まず、本発明に係る画像読取装置が適用された画像形成装置について説明する。図1は、本発明に係る画像読取装置が適用された画像形成装置の一実施形態の概要を示す説明図である。なお、図1においてY−Y方向を前後方向といい、特に−Y方向を前方、+Y方向を後方という。
図1に示すように、画像形成装置10は、複写機として使用されるものである。かかる画像形成装置10は、胴内排紙型と称される箱形を呈した装置本体11と、この装置本体11の上部に設けられた、原稿画像を読み取る本発明に係る画像読取部16とを備えた基本構成を有している。本発明に係る画像読取装置(光学系ユニット20)は、画像読取部16内に装着されている。
前記装置本体11には、画像読取部16の光学系ユニット20によって読み取られた原稿の画像情報に基づき画像を形成する画像形成部12と、この画像形成部12によって形成され、用紙に転写された画像に定着処理を施す定着部13と、転写用の用紙を貯留する用紙貯留部14とが内装されている。装置本体11の頂部には、排出された定着処理後の用紙Pを受ける胴内排紙トレイ151を備えた排紙部15が設けられている。
前記画像読取部16は、上面にコンタクトガラス31を備えた光学系ユニット20を内装する外装カバー160を有し、この外装カバー160には、コンタクトガラス31上に載置された原稿を押さえるための原稿マット161が開閉自在に設けられている。かかる原稿マット161は、外装カバー160の上面後方位置(オペレータが操作する位置から見て奥側)に一対で設けられた蝶板部材162(図2)の蝶板軸回りに正逆回動可能とされ、コンタクトガラス31の上面を閉止した閉止姿勢T1と、コンタクトガラス31の上面を開放した開放姿勢T2との間で姿勢変更可能とされている。
前記光学系ユニット20は、コンタクトガラス31上に載置された原稿が原稿マット161によって押さえられた状態で、下方からコンタクトガラス31を介して原稿画像を読み取る。画像読取部16で読み取られた原稿の画像情報は、所定の処理が施された上で画像形成部12へ向けて出力される。
前記外装カバー160の適所には、原稿読み取りや複写処理等に関する処理条件を入力操作するための図略の操作パネル17が設けられているとともに、この操作パネル17に隣接して出力手段としてのLCD(Liquid crystal display)18が設けられている。前記操作パネル17には、商用電源からの電力の供給をオン・オフする電源スイッチ171、原稿の読み取り動作を開始させるスタートキー172、一旦設定した原稿の読み取り動作をキャンセルするキャンセルキー173、用紙Pへの転写枚数などを入力するためのテンキー174等が設けられ、これらのスイッチやキーの操作で画像形成処理が実行される。前記LCD18には、画像形成処理に関する各種のコメントや制御結果等が表示出力される。
前記画像形成部12は、用紙貯留部14から給紙された用紙にトナー画像を形成させるものである。かかる画像形成部12は、本実施形態では、上流側(図1の右側)から下流側へ向けて順次配設されたマゼンタ用ユニット12M、シアン用ユニット12C、イエロー用ユニット12Yおよびブラック用ユニット12Kを有している。
各ユニット12M,12C,12Y,12Kには、感光体ドラム121および現像装置122がそれぞれ備えられている。各感光体ドラム121は、図1において反時計方向へ向けて回転しつつ対応した現像装置122からトナーの供給を受ける。各現像装置122には、装置本体11の前面側(図1の紙面の表側)に配設された図略のトナーカートリッジからトナーが補給される。
各感光体ドラム121の直下位置には帯電器123がそれぞれ設けられているとともに、各帯電器123のさらに下方位置には露光装置124が設けられている。そして、各感光体ドラム121は、前記帯電器123によって周面が一様に帯電され、画像読取部16で読み取られた画像データに基づく各色に対応したレーザー光が前記各露光装置124から帯電後の感光体ドラム121の周面に照射されることにより、各感光体ドラム121の周面に静電潜像が形成される。かかる静電潜像に現像装置122からトナーが供給されることにより、感光体ドラム121の周面にトナー像が形成される。
感光体ドラム121の上方位置には、当該各感光体ドラム121に当接するように駆動ローラ125aおよび従動ローラ125b間に張設された転写ベルト125が設けられている。この転写ベルト125は、各感光体ドラム121に対応して設けられた転写ローラ125cによって感光体ドラム121の周面に押し付けられた状態で各感光体ドラム121と同期しながら駆動ローラと従動ローラとの間を周回する。
従って、転写ベルト125が周回することによりその表面に対しマゼンタ用ユニット12Mの感光体ドラム121によるマゼンタのトナー像の転写が行なわれ、ついで転写ベルト125の同一位置にシアン用ユニット12Cの感光体ドラム121によるシアンのトナー像の転写が重ね塗り状態で行なわれ、ついで転写ベルト125の同一位置にイエロー用ユニット12Yの感光体ドラム121によるイエローのトナー像の転写が重ね塗り状態で行なわれ、最後のブラック用ユニット12Kの感光体ドラム121によるブラックのトナー像の転写が重ね塗り状態で行なわれ、これによって転写ベルト125の表面にカラー画像像が形成される。このカラー画像が用紙貯留部14から搬送されてきた用紙Pに転写されることになる。
そして、各感光体ドラム121の左方位置には当該感光体ドラム121の周面の残留トナーを除去して清浄化するクリーニング装置126が設けられている。クリーニング装置126によって清浄化処理された感光体ドラム121の周面は、新たな帯電処理のために帯電器123へ向かうことになる。
クリーニング装置126で感光体ドラム121の周面から取り除かれた廃トナーは、所定の経路を通って図略のトナー回収ボトルに回収され、貯留される。
画像形成部12の左方位置には、上下方向に延びる用紙搬送路111が形成されている。この用紙搬送路111の適所には搬送ローラ対112が設けられている。そして、用紙貯留部14からの用紙がこの搬送ローラ対112の駆動で駆動ローラ125aに掛け回されている転写ベルト125へ向けて搬送される。
かかる用紙搬送路111には、駆動ローラ125aと対向した位置に転写ベルト125の表面と当接した第2転写ローラ113が設けられ、用紙搬送路111を搬送されつつある用紙Pが転写ベルト125と第2転写ローラ113とに押圧挟持されることによって転写ベルト125上のトナー像が当該用紙Pに転写される。
そして、転写ベルト125の右端部には、当該転写ベルト125の表面に残留した残留トナーを除去する転写ベルト用クリーニング装置127が設けられ、用紙Pへの転写処理が完了した転写ベルト125は、表面の残留トナーがこの転写ベルト用クリーニング装置127によって取り除かれ清浄化された状態で次の転写処理へ向けて周回される。
前記定着部13は、画像形成部12で転写された用紙上のトナー像に対し定着処理を施すものであり、内部に加熱源であるハロゲンランプ等の通電発熱体を備えた定着ローラ131と、左方でこの定着ローラ131と対向配置された加圧ローラ132とを備えている。そして、第2転写ローラ113を介して画像形成部12から導出された転写処理済の用紙Pは、これら定着ローラ131および加圧ローラ132間に押圧挟持されつつ定着ローラ131により加熱される熱処理でトナー画像が用紙Pへ定着され、用紙上に安定した状態のカラー画像が形成される。
定着処理の完了したカラー印刷済みの用紙Pは、定着部13の上部から延設された排紙搬送路114を通って装置本体11に設けられた胴内排紙トレイ151へ向けて排出されることになる。
前記用紙貯留部14は、装置本体11における露光装置124の下方位置に挿脱自在に装着された用紙トレイ141を有している。用紙トレイ141には用紙束が貯留されるようになっている。そして、用紙トレイ141に貯留された用紙束からピックアップローラ142の駆動で用紙Pが1枚ずつ繰り出され、用紙搬送路111を通って第2転写ローラ113と転写ベルト125との間のニップ部へ向かわせられる。
図2は、光学系ユニット20の一実施形態を示す一部切欠き斜視図である。また、図3は、図2に示す光学系ユニット20の正面断面視の説明図であり、図4は、図2に示す光学系ユニット20の平面視の説明図である。なお、図2〜図4においてX−X方向を左右方向、Y−Y方向を前後方向といい、特に−X方向を左方、+X方向を右方、−Y方向を前方、+Y方向を後方という。
以下、図2〜図4並びに必要に応じて図1を参照しながら本発明に係る光学系ユニット(画像読取装置)20について説明する。
これらの図に示すように、前記光学系ユニット20は、箱形を呈した筐体(読取装置本体)30と、この筐体30に左右方向へ向けて正逆移動可能に内装され、かつ、原稿面に光を照射してその反射光を得る読取ユニット40と、この読取ユニット40からの反射光を集光して画像データとして取り込むレンズ・センサユニット50と、このレンズ・センサユニット50の高さを調整する高さ調整手段60とを備えている。
前記筐体30は、画像読取部16の外装カバー160に収納され得るように外観形状(直方体状)が設定されている。かかる筐体30の上面中央部には、矩形状を呈した大きな開口が設けられ、この開口に原稿を載置するためのコンタクトガラス31が嵌め込まれている。このコンタクトガラス31は、光学系ユニット20が画像読取部16内に装着された状態で画像読取部16の外装カバー160の上面に設けられた開口に臨むように設置位置が設定されている。
前記読取ユニット40は、図3に示すように、筐体30の左端部から若干右方に寄った位置(ホームポジション)を起点として右方に向けて往動することによりコンタクトガラス31上に載置された原稿の原稿面を走査した後に復動してホームポジションに戻る。
このような読取ユニット40は、原稿面に向けて光を照射する光源ユニット41と、この光源ユニット41からの光の原稿面での反射光を光路に沿うように反射させてレンズ・センサユニット50へ導くミラーユニット42とを備えている。
前記光源ユニット41は、図3における左右方向に向けて正逆走行する正面視で左右方向に長尺の第1走査枠体411と、この第1走査枠体411に支持された、当該第1走査枠体411の走行方向と直交する前後方向(図3の紙面に直交する方向)に向けて長尺の光源部材412と、この光源部材412から照射された光の原稿画面からの反射光を左方に向けて反射させる第1ミラー413とを備えている。
前記光源部材412は、所定のフレームに発光ダイオード(LED(light emitting diode))からなる単位LED(光源)412aの複数個が並設されることによって形成されている(図4参照)。かかる複数の単位LED412aが一斉に発光されることにより、各単位LED412aから照射された光が、コンタクトガラス31を介して原稿P1の原稿面で反射される。そして、原稿P1の原稿面で反射された各単位LED412aからの光は、第1ミラー413によって左方へ向けて反射される。
前記ミラーユニット42は、光源ユニット41の左方に設けられ、左右方向に向けて正逆走行する第2走行枠体421と、この第2走行枠体421に支持された第2ミラー422および第3ミラー423とを備えている。前記第2走行枠体421は、図3に示すように、正面視で左右方向に縦長に形成され、上端位置が光源ユニット41の上端位置と略同一レベルに設定されている一方、下端位置が光源ユニット41の下端位置より下方に突出している。
前記第2ミラー422は、前記第1ミラー413が反射した光を下方に向けて反射する。また、前記第3ミラー423は、第2ミラー422の下方で第2ミラー422と対向配置され、当該第2ミラー422が反射した光を右方に向けて反射する。第2ミラー422からの反射光によって高さ調整手段60へ向かう光路Lが形成されている。
そして、第3ミラー423が反射した光は、レンズ・センサユニット50に入力され、ここで光の信号が電気信号に変換された上で電気信号のアナログ量が画像情報としてのディジタル量に変換される。
前記光源ユニット41とミラーユニット42とは、図略の駆動モータや所定のプーリー間に張設された走行ワイヤ等を有する走査枠体駆動機構43の駆動によって互いに連係しながら異なる移動速度で移動する。
そして、光源ユニット41は、ミラーユニット42の2倍の速度で移動する。従って、光源ユニット41および読取ユニット40が図3に実線で示すホームポジションに位置している状態でも、図3に二点鎖線で示す任意の位置に移動した状態でも、第1ミラー413から第2ミラー422および第3ミラー423を介してレンズ・センサユニット50へ到達する光路の距離は一定となる。これによって読取ユニット40がいずれの位置に位置した状態でも原稿面からの反射光が同一条件でレンズ・センサユニット50へ入力されることになる。
前記レンズ・センサユニット50は、レンズ512を備えたレンズユニット51と、このレンズユニット51の図1における右方位置に対向配置されたイメージセンサとして機能するCCD(charge coupled device)521を有するイメージセンサユニット52と備えている。
前記レンズユニット51は、光源部材412からの光の反射光を集光してCCD(イメージセンサ)521に結像させるためのものであり、前記イメージセンサユニット52は、CCD521に結像された光の強弱をディジタル量としての電気信号に変換するものである。
そして、CCD521でディジタル量に変換された原稿の画像情報は、一旦所定の記憶装置に記憶された後、前記画像形成部12の露光装置124へ向けて出力され、露光装置124は、このディジタル情報に基づき感光体ドラム121へ向けて原稿画像に対応した強弱を有する光を照射する。
また、光源部材412において複数が並設された単位LED412aの内の1つが、コンタクトガラス31上に原稿P1が存在するか否かを検出するための原稿存否検出用LED412b(図4)とされている。この原稿存否検出用LED412bは、電源スイッチ171がオンされた状態で常時点灯するようになされている。そして、コンタクトガラス31上に原稿P1が存在するか否かは、原稿存否検出用LED412bが照射する光の反射光がCCD521に入力されることにより検出される。
以下、図5〜図7を基に、必要に応じて図1〜図4を参照しながらレンズ・センサユニット50について説明する。図5および図6は、レンズ・センサユニット50の一実施形態を示す斜視図であり、図5は、レンズ・センサユニット50が光学系ユニット20の筐体30の底板32から外された状態、図6は、レンズ・センサユニット50が光学系ユニット20の筐体30の底板32に装着された状態をそれぞれ示している。また、図7は、底板32を裏返して裏面側を見たときの斜視図である。なお、図5〜図7においてXおよびYによる方向表示は、図2の場合と同様(Xは左右方向(−X:左方、+X:右方)、Yは前後方向(−Y:前方、+Y:後方))である。
まず、図5に示すように、レンズ・センサユニット50は、筐体30の底板32に右方位置における前後方向の中央部に装着された保持体53を有し、前記レンズユニット51およびイメージセンサユニット52は、この保持体53に保持されている。
保持体53は、高さ調整手段60を介して筐体30の底板32に装着される平面視で矩形状を呈した基礎プレート54と、この基礎プレート54の左半分の位置に装着された、前記レンズユニット51を支持するためのレンズユニット支持板55と、同右半分の位置に装着された、前記イメージセンサユニット52を支持するためのセンサユニット支持板56とを備えている。これらレンズユニット支持板55およびセンサユニット支持板56は、上下方向に関し基礎プレート54に一体的に装着されている。
一方、前記レンズユニット51は、円筒状のレンズ筒511と、このレンズ筒511に装着されたレンズ512とを備えている。そして、前記レンズユニット支持板55は、その上面にレンズ筒511を左右方向に延びた状態で支持するようになっている。かかるレンズユニット支持板55は、基礎プレート54上で前後左右に位置調整可能とされ、この位置調整によって前記光路L(図3)に沿った第3ミラー423からの反射光が適正にレンズ512を透過するようにしている。
また、前記イメージセンサユニット52は、左端面が前記レンズ筒511の右端面に接続された箱状のケーシング522を有している。前記CCD521は、このケーシング522の右端壁の内面側においてレンズ512と対向配置されている。そして、前記センサユニット支持板56は、ケーシング522を支持した状態で前後左右に位置調整可能とされ、この位置調整によってレンズ512を透過した光が適正にCCD521へ供給されるようにしている。
前記基礎プレート54は、平板状のプレート本体541と、このプレート本体541の左縁部が下方に向けて折り曲げられることによって形成した前後方向に延びる第1縁条542と、プレート本体541の前後の縁部が下方に向けて折り曲げられることによって形成した左右方向に延びる前後方向一対の第2縁条543と、各第2縁条543の下縁部から互いに反対方向に向けて延設された左右方向に延びる前後方向一対の装着板544とを備えている。
前記第1縁条542の下縁面と、前記一対の装着板544の下面とは、略面一になるように設定されている。前記基礎プレート54は、かかる第1縁条542および第2縁条543並びに装着板544がプレート本体541に形成されることにより、強度的に丈夫になる。
そして、前記プレート本体541には、その左縁部における前後方向の中央位置に左右方向に延びた第1長孔545が穿設されているとともに、前記各装着板544には、それらの後方位置に第2長孔546がそれぞれ穿設されている。
一方、筐体30の底板32には、前記第1長孔545の対応する位置に第1ネジ孔321が螺設されているとともに、前記一対の第2長孔546に対応する位置にそれぞれ第2ネジ孔322が貫通螺設されている。
これらの保持体53に設けられた第1および第2長孔545,546並びに底板32に貫通螺設された第1および第2ネジ孔321,322は、いずれもレンズ・センサユニット50を高さ調整手段60を介して筐体30の底板32に装着するためのものである。
前記高さ調整手段60は、レンズ・センサユニット50の保持体53の高さや上下方向の捻れを修正することでその高さを調整するものであり、かかる高さ調整によって前記第3ミラー423から右方へ向かう反射光の光路Lがレンズユニット51のレンズ512の中心を通り、イメージセンサユニット52のCCD521における適正位置に到達するようにすることができる。
かかる高さ調整手段60は、本実施形態においては、前記保持体53に穿設された第1および第2長孔545,546と、前記筐体30の底板32に螺設された第1および第2ネジ孔321,322と、これら第1および第2ネジ孔321,322にそれぞれ螺着され、かつ、上端が第1および第2長孔545,546に貫通された状態で保持体53を支持する調整部材61とからなっている。
図8は、調整部材61の一実施形態を示す一部断面視の説明図であり、第1調整部材61aの先端が保持体53の第1長孔545に嵌入されているとともに、第2調整部材61bが保持体53の第2長孔546に嵌入された状態を示している。
図8に示すように、調整部材61は、前記第1ネジ孔321および第1長孔545に対応した第1調整部材61aと、前記第2ネジ孔322および第2長孔546に対応した第2調整部材61bとを備えている。これら第1および第2調整部材61a,61b間の相違点は、第1調整部材61aの長さ寸法が第2調整部材61bの長さ寸法より長尺であることであり、その他は同一構成になっている。
因みに、第1調整部材61aの方が第2調整部材61bより長尺に設定されているのは、第2調整部材61bが底板32直上の低位の装着板544を支持するものであるのに対し、第1調整部材61aは、装着板544より高位のプレート本体541を支持するためのものだからである。
かかる調整部材61は、ネジ軸62と、このネジ軸62の先端側(図8における上側)に先端を若干突出させた状態で一体的に外嵌されたネジ軸62と同心のフランジ63と、ネジ軸62の基端側(図8における下側)に同心で固定された円板状のダイヤル(頭部)64とを備えている。ネジ軸62のフランジ63から突出した部分に第1長孔545または第2長孔546に嵌入される先端部621が形成されている。因みに、第1調整部材61aの先端部621は第1長孔545に差し込まれ、第2調整部材61bの先端部621は第2長孔546に差し込まれる。
前記フランジ63は、径寸法が第1および第2長孔545,546の短径寸法より大径に設定されている。従って、第1調整部材61aの先端部621下からが第1長孔545に差し込まれることにより、プレート本体541が第1調整部材61aのフランジ63に支持されるとともに、第2調整部材61bの先端部621が第2長孔546に差し込まれることにより、装着板544が第2調整部材61bのフランジ63に支持される。
このような第1および第2調整部材61a,61bの底板32への装着は、まず、フランジ63が取り付けられていない状態の第1および第2調整部材61a,61bの各ネジ軸62を第1および第2ネジ孔321,322にそれぞれ螺着し、底板32から上方に突出した各ネジ軸62にフランジ63を外嵌した後に当該フランジ63をネジ軸62に溶接することによって行われる。
そして、レンズ・センサユニット50をこれら第1および第2調整部材61a,61bに支持させるには、図5に示すように、第1および第2調整部材61a,61bが底板32の第1および第2ネジ孔321,322に螺着され、これによって第1および第2調整部材61a,61bの各先端部621が上方に向いた状態で、図5に矢印で示すように、プレート本体541の第1長孔545を第1調整部材61aの先端部621に外嵌するとともに、一対の装着板544の各第2長孔546を対応した第2調整部材61bの各先端部621にそれぞれ外嵌すればよい。
こうすることによって、プレート本体541の左端の前後方向中央部が第1調整部材61aのフランジ63に支持され、かつ、一対の装着板544の後方が一対の第2調整部材61bのフランジ63によってそれぞれ支持される。その結果、レンズ・センサユニット50は、図6に示すように、3本の調整部材61による三点支持で筐体30の底板32に装着されるため、その装着状態は、極めて安定したものになる。
そして、レンズ・センサユニット50の高さ調整を行うときには、図7に示すように、筐体30の底板32の外側に位置した第1および第2調整部材61a,61bの各ダイヤル64を軸心回りに回転させればよい。こうすることによって第1および第2ネジ孔321,322に螺着された各ネジ軸62が昇降するため、これによる各フランジ63の昇降でレンズ・センサユニット50の上下方向の捻れが修正されて高さが適正に調整される。
かかるレンズ・センサユニット50の高さ調整手段60による高さ調整は、光学系ユニット20の製造時や、ユーザーへ出荷した後の必要に応じて行われるメンテナンス作業時に実行される。また、高さ調整手段60によるレンズ・センサユニット50の高さ調整は、電力を消費するものではなく、手作業のみで実行されるため、画像形成装置10に画像形成処理用の電源が投入された状態のままでも行うことができる。
加えて、本実施形態においては、保持体53が調整部材61を介して筐体30の底板32に装着された状態で、当該保持体53は、その三方がバネ材からなる付勢部材57(図5、図6)によって底板32へ向けて付勢されている。
前記付勢部材57は、図5に示すように、板状のバネ材が端面視でZ字状に折り曲げられることによって形成されている。かかる付勢部材57は、水平方向に延びる基部571と、この基部571の一方の側縁部から垂直に立設された垂直部572と、この垂直部572の上縁部から基部571と平行に反対方向に向けて延設された係止部573とを備えている。
そして、保持体53が調整部材61を介して筐体30の底板32に装着された状態で、このような付勢部材57が、図6に示すように、保持体53を三方から(具体的には、プレート本体541の左縁部と、前方の装着板544と、後方の装着板544とから)囲むように底板32にネジ止めで固定されている。これによってプレート本体541および一対の装着板544は、図6に示すように、それぞれ付勢部材57の係止部573によって係止された状態になっている。
従って、調整部材61のダイヤル64の回転操作で保持体53の左縁部および前後の縁部が上昇すると、付勢部材57の係止部573が弾性変形してこれらの縁部を下方に向けて押圧するため、保持体53の調整部材61を介した底板32への装着状態は安定したものになる。
図9は、高さ調整手段60によるレンズ・センサユニット50の高さ調整の原因と結果とを説明するための説明図であり、図9(A)は、用紙Pに印刷された印刷画像Gが前肩上がりに歪んでいる状態、図9(B)は、印刷画像Gの前肩上がりの歪みが修正された状態、図9(C)は、用紙Pに印刷された印刷画像Gが後肩上がりに歪んでいる状態、図9(D)は、印刷画像Gの後肩上がりの歪みが修正された状態をそれぞれ示している。なお、図9におけるYによる方向表示は図2の場合と同様(−Y:前方、+Y:後方)である。また、図9では、白抜き矢印によって用紙Pの進行方向を示している。
まず、光学系ユニット20で読み取られた原稿画像に基づく画像形成部12の実際の画像形成処理により印刷処理された用紙Pの印刷画像Gが、図9(A)に示すように、前肩上がりで歪んでいたときには、レンズ・センサユニット50の図6に示す右側後方のレベルが右側前方のレベルより下位になっていることが原因となって前記歪みが生じている。
従って、このときには、図6における後方の第2調整部材61bのネジ軸62をダイヤル64の操作で図6における時計方向(図7では反時計方向)に回転させることにより、後方の第2ネジ孔322(図5)に螺着したネジ軸62が底板32から上昇する。これによってレンズ・センサユニット50は、図6における右側後方がフランジ63を介して上昇されるため、印刷画像Gの前肩上がり(図9(A))は、図9(B)に示すように正常な印刷画像Gに修正される。
ついで、用紙Pの印刷画像Gが、図9(C)に示すように、後肩上がりで歪んでいたときには、レンズ・センサユニット50の図6に示す右側前方のレベルが右側後方のレベルより下位になっていることが原因となっている。
従って、このときには、図6における前方の第2調整部材61bのネジ軸62をダイヤル64の操作で図6における時計方向(図7では反時計方向)に回転させることにより、前方の第2ネジ孔322(図5)に螺着したネジ軸62が底板32から上昇する。これによってレンズ・センサユニット50は、図6における右側前方がフランジ63を介して上昇されるため、印刷画像Gの後肩上がり(図9(C))は、図9(D)に示すように正常な印刷画像Gに修正される。
なお、第1調整部材61aは、レンズ・センサユニット50の絶対高さを調整するときに第2調整部材61bとともに回動操作されるが、一旦レンズ・センサユニット50の絶対高さが設定された後は、レンズ・センサユニット50のよじれを修正するべく第2調整部材61bのみが回動操作され、第1調整部材61aが操作されることはない。
因みに、ダイヤル64の操作量については、トライアンドエラーで設定される。具体的には、任意の回動量でダイヤル64を操作してみて印刷処理を実行し、得られた印刷画像Gを視認して適正に修正されているか否かを判断し、修正し足りない場合にはダイヤル64の回動量を増加させ、修正し過ぎのときにはダイヤル64の回動方向を逆にし、このような操作を複数回繰り返すことで最終的に適正な修正が行われる。
以上詳述したように、本発明に係る画像読取装置としての光学系ユニット20は、筐体30に装着された原稿P1の原稿面が面接触されるコンタクトガラス31を介して当該原稿P1の原稿画像を光学的に読み取るものであり、筐体30には、コンタクトガラス31を介して原稿面に光を照射する光源部材412と、光源部材412によって原稿面に照射された光の反射光を所定の光路に沿うように反射させるミラー413,422,423と、ミラー413,422,423によって反射された反射光を集光するレンズ512と、レンズ512によって集光された反射光が入力されることにより当該反射光を電気信号に変換するCCD521とが内装され、レンズ512とCCD521とが保持体53に一体的に装着されてなるレンズ・センサユニット50が形成され、レンズ512に入光される反射光の光路Lに対して保持体53の高さを調整することによりレンズ・センサユニット50の高さを調整する高さ調整手段60が設けられている。
かかる構成によれば、筐体30のコンタクトガラス31を介して原稿P1の原稿面に照射された光源部材412からの光は、当該原稿面で反射されて原稿情報を有する反射光となる。この反射光は、複数のミラー413,422,423に反射され、所定の光路に沿ってレンズ512で集光された後にCCD521に入光される。反射光が入光されたCCD521は、当該反射光を電気信号に変換することで原稿画像を読み取る。
そして、画像読取装置にはレンズ512とCCD521とが所定の保持体53に一体的に装着されてなるレンズ・センサユニット50が設けられ、しかも、レンズ512に入光される反射光の光路Lに対して保持体53の高さを調整することによりレンズ・センサユニット50の高さを調整する高さ調整手段60が設けられているため、保持体の高さを高さ調整手段60により調整することでレンズ・センサユニット50の高さを調整することによって、レンズ512とCCD521との双方の位置が一体的に変化する。
従って、レンズ512とCCD521とが一体的に調整されるため、従来のようにCCD521のみが調整された場合には、レンズ512とCCD521との適正な対応関係が確保し得なくなって画像がぼやけるという不都合が生じたが、本発明に係る画像読取装置によればかかる不都合の発生を確実に防止することができる。
また、高さ調整手段60は、筐体30の底板32に形成された所定個数の第1および第2ネジ孔321,322に螺着される雄ネジの螺設された複数の調整部材61を備え、保持体53は、複数の調整部材61を介して底板32に支持されている。
かかる構成によれば、保持体53は、筐体30の底板32に形成された所定個数の第1および第2ネジ孔321,322に螺着される雄ネジの螺設された複数の調整部材61に支持されているため、調整部材61は、それを軸心回りに回すことにより昇降し、これによって調整部材61に支持された保持体53の高さ位置が調整される。
このように、高さ調整手段60を筐体30の底板32に形成された所定個数の第1および第2ネジ孔321,322に螺着される雄ネジの螺設された複数の調整部材61により構成することで、当該高さ調整手段60は、簡単な構成でありながら保持体53を確実に昇降させ得るものになる。
そして、保持体53は、付勢部材57によって筐体30の底板32に押圧されているため、保持体53の底板32に対する装着状態を安定させることができる。
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
(1)上記の実施形態においては、画像形成装置10として複写機を例に挙げて説明したが、本発明は、画像形成装置が複写機であることに限定されるものではなく、ファクシミリ装置やスキャナであってもよい。
(2)上記の実施形態においては画像形成装置10としてカラー印刷が可能な、いわゆるタンデム式のものが採用されているが、本発明は、画像形成装置10がカラー印刷可能なものであることに限定されるものではなく、一色のみの印刷を行うようにされた、いわゆるモノクロ機であってもよい。
(3)上記の実施形態において、画像読取部16の原稿マット161上に原稿P1の束を載置する原稿トレイを設け、この原稿トレイから原稿P1の1枚ずつをコンタクトガラス31へ給紙するようにした、いわゆる原稿自動読取装置を採用してもよい。
(4)上記の実施形態において、ダイヤル64または筐体30の底板32に目盛を付し、この目盛によってダイヤル64の回動量を認識し得るようにしてもよい。こうすることによって、ダイヤル64をどの程度回せばレンズ・センサユニット50をどの程度昇降させ得るのかを目盛を読み取ることで知ることができ、レンズ・センサユニット50の高さ調整作業の作業性を向上させることができる。
(5)上記の実施形態において、第2調整部材61bの回転操作については、前後のいずれか一方のみを操作することによりレンズ・センサユニット50の高さを調整することができる。具体的には、例えば前側の第2調整部材61bを軸心回りに時計方向に回転操作するのと、後側の第2調整部材61bを軸心回りに反時計方向に回転操作するのとは同等の効果でレンズ・センサユニット50の高さが調整される。