JP5266069B2 - ケージ - Google Patents

Description

本発明は、変性した椎間板を除去した後に、除去した椎間板の代わりに、一対の椎体の間に介在するためのケージに係り、さらに詳細には、一対の椎体間へのケージの設置を容易に行うことができ、かつ上記設置後には移動することなく定位置を保持する定位置保持性が良好なケージに関する。

変性した椎間板を除去した後に、除去した椎間板の代わりにケージを一対の椎体間に配置することは従来から行われており、種々の形状のケージが開発されており、本発明に最も近いと思われる形状のケージは特開平８−２６６５６５号公報に記載されている。

特開平８−２６６５６５号公報

前記特許文献１に記載のケージ８１は、図９に示すごとき構成である。すなわち、ケージ８１におけるケージ本体８３は、全体的構成としてテーパ状に形成してあり、ケージ本体８３の左右の側面８５は円滑な平面に形成してある。そして、上下の両面は円弧状の曲面に形成してある。そして、ケージ本体８３には前後方向の穴８７が形成してあり、この穴８７の断面形状は上下方向に長い長円形状であり、かつ穴８７の後端は壁部８９によって閉じてある。前記ケージ本体８３における左右の側面８５には、前記穴８７に連通した連通穴９１Ａ，９１Ｂがそれぞれ設けてあると共に、上下両面には前後方向に長い長穴９３が形成してある。

そして、前記ケージ本体８３の外周面、より正確には、上下両面にはねじ山９５が形成してある。上記ねじ山９５は、側面８５が平面に形成してあること、及び上下両面に長穴９３が形成されていることにより寸断されているものの、後端部の一条のねじ山９５Ａは、寸断されることなくケージ本体８３を一周するように形成されている。さらに、前記ケージ本体８３の前端面には、前記ケージ８１を一対の椎体の間にセットするときの工具を係合するための工具係合部９７が形成してある。

したがって、上述のごときケージ８１においては、変性した椎間板を除去した後に、上下一対の椎体間へケージ８１を配置するには、ケージ本体８３の後端部に形成したねじ山９５Ａが上下の椎体に最初に食い込んで移動するようにケージ本体８３を回転し乍ら一対の椎体間へケージ本体８３を押進する必要があるものであって、ケージ本体の設置作業が中々厄介である。

また、ケージ本体８３がテーパ形状であること、穴８７の断面形状が上下方向の長穴の形状であること、連通穴９１Ａ，９１Ｂ及び長穴９３の形状、寸法がそれぞれ異なること、などにより製造コストが高くなるという問題がある。

さらに、ねじ山９５は寸断されてはいるものの、長い線状であるので、椎体に対する喰い込み性に問題があり、一対の椎体間にケージ８１を配置した後に、時としてケージ８１に位置ずれを生じることがある等の問題がある。

本発明は、前述のごとき問題に鑑みてなされたもので、一対の椎骨の間に介在するためのケージであって、ケージ本体においての左右の両側面をそれぞれ円滑面に形成し、かつ上記ケージ本体の上下両面に、前後方向及び左右方向に配置した多数の突出部を備え、上記多数の突出部の先端面は、前後方向の軸心を中心とした円弧状の曲面にほぼ一致してあり、前記多数の突出部において、左右の両側面に近い突出部の内側の端縁がより鋭角に形成してあることを特徴とするものである。

また、前記ケージにおいて、前記ケージ本体には前後方向に貫通した前後方向貫通穴が形成してあり、かつケージ本体における左右の両側面及び上下両面には、前記前後方向貫通穴に連通した連通穴が設けられていることを特徴とするものである。

また、前記ケージにおいて、前記連通穴は同一径の丸穴であり、かつ左右両側面及び上下両面の連通穴は前記軸心に対し直交する同一平面内に配置してあることを特徴とするものである。

また、前記ケージにおいて、前記左右の両側面及び上下両面に備えた連通穴において互いに隣接した連通穴の外周縁の間隔は、当該連通穴の半径寸法よりも小さな間隔寸法であることを特徴とするものである。

また、前記ケージにおいて、前記ケージ本体は先端側が小径のテーパ形状であることを特徴とするものである。

本発明によれば、ケージにおいて円滑面に形成した両側面が上下の椎体と対面するように横倒して、上下一対の椎体間へケージを挿入した後、ケージ本体を９０°回動すると、上下両面に形成した多数の突出部が上下の椎体と対向することとなり、多数の突出部が椎体に喰い込むことになる。したがって、椎体間にケージを配置した後に、ケージの位置ずれを生じるようなことがなく、椎体の間に安定した状態に配置することができるものである。

また、上下の多数の突出部の先端面が円弧状の曲面に一致してあることにより、上下の推体における上下面の凹曲面に対応し得るものである。

本発明の実施形態に係るケージの正面側の斜視説明図である。 本発明の実施形態に係るケージの背面側の斜視説明図である。 本発明の実施形態に係るケージの背面説明図である。 上下の椎体の間にケージを配設した状態を示す説明図である。 第２の実施形態に係るケージの外形を示す説明図である。 第３の実施形態に係るケージの外形を示す説明図である。 ケージの実際の使用例を示す説明図である。 ケージの実際の使用例を示す説明図である。 従来のケージの構成を示す斜視説明図である。

図１、図２を参照するに、本発明の実施形態に係るケージ１は、ケージ本体３を備えている。このケージ本体３は前後方向に長く形成してあり、このケージ本体３には、前後方向に貫通した大径の前後方向貫通穴５が形成してある。前記貫通穴５の前端部（小径穴）５Ａは、ケージ本体３における前端壁部７に小径の穴に形成してある。そして、この小径の穴５Ａの上下には、工具（図示省略）を係合するための工具係合凹部９が形成してある。

前記ケージ本体３における左右の側面１１Ｌ，１１Ｒは、互いに平行な平面であって円滑面（平滑面）に形成してある。そして、前記ケージ本体３の上下面１３Ｕ，１３Ｌは、ケージ本体３における前後方向の軸心１５（図３参照）を中心とする円弧状の曲面に形成してある。すなわち、ケージ本体３の概略的な形状は、円筒体の左右両側を平面に切り落して、側面１１Ｌ，１１Ｒを形成した形態に構成してある。さらに、前記軸心１５に対して直交する同一平面であって、前記ケージ本体３における前記左右の側面１１Ｌ，１１Ｒ及び上下面１３Ｕ，１３Ｌには、前記貫通穴５に連通した連通穴１７がそれぞれ適数設けられている。上記各連通穴１７は形状、寸法が同じ穴であり、本例においては、応力集中を回避するために、同一径の丸穴に形成してある。

さらに、前記ケージ本体３の上下両面１３Ｕ，１３Ｌには、断面形状が小さな四角形状をなす多数の突出部１９が前後、左右方向に独立して備えられている。上下両面からの前記各突出部１９の突出長さはほぼ等しく、上記各突出部１９の先端面は、前記軸心１５を中心とする円弧状の曲面にほぼ一致してある。前記各突出部１９は、前記ケージ本体３の上下両面１３Ｕ，１３Ｌに、それぞれ前後方向（長手方向）の複数本の溝２１Ａを平行に、かつ左右方向の複数本の溝（周溝）２１Ｂを長手方向に並列して形成することにより、各溝２１Ａ，２１Ｂによって区画された領域に形成されるものである。

換言すれば、前記多数の突出部１９は、ケージ本体３の円弧状の曲面に、長手方向の溝２１Ａを周方向に並列して形成し、かつ周方向の溝２１Ｂを長手方法へ並列して形成することにより形成されるものであり、多数の突出部１９を容易に形成し得るものである。

前記ケージ本体３の左右方向の幅寸法は、上下方向の幅寸法より小さく構成してある。すなわち、左右の側面１１Ｌ，１１Ｒ間の幅寸法は、上下両面の突出部１９の先端部がほぼ一致する円弧状の曲面の直径よりも小さな寸法である。

ところで、多数の突出部１９を形成する構成としては、ケージ本体３の上下両面にそれぞれねじ山を形成し、このねじ山を長手方向の溝２１Ａによって複数に分割することによっても形成可能である。さらに、前記溝２１Ａ，２１Ｂの構成としては、前述したように、互いに直交するように形成してもよく、または、クロスハッチングと同様に、前記溝２１Ａ，２１Ｂが斜めに交差するように溝２１Ａ，２１Ｂを形成することも可能である。さらに、前記突出部１９をピン状に形成することも可能である。

以上のごとき構成において、変性した椎間板を除去して、図４に示すように、上下の一対の椎骨（椎体）２３の間にケージ１を介在配設するには、ケージ１における左右の側面１１Ｌ，１１Ｒが上下の椎体２３と対向するように、すなわち、前記側面１１Ｌ，１１Ｒが上下面となるようにケージ１を横倒しにする。そして、ケージ１を横倒しにした状態において、上下の椎体２３の間にケージ１を挿入する。

上述のごとく、上下の椎体２３の間にケージ１を挿入するとき、上下の椎体２３に対向した側面１１Ｌ，１１Ｒは円滑な面に形成してあるので、挿入時の抵抗が小さく、容易に挿入することができる。そして、上下の椎体２３の間にケージ１を挿入し位置決めを行った後、工具によってケージ１を右回りに、又は左回りの適宜方向へ９０°回動すると、多数の突出部１９を備えた上下面１３Ｕ，１３Ｌが上下の椎体２３に対向することになる。

この際、多数の突出部１９における先端部は、ケージ１の前後方向の軸心１５を中心とする円弧状の曲面にほぼ一致してあるので、また椎体２３の上下両面は凹状の湾曲面（凹曲面）であることにより、前記突出部１９の先端部が上下の椎体２３と干渉する場合であっても、ケージ１を容易に回動することができるものである。そして、ケージ１の上下両面が上下の椎体２３と対向すると、上下両面に備えた多数の突出部１９の先端部に応力が集中し、各突出部１９の先端部が上下の椎体２３に食い込むこととなり、位置決めした定位置から移動するようなことがないものである。したがって、上下の椎体２３の間へのケージ１の挿入を容易に行うことができ、かつ定位置からの位置ずれを防止することができるものである。

ところで、図３より明らかなように、多数の突出部１９の先端部が円弧状の曲面に一致してあることにより、左右の両側面に近い突出部１９の内側の端縁１９Ａがより鋭角となり、上下の椎体２３に対する食込み性がより向上するものである。すなわち、位置ずれ防止を効果的に行うことができるものである。

なお、図４には、上下の椎体２３の間にケージ１を１個配置した場合について図示してあるが、ケージ１は、図７，８に示すように、上下の椎体２３の間に２個を並列に配置して使用するものである。

以上のごとき説明より理解されるように、ケージ本体３の上下両曲面には多数の突出部１９が設けられているので、上下の椎体２３に対する食込み性が向上し、上下の椎体２３の間に配置した状態の安定性が向上するものである。

また、ケージ本体３には、前後方向の大径の貫通穴５が形成してあるので、移植骨を前記貫通穴５内に収容することができるものである。この移植骨は左右両側面１１Ｌ，１１Ｒ及び上下両面に形成した連通穴１７を経て成長することにより、上下の椎体と癒合することができるものである。すなわち骨癒合を促進することができるものである。

さらに、前記ケージ１の左右側面１１Ｌ，１１Ｒ及び上下両曲面に形成した連通穴１７は同一径の丸穴に形成してあるので、応力集中を回避でき、剛性の向上、軽量化を図ることができると共に、連通穴１７の加工（形成）が容易であり、ケージ１の製造を安価に行うことができる。

図５は、第２の実施形態に係るケージ１Ａを示すもので、このケージ１Ａにおいては、ケージ本体３に形成した連通穴１７において互いに隣接した連通穴１７の外周縁の間隔１７Ａの寸法は、前記連通穴１７の半径寸法よりも小さな間隔寸法に設定してある。この構成によれば、貫通穴５内に収容された移植骨とケージ１Ａの外側に配置された移植骨とが接触する面積が大きくなり、骨癒合を効果的に促進することができるものである。

図６は、第３の実施形態に係るケージ１Ｂを示すもので、このケージ１Ｂにおいては、先端側が小径のテーパ形状に構成してあり、その他の構成は前述したケージと同様の構成である。この構成によれば、テーパ形状であることにより、椎体間への配置が容易であると共に前述したケージと同様の効果を奏し得るものである。

図７，図８は、上下の椎体２３の間に２個のケージ１を配置し、かつ上下の椎体２３をスクリュー、ロッドなどのごとき適宜のインプラントによって連結した実際の使用例を示すものである。

１ ケージ
３ ケージ本体
５ 前後方向貫通穴
１１Ｌ，１１Ｒ 左右の側面
１３Ｕ，１３Ｌ 上下面
１５ 軸心
１７ 貫通穴
１９ 突出部
１９Ａ 内側の端縁
２３ 椎体（椎骨）

Claims (5)

1. 一対の椎骨の間に介在するためのケージであって、ケージ本体においての左右の両側面をそれぞれ円滑面に形成し、かつ上記ケージ本体の上下両面に、前後方向及び左右方向に配置した多数の突出部を備え、上記多数の突出部の先端面は、前後方向の軸心を中心とした円弧状の曲面にほぼ一致してあり、前記多数の突出部において、左右の両側面に近い突出部の内側の端縁がより鋭角に形成してあることを特徴とするケージ。
2. 請求項１に記載のケージにおいて、前記ケージ本体には前後方向に貫通した前後方向貫通穴が形成してあり、かつケージ本体における左右の両側面及び上下両面には、前記前後方向貫通穴に連通した連通穴が設けられていることを特徴とするケージ。
3. 請求項２に記載のケージにおいて、前記連通穴は同一径の丸穴であり、かつ左右両側面及び上下両面の連通穴は前記軸心に対し直交する同一平面内に配置してあることを特徴とするケージ。
4. 請求項２又は３に記載のケージにおいて、前記左右の両側面及び上下両面に備えた連通穴において互いに隣接した連通穴の外周縁の間隔は、当該連通穴の半径寸法よりも小さな間隔寸法であることを特徴とするケージ。
5. 請求項１〜４のいずれかに記載のケージにおいて、前記ケージ本体は先端側が小径のテーパ形状であることを特徴とするケージ。

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