、鋼板、ばね鋼板製のΩ型形状断面を有する金属性弾性ばねの反発力を利用した建家の緩衝装置であって、上下の屈曲面には縦長スリットが切刻されて三次元方向の加力に対して有効に作用する。
ばねの作用は錘とばねの振動系の原理に支配されており、錘(建物の重量)が軽いとばねの力を弱く、柔らかくしないとばねが効かず、地震時の震動を和らげることができない。また、ばねを柔らかくしたうえ、縦長スリットが切刻されているので、金属性弾性ばねの横断面の断面欠損のため、図11に示すように屈曲部12の有害変形によるヘタリが原因で破断・圧壊してしまうことがある。これは金属性弾性ばねの建家の緩衝による制震の限界でもある。
このような従来技術の課題を解決するため、本発明においては従来技術に代えて、低降伏点鋼帯状板製の略溝型形状の弾塑性型鋼板ダンパー(「非特許文献2」参照)による制震デバイスを新たに開発するとともに、水平力によって横断面に発生する曲げモーメントを検討した図9(a)、(b)の曲げモーメント図をもとに、前記課題を解決するのに最適な断面形を求めた。
図9(a)、(b)から、水平加力によってΩ形状或いはハット形鋼形状等の弾性湾曲ばねの溝形断面に発生する曲げモーメントは、立上り部の上下の屈曲部に集中しており、立上り部の中央付近では殆ど発生していないことが判る。
本発明においては、従来技術の縦長スリットを切刻した弾性ばねの反発力ではなく、低降伏点鋼の塑性曲げ変形性を応用した制震素子を開発し、上記曲げモーメントの検討をもとに、最も曲げモーメントの大きい曲げ部が圧壊するのを避けて、前記制震素子の立上り部の屈曲部の曲げ起点近傍に貫通孔を穿設した。該貫通孔は例えば図1の立上げ部9において、第1曲げ部11の曲げ起点11A或いは第2曲げ部12の第2曲げ起点12Aの少なくとも一方の近傍にピンポイントとして穿設することにより、この部分の横断面積を緩やかに減らして曲げ変形を誘導し、曲げ応力の集中による各曲げ部の有害な変形を防止すると共に、地震動を効果的に吸収させることができる。
また本発明においては、前記制震素子は、前記第1曲げ部と第2曲げ部との間に前記枠取付面部に対し傾斜した平面部が形成されて、側面視の全体形状が略Ω形状を呈していることを特徴とする制震デバイスとした。
この制震デバイスによれば、略Ω形状を呈した制震素子において、低降伏点鋼を予め湾曲させておくことにより一様な曲げ歪みが得られ、大きなエネルギー吸収機能を持たせることができる。
また本発明においては、前記制震素子は、前記第1曲げ部と第2曲げ部との間に前記枠取付面部と直交する平面部が形成されて、側面視の全体形状がハット形鋼形状を呈していることを特徴とする制震デバイスとした。
この制震デバイスによれば、ハット形鋼形状を呈するように前記第1曲げ部と第2曲げ部により予め低降伏点鋼を曲げ加工しておくことにより大きなエネルギー吸収機能を持たせることができる。
また本発明においては、前記制震素子の枠取付面部の下面に取り付けられるベース板と、該ベース板の長手方向に延設して建家構造枠に取り付けられるせん断補強ベース板とを介設したことを特徴とする制震デバイスとした。
制震素子の枠取付面部を建家構造枠にボルトを用いて直接固定した場合、地震により制震素子が長手方向に摺動した際、ボルトが緩んで制震デバイスの剛性が低下してエネルギー吸収性能が減少する。また、枠取付面部が建家構造枠から浮き上がり、枠取付面部寄りの第1曲げ部の曲げ起点辺りの破断を誘発するおそれがある。
これに対して、ベース板およびせん断補強ベース板を介設したことにより、前記ボルトの緩みを制限して、全体の取付剛性が増し、地震エネルギーの吸収効率がさらに向上し、加震時の応答加速度の低減が可能となる。
また本発明においては、前記斜材は鋼管からなり、その中間部以外の箇所の鋼管を切断して中抜き部を設け、切断面に対向した一組のナットと逆ねじナットを溶着したうえ、両者をターンバックル式に緊結用グリップを設けた長ボルトで連結することを特徴とする制震デバイスとした。
この制震デバイスによれば、斜材の取付けの際の緊張強度調節が容易なものとなり、ボルトのアローアンスを減少させることができるので、取付け剛性が増し、地震エネルギーの吸収効率が向上する。
本発明によれば、制震デバイスの摺動による地震エネルギーの吸収性能が大きいので、地震時の建家構造枠の変形を抑制し、制震対策の難しい木造建家にも適用できるローコストの制震デバイスを可能にした。
図5は本発明に係る制震デバイス1と建家構造枠2とのレイアウト例を示す側面図である。建家構造枠2は、例えば低層家屋の壁体に使用される木造軸組であって、各一対の縦材3、横材4から構成された矩形枠からなる。具体的には縦材3は柱などであり、横材4は梁や土台などである。
制震デバイス1は、建家構造枠2の縦材3の中間部と斜材5との間に介設される帯状鋼板製の制震素子6を備えた構成からなる。図5では、建家構造枠2の各縦材3の中間部に制震素子6を取り付けるとともに、建家構造枠2の隅角部に固定金具7を取り付け、4本の斜材5を制震素子6と固定金具7とに掛け渡した態様を示している。つまり、斜材は、建家構造枠内の上部と下部においてそれぞれX字状に交差するように架設される。固定金具7としては、一般に斜材5の端部を釘打ちや螺子締結などによって直接固定する公知の金具が適用される。
なお図示はしないが、建家構造枠2に対する制震デバイス1のレイアウト変形例としては、左右の縦材2の中間部に加えて上下の横材4の中間部にも制震素子6を取り付けて、4本の斜材5をこれら4つの制震素子6に掛け渡して、建家構造枠2内で菱形状となるように架設することもできる。
斜材5は、例えば鋼管からなり、その中間部以外の箇所を切断して夫々の切断面に螺切方向を逆にした一組のナットを溶着し、これらの間を長ボルトで連結し、ボルトに緊結用のグリップ部材をもうけてなるいわゆるターンバックル式のものである。
以下、制震素子6について2つの実施例を示して説明する。
「第1実施例」
図1は第1実施例の制震素子6を用いた場合の制震デバイス1の要部斜視図である。
制震素子6は、帯状鋼板の長手方向の両端部を平坦としたうえで、中央部を突状に曲げてその頂部を平坦に形成したいわゆる溝形の形状を呈しており、具体的には、建家構造枠2の縦材3に取り付けられる互いに平行な両端の枠取付面部8と、各枠取付面部8から第1曲げ部11を経て建家構造枠2の内側に向けて折曲げられた一対の立上り部9と、各立上り部9から第2曲げ部12を経て枠取付面部8と平行に折り曲げられる中央の上辺面部10と、この上辺面部10から一体に立ち上げられ、斜材5の一端が取り付けられる斜材取付板16と、を有した形状からなる。
第1実施例の制震素子6は、帯状鋼を折曲げる際のR部分をなす第1曲げ部11と第2曲げ部12との間に枠取付面部8に対し傾斜した平面部13が形成されて、側面視の全体形状が略Ω形状となっている。第1曲げ部11、第2曲げ部12の最小曲げ半径は鋼板の略板厚寸法程度であるが、それ以上の曲げ半径でもよい。
枠取付面部8は例えば複数のスクリューボルト14などにより建家構造枠2の縦材3に取り付けられる。この際、枠取付面部8を建家構造枠2に直接取り付けてもよいが、枠取付面部8と建家構造枠2との間に、制震素子6の長手方向に延設されるベース板15を介設することができる。これは、制震デバイス1を縦材3に装着した場合の枠取付面部8を補強して、縦材3の剛性をさらに高めるためのものである。
木材は材質が柔らかいため、これに硬度の高い鋼製の制震デバイス1を取り付けると、スクリューボルト14を強固に締め付けても加力時に枠取付面部8が木材にめり込み、スクリューボルト14に繰返し加力がかかると緩みが生じて制震デバイス1の剛性が低下する。
いま、ベース板15を介設することなく、厚さ6ミリの低降伏点鋼帯鋼板製の制震素子6に水平加力した場合、荷重とスクリューボルト14の引抜き力の関係を計算によって求めると図10のような関係が得られる。図10においてグラフの水平部は、スクリューボルト14の引抜き力がそれぞれ最大となって横に滑った状況を示し、もはやスクリューボルト14による制震デバイス1の保持力が失われた状態を示している。
この問題に対して、枠取付面部8の下面に矩形平板状の鋼板からなるベース板15を固着すれば、加力時の枠取付面部8のめり込みが防止され、さらにベース板15の延長として、ベース板15の長手方向両縁部に当接するようにせん断補強ベース板15´を介設すれば、スクリューボルト14の緩みを制限して、全体の取付剛性が増し、地震エネルギの吸収効率がさらに向上し、加震時の応答加速度の低減が可能となる。ベース板15は、制震素子6の枠取付面部8に溶接等により予め固設される場合の他に、例えばベース板15を制震素子6と別体にしておき、螺子18でベース板15を縦材3に取り付けたうえで複数のスクリューボルト14により枠取付面部8と共締めすることで、枠取付面部8と建家構造枠2との間に介設させる構造とすることもできる。さらに、せん断補強ベース板15´も矩形平板状の鋼板からなり、螺子などを用いて縦材3に締結固定される。
なお、本実施例の制震素子6では、第1曲げ部11の根元辺りで幅方向に関して段差を設け、立上り部9および上辺面部10の幅寸法に対して枠取付面部8の幅寸法を大きくしている。これは主に建家構造枠2に対する枠取付面部8の取付面積を大きくとることによる。場合によっては制震素子6の長手方向全体にわたり一定幅寸法にしてもよい。
上辺面部10の長手方向中央には、上辺面部10と直交して立ち上がり、制震素子6の長手方向に延設される斜材取付板16が溶接等により固設されている。斜材取付板16には、斜材5を固定する螺子、釘等を通す孔16Aが穿設されており、上方側、下方側に取り付けられる各斜材5の一端が斜材取付板16にあてがわれ、図示しない螺子等により固定される。
立上り部9において折曲げ部の曲げ起点近傍の少なくとも一方には、すなわち、立上り部9寄りに位置する第1曲げ部11の第1曲げ起点11Aおよび第2曲げ部12の第2曲げ起点12Aの少なくとも一方の近傍には貫通孔17が穿設される。図1では、第1曲げ起点11Aと第2曲げ起点12Aの近傍の両方に貫通孔17を穿設した場合を示している。場合によっては、第1曲げ部11の第1曲げ起点11Aの近傍のみに、或いは、第2曲げ部12の第2曲げ起点12Aの近傍のみに貫通孔17を穿設してもよい。貫通孔17は、第1曲げ部11、第2曲げ部12の各曲面にかかることなく、第1曲げ起点11A、第2曲げ起点12Aの近傍の平面部13に穿設されることが好ましい。
貫通孔17の形状や孔径寸法、制震素子6の幅方向における孔数は適宜に設定される。図2において、(a)は一方の立上り部9周りの側面図、(b)〜(e)は(a)において平面部13と直交するA方向から見たときの貫通孔17の各態様を示す説明図であり、第1曲げ起点11A、第2曲げ起点12Aは仮想線で示してある。(b)〜(e)ではいずれも、前記したように貫通孔17を第1曲げ部11、第2曲げ部12の各曲面にかかることなく、第1曲げ起点11A、第2曲げ起点12Aの近傍の平面部13に穿設した場合を示している。
(b)は第1曲げ起点11A、第2曲げ起点12Aの近傍において、立上り部9の幅方向中央に略真円の貫通孔17を穿設した場合を示す。なお、貫通孔17の穿設後に第1曲げ部11、第2曲げ部12の曲げ加工を行った場合には、曲げの外側面寄りの孔形状が曲げの引っ張りを受けて若干縦長楕円形に変形する。(c)は立上り部9の幅寸法が大きい場合を示す例であり、第1曲げ起点11A、第2曲げ起点12Aの近傍において、真円の貫通孔17を立上り部9の幅方向に複数列(図では3列)穿設した場合を示す。(d)は第1曲げ起点11A、第2曲げ起点12Aの近傍における立上り部9の幅方向中央において、幅方向に長手の楕円の貫通孔17を穿設した場合を示す。(e)は立上り部9の幅方向中央において第1曲げ起点11Aの近傍から第2曲げ起点12Aの近傍までにわたり連続して穿設されたスリット状の貫通孔17とした場合を示す。(d)、(e)の各例においても、立上り部9の幅寸法が大きい場合には貫通孔17を立上り部9の幅方向に複数列穿設すればよく、総じて立上り部9の幅寸法が大きい場合、孔径の大きい単独の貫通孔17とするよりも、各貫通孔17の孔径を小さく設定して複数列穿設した方が強度的に有効となる。
貫通孔17の穿設方法は特に限定されないが、レーザ光により穿設すれば制震素子6の製造が簡易で済み、かつ熱の発生が抑えられ制震素子6の製造コストを抑えることができる。レーザ光による穿設の場合、帯状鋼板の曲げ加工前に穿設しておくことが好ましい。
また、制震素子6の帯状鋼板としては、本願発明で使用している低降伏点鋼のほか、弾塑性履歴鋼板、焼鈍し鋼板などが好ましい。
本願発明の作用を説明すると、図5において、建家構造枠2の上部の横材4に地震水平力Hが作用した場合、上部筋違と下部筋違にはそれぞれH/2の水平力が作用し、斜材5への分力をS、水平分力をP、垂直分力をVとし、斜材5と構材4のなす角をQとした場合、P=ScosQ、V=SsinQとなる。このとき、建家構造枠2の縦材3と垂直な方向に作用するPは互いに打消し合って、制震デバイス1は縦材3と平行な方向に2Vの分力が作用することになる。そうすると、この2Vの分力が、図1において、制震素子6の斜材取付板16から上辺面部10にスムーズに作用し、これに伴って立上り部9に穿設された貫通孔17部分に曲げ変形が誘導され、上辺面部10は縦材3の面と同方向に摺動を繰返し、建家構造枠2に作用する地震エネルギーを吸収する。
制震素子6の帯状鋼板として低降伏点鋼を用いたことにより、ダンパー性能の優れた制震素子6となり、十分な弾性変形量が確保される。
そして、立上り部9に貫通孔17を設けたことにより、建家構造枠2から斜材5を通じて地震荷重が加わったときの制震素子6の変形量を大きくとることができるので振動吸収作用が向上し、所定の制震効果が発揮される。
ここで、貫通孔17を屈曲部(第1曲げ部11、第2曲げ部12の各曲面)に穿孔すれば有害変形が生じやすくなり、また、立上り部9の平面部13の長手方向中央辺りに穿孔しても、この中央辺りは図9から判るように曲げモーメント分布の反転部にあたるため、所定の曲げ変形の効果はさほど期待できない。
これに対して、本願発明のように、貫通孔17を第1曲げ起点11A、第2曲げ起点12Aの少なくとも一方の近傍、好ましくは、第1曲げ部11、第2曲げ部12の各曲面にかかることなく、第1曲げ起点11A、第2曲げ起点12Aの少なくとも一方の近傍にピンポイントとして穿設することにより、第1曲げ起点11A、第2曲げ起点12Aにおける立上り部9の横断面積に緩やかなギャップを持たせることができ、曲げ応力の集中する第1曲げ部11或いは第2曲げ部12の各曲面での破断を防止することができる。
図6において(a)は木造の試験体軸組21の構面図、(b)は試験体妻側立面図である。本発明者は、第1実施例の制震素子6をこの試験体軸組21に適用して振動台による実大試験を行い、試験体軸組21の構面の左右に形成される各建家構造枠22において、それぞれ図5に示した態様で、すなわち建家構造枠22内の上部と下部においてX字状に交差するように斜材5を架設した。制震素子6の低降伏点鋼製帯状鋼板としては、建築構造用弾塑性履歴型ダンパー用鋼板を用いた。板厚は6ミリ、立上り部9の幅寸法は30ミリとし、貫通孔17としては、図2(b)に示すように、第1曲げ起点11A、第2曲げ起点12Aの近傍における平面部13において、立上り部9の幅方向中央に孔径5ミリの貫通孔17を2箇所穿設した。
試験体軸組21の屋根部に5.6トンの錘23を載荷したうえで地震波を負荷したときの荷重(層間せん断力)−層間変位曲線のグラフを図7、図8に示す。図7は小千谷波(入力100%)を負荷したグラフ、図8はエルセントロ波(入力200%)を負荷したグラフであり、細実線(Bで示す曲線群)は比較従来例として各建家構造枠22に厚さ9ミリの合板耐力壁を取り付けたときの曲線を示し、太実線(Aで示す曲線群)はこれに本願発明による制震デバイス1を取付けた場合の曲線を示している。図7、図8から判るように、両地震波共に本願発明を適用したときの変位は比較従来例の変位の約1/2以内に収まることと、制震デバイス1を外した従来の載荷試験体では2例とも合板耐力壁の剥離が確認された。
「第2実施例」
図3は第2実施例の制震素子6を用いた場合の制震デバイス1の要部斜視図である。
第1実施例の制震素子6が側面視の全体形状が略Ω形状を呈しているのに対し、第2実施例の制震素子6は、第1曲げ部11と第2曲げ部12との間に枠取付面部8と直交する平面部13が形成されることにより、側面視の全体形状がハット形鋼形状を呈している。第2実施例の制震素子6においても、第1曲げ部11、第2曲げ部12の曲げ半径は鋼板の略板厚寸法程度が好ましいが、それ以上の曲げ半径でもよい。
図4において、(a)は一方の立上り部9周りの側面図、(b)〜(e)は(a)において平面部13と直交するB方向から見たときの貫通孔17の各態様を示す説明図であり、第1実施例の場合と同様に、貫通孔17を第1曲げ部11、第2曲げ部12の各曲面にかかることなく、第1曲げ起点11A、第2曲げ起点12Aの近傍の平面部13に穿設した場合を示している。(b)〜(e)の各貫通孔17の説明は第1実施例で述べたので、ここでは省略する。また、その他の構成要素についても第1実施例の制震素子6の場合と同一であるので、同じ符号を付してその説明は省略する。
この第2実施例の制震素子6を用いても第1実施例と同様の効果が奏される。
以上、本発明について好適な実施形態を説明した。本発明は説明した実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な設計変更が可能である。
第1実施例の制震素子を用いた場合の制震デバイスの要部斜視図である。 (a)は第1実施例の制震素子の立上り部周りの側面図、(b)〜(e)は(a)において平面部と直交するA方向から見たときの貫通孔の各態様を示す説明図である。 第2実施例の制震素子を用いた場合の制震デバイスの要部斜視図である。 (a)は第2実施例の制震素子の立上り部周りの側面図、(b)〜(e)は(a)において平面部と直交するB方向から見たときの貫通孔の各態様を示す説明図である。 本発明に係る制震デバイスと建家構造枠とのレイアウト例を示す側面図である。 (a)は木造の試験体軸組の構面図、(b)は試験体妻側立面図である。 試験体軸組に小千谷波(入力100%)を負荷したときの荷重(層間せん断力)−層間変位曲線のグラフである。 試験体軸組にエルセントロ波(入力200%)を負荷したときの荷重(層間せん断力)−層間変位曲線のグラフである。 (a)、(b)はそれぞれΩ形状、ハット形鋼形状の制震素子における加力時の曲げモーメント図である。 制震素子に水平加力した場合の荷重とスクリューボルトの引抜き力の関係を示すグラフである。 従来の湾曲ばねの破断状態を示す図である。
符号の説明
1 制震デバイス
2 建家構造枠
3 縦材
4 横材
5 斜材
6 制震素子
7 (斜材の)固定金具
8 枠取付面部
9 立上り部
10 上辺面部
11 第1曲げ部
11A 第1曲げ起点
12 第2曲げ部
12A 第2曲げ起点
13 (立上り部の)平面部
15 ベース板
15´ せん断補強ベース板
16 斜材取付板
17 貫通孔
21 試験体軸組
22 建家構造枠
23 錘

Claims (5)

  1. 建家構造枠の対向する縦材の中間部に取り付けられる低降伏点鋼からなる帯状鋼板製の制震素子と、建家構造枠の隅角部とを斜材で対角線上に固定してなる制震デバイスであって、
    前記制震素子は、
    建家構造枠の縦材に取り付けるための両端の枠取付面部と、
    各枠取付面部から建家構造枠の内側に向けて折曲げてなる、第1曲げ部を経て形成される一対の立上り部と、
    立上り部から枠取付面部に平行に折曲げてなる、第2曲げ部を経て形成される上辺面部と、
    上辺面部から一体に立上がり形成され、斜材の一端が取り付けられる斜材取付板と、
    を有した形状からなり、
    前記第1曲げ部と第2曲げ部との間に前記枠取付面部に対し傾斜した平面部が形成されて、側面視の全体形状が略Ω形状を呈しており、
    立上り部において前記両曲げ部の曲げ起点近傍の少なくとも一方に貫通孔が穿設されていることを特徴とする制震デバイス。
  2. 前記制震素子は、前記第1曲げ部と第2曲げ部との間に前記枠取付面部と直交する平面部が形成されて、側面視の全体形状がハット形鋼形状を呈していることを特徴とする請求項1に記載の制震デバイス。
  3. 前記制震素子の枠取付面部の下面に取り付けられるベース板と、該ベース板の長手方向に延設して建家構造枠に取り付けられるせん断補強ベース板とを介設したことを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の制震デバイス。
  4. 前記斜材は鋼管からなり、その中間部以外の箇所の鋼管を切断して中抜き部を設け、切断面に対向した一組のナットと逆ねじナットを溶着したうえ、両者をターンバックル式に緊結用グリップを設けた長ボルトで連結することを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の制震デバイス。
  5. 建家構造枠の対向する縦材の中間部に取り付けられる低降伏点鋼からなる帯状鋼板製の制震素子と、建家構造枠の隅角部とを斜材で対角線上に固定してなる制震デバイスを用いた制震構造壁であって、
    前記制震素子は、
    建家構造枠の縦材に取り付けるための両端の枠取付面部と、
    各枠取付面部から建家構造枠の内側に向けて折曲げてなる、第1曲げ部を経て形成される一対の立上り部と、
    立上り部から枠取付面部に平行に折曲げてなる、第2曲げ部を経て形成される上辺面部と、
    上辺面部から一体に立上がり形成され、斜材の一端が取り付けられる斜材取付板と、
    を有した形状からなり、
    前記第1曲げ部と第2曲げ部との間に前記枠取付面部に対し傾斜した平面部が形成されて、側面視の全体形状が略Ω形状を呈しており、
    立上り部において前記両曲げ部の曲げ起点近傍の少なくとも一方に貫通孔が穿設されていることを特徴とする制震構造壁。
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