JP5264591B2 - 排ガス処理およびNa系化合物製造システム、および方法 - Google Patents

排ガス処理およびNa系化合物製造システム、および方法 Download PDF

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Description

本発明は、排ガス中の酸性ガスを中和剤を用いて除去し、前記酸性ガスと前記中和剤の反応残渣からNa系化合物を製造する排ガス処理およびNa系化合物製造システム、および方法に関するものである。
廃棄物の焼却炉や溶融炉から排出される排ガス中の塩化水素(HCl)や硫黄酸化物(SO)等の酸性ガスを、炭酸水素ナトリウム(重曹:NaHCO)等を主成分としたナトリウム系の中和剤や、水酸化カルシウム[消石灰:Ca(OH)]等を主成分としたカルシウム系の中和剤と反応させて中和し、その中和反応によって生成した反応生成物をバグフィルタ等の集塵装置によって分離することで、前記排ガス中から酸性ガスを除去し、浄化することが行われている。
特許文献1には、排ガス中の酸性ガスとカルシウム系中和剤とを反応させて中和し、その中和反応によって生成したCa系反応生成物と未反応のカルシウム系中和剤を含む残渣を分離除去する第1段の浄化処理を行った後、前記第1段の浄化処理後の排ガスと前記ナトリウム系中和剤とを反応させて中和し、その中和反応によって生成したNa系反応生成物と未反応のナトリウム系中和剤を含む残渣を分離除去する第2段の浄化処理を行う酸性ガス除去装置および酸性ガス除去方法が開示されている。
前記カルシウム系中和剤を用いた第1段の浄化処理によって、排ガス中の酸性ガスをある程度(例えば所望の除去率の8割程度)の低濃度まで低減する処理を行い、その後、前記ナトリウム系中和剤を用いた第2段の浄化処理を行うことにより、排ガス中の酸性ガスの中和によって生じる中和反応生成物および未反応の中和剤等を含む残渣の総発生量が低減でき、前記残渣の最終処理に要する費用も低減できる。
ここで、前記残渣のうち、前記ナトリウム系中和剤を用いた浄化処理によって生じた残渣(前記Na系反応生成物および未反応のナトリウム系中和剤を含む)には、排ガス中の塩化水素(HCl)と重曹(NaHCO)等のナトリウム系中和剤の反応によって生成した塩化ナトリウム(NaCl)が含まれており、当該NaClを回収し、工業的に再利用することが検討されている(特許文献2)。
一方、前記カルシウム系中和剤を用いた浄化処理によって生じた残渣(前記Ca系反応生成物および未反応のカルシウム系中和剤)は、埋め立てることによって最終処理されているのが現状である。しかしながら、特許文献1では、排ガス中に高濃度の酸性ガスが含まれる場合、前記第1段の浄化処理によって用いられるカルシウム系中和剤の量は多くなり、Ca系の前記残渣の量も多くなる。したがって、前記残渣の総発生量の更なる低減が求められる。
本発明は、このような実状に鑑みなされたものであり、その目的は、排ガス中の酸性ガスをカルシウム系およびナトリウム系の中和剤を用いて除去、浄化し、前記ナトリウム系中和剤を用いた浄化処理によって生じたNa系残渣からNa系化合物を製造するにあたり、前記カルシウム系の中和剤を用いた浄化処理によって生じたCa系残渣を利用し、最終的に処理される残渣量を減らすことができる排ガス処理およびNa系化合物製造システム、および方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の第1の態様に係る排ガス処理およびNa系化合物製造システムは、排ガス中の酸性ガスをカルシウム系中和剤と反応させ、該反応によって生成したCa系反応生成物を含むCa系残渣を前記排ガス中から除去するカルシウム系中和処理手段と、排ガス中の酸性ガスをナトリウム系中和剤と反応させ、該反応によって生成したNa系反応生成物を含むNa系残渣を前記排ガス中から除去するナトリウム系中和処理手段と、を備えた排ガス処理装置と、前記ナトリウム系中和処理手段において前記排ガス中から除去されたNa系残渣から、Na系化合物を製造するNa系化合物製造装置と、を備えた排ガス処理およびNa系化合物製造システムであって、前記Na系化合物製造装置は、前記Na系残渣を水に溶解した溶解液中に、沈殿剤を入れるように構成された沈殿槽を備え、前記沈殿槽に、前記沈殿剤として前記Ca系残渣を入れるように構成されたことを特徴とするものである。
本態様に係る排ガス処理およびNa系化合物製造システムは、排ガス中の酸性ガスを、カルシウム系中和剤を用いて処理するカルシウム系中和処理手段と、ナトリウム系中和剤を用いて処理するナトリウム系中和処理手段と、を備えた排ガス処理装置を備えている。
カルシウム系中和処理手段では、排ガス中の酸性ガス[塩化水素(HCl)、硫黄酸化物(SO)等]と、カルシウム系中和剤とを反応させ、該反応によって生成したCa系反応生成物[塩化カルシウム(CaCl)、硫酸カルシウム(CaSO)等]を含むCa系残渣が、前記排ガス中から除去される。
ナトリウム系中和処理手段では、排ガス中の酸性ガス[塩化水素(HCl)、硫黄酸化物(SO)等]と、ナトリウム系中和剤とを反応させ、該反応によって生成したNa系反応生成物[塩化ナトリウム(NaCl)、硫酸ナトリウム(NaSO)等]を含むNa系残渣が、前記排ガス中から除去される。
本態様に係る排ガス処理およびNa系化合物製造システムは、更に、前記ナトリウム系中和処理手段において排ガス中から除去されたNa系残渣から、例えば塩化ナトリウムのようなNa系化合物を製造するNa系化合物製造装置を備えている。このことによって、Na系残渣を利用してNa系化合物を製造し、最終処理する残渣を減らし、当該最終処理にかかる費用を低減することができる。
ここで、前記Na系化合物製造装置は、前記Na系残渣を水に溶解した溶解液中に、沈殿剤を入れるように構成された沈殿槽を備えている。そして、前記沈殿槽に、前記沈殿剤として前記Ca系残渣を入れるように構成されている。
Na系残渣を水に溶解した溶解液中には、排ガス中の硫黄酸化物(SO)と、ナトリウム系中和剤との反応によって生じたNa系反応生成物である硫酸ナトリウム(NaSO)が含まれている。当該溶解液中に前記Ca系残渣を入れると、該Ca系残渣中に含まれる塩化カルシウム(CaCl)と、Na系残渣中に含まれる硫酸ナトリウム(NaSO)が反応して塩化ナトリウム(NaCl)が生成し、硫酸カルシウム(CaSO)を沈殿除去することができる。
本態様によれば、ナトリウム系中和処理手段において前記排ガス中から除去された前記Na系残渣から、Na系化合物を製造し、最終処理される残渣の量を減らすことができるとともに、カルシウム系中和処理手段において前記排ガス中から除去された前記Ca系残渣を、前記Na系化合物の製造のために利用するので、最終処理される残渣の量を更に減らすことができる。
本発明の第2の態様に係る排ガス処理およびNa系化合物製造システムは、第1の態様において、前記ナトリウム系中和処理手段の上流側に、前記カルシウム系中和処理手段が設けられていることを特徴とするものである。
水酸化カルシウム(以下、消石灰と称する場合がある)等のカルシウム系中和剤は、比較的安価であるものの、排ガス中に含まれる酸性ガスが高濃度である場合に、排ガス規制を満たす所望の酸性ガス除去率を得るためには、その反応性の点から相当多量(過剰量)に該カルシウム系中和剤を供給する必要がある。その結果、中和反応によって生成したCa系反応生成物を含むCa系残渣が多量となってしまう。
一方、炭酸水素ナトリウム(以下、重曹と称する場合がある)や炭酸ナトリウム等のナトリウム系中和剤は、カルシウム系中和剤よりも少ない供給量で、排ガス規制を満たす所望の酸性ガス除去率を得ることができる点で性能的に優れているが、該ナトリウム系中和剤はカルシウム系中和剤に比して薬剤コストが高い。
本態様によれば、排ガス中に含まれる酸性ガスが高濃度である場合、排ガス処理装置の上流側に設けられたカルシウム系中和処理手段によって第1段の中和処理が行われ、前記排ガス中の高濃度の酸性ガスをある程度の低濃度(例えば所望の除去率の8割〜9割程度)にまで低減することができる。排ガス中の高濃度の酸性ガスをある程度の低濃度に低減する場合には、該カルシウム系中和剤のみによって排ガス規制を満たす所望の酸性ガス除去率を達成する場合ほどの過剰量を必要としない。
すなわち、カルシウム系中和剤のみによって排ガス規制を満たす所望の酸性ガス除去率を達成する場合に使用するカルシウム系中和剤の量を基準にした場合、その基準量の8割〜9割以下のカルシウム系中和剤の量によって、前記低濃度(所望の除去率の8割〜9割程度)とすることができる。これにより、該カルシウム系中和剤の使用量を大幅に減らすことができ、以って、当該カルシウム系中和剤と酸性ガスとの反応によって生成したCa系反応生成物を含むCa系残渣の量も低減することができる。
続いて、酸性ガスの濃度が低くなった該排ガスに対して、ナトリウム系中和処理手段による第2段の中和処理が行われる。ナトリウム系中和剤は、前述のようにカルシウム系中和剤よりも少ない供給量で高い酸性ガス除去率を得ることができる上、低濃度の酸性ガスを更に高次の低濃度に浄化する能力において、カルシウム系中和剤よりも優れている。そのため、第1段の中和処理後の排ガス中に含まれる残りの酸性ガスを、少ない量のナトリウム系中和剤によって効率よく除去することができ、以って、当該ナトリウム系中和剤と酸性ガスとの反応によって生成したNa系反応生成物を含むNa系残渣の量も低減することができる。
このことによって、Ca系残渣およびNa系残渣の総発生量を大幅に低減することができるので、前記Ca系残渣および前記Na系残渣を再利用した後に発生する最終処理物の量も減らすことができ、その最終処理費用を低減することができる。
本発明の第3の態様に係る排ガス処理およびNa系化合物製造システムは、第1の態様または第2の態様において、前記Na系化合物は、塩化ナトリウムであることを特徴とするものである。
本態様によれば、第1の態様または第2の態様と同様の作用効果を奏し、前記Na系残渣から塩化ナトリウムを製造することができる。
本発明の第4の態様に係る排ガス処理およびNa系化合物製造システムは、第1の態様または第2の態様において、前記Na系化合物は、炭酸水素ナトリウムであることを特徴とするものである。
本態様によれば、第1の態様または第2の態様と同様の作用効果を奏し、前記Na系残渣から炭酸水素ナトリウムを製造することができる。
本発明の第5の態様に係る排ガス処理およびNa系化合物製造システムは、第1の態様から第4の態様のいずれか一つの態様において、前記カルシウム系中和剤は水酸化カルシウムの粉末を主成分とするものであり、前記ナトリウム系中和剤は炭酸水素ナトリウムの粉末を主成分とするものであることを特徴とするものである。
水酸化カルシウム[Ca(OH)]、すなわち消石灰は、比較的安価であり、常温の大気中で安定な化合物であるため扱いやすい。また、粉末の消石灰を用いることによって、比表面積を大きくし、排ガス中の酸性ガスとの反応性を高めることができる。
一方、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、すなわち重曹の粉末を主成分とする中和剤は、カルシウム系中和剤よりも少ない供給量で高い酸性ガス除去率を得ることができる。これは、以下のような理由によるものと考えられている。
塩化水素(HCl)や硫黄酸化物(SO)等の酸性ガスとの中和反応によってCOとHOのガスが発生する。COとHOのガスが重曹粉末の粒子内部から放出されると、該粒子の比表面積が大きくなり、また、これによって反応生成物NaClやNaSOで覆われた粒子表面が更新され、フレッシュな重曹が再び中和反応を開始するため、前記酸性ガスとの反応性が、消石灰等のカルシウム系中和剤よりも高い。その炭酸水素ナトリウム(重曹)の粉末を主成分とするナトリウム系中和剤を用いることによって、前記水酸化カルシウムの粉末を主成分とするカルシウム系中和剤の使用量を減らし、排ガス中の酸性ガスの除去をより効果的に行うことができる。
本発明の第6の態様に係る排ガス処理およびNa系化合物製造システムは、第1の態様から第5の態様のいずれか一つの態様において、前記カルシウム系中和処理手段および前記ナトリウム系中和処理手段の上流側に、除塵手段が設けられていることを特徴とするものである。
本態様によれば、前記カルシウム系中和処理手段および前記ナトリウム系中和処理手段の上流側において、バグフィルタ、電気集塵機等の除塵手段によって排ガス中のダスト(灰分、重金属、未燃カーボン等)を除去し、除塵後の排ガスに対してカルシウム系中和剤やナトリウム系中和剤を用いた中和処理を行うので、該中和反応を効果的に行うことができる。
また、前記カルシウム系中和処理手段において除去されるCa系残渣中、および前記ナトリウム系中和処理手段において除去されるNa系残渣中には、前記ダストは含まれない。したがって、ダストを含まないNa系残渣からNa系化合物を製造することができると共に、ダストを含まないCa系残渣を前記Na系化合物の製造に利用することができる。
本発明の第7の態様に係る塩化ナトリウム製造方法は、酸性ガスを含む排ガス中にカルシウム系中和剤を供給し、前記カルシウム系中和剤が排ガス中の酸性ガスと反応して生成するCa系反応生成物を含むCa系残渣を除去するCa系中和工程と、酸性ガスを含む排ガス中にナトリウム系中和剤を供給し、前記ナトリウム系中和剤が排ガス中の酸性ガスと反応して生成するNa系反応生成物を含むNa系残渣を除去するNa系中和工程と、前記Na系中和工程において前記排ガス中から除去されたNa系残渣からNa系化合物を製造するNa系化合物製造工程と、を含む排ガス処理およびNa系化合物製造方法であって、前記Na系化合物製造工程は、前記Na系残渣を水に溶解した溶解液中に、沈殿剤を入れて行う沈殿工程を含み、前記溶解液中に、前記沈殿剤として前記Ca系残渣を入れて、前記沈殿工程を行うことを特徴とするものである。本態様によれば、前記第2の態様と同様の作用効果を奏する。
本発明によれば、排ガス中に含まれる酸性ガスを、カルシウム系およびナトリウム系の中和剤を用いて処理する際に生成するNa系残渣からNa系化合物を製造し、最終処理されるNa系残渣の量を低減することができるとともに、前記Na系化合物の製造にCa系残渣を利用することによって、最終処理されるCa系残渣の量も低減することができ、酸性ガス除去の際に発生する残渣の全体量を減らすことができる。以って、その残渣の最終処理にかかるコストを低減することができる。
本発明の一実施形態に係る排ガス処理およびNa系化合物製造システムを示す概略構成図である。 本発明の他の実施形態に係る排ガス処理およびNa系化合物製造システムを示す概略構成図である。 本発明の更に他の実施形態に係る排ガス処理およびNa系化合物製造システムを示す概略構成図である。 本発明の更に他の実施形態に係る排ガス処理およびNa系化合物製造システムを示す概略構成図である。 本発明の更に他の実施形態に係る排ガス処理およびNa系化合物製造システムを示す概略構成図である。 本発明の更に他の実施形態に係る排ガス処理およびNa系化合物製造システムを示す概略構成図である。
以下、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限られるものではない。
本発明に係る排ガス処理およびNa系化合物製造システムの一実施形態を図1に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る排ガス処理およびNa系化合物製造システムを示す概略構成図である。
[実施例1]
本実施例に係る排ガス処理およびNa系化合物製造システム1は、排ガス中の酸性ガスを、カルシウム系中和剤およびナトリウム系中和剤を用いて中和処理する排ガス処理装置2と、前記排ガス処理装置2においてナトリウム系中和剤を用いた中和処理を行った際に生成するNa系残渣から、Na系化合物を製造するNa系化合物製造装置として、塩化ナトリウム製造装置3を備えている。
まず、前記排ガス処理装置2について説明する。該排ガス処理装置2は、排ガス中の酸性ガスを、カルシウム系中和剤を用いて処理するカルシウム系中和処理手段4と、ナトリウム系中和剤を用いて処理するナトリウム系中和処理手段5と、を備えている。実施例1においては、前記ナトリウム系中和処理手段5の上流側に、前記カルシウム系中和処理手段4が設けられている。
カルシウム系中和処理手段4は、焼却炉や溶融炉等の排ガス発生源(図示せず)から、HCl、SO等の酸性ガスを含む排ガスが送られる排ガス流路6内に、カルシウム系中和剤を供給するCa系中和剤供給部8と、前記排ガス中の酸性ガスと前記カルシウム系中和剤とが反応して生成したCa系反応生成物(CaCl、CaSO等)を含むCa系残渣7を、前記排ガス中から除去するCa系残渣除去手段9とによって構成されている。尚、前記Ca系残渣7には、前記Ca系反応生成物の他、未反応の前記カルシウム系中和剤や排ガス中に含まれているダスト等が含まれている。前記Ca系残渣除去手段9としては、バグフィルタ等を用いることができる。
前記カルシウム系中和処理手段4の出口、すなわち前記Ca系残渣除去手段9の出口には、当該カルシウム系中和処理手段4における中和処理後の排ガス中の酸性ガス濃度を測定する酸性ガス濃度測定器を備えることが望ましい。カルシウム系中和処理手段4の出口において測定した排ガス中の酸性ガス濃度に応じて、前記Ca系中和剤供給部8から供給するカルシウム系中和剤の量を調整することによって、使用するカルシウム系中和剤の量を必要最小限にすることができる。
更に、前記カルシウム系中和処理手段4に送られてくる排ガス中の酸性ガス濃度を予め測定する酸性ガス濃度測定器を備え、測定した酸性ガス濃度に応じて、前記Ca系中和剤供給部8が供給するカルシウム系中和剤の量を調整することによって、使用するカルシウム系中和剤の量を一層低減することができる。このとき、カルシウム系中和処理手段4において、排ガス中に含まれる酸性ガスの濃度が、所望の酸性ガス除去率の8割〜9割程度の低濃度になるように、中和反応に用いる前記カルシウム系中和剤の量を調整することが望ましい。
カルシウム系中和剤としては、水酸化カルシウム[Ca(OH)]、炭酸カルシウム(CaCO)等を主成分としたものが挙げられる。特に、水酸化カルシウムは、比較的安価であり、常温の大気中で安定な化合物であるため扱いやすい。また、粉末の水酸化カルシウムを用いることによって、比表面積を大きくし、排ガス中の酸性ガスとの反応性を高めることができるので、水酸化カルシウムの粉末を主成分としたカルシウム系中和剤を用いることが好ましい。以下、本実施例では水酸化カルシウムの粉末を主成分としたカルシウム系中和剤を用いた場合について説明する。
前記水酸化カルシウムの粉末を主成分としたカルシウム系中和剤を用いた場合に、排ガス中の酸性ガス[HCl、SO]が中和される反応を反応式(1)および反応式(2)に示す。
Ca(OH) + 2HCl → CaCl + 2HO ・・・(1)
Ca(OH) + SO + 1/2O → CaSO + HO ・・・(2)
前記水酸化カルシウムの粉末を主成分としたカルシウム系中和剤を用いた際のCa系残渣には、主として前記中和反応の生成物であるCaCl、CaSO、CaSO等、および未反応のCa(OH)が含まれている。その他、排ガス中に含まれる重金属類等の不純物も含まれている。
続いて、前記カルシウム系中和処理手段4によって、酸性ガスがある程度の低濃度(所望の酸性ガス除去率の8割〜9割程度)まで低減された排ガスは、排ガス流路6内を流通して下流側のナトリウム系中和処理手段5に送られる。
ナトリウム系中和処理手段5は、前記Ca系残渣7が除去された排ガスが送られる排ガス流路6内に、ナトリウム系中和剤を供給するNa系中和剤供給部11と、前記排ガス中に残存する酸性ガス(HCl、SO等)と前記ナトリウム系中和剤とが反応して生成したNa系反応生成物(NaCl、NaSO等)を含むNa系残渣10を、前記排ガス中から除去するNa系残渣除去手段12とによって構成されている。尚、前記Na系残渣10には、前記Na系反応生成物の他、未反応の前記ナトリウム系中和剤や前記カルシウム系中和処理手段4において除去しきれなかったダスト等が含まれている。前記Na系残渣除去手段12としては、バグフィルタ等を用いることができる。
前記ナトリウム系中和処理手段5の下流側には、当該ナトリウム系中和処理手段4における中和処理後の排ガス中の酸性ガス濃度を測定する酸性ガス濃度測定器(図示せず)が設けられている。ナトリウム系中和処理手段5における中和処理後の排ガス中酸性ガス濃度の測定結果に応じて、前記Na系中和剤供給部11から供給するナトリウム系中和剤の量を調整することによって、使用するナトリウム系中和剤の量を必要最小限にすることができる。また、前述のカルシウム系中和処理手段4の出口に設けられた酸性ガス濃度測定器による排ガス中の酸性ガス濃度測定結果に応じて、前記Na系中和剤供給部11が供給するナトリウム系中和剤の量を調整できるように構成されていると更に好ましい。
ナトリウム系中和剤としては、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、炭酸ナトリウム(NaCO)等を主成分としたものが挙げられる。特に、粉末の炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、すなわち重曹粉末を主成分とする中和剤を用いることが好ましい。重曹粉末を主成分とする中和剤は、カルシウム系中和剤よりも少ない供給量で高い酸性ガス除去率を得ることができる。これは、以下のような理由によるものと考えられている。
重曹粉末を主成分とするナトリウム系中和剤を用いると、排ガス中のHClやSO等の酸性ガスとの中和反応によってCOとHOのガスが発生する。COとHOのガスが重曹粉末の粒子内部から放出されると、該粒子の比表面積が大きくなり、また、これによって反応生成物のNaClやNaSOで覆われた粒子表面が更新され、フレッシュな重曹が再び中和反応を開始するため、重曹粉末を主成分とするナトリウム系中和剤は、前記酸性ガスとの反応性が、消石灰等のカルシウム系中和剤よりも高い。
前記炭酸水素ナトリウム(重曹)の粉末を主成分とするナトリウム系中和剤を用いることによって、前記カルシウム系中和剤の使用量を減らし、排ガス中の酸性ガスの除去をより効果的に行うことができる。以下、本実施例では炭酸水素ナトリウムの粉末を主成分としたカルシウム系中和剤を用いた場合について説明する。
前記炭酸水素ナトリウムの粉末を主成分としたナトリウム系中和剤を用いた場合に、排ガス中の酸性ガス[HCl、SO]が中和される反応を反応式(3)および反応式(4)に示す。
NaHCO + HCl → NaCl + CO + HO ・・・(3)
2NaHCO + SO + 1/2O
→ NaSO + 2CO + HO ・・・(4)
前記炭酸水素ナトリウムの粉末を主成分としたナトリウム系中和剤を用いた際のNa系残渣には、主として前記中和反応の生成物であるNaCl、NaSO等、および未反応のNaHCOが熱分解して生じたNaCOが含まれている。その他、排ガス中に含まれる重金属類等の不純物も含まれている。
次に、前記塩化ナトリウム製造装置3について説明する。
前記塩化ナトリウム製造装置3は、前記ナトリウム系中和処理手段5において排ガス中から除去されたNa系残渣10から塩化ナトリウム(NaCl)を精製することによって、塩化ナトリウムを製造するものである。
本実施例に係る塩化ナトリウム製造装置3は、前記ナトリウム系中和処理手段5において前記排ガス中から除去されたNa系残渣10を水に溶解する溶解槽13と、前記Na系残渣の溶解液中の炭酸根を除去する脱炭酸槽14と、前記脱炭酸槽14において炭酸根を除去した前記溶解液中に沈殿剤を加え、硫酸根、重金属等を除去する沈殿槽15と、前記沈殿槽15において硫酸根、重金属等を除去した前記溶解液中の微粒子、有機物等を除去する活性炭塔16と、前記活性炭塔16において微粒子、有機物等を除去した前記溶解液から塩化ナトリウムを晶析させる晶析槽17と、を備えている。更に、前記沈殿槽15は、該沈殿槽15中の溶解液に、前記沈殿剤として前記Ca系残渣7を入れるように構成されている。
前記塩化ナトリウム製造装置3による塩化ナトリウム製造方法を以下に説明する。
前記ナトリウム系中和処理手段5のNa系残渣除去手段12において前記排ガス中から除去されたNa系残渣10は、溶解槽13に送られて水に溶解される。符号Wは水である。該溶解液は下流側に続く脱炭酸槽14に送られる。その際、前記溶解液中に、該溶解液が脱炭酸槽14においてpH3〜5になるように塩酸(HCl)を加えることにより、前記溶解液中の炭酸根(例えばNaCO)が除去される。その反応を反応式(5)に示す。
NaCO + 2HCl → 2NaCl + HO + CO・・・(5)
前記脱炭酸槽14において炭酸根を除去した前記溶解液は沈殿槽15へと送られる。沈殿槽15へ送られた溶解液は、水酸化ナトリウム(NaOH)または塩酸(HCl)等を加えることによって、pH6.5〜6.8の弱酸性に調整される。前記溶解液中の硫酸根(例えばNaSO)を除去することができる沈殿剤としては、塩化カルシウム(CaCl)が挙げられる。前記溶解液中の硫酸根(NaSO)と塩化カルシウムの反応を反応式(6)に示す。
NaSO + CaCl → 2NaCl + CaSO ・・・(6)
ここで、前記沈殿槽15は、該沈殿槽15中の溶解液に、前記沈殿剤として前記Ca系残渣7を入れるように構成されている。水酸化カルシウムの粉末を主成分としたカルシウム系中和剤を用いた際のCa系残渣7には、前述のように前記中和反応の反応生成物であるCaClが含まれている。したがって、前記沈殿槽15中の溶解液にCa系残渣7を入れることによって、該Ca系残渣7中に含まれるCaClを、前記硫酸根の除去に用いることができる。尚、前記Ca系残渣7中に含まれるCaClが少ない場合には、CaClを別途添加することもできる。
前記Ca系残渣7には、CaClの他、前記中和反応の生成物であるCaSO等、および前記中和反応において未反応で残ったCa(OH)、および排ガス中に含まれる重金属類等の不純物が含まれているが、CaSO、Ca(OH)は、いずれも前記沈殿槽15中の溶解液(pH6.5〜6.8)中で不溶であり、沈殿除去することができる。
また、前記沈殿槽15においては、重金属類(例えばZn、Cd、Hg、Pb等)を除去するため、例えば硫化ナトリウム(NaS)が添加される。このことによって、前記重金属類はそれぞれ重金属硫化物を形成する。該重金属硫化物は、PAC(ポリ塩化アルミニウム)、高分子凝集剤等の凝集剤Aを添加することによって凝集沈殿除去される。したがって、Ca系残渣7中に含まれている重金属類等も、当該沈殿槽15における処理によって沈殿除去することができる。
次に、前記沈殿槽15において硫酸根、重金属等を除去した前記溶解液は活性炭塔16へと送られ、該溶解液中に含まれる微粒子、有機物等が吸着除去される。更に、該活性炭塔16において微粒子、有機物等を除去した溶解液は、活性炭塔16の下流側の晶析槽17へ送られる。種々の不純物処理後の前記溶解液は、例えば減圧条件下において加熱されて所定の濃度に濃縮され、高純度の塩化ナトリウムが晶析する条件に設定され、該塩化ナトリウムを晶析させて単離することができる。NaClを晶析分離した後の母液18は、溶解槽13に戻し再利用することができる。
本実施例によれば、ナトリウム系中和処理手段5において前記排ガス中から除去された前記Na系残渣10から、塩化ナトリウムを製造し、最終処理される残渣の量を減らすことができるとともに、カルシウム系中和処理手段4において前記排ガス中から除去された前記Ca系残渣7を、前記塩化ナトリウムの製造のために利用するので、最終処理される残渣の量を更に減らすことができる。
尚、本実施例に用いる塩化ナトリウム製造装置3は、上記実施例に限定されるものではなく、前記Na系残渣10から塩化ナトリウムを精製できる他の塩化ナトリウム製造装置を用いることができる。例えば、Na系残渣10の溶解液中に含まれる重金属類をキレート剤を添加して除去する重金属除去手段を備えた塩化ナトリウム製造装置や、Na系残渣10の溶解液中に含まれる種々の不純物を除去した処理液を、蒸発乾燥させることによって塩化ナトリウムを得る塩化ナトリウム製造装置等を用いることができる。
[実施例2]
本発明に係る排ガス処理およびNa系化合物製造システムの他の実施形態を図2に基づいて説明する。図2は、本発明の他の実施形態に係る排ガス処理およびNa系化合物製造システム21を示す概略構成図である。
本実施例に係る排ガス処理およびNa系化合物製造システム21は、排ガス中の酸性ガスを、カルシウム系中和剤およびナトリウム系中和剤を用いて中和処理する排ガス処理装置22と、前記排ガス処理装置22おいてナトリウム系中和剤を用いた中和処理を行った際に生成するNa系残渣30から、Na系化合物を製造するNa系化合物製造装置として、重曹製造装置23を備えている。
排ガス処理装置22は、排ガス中の酸性ガスを、カルシウム系中和剤を用いて処理するカルシウム系中和処理手段24と、ナトリウム系中和剤を用いて処理するナトリウム系中和処理手段25と、を備えている。前記ナトリウム系中和処理手段25の上流側に、前記カルシウム系中和処理手段24が設けられている。
カルシウム系中和処理手段24は、カルシウム系中和剤を供給するCa系中和剤供給部28と、排ガス中からCa系残渣27を除去するCa系残渣除去手段29とから構成されている。また、ナトリウム系中和処理手段25は、カルシウム系中和剤を供給するNa系中和剤供給部31と、排ガス中からNa系残渣30を除去するNa系残渣除去手段32とから構成されている。符号26は、焼却炉や溶融炉等の排ガス発生源(図示せず)から、HCl、SO等の酸性ガスを含む排ガスが送られる排ガス流路である。前記排ガス処理装置22による排ガス処理方法は、実施例1の排ガス処理装置2において行われる排ガス処理方法と同じであるので、その詳細な説明は省略する。
前記重曹製造装置23は、前記ナトリウム系中和処理手段25において前記排ガス中から除去されたNa系残渣30を水に溶解するNa系残渣溶解槽33と、重曹の原料となる食塩(NaCl)を水に溶解する食塩溶解槽34を備え、前記Na系残渣溶解槽33のNa系残渣溶解液は、前記食塩溶解槽34の食塩水に加えられる。前記Na系残渣溶解液と前記食塩水の混合液は、該混合液から硫酸根、重金属等を除去する沈殿槽35に送られる。
前記沈殿槽35は、前記混合液中に沈殿剤を加え、前記混合液中の硫酸根(例えばNaSO)、重金属(例えばZn、Cd、Hg、Pb等)等を除去する構成である。沈殿槽35へ送られた前記混合液は、NaOHまたはHCl等を加えることによって、pH6.5〜6.8の弱酸性に調整される。前記沈殿槽35は、該沈殿槽35中の混合液に、前記沈殿剤として前記Ca系残渣27を入れるように構成されている。Ca系残渣27に含まれるCaClによって硫酸根が沈殿除去される工程、およびNaS等を用いて重金属等が沈殿除去される工程は、実施例1と同様であるので、詳細な説明は省略する。
次に、前記沈殿槽35において硫酸根、重金属等を除去した前記混合液中に、アンモニアを溶解して炭酸化手段36に送る。前記炭酸化手段36は、アンモニア−ソーダ法、塩安ソーダ法、有機アミン法等の食塩から重曹を製造する公知の方法を用いるものである。前記炭酸化手段36を経て、重曹が晶析分離される。得られた重曹は、乾燥装置37により乾燥後、所定の粒径に粉砕し、前記排ガス処理装置22の前記ナトリウム系中和処理手段25のNa系中和剤供給部31に戻して再利用することができる。
また、アンモニア−ソーダ法による炭酸化を行った場合には、重曹を晶析分離した母液40は、アンモニア回収装置38においてアンモニアの回収に利用され、回収したアンモニアが重曹製造装置において循環使用される。また、塩安ソーダ法の場合には、母液40から塩化アンモニウム分離装置39において、食塩を溶解した後に塩化アンモニウムを分離して循環使用される。
本実施例によれば、ナトリウム系中和処理手段25において前記排ガス中から除去された前記Na系残渣30から重曹を製造し、最終処理される残渣の量を減らすことができるとともに、カルシウム系中和処理手段24において前記排ガス中から除去された前記Ca系残渣27を、前記重曹の製造のために利用するので、最終処理される残渣の量を更に減らすことができる。更に、製造した重曹はナトリウム系中和剤として再利用することができる。
[実施例3]
本発明に係る排ガス処理およびNa系化合物製造システムの更に他の実施形態を図3に基づいて説明する。図3は、本発明の更に他の実施形態に係る排ガス処理およびNa系化合物製造システム41を示す概略構成図である。
本実施例に係る排ガス処理およびNa系化合物製造システム41は、排ガス中の酸性ガスを、カルシウム系中和剤およびナトリウム系中和剤を用いて中和処理する排ガス処理装置42と、前記排ガス処理装置においてナトリウム系中和剤を用いた中和処理を行った際に生成するNa系残渣から、Na系化合物を製造するNa系化合物製造装置として、塩化ナトリウム製造装置43および重曹製造装置63を備えている。
排ガス処理装置42は、排ガス中の酸性ガスを、カルシウム系中和剤を用いて処理するカルシウム系中和処理手段44と、ナトリウム系中和剤を用いて処理するナトリウム系中和処理手段45と、を備えている。前記ナトリウム系中和処理手段45の上流側に、前記カルシウム系中和処理手段44が設けられている。
カルシウム系中和処理手段44は、カルシウム系中和剤を供給するCa系中和剤供給部48と、排ガス中からCa系残渣47を除去するCa系残渣除去手段49とから構成されている。また、ナトリウム系中和処理手段45は、カルシウム系中和剤を供給するNa系中和剤供給部51と、排ガス中からNa系残渣50を除去するNa系残渣除去手段52とから構成されている。符号46は、焼却炉や溶融炉等の排ガス発生源(図示せず)から、HCl、SO等の酸性ガスを含む排ガスが送られる排ガス流路である。前記排ガス処理装置42による排ガス処理方法は、実施例1の排ガス処理装置2において行われる排ガス処理方法と同じであるので、その詳細な説明は省略する。
実施例1と同様に、排ガス処理装置42のナトリウム系中和処理手段45において除去したNa系残渣50の一部を塩化ナトリウム製造装置43の溶解槽53に送り、NaClの製造に利用する。その際、前記塩化ナトリウム製造装置43の沈殿槽55に、沈殿剤として前記Ca系残渣47を入れ、NaClの製造のために該Ca系残渣47を利用する。尚、塩化ナトリウム製造装置43において、符号54は脱炭酸槽、符号56は活性炭塔、符号57は晶析槽である。
また、排ガス処理装置42のナトリウム系中和処理手段45において除去したNa系残渣50の一部は、重曹製造装置63のNa系残渣溶解槽73に送られ、重曹の製造に利用される。その際、前記塩化ナトリウム製造装置43において製造されたNaClが、重曹製造装置63の食塩溶解槽74に送られ、重曹の製造のための原料として用いられる。
前記重曹製造装置63の沈殿槽75に、沈殿剤として前記Ca系残渣47を入れ、重曹の製造のために該Ca系残渣47を利用する。炭酸化手段76を経て晶析分離された重曹は、乾燥装置77により乾燥後、所定の粒径に粉砕し、前記排ガス処理装置42の前記ナトリウム系中和処理手段45(Na系中和剤供給部51)に供給して再利用する。重曹製造装置63において、符号80は母液、符号78はアンモニア回収装置、符号79は塩化アンモニウム分離装置である。
本実施例によれば、Na系残渣50から塩化ナトリウムを製造し、更に、その製造された塩化ナトリウムと前記Na系残渣50を原料として重曹を製造することができ、製造した重曹はナトリウム系中和剤として再利用することができる。また、塩化ナトリウムおよび重曹のそれぞれの製造工程において、Ca系残渣47を利用することができる。以って、最終処理される残渣の量を大幅に減らすことができる。
[実施例4]
本発明に係る排ガス処理およびNa系化合物製造システムの更に他の実施形態を図4に基づいて説明する。図4は、本発明の更に他の実施形態に係る排ガス処理およびNa系化合物製造システム81を示す概略構成図である。
本実施例に係る排ガス処理およびNa系化合物製造システム81は、排ガス処理装置82と塩化ナトリウム製造装置83を備えている。排ガス処理装置82は、実施例1の排ガス処理装置2のカルシウム系中和処理手段4の上流側に、除塵手段である除塵バグフィルタ84が設けられている構成である。前記除塵手段としては、除塵バグフィルタの他に電気集塵機のような公知の除塵手段を用いることができる。
前記排ガス処理装置82の除塵手段84以外の構成は、実施例1の排ガス処理装置2と同じであるので、同一部材には同一符号を付し、その説明は省略する。また、Na系化合物製造装置としての塩化ナトリウム製造装置83の構成は、実施例1の塩化ナトリウム製造装置3と同じであるので、同一部材には同一符号を付し、その説明は省略する。
前記カルシウム系中和処理手段4の上流側に除塵手段84が設けられていることによって、焼却炉や溶融炉等の排ガス発生源(図示せず)から送られる排ガス中のダスト(灰分、重金属、未燃カーボン等)を除去して、該排ガスをカルシウム系中和処理手段4に送り、除塵後の排ガスに対してカルシウム系中和剤やナトリウム系中和剤を用いた中和処理を行うので、該中和反応を効果的に行うことができる。
また、前記カルシウム系中和処理手段4において除去されるCa系残渣7中、および前記ナトリウム系中和処理手段5において除去されるNa系残渣10中には、前記ダストは含まれない。したがって、ダストを含まないNa系残渣10からNaCl(Na系化合物)を製造することができると共に、ダストを含まないCa系残渣7をNaClの製造に利用することができる。
[実施例5]
図5は、本発明の更に他の実施形態に係る排ガス処理およびNa系化合物製造システム91を示す概略構成図である。本実施例に係る排ガス処理およびNa系化合物製造システム91は、排ガス処理装置92と重曹製造装置93を備えている。排ガス処理装置92は、実施例2の排ガス処理装置22のカルシウム系中和処理手段24の上流側に、除塵手段である除塵バグフィルタ94が設けられている構成である。
前記排ガス処理装置92の除塵バグフィルタ94以外の構成は、実施例2の排ガス処理装置22と同じであるので、同一部材には同一符号を付し、その説明は省略する。また、Na系化合物製造装置としての重曹製造装置93の構成は、実施例2の重曹製造装置23と同じであるので、同一部材には同一符号を付し、その説明は省略する。
前記カルシウム系中和処理手段24の上流側に除塵バグフィルタ94が設けられていることによって、焼却炉や溶融炉等の排ガス発生源(図示せず)から送られる排ガス中のダスト(灰分、重金属、未燃カーボン等)を除去することができる。
したがって、除塵後の排ガスに対してカルシウム系およびナトリウム系中和剤を用いた中和処理を行い、ダストを含まない中和残渣を重曹製造装置93に送ることができる。
[実施例6]
図6は、本発明の更に他の実施形態に係る排ガス処理およびNa系化合物製造システム101を示す概略構成図である。本実施例に係る排ガス処理およびNa系化合物製造システム101は、排ガス処理装置102と塩化ナトリウム製造装置103と重曹製造装置105を備えている。排ガス処理装置102は、実施例3の排ガス処理装置42のカルシウム系中和処理手段44の上流側に、除塵手段である除塵バグフィルタ104が設けられている構成である。
前記排ガス処理装置102の除塵バグフィルタ104以外の構成は、実施例3の排ガス処理装置42と同じであるので、同一部材には同一符号を付し、その説明は省略する。また、Na系化合物製造装置としての塩化ナトリウム製造装置103および重曹製造装置105の構成は、実施例3の塩化ナトリウム製造装置43および重曹製造装置63と同じであるので、同一部材には同一符号を付し、その説明は省略する。
前記カルシウム系中和処理手段44の上流側に除塵バグフィルタ104が設けられていることによって、焼却炉や溶融炉等の排ガス発生源(図示せず)から送られる排ガス中のダスト(灰分、重金属、未燃カーボン等)を除去することができる。
したがって、除塵後の排ガスに対してカルシウム系およびナトリウム系中和剤を用いた中和処理を行い、ダストを含まない中和残渣を塩化ナトリウム製造装置103および重曹製造装置105に送ることができる。
本発明は、排ガス中の酸性ガスを中和剤を用いて除去し、前記酸性ガスと前記中和剤の反応残渣からNa系化合物を製造する排ガス処理およびNa系化合物製造システム、および方法に利用可能である。
1 排ガス処理およびNa系化合物製造システム、 2 排ガス処理装置、
3 塩化ナトリウム製造装置(Na系化合物製造装置)、
4 カルシウム系中和処理手段、 5 ナトリウム系中和処理手段、
7 Ca系残渣、 10 Na系残渣、 13 溶解槽、 14 脱炭酸層、
15 沈殿槽、 16 活性炭塔、 17 晶析槽、
21 排ガス処理およびNa系化合物製造システム、 22 排ガス処理装置、
23 重曹製造装置(Na系化合物製造装置)、
24 カルシウム系中和処理手段、 25 ナトリウム系中和処理手段、
27 Ca系残渣、 30 Na系残渣、 33 Na系残渣溶解槽、
34 食塩溶解槽、 35 沈殿槽、 36 炭酸化手段、
41 排ガス処理およびNa系化合物製造システム、 42 排ガス処理装置、
43 塩化ナトリウム製造装置(Na系化合物製造装置)、
47 Ca系残渣、 50 Na系残渣、
63 重曹製造装置(Na系化合物製造装置)、
81、91、101 排ガス処理およびNa系化合物製造システム、
84、94、104 除塵バグフィルタ(除塵手段)、 A 凝集剤、 W 水
特開2008−229416号公報 特開2007−269579号公報

Claims (8)

  1. 排ガス中の酸性ガスをカルシウム系中和剤と反応させ、該反応によって生成したCa系反応生成物を含むCa系残渣を前記排ガス中から除去するカルシウム系中和処理手段と、排ガス中の酸性ガスをナトリウム系中和剤と反応させ、該反応によって生成したNa系反応生成物を含むNa系残渣を前記排ガス中から除去するナトリウム系中和処理手段と、を備えた排ガス処理装置と、
    前記ナトリウム系中和処理手段において前記排ガス中から除去されたNa系残渣から、Na系化合物を製造するNa系化合物製造装置と、を備えた排ガス処理およびNa系化合物製造システムであって、
    前記Na系化合物製造装置は、前記Na系残渣を水に溶解した溶解液中に、沈殿剤を入れるように構成された沈殿槽を備え、
    前記沈殿槽に、前記沈殿剤として前記Ca系残渣を入れるように構成されたことを特徴とする排ガス処理およびNa系化合物製造システム。
  2. 請求項1に記載された排ガス処理およびNa系化合物製造システムにおいて、前記ナトリウム系中和処理手段の上流側に、前記カルシウム系中和処理手段が設けられていることを特徴とする排ガス処理およびNa系化合物製造システム。
  3. 請求項1または請求項2に記載された排ガス処理およびNa系化合物製造システムにおいて、前記Na系化合物は、塩化ナトリウムであることを特徴とする排ガス処理およびNa系化合物製造システム。
  4. 請求項1または請求項2に記載された排ガス処理およびNa系化合物製造システムにおいて、前記Na系化合物は、炭酸水素ナトリウムであることを特徴とする排ガス処理およびNa系化合物製造システム。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載された排ガス処理およびNa系化合物製造システムにおいて、前記カルシウム系中和剤は水酸化カルシウムの粉末を主成分とするものであり、前記ナトリウム系中和剤は炭酸水素ナトリウムの粉末を主成分とするものであることを特徴とする排ガス処理およびNa系化合物製造システム。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載された排ガス処理およびNa系化合物製造システムにおいて、前記カルシウム系中和処理手段および前記ナトリウム系中和処理手段の上流側に、除塵手段が設けられていることを特徴とする排ガス処理およびNa系化合物製造システム。
  7. 酸性ガスを含む排ガス中にカルシウム系中和剤を供給し、前記カルシウム系中和剤が排ガス中の酸性ガスと反応して生成するCa系反応生成物を含むCa系残渣を除去するCa系中和工程と、
    酸性ガスを含む排ガス中にナトリウム系中和剤を供給し、前記ナトリウム系中和剤が排ガス中の酸性ガスと反応して生成するNa系反応生成物を含むNa系残渣を除去するNa系中和工程と、
    前記Na系中和工程において前記排ガス中から除去されたNa系残渣からNa系化合物を製造するNa系化合物製造工程と、を含む排ガス処理およびNa系化合物製造方法であって、
    前記Na系化合物製造工程は、前記Na系残渣を水に溶解した溶解液中に、沈殿剤を入れて行う沈殿工程を含み、
    前記溶解液中に、前記沈殿剤として前記Ca系残渣を入れて、前記沈殿工程を行うことを特徴とする排ガス処理およびNa系化合物製造方法。
  8. 請求項7に記載された排ガス処理およびNa系化合物製造方法において、前記Ca系中和工程の後に、前記Na系中和工程を行うことを特徴とする排ガス処理およびNa系化合物製造方法。
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