JP5261997B2 - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
(a)150℃でのフィルム長手方向、幅方向の熱収縮率が3.0%以下である。
(b)フィルムの厚みが50〜350μmである。
(c)マイクロ波透過型分子配向計で測定した配向主軸の最大歪みが30度以内である。
(d)ポリエステルフィルムがポリエチレンテレフタレートから構成されている。
(e)同時二軸延伸により得られたものである。
(f)当該発明のポリエステルフィルムの密着性改質層の表面に紫外線硬化型または電子線硬化型アクリル系樹脂からなるハードコート層を設けてなる。
(厚み斑)
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、下記方法で測定した厚み斑が8%以下であることが好ましい。7.0%以下がより好ましく、6.5%以下がさらに好ましい。特に、二軸配向ポリエステルフィルムがポリエチレンテレフタレートから構成されている場合の厚み斑は、6.0%以下が好ましく、5.0%以下がさらに好ましい。該厚み斑は小さい方が望ましいが、厚み斑を0.1%以下とすることは技術的難度が高く、かつ実用上の品質としては大きな差異が見られないので、厚み斑の下限値は0.1%でも構わない。
縦延伸方向に連続したテープ状サンプル(長さ3m)を採取し、(株)セイコー・イーエム製電子マイクロメータ、ミリトロン1240を用いて、1cmピッチで100点の厚みを測定する。測定値から、厚みの最大値(dmax)、最小値(dmin)、平均値(d)を求め、下記式にて厚み斑(%)を算出した。なお、測定は3回行い、その平均値を求めた。
厚み斑(%)=((dmax−dmin)/d)×100
本発明の二軸配向フィルムは、面配向度(ΔP)が0.080〜0.160であることが重要である。面配向度(ΔP)は、0.100〜0.150がより好ましく、0.110〜0.140がさらに好ましい。面配向度(ΔP)が0.160を超えた場合は、密着性改質層の上にハードコート剤を塗設した場合、干渉縞が目立ちやすくなるので好ましくない。一方、面配向度(ΔP)が0.080未満では、二軸延伸フィルムとしての特徴がなくなり、機械的な強度が著しく低下するので好ましくない。また、フィルムの厚み均一性も悪化する
延伸倍率を下げ、面配向度を低下させることによりフィルムの幅方向に対する配向主軸の歪みを小さくすることができる。すなわち、逐次延伸による通常の延伸倍率(3〜5倍)では、フィルムの幅方向の端部では、いわゆるボーイング現象により配向主軸が幅方向に対して歪む為、軸方向でのフィルムの物性に差が生じる。しかし、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムでは、延伸倍率を下げ、面配向度を低下しているため、端部においても配向主軸の歪が小さく、これにより幅方向での物性差が小さくなる。本発明のフィルムの配向主軸の最大の歪みは、30°以下が好ましい。特に、二軸配向ポリエステルフィルムがポリエチレンテレフタレートから構成されている場合の配向主軸の最大の歪みは、25°以下が好ましく、更には20°以下が好ましい。配向主軸の歪みが30°を越える場合、熱加工時に生じるねじれやたわみ、平面性の歪みが大きくなる。
|θ|≦45°のとき ξ=|θ|
|θ|>45°のとき ξ=|90°−|θ||
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの熱収縮率は、長手方向、幅方向のいずれにおいても、150℃、30分間の加熱処理で3.0%以下であることが好ましく、2.0%以下であることがさらに好ましく、1.0%以下であることが特に好ましい。150℃での熱収縮率が、3.0%以下であると、ハードコート層形成処理などで加熱加工処理がなされた場合であっても、ねじれや変形か少なく、好適に加工ができる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの厚みは、50〜350μmが好ましい。フィルムの厚の上限は300μmがより好ましく、250μmがさらに好ましい。厚みが50μm以上であると、光学用途として好ましい強度が確保できる。また、厚みが350μm以下であるとコストの点から望ましい。
本発明においてポリエステルフィルムに使用するポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであっても良い。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを縮重合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2.6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、1.4−ブタンジオール、1.4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。かかるポリエステルとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等が例示される。中でも、物理的強度、耐熱性、耐薬品性の点からポリエチレンテレフタレートが好適に利用できる。
本発明のポリエステルフィルムの少なくとも一方の表面に密着性改質層を有していることが好ましく、さらには両面に密着性改質層を有していても構わない。好ましい乾燥後の塗布量は、0.005〜0.20g/m2の範囲である。フィルム表面に塗布層を設けることによって、フィルム表面での反射光の発生を抑制して、全光線透過率をさらに高めることができる。また、ハードコート加工を施す場合には、密着改質のための易接着性を付与することが必要である。
本発明の密着性改質層に用いる共重合ポリエステル系樹脂とは分岐したグリコール成分を構成成分とする。ここで言う分岐したグリコール成分とは例えば2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−イソプロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、2、2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、2、2−ジ−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、及び2、2−ジ−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
本発明の密着性改質層に用いるポリウレタン樹脂とは例えばブロック型イソシアネート基を含有する樹脂であって、末端イソシアネート基を親水性基で封鎖(以下ブロックと言う)した、熱反応型の水溶性ウレタンなどが挙げられる。上記イソシアネート基のブロック化剤としては、重亜硫酸塩類及びスルホン酸基を含有したフェノール類、アルコール類、ラクタム類オキシム類及び活性メチレン化合物類等が挙げられる。ブロック化されたイソシアネート基はウレタンプレポリマーを親水化あるいは水溶化する。フィルム製造時の乾燥あるいは熱セット過程で、上記樹脂に熱エネルギーが与えられると、ブロック化剤がイソシアネート基からはずれるため、上記樹脂は自己架橋した編み目に混合した水分散性共重合ポリエステル樹脂を固定化するとともに上記樹脂の末端基等とも反応する。塗布液調整中の樹脂は親水性であるため耐水性が悪いが、塗布、乾燥、熱セットして熱反応が完了すると、ウレタン樹脂の親水基すなわちブロック化剤がはずれるため、耐水性が良好な塗膜が得られる。上記ブロック化剤の内、熱処理温度、熱処理時間が適当で、工業的に広く用いられるものとしては重亜硫酸塩類が最も好ましい。
はこれらの化合物を単一あるいは複数でトリメチロールプロパン等とあらかじめ付加させたポリイソシアネート類が挙げられる。
粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で写真を撮り、最も小さい粒子1個の大きさが2〜5mmとなるような倍率で、300〜500個の粒子の最大径(最も離れている2点間の距離)を測定し、その平均値を平均粒径とする。また、密着性改質層に含有する粒子の平均粒径を求める場合は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、最も小さい粒子1個の大きさが2〜5mmとなるような倍率で塗布フィルムの断面を撮影し、密着性改質層の断面に存在する粒子の最大径を求める。凝集体からなる粒子の平均粒径は、塗布フィルムの密着性改質層の断面を、光学顕微鏡を用いて倍率200倍で300〜500個撮影し、その最大径を測定する。
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムを得る方法としては同時二軸延伸法が好適である。すなわち、屈折率が1.49程度のハードコート層を設けたときに干渉斑が抑制される程度に基材フィルムの屈折率を下げる為には、フィルムを構成する高分子の配向を示す面配向度(ΔP)が小さいことが好ましい。面配向度(ΔP)は延伸倍率を下げることにより小さくすることができる。しかし、逐時二軸延伸法において、延伸倍率を下げて延伸を行なうと、特許文献7における、歪に対して応力が増大しない平坦区間での延伸となるため一軸目の延伸が歪に対して応力が増大しない平坦区間での延伸となるため、応力に対し歪が一定に定まらず、延伸倍率が場所によりばらつき、厚み斑が悪化するのである。
上記の二軸延伸は、縦、横、両方向に2.5倍以上の延伸倍率で行うことが重要である。なお、本発明で定義する延伸倍率とは、フィルムが実際に延伸された実延伸倍率のことである。この延伸倍率は各延伸工程前後での単位面積あたりの質量変化率や、格子状の倍率マーカーを未延伸フィルムに記入することによって把握することができる。縦方向または横方向のいずれかの延伸倍率が2.5倍未満の場合は、面配向度(ΔP)が低くなり過ぎ、二軸延伸フィルム本来の優れた耐熱性と機械的強度が得られない。また、フィルムの厚み均一性が著しく悪化する。本発明における好ましい延伸倍率の下限は2.6倍、より好ましい下限は2.7倍である。また、延伸倍率の好ましい上限は4.0倍、より好ましい上限は3.5倍、特に好ましい上限は3.3倍である。延伸倍率が4.0倍を超えると、面配向度が高くなり、ハードコートを設けた際に干渉斑が生じやすくなる。
また、本発明における二軸延伸は、縦、横両方向の延伸をいずれも80%/秒未満の延伸速度、より好ましくは70%/秒以下の延伸速度で行うことが特に重要である。本発明における延伸速度とは、単位時間当たりのフィルムの変形率を、未延伸フィルムの寸法を基準として表したものであり、縦方向、及び横方向の延伸速度(単位:%/秒)は、それぞれ下記式によって定義される。
ポリエチレンテレフタレート、またはその共重合体をフィルム原料として用いる場合、その好ましい延伸温度は96℃〜120℃である。延伸温度(最高温度)が120℃を超える場合には、フィルムの面配向度を0.080以上に制御することが困難になり、二軸配向ポリエチレンフィルムに特有の物理的特性は得られない。さらに、フィルムの厚み精度等の均一性も低下する。一方、延伸温度(最高温度)が96℃未満の場合には、フィルムの面配向度を0.160以下に均一制御することが困難になる。なお、より好ましい延伸温度は98℃〜118℃、さらに好ましい延伸温度は100℃〜115℃である。
JIS K 7105「プラスチックの光学的特性試験方法」に準拠して、ヘイズメーター(日本電色社製モデルTNDH2000)を用い、全光線透過率、ヘーズを測定した。
JIS K 7142「プラスチックの屈折率測定方法」に準拠して、アタゴ社製アッベ屈折計4Tを用いて、接眼レンズに偏光板を取り付け、偏光板の向きおよびフィルムの向きをそれぞれ調整し、フィルム厚み方向の屈折率(Nz)、幅方向の屈折率(Ny)、長手方向の屈折率(Nx)を測定した。中間液としてジョードメタンを用いた。各方向の屈折率の測定は、各サンプルに対しn=3でフィルム両面について行い、その平均値を各方向の屈折率とした。なお、ここでいう幅方向とは、ロール巻き出し方向に対し垂直な方向、長手方向とは、ロールの巻き出し方向に平行な方向をいう。面配向度(ΔP)は以下の式により求めた。
ΔP=(Nx+Ny)/2−Nz
測定すべき方向に対し、フィルムを幅10mm、長さ250mmに切り取り、200mm間隔で印を付け、5gfの一定張力下で印の間隔(A)を測定する。次いで、フィルムを150℃の雰囲気中のオーブンに入れ、無荷重下で150±3℃で30分間加熱処理した後、5gfの一定張力下で印の間隔(B)を測定する。以下の式より熱収縮率を求めた。
熱収縮率(%)=(A−B)/A×100
JIS C 2318−1997 5.3.3「引張強さ及び伸び率」に準拠して測定した。
長手方向に連続したテープ状サンプル(長さ3m)を採取し、(株)セイコー・イーエム製電子マイクロメータ、ミリトロン1240を用いて、1cmピッチで300点の厚みを測定する。測定値から、厚みの最大値(dmax)、最小値(dmin)、平均値(d)を求め、下記式にて厚み斑(%)を算出した。なお、測定は3回行い、その平均値を求めた。
厚み斑(%)=((dmax−dmin)/d)×100
ロール状のフィルム から、長手方向に500mm、幅方向には全幅の長方形のフィルム を切り出す。前記フィルムについて幅方向に対して両端部および中央部からフィルムの試験片を長手方向、又は幅方向どちらかの軸を基準に直角に100mm四方の正方形のフィルムを切り出す。なお、両端部、中央部とは、フィルム幅方向の距離について端縁を0%とし、他の端縁を100%とした場合に、両端部は10%、90%の位置に、中央部は50%の位置に相当する。王子計測器株式会社製、MOA−6004型分子配向計を用いて、フィルム幅方向に対する分子鎖主軸(配向主軸)の配向角度(θ)の測定を行なった。そのうち最も大きい配向角度(θ)を用い、下記式のより求めた値を当該フィルムの配布向主軸の最大歪み(ξ)とした。
|θ|≦45°のとき ξ=|θ|
|θ|>45°のとき ξ=|90°−|θ||
得られたフィルムを10cm×15cmの面積に切り出し、実施例及び比較例で得たフィルムの密着性改質層表面に、大日精化社製ハードコート剤(セイカビームEXF01(B))をドライ厚みで3μmとなるように#8ワイヤバーにより塗布し、70℃で1分間乾燥し溶剤を除去した後、高圧水銀灯で200mJ/cm2、照射距離15cm、走行速度5m/分の条件下でハードコート剤を硬化させ、厚み3μmのハードコート層を形成させた。
○:ほとんど干渉斑が確認できないもの ○
△:問題ない程度に薄く干渉縞が確認されるもの △
×:鮮明に干渉縞が観察されるもの ×
ロール状のフィルム から、長手方向に500mm、幅方向には全幅の長方形のフィルム を切り出す。前記フィルムについて幅方向に対しての両端部と中央部の3箇所で、フィルムを長手方向に150mm、幅方向に150mmに枚葉状に切り出し、無荷重の状態で、120℃で30分間加熱処理した。なお、両端部、中央部とは、フィルム幅方向の距離について端縁を0%とし、他の端縁を100%とした場合に、両端部は10%、90%の位置に、中央部は50%の位置に相当する。加熱によりねじれたフィルムを、凸部を下にして水平なガラス板上に静置し、ガラス板と立ち上がったフィルム4隅の下端との垂直距離を、最小目盛り0.5mm単位で定規を用いて測定し、この4箇所の測定値の内の最大値をサンプルフィルムねじれ量とした。サンプルは各位置で3点準備し、これらについて同様の測定を行い、サンプルフィルムのねじれ量の平均値をフィルムねじれ量とした。なお、ねじれ量が1mm以下の場合を○、1.1〜2.0mmまでを△、2.1mm以上を×とした。
(1)ポリエステル(M1)の製造方法
エステル化反応缶を昇温し、200℃に到達した時点で、テレフタル酸を86.4質量部及びエチレングリコールを64.4質量部からなるスラリーを仕込み、攪拌しながら触媒として三酸化アンチモンを0.017質量部及びトリエチルアミンを0.16質量部添加した。次いで、加圧昇温を行いゲージ圧3.5kgf/cm2、240℃の条件で、加圧エステル化反応を行った。その後、エステル化反応缶内を常圧に戻し、酢酸マグネシウム4水和物0.071質量部、次いでリン酸トリメチル0.014質量部を添加した。さらに、15分かけて260℃に昇温し、リン酸トリメチル0.012質量部、次いで酢酸ナトリウム0.0036質量部を添加した。15分後、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、減圧下260℃から280℃へ徐々に昇温し、285℃で重縮合反応を行った。
ポリエステル(M1)の製造方法において、エチレングリコールに平均粒径(コールターカウンター法)2.5μmの分散させたシリカ粒子を0.3質量部加えた以外は同様の方法でポリエステル(M2)を得た。
予め反応物を含有している第1エステル化反応缶に、ジカルボン酸成分として高純度テレフタル酸(TPA)を100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール(EG)を70モル%及びネオペンチルグリコール(NPG)を30モル%、ジカルボン酸成分に対する全グリコール成分のモル比を2.0としたスラリーを、生成ポリマーとして1ton/hの生産量となるように連続的に供給した。さらに、三酸化アンチモンを12g/Lのエチレングリコール溶液として、生成ポリマーに対してSb含有量が0.025モル%となるように、第1エステル化反応缶に連続的に供給し、缶内圧力0.05MPaで攪拌下、約250℃で平均滞留時間として約3時間反応を行った。
ジメチルテレフタレート95質量部、ジメチルイソフタレート95質量部、エチレングリコール35質量部、ネオペンチルグリコール145質量部、酢酸亜鉛0.1質量部および三酸化アンチモン0.1質量部を反応容器に仕込み、180℃で3時間かけてエステル交換反応を行った。次に、5−ナトリウムスルホイソフタル酸6.0質量部を添加し、240℃で1時間かけてエステル化反応を行った後、250℃で減圧下(10〜0.2mmHg)、2時間かけて重縮合反応を行い、数平均分子量19,500、軟化点60℃の共重合ポリエステル系樹脂を得た。
両最外層(B)の原料として、ポリエステル(M1)90質量部と、ポリエステル(M2)10質量部とを、それぞれ135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、混合し、押出機2に供給した。また、支持層(A)の原料としてポリエステル(M1)100質量部を135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出機1に供給した。押出機2、及び押出機1に供給された各原料を、押出機の溶融部、混練り部、ポリマー管、ギアポンプ、フィルターまでの樹脂温度は280℃、その後のポリマー管では275℃とし、2種3層合流ブロックを用いて積層し、口金よりシート状に溶融押し出しを行った。なお、(A)層と(B)層との厚み比率は、B:A:B=7:84:7となるように、各層のギアポンプを用いて制御した。また、上記のフィルターには、いずれも濾過粒子サイズ10μm(初期濾過効率:95%)のステンレス焼結体の濾材を用いた。また、口金の温度は、押出された樹脂温度が275℃になるように制御した。
実施例1において押し出した樹脂を冷却ドラム上にキャスティングする際の冷却ドラムの速度と吐出量を微調整し、塗布層を有する未延伸フィルムを得た。得られたフィルムの両端をクリップで把持して同時二軸延伸機に導き後、112℃の熱風で27秒間の予熱を行った後、105℃で、縦方向に3.0倍、横方向に3.2倍の延伸倍率で同時二軸延伸した。このとき、縦および横方向の延伸倍率設定は縦方向の最高延伸速度は10.2%/秒、横方向の最高延伸速度は11.2%/秒となるように制御した。それ以外は実施例1と同様の方法で厚さ約110μmの二軸延伸フィルムを製造した。なお、未延伸フィルムに記入した格子状の倍率マーカーによって実延伸倍率を測定したところ、MD方向延伸倍率は平均3.0倍、TD延伸倍率は平均3.3倍であった。本実施例2で得られた二軸延伸フィルムの特性を表1に示す。
実施例1において押し出した樹脂を冷却ドラム上にキャスティングする際の冷却ドラムの速度と吐出量を微調整し、塗布層を有する未延伸フィルムを得た。得られたフィルムの両端をクリップで把持して同時二軸延伸機に導き後、105℃の熱風で4.3秒間の予熱を行った後、100℃で、縦方向に3.0倍、横方向に3.2倍の延伸倍率で同時二軸延伸した。このとき、縦および横方向の延伸倍率設定は縦方向の最高延伸速度は63.0%/秒、横方向の最高延伸速度は70.0%/秒となるように制御した。次いで、テンター幅一定、クリップ間隔一定の状態で、230℃で4秒間の熱処理を施した。それ以外は実施例1と同様の方法で厚さ約51μmの二軸延伸フィルムを製造した。なお、未延伸フィルムに記入した格子状の倍率マーカーによって実延伸倍率を測定したところ、MD方向延伸倍率は平均3.0倍、TD延伸倍率は平均3.3倍であった。本実施例3で得られた二軸延伸フィルムの特性を表1に示す。
実施例1において押し出した樹脂を冷却ドラム上にキャスティングする際の冷却ドラムの速度と吐出量を微調整し、塗布層を有する未延伸フィルムを得た。得られたフィルムの両端をクリップで把持して同時二軸延伸機に導き後、112℃の熱風で37秒間の予熱を行った後、105℃で、縦方向に2.7倍、横方向に3.0倍の延伸倍率で同時二軸延伸した。このとき、縦および横方向の延伸倍率設定は縦方向の最高延伸速度は5.9%/秒、横方向の最高延伸速度は6.9%/秒となるように制御した。それ以降は実施例1と同様の方法で厚さ約190μmの二軸延伸フィルムを製造した。なお、未延伸フィルムに記入した格子状の倍率マーカーによって実延伸倍率を測定したところ、MD方向延伸倍率は平均2.7倍、TD延伸倍率は平均3.1倍であった。本実施例4で得られた二軸延伸フィルムの特性を表1に示す。
実施例1において、両最外層(B)の原料として、ポリエステル(M1)100質量部とした以外は同様の方法で二軸延伸フィルムを製造した。本実施例5で得られた二軸延伸フィルムの特性を表1に示す。
実施例1において、支持層(A)の原料としてポリエステル(M1)50質量部、ポリエステル(M3)50質量部との混合原料を用いた以外は同様の方法で二軸延伸フィルムを製造した。本参考例1で得られた二軸延伸フィルムの特性を表1に示す。
実施例4において押し出した樹脂を冷却ドラム上にキャスティングする際の冷却ドラムの速度と吐出量を微調整し、塗布層を有する未延伸フィルムを得た。得られたフィルムの両端をクリップで把持して同時二軸延伸機に導き後、95℃の熱風で12秒間の予熱を行った後、95℃で、縦方向に3.4倍、横方向に3.4倍の延伸倍率で同時二軸延伸した。このとき、縦および横方向の延伸倍率設定は縦方向の最高延伸速度は34.4%/秒、横方向の最高延伸速度は34.4%/秒となるように制御した。次いで、テンター幅一定、クリップ間隔一定の状態で、240℃で12秒間の熱処理を施した。さらに、15秒間をかけて60℃まで冷却する過程で、縦および横方向に3%の緩和処理を行った。
それ以降は実施例1と同様の方法で厚さ約190μmの二軸延伸フィルムを製造した。なお、未延伸フィルムに記入した格子状の倍率マーカーによって実延伸倍率を測定したところ、MD方向延伸倍率は平均3.4倍、TD延伸倍率は平均3.5倍であった。本比較例1で得られた二軸延伸フィルムの特性を表1に示す。
比較例1において、延伸倍率を縦、横方向ともに2.8倍で同時二軸延伸した以外は同様の方法で二軸延伸フィルムを製造した。このとき、縦および横方向の延伸倍率設定は縦方向の最高延伸速度は27.1%/秒、横方向の最高延伸速度は27.1%/秒となるように制御した。本比較例2で得られた二軸延伸フィルムの特性を表1に示す。
実施例1において押し出した樹脂を冷却ドラム上にキャスティングする際の冷却ドラムの速度と吐出量を微調整し、塗布層を有する未延伸フィルムを得た。得られたフィルムの両端をクリップで把持して同時二軸延伸機に導き後、122℃の熱風で25秒間の予熱を行った後、122℃、縦方向に2.1、横方向に2.3倍の延伸倍率で同時二軸延伸した。このとき、縦および横方向の延伸倍率設定は縦方向の最高延伸速度は6.1%/秒、横方向の最高延伸速度は7.1%/秒となるように制御した。次いで、テンター幅一定、クリップ間隔一定の状態で、220℃で12秒間の熱処理を施した。それ以降は実施例1と同様の方法で厚さ約125μmの二軸延伸フィルムを製造した。なお、未延伸フィルムに記入した格子状の倍率マーカーによって実延伸倍率を測定したところ、MD方向延伸倍率は平均2.0倍、TD延伸倍率は平均2.4倍であった。本比較例3で得られた二軸延伸フィルムの特性を表1に示す。
実施例1において押し出した樹脂を冷却ドラム上にキャスティングする際の冷却ドラムの速度と吐出量を微調整し、塗布層を有する未延伸フィルムを得た。次いで75℃に加熱したロール群でフィルムを予熱した後、非接触の赤外線ヒータを用いてフィルムを96℃まで加熱して、周速が異なるロール間で3.4倍に縦延伸を施した。このとき、フィルムの接点間の距離は200mmであり、低速ロールの周速は12m/分とした。ロール間のフィルム速度を、低速ロール周速と高速ロール周速の中間値で代表させると、ロール間のフィルム速度は26.4m/分となり、ロール間の通過時間は約0.45秒となる。したがって、0.45秒間に3.4倍、即ち240%の延伸を施したことになり、その延伸速度は約530%/秒となる。
比較例4において縦方向の延伸倍率を2.7倍、横方向の延伸倍率を3.0倍、縦方向の延伸速度を401%/秒、熱処理温度を220℃とした以外は同様の方法で二軸延伸フィルムを製造した。本比較例5で得られた二軸延伸フィルムの特性を表1に示す。
Claims (5)
- 少なくとも片面に密着性改質樹脂と粒子を含む組成物からなる密着性改質層を設けてなるポリエチレンテレフタレートフィルムであり、面配向度(ΔP)が0.080〜0.160であり、フィルムの厚み斑が8%未満である光学用二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムであって、
前記ポリエチレンテレフタレートフィルムの密着性改質層の表面に紫外線硬化型または電子線硬化型アクリル系樹脂からなるハードコート層を設けてなるハードコートフィルムの基材として用いられる光学用二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム。 - 150℃でのフィルム長手方向、幅方向の熱収縮率が3.0%以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学用二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム。
- フィルムの厚みが50〜350μmであることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の光学用二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム。
- マイクロ波透過型分子配向計で測定した配向主軸の最大歪みが30度以内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学用二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の光学用二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムの密着性改質層の表面に紫外線硬化型または電子線硬化型アクリル系樹脂からなるハードコート層が設けられたハードコートフィルム。
Priority Applications (1)
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