[参考例1]
以下、参考例1について、図面を参照して説明する。図1は参考例1に係るレーザレーダ装置1を概略的に例示する断面図である。
図1に示すように、レーザレーダ装置1は、レーザダイオード10と、検出物体からの反射光L2を受光するフォトダイオード20とを備え、検出物体までの距離や方位を検出する装置として構成されている。レーザダイオード10は、レーザ光発生手段の一例に相当するものであり、図示しない駆動回路からパルス電流を供給されてパルスレーザ光(レーザ光L1)を投光するものである。フォトダイオード20は、検出手段の一例に相当するものであり、レーザダイオード10からレーザ光L1が発生したときに、検出物体によって反射されるレーザ光L1の反射光L2を検出し電気信号に変換する構成をなしている。なお、検出物体からの反射光については所定領域のものが取り込まれる構成となっており、図1の例において、レーザ光L1が実線で示す経路を通過する場合には、符号L2で示す2つのライン間の領域の反射光が取り込まれるようになっている。
また、レーザ光L1の光軸上にはレンズ60が設けられている。このレンズ60は、コリメートレンズとして構成されるものであり、レーザダイオード10からのレーザ光L1を平行光に変換する機能を有する。
レンズ60を通過したレーザ光L1の光路上には、レーザ光偏向手段としての揺動ミラー31が配置されている。揺動ミラー31は、「方向変更手段」の一例に相当するものであり、レーザダイオード10からのレーザ光L1を回動偏向機構40に向けて偏向する構成をなし、且つ揺動可能に構成されている。この揺動ミラー31は、偏向部41に対するレーザ光の入射方向を相対的に変化させることで、偏向部41からのレーザ光の向きを、中心軸42aの方向に関して変化させるように機能する。
また、この揺動ミラー31を、多自由度をもって駆動するミラー駆動部が設けられている。このようにミラーを多自由度をもって駆動する技術はガルバノミラー等の分野において公知であるので詳細は省略するが、ミラー駆動部については、例えば、揺動ミラー31をジンバル、ピボット軸受等で支持することにより、二方向へ回転運動させる構成とすることができる。図2ではその一例として、揺動ミラー31を変位させる変位機構33を例示しており、この変位機構33は、ケース3内の所定位置に配置されるフレーム(図示略)と、このフレームに回転可能に保持されるミラー支持枠34とを備えており、揺動ミラー31を支持しつつ、この揺動ミラー31に、第1軸33a及び第2軸33b(第2軸33bは第1軸33aと直交)を中心とした二方向の回転運動を行わせるように構成されている。このように構成することで、揺動ミラー31の反射面31aの3次元的な位置関係が定まる。図1では、レーザダイオード10からのレーザ光L1の出射方向をX軸方向とし、回動変更機構40の中心軸42aの方向をY軸方向とし、X軸方向及びY軸方向に直交する方向をZ軸方向として説明している。このような定義において、反射面31aとXY平面とのなす角をα、反射面31aとYZ平面とのなす角をβ、反射面31aとXZ平面とのなす角をγとした場合、制御回路70によるアクチュエータ36の制御により、α、β、γの値が自由に定まることとなる。
変位機構33は、図1に概略的に示すアクチュエータ36によって駆動されるようになっている。アクチュエータ36は、装置本体に対するミラー支持枠34の相対位置を設定するモータ等の第1アクチュエータと、ミラー支持枠34に対する揺動ミラー31の相対位置を設定するモータ等の第2アクチュエータとからなり、制御回路70からの制御量に基づいて第1アクチュエータ(モータ等)がミラー支持枠34を位置設定し、第2アクチュエータ(モータ等)がミラー支持枠34に対する揺動ミラー31の位置を設定することで、レーザ光L1に対する揺動ミラー31の傾斜が設定される。なお、制御回路70は、CPUを備えたマイクロコンピュータなどによって構成されており、本参考例1ではこの制御回路70が「制御手段」の一例に相当している。
揺動ミラー31で反射されたレーザ光L1の光軸上には、回動偏向機構40が設けられている。この回動偏向機構40は、回動偏向手段の一例に相当しており、平坦な反射面41aを備えたミラーからなる偏向部41と、この偏向部41を支持する支持台43と、この支持台43に連結された軸部42と、この軸部42を回転可能に支持する図示しない軸受とを備えてなり、偏向部41によりレーザ光を空間に向けて偏向させ、且つ反射光をフォトダイオード20に向けて偏向するように機能する。回動偏向機構40の一部を構成する偏向部41は、中心軸42aを中心として回動可能とされており、偏向手段の一例に相当している。
なお、本参考例1に係るレーザレーダ装置1では、偏向部41における反射光を偏向する偏向領域(偏向部41における反射面41aの領域)が、揺動ミラー31におけるレーザ光を偏向する偏向領域(揺動ミラー31における反射面31aの領域)よりも大きく構成されている。
さらに、回動偏向機構40を回転駆動するようにモータ50が設けられている。このモータ50は、駆動手段の一例に相当するものであり、軸部42を回転させることで、軸部42と連結された偏向部41を回転駆動する構成となっている。モータ50は、ここではステップモータによって構成されている。ステップモータは、種々のものを利用でき、1ステップ毎の角度が小さいものを使用すれば、緻密な回動が可能となる。また、モータ50としてステップモータ以外の駆動手段を用いてもよい。例えばサーボモータ等を用いても良いし、定常回転するモータを用い、偏向部41が測距したい方向を向くタイミングに同期させてパルスレーザ光を出力することで、所望の方向の検出を可能としてもよい。なお、本参考例1では、図1に示すように、モータ50の軸部42の回転角度位置(即ち偏向部41の回転角度位置)を検出する回転角度位置センサ52が設けられている。回転角度位置センサ52は、ロータリーエンコーダなど、軸部42の回転角度位置を検出しうるものであれば様々な種類のものを使用でき、また、検出対象となるモータ50の種類も特に限定されず、様々な種類のものに適用できる。
また、回動偏向機構40からフォトダイオード20に至るまでの反射光の光路上には、フォトダイオード20に向けて反射光を集光する集光レンズ62が設けられ、その集光レンズ62とフォトダイオード20の間にはフィルタ64が設けられている。集光レンズ62は、偏向部41からの反射光を集光してフォトダイオード20に導くものであり、集光手段の一例に相当している。また、フィルタ64は、回動偏向機構40からフォトダイオード20に至るまでの反射光の光路上において反射光を透過させ且つ反射光以外の光を除去するものであり、光選択手段の一例に相当している。具体的には、反射光L2に対応した特定波長の光(例えば一定領域の波長の光)のみを透過させそれ以外の光を遮断する波長選択フィルタによって構成することができる。
また、本参考例1では、レーザダイオード10、フォトダイオード20、レーザ光偏向部30、レンズ60、回動偏向機構40、モータ50等がケース3内に収容され、防塵や衝撃保護が図られている。ケース3における偏向部41の周囲には、当該偏向部41を取り囲むようにレーザ光L1及び反射光L2の通過を可能とする導光部4が形成されている。導光部4は、偏向部41に入光するレーザ光L1の光軸を中心とした環状形態で、ほぼ360°に亘って構成されており、この導光部4を閉塞する形態でガラス板等からなるレーザ光透過板5が配され、防塵が図られている。なお、レーザ光透過板5は、偏向部41に入光するレーザ光L1の光軸と直交する仮想平面に対し全周にわたり傾斜した構成となっている。即ち、偏向部41から空間に向かうレーザ光L1に対して板面が傾斜した構成をなしている。従って、偏向部41から空間に向かうレーザ光L1がレーザ光透過板5にて反射してもノイズ光となりにくくなっている。
次に、レーザレーダ装置1の作用について説明する。図1に示すレーザレーダ装置1では、レーザダイオード10にパルス電流が供給されると、このレーザダイオード10からはパルス電流のパルス幅に応じた時間間隔のパルスレーザ光(レーザ光L1)が出力される。このレーザ光L1は、ある程度の広がり角をもった拡散光として投光され、レンズ60を通過することで平行光に変換される。レンズ60を通過したレーザ光L1は、レーザ光偏向部30に設けられた揺動ミラー31で反射されて偏向部41に入射し、この偏向部41にて反射され空間に向けて照射される。
偏向部41によって反射されたレーザ光L1は検出物体によって反射され、この反射光の一部(反射光L2参照)は再び偏向部41に入射する。偏向部41は、この反射光L2をフォトダイオード20側へ反射する。偏向部41にて反射された反射光L2は、集光レンズ62で集光され、フィルタ64を通過してフォトダイオード20に入光する。
フォトダイオード20は、受光した反射光L2に応じた電気信号(例えば受光した反射光L2に応じた電圧値)を出力する。この構成では、レーザダイオード10によってレーザ光L1を出力してからフォトダイオード20によってその反射光L2を検出するまでの時間を測定することにより検出物体までの距離を求めることができる。また、そのときの、揺動ミラー31の変位、及び偏向部41の変位によって方位をも求めることができる。つまり、揺動ミラー31の反射面31aとXY平面とのなす角α、反射面31aとYZ平面とのなす角β、反射面31aとXZ平面とのなす角γが定まり、偏向部41の回転位置が定まると、偏向部41からレーザ光L1が向かう方向が、一の方位に定まるため、検出物体の方位を的確に把握できることとなる。
なお、揺動ミラー31の変位に伴うレーザ光の経路変化は以下の通りとなる。図1では、回動偏向機構40が所定の回動状態となっている例を示しているが、この回動状態で、揺動ミラー31が図1の揺動状態にあるときは、レーザ光L1が実線で示す経路を通過し、符号L2で示す2つのライン間の領域の反射光が取り込まれることとなる。一方、揺動ミラー31の揺動状態が変化すると、破線L1'に示すように、偏向部41に対するレーザ光L1の入射角度が相対的に変化する。即ち、揺動ミラー31が変位することで、当該揺動ミラー31でのレーザ光の反射角度が変化し、実線で示す経路から破線L1'で示す経路に変化する。これにより、偏向部41から空間に向かうレーザ光が中心軸42aの方向に変化することとなる。この場合、反射光の経路も破線L2'のように変化し、偏向部41で反射した後、集光レンズ62、フィルタ64を介してフォトダイオード20に取り込まれることとなる。
以上のように、本参考例1に係るレーザレーダ装置1によれば、レーザ光L1を空間に向けて偏向させ、且つ検出対象からの反射光L2をフォトダイオード20に向けて偏向する偏向部41が所定の中心軸を中心として回動可能とされるため、装置の周囲にわたる検出が可能となる。また、偏向部41からのレーザ光L1の向きを、中心軸42aの方向に関して変化させうる揺動ミラー31が設けられているため、レーザ光L1の向きを、中心軸42aと直交する平面方向(XZ平面方向)だけでなく、中心軸42aの方向(Y方向)にも変化させることができるため、検出を三次元的に行うことができるようになる。
また、偏向部41からのレーザ光L1の向きを中心軸42aの方向に関して変化させうる構成を、複雑な構成を用いずに揺動ミラー31によって好適に実現できる。
また、偏向部41における反射光L2を偏向する偏向領域が、揺動ミラー31におけるレーザ光L1を偏向する偏向領域よりも大きく構成されているため、相対的に広範な領域の反射光を検出に用いることができ、検出精度を効果的に高めることができる。
さらに、回動偏向機構40からフォトダイオード20に至るまでの反射光L2の光路上に、フォトダイオード20に向けて反射光L2を集光する集光レンズ62が設けられているため、フォトダイオード20を大型化させることなく広範囲の反射光を検出に利用できるようになる。
また、回動偏向機構40からフォトダイオード20に至るまでの反射光L2の光路上に、反射光L2を透過させ、且つ反射光以外の光を除去するフィルタ64が設けられているため、ノイズ光を好適に除去できる。
[参考例2]
次に、参考例2について説明する。図3は、参考例2に係るレーザレーダ装置100を概略的に例示する断面図である。なお、本参考例2のレーザレーダ装置100は、一部について参考例1と同様の部品を用いており、同様の構成の部品については参考例1と同一の符号を付し、詳細な説明は省略することとする。なお、図3では、回動偏向機構40の中心軸42aの方向をX軸方向、X軸方向の光がミラー130で反射する方向(フォトダイオード20の受光の向き)をY軸方向、X軸方向及びY軸方向と直交する方向をZ軸方向としている。
本参考例2に係るレーザレーダ装置100においても、参考例1と同様に、レーザ光L1を発生するレーザダイオード10(レーザ光発生手段)と、レーザダイオード10からレーザ光L1が発生したときに、検出物体によって反射されるレーザ光L1の反射光L2を検出するフォトダイオード20(光検出手段)と、所定の中心軸42aを中心として回動可能に構成された偏向部41を備えるとともに、当該偏向部41によりレーザ光L1を空間に向けて偏向させ、且つ反射光L2をフォトダイオード20に向けて偏向する回動偏向機構40と、回動偏向機構40を回転駆動するモータ50とが設けられている。
一方、レーザレーダ装置100は、レーザダイオード10を変位させることでレーザ光L1の出射方向を変更する出射方向変更部110が設けられており、この出射方向変更部110が方向変更手段、出射方向変更手段の一例に相当している。この出射方向変更部110は、偏向部41に対するレーザ光L1の入射方向を相対的に変化させることで、偏向部41からのレーザ光L1の向きを、中心軸42aの方向に関して変化させるように機能する。
出射方向変更部110は、レーザダイオード10の向きを変更させうるアクチュエータであれば種々のものを採用できる。例えば、レーザダイオード10を振動子等の振動手段に搭載するようにしてもよく、図2の変位機構33及びアクチュエータ36のように多自由度で変位させる変位装置にレーザダイオード10を搭載し、その搭載面について、二方向の回転運動を行わせるようにしてもよい。この場合、上記の振動手段や変位装置の変位量を制御回路70によって制御することができ、この制御回路70が、「変位制御手段」の一例に相当することとなる。
参考例2に係るレーザレーダ装置100では、レーザダイオード10から所定の向きで投光されたレーザ光L1がレンズ60を通過することで平行光に変換され、レンズ60を通過したレーザ光L1はそのまま偏向部41に入射し、この偏向部41にて反射され空間に向けて照射される。偏向部41によって反射されたレーザ光L1は検出物体によって反射され、この反射光の一部(反射光L2参照)は再び偏向部41に入射する。偏向部41は、この反射光L2をミラー130に向けて反射し、このミラー130を介してフォトダイオード20側へ向かわせる。ミラー130は、レーザダイオード10と回動偏向機構40との間の空間において、傾斜して配置されており、レーザダイオード10からのレーザ光L1を通過させる貫通孔131を有している。貫通孔131の開口領域は、ミラー130の反射面の領域と比較して十分小さく設定されており、偏向部41で反射された反射光L2は、ミラー130における貫通孔131の開口領域以外の領域(反射面が構成された領域)においてフォトダイオード20側に反射される。このようにレーザ光L1、反射光L2の経路が構成される状態から、レーザダイオード10の向きが変更されると、例えば破線L1'で示すような経路でレーザ光が通過し、反射光は破線L2'で示す経路を通ってフォトダイオード20に入射することとなる。
なお、本参考例2でも、回動偏向機構40からフォトダイオード20に至るまでの反射光L2の光路上に、フォトダイオード20に向けて反射光L2を集光する集光レンズ62が設けられている。また、回動偏向機構40からフォトダイオード20に至るまでの反射光L2の光路上に、反射光L2を透過させ、且つ反射光以外の光を除去するフィルタ64が設けられている。
本参考例2の構成によれば、レーザダイオード10付近の部品を特徴的な構成とすることで、偏向部41からのレーザ光L1の向きを中心軸42aの方向に関して変化させうる構成を好適に実現できる。
[参考例3]
次に参考例3について説明する。図4は、参考例3に係るレーザレーダ装置200を概略的に例示する断面図である。なお、本参考例3のレーザレーダ装置200も、一部について参考例1と同様の部品を用いており、同様の構成の部品については参考例1と同一の符号を付し、詳細な説明は省略することとする。なお、図4では、レーザダイオード10からのレーザ光L1の投光方向をX軸方向、回動偏向機構240の中心軸242aの方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向と直交する方向をZ軸方向としている。
参考例3に係るレーザレーダ装置200も、参考例1と同様に、レーザ光L1を発生するレーザダイオード10(レーザ光発生手段)と、レーザダイオード10からレーザ光L1が発生したときに、検出物体によって反射されるレーザ光L1の反射光L2を検出するフォトダイオード20(光検出手段)とを備えている。
一方、参考例3に係るレーザレーダ装置200は、回動偏向機構240の構成が、参考例1のレーザレーザ装置1とは若干異なっている。この回動偏向機構240の偏向部241は、ミラーとして構成され、所定の中心軸242aを中心として回動可能に構成される一方で、中心軸242aと直交する軸241a周りにも回動可能とされている。より具体的には、支持台243においてXZ平面に沿う軸241aを中心として回動可能に支持されており、支持台243に対する相対的な回動角度をモータ等のアクチュエータ210によって駆動制御できるようになっている。なお、アクチュエータ210の変位は制御回路70によって制御されることとなる。また、支持台243には、軸部242が連結されており、この軸部242が参考例1と同様のモータ50(駆動手段)によって駆動制御される。
このように構成されるレーザレーダ装置200では、偏向部241が、「レーザ光L1を空間に向けて偏向させ、且つ反射光L2をフォトダイオード20に向けて偏向する機能」を果たす。一方、アクチュエータ210は、偏向部241全体を、中心軸242aと交差する方向の軸241aを中心として傾動させることで、「偏向部241に対するレーザ光L1の入射方向を相対的に変化させ、偏向部241からのレーザ光L1の向きを、中心軸242aの方向に関して変化させる機能」を果たすこととなる。この例では、偏向部241を傾動させるアクチュエータ210が方向変更手段、傾動手段の一例に相当しており、制御回路70は、制御手段、傾動制御手段の一例に相当している。
なお、本参考例3でも、回動偏向機構240からフォトダイオード20に至るまでの反射光L2の光路上に、フォトダイオード20に向けて反射光L2を集光する集光レンズ62が設けられている。また、回動偏向機構40からフォトダイオード20に至るまでの反射光L2の光路上に、反射光L2を透過させ、且つ反射光以外の光を除去するフィルタ64が設けられている。
本参考例3の構成によれば、レーザ光L1の向きを中心軸242aの方向(Y軸方向)に関して変化させうる構成を、偏向手段以外を複雑化することなく好適に実現できる。
[参考例4]
次に、参考例4について説明する。図5は、参考例4に係るレーザレーダ装置を概略的に例示する断面図である。なお、本参考例4のレーザレーダ装置300も、一部について参考例1と同様の部品を用いており、同様の構成の部品については参考例1と同一の符号を付し、詳細な説明は省略することとする。なお、図5では、回動偏向機構340の中心軸342aの方向をY軸方向とし、Y軸方向と直交する所定方向をX軸方向としている。
参考例4に係るレーザレーダ装置300においても、参考例1と同様に、レーザ光L1を発生するレーザダイオード10(レーザ光発生手段)と、レーザダイオード10からレーザ光L1が発生したときに、検出物体によって反射されるレーザ光L1の反射光L2を検出するフォトダイオード20(光検出手段)とを備えている。
一方、参考例4に係るレーザレーダ装置300も、回動偏向機構340の構成が、参考例1のレーザレーダ装置1とは若干異なっている。この回動偏向機構340の偏向手段は、ミラーとして構成されると共にレーザダイオード10からのレーザ光L1を偏向する第一偏向部343(第一偏向部343は第一偏向手段の一例に相当する)と、同じくミラーとして構成され、検出物体からの反射光L2を偏向する第二偏向部341(第二偏向部341は第二偏向手段に相当する)とによって構成されている。第二偏向部341は、円筒軸342に傾斜状態で固定されており、第一偏向部343は円筒軸342に傾動可能に支持されている。第二偏向部341が固定され且つ第一偏向部343が回動可能に支持される円筒軸342は、中心軸342aを中心として回転するものであり、この円筒軸342が参考例1と同様のモータ50(駆動手段)により回転駆動されることで、第一偏向部343及び第二偏向部341が中心軸342aを中心として回転することとなる。
第一偏向部343は、第二偏向部341とは独立して傾動可能とされるものであるが、具体的には、円筒軸342に設けられた図示しない軸受に支持されており、中心軸342aと直交する軸343bを中心とする回転方向の変位が可能となっている。第一偏向部343の駆動は、図5にて概略的に示すアクチュエータ310によってなされるようになっている。アクチュエータ310は、第一偏向部343を傾動させうるものであればその種類は限定されない。例えば、モータ等により回転制御させ、第一偏向部343の角度を設定するような構成であってもよい。また、第一偏向部343の一部を磁性体によって構成すると共に、円筒軸342の外部にコイルを設け、コイルの通電量に応じた電磁力によって第一偏向部343の変位を制御するようにしてもよい。
このように構成されるレーザレーダ装置300では、偏向手段の一部を構成する第一偏向部343が、「レーザ光L1を空間に向けて偏向させる機能」を果たし、同じく偏向手段の一部を構成する第二偏向部341が「反射光L2をフォトダイオード20に向けて偏向する機能」を果たす。
一方、アクチュエータ310は、第一偏向部343を中心軸342aと交差する方向の軸343bを中心として傾動させるように作動し、これにより「第一偏向部343に対するレーザ光L1の入射方向を相対的に変化させ、第一偏向部343からのレーザ光L1の向きを、中心軸342aの方向に関して変化させる機能」を果たすこととなる。この例では、第一偏向部343を傾動させるアクチュエータ310が方向変更手段、傾動手段の一例に相当しており、制御回路70は、制御手段、傾動制御手段の一例に相当している。
また、本参考例4では、第二偏向部341における反射光L2を偏向する偏向領域(反射面341aの領域)が、第一偏向部343におけるレーザ光L1を偏向する偏向領域(反射面343aの領域)よりも大きく構成されている。
さらに、回動偏向機構340の中心軸342a上において、レーザダイオード10とフォトダイオード20が第一偏向部343を挟んで対向して配置されている。この構成の場合、円筒軸342の内部で発生したレーザ光L1は、第一偏向部343で反射されて空間側に向かう。検出物体からの反射光L2は、第二偏向部341で反射されてフォトダイオード20側に向かうこととなる。一方、このようにレーザ光L1、反射光L2の経路が構成される状態から、第一偏向部343が変位すると、例えば破線L1'で示すような経路でレーザ光が空間側に向かい、反射光は破線L2'で示す経路を通って第二偏向部341に入射することとなる。
なお、本参考例4でも、回動偏向機構340からフォトダイオード20に至るまでの反射光L2の光路上に、フォトダイオード20に向けて反射光L2を集光する集光レンズ62が設けられている。また、回動偏向機構340からフォトダイオード20に至るまでの反射光L2の光路上に、反射光L2を透過させ、且つ反射光以外の光を除去するフィルタ64が設けられている。
以上のように、本参考例4の構成によれば、レーザ光の入射方向を相対的に変化させる構成を、偏向手段の一部を選択的に変位させることのみで好適に実現できる。
また、第二偏向部341における反射光を偏向する偏向領域が、第一偏向部343におけるレーザ光を偏向する偏向領域よりも大きく構成されているため、相対的に広範な領域の反射光を検出に用いることができ、検出精度を効果的に高めることができる。
回動偏向機構340の中心軸342a上において、レーザダイオード10とフォトダイオード20とが第一偏向部343を挟んで対向して配置されているため、配置の効率化を図ることができ、スペースを有効利用することができる。
[第1実施形態]
次に、第1実施形態について説明する。
図6は、本発明の第1実施形態に係るレーザレーダ装置を概略的に例示する断面図である。図7は、図6のレーザレーダ装置に用いる揺動機構及びアクチュエータ等を概念的に説明する説明図である。図8は、ピエゾアクチュエータが取り付けられたミラーを等を裏側(反射面の反対側)から概念的に説明する説明図であり、図8(b)は、ピエゾアクチュエータが取り付けられたミラーを概念的に示す斜視図である。図9は、図6のレーザレーダ装置における検出処理を例示するフローチャートである。
図6に示すように、本実施形態のレーザレーダ装置400も一部について参考例1と同様の部品を用いている。即ち、ケース3、導光部4、レーザ光透過板5、レーザダイオード10、レンズ60、フォトダイオード20、フィルタ64、集光レンズ62、回動偏向機構40、モータ50、回転角度位置センサ52、制御回路70等については、参考例1と同様の構成をなしかつ参考例1と同様の機能を有している。従って、参考例1と同様の構成をなす部品については参考例1と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。なお、本実施形態では、回動偏向機構40の中心軸42aの方向をY軸方向とし、Y軸方向と直交する所定方向をX軸方向とし、これらX軸方向及びY軸方向に直交する方向をZ軸方向とする。なお、本実施形態では、レーザダイオード10からのレーザ光の出射方向がX軸方向となっている。
本実施形態でも、レーザダイオード10(レーザ光発生手段)からレーザ光L1が発生したときに、検出物体によって反射されるレーザ光L1の反射光をフォトダイオード20(光検出手段)によって検出する構成をなしている。また、回動偏向機構40は、中心軸42aを中心として回動可能に構成された偏向部41(偏向手段)を備えるとともに、当該偏向部41によりレーザ光L1を空間に向けて偏向させ、且つ検出物体からの反射光をフォトダイオード20に向けて偏向する構成をなしている。さらに、回動偏向機構40は、モータ50(駆動手段)によって駆動される構成となっている。
レーザ光偏向部430(レーザ光偏向部430は、「方向偏向手段」「レーザ光偏向手段」の一例に相当する)は、レーザダイオード10からのレーザ光を回動偏向機構40に向けて偏向する構成をなし、且つ揺動可能に構成されている。そして、偏向部41に対するレーザ光L1の入射方向を相対的に変化させ、偏向部41からのレーザ光の向きを、中心軸42aの方向(即ち、縦方向(Y軸方向))に関して変化させる機能を有している。
レーザ光偏向部430は、図7、図8(a)(b)に示すように、レーザ光を反射するミラー431と、ミラー431を揺動可能に支持する揺動機構435と、揺動機構435に支持されたミラー431を駆動するピエゾアクチュエータ432a、432b、432c、432dとを備えている。なお、ミラー431は、レーザ光を偏向させる「偏向部材」の一例に相当する。また、ピエゾアクチュエータ432a、432b、432c、432dは、「アクチュエータ」の一例に相当する。
4つのピエゾアクチュエータ432a、432b、432c、432dは、いずれも印加電圧に応じて伸縮する公知のピエゾアクチュエータとして構成されており、それぞれが反射面431aとは反対側において矩形状のミラー431の角部近傍(ミラー431の角部近傍は、「特定部位」の一例に相当する)に一端が取り付けられ、他端が保持部438に固定されている。保持部438は、ケース3に固定されてケース3内の所定位置に位置決めされるものであり、この保持部438に固定される各ピエゾアクチュエータ432a、432b、432c、432dは、印加電圧に応じて伸縮することで保持部438に対して相対的に変位するようになっており(即ち、ケース3に対して相対的に変位するようになっており)、それぞれがケース3内においてミラー431の角部近傍の位置を変化させうる構成となっている。
制御回路70(制御回路70は、「制御手段」「揺動制御手段」の一例に相当する)は、ピエゾアクチュエータ432a、432b、432c、432dによるミラー431の駆動状態を制御することでレーザ光偏向部430の揺動を制御している。各ピエゾアクチュエータ432a、432b、432c、432dにはピエゾアクチュエータ駆動回路(以下、駆動回路ともいう)436a、436b、436c、436dがそれぞれ電気的に接続されている。これら駆動回路436a、436b、436c、436dは、それぞれが制御回路70から制御量の指令を受ける構成をなしており、各駆動回路436a、436b、436c、436dから各ピエゾアクチュエータ432a、432b、432c、432dに対して制御回路70からの制御量に応じた電圧が出力されるようになっている。このようにして制御回路70がピエゾアクチュエータ432a、432b、432c、432dの伸縮を制御し、レーザ光L1に対するミラー431の姿勢を制御することとなる。
揺動機構435は、ミラー431とこのミラー431を保持する保持部438とを球面対偶構造にて連結するボールジョイントによって構成されており、ミラー431に連結される球部434と、保持部438に連結される球殻部433とを備えている。この構成では、球部434の中心434aが常に一の位置に定まり、球部434は球殻部433内に収容された状態で多方向に回転しうることとなる。このように構成される揺動機構435は、ピエゾアクチュエータ432a、432b、432c、432dの伸縮に応じて、反射面431aと球部434の中心434aとの距離を常に一定に保ちながらレーザ光L1に対するミラー431の傾斜状態を変化させる。
次に、レーザレーダ装置400における検出処理について説明する。
図9の検出処理は例えば電源投入や所定操作などによって開始されるものであり、まず、ミラー431及び偏向部41を初期位置に設定する(S1)。本実施形態では、図6及び図7の実線にて示す位置が初期位置とされており、ミラー431が当該位置となるようにモータ50及びピエゾアクチュエータ432a、432b、432c、432dを制御する。なお、検出処理前の待機状態において偏向部41及びミラー431が初期位置に設定されるようにも構成でき、このような構成の場合にはS1の処理を省略することができる。
次いで、現在の設定状態(検出処理開始直後の場合には初期位置に設定された状態)での物体の検出処理を行う(S2)。具体的には制御回路70によってレーザダイオード10にレーザ光を投光させる制御を行うと共に、フォトダイオード20から出力される電気信号を制御回路70によって読み取り、現在のピエゾアクチュエータ432a、432b、432c、432dの設定(即ち現在のミラー431の設定)に対応した方向に検出すべき物体が存在するか否かを確認する。フォトダイオード20から一定レベル以上の電気信号が出力される場合には、レーザダイオード10によるレーザ光の投光からフォトダイオード20による反射光の受光までの時間に基づいて検出物体までの距離を算出する。また、ピエゾアクチュエータ432a、432b、432c、432dの現在の設定に基づいて偏向部41からレーザ光L1が向かう方位を算出する。なお、算出された距離や方位は図示しない表示部等に出力することができる。
その後、ミラー431が予め定められた範囲分回転したかを判断する(S3)。本実施形態では、制御回路70の制御により、モータ50が偏向部41を予め定められた一定角度(本実施形態の例では1°)ずつ回動させる構成をなしており、偏向部41が一定角度(1°)ずつ回動する毎にミラー431が「定められた範囲」に亘って回転することで、モータ50の一定角度(1°)毎に中心軸の方向(中心軸42aに沿った縦方向)の走査が行われるようになっている。S3の処理では、現在の偏向部41の設定状態で、ミラー431が「定められた範囲」分だけ回転し終わったか否かを判断しており、回転し終わった場合には、現在の偏向部41の設定状態での縦方向(即ち中心軸42aの方向)の走査が終了したことになるため、S3にてYesに進む。
一方、現在の偏向部41の設定状態で、ミラー431が「定められた範囲」分だけ回転し終わっていない場合には、S3にてNoに進み、偏向部41が「所定の回動範囲」にあるか否かを判断する。本実施形態では、レーザダイオード10からのレーザ光の出射方向と平行な仮想直線と、偏向部41の反射面41aと平行な仮想平面と、のなす角度αが予め定められた閾値以下となる回動範囲を「所定の回動範囲」の一例として用いており、偏向部41がこのような関係となる回動範囲に該当する場合には、S4にてYesに進む。一方、偏向部41が上記所定の回動範囲に該当しない場合にはS4にてNoに進む。
揺動制御を行う制御回路70は、偏向部41の回動位置に基づいて、レーザ光偏向部430の揺動制御を変化させている。即ち、偏向部41が上記「所定の回動範囲」に該当しない場合(レーザダイオード10からのレーザ光L1の出射方向と平行な仮想直線と、偏向部41の反射面41aと平行な仮想平面と、のなす角度αが予め定められた閾値(例えば10°)を超えるの場合)には、S4にてNoに進み、Z軸方向の回転軸(第1軸437a)を中心としてミラー431を一定角度回転するように、ピエゾアクチュエータ432a、432b、432c、432dの伸縮を制御する。より具体的には、偏向部41が「所定の回動範囲」に該当しない場合、反射面431aをXY平面と直交させた状態で、ミラー431をZ軸方向の回転軸(第1軸437a)を中心として回転させ、ミラー431から偏向部41へ向かうレーザ光L1の方向をXY平面に沿って変化させるようにしている。図7では、実線位置から第1軸437aを中心として回転させたミラー431の位置を二点鎖線にて示している。また、そのときのレーザ光の経路を破線L1'にて示している(図6、図7参照)。
第1軸437aを中心としてミラー431を回転させる制御を行うには、例えば、ピエゾアクチュエータ432a、432cの伸縮量を同一とし、かつピエゾアクチュエータ432b、432dの伸縮量を同一とすると共に、ピエゾアクチュエータ432a、432cが伸びた分だけ、ピエゾアクチュエータ432b、432dを縮め、或いは、ピエゾアクチュエータ432b、432dが伸びた分だけ、ピエゾアクチュエータ432a、432cを縮めるように制御を行えばよい。
一方、偏向部41が「所定の回動範囲」の場合には(レーザダイオード10からのレーザ光の出射方向と平行な仮想直線と、偏向部41の反射面41aと平行な仮想平面とのなす角度αが予め定められた閾値以下の場合)には、S4にてYesに進み、ミラー431が第2軸437b(第1軸437aと交差する軸)を中心として一定角度回転するようにピエゾアクチュエータ432a、432b、432c、432dの伸縮を制御する。第2軸437bは、XY平面、YZ平面、ZX平面のいずれとも交わる軸であり、本実施形態では、ミラー431の対角線に沿うように第2軸437bが設定されるようになっている。このような第2軸437bを中心として回転させ、ミラー431から偏向部41へ向かうレーザ光の方向を、XY平面と交差する平面に沿って変化させる。
Z軸方向に延びる第1軸437aを中心としてミラー431を回転させる場合、レーザダイオード10からのレーザ光の出射方向(X軸方向)と平行な仮想直線と、偏向部41の反射面41aと平行な仮想平面と、のなす角度αが小さくなればなるほど、偏向部41から空間に向かうレーザ光の中心軸42aの方向(縦方向)の変化が小さくなってしまう。従って、本実施形態では、偏向部41が「所定の回動範囲」にある場合には、第1軸437aを中心としてミラー431を回転させるのではなく、ミラー431の対角線に沿った第2軸437bを中心としてミラー431を回転させ、角度αが小さくなった場合であってもレーザ光が中心軸42aの方向(縦方向)に大きく変化するようにしている。なお、このような制御を行うには、例えば、ピエゾアクチュエータ432bc、432cの伸縮量を同一とし、ピエゾアクチュエータ432aが伸びた分だけ、ピエゾアクチュエータ432dを縮め、或いは、ピエゾアクチュエータ432dが伸びた分だけ、ピエゾアクチュエータ432aを縮めるように制御を行えばよい。
図9に戻り、S3にてYesに進む場合には、制御回路70の制御により、偏向部41をさらに一定角度(1°)回動させるようにモータ50が駆動され(S7)、その回動後の偏向部41の設定状態でS2以降の処理が繰り返される。即ち、偏向部41が新たな位置に設定された状態で、再度縦方向の走査が行われることとなる。なお、上記例では、「一定角度」の例として「1°」を例示したが、偏向部41の回転ステップとなる「一定角度」は、これよりも小さい角度であってもよく、大きい角度であってもよい。
本実施形態では、揺動機構435に支持されたミラー431をピエゾアクチュエータ432a、432b、432c、432dによって駆動しており、さらに、ピエゾアクチュエータ432a、432b、432c、432dによるミラー431の駆動状態を、制御回路70によって制御している。このようにすれば、レーザ光を偏向する部位を精度高く良好に揺動制御できる。また、レーザ光偏向部430全体を小型化できる。
また、4つのピエゾアクチュエータ432a、432b、432c、432dを制御することでミラー431の角部近傍(特定部位)の位置を変化させ、レーザ光に対するミラー431の姿勢を制御している。このようにすれば、ミラー431を揺動制御しうる構成を、簡易かつ小型構成にて実現できる。
また、ミラー431と、このミラー431を保持する保持部438と、を球面対偶構造にて連結するボールジョイントを設けている。このようにすれば、装置内においてミラー431を安定的に保持でき、かつ円滑に揺動できるようになる。
また、偏向部41の回動位置に基づいて、レーザ光偏向部430の揺動制御を変化させている。このようにすれば、レーザ光偏向部430の揺動制御を、偏向部41の回動位置に応じた適切な制御とすることができる。
また、回動偏向機構40からフォトダイオード20に至るまでの反射光の光路上に、フォトダイオード20に向けて反射光を集光する集光レンズ62(集光手段)が設けられているため、検出手段を大型化させることなく広範囲の反射光を検出に利用できるようになる。
また、回動偏向機構40からフォトダイオード20に至るまでの反射光の光路上に、反射光を透過させ、且つ反射光以外の光を除去するフィルタ64(光選択手段)が設けられているため、ノイズ光を好適に除去できる。
[参考例5]
次に、参考例5について説明する。
図10は、参考例5に係るレーザレーダ装置を概略的に例示する断面図である。図11(a)は、図10のレーザレーダ装置に用いるミラーユニット及び変位機構等を側方から概念的に示す説明図であり、図11(b)は、ミラーユニットを下方から概念的に示す説明図である。図12は、図10のレーザレーダ装置における検出処理を例示するフローチャートである。
図10に示すように、参考例5のレーザレーダ装置500も一部について参考例1と同様の部品を用いている。即ち、ケース3、導光部4、レーザ光透過板5、レーザダイオード10、レンズ60、フォトダイオード20、フィルタ64、集光レンズ62、回動偏向機構40、モータ50、回転角度位置センサ52、制御回路70等については、参考例1と同様の構成をなしかつ参考例1と同様の機能を有している。従って、参考例1と同様の構成をなす部品については参考例1と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。なお、参考例5では、回動偏向機構40の中心軸42aの方向をY軸方向とし、Y軸方向と直交する所定方向をX軸方向とし、これらX軸方向及びY軸方向に直交する方向をZ軸方向とする。なお、参考例5では、レーザダイオード10からのレーザ光の出射方向がX軸方向となっている。
参考例5でも、レーザダイオード10(レーザ光発生手段)からレーザ光L1が発生したときに、検出物体によって反射されるレーザ光L1の反射光をフォトダイオード20(光検出手段)によって検出する構成をなしている。また、回動偏向機構40は、中心軸42aを中心として回動可能に構成された偏向部41(偏向手段)を備えるとともに、当該偏向部41によりレーザ光L1を空間に向けて偏向させ、且つ検出物体からの反射光をフォトダイオード20に向けて偏向する構成をなしている。さらに、回動偏向機構40は、モータ50(駆動手段)によって駆動される構成となっている。
レーザ光偏向部530は(レーザ光偏向部530は、「方向偏向手段」「レーザ光偏向手段」の一例に相当する)、図11に示すように、ミラーユニット531と、このミラーユニット531を変位させる回転機構533(回転機構533は、「変位機構」の一例に相当する)とによって構成されている。ミラーユニット531は、複数のミラー531a,531b,531c,531d,531e,531f,531g,531hを一体的に備えると共に、回動偏向機構40の中心軸42aと平行なY軸方向の回転軸532を中心として回転可能に構成されている。複数のミラー531a〜531hは、それぞれが平坦な反射面537a〜537hを備えており、かつ回転軸532の周囲に環状に配置されている。回転軸532に対する各ミラー531a〜531hの反射面537a〜537hの角度はそれぞれ異なるように構成されている。
回転機構533は、ミラーユニット531を回転軸532を中心として回転させるものであり、モータ534と、このモータ534とミラーユニット531とを連結する軸部535によって構成されている。モータ534は、回転位置を制御しうるものであればステップモータ等の様々なモータを利用できる。回転機構533は、レーザダイオード10からのレーザ光L1が入射する位置に、複数のミラー531a〜531hをそれぞれ順番に配置するようにミラーユニット531を変位させる構成をなしており、ミラーユニット531は回転機構533によってレーザ光L1の入射位置に配置されたときの各ミラー531a〜531hの反射面537a〜537hの角度がそれぞれ異なるように構成されている。
制御回路70(制御回路70は、制御手段の一例に相当する)は、レーザダイオード10からのレーザ光L1が照射される位置に各ミラー531a〜531hを順番に配置するように回転機構533を制御しており、より詳しくは、レーザ光L1の入射位置において各反射面537a〜537hがXY平面と直交状態となるように各ミラー531a〜531hをそれぞれ順番に位置設定する。
各反射面537a〜537hの傾斜は様々に設定できる。参考例5の例では、ミラー531aによってレーザ光L1を反射するときに、レーザ光L1の入射位置において反射面537aがXY平面と直交状態となるようにミラー531aが設定されるようになっており、そのときのレーザ光L1と反射面537aとのなす角度β1が45°となるようにミラー531aが構成されている。同様に、ミラー531bによってレーザ光L1を反射するときに、レーザ光L1の入射位置において反射面537bがXY平面と直交状態となるようにミラー531bが設定され、そのときのレーザ光L1と反射面537bとのなす角度β2は、角度β1よりも大きい角度(47°)となるようにミラー531bが構成されている。さらに、ミラー531cによってレーザ光L1を反射するときに、レーザ光L1の入射位置において反射面537cがXY平面と直交状態となるようにミラー531cが設定され、そのときのレーザ光L1と反射面537cとのなす角度β3は、角度β2よりも大きい角度(49°)となるようにミラー531cが構成されている。このように、ミラー531a〜531hは、レーザ光L1の入射位置において各反射面537a〜537hがXY平面と直交状態となるようにそれぞれ設定されたとき、各反射面537a〜537hとレーザ光L1とのなす角度が各反射面毎に異なるようになっている。
レーザレーダ装置500はこのような制御回路70の制御によって偏向部41に対するレーザ光L1の入射方向を相対的に変化させ、偏向部41からのレーザ光L1の向きを、中心軸42aの方向に関して変化させる。なお、図10、図11(a)では、ミラー531aによってレーザ光L1を反射する様子を実線にて示しており、その位置からミラーユニット531を回転し、ミラー531aとは別のミラー(ミラー531d)によって反射する様子を破線L1'にて示している。
次に、レーザレーダ装置500の制御について説明する。
図12は、図10のレーザレーダ装置500における検出処理の流れを例示するフローチャートである。検出処理は例えば電源投入や所定操作などによって開始されるものであり、まず、ミラーユニット531及び偏向部41を初期位置に設定する(S10)。参考例5では、図10、図11(a)にて実線で示す位置が初期位置とされており、ミラーユニット531及び偏向部41が当該位置となるようにモータ534やモータ50を回転駆動する。なお、検出処理前の待機状態においてミラーユニット531及び偏向部41が初期位置に設定されるようにも構成でき、このような構成の場合にはS10の処理を省略することができる。
次いで、現在の設定状態(検出処理開始直後の場合には初期位置に設定された状態)での物体の検出処理を行う(S20)。具体的には制御回路70によってレーザダイオード10にレーザ光を投光させる制御を行うと共に、フォトダイオード20から出力される電気信号を制御回路70によって読み取り、ミラーユニット531の現在の設定位置及び偏向部41の現在の設定位置に対応した方向に検出すべき物体が存在するか否かを確認する。フォトダイオード20から一定レベル以上の電気信号が出力される場合には、レーザダイオード10によるレーザ光の投光からフォトダイオード20による反射光の受光までの時間に基づいて検出物体までの距離を算出する。また、ミラーユニット531の現在の設定位置(即ち、レーザ光L1の入射位置に配置される現在のミラーの角度)及び偏向部41の現在の設定位置に基づいて偏向部41からレーザ光L1が向かう方位を算出する。なお、算出された距離や方位は図示しない表示部等に出力することができる。
その後、ミラーユニット531が1回転したかを判断する(S30)。参考例5では、制御回路70の制御により、モータ50が偏向部41を予め定められた一定角度(参考例5の例では1°)ずつ回動させ、かつ偏向部41が一定角度(1°)ずつ回動する毎にミラーユニット531を1回転させる構成をなしている。即ち、偏向部41が一定角度ずつ回動する毎に、複数のミラー531a〜531hのすべてがレーザ光の入射位置に順番に配置されるようにミラーが切り替えられミラーユニット531からの反射光の方向が段階的に切り替えられる。このようにしてモータ50の一定角度(1°)毎に中心軸の方向(中心軸42aに沿った縦方向)の走査が行われるようになっているため、ミラーユニット531が1回転し終わった場合には、現在の偏向部41の設定状態での縦方向(即ち中心軸42aの方向)の走査が終了したことになる。従って、この場合にはS30にてYesに進む。一方、現在の偏向部41の設定状態で、ミラーユニット531が1回転し終わっていない場合には、S30にてNoに進み、次のミラーをレーザ光の入射位置に配置するように、ミラーユニット531を一定角度(参考例5では45°)回転し(S40)、その一定角度回転後のミラーユニット531の状態でS20の検出処理を繰り返す。
S30にてYesに進む場合には、制御回路70の制御により、偏向部41をさらに一定角度(1°)回動させるようにモータ50が駆動され(S50)、その回動後の偏向部41の設定状態でS20以降の処理が繰り返される。即ち、偏向部41が新たな位置に設定された状態で、再度縦方向の走査が行われることとなる。
なお、上記例では、「一定角度」の例として「1°」を例示したが、偏向部41の回転ステップとなる「一定角度」は、これよりも小さい角度であってもよく、大きい角度であってもよい。また、上記例では、8つのミラーを備えたミラーユニット531を例示したが、ミラーの数はこれよりも多くてもよく、少なくてもよい。
参考例5では、レーザダイオード10からのレーザ光L1が入射する位置に複数のミラー531a〜531hをそれぞれ順番に配置するようにミラーユニット531を制御し、偏向部41に対するレーザ光の入射方向を相対的に変化させている。このようにすれば、「方向変更手段」が複雑な構成或いは大掛かりな構成とならずに済む。また、複数のミラー531a〜531hを順番に配置するようにミラーユニット531を制御することで偏向部41に対するレーザ光の入射方向を相対的に変化させることができるため、複雑な制御を用いずに偏向部41からのレーザ光の向きを中心軸の方向に関して変化させることができる。
また、ミラーユニット531の回転を制御してレーザ光L1の入射位置に配置されるミラーを切り替えることができるため、ミラーの切替を迅速かつ精度高く行い易くなる。
また、モータ50により偏向部41を一定角度ずつ回動させる構成をなしており、偏向部41が一定角度ずつ回動する毎に、複数のミラー531a〜531hのすべてがレーザ光L1の入射位置に順番に配置されるようにミラーが切り替えられ、偏向部41が回動する一定角度毎に中心軸42aの方向(縦方向)の走査が行われる。このようにすると、偏向部41を一度に大きく回転させることなく三次元的検出を行うことができるようになり、回動偏向機構40やモータ50の負荷を抑えることができる。
[参考例6]
次に、参考例6について説明する。
図13は、参考例6に係るレーザレーダ装置を概略的に例示する断面図である。図14(a)は、図13のレーザレーダ装置に用いる傾動手段の要部を説明する説明図であり、図14(b)は、傾動手段について図14(a)とは異なる部位を説明する説明図である。図15(a)は、図13のレーザレーダ装置に用いる傾動機構、回動偏向機構等を概念的に説明する説明図であり、図15(b)は、軸部の構成を概念的に説明する説明図である。図16は、図13のレーザレーダ装置における検出処理の流れを例示するフローチャートである。
図13に示すように、参考例6のレーザレーダ装置600も一部について参考例1と同様の部品を用いている。即ち、ケース3、導光部4、レーザ光透過板5、レーザダイオード10、レンズ60、フォトダイオード20、フィルタ64、集光レンズ62、回転角度位置センサ52、制御回路70等については、参考例1と同様の構成をなし、かつ参考例1と同様の機能を有している。従って、参考例1と同様の構成をなす部品については参考例1と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。また、モータ650は、軸部642の構成が参考例1の軸部42と異なり、軸部以外は参考例1とほぼ同様である。よって軸部642の部分を重点的に説明することとし、軸部以外の説明については省略する。
参考例6では、回動偏向機構640の中心軸642aの方向をY軸方向とし、Y軸方向と直交する所定方向をX軸方向とし、これらX軸方向及びY軸方向に直交する方向をZ軸方向とする。なお、参考例6では、レーザダイオード10からのレーザ光の出射方向がX軸方向となっている。図13、図14(a)、図15(a)では中心軸642aを一点鎖線にて概念的に示している。
参考例6のレーザレーダ装置600でも、レーザダイオード10(レーザ光発生手段)からレーザ光L1が発生したときに、検出物体によって反射されるレーザ光L1の反射光(符号L2参照)をフォトダイオード20(光検出手段)によって検出する構成をなしている。レーザダイオード10からのレーザ光L1はミラー630によってほぼ直角に反射され、回動偏向機構640に設けられた偏向部641の中央付近に入光するようになっている。回動偏向機構640は、中心軸642aを中心として回動可能に構成された偏向部641(偏向手段)を備えるとともに、当該偏向部641によりレーザ光L1を空間に向けて偏向させ、且つ検出物体からの反射光をフォトダイオード20に向けて偏向する構成をなしている。さらに、回動偏向機構640は、モータ650によって駆動される構成となっている。参考例6では、モータ650及び制御回路70によって「駆動手段」が構成されている。
参考例6のレーザレーダ装置600は、この回動偏向機構640の構成が参考例1のレーザレーザ装置1(図1)と大きく異なっている。回動偏向機構640の偏向部641は、板状のミラーとして構成され、所定の中心軸642aを中心として回動可能に構成される一方で、中心軸642aと直交する軸641a周りにも回動可能とされている。より具体的には、モータ650のロータの一部として構成された軸部642がY軸方向に延びており、偏向部641は、この軸部642の先端部においてXZ平面に沿う軸641aを中心として回動しうるように支持されている。なお、図13、図15では、偏向部641の回転中心となる軸641aを点によって概念的に示し、図14(a)では、軸641aを一点鎖線にて概念的に示している。
軸部642によって偏向部641を回動可能に支持する構成としては様々な構成を採りうるが、その一例としては、例えば、図14(a)のようにすることができる。図14(a)では、軸部642の先端軸部642bに固定された支持フレーム643に一対の軸受645,645が設けられており、この軸受645、645に偏向部641の側方から突出する凸部644,644が回動可能に支持されている。なお、軸部642と、偏向部41を回動可能に支持する支持フレーム643は「傾動機構」の一例に相当し、軸641aを中心として傾動可能となるように偏向部641を支持する。なお、図13等ではこのような傾動機構の構成を簡略化し概念的に示している。
さらに参考例6のレーザレーダ装置600は、偏向部641の所定箇所(具体的には偏向部641の端部近傍)に当接しつつ回転するカム681と、このカム681をモータ682と連結する軸部683とを備えており、これらカム681及び軸部683がカム機構680を構成している。カム機構680は、カム681の回転運動によって所定箇所(偏向部641の端部近傍)に対して直線的運動を与える構成となっている。また、このカム機構680を回転駆動するモータ682が設けられており、このモータ682は、「カム機構駆動手段」の一例に相当している。また、カム機構680及びモータ682は、「振動手段」の一例に相当している。
また、振動手段(カム機構680及びモータ682)と、上述の傾動機構(軸部642及び支持フレーム643)と、によって「方向変更手段」「傾動手段」が構成され、偏向部641全体を、中心軸642aと交差する方向の軸(即ち軸641a)を中心として傾動させるように機能する。モータ682は、制御回路70によって回転が制御されるようになっており、この制御回路70は、「制御手段」「傾動制御手段」の一例に相当し、モータ682(カム機構駆動手段)を制御することで、偏向部641の所定箇所(端部近傍)の振動を制御する。
さらに参考例6では、「振動手段」に相当するカム機構680及びモータ682が、軸部642に取り付けられたフレーム685に固定されて偏向部641と一体的に回動する構成をなしている。また、モータ682は、偏向部641と一体的に回動しない外部電源(図15の例ではレーザレーダ装置600の外部に設けられる商用電源687など)からの電力供給を受ける構成をなしている。より具体的には、図15(a)(b)に示すように、軸部642が、中空状の円筒軸部642cと、円筒軸部642cの先端側に連続する先端軸部642bとによって構成されており、モータ682に電力供給を行うための電力供給線686が、円筒軸部642cの偏向部641側から当該円筒軸部642cの内部を通ってモータ650の下方側に抜ける構成となっている。電力供給線686は、商用電源687に電気的に接続されるようになっている。なお、図15(a)では、商用電源687とモータ682との間に介在する各種回路(電源回路等)は省略して示している。また、図15(a)では、モータ650における軸部642以外のロータ部品やステータ部品等については省略して示しているが、ステッピングモータ等、回転位置を制御しうるモータであれば公知の様々な構成を採用できる。
回動偏向機構640では、軸部642が回動する際には、図15(b)の二点鎖線のように電力供給線686が軸部682内を相対的に移動するようになっている。なお、図15(b)は、軸部642の構成について、A−A位置で切断した様子を概念的に示している。
次に、レーザレーダ装置600の制御について説明する。
図16は、レーザレーダ装置600における検出処理の流れを例示するフローチャートである。この検出処理は例えば電源投入や所定操作などによって開始されるものであり、まず、カム681及び偏向部641を初期位置に設定する(S100)。参考例6では、図13、図15(a)にて実線で示す位置が初期位置とされており、カム681及び偏向部641が当該位置となるようにモータ682やモータ650を回転駆動する。なお、検出処理前の待機状態においてカム681及び偏向部641が初期位置に設定されるようにも構成でき、このような構成の場合にはS100の処理を省略することができる。
次いで、現在の設定状態(検出処理開始直後の場合には初期位置に設定された状態)での物体の検出処理を行う(S110)。具体的には制御回路70によってレーザダイオード10にレーザ光を投光させる制御を行うと共に、フォトダイオード20から出力される電気信号を制御回路70によって読み取り、偏向部641の現在の傾斜及び回動位置に対応した方向(即ち、モータ682及びモータ650の現在の回転角度に対応した方向)に検出すべき物体が存在するか否かを確認する。フォトダイオード20から一定レベル以上の電気信号が出力される場合には、レーザダイオード10によるレーザ光の投光からフォトダイオード20による反射光の受光までの時間に基づいて検出物体までの距離を算出する。また、偏向部641の現在の傾斜及び回動位置に基づいて(即ち、モータ682及びモータ650の現在の回転角度に基づいて)偏向部641からレーザ光L1が向かう方位を算出する。
図14(b)のように、参考例6で用いるカム681は、複数位置P1〜P8にて偏向部641を支持しうる構成をなしており、カム681がどの位置で偏向部641を支持するかによって偏向部641の傾斜角度が定まるようになっている。各位置P1〜P8は、カム681の回転中心681aからの距離がそれぞれ異なっており、カム681による偏向部641の支持位置がP1、P2、P3・・・と変化するにつれ、回転中心681aから偏向部641が次第に遠ざけられ、傾斜が変化するようになっている。カム681の外周面(偏向部641と当接する面)は、ほぼ全周にわたって曲面とされており、各位置P1〜P8での曲率半径がそれぞれ異なるようになっている。カム681の外周面はP1からP2側に進むにつれ曲率半径が次第に大きくなるように構成され、さらに、P2、P3、P4、P5、P6、P7、P8と進むにつれ曲率半径が次第に大きくなるように構成されている。カム機構680は、モータ682によってカム681が矢印F1の方向に回転されるようになっており、カム681は、偏向部641と当接しながら滑動し、その当接位置をP1からP2、P3、P4と順番に変化させていく。当接位置がP8となった後はさらに回転し、再び当接位置をP1とする。
このようなカム機構680によれば、モータ682によるカム681の回転位置が定まれば、カム681と偏向部641との当接位置が定まり、偏向部641の傾斜角度が一の角度に定まることとなる。制御回路70では、モータ682の回転位置及びモータ650の回動位置に基づいて、偏向部641からレーザ光L1が向かう方位を算出する。なお、算出された距離や方位は図示しない表示部等に出力することができる。
図16に戻り説明を続けると、S110の検出処理の終了後、カム681が1回転したかを判断する(S120)。参考例6では、制御回路70の制御により、モータ650が偏向部641を予め定められた一定角度(参考例6の例では1°)ずつ回動させ、かつ偏向部641が一定角度(1°)ずつ回動する毎にカム681を1回転させる構成となっている。即ち、偏向部641が中心軸642aを中心として一定角度ずつ回動する毎に、中心軸642aの方向(縦方向)の走査が行われるようになっている。S120にてカム681が1回転し終わったと判断される場合、現在のモータ650の回転位置(即ち、偏向部641の、中心軸642aを中心とする現在の回動位置)での縦方向の走査が終了したことになる。従って、この場合にはS120にてYesに進む。一方、現在のモータ650の回転位置においてカム681が1回転し終わっていない場合には、S120にてNoに進み、カム681を一定角度(参考例6では45°)回転し(S130)、その一定角度回転後の偏向部641の傾斜状態でS110の検出処理を繰り返す。
S120にてYesに進む場合には、モータ650の回転の設定が正転であるか反転であるか判断する(S140)。なお、参考例6では、上方から見て時計回りの回転を正転とし、反時計回りの回転を反転としている。正転に設定される場合には、S140にてYesに進み、偏向部641を一定角度(ここでは1°)正転させる(S150)。一方、反転に設定される場合には、S140にてNoに進み、偏向部641を一定角度(ここでは1°)反転させる(S160)。なお、モータ650の回転の設定は、デフォルトでは正転に設定されており、後述の設定切替処理(S180)によって設定変更されるようになっている。
S150又はS160の処理が終了した後、偏向部641が一定の回転範囲(ここでは180°)回動したかを判断する(S170)。即ち、現在の設定が正転設定である場合には、当該正転設定においてモータ650が一定回転範囲(180°)正転したかを判断し、現在の設定が反転設定である場合には、当該反転設定においてモータ650が一定回転範囲(180°)反転したかを判断する。偏向部641が中心軸642aを中心として所定回動範囲回動したと判断される場合には、S170にてYesに進み、設定切替処理を行う(S180)。設定切替処理は、現在の設定が正転設定である場合には反転設定に設定変更し、反転設定の場合には正転設定に変更する処理である。このような正転設定又は反転設定の情報は図示しないメモリ等に記憶しておき、S140の判断処理で用いることとなる。このように、参考例6では、制御回路70によってモータ650を制御し、偏向部641が一定の回転範囲で往復回転するように回動偏向機構640を回転駆動する。
S180の処理終了後、若しくはS170にてNoに進む場合には、S150又はS160での回動後の偏向部641によってS110以降の処理が繰り返される。即ち、偏向部641が新たな位置に設定された状態で、再度縦方向の走査が行われることとなる。
なお、上記例では、S150、S160の「一定角度」の例として「1°」を例示したが、偏向部641の回転ステップとなる「一定角度」は、これよりも小さい角度であってもよく、大きい角度であってもよい。また、上記例では、カム681の回転ステップを45°としたが、これより小さい角度であってもよく、大きい角度であってもよい。
参考例6では、傾動機構によって偏向部641を傾動可能に支持すると共に、その偏向部641の所定箇所をカム機構680及びモータ682によって振動させ、かつその振動を制御回路70によって制御している。このようにすれば、偏向部641を安定的に保持できると共に、偏向部641の傾動を好適に制御できるようになる。
また、カム機構680及びモータ682によって振動手段を構成し、これらを制御回路70によって制御している。従って、簡易かつ小型構成にて偏向部641を良好に振動させることができる。
また、振動手段に相当するカム機構680及びモータ682と、偏向部641と、が一体的に回動し、かつ偏向部641と一体的に回動しない外部電源から電力供給を受ける構成となっている。従って、偏向部641を含んだ回動部分の構成を簡素化できる。また、モータ682と外部電源とが電力供給線686によって電気的に接続され、かつ偏向部641が一定の回転範囲で往復回転する構成となっているため、振動手段(カム機構680及びモータ682)を回動させる構成としながらもこの振動手段に対して外部電源から良好に電力供給できるようになる。
[参考例7]
次に、参考例7について説明する。図17は、参考例7に係るレーザレーダ装置を概略的に例示する断面図である。図18(a)は、図17のレーザレーダ装置に用いる傾動手段の要部を説明する説明図であり、図18(b)は、図18(a)とは異なる傾動状態を示す説明図である。
図17に示すように、参考例7のレーザレーダ装置700も一部について参考例1と同様の部品を用いている。即ち、ケース3、導光部4、レーザ光透過板5、レーザダイオード10、レンズ60、フォトダイオード20、フィルタ64、集光レンズ62、回転角度位置センサ52、制御回路70等については、参考例1と同様の構成をなし、かつ参考例1と同様の機能を有している。従って、参考例1と同様の構成をなす部品については参考例1と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。また、ミラー630、偏向部641、モータ650、軸部642は、参考例6と同様の構成をなし、かつ同様の機能を有している。また、傾動機構も参考例6と同様の構成(即ち、図14(a)の構成)となっている。
参考例7でも、回動偏向機構640の中心軸642aの方向をY軸方向とし、Y軸方向と直交する所定方向をX軸方向とし、これらX軸方向及びY軸方向に直交する方向をZ軸方向とする。また、参考例7でも、レーザダイオード10からのレーザ光の出射方向がX軸方向となっている。図17では中心軸642aを一点鎖線にて概念的に示している。また、参考例6と同様、傾動機構による傾動の中心となる軸641aを点によって概念的に示している。
参考例7のレーザレーダ装置700でも、レーザダイオード10(レーザ光発生手段)からレーザ光L1が発生したときに、検出物体によって反射されるレーザ光L1の反射光(符号L2参照)をフォトダイオード20(光検出手段)によって検出する構成をなしている。レーザダイオード10からのレーザ光L1はミラー630によってほぼ直角に反射され、偏向部641の中央付近に入光するようになっている。回動偏向機構740は、中心軸642aを中心として回動可能に構成された偏向部641(偏向手段)を備えるとともに、当該偏向部641によりレーザ光L1を空間に向けて偏向させ、且つ検出物体からの反射光をフォトダイオード20に向けて偏向する構成をなしている。さらに、回動偏向機構740は、その一部をなす偏向部641がモータ650によって駆動される構成となっている。
参考例7の回動偏向機構740は、振動手段及びこの振動手段を保持するフレーム742の構成が参考例6と異なり、それ以外の構成は参考例6の回動偏向機構640と同様である。即ち、参考例6と同様に、偏向部641が板状のミラーとして構成され、かつ中心軸642aを中心として回動しうるように構成されている。また、偏向部641は、中心軸642aと直交する軸641a周りにも回動可能とされている。
参考例7では、図18(a)のように、回転部材781と、軸783を介して回転部材781を回転するモータ782と、によって振動装置780(振動装置780は「振動手段」の一例に相当する)が構成されている。回転部材781は、モータ782の回転中心となる軸782aを中心として回転しうる構成をなし、その外周部から軸782aまでの距離が遠くなる上方位置支持部781aと、外周部から軸782aまでの距離が近くなる下方位置支持部781bとを備えている。上方位置支持部781aは、図18(a)のように、偏向部641の端部を上方に押し上げて支持する部分であり、下方位置支持部781bは、図18(b)のように、偏向部641の端部を下方に下げて支持する部分である。このように構成される振動装置780は、モータ782の回転により、図18(a)のように上方位置支持部781aによって偏向部641を支持する状態と、図18(b)のように下方位置支持部781bによって偏向部641を支持する状態とに切り替えられ、偏向部641の所定箇所(端部近傍)が振動することとなる。参考例7では、このような振動手段と、図14(a)と同様の傾動機構と、によって「方向変更手段」「傾動手段」が構成され、偏向部641全体を、中心軸642aと直交する方向の軸(即ち軸641a)を中心として傾動させるように機能する。モータ782は、制御回路70によって回転が制御されるようになっており、この制御回路70は、「制御手段」「傾動制御手段」の一例に相当し、モータ782を制御することで、偏向部641の所定箇所(端部近傍)の振動を制御する。モータ782は、ステッピングモータやDCモータ等、様々なモータによって構成できる。
また、図18(b)に示すように、偏向部641には下方に延出する延出部742が形成されており、この延出部742は、フレーム743に固定されたガイド部744によってガイドされる形態で変位するようになっている。具体的には、延出部742の端部に突起742aが形成されており、この突起742aがガイド部744のガイド溝744aに沿うように当該ガイド溝744a内を移動するようになっている。延出部742及びガイド部744は、偏向部641の所定箇所が一定の振動範囲を超えて振動することを規制しており、「規制手段」の一例に相当している。なお、図17、図18(a)では、延出部742、ガイド部744を省略して示している。
更に参考例7では、偏向部641の傾きを検出するためのセンサ745が設けられている。このセンサ745は、突起742aの位置を検出する公知の位置センサによって構成されている。即ち、突起742aの位置が定まれば偏向部641が一の傾きに定まるため、センサ745ではこの突起742aの位置を検出することによって偏向部641の傾きを検出している。
参考例7でも、偏向部641が中心軸642aを中心として一定角度(例えば1°)毎に回動するようになっており、一定角度毎に中心軸642aの方向(縦方向)の走査を行うようになっている。縦方向の走査は、振動装置780によって偏向部641を振動することで行われる。即ち、振動装置780によって偏向部641を振動させると、図17の実線位置から例えば破線位置のように偏向部641の傾きが変化していく。その傾きの変化過程でフォトダイオード20にて光が検出された場合、その検出時のセンサ745の値を制御回路70によって読み取ることで偏向部641の傾きを把握できる。制御回路70では、そのとき(フォトダイオード20による光検出時)のモータ650の回転位置を把握できるため、フォトダイオード20による光検出時のセンサ745の値及びモータ650の回転位置に基づいて検出物体の方位を算出できる。また、検出物体までの距離は、他の参考例と同様、レーザダイオード10によるレーザ光の投光からフォトダイオード20による受光までの時間に基づいて算出できる。
また、参考例7でも、振動装置780(振動手段)は、偏向部641と一体的に回動すると共に、偏向部641と一体的に回動しない外部電源(商用電源687)からの電力供給を受ける構成をなし、振動装置780と外部電源とが電力供給線686によって電気的に接続されている。電力供給線686を配する構成は図15(a)と同様であり、振動装置780から軸部642の円筒軸部642c内を配してモータ650の下方側に延び、レーザレーダ装置700の外部の商用電源687に接続されるようになっている。また、「駆動手段」に相当するモータ650及び制御回路70は、参考例6と同様に、偏向部640を一定の回転範囲(例えば180°)で往復回転するように回動偏向機構740を回転駆動する。
参考例7では、傾動機構によって偏向部641を傾動可能に支持すると共に、その偏向部641の所定箇所を振動装置780によって振動させ、かつその振動を制御回路70によって制御している。このようにすれば、偏向部641を安定的に保持できると共に、偏向部641の傾動を好適に制御できるようになる。
また、偏向部641の所定箇所が一定の振動範囲を超えて振動することを規制手段によって規制している。このようにすれば、偏向部641に対するレーザ光の入射方向を必要以上に変化せずに済み、偏向部641からのレーザ光の向きを、中心軸642aの方向(縦方向)に関して適切な範囲内で変化させることができる。
振動装置780が偏向部641と一体的に回動し、かつ偏向部641と一体的に回動しない外部電源から電力供給を受ける構成となっている。従って、偏向部641を含んだ回動部分の構成を簡素化できる。また、振動装置780と外部電源とが電力供給線686によって電気的に接続され、かつ偏向部641が一定の回転範囲で往復回転する構成となっているため、振動装置780を回動する構成としながらも外部電源から良好に電力供給できるようになる。
[参考例8]
次に、参考例8について説明する。図20は、参考例8に係るレーザレーダ装置を概略的に例示する断面図である。図21は、図20のレーザレーダ装置における回動偏向機構を説明する一部断面概略図であり、図22は、図21の回動偏向機構の偏向部及び保持台を上方側から見た図である。参考例8では、回動偏向手段、振動手段の構成が参考例6、7と異なり、それ以外は、参考例6,7と同様である。よって異なる部分について重点的に説明し、同様の部分については詳細な説明は省略する。
図20に示すように、参考例8のレーザレーダ装置800も、一部について参考例1と同様の部品を用いている。即ち、ケース3、導光部4、レーザ光透過板5、レーザダイオード10、レンズ60、フォトダイオード20、フィルタ64、集光レンズ62、回転角度位置センサ52等については、参考例1と同様の構成のものを用いている。従って、第1実施形態と同様の構成をなす部品については参考例1と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。なお、モータ850は、軸部842の構成が参考例1の軸部42と異なり、軸部以外は第1実施形態とほぼ同様である。また、制御回路70は、参考例1と同様の装置構成(即ちCPUを備えたマイクロコンピュータ)であり、制御対象や制御方法のみが参考例1と異なっている。
参考例8では、回動偏向機構840の中心軸842aの方向をY軸方向とし、Y軸方向と直交する所定方向をX軸方向とし、これらX軸方向及びY軸方向に直交する方向をZ軸方向とする。参考例8では、レーザダイオード10からのレーザ光の出射方向がX軸方向となっている。図20、図21では中心軸842aを一点鎖線にて概念的に示している。
参考例8のレーザレーダ装置800でも、レーザダイオード10(レーザ光発生手段)からレーザ光L1が発生したときに、検出物体によって反射されるレーザ光L1の反射光(符号L2参照)をフォトダイオード20(光検出手段)によって検出する構成をなしている。レーザダイオード10からX軸方向に出射されたレーザ光L1はミラー830によってほぼ直角に反射され、回動偏向機構840に設けられた偏向部841の中央付近に入光するようになっている。回動偏向機構840は、中心軸842aを中心として回動可能に構成された偏向部841(偏向手段)を備えるとともに、当該偏向部841によりレーザ光L1を空間に向けて偏向させ、且つ検出物体からの反射光をフォトダイオード20に向けて偏向する構成をなしている。さらに、回動偏向機構840は、モータ850によって駆動される構成となっている。参考例8では、モータ850及び制御回路70が「駆動手段」として機能しており、これらが回動偏向機構840の偏向部841を回転駆動している。
また、参考例8のレーザレーダ装置800は、回動偏向機構840の構成が参考例1のレーザレーザ装置1(図1)と大きく異なっている。この回動偏向機構840は、図21、図22に示すように、ミラーからなる偏向部841と、偏向部841を保持する保持台843と、この保持台843に連結される円筒軸部材842とを備えている。偏向部841は、当該偏向部841の回転中心となる中心軸842aに対して傾斜した反射面841aを備えており、かつ中心軸842aからずれた位置を回動中心として保持台843に回動可能に保持されている。
円筒軸部材842は、モータ850の回転軸として構成されるものであり、円筒状に構成され、一端側に保持台843が連結されている。保持台843は、矩形状に構成される板状部材844と、板状部材844の一端部側において幅方向両側に一対設けられる軸受け845,845と、を備えてなるものであり、板状部材844はその板面が中心軸842aと直交する形態で配置されている。板状部材844における円筒軸部材842と連結される位置には、円筒軸部材842の孔部842bと連通する孔部844aが形成されており、円筒軸部材842の孔部842bの内部から板状部材844の孔部844aの内部に及ぶ形態で、後述するピエゾアクチュエータ801が配置されている。
偏向部841の幅方向両側には、当該偏向部841と一体的に構成された凸部841b,841bが偏向部841の側方側に突出する形態で設けられており、軸受845,845は、これら凸部841b,841bを保持することで、回動軸845aを中心として偏向部841を回動可能に支持している。なお、これら軸受845,845及び凸部841b,841bからなる回動機構846は、「傾動機構」の一例に相当しており、軸(回動軸845a)を中心として傾動可能となるように偏向部841を支持している。このような回動機構846を介して連結される偏向部841及び保持台843は、モータ850によって回転駆動される円筒軸部材842と一体的に回動するようになっている。
ピエゾアクチュエータ801は、印加電圧に応じて駆動部が伸縮する公知のピエゾアクチュエータとして構成されており、駆動部として機能するピエゾ素子801aと、このピエゾ素子801aを駆動する駆動回路801bと、を備えた構成をなしている。駆動回路801bは、制御回路70と信号線を介して電気的に接続されており、制御回路70からの信号に基づいてピエゾ素子801aに対して電圧を印加する構成をなしている。具体的には、制御回路70から駆動回路801bに対して制御量が与えられ、駆動回路801bからピエゾ素子801aに対してその制御量に応じた電圧が出力されるようになっている。
図21の例では、ピエゾ素子801aが「振動手段」「伸縮部材」の一例に相当し、円筒軸部材842の筒内に配置されて印加電圧に応じて伸縮する構成をなし、かつ偏向部841に対して押圧動作する構成をなしている。駆動回路801bは、「伸縮部材駆動手段」の一例に相当し、ピエゾ素子801aに電圧を印加することで当該ピエゾ素子801aを伸張又は収縮させるように機能する。また、制御回路70は、「傾動制御手段」の一例に相当し、駆動回路801bを制御することで、偏向部841の「所定箇所」(即ち、ピエゾ素子801aに押される箇所)の振動を制御している。また、回動機構846、ピエゾ素子801は、「方向変更手段」「傾動手段」の一例に相当し、駆動回路801b、制御回路70は、「制御手段」「傾動制御手段」の一例に相当する。
このように構成される回動偏向機構840では、制御回路70から駆動回路801bに与える制御量を調整することで、回動機構846bによって回動可能に保持された偏向部841に対するピエゾ素子801の押し出し度合い(即ち伸縮度合い)を調整し、この偏向部841を中心軸842bと直交する向きの軸(即ち回動軸845a)を中心として傾動させる。この傾動により、偏向部841の反射面841aに対するレーザ光L1の入射方向が相対的に変化し、偏向部841からのレーザ光の向きが、中心軸842aの方向(即ち縦方向)に関して変化することとなる。なお、図20の例では、偏向部841が実線位置にあるときにはレーザ光は実線で示す経路にて空間に向かい、検出物体からの反射光は符号L2の間の領域が偏向部841に取り込まれることとなる。ピエゾ素子801が制御されて破線で示す位置に変化したときにはレーザ光は符号L1'で示す経路にて空間に向かい、この場合には符号L2'の間の領域の反射光が偏向部1241に取り込まれることとなる。
なお、この構成ではピエゾ素子801の長さに応じて偏向部841の傾斜が定まるため、ピエゾ素子801の長さ(即ち伸縮度合い)を制御する制御回路70は駆動回路801bに与える制御量に基づいて偏向部841の傾斜を精度高く算出できる。また、制御回路70は、モータ850を制御するものであるため、円筒軸部材842の回動位置も算出でき、ひいては、制御回路70によって偏向部841から空間に向かうレーザ光の三次元的方位を算出できることとなる。距離の検出方法は参考例1と同様である。
また、参考例8では、偏向部841が、ピエゾ素子801aとは独立して回動する構成をなしており、ピエゾ素子801aは、レーザレーダ装置800内の定位置で偏向部841に対して振動動作を行う構成をなしている。具体的には、ピエゾ素子801aは、円筒軸部材842の内部において保持部材803を介してケース3に直接又は他部材を介して固定されており、円筒軸部材842は、このピエゾ素子801の周囲において回転する構成をなしている。
以上例示した参考例8の構成では、偏向部841に対して力を伝達するピエゾ素子801a(伸縮部材)を設け、このピエゾ素子801aを駆動回路801b(伸縮部材駆動手段)によって伸張又は収縮させている。このようにすれば、偏向部841の一部を駆動し得る構成を好適に実現できる。また、駆動回路801bを制御回路70(傾動制御手段)によって制御し、これにより所定箇所の振動を制御しているため、偏向部841の傾斜を精度高く制御でき、ひいては三次元的な検出を精度高く良好に行うことができる。
また、伸縮手段が、ピエゾ素子801aからなるため、伸縮手段を大型化させずに済み、かつ振動制御をより一層精度良く行うことができる。
次に、参考例8の別例1について説明する。
図23は、図21の変形例1を示すものであり、伸縮部材をピエゾ素子801aに変えてサイズ可変部811aとした点、伸縮部材駆動手段を、駆動回路801bに変えて空気量調整部811bとした点、が図21と異なっている。なお、それ以外は図20〜図22の構成と同様である。この構成でも、制御回路70が、「制御手段」「傾動制御手段」の一例に相当し、空気量調整部811bを制御することで、偏向部841の「所定箇所」(即ち、サイズ可変部811aに押される箇所)の振動を制御している。また、回動機構846、サイズ可変部811a、空気量調整部811bは、「方向変更手段」「傾動手段」の一例に相当する。
図23の回動偏向機構840も、図21と同様の偏向部841、円筒軸部材842、保持台843とを備えており、偏向部841と保持台843とが図21と同様の回動機構846によって連結されている。そして、これら偏向部841、保持台843、円筒軸部材842が、モータ850の駆動力を受けて一体的に回動するように構成されている。
サイズ可変部811aは、円筒軸部材842の孔部842bと、板状部材844の孔部844aとに跨る状態で配置されており、内部に空気を収容すると共に空気収容量に応じて外形サイズが変化し、板状部材844からの突出量が変化する構成をなしている。このサイズ可変部811は、外形が蛇腹状に構成されており、一端側に空気量調整部811bからの空気を供給する供給口812と、内部空気を空気量調整部811b側に排出する排出口813とが設けられている。制御回路70は、空気量調整部811bに対して供給空気量、又は排出空気量を与える構成をなしており、供給空気量が与えられたときには空気量調整部811bからサイズ可変部811aに対して空気が供給され、排出空気量が与えられたときにはサイズ可変部811aから空気を排出するように機能する。
なお、空気量調整部811bは、「気体量調整手段」の一例に相当するものであり、例えば、供給口812を介してサイズ可変部811a内に供給する流量を検出する流量センサ(供給量検出センサ)と、排出口813を介して排出される流量を検出する流量センサ(排出量検出センサ)と、サイズ可変部811aに対して空気を送り出す空気送出手段(ポンプ、コンプレッサ等)と、供給路や排出路を開放又は遮断する電磁弁等によって構成することができる。なお、この構成ではサイズ可変部811a内の空気量に応じて偏向部841の傾斜が定まるため、サイズ可変部811aの空気量を制御する制御回路70は空気量調整部811bに与える制御量に基づいて偏向部841の傾斜を精度高く算出できる。また、制御回路70は、モータ850を制御するものであるため、円筒軸部材842の回動位置も算出でき、ひいては、制御回路70によって偏向部841から空間に向かうレーザ光の三次元的方位を算出できることとなる。距離の検出方法は参考例1と同様である。
また、図23の構成でも、偏向部841が、サイズ可変部811aとは独立して回動する構成をなしており、サイズ可変部811aは、装置内の定位置で偏向部841に対して振動動作を行う構成をなしている。具体的には、サイズ可変部811aは、円筒軸部材842の内部において図21と同様の保持部材803を介してケース3に直接又は他部材を介して固定されており、円筒軸部材842は、このサイズ可変部811aの周囲において回転する構成をなしている。
以上例示した図23の構成は、図21と同様の効果を奏する。また、図23の構成では、内部に気体を収容し且つ気体収容量に応じて外形サイズが変化するサイズ可変部811aが設けられ、このサイズ可変部811a内の気体量を空気量調整部811b(気体量調整手段)によって調整することで偏向部841の所定箇所を振動させている。このようにすれば、簡易な構成で伸縮量をより大きく確保しやすくなる。
次に、参考例8の別例2について説明する。
図24は、図21の変形例2を示すものである。図24の構成は、「振動手段」の構成及び「傾動制御手段」の構成が図21と異なり、それ以外の構成は図21と同様である。図24では、偏向部841に対して力を伝達する伝達部材821と、伝達部材821を往復動させる往復動機構822と、往復動機構822を駆動するモータ823(モータ823は、「往復動機構駆動手段」の一例に相当)とを備えており、伝達部材821の往復動に応じて偏向部841が傾動するようになっている。
図24の回動偏向機構840も、図21と同様の偏向部841、円筒軸部材842、保持台843とを備えており、偏向部841と保持台843とが図21と同様の回動機構846によって連結されている。そして、これら偏向部841、保持台843、円筒軸部材842が、モータ850の駆動力を受けて一体的に回動するように構成されている。
伝達部材821は、円筒軸部材842と嵌合すると共に、この円筒軸部材842の内部において上下動する構成をなしている。この伝達部材821には、アーム822aが回動可能に連結され、このアーム822aには、アーム822bが回動可能に連結されている。アーム822bは、モータ823によって回転駆動される構成をなしており、これらアーム822a、822b、伝達部材821、円筒軸部材842により、回転運動を直線運動に変換する機構(クランクピストン機構)が構成されている。伝達部材821は、モータ823の回転に応じて上下動し、板状部材844からの突出量が変化するようになっている。
図24の例では、回動機構846、伝達部材821、往復動機構822、モータ823が「方向変更手段」「傾動手段」の一例に相当し、偏向部841を中心軸842aと交差する方向の軸を中心として傾動させることで、偏向部841に対するレーザ光の入射方向を相対的に変化させ、偏向部841からのレーザ光の向きを、中心軸842aの方向に関して変化させるように機能する。
また、図21と同様に、軸受845,845及び凸部841b,841bからなる回動機構846が「傾動機構」の一例に相当しており、軸(回動軸845a)を中心として傾動可能となるように偏向部841を支持している。さらに、伝達部材821、往復動機構822、モータ823は、「振動手段」の一例に相当し、回動機構846に支持される偏向部841の所定箇所(伝達部材821と連結される箇所)を振動させる構成をなしている。
また、制御回路70は、「制御手段」「傾動制御手段」の一例に相当し、モータ823(往復動機構駆動手段)を制御することで、偏向部841の所定箇所(伝達部材821に押される箇所)の振動を制御している。
また、図24の例でも、偏向部841が、振動手段(即ち、伝達部材821、往復動機構822、モータ823)とは独立して回動する構成をなしており、これら振動手段は、装置内の定位置で偏向部841に対して振動動作を行う構成をなしている。
以上例示した図24の構成は、図21と同様の効果を奏する。また、図24の構成では、偏向部841に対して力を伝達する伝達部材821を往復動機構822によって往復動させる構成とし、この往復動機構822をモータ823(往復動機構駆動手段)によって駆動すること偏向部841を振動させるようにしている。このようにすれば、偏向部841の一部を駆動し得る構成を好適に実現できる。さらに、モータ823を制御回路70(傾動制御手段)によって制御し、これにより所定箇所の振動を制御しているため、偏向部841の傾斜を精度高く制御でき、ひいては三次元的な検出を精度高く良好に行うことができる。
[参考例9]
次に、参考例9について説明する。図25は、参考例9に係るレーザレーダ装置を概略的に例示する断面図である。図26は、図25のレーザレーダ装置における回動偏向機構を説明する一部断面概略図であり、(a)は偏向部の反射面を中心軸に対して第1の角度で傾斜させた状態を示す図であり、(b)は、偏向部の反射面を第1の角度とは異なる第2の角度で傾斜させた状態を示す図である。図27は、軸部材とフランジ部とを連結する連結機構を説明する説明図であり、(a)は連結機構を正面から見た図であり、(b)は(a)のA−A断面図である。図28は、図26の回動偏向機構の偏向部及びフランジ部等を上方側から見た図であり、(a)は、偏向部がある一の回動位置にある場合を示す図であり、(b)は、偏向部が(a)とは異なる回動位置にある場合を示す図である。なお、参考例9のレーザレーダ装置900は、回動偏向手段、振動手段の構成が参考例6〜8と異なり、それ以外は、参考例6〜8と同様である。よって異なる部分について重点的に説明し、同様の部分については参考例6〜8と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図25に示すように、参考例9のレーザレーダ装置900も、一部について参考例1と同様の部品を用いている。即ち、ケース3、導光部4、レーザ光透過板5、レーザダイオード10、レンズ60、フォトダイオード20、フィルタ64、集光レンズ62、回転角度位置センサ52等については、参考例1と同様の構成のものを用いている。従って、参考例1と同様の構成をなす部品については参考例1と同一の符号を付している。なお、モータ950は、軸部材942の構成が参考例1の軸部42と異なり、軸部以外は参考例1とほぼ同様である。また、制御回路70は、参考例1と同様の装置構成(即ちCPUを備えたマイクロコンピュータ)であり、制御対象や制御方法のみが参考例1と異なっている。
参考例9では、回動偏向機構940の中心軸942aの方向をY軸方向とし、Y軸方向と直交する所定方向をX軸方向とし、これらX軸方向及びY軸方向に直交する方向をZ軸方向としている。なお、図25の例では、レーザダイオード10からのレーザ光の出射方向がX軸方向となっている。また、図25、図26では中心軸942aを一点鎖線にて概念的に示している。
参考例9のレーザレーダ装置900は、回動偏向機構940の構成が参考例1のレーザレーザ装置1(図1)と大きく異なっている。この回動偏向機構940は、中心軸942aを中心として回動可能に構成されたミラーからなる偏向部941(偏向手段)と、モータ50によって回転駆動される軸部材942と、偏向部941と一体的に構成されるフランジ部943と、軸部材942とフランジ部943とを連結する連結機構944と、を備えた構成をなしている。
偏向部941は、レーザ光L1が入射する位置に反射面941aが設けられており、レーザ光L1を空間に向けて偏向させ、且つ検出物体からの反射光をフォトダイオード20に向けて偏向するように機能する。反射面941aは平坦に構成されると共に中心軸942aに対して傾斜した構成をなしており、後述する振動手段の振動に応じてその傾斜角度を変化させるように構成されている。また、偏向部941は、モータ950により中心軸942aを中心として回転駆動される構成となっている。なお、参考例9では、モータ950及び制御回路70が「駆動手段」の一例に相当する。
フランジ部943は、「一体揺動部」の一例に相当するものである。図26、図28に示すように、フランジ部943の外縁部は、偏向部941の外縁よりも外側に張り出す形態で配置されており、外形が略円形状に構成されている。また、フランジ部943は、全体として鍔状に構成されており、偏向部941の下端部に一体的に連結されると共に偏向部941と一体的に回動する構成をなしており、さらに後述する連結機構944によって軸部材942に連結されている。
軸部材942は、モータ950の駆動軸として構成されるものであり、先端部に連結機構944の一部が設けられている。図26、図27に示すように、連結機構944は、ボールジョイントとして構成されており、軸部材942の先端部に設けられた球部944aと、フランジ部943の下面に連結された球殻部944bと、を備え、これら球部944aと球殻部944bとが球面対偶構造をなしている。球部944aを収容する球殻部944bは、球部に944aに対して多自由度で相対移動する構成をなしている。なお、フランジ部943及び連結機構944は、「傾動機構」の一例に相当し、偏向部941を傾動可能に支持する構成をなしている。
また、図27に示すように、軸部材942には、当該軸部材942の回転力を、連結機構944の球殻部944bの一部(具体的には球殻部944bに形成された突起部946)に伝達するための凸部945が設けられている。凸部945は、軸部材942の回転に応じて球殻部944bの周囲を回転するように構成されている。なお、図27の例はあくまで一例であり、フランジ部943を揺動可能に保持しつつ軸部材942の回転力をフランジ部943に伝達しうる構造であればこれ以外の構成を採用してもよい。例えば、フランジ部943と軸部材942とを自在継手などによって連結する構成であってもよい。
また、図25、図26、図28に示すように、フランジ部943の外縁部を振動させる外縁部振動装置961,965(外縁部振動装置991,965は、「振動手段」「外縁部振動手段」の一例に相当する)が設けられている。一方の外縁部振動装置961は、フランジ部943を介して偏向部941に対して力を伝達する伝達部材962と、伝達部材962を往復動させる往復動機構963と、往復動機構963を駆動するモータ964(モータ964は、往復動機構駆動手段の一例に相当する)とからなり、レーザレーダ装置900内の第1位置においてフランジ部943の外縁部を振動させることで、偏向部941における中央部以外の部分を振動させるように機能する。
伝達部材962は、図26、図28に示すように、レーザレーダ装置900内の定位置において中心軸942a方向に沿って延びるように設けられたガイド部963c(図26では一点鎖線にて概念的に図示)の溝内に嵌まり込んでおり、ガイド部963cに案内されて上下動する構成をなしている。この伝達部材962には、アーム963aが回動可能に連結され、このアーム963aには、アーム963bが回動可能に連結されている。なお、図25、図26では、アーム963a,963bを概略的に示している。
アーム963bは、モータ964によって回転駆動される構成をなしており、これらアーム963a、963b、ガイド部963cが往復動機構963を構成している。往復動機構963は、モータ964の回転運動を伝達部材962の直線運動に変換する機構(クランクピストン機構)として構成されている。伝達部材962には、フランジ部943の外縁部を保持する切欠部962aが設けられており、フランジ部943は、その外縁部の一部を切欠部962内に配置した状態でモータ950の駆動に応じて回転する構成をなしている。このような構成によれば、モータ964をある回転位置に設定することにより偏向部941の反射面941aを図26(a)のような傾斜状態とすることができ、モータ964の回転位置を変更すれば図26(b)のような傾斜状態に変更できるようになる。なお、伝達部材962による外縁部の保持位置に対し、中心軸942aを挟んだ反対側に矢印F2方向に付勢するばね等の付勢手段を設けてもよく、このようにすれば偏向部941をより安定的に位置決めできるようになる。
他方の外縁部振動装置965は、図28のように、配置される位置が外縁部振動装置965と異なるが、構成については外縁部振動装置961と同一の構成をなしている。この外縁部振動装置965も、フランジ部943を介して偏向部941に対して力を伝達する伝達部材966と、伝達部材966を往復動させる往復動機構(図示略)と、往復動機構967を駆動するモータ(往復動機構駆動手段:図示略)とを備えてなり、レーザレーダ装置900内の第2位置(外縁部振動装置961から離れた位置)においてフランジ部943の外縁部を振動させることで、偏向部941における中央部以外の部分を振動させるように機能する。なお、参考例9では、中心軸942aを含み且つ伝達部材962の中心部を通る平面を仮想平面M1とし、中心軸942aを含み且つ伝達部材966の中心部を通る平面を仮想平面M2とした場合、これら仮想平面M1とM2とが直交する関係となるように伝達部材962、966が配置されている。
このように構成されるレーザレーダ装置900では、偏向部941が所定の回動位置にあるときには外縁部振動装置965(第2振動手段)に振動動作を行わせ、偏向部961が所定の回動位置以外にあるときには外縁部振動装置961(第1振動手段)に振動動作を行わせるように、制御回路70によってモータ964及び外縁部振動装置965のモータ(図示略)の制御がなされる。具体的には、中心軸942aを含みかつ反射面941aと直交する平面を仮想平面M3とした場合、この仮想平面M3と上述の仮想平面M1とのなす角度が所定の閾値以上(例えば45°以上)であるときを所定の回動位置とし、この場合には外縁部振動装置965(第2振動手段)に振動動作を行わせ、仮想平面M1とM3とのなす角度が閾値未満(例えば45°未満)のときには外縁部振動装置961(第1振動手段)に振動動作を行わせるようにしている。なお、図28(a)は偏向部941が所定の回動位置以外の例であり、図28(b)は、偏向部941が所定の回動位置にあるときの例である。
図25は、仮想平面M1とM3とのなす角度が閾値未満(例えば45°未満)のときの例であるが、この場合、偏向部941が実線位置にあるときにはレーザ光は実線で示す経路にて空間に向かい、検出物体からの反射光は符号L2の間の領域が偏向部941に取り込まれることとなる。外縁部振動装置961が制御されて偏向部941が破線で示す位置に変化したときにはレーザ光は符号L1'で示す経路にて空間に向かい、この場合には符号L2'の間の領域の反射光が偏向部1241に取り込まれることとなる。
なお、参考例9では連結機構934、外縁部振動装置961,965が「方向変更手段」「傾動手段」の一例に相当し、偏向部941を傾動させることで、偏向部941に対するレーザ光の入射方向を相対的に変化させ、偏向部941からのレーザ光の向きを、中心軸942aの方向に関して変化させるように機能する。
また、制御回路70は、「制御手段」「傾動制御手段」の一例に相当し、外縁部振動装置961,965を制御することで、偏向部941の所定箇所(中央付近を除く箇所)の振動を制御するように機能する。
参考例9の構成では、偏向手段(偏向部941)が振動手段(第1振動装置961及び第2振動装置965)とは独立して回動する構成をなしており、振動手段に相当する第1振動装置961及び第2振動装置965はそれぞれ、レーザレーダ装置900内の定位置で偏向部941に対して振動動作を行う構成となっている。このようにすれば、回動偏向機構940における回転駆動する部分を小型化、軽量化できるため、回転駆動の高精度化、高速化を図りやすく、またモータ950についても小型化しやすくなる。さらに、第1振動装置961及び第2振動装置965が装置内の定位置で振動動作を行う構成であるため、振動手段と偏向手段とが一体的に回動する構成と比較して振動手段に対する電力供給や信号伝達を行いやすくなる。
また、モータ950(駆動手段)により駆動される軸部材942と、外縁部が略円形状に構成され且つ軸部材に対して揺動可能とされるフランジ部943(一体揺動部)と、が一体的に回転するように設けられ、装置内の定位置においてフランジ部943の外縁部を振動させる第1振動装置961及び第2振動装置965(外縁部振動手段)が設けられている。このようにすれば、装置内の定位置に振動手段を配置して偏向手段の振動を行う構成を好適に実現できる。また、フランジ部943の外縁部を振動させるようにしているため、中心部付近を振動させる構成と比較して小さな負荷で振動を行うことができ、装置の小型化、低コスト化を図りやすくなる。
また、参考例9では、装置内の第1位置において一体揺動部の外縁部を振動させる第1振動装置(第1振動手段)と、第2位置において一体揺動部の外縁部を振動させる第2振動装置(第2振動手段)とが設けられている。この構成によれば、フランジ部943の揺動が、特定の軸のみを中心とした揺動とならず、揺動の自由度を大きくすることができる。従って、フランジ部943と一体的に回転する偏向部941を回動位置に応じた適切な揺動状態とすることができ、ひいては装置の全周囲に亘り中心軸942a方向(縦方向)の走査を良好に行うことができるようになる。
また、偏向部941が所定の回動位置にあるときには第2振動装置965(第2振動手段)に振動動作を行わせ、偏向部941が所定の回動位置以外にあるときには少なくとも第1振動装置961(第1振動手段)に振動動作を行わせるように制御を行っている。この構成によれば、第1振動装置961による振動動作が必要な回動範囲については第1振動手段を用いて振動動作を行い、第2振動手段による振動動作が必要な回動範囲については第2振動措置965を用いて振動動作を行うことが可能となり、偏向部941の回動位置に応じた適切な振動制御を実施できる。
[参考例10]
次に、参考例10について説明する。図29は、参考例10に係るレーザレーダ装置を概略的に例示する断面図である。図30は、図29のレーザレーダ装置における回動偏向機構を概略的に示す平面図である。図31(a)は、ガイド路の構成を概略的に示す説明図であり、図31(b)は、(a)とは異なるガイド路の例を示す説明図である。参考例10では、回動偏向手段の構成が参考例6〜9と異なり、それ以外は、参考例6〜9と同様である。よって異なる部分について重点的に説明し、同様の部分については参考例6〜9と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図29に示すように、参考例10のレーザレーダ装置1000も、一部について参考例1と同様の部品を用いている。即ち、ケース3、導光部4、レーザ光透過板5、レーザダイオード10、レンズ60、フォトダイオード20、フィルタ64、集光レンズ62、回転角度位置センサ52等については、参考例1と同様の構成のものを用いている。従って、参考例1と同様の構成をなす部品については参考例1と同一の符号を付している。なお、モータ1050は、軸部1042の構成が参考例1の軸部42と異なり、軸部以外は参考例1とほぼ同様である。また、制御回路70は、参考例1と同様の装置構成(即ちCPUを備えたマイクロコンピュータ)であり、制御対象や制御方法のみが参考例1と異なっている。
参考例10では、回動偏向機構1040の中心軸1042aの方向をY軸方向とし、Y軸方向と直交する所定方向をX軸方向とし、これらX軸方向及びY軸方向に直交する方向をZ軸方向とする。なお、図29では、レーザダイオード10からのレーザ光の出射方向がX軸方向となっている。また、図29では中心軸1042aを一点鎖線にて概念的に示している。
参考例10のレーザレーダ装置1000でも、レーザダイオード10(レーザ光発生手段)からレーザ光L1が発生したときに、検出物体によって反射されるレーザ光L1の反射光(符号L2等参照)をフォトダイオード20(光検出手段)によって検出する構成をなしている。レーザダイオード10からX軸方向に出射されたレーザ光L1はミラー1030によってほぼ直角に反射され、回動偏向機構1040に設けられた偏向部1041の中央付近に入光するようになっている。
参考例10のレーザレーダ装置1000で用いられる回動偏向機構1040は、ミラーからなる偏向部1041と、モータ1050によって駆動される軸部材1042と、偏向部1041から突出する形態で当該偏向部1041と一体的に構成された被連結部1043と、被連結部1043と軸部材1042とを連結する連結機構1043とを備えている。
偏向部1041は、中心軸1042aを中心として回動可能に構成されており、ミラー1030にて反射されたレーザ光L1を空間に向けて偏向させ、且つ検出物体からの反射光をフォトダイオード20に向けて偏向する構成をなしている。また、偏向部1041は、モータ1050によって回転駆動される構成となっている。なお、モータ1050及び制御回路70は「駆動手段」として機能している。
連結機構1044は、軸部材1042において側方に突出する形態で形成された凸部1042bと、この凸部1042bを回転可能に支持する軸受1043aとからなり、軸部材1042に対して被連結部1043が回動可能となるようにこれらを連結している。なお、連結機構1044は、偏向部1041を傾動可能に支持する「支持機構」の一例に相当する。
また、連結機構1044によって傾動可能に支持される偏向部1041は、中心軸1042aに対して傾斜した反射面1041aを備えており、偏向部1041の傾動に応じて中心軸1042aと反射面1041aとのなす角度が変化するようになっている。連結機構1044は、被連結部1043の回動中心となる回動軸(即ち、凸部1042bの中心)が中心軸1042aと直交する構成をなしており、モータ1050による軸部材1042の回転駆動に応じて連結機構1044が回転することで、前記回動軸の位置が中心軸1042aを中心として回転するように位置変化する。
また、偏向部1041の下方には偏向部1041と一体的に回動する一対の一体回動部1045,1046が取り付けられている。これら一体回動部1045,1046は、偏向部1041側を基端側として中心軸1042aから離れる側に延出した構成をなしており、偏向部1041に固定される固定部材1045a,1046aと、それぞれの固定部材1045a,1046aの端部に回転可能に取り付けられる回転部材1045b,1046bとを備えている。
また、図29、図30に示すように、ケース3内における所定位置において、一体回動部1045,1046の周囲を取り囲むように環状のガイド路1047が設けられている。このガイド路1047は、一体回動部1045,1046の先端側を案内する溝部として構成されており、モータ1050による一体回動部1045,1046の回動の過程において、当該一体回動部1045,1046の先端側一部の位置が中心軸1042a方向(縦方向)に変化するように当該先端側一部の回動経路を定めている。より具体的には、図29〜図31(a)に示すように、一体回動部1045,1046のそれぞれの先端部に設けられた回転部材1045b,1046bがそれぞれガイド路1047の溝内に嵌り込み、このガイド路1047によって案内される構成をなしている。回転部材1045b,1046bはいずれもローラ状に構成されており、ガイド路1047によって案内される際に当該ガイド路1047の内壁面1047aに支持されつつ転動する構成をなしている。
ガイド路1047は、図31(a)に示すように、中心軸1042a方向の位置(即ち縦方向の位置)が連続的に変化するように経路が構成されている。具体的には、中心軸1042a方向(縦方向)の一方側(上方側)に凸となるように湾曲する第1湾曲部1047bと、他方側(下方側)に凸となるように湾曲する第2湾曲部1047cと、を備えると共に、これら第1湾曲部1047bと第2湾曲部1047cとが交互に配された波状(例えばサイン波状)に構成されている。従って、第1湾曲部1047bの頂点部分から第2湾曲部1047cの頂点部分に至るまでは徐々に下方位置に向かうように経路が構成され、逆に、第2湾曲部1047cの頂点部分から第1湾曲部1047bの頂点部分に至るまでは徐々に上方位置に向かうように経路が変化している。なお、一体回動部1045,1046は、中心軸1042aを挟んだ両側の位置においてそれぞれガイド路1047に嵌り込んでいるため、一体回動部1045を上方に変位させる位置に対して、中心軸1042aを挟んだ反対側の位置において一体回動部1046をその上方変位と同程度に下方に変位させるように経路が構成されており、逆に一体回動部1045を下方に変位させる位置に対しては、中心軸1042aを挟んだ反対側の位置において一体回動部1046をその下方変位と同程度に上方に変位させるように経路が構成されている。
参考例10では、一体回動部1045,1046、ガイド路1047が「方向変更手段」の一例に相当しており、モータ1050により偏向部1041が回動駆動される際に、回動経路に応じて一体回動部1045,1046の先端部の位置が中心軸1042aの方向に変化することで一体回動部1045,1046及び偏向部1041が揺動し、レーザ光L1に対する偏向部1041の相対位置が変化するようになっている。そして、このように偏向部1041に対するレーザ光L1の入射方向を相対的に変化させることで、偏向部1041からのレーザ光の向きを、中心軸1042aの方向(即ち縦方向)に関して変化させている。なお、制御回路70は、「制御手段」の一例に相当する。
このように構成されるレーザレーダ装置100は、回転部材1045b,1046bの縦方向の位置がほぼ同じとなる回動位置においては、偏向部1041が図29で実線で示す状態となり、この場合、レーザ光は実線で示す経路にて空間に向かい、検出物体からの反射光は符号L2の間の領域が偏向部1041に取り込まれることとなる。一方、偏向部1041が別の回動位置に制御されて偏向部1041が破線で示す位置に変化したときにはレーザ光は符号L1'で示す経路にて空間に向かい、この場合には符号L2'の間の領域の反射光が偏向部1041に取り込まれることとなる。
なお、上記の例では、図31(a)のようなサイン波状のガイド路1047を用いた構成を例示したが、このようなガイド路1047に代えて図31(b)のような構成を採用してもよい。図31(b)の例では、第1湾曲部1047bと第2湾曲部1047cの間に直線部1047dを設けており、この例でも中心軸1042a方向の位置(即ち縦方向の位置)が連続的に変化するようにガイド路1047の経路が構成されている。
また、図29の構成に代えて図32のような構成としてもよい。図32は回動偏向機構1140の構成が図29と異なっており、具体的には一体回動部1045,1046の構成に代えて一体回動部1048a,1048bを用いた点、ガイド路の溝幅を一体回動部1048a,1048bの先端部のサイズに合わせた点が図29と異なっている。なお、それ以外の構成は図29と同一である。
図32の構成では、一体回動部1048a,1048bの先端部に図29のような回転部材を用いておらず、アーム状に構成される一体回動部1048a,1048bの先端部をガイド路1049の溝部内に直接嵌め込んでいる。ガイド路1049は溝幅がガイド路1047とは異なるが、形状はガイド路1047と同様であり(図31(a)参照)、中心軸1042a方向の位置(即ち縦方向の位置)が連続的に変化するようにサイン波状に経路が構成されている。
このように構成される図32の例では、回動偏向機構1140における偏向部1041がモータ1050によって回転駆動されることに応じて一体回動部1048a,1048bが回転し、一体回動部1048a,1048bの先端部がガイド路1049の内壁面に沿って滑動することとなる。その先端部の中心軸1042a方向(縦方向)の位置は、ガイド路1049の経路に応じて変化するため、これと一体的に構成される偏向部1041はその先端部の位置変化に応じて変位することとなる。
参考例10の構成によれば、上記参考例と同様の効果を奏し、三次元的な検出を良好に行うことができるようになる。また、参考例10ではモータ1050により偏向部1041が回動駆動される際に、回動経路に応じて一体回動部の一部の位置が中心軸1042aの方向(縦方向)に変化することによりこれら一体回動部及び偏向部1041が揺動し、レーザ光L1に対する偏向部1041の相対位置が変化するようになっている。このようにすれば、偏向部1041を揺動させるための特別なアクチュエータ等を設ける必要がなく、偏向部1041を回転駆動させるモータ1050の駆動力を偏向部1041の揺動に利用できるようになり、装置の低コスト化、軽量化等を図りやすくなる。
また、一体回動部の周囲を取り囲むように配置された環状のガイド路によって一体回動部の先端側を案内しており、このガイド路は、少なくとも一部において中心軸方向の位置が変化するように経路が構成されている。このようにすれば、偏向部1041の回転駆動に応じて偏向部1041を揺動させる構成を好適に実現できる。特に、偏向部1041の回転駆動の邪魔にならないようにガイド路を配する構成をコンパクトに実現でき、環状のガイド路によって一体回動部の先端側を案内しているため、一体回動部を安定的に支持しつつ円滑に案内できるようになる。
また、図29の例では、ガイド路1047が、一体回動部1045,1046に回転可能に取り付けられた回転部材1045b,1046bを案内する構成をなしており、回転部材1045b,1046bは、ガイド路1047によって案内される際に当該ガイド路1047の内壁面1047aに支持されつつ転動するように構成されている。このようにすれば、ガイド路1047に沿って一体回動部1045,1046が円滑に移動するようになり、ひいては偏向部1041の回転駆動及び振動がよりスムーズに行われるようになる。
また、ガイド路が、中心軸方向の一方側に凸となるように湾曲する第1湾曲部と、中心軸方向の他方側に凸となるように湾曲する第2湾曲部と、を備えており、これら第1湾曲部と第2湾曲部とが交互に配されている。このようにすれば、偏向部1041の回転駆動に伴い、一体回動部の先端側を、中心軸の方向により滑らかに変化させることができる。
[参考例11]
図33は、参考例11に係るレーザレーダ装置を概略的に例示する断面図である。図34は、図33の一部を省略して説明する説明図である。図35は、図33のレーザレーダ装置に用いる回動偏向機構を概略的に説明する説明図である。
図33に示すように、参考例11のレーザレーダ装置1200も、一部について参考例1と同様の部品を用いている。即ち、ケース3、導光部4、レーザ光透過板5、レーザダイオード10、レンズ60、フォトダイオード20、フィルタ64、集光レンズ62、回転角度位置センサ52、軸部42,モータ50等については、参考例1と同様の構成のものを用いている。従って、参考例1と同様の構成をなす部品については参考例1同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。また、制御回路70は、参考例1と同様の装置構成(即ちCPUを備えたマイクロコンピュータ)であり、制御対象や制御方法のみが参考例1と異なっている。
参考例11では、回動偏向機構1240の中心軸42aの方向をY軸方向とし、Y軸方向と直交する所定方向をX軸方向とし、これらX軸方向及びY軸方向に直交する方向をZ軸方向とする。なお、図33の例では、レーザダイオード10からのレーザ光の出射方向がX軸方向となっている。また、図33〜図35では中心軸42aを一点鎖線にて概念的に示している。
参考例11のレーザレーダ装置1200でも、レーザダイオード10(レーザ光発生手段)からレーザ光L1が発生したときに、検出物体によって反射されるレーザ光L1の反射光(符号L2参照)をフォトダイオード20(光検出手段)によって検出する構成をなしている。レーザダイオード10からX軸方向に出射されたレーザ光L1はミラー1230によってほぼ直角に反射され、偏向部1241のほぼ中央付近に入光するようになっている。
回動偏向機構1240は、中心軸42aを中心として回動可能に構成された偏向部1241を備えており、この偏向部1241によりレーザ光L1を空間に向けて偏向させ、且つ検出物体からの反射光をフォトダイオード20に向けて偏向する構成をなしている。また、回動偏向機構1240の偏向部1241は、モータ50により中心軸42aを中心として回転駆動される構成となっている。なお、参考例11では、モータ50及び制御回路70が「駆動手段」として機能している。
図34、図35に示すように、偏向部1241は、ミラー1230によって反射されたレーザ光L1の入射位置に積層状態で配置される複数の反射層1241a〜1241eを備えている。これら複数の反射層1241a〜1241eは、最下層の反射層1241aがミラーによって構成されており、最下層以外の反射層1241b〜1241eがハーフミラーによって構成されている。ミラー1230によって反射されたレーザ光L1は、最下層以外の反射層1241b〜1241eにおいて反射及び透過され、最下層の反射層1241aによって反射されるようになっている。また、図35に示すように、各反射層1241a〜1241eは、レーザ光L1の反射方向がそれぞれ異なるように構成されている。
また、複数の反射層1241b〜1241eによってそれぞれ反射された複数の反射レーザ光La〜Leのいずれかを選択するレーザ光選択装置1202が設けられている。このレーザ光選択装置1202は、遮光ユニット1210と、この遮光ユニット1210を直線的に駆動するリニアアクチュエータ1218とを備えており、遮光ユニット1210をリニアアクチュエータ1218によって駆動することで、反射レーザ光La〜Leのいずれかを空間側に導き、他を遮断するように、検出に用いる反射レーザ光を選択的に切り替えている。なお、参考例11では、レーザ光選択装置1202が、「レーザ光選択手段」の一例に相当している。
遮光ユニット1210は、偏向部1241の周囲に環状に配置される一対の環状遮光部1211,1212を備えると共に、これら一対の環状遮光部1211,1212が中心軸42aの方向に距離を隔てて配置され、かつ連結部材1214によって連結されている。また、両環状遮光部1211,1212の間には反射レーザ光La〜Leのいずれかを通過させるスリット1213が偏向部1241のほぼ全周囲にわたって形成されている。
リニアアクチュエータ1218は、「変位手段」の一例に相当するものであり、制御回路70による指令に応じて一対の環状遮光部1211,1212を一体的に変位させる構成をなしている。レーザ光選択装置1202は、リニアアクチュエータ1218の駆動により遮光ユニット1210を変位させてスリット1213の位置を変化させている。このようにスリット1213の位置が切り替えられると、検出に用いる反射レーザ光(即ち空間に向かう反射レーザ光)の選択が切り替えられることとなり、ひいては偏向部1241から空間に向かうレーザ光の向きが中心軸42aの方向に関して変化することとなる。なお、図33の例では、反射層1241aからの反射レーザ光Laが選択された様子を示しており、検出物体からの反射光は符号L2の間の領域の反射光が偏向部1241に取り込まれることとなる。また、遮光ユニット1210が変位されることにより反射層1241eからの反射レーザ光Leが選択されると、符号L1'のような経路で空間に向かうこととなり、この場合には符号L2'の間の領域の反射光が偏向部1241に取り込まれることとなる。
参考例11の構成によれば、レーザ光を空間に向けて偏向させ、且つ検出対象からの反射光を光検出手段に向けて偏向する偏向手段が所定の中心軸を中心として回動可能とされるため、装置の周囲にわたる検出が可能となる。また、偏向手段がレーザ光発生手段からのレーザ光の入射位置に積層状態で配置される複数の反射層を備え、これら複数の反射層の少なくとも最下層以外の反射層がレーザ光を反射及び透過する構成をなし、且つ各反射層によるレーザ光の反射方向がそれぞれ異なるように構成されている。そして、複数の反射層によってそれぞれ反射された複数の反射レーザ光のいずれかを空間側に導き、他を遮断するように、検出に用いる反射レーザ光の選択を切り替え、これにより偏向手段から空間に向かうレーザ光の向きを中心軸の方向に関して変化させている。このようにすれば、レーザ光の向きを、中心軸と直交する平面方向だけでなく、中心軸の方向にも変化させることができるため、検出を三次元的に行うことができるようになる。
また、複数の反射層における少なくとも最下層以外がハーフミラーによって構成されている。このようにすればレーザ光発生手段からのレーザ光を各反射層において反射及び透過し得る構成を簡易かつ良好に実現できる。
また、偏向手段の周囲に環状に配置される環状遮光部が中心軸の方向に距離を隔てて一対設けられ、かつ両環状遮光部の間に反射レーザ光を通過させるスリットが形成されている。そして、これら一対の環状遮光部を変位手段によって一体的に変位させており、その変位動作を制御手段によって制御している。このようにすれば、複数の反射レーザ光のいずれかを空間側に導き、他を遮断するように、検出に用いる反射レーザ光の選択を切り替える構成を好適に実現できる。特に、偏向手段がどのような回動位置となってもレーザ光の選択の切り替えが良好に行われるようになり、装置の周囲にわたる検出を行う上で極めて有利となる。
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
上記実施形態では、回動偏向手段から光検出手段に至るまでの反射光の光路上に、光検出手段に向けて反射光を集光する集光手段が設けられていたが、このような集光手段を省略すると共に比較的大型の光検出手段によって検出を行うようにしてもよい。
上記実施形態では、回動偏向手段から光検出手段に至るまでの反射光の光路上に、反射光を透過させ、且つ反射光以外の光を除去する光選択手段が設けられていたが、このような光選択手段を省略することもできる。
第5実施形態では、「アクチュエータ」が、偏向手段の特定部位の位置を変化させる4つのピエゾアクチュエータによって構成されていたが、4以外の複数であってもよい。
上記いずれの実施形態のレーザレーザ装置も、工場内のエリアセンサやセーフティセンサとして用いると極めて有用である。