図22に開示された技術では、土砂受シート238の下端部は、土砂受シート238をシート収納部228下から引き出すための引出しワイヤ244の中間部に固定されている。また、土砂をしっかり受けるために、土砂受シート238の上縁を保持ワイヤ240、242に接続してある。以上のように、土砂切断ワイヤ220で土砂を切断し、その土砂を受け止める土砂受シート238は、引出しワイヤ244と保持ワイヤ240、242に接続されているので、排土の際に土砂が多数のワイヤ(引出しワイヤ244、保持ワイヤ240、242等)に引っかかり、スムーズに排出することが難しい。
また、筒状本体212の内周面側に形成された凹部(シート収納部228)に土砂受シート238を収納するのには、筒状本体212を一旦地表に横たえて、遮蔽板234を開いてから使用した土砂受シート238を収納することになるので煩雑であるし、作業効率もよくないため時間がかかる。
さらに、図23で開示された技術の支持爪294で筒状本体212内の土砂を保持できるのは、ローム層などの粘着性の大きい土砂だけであり、粘着性の小さい礫混じり土や埋め戻し土の土砂を保持することは難しい。また、図23で開示された支持爪294を備えた筒状本体212内の土砂を排出するには、筒状本体212の下部のフックを吊り下げて筒状本体212の上下を逆にして、土砂の移動で支持爪294を切り欠き296に収容して、土砂を落下させるため、筒状本体212の上下を逆にしないと土砂の排出(排土)ができない。
また、図24に開示された技術では、推進板318を折り曲げながら円筒体312を回転して円筒体312内外の土砂を分断するため、推進板318に大きな力がかかり、推進板318を円筒体312に接続するのに高い強度の構造が必要となる。さらに、推進板318はU字状パイプを通したワイヤ344を用いて折り曲げており、その推進板318を折り曲げるためには、強力な引っ張り力が必要であり、ワイヤ344を何度も使用すると、ワイヤ344に捻れが生じ、巻き上げ難くなる。また、ワイヤ344はワイヤ挿通パイプ316(U字状パイプ317)に通してあるので、捻れたワイヤ344を交換するには時間がかかり煩雑になる。さらに、推進板318を折り曲げるためにはヒンジ構造は複雑であり、そのため部品点数も増え製造管理の面から有利とはいえず、また部品点数の増加に伴い加工費の上昇を招いている。
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、掘削した土砂を保持し、保持した土砂を容易に排出(排土)することで作業効率の向上を図る掘削排土装置及びその方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、円筒状の形状である内管と、前記内管の先端部側で土砂を掘削するために、前記内管の軸方向に沿って流体を噴出し土砂を掘削する、前記内管の周面に取り付けられた掘削用噴射管と、前記内管の前記周面に取り付けられた前記掘削用噴射管から前記流体が噴射して土砂を掘削することで、前記内管内に収容された前記土砂を、前記内管外の土砂と切断するために流体を噴射する、前記内管の前記周面に取り付けられた切断用噴射管と、を備え、前記内管の先端部側の内周面には、前記内周面に沿う第一溝部と、該第一溝部と交差する方向に第二溝部とを設けた嵌合具受を設け、前記内管の先端部側の内周面の、前記嵌合具受に設けられた前記第一溝部及び前記第二溝部と嵌合する突状体である嵌合具を外周面に設けた円筒体を、前記内管の前記先端部側に収納したことを特徴とする。
従って、請求項1に記載の発明によれば、内管の周面に取り付けた掘削用噴射管から内管の軸方向に沿って流体を噴射し内管の先端部側で土砂を掘削し、土砂を掘削することで、土砂を内管内に収容することが可能になり、内管の周面に取り付けられた切断用噴射管から流体が噴射し、内管内の土砂と内管外の土砂とを切断することを可能にし、内管の先端部側の内周面には嵌合具受を設けているため、土砂保持装置、或いはカートリッジ式コアカッターを取り付けることが可能になる。また、土砂を内管内に保持しながらクレーンなどで釣り下げて移動して、トラック等の荷台に内管の先端部を置いてから、土砂保持装置を回転して内管から切り離し、内管を持ち上げることにより、内管内の土砂が内管の内周面(内壁)で引っかからずに排出できるので、排土が容易であり、土砂が散乱させないことが可能になる。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、土砂保持装置である前記円筒体内には、前記円筒体の軸方向に沿って、前記円筒体の前記内周面に取り付けられた、弾力性のある円筒状の網状体と、前記網状体に取り付けられ、前記円筒体の前記内周面と前記網状体との間に挟み込まれ、前記円筒体の中心軸に向かって膨張することが可能な膨張体と、前記円筒状の網状体を前記円筒体の前記内周面に取り付けるために、前記円筒体の両端部側の縁部に、前記円筒体の前記内周面に対向して設けられた支持具と、を備え、前記円筒体を前記内管の前記先端部側に組み込んだことを特徴とする。
従って、請求項2に記載の発明によれば、土砂保持装置をカートリッジ式にすることにより、土砂が散乱しない状態で排土とトラックへの積み込みが簡単にできると共に円筒体への土砂保持装置の交換が簡単にでき、掘削と排土と積み込みの一連の作業を連続して繰り返し行うことができるので、作業性が飛躍的に向上させることが可能になる。
さらに、請求項3に記載の発明は、円筒状の形状である内管と、前記内管の先端部側で土砂を掘削するために、前記内管の軸方向に沿って流体を噴出し土砂を掘削する、前記内管の周面に取り付けられた掘削用噴射管と、前記内管の前記周面に取り付けられた前記掘削用噴射管から前記流体が噴射して土砂を掘削することで、前記内管内に収容された前記土砂を、前記内管外の土砂と切断するために流体を噴射する、前記内管の前記周面に取り付けられた切断用噴射管と、前記切断用噴射管に取り付けられた、前記内管の先端部側で前記内管の中心軸方向へ前記流体を噴射する切断用噴射ノズルと、前記内管の先端部側の内周面には、前記内周面に沿う第一溝部と、該第一溝部と交差する方向に第二溝部を設けた嵌合具受と、前記内管の先端部側の内周面の、前記嵌合具受に設けられた前記第一溝部及び前記第二溝部と嵌合する突状体を外周面に設けた、前記内管の前記先端部側に収納される円筒体と、を備え、前記円筒体内では、前記円筒体の、前記内管の前記先端部とは反対側の前記縁部に設けられた、前記円筒体の内周面に沿って、前記円筒体の内周面に対向して設けられた、前記円筒体の軸方向に伸びた突出部材である支持具で、弾力性のある円筒状の網状体の一方の端部を保持し、前記円筒体の、前記内管の前記先端部側の前記縁部に設けられた前記支持具で、前記網状体の、前記網状体の軸方向に沿って切れ目が設けられた他方の端部を着脱可能に支持し、前記円筒体の前記内周面と前記網状体との間に挟み込まれた、膨張体が、前記内管の前記外周面に取り付けられた注入管より流体が注入されて膨張することにより、前記膨張体が前記円筒体の中心軸に向い、前記網状体の他方の端部が前記支持具から離れ、前記円筒体内の前記土砂を保持することを特徴とする。
従って、請求項3に記載の発明によれば、内管の周面に取り付けられた掘削用噴射管から流体が噴射して土砂を掘削して土砂を内管内に収容することになり、また、切断用噴射ノズルにより噴射する流体により、内管内の土砂と内管外の土砂を切断して、切断により生じた空隙に膨張体を膨らまして配置するので、土砂の切断と保持が簡単な操作で可能になる。また、膨張体と網状体を組み合わせて使用することにより、ローム層などの粘着性の大きい土砂以外の地盤(例えば、砂層、礫混じり土、埋め戻し土、埋立土など)に対しても、土砂が落ちないように保持することが可能になる。
また、請求項4に記載の発明は、円筒状の形状である内管と、前記内管の先端部側で土砂を掘削するために、前記内管の軸方向に沿って流体を噴出し土砂を掘削する、前記内管の周面に取り付けられた掘削用噴射管と、前記内管の前記周面に取り付けられた前記掘削用噴射管から前記流体が噴射して土砂を掘削することで、前記内管内に収容された前記土砂を、前記内管外の土砂と切断するために流体を噴射する、前記内管の前記周面に取り付けられた切断用噴射管と、前記内管の先端部側の内周面には、前記内周面に沿う第一溝部と、該第一溝部と交差する方向に第二溝部を設けた嵌合具受と、前記内管の先端部側の内周面の、前記嵌合具受に設けられた前記第一溝部及び前記第二溝部と嵌合する突状体を外周面に設けた、前記内管の前記先端部側に収納される円筒体と、を備え、前記円筒体内では、前記円筒体の、前記内管の前記先端部側の前記縁部に設けられた、前記円筒体の内周面に沿って、前記円筒体の内周面に対向して設けられた、前記円筒体の軸方向に伸びた突出部材である、支持具で、弾力性のある円筒状の網状体の一方の端部を保持し、前記円筒体の、前記内管の前記先端部とは反対側の前記縁部に設けられた前記支持具で、網状体の、前記網状体の軸方向に沿って切れ目が設けられた他方の端部を着脱可能に支持し、前記円筒体の前記内周面と前記網状体との間に挟み込まれた膨張体と、前記円筒体の、前記内管の前記先端部側の前記縁部側との間に、前記切断用噴射管に取り付けられた切断用噴射ノズルが前記内管の中心軸方向へ前記流体を噴射し、前記膨張体が、前記内管の前記周面に取り付けられた注入管より流体が注入されて膨張することにより、前記膨張体が前記円筒体の中心軸に向い、前記網状体の他方の端部が前記支持具から離れて重なり合い、前記円筒体内の前記土砂を保持することを特徴とする。
従って、請求項4に記載の発明によれば、内管の周面に取り付けられた掘削用噴射管から流体が噴射して土砂を掘削して土砂を内管内に収容することになり、また、切断用噴射ノズルにより噴射する流体により、内管内の土砂と内管外の土砂を切断して、切断により生じた空隙に膨張体を膨らまして配置するので、土砂の切断と保持が簡単な操作で可能になる。特に、網状体の下部を保持しているので、膨張体で拡開した網状体の、網状体の軸方向に沿って切れ目が設けられた他方の端部が絡まるか、或いは重なり合うようになるので土砂が網状体からこぼれることを防止することが可能になる。
さらに、請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記内管の先端部側の内周面の、前記嵌合具受に設けられた前記第一溝部及び前記第二溝部と嵌合する突状体である嵌合具を外周面に設けた、前記内管の前記先端部側に収納される円筒体と、前記円筒体の前記内周面に取り付けられ、前記円筒体の中心軸方向に向かって膨張することが可能な膨張体と、を備える土砂保持装置を前記内管の前記先端部側に組み込んだことを特徴とする。
従って、請求項5に記載の発明によれば、膨張体を膨らませることで、膨張体は、土砂保持装置の中心軸方向へ膨らみ、網状体を用いていない分だけ、膨張体が膨らんでも土砂保持装置の中心軸を中心とする空間は、網状体を用いた場合の空間に比べ大きくなるが、保持される土砂がローム層などの粘着性の大きい土砂であれば、土砂がバラバラになり難く、膨張体のみで保持しても空間から土砂がこぼれ落ち難くなることが可能である。
さらに、請求項6に記載の発明は、請求項2乃至4のいずれかに記載の構成に加え、前記膨張体は、前記円筒体の横断方向の内周面に沿って対向して一連に設けられ、前記膨張体への流体の注入により膨張し難く狭められた箇所が複数設けられていることを特徴とする。
従って、請求項6に記載の発明によれば、膨張体は、円筒体(土砂保持装置)の横断方向の内周面に沿って対向してチューブ状に一連に設け、膨張体に流体を注入し、膨張し難く狭められた箇所(結束部)同士の膨張体の部分を膨張させ、円筒体(土砂保持装置)の中心軸方向に向かって張り出して、円筒体(土砂保持装置)の横断方向の隙間を少なくする(空間を小さくする)ことを可能にする(土砂保持装置の内部を出来るだけ閉塞することが可能になる)。
また、請求項7に記載の発明は、請求項2乃至4のいずれかに記載の構成に加え、前記膨張体は、前記円筒体の横断方向の内周面に沿って前記円筒体の内周面から分離して設けられ、前記円筒体の軸方向に沿って伸びた形状であることを特徴とする。
従って、請求項7に記載の発明によれば、膨張体は、円筒体(土砂保持装置)の横断方向の内周面に沿って分離して設けられ(内周面に沿って複数個のチューブ体が設けられ)、円筒体(土砂保持装置)の軸方向に沿って伸びた形状である縦長の形状をなしているので、膨張体に流体を注入し、膨張体を膨張させることで膨張体が円筒体(土砂保持装置)の中心軸方向に向かって張り出して、円筒体(土砂保持装置)の横断方向の隙間を少なくする(空間を小さくする)ことを可能にする(土砂保持装置の内部を出来るだけ閉塞することが可能になる)。
また、請求項8に記載の発明は、請求項3又は4に記載の構成に加え、前記内管の前記周面に取り付けられた前記注入管より流体を前記膨張体へ注入するために前記膨張体には、前記注入管と着脱自在に取り付けられた注入パイプを備えることを特徴とする。
従って、請求項8に記載の発明によれば、内管の外周面に取り付けられた注入管より、膨張体に流体を注入することで膨張体を膨張させることを可能にする。直接注入管より膨張体に流体を注入することも可能であるが、土砂保持装置と内管と分離することを考慮して膨張体には、逆流防止弁を備え、注入管と分離可能な方法で接続できる注入パイプを設けることで注入管から送られる流体を膨張体へ注入することを可能にする。
さらに、請求項9に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の構成に加え、前記内管の前記周面には、複数の掘削用噴射管が取り付けられており、前記土砂を掘削する、前記内管の先端部側では、複数の前記掘削用噴射管に各々掘削用噴射ノズルが取り付けられ、前記掘削用噴射ノズル同士の間に、前記内管の外側へ凸状の円弧状に形成された、埋設物を傷つけるのを防止する、接触部材が設けられていることを特徴とする。
従って、請求項9に記載の発明によれば、内管の先端部に接触部材が設けて、内管を回転しながら、塩ビ管等の埋設物に対して傷つけない荷重で押して、或いは内管(内管を収納する外管がある場合には外管の重量も含めて)の重量のみで、土中に入れるので、埋設物を傷つけることを防止することが可能になる。
また、請求項10に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記円筒体である円筒部と連続し、前記円筒部と同心円状に形成され、中心軸回りに回転可能であるカッター部を、備えるカートリッジ式コアカッターを前記内管の前記先端部側に組み込んだことを特徴とする。
従って、請求項10に記載の発明によれば、内管の先端部にカートリッジ式コアカッターを取り付け、掘削排土装置を操作するための装置により舗装切断が可能になり、さらに、内管の先端部に土砂保持装置を取り付け、同じ掘削排土装置を操作するための装置に掘削排土装置を取り付けて掘削、排土、土砂の積み込みを行うことにより、一つの装置で、舗装切断、掘削、排土、土砂の積み込みの一連の作業が可能になると共に、装置全体を小型にすることが可能になり、舗装切断装置を別途用意しなくてすむので、トータルの装置費用と作業費用を大幅に低減することが可能になる。
さらに、請求項11に記載の発明は、請求項1乃至8のいずれかに記載の構成に加え、前記内管の先端部側寄りに、複数の孔部が設けられていることを特徴とする。
従って、請求項11に記載の発明によれば、内管の先端部から挿入された土砂保持装置内に流体が溜まった場合、内管を地上へ釣り上げる際に、内管内も含め土砂保持装置内に溜まった流体を内管の多数の孔部から排出し掘削した穴に流すことが可能になるので、排水で内管内に溜まった流体により作業場を汚すことを最小に抑えることが可能になる。
また、請求項12に記載の発明は、請求項1乃至9に記載の構成に加え、前記内管は、前記内管の軸方向の長さと同一、或いは前記内管の軸方向の長さより短い外管に収納されることを特徴とする。
従って、請求項12に記載の発明によれば、内管を外管に収納することで二重管構造にすることにより地表近くの穴壁の崩落防止に使用することが可能になる。
さらに、請求項13に記載の発明は、請求項1に記載の掘削排土装置の前記内管の先端部側内に、請求項2に記載の土砂保持装置を収納し、前記内管の前記嵌合具受と前記土砂保持装置の前記嵌合具とを嵌合させ、前記掘削排土装置を回転させるとともに、前記掘削用噴射管へ流体を送り、前記掘削用噴射管へ送られた前記流体を、前記掘削用噴射管に取り付けられた掘削用噴射ノズルより噴射する工程と、掘削する土砂へ前記掘削排土装置を当接し、前記掘削用噴射ノズルより前記流体が噴射して土砂を掘削する工程と、前記掘削排土装置が土砂を掘削し終えた後に、前記掘削用噴射ノズルの前記流体の噴射を止め、前記切断用噴射管へ前記流体を送り、前記切断用噴射ノズルより噴射する前記流体により、前記土砂保持装置の軸方向を横断する方向に前記土砂保持装置内の土砂を切断する工程と、前記内管の前記外周面に取り付けられた注入管へ流体を送り、前記注入管へ送られた前記流体は前記注入管と分離可能に接続されている注入パイプより前記膨張体へ送られ前記膨張体を膨張させ、前記膨張体及び前記網状体により前記切断用噴射ノズルからの流体の噴射で切断した土砂を保持する工程と、前記土砂を保持した状態で、前記掘削排土装置を地上側へ引き上げ、前記掘削排土装置と前記土砂保持装置とを連結している前記嵌合具受と前記嵌合具とを回転して外し、且つ前記注入パイプと前記注入管を分離して、前記掘削排土装置と前記土砂保持装置とを分離可能な状態にし、前記掘削排土装置の前記土砂を前記土砂保持装置と共に排土する工程と、を備えることを特徴とする。
従って、請求項13に記載の発明によれば、土砂保持装置をカートリッジ式にして着脱自在にしているために、土砂の収納、保持、排土の際に内管を上下逆さまにする等の作業を必要とぜすに、土砂を掘削して、掘削した土砂を保持して、保持した土砂を排土する作業を一連で行うことが可能になり、作業効率の向上を図ることが可能になる。
また、請求項14に記載の発明は、請求項2に記載の掘削排土装置の前記内管を回転させ、前記掘削用噴射管に取り付けられた掘削用噴射ノズルより前記流体を噴射して土砂を掘削することで前記内管の上端部を所定の深さまで埋設した後、前記内管の前記上端部に接続具を取り付け、前記接続具と上部柱の下部フランジとを重ね合わせて接続することを特徴とする。
従って、請求項14に記載の発明によれば、内管の上端部に取り付けた接続具と標識柱・照明灯柱の下部フランジとを接続することにより、内管内の土砂を排土しないで、標識・照明灯の鋼管基礎として使用することが可能になる。
さらに、請求項15に記載の発明は、請求項2に記載の掘削排土装置の前記内管を前記外管に収納して前記内管及び前記外管を固定して回転させ、前記掘削用噴射管に取り付けられた掘削用噴射ノズルより前記流体を噴射して土砂を掘削することで前記外管の上端部を所定の深さまでに埋設し、前記内管と前記外管を分離して前記内管のみを回転させ、前記掘削用噴射ノズルより前記流体を噴射して土砂を掘削した後に、前記外管の前記上端部を所定の深さまで埋設した後、前記外管の上端部に接続具を取り付け、前記接続具と上部柱の下部フランジとを重ね合わせて接続することを特徴とする。
従って、請求項15に記載の発明によれば、外管の上端部を所定の深さまで埋設し、内管のみで掘削する(地中に押し進む)ことで長い基礎を形成することになるので、内管と外管との重なり部分を強度に接続することにより、例えば、内管と外管とで二重管構造で掘削し、外管の上端部が所定の深さまで到達したら、内管と外管とを分離し、内管の上端に他の内管を接続して、二つの内管で掘削を行い、他の内管の上端部を所定の深さまで埋設したら、他の内管と外管とをボルト等の固定具で固定することで内管と外管との重なりの強度を上げて長い基礎を形成することが可能になる。
本発明によれば、土砂保持装置と掘削排土装置の内管とは固定具と固定具受により、且つ注入パイプは注入管への挿入により、分離可能な状態結合して、掘削排土装置の内管に土砂保持装置を着脱可能にしたことにより、掘削排土装置の内管を上下逆さまにしなくても、掘削排土装置から土砂保持装置を分離することができるので掘削した土砂の排土の作業効率を向上させることができる。また、土砂保持装置をカートリッジ式にすることにより、掘削排土装置から土砂を排土(排出)する際に、土砂保持装置ごと(排土)排出することになるので、別の(交換用の)土砂保持装置を掘削排土装置の内管に取り付けられ、直ちに次の掘削を行うことができる。このように、交換用の土砂保持装置を複数用意することにより、掘削と排土の一連の作業が複数回行われても短時間で行うことができる。
また、掘削排土装置の内管から土砂とともに土砂保持装置も排出するので、内管から土砂保持装置を分離した時に、内管の内周面(内壁)に大きな突起物がない状態になるため、土砂の重量のみで土砂を円筒体から落とせ、スムーズに土砂を排出(排土)でき、土砂が散乱しない状態で排土とトラックへの積み込みが簡単にできる。
さらに、掘削に使用する高圧流体を供給する装置から高圧流体を供給して、噴射ノズルの高圧流体で土砂を切断するので、ワイヤや推進板などの装置を必要とせず、構造の簡易化を図ることができる。土砂保持装置内に網状体と膨張体を使用する場合、膨張体を網状体と一体化するのに結束材で結束するだけなので、作業が容易であり、膨張体と網状体と一体化した状態で土砂保持装置の円筒体の内側に挿入するだけであり土砂保持装置の組立が容易で作業性を向上させられる。
さらに、膨張体の構造を土砂保持装置の円筒体の横断方向の内周面(内壁)に沿うチューブ状としたり、或いは土砂保持装置の軸方向に沿って伸びた縦長の形状をなし、土砂保持装置の横断方向の内周面(内壁)に沿って分離された状態としたりすることによって、製造コストを抑え、膨張体を網状体に結束する作業を簡単にすることができる。そして、膨張体の網状体、或いは土砂保持装置の円筒体の内周面(内壁)への結束方法(取付方法)を工夫することにより、土砂保持装置の内部を出来るだけ閉塞するような構造にもできる(土砂保持装置の内部の空間を小さくできる)。
膨張体が膨らんだ時の体積はそれほど大きくないのいで、膨張体内に注入する流体は気体でも液体でも使用でき、注入パイプに接続された図示しない流体供給装置は流量、或いは流圧を調整できる構造を有することが望ましい。
また、掘削排土装置の内管の先端部側に接触部材を有しているので、市街地で電柱・街路樹を埋設する穴を掘削する場合、塩ビ管等の埋設物を傷つけずに掘削できる。さらに、一つの装置で舗装切断・掘削・排土・土砂の積み込みの一連の作業ができるので、作業効率の向上を図ることができる。また、舗装切削装置もカートリッジ式にして掘削排土装置に組み込める形式をとっているので、舗装切断装置を別途用意しなくても済むので、トータルの装置費用と作業費用を大幅に低減できる。
さらに、外管が内管を収納した掘削排土装置を用いることにより、円筒体(外管)を地表面近くの穴壁の崩落防止に使用できると共に電柱の根枷として使用できる。そして、二重管構造の場合、内管の長さを掘削予定深度の半分にできるので、内管本体の長さを短くでき、掘削排土装置の内管の上部に接続する回転駆動部までの全体の長さを短くできるので、掘削排土装置を操作するための装置全体を小型化を図ることができる。また、掘削した穴の中心から直径分以内に移動して掘削する場合も鉛直に掘削が可能であり、土砂の掘削を流体で行っているため、アースオーガーで掘削する場合に発生する掘削した穴の空隙に引っ張られて起こる掘削位置のずれが発生し難くなる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
図1及び図2には、本発明である掘削排土装置30の、円筒体である内管1が示されている。内管1は、地盤を掘削するための機能を有しており、図1に示すように、掘削用噴射管6、切断用噴射管7、及び注入管28が取り付けられている。本例では、図1及び図2に示すように、内管1の外周面(外壁)1aに掘削用噴射管6、切断用噴射管7、及び注入管28が取り付けられている。内管1の外周面(外壁)1aへの掘削用噴射管6、切断用噴射管7、及び注入管28の取付に際しては、本例では溶接により行っているが、溶接に限定されることなく、例えば、内管1に掘削用噴射管6、切断用噴射管7、及び注入管28を嵌め込むためのそれぞれための凹部を設け、掘削用噴射管6、切断用噴射管7、及び注入管28をそれぞれの凹部に嵌め込んで取り付けることも可能である。
図1に示すように、本例では、内管1の外周面(外壁)1aに4本の掘削用噴射管6が取り付けられており、各掘削用噴射管6には、図2に示すように、掘削用噴射ノズル3が取り付けられている。本例では、内管1の外周面(外壁)1aに4本の掘削用噴射管6が取り付けられているが、4本に限定されることなく、4本より多く掘削用噴射管6を取り付けることも可能であるし、4本より少なく掘削用噴射管6を取り付けることも可能である。
また、図1に示すように、本例では、内管1の外周面(外壁)1aに1本の切断用噴射管7が取り付けられており、切断用噴射管7には、図2に示すように、切断用噴射ノズル4が取り付けられている。切断用噴射ノズル4の噴射方向は、水平方向に対して上下30°の範囲の角度であればよい。本例では、切断用噴射ノズル4の噴射方向は、水平方向に対して0゜であるが、水平方向に対して上方0゜から30゜でもよく、また、水平方向に対して下方0゜から30゜でもよい。本例では、内管1の外周面(外壁)1aに1本の切断用噴射管7が取り付けられているが、1本に限定されることなく、複数本の切断用噴射管7を取り付けることも可能である。さらに、図1に示すように、本例では、内管1の外周面(外壁)1aに1本の注入管28が取り付けられている。本例では、内管1の外周面(外壁)1aに1本の注入管28が取り付けられているが、1本に限定されることなく、複数本の注入管28を取り付けることも可能である。
また、本例では、内管1の外周面(外壁)1aに掘削用噴射管6、切断用噴射管7、及び注入管28が取り付けられているが、内管1の外周面(外壁)1aに限定されることなく、内管1の内周面(内壁)1bに掘削用噴射管6、切断用噴射管7、及び注入管28を取り付けることも可能である。内管1の一方の端部1d側(上端部側)には、結合用ボルト9を通すための孔部1cが設けられている。この結合用ボルト9により、内管1を収納する円筒体である外管2と連結することが可能になる。
つまり、外管2にも、内管1を収納した際に内管1の孔部1cと重なり合う位置に孔部2cが設けられており、結合用ボルト9が外管2の孔部2c及び内管1の孔部1cに組み込まれることで内管1と外管2とが連結されることになる。この外管2は、根枷又は土砂崩壊防止のための部材として機能することになる。そして、本例では、内管1の軸方向の長さと、内管1が収納される外管2の軸方向の長さとは略同一となっている。ただし、内管1の軸方向の長さを外管2の軸方向の長さより長くすることも可能である。
そして、内管1の他方の端部1e側(先端部側)には、土砂保持装置20である短円筒体20が収納されており、内管1の他方の端部1e側(先端部側)には、短円筒体20と連結するための嵌合具受8が設けられている。また、短円筒体20には、内管1の他方の端部1e側(先端部側)に設けられた嵌合具受8と嵌合するための嵌合具27が、短円筒体20の外周面の、内管1の端部側(先端部側)の嵌合具受8と嵌合できる位置に設けられている。具体的な内管1の嵌合具受8と短円筒体20の嵌合具27との嵌合については、図3に示してある。
本例では、内管1の内周面(内壁)1bには、図3に示す内管1の内周面(内壁)1bに沿う溝部(第一溝部)81と、溝部(第一溝部)81交差する方向に第二溝部である溝部開口82、溝部終端83が形成された板状部材である嵌合具受8が内周面(内壁)1bに沿って設けられている。また、短円筒体20の外周面(外壁)20aには、図2に示す突起部材である嵌合具8が外周面(外壁)20aが突出している。以上のような嵌合具受8を備える内管1と嵌合具27を備える短円筒体20とを連結するためには、図3(a)に示すように、矢印A方向に沿って、嵌合具27を備える短円筒体20を内管1の嵌合具受8の溝部開口82から溝部81へ入れる。溝部81に入った嵌合具27を溝部81内を摺動させ、屈曲部84により嵌合具27の摺動方向が溝部開口側の方向に対して略直角方向になり、矢印B方向である短円筒体20を横断する方向へ嵌合具27を摺動させ屈曲部85に到達させる。
短円筒体20の嵌合具27が内管1の嵌合具受8の屈曲部85に到達することで内管1への短円筒体20の組み込みが完了する。本例の内管1に設けられた嵌合具受8では、屈曲部85から溝部開口82とは反対方向へ溝部81が伸びて溝部終端83が形成されている。このような溝部終端83を形成することで、掘削作業中に短円筒体20に掘削による押圧が加わった際に嵌合具27が、矢印C方向に沿って溝部終端83へ移動する。嵌合具27が溝部終端83へ移動することで内管1と短円筒体20とが安定した状態になり、安定した状態で掘削作業を行うことが可能になる。
また、図3(a)に示すような嵌合具受8に限定されることなく、図3(b)に示すような嵌合具受8を用いることも可能である。図3(a)では、図3(a)と同様に、嵌合具27を備える短円筒体20を内管1の嵌合具受8の溝部開口82から溝部81へ入れる。溝部81に入った嵌合具27を溝部81内を摺動させ、屈曲部84により嵌合具27の摺動方向が溝部開口側の方向に対して略直角方向になり、矢印B方向である短円筒体20を横断する方向へ嵌合具27を摺動させ屈曲部85に到達させる。嵌合具27が溝部終端83へ移動することで内管1と短円筒体20とが安定した状態になる。
ただし、内管1の嵌合具受8と短円筒体20の嵌合具27とは、図3に示すように、内管1の他方の端部1e側(先端部側)に短円筒体20を収納し(組み込み)、短円筒体20を回転させて嵌合させる構成に限定されない。例えば、内管1の嵌合具受8のある位置に孔部を設け、短円筒体20の嵌合具8のある位置に孔部を設け、それらの孔部を重なり合わせてボルト或いはピンを組み込み内管1と短円筒体20とを一体化(分離しなくする)ことも可能である。このようにボルト或いはピンを組み込むことで、内管1が回転した際に短円筒体20が分離するのを防止することが可能になる。
短円筒体20内には、図4及び図5に示すように、膨張体21が組み込まれている。本例で用いている膨張体21は、ゴム製であるが、ゴム製に限定されることなく、膨張可能な繊維製のものであってもよい。また、膨張体21の形状は、本例では、円形で切れ目がないタイヤチューブのような形状であるが、このような形状に限定されることなく、例えば、両端を閉塞した棒状のチューブを円形にした形状であってもよい。そして、膨張体21は、図4に示すように、短円筒体20の軸方向の略中央に短円筒体20の内周面(内壁)20bに沿うように設けられている。
この膨張体21の、短円筒体20の中心側には、図4及び図5に示すように、網状体22が設けられている。本例で用いている網状体22は、変形しても元に戻る程度の適度な強度を持つ樹脂製であるが、樹脂製に限定されることなく、変形しても元に戻る程度の適度な強度を持てば金属製であってもよい。この網状体22は、筒状の形状をなしており、一方の端部22aは切れ目がなく、他方の端部22bは網状体22の軸方向(短円筒体20の軸方向)に沿って切れ目が入っている。この網状体22を用いることにより、粘性が少ない土砂を保持することが可能になる。
そして、この膨張体21は、図4に示すように、結束材25により網状体22に固定されている。具体的には、紐状部材である結束材25を網状体22の上から掛けて網状体22と膨張体21とに巻回して網状体22と膨張体21を結束し一体化している。図4に示すように、本例では、このような膨張体21と網状体22とを結束材25で結束する結束部(流体の注入により膨張し難く狭められた箇所)25を複数箇所としており、特に、結束材25で膨張体21を巻回して結束する箇所の数に限定されることない。
膨張体21と網状体22とを結束材25で結束することで、膨張体21が均一に膨らめばよく、膨張体21を膨らませた際に、膨張体21の結束材25、25同士(結束部同士)の間が短円筒体20の中心軸方向に向かって張り出すように、膨張体21が星型を形成することで膨張体21としての機能が果たすことが可能になる。そのため、例えば、自転車のチューブのような細いチューブを用いることも可能であり、膨張体21を膨らませたときに、短円筒体20の中心軸方向に向かって張り出して、短円筒体20の横断方向の隙間(空間33)が少なくなるように、結束材25で膨張体21を巻回して結束する箇所の数を決定することになる。
また、短円筒体20への、膨張体21と網状体22との組み込みでは、まず、網状体22の外側の略中央部に膨張体21を結束材25で結束して一体化したものを短円筒体20の端部側(両端のどちらかでもよい)から挿入する。そして、網状体22の切れ目のない一方の端部22aを、短円筒部20の中心側に向かって設けられた縁部20cに形成された保持具(支持具)23と短円筒体20の内周面(内壁)20bとの間に押し込む。保持具23は、図5に示すように、縁部20cより、短円筒体20の内周面(内壁)20bに沿って、短円筒体20の軸方向に伸びた突出部材であり、短円筒体20の内周面(内壁)20bに対向して設けられている。
ただし、保持具23は、必ずしも短円筒体20の内周面(内壁)20b全体にわたって対向して設けられる必要はなく、部分的に短円筒体20の内周面(内壁)20bに対向するように設けることも可能である。また、保持具23と短円筒体20の内周面(内壁)20bとで形成される隙間はかなり狭く、網状体22の一方の端部22aを保持具23と短円筒体20の内周面(内壁)20bとの押し込む(差し込む)ことで網状体22の一方の端部22aを固定することが可能となる隙間になっている。また、この隙間に別の板状部材を入れて保持具23と短円筒体20の内周面(内壁)20bとの押し込んだ(差し込んだ)網状体22の一方の端部22aの固定をより強固にすることも可能である。
つぎに、網状体22の、網状体22の軸方向(短円筒体20の軸方向)に沿って切れ目が入っている他方の端部22bを、短円筒部20の、短円筒部20の中心側に向かって設けられた縁部20dに設けられた止め具(支持具)24と短円筒体20の内周面(内壁)20bとの間に押し込む。止め具24も、保持具23と同様に、図5に示すように、縁部20dより、短円筒体20の内周面(内壁)20bに沿って、短円筒体20の軸方向に伸びた突出部材であり、短円筒体20の内周面(内壁)20bに対向して設けられている。
ただし、止め具24は、保持具23と同様に、必ずしも短円筒体20の内周面(内壁)20b全体にわたって対向して設けられる必要はなく、部分的に短円筒体20の内周面(内壁)20bに対向するように設けることも可能である。また、止め具24と短円筒体20の内周面(内壁)20bとで形成される隙間はかなり狭く、網状体22の他方の端部を止め具24と短円筒体20の内周面(内壁)20bとの間の隙間へ押し込む(差し込む)ことで網状体22の他方の端部22bが容易に抜けなくし、網状体22と膨張体21とが短円筒体20から容易に分離しないようにしてある。
さらに、膨張体21へ流体を注入するための注入パイプ26が、図5に示すように、膨張体21に接続されている(取り付けられている)。この注入パイプ26は、図示しない逆流防止弁を備えており、内管1の外周面(外壁)1aに設けられた注入管28と分離可能(着脱可能)に接続されている。膨張体21を膨らませるためには、注入管28と注入パイプ26が接続し、注入管28へ流体を送り、注入管28から送られてきた流体が注入パイプ26を経由して、膨張体21へ流体が注入される。
膨張体21へ注入された流体は、図6に示すように、短円筒体20の内周面(内壁)20bに沿って膨張体21内を流れ、膨張体21を膨らます。膨張体21が膨らむことにより、短円筒体20の縁部20cに設けられた止め具24と短円筒体20の内周面(内壁)20bとの間の隙間へ押し込まれていた(差し込まれていた)網状体22の他方の端部22bが外れる(離れる)(図7参照)。そして、網状体22の他方の端部22bは、図6及び図7に示すように、短円筒体20の中心軸方向へ寄り、短円筒体20内を網状体22により区切る(仕切る)ことが可能になる。
以上が本例での短円筒体20の構成であるが、短円筒体20の構成は以上に限定されることなく他の構成をとることも可能である。
図8及び図9には、短円筒体20の他の形態が示されている。短円筒体20の他の形態においても基本的な構成は共通しており、図4及び図5に示す形態と図8及び図9に示す形態との異なる構成は、図4及び図5に示す膨張体21は一体型であり(チューブ状であり)、図6及び図7に示す膨張体31は分離型(縦長の分離型)である。以下では、図8及び図9に示す短円筒体20の特徴的な部分を中心に説明する。
短円筒体20内には、図8及び図9に示すように、短円筒体20の軸方向に沿って、短円筒体20の内周面(内壁)20bに沿うように膨張体31が設けられている。膨張体31は、膨張体21と同様に、ゴム製に限定されることなく、膨張可能な繊維製のものであってもよい。また、膨張体31は、複数の、両端が閉塞した太くて短いチューブ体31aから構成されており、複数のチューブ体31aはチューブ体31a内へ流体を通すための渡しパイプ29で接続されている。チューブ体31aは、短円筒体20の軸方向に沿って伸びた縦長の形状をなしており、短円筒体20の横断方向の内周面(内壁)に沿って分離された状態となっている。各チューブ体31aの一方の端部は、結束材25により、網状体21に固定されている。具体的には、紐状部材である結束材25を網状体22の上から掛けて網状体22と各チューブ体31a(膨張体31)とに巻回して網状体22と各チューブ体31a(膨張体31)を結束し一体化している。
短円筒体20の中心側には、図8及び図9に示すように、膨張体31を覆うように網状体22が設けられている。本例で用いている網状体22は、変形しても元に戻る程度の適度な強度を持つ樹脂製であるが、樹脂製に限定されることなく、変形しても元に戻る程度の適度な強度を持てば金属製であってもよい。この網状体22は、筒状の形状をなしており、一方の端部22aは切れ目がなく、他方の端部22bは網状体22の軸方向(短円筒体20の軸方向)に沿って切れ目が入っている。
また、短円筒体20への、膨張体31と網状体22との組み込みでは、まず、網状体22の外側(短円筒体20の内周面(内壁)20bに面する側)の略中央部に複数のチューブ体31aを結束材25で結束して一体化したものを短円筒体20の端部側(両端のどちらかでもよい)から挿入する。そして、網状体22の切れ目のない一方の端部を、短円筒部20の中心側に向かって設けられた縁部20cに設けられた保持具23と短円筒体20の内周面(内壁)20bとの間に押し込む。保持具23は、図9に示すように、縁部20cより、短円筒体20の内周面(内壁)20bに沿って、短円筒体20の軸方向に伸びた突出部材であり、短円筒体20の内周面(内壁)20bに対向して設けられている。
ただし、保持具23は、必ずしも短円筒体20の内周面(内壁)20b全体にわたって対向して設けられる必要はなく、部分的に短円筒体20の内周面(内壁)20bに対向するように設けることも可能である。また、保持具23と短円筒体20の内周面(内壁)20bとで形成される隙間はかなり狭く、網状体22の一方の端部を保持具23と短円筒体20の内周面(内壁)20bとの押し込む(差し込む)ことで網状体22の一方の端部を固定することが可能となる隙間になっている。また、この隙間に別の板状部材を入れて保持具23と短円筒体20の内周面(内壁)20bとの押し込んだ(差し込んだ)網状体22の端部の固定をより強固にすることも可能である。
つぎに、網状体22の、網状体22の軸方向(短円筒体20の軸方向)に沿って切れ目が入っている他方の端部を、短円筒部20の、短円筒部20の中心側に向かって設けられた縁部20dに設けられた止め具24と短円筒体20の内周面(内壁)20bとの間に押し込む。止め具24も、保持具23と同様に、図9に示すように、縁部20dより、短円筒体20の内周面(内壁)20bに沿って、短円筒体20の軸方向に伸びた突出部材であり、短円筒体20の内周面(内壁)20bに対向して設けられている。
ただし、止め具24は、必ずしも短円筒体20の内周面(内壁)20b全体にわたって対向して設けられる必要はなく、部分的に短円筒体20の内周面(内壁)20bに対向するように設けることも可能である。また、止め具24と短円筒体20の内周面(内壁)20bとで形成される隙間はかなり狭く、網状体22の他方の端部を止め具24と短円筒体20の内周面(内壁)20bとの間の隙間へ押し込む(差し込む)ことで網状体22の他方の端部22bが容易に抜けなくし、網状体22と膨張体21とが短円筒体20から容易に分離しないようにしてある。
さらに、膨張体21へ流体を注入するための注入パイプ26が、図9に示すように、一つのチューブ体31aに接続されている(取り付けられている)。この注入パイプ26は、図示しない逆流防止弁を備えており、内管1の外周面(外壁)1aに設けられた注入管28と分離可能に接続されている。そして、膨張体31を膨らませるためには、注入管28と注入パイプ26とを接続し、注入管28へ流体を送り、注入管28から送られてきた流体が注入パイプ26を経由して、膨張体21へ流体が注入することになる。具体的には、注入管28と注入パイプ26が接続され、流体が注入管28を流れ、注入管28を流れた流体が注入パイプ26を経由して、注入パイプ26が接続されてたチューブ体31a内へ流体が注入される。
流体が注入されることでチューブ体31aが膨れるともに、そのチューブ体31aに接続されている渡しパイプ29を経由して、他のチューブ体31aへ流体が送られることになる。最終的には、図10及び図11に示すように、渡しパイプ29を経由して、短円筒体20の内周面(内壁)20bに沿って設けられた全てのチューブ体31aに流体が送られ、全てのチューブ体31aが膨れ上がることになる。膨張体21が膨らむことにより、短円筒体20の縁部20cに設けられた止め具24と短円筒体20の内周面(内壁)20bとの間の隙間へ押し込まれていた(差し込まれていた)網状体22の他方の端部22bが抜ける(離れる)(図11参照)。そして、網状体22の他方の端部22bは、図10及び図11に示すように、短円筒体20の中心軸方向へ寄り、短円筒体20内を網状体22により区切る(仕切る)ことが可能になる。なお、以上、図3から図11まででは、短円筒体20内の構成を明確に示すために切断用噴射管7を含め切断用噴射ノズル4の記載を省略してあるが、切断用噴射ノズル4は、内管1の他方の端部1e側(先端部側)に設けられている。
以上では、短円筒体20の縁部20c側で、短円筒体20の内周面(内壁)20bと保持具23との間に網状体22の一方の端部22aを差し込んで固定し、短円筒体20の縁部20d側で、短円筒体20の内周面(内壁)20bと止め具24との間に網状体22の他方の端部22bを差し込んで一時的に保持する構成を示したが、この構成に限定されることなく、短円筒体20の縁部20d側で、短円筒体20の内周面(内壁)20bと止め具24との間に網状体22の一方の端部22aを差し込んで固定し、短円筒体20の縁部20c側で、短円筒体20の内周面(内壁)20bと保持具23との間に網状体22の一方の端部22bを差し込んで一時的に保持する構成をとることも可能である。
その場合には、切断用噴射ノズル4は、図2に示す内管1の他方の端部1e側(先端部側)に設けるのではなく、膨張体21、31より短円筒体20の縁部20c側の間に設けることになる。具体的には、図12及び図13に示すように、切断用噴射ノズル4を短円筒体20の縁部20c上に設けることも可能であり、また、点線で示す切断用噴射ノズル4のように、膨張体21と短円筒体20の縁部20cとの間に設けることも可能である。以上のような構成をとることにより、切断用噴射ノズル4から流体が噴射されることで短円筒体20内の土砂が短円筒体20を横断する方向に切断される。土砂が切断されることで短円筒体20内の土砂の中に空間が形成される。
つぎに、注入管28からの流体が注入パイプ26を経て、膨張体21へ送られ、膨張体21が膨らむ。膨張体21の膨らみにより、短円筒体20の縁部20c側で、短円筒体20の内周面(内壁)20bと保持具23との間に差し込んで一時的に保持していた網状体22の一方の端部22bが、短円筒体20の内周面(内壁)20bと保持具23との間から外れる(離れる)(図11参照)。網状体22の他方の端部22bには軸方向(短円筒体20の軸方向)に沿って切れ目が入っているので、網状体22の他方の端部22bが形成された空間内に入ると、網状体22の他方の端部22bは自由に動く。
そして、形成された空間内で、網状体21の、網状体22の軸方向(短円筒体20の軸方向)に沿って切れ目が入っている他方の端部22bが拡開して、他方の端部22b同士が重なり合う。重なり合った部分22cが形成されることで、網状体22は、図12及び図13に示すように、閉じた状態になる。そのため、短円筒体20を横断する方向に切断して形成された空間に(内管1内も含めた)短円筒体20内の土砂が降下するが、網状体22が閉じているので降下した土砂を受け、また、膨張体21によっても降下した土砂は保持される。
なお、図12においても、図12では図示していない結束材25により、膨張体21と網状体22とが結束され、図7に示す短円筒体20と同様に結束されている。また、図13においても、結束材25により、膨張体31を構成する各チューブ体31aの一端と網状体22とが結束され、図11に示す短円筒体20と同様に結束されている。
以上で示した短円筒体20では、結束材25を用いることにより、網状体22と膨張体21、31とを結束し、膨張体21、31を膨らませることにより、膨張体21、31と膨張体21、31上の網状体22とにより(内管1内も含めた)短円筒体20内の土砂、特に、礫混じり土や埋め戻し土等の粘着性の小さい土砂を主に保持する構成をとっているが、このような構成に限定されるものではない。つまり、土砂の中には、ローム層などの粘着性の大きいもあり、このような粘着性の大きい土砂を扱う場合(保持する場合)には、網状体22を用いる必要はなくなる。
網状体22を用いない場合には、短円筒体20では、結束材25により膨張体21、31を結束し、結束し終えた結束材25の端部を短円筒体20の内周面(内壁)20bに固定することになる。固定方法としては、結束し終えた結束材25の端部を接着剤等により、短円筒体20の内周面(内壁)に接着することで固定することが可能である。また、短円筒体20の内周面(内壁)に突起を形成し、結束し終えた結束材25の端部をその突起に巻き付けて固定するということも可能である。
以上のように、網状体22を用いない短円筒体20では、図14及び図15に示すように、膨張体21、31(チューブ体31a)を膨らませることで、膨張体21、31(チューブ体31a)は、短円筒体20の中心軸方向へ膨らむ。網状体22を用いていない分だけ、膨張体21、31が膨らんでも短円筒体20の中心軸を中心とする空間32は、網状体22を用いた場合の空間33に比べ大きくなる。ただし、保持される土砂はローム層などの粘着性の大きい土砂であるため、土砂がバラバラになり難く、膨張体21、31(チューブ体31a)のみで保持しても空間32から土砂がこぼれ落ち難くなる。
以上のような短円筒体20が内管1への組み込まれ、短円筒体20が組み込まれた、内管1の他方の端部側(先端部側)には、接触部材5が取り付けられている。具体的には、接触部材5は、図2に示すように、内管1の他方の端部側(先端部側)に、掘削用噴射ノズル3、3同士の間に、内管1の他方の端部側(先端部側)とは反対側(内管1の外側)へ凸状の緩やかな円弧状の形状で形成されている。接触部材5の材質は、塩ビ管等の埋設物を破損しない(傷つけない)強度を有する樹脂である。そのため、内管1を一定の荷重で押し込んで、塩ビ管等の埋設物を傷つけるのを防止することができる。
以上のように、内管1の他方の端部1e側(先端部側)には、短円筒体20が収納されているが、短円筒体20以外の装置を組み込むことも可能である。本例では、コアカッターをカートリッジ式にして内管1の他方の端部1e側(先端部側)に取り付けることにより、内管1の回転駆動装置で舗装切断を行うことを可能にしている。本例で用いるカートリッジ式コアカッター40は、図16に示すように、一方の端部は、内管1の他方の端部1e側(先端部側)に収納される(組み込まれる)ように、内管1の他方の端部1e側(先端部側)に収納される(組み込まれる)形状(内管1の内径より小さい外径形状)の円筒形の形状である円筒部41が形成されている。
また、他方の端部は、図16に示すように、円筒部41より大きい径のカッター部42が円筒部41と同心円状に形成されている。カッター部42も円筒形状をなしており、カッター部42は、カッター部42の中心軸回りに回転するようになっており、回転しているカッター部42を路盤に当接することで舗装切断を行うことが可能になる。
また、カートリッジ式コアカッター40には、内管1の他方の端部1e側(先端部側)に設けられた嵌合具受8と嵌合するための嵌合具47が、カートリッジ式コアカッター40の円筒部41の外周面の、内管1の端部側(先端部側)の嵌合具受8と嵌合できる位置に設けられている。具体的な内管1の嵌合具受8とカートリッジ式コアカッター40の嵌合具47との嵌合については、図2に示す、内管1の嵌合具受8と短円筒体20の嵌合具27との嵌合と同じである。
つまり、内管1の他方の端部1e側(先端部側)に設けられた嵌合具受8の溝部(第一溝部)81と、溝部(第一溝部)81交差する方向に第二溝部である溝部開口82、溝部終端83とがカートリッジ式コアカッター40の嵌合具47とが摺動し嵌合することになる。
ただし、内管1の嵌合具受8とカートリッジ式コアカッター40の嵌合具47とは、図2に示すように、内管1の他方の端部1e側(先端部側)にカートリッジ式式コアカッター40の円筒部41へ収納し(組み込み)、カートリッジ式コアカッター40の円筒部41を回転させて嵌合させる構成に限定されない。例えば、内管1の嵌合具受8のある位置に孔部を設け、カートリッジ式コアカッター40の嵌合具8のある位置に孔部を設け、それらの孔部を重なり合わせてボルト或いはピンを組み込み内管1とカートリッジ式コアカッター40とを一体化(分離しなくする)ことも可能である。また、図示しないが、カートリッジ式コアカッター40の上部に回転駆動部60に接続できる機構を有する接続具を取り付けて、掘削排土装置30を介さないで、直接回転駆動部60に接続することも可能である。
さらに、円筒体である内管1は、図2に示すように、一様な形状に限定されるものではない。例えば、図17に示すように、円筒体である内管12の他方の端部12e側(先端部側)に、多数の孔部12aを形成することも可能である。図17では、内管12の他方の端部12e側(先端部側)寄りに、内管12の、一方の端部12dと他方の端部12eとの間の半分まで複数の孔部12aが設けられている。ただし、一方の端部12dと他方の端部12eとの間の半分までに限定されることなく、他方の端部12eから半分の位置を超えて(一方の端部12d側寄りまで)複数の孔部12aを設けることも可能であり、また、他方の端部12eから半分の位置に満たないところまで複数の孔部12aを設けることも可能である。
このように、内管12に多数の孔部12aを設けることにより、掘削用噴射ノズル3及び切削用噴射ノズル4から噴射される高圧流体で掘削するので、内管12の先端部から挿入された短円筒体20内に流体が溜まった場合、(内管12内の流体を含め)内管12を地上へ釣り上げる際に、溜まった流体を多数の孔部12aから掘削した穴に排出することができるので、排水で作業場を汚すことを最小に抑えることが可能になる。
この内管12の場合も、内管1と同様に、内管11の他方の端部12e側(先端部側)には、短円筒体20と連結するための嵌合具受8が設けられている。そして、内管12の他方の端部12e側(先端部側)に設けられた嵌合具受8は、短円筒体20の外周面(外壁)20aに設けられた嵌合具27と嵌合できる位置に設けられている。具体的な内管12の嵌合具受8と短円筒体20の嵌合具27との嵌合については、図3に示す、内管1の嵌合具受8と短円筒体20の嵌合具27との嵌合と同じである。また、内管1と同様に、内管12と短円筒体20とを、孔部を設けることにより、その孔部にボルト或いはピンを組み込み内管12と短円筒体20とを一体化(分離しなくする)ことも可能である。特に、内管1が回転した際に短円筒体20が分離するのを防止することが可能になる。また、内管12についても、内管1と同様に、カートリッジ式コアカッター40と嵌合することが可能である。
以上の構成の掘削排土装置30には、図18に示すように、掘削排土装置30を操作するための装置が取り付けられている。掘削排土装置30を操作するための装置は、回転駆動部60からの駆動力を掘削排土装置30に伝達するとともに、土砂を掘削したり、切断したりする流体を掘削排土装置30へ送るための機構を備えている。掘削排土装置30に送られる流体は気体、或いは液体のいずれであってもよく、本例では、流体として水を用いている。掘削排土装置30を回転させるための駆動力を与える回転駆動部60には、スイベル61が連結されている。
二重構造になっているスイベル61の、回転しない外側部には、図18に示すように、流体を送るための流入管63が取り付けられており、図示しない内側部の回転する軸が接続具64を経て掘削排土装置30に連結されている。また、スイベル61の、回転しない外側部からは、図18に示すように、接続管62が伸びており、流入管63から送られてくる流体を掘削用噴射管6、切断用噴射管7、及び注入管28へ送るために、これら掘削用噴射管6、切断用噴射管7、及び注入管28に連結されている。このようにして、掘削排土装置30を操作するための装置が掘削排土装置30に連結されている。また、図18に示す掘削排土装置30では、外管2が内管1を収納しており、外管2と内管1とが結合用ボルト9で連結されている。
つぎに、以上の構成の掘削排土装置30を用いて、舗装切断、掘削、排土、土砂の積み込みの動作について説明する。
まず、掘削排土装置30を操作するための装置に連結された掘削排土装置30の、掘削用噴射管6、切断用噴射管7、及び注入管28が外周面(外壁)1a取り付けられている、内管1の他方の端部1e側(先端部側)には、図16に示すカートリッジ式コアカッター40を収納し、図3に示すように、内管1の嵌合具受8とカートリッジ式コアカッター40の円筒部41の嵌合具47とを嵌合させる。そして、回転駆動装置60に連結されている、図示しない制御装置により掘削排土装置30を路盤に当接させ、回転駆動装置60により掘削排土装置30を回転させ、カッター部42の回転により舗装切断を行う。
舗装切断の完了後、図示しない制御装置により掘削排土装置30を路盤側の舗装切断が行われた穴部から離し、内管1の他方の端部1e側(先端部側)内の、内管1の嵌合具受8とカートリッジ式コアカッター40の円筒部41の嵌合具47との嵌合を解除してカートリッジ式コアカッター40を内管1の他方の端部1e側(先端部側)から外す。そして、内管1の他方の端部1e側(先端部側)内に、図4に示す短円筒体20を収納し、図3に示すように、内管1の嵌合具受8と短円筒体20の嵌合具27とを嵌合させる。そして、回転駆動装置10に連結されている、図示しない制御装置により掘削排土装置30を穴部へ挿入する(掘削する土砂に当接する)。
そして、回転駆動装置60により掘削排土装置30を回転させるとともに、図示しない制御装置により、流入管63へ流体である水を流し、スイベル61を経由して、掘削用噴射管6へ水を送る。掘削用噴射管6へ送られた水は掘削用噴射ノズル3より噴射する。この状態で、図示しない制御装置の制御により路盤切断が行われた穴部へ掘削排土装置30を圧入し(押し込み)、掘削用噴射ノズル3より水が噴射して土砂を掘削する。掘削し続けることで、外管2の上端部2aが地表面(GL)に達したら(図19参照)、内管1の孔部1cと外管2の孔部2cに組み込んである結合用ボルト9を外して、内管1だけで掘削しながら押し進む。
内管1だけで一定の深度まで掘削したら、掘削用噴射ノズル3からの水の噴射を止める。そして、スイベル61を経由して切断用噴射管7へ水を送る。切断用噴射管7へ送られた水は切断用噴射ノズル7より噴射する。切断用噴射ノズル7からの噴射により、短円筒体20の軸方向を横断する方向に短円筒体20内の土砂を切断する。短円筒体20内の土砂を切断後、切断用噴射ノズル7からの水の噴射を止める。注入管28へ送られた空気は注入パイプ26より膨張体21へ送られ膨張体21は膨張する。
膨張体21が、図6及び図7に示すうように、膨張することで、膨張体21により切断用噴射ノズル7からの水の噴射で切断した土砂を保持する。このとき、膨張体21上には、図6及び図7に示す網状体22が設けられているため、粘着性の大きい土砂以外の土砂についても保持される。このように、内管1内を含めた短円筒体20内に取り込まれた土砂を保持した状態で、短円筒体20を取り付けてある内管1を、図示しない制御装置により地上側へ引き上げる。内管1を吊り上げた状態で水平移動して、トラックの荷台あるいはシートの上に内管1の先端部(内管1の他方の端部1e)を下ろす。
つぎに、短円筒体20と内管1とを連結している嵌合具27と嵌合具受8を短円筒体20を分離可能にするために回転して、且つ注入パイプ26と注入管28を分離して、短円筒体20と内管1とを分離可能な状態にし、内管1を吊り上げて、内管1の土砂を短円筒体20と共に排出(排土)する。そして、つぎの掘削のために、別の短円筒体20を内管1の先端部(内管1の他方の端部1e)へ収納して、同様の掘削作業を規定の深度まで行う。
また、掘削排土の作業中においては、先端部に接触部材5を有する掘削排土装置30を回転しながら、塩ビ管等の埋設物を傷つけない荷重で掘削排土装置30を押し込むか、或いは掘削排土装置30の重量のみで土砂の中を押し進むので塩ビ管等の埋設物を傷つけない。本例においては、図示しない制御装置に荷重検出用センサを取り付けているので、掘削排土装置30の土砂への押し込む力を一定にできるので、荷重の変動により、塩ビ管等の埋設物、或いは硬いものに当たったかどうかを判定できる。
荷重検出センサが荷重の変動を検知した場合には、掘削用噴射ノズル3からの水の噴射を止め、切断用噴射管7へ水を送り切断用噴射ノズル7より水を噴射し、短円筒体20内の土砂を切断する。短円筒体20内の土砂を切断後、切断用噴射ノズル7からの水の噴射を止め、注入管28からの水を注入パイプ26より膨張体21へ送り膨張体21を膨張させる。そして、膨張体21が、図6及び図7に示すように、膨張することで、膨張体21により切断用噴射ノズル7からの水の噴射で切断した土砂を保持し、内管1内を含めた短円筒体20内に取り込まれた土砂を保持した状態で、短円筒体20を取り付けてある内管1を、図示しない制御装置により地上側へ引き上げる。
そして、内管1が入っていた穴部の底を目視し、荷重検出センサが荷重の変動を検知したものが塩ビ管等の埋設物か否かを直接正確に確認する。塩ビ管等の埋設物、例えば、埋設管や地中電線管等の埋設物であった場合には、そのような埋設物に当たらないように掘削位置を少しずらして(移動して)掘削排土の作業を行う。目視による確認の結果、荷重検出センサが荷重の変動を検知したものが埋設物でない場合には、そのものをスコップ等で取り除き、引き続きその穴で掘削排土の作業を行う。
なお、本例では、図示しない制御装置に荷重検出用センサを取り付けて、掘削排土の作業を行ったが、特に、荷重検出用センサに限定されることなく、例えば、内管1の先端部(内管1の他方の端部1e)、或いは接触部材5に圧力センサーを取り付けて掘削排土の作業を行うことも可能である。
本例では、内管1を収納する外管2を用いた掘削排土装置30を示しているが、必ずしも掘削排土装置30には外管2は必要なく、ローム層などの粘着性の大きい土砂の場合には穴壁が崩落し難いので内管1だけで掘削排土の作業を行うことが可能である。その場合には、内管1の孔部1c、外管2と内管1とを連結する結合用ボルト9が必要なくなり、掘削排土の作業効率の向上を図ることが可能になる。
以上では、掘削排土装置30を用いて掘削排土の作業を行うことを説明したが、本発明である掘削排土装置30は、掘削排土の作業を行う他に、根枷又は鋼管基礎として用いることも可能である。
掘削排土装置30を鋼管基礎として用いるためには、まず、掘削排土装置30を操作するための装置の回転駆動装置60により掘削排土装置30を回転させ、掘削用噴射ノズル3より水を噴射して土砂を掘削する。掘削し続けることで、内管1の上端部1dを所定の深さまで埋設した後(地表面(GL)より上方となるように埋設したり、地表面(GL)より下方になるように埋設したり、さらには地表面(GL)と同じ位置まで埋設した後)、掘削排土装置30の土砂への回転及び掘削を止め、土砂への圧入(押し込み)を止める。そして、図20に示すように、内管1の上端部1dに接続具(接続用フランジ)51を取り付け、接続具(接続用フランジ)51と上部柱50の下部フランジ52とを重ね合わせてボルト等により接続することになる。
また、掘削排土装置30を操作するための装置の回転駆動装置60により掘削排土装置30を回転させ、掘削用噴射ノズル3より水を噴射して土砂を掘削する。掘削し続けることで、外管2の上端部2aが地表面(GL)に達したら(図19参照)、内管1の孔部1cと外管2の孔部2cに組み込んである結合用ボルト9を外し、内管1と外管2とを分離する。内管1の一方の端部1dに内管15の下端部をねじで接続する。そして、内管15及び内管1で掘削しながら内管15の上端部15aが地表面(GL)にくるまで押し進んだ後に、掘削排土装置30の土砂への回転及び掘削を止め、土砂への圧入(押し込み)を止める。内管15と外管2とを結合用ボルト9で連結する。このようにして、図21に示すように、長い基礎とすることも可能である。図21に示す長い基礎も、外管2の上端部2aに接続具(接続用フランジ)51を取り付け、接続具(接続用フランジ)51と上部柱50の下部フランジ52とを重ね合わせてボルト等により接続することになる。
図19では、一例として、外管2の上端部2a及び内管15の上端部15sが地表面(GL)に達した(地表面(GL)と同じ位置まで埋設した)状態が示されているが、外管2の上端部2a及び内管15の上端部15sが地表面(GL)に達した(地表面(GL)と同じ位置まで埋設した)状態に限定されることなく、外管2の上端部2a及び内管15の上端部15sが地表面(GL)より上方となるように埋設したり、地表面(GL)より下方になるように埋設したり、即ち、所定の深さまで埋設することが可能である。
埋設物がある可能性が大きい市街地や都市部で、鋼管基礎を回転圧入により又は打設により土中に入れる場合、事前に埋設物探査調査を行う必要がある。しかし、掘削排土装置30を鋼管基礎として用いる場合は掘削と同時に埋設物探査もでき、埋設物、或いは硬いものに当たった場合には排土して穴部の底を目視できるので、掘削排土装置30は埋設物探査をしながら鋼管基礎を施工できる装置である。
なお、図20及び図21では、外管2の上端部2aへの接続具である接続用フランジ51の取り付けは図示しないねじで行われている。また、図20及び図21では、接続用フランジ51は一体型のフランジを用いて、外管2に取り付けてねじで接続しているが、図示しない分離型のフランジを外管2に取り付けてねじで接続することも可能である。
このようにして、図20及び図21に示す掘削排土装置30は、内管1内を含めた短円筒体20内に取り込まれた土砂を排土しないで、標識・照明灯の柱(上部柱50)の鋼管基礎として用いることが可能である。掘削排土装置30は、内管1内の土砂を排土することにより、電柱の根枷として用いることが可能であるとともに、軟弱地盤や湧水地盤で内管1内に電柱を挿入して使用する自立電柱としての基礎として使用することも可能である。さらに、外管2と内管1とが、図20に示すように、二重管構造の場合には、地表面(GL)近くの穴壁の崩落防止のために使用することも可能である。
1、12、15…内管、1a…外周面(外壁)、1b…内周面(内壁)、1c…孔部、1d、12d…一方の端部、1e、12e…他方の端部、12a…孔部、15a…上端部、15b…下端部
2…外管、2a…上端部、2c…孔部
3…掘削用噴射ノズル、4…切断用噴射ノズル、5…接触部材、6…掘削用噴射管、7…切断用噴射管、
8…嵌合具受、81…溝部、82…溝部開口、83…溝部終端、84、85…屈曲部
9…結合用ボルト
20…短円筒体(土砂保持装置)、20a…外周面(外壁)、20b…内周面(内壁)、20c、20d…縁部、21、31…膨張体、
22…網状体、22a…網状体の一方の端部、22b…網状体の他方の端部、22c…重なり合った部分
23…保持具(支持具)、24…止め具(支持具)、25…結束材(結束部)、26…注入パイプ、27…嵌合具、28…注入管、29…渡しパイプ
30…掘削排土装置
31a…チューブ体
32、33…空間
40…カートリッジ式コアカッター、40a…一方の端部、40b…他方の端部、41…円筒部、42…カッター部、47…嵌合具
50…上部柱、51…下部フランジ、52…接続具(接続用フランジ)
60…回転駆動部、61…スイベル、62…接続管、63…給水管、64…接続具