JP5253022B2 - 現像装置 - Google Patents

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Description

本発明は、シート等の記録材上に画像を形成する機能を備えた、例えば、複写機、プリンタなどの画像形成装置に適用される現像装置に関するものである。
従来の一成分トナーを用いた現像方式としては、接触現像方式、及び、非接触現像方式があり、そのとき用いられる現像剤担持体としては、現像ローラが広く用いられている。
また、前記現像剤担持体上においては、現像剤のコート規制、及び、摩擦による帯電付与を目的として、現像剤担持体に当接する現像剤規制部材が設けられている。
前記現像剤規制部材としては、片持ちタイプの板形状の規制ブレードが用いられることが一般的である。
現像剤担持体としての現像ローラは、芯金及び弾性体から形成されている。
特許文献1によれば、前記弾性体は、導電性を有するシリコーンゴムによる基層と、導電性を持たせた、アミド系樹脂またはウレタン系樹脂よる薄膜樹脂表層とから形成されている。また、上記樹脂表層の導電性は、カーボンブラックを分散させることで得られるものである。そして、現像ローラの体積抵抗値としては、10Ω・cm以上10Ω・cm以下が望ましいとしている。
これは、次のような理由によるものと考えられる。潜像担持体上の潜像電位に対して、有効な現像電位を、現像ローラ表面で得るためには、10Ω・cm以下の体積抵抗値が必要である。その一方で、潜像担持体表面層において、塗工ムラ等により希に存在しうるピンホールを原因とする、サージ電流の発生を防止するためには、10Ω・cm以上の体積抵抗値が必要である。
前記サージ電流の問題は、高湿度環境下や、潜像担持体の劣化状態などで、厳しい状況にさらされる場合がある。これに対して、同じ体積抵抗を持つ現像ローラであっても、例えば、前記樹脂表面層の抵抗値を、基層の抵抗値よりも高くすることが、サージ電流の発生防止に効果的である。
一方、前記規制ブレードにおいては、前記現像剤担持体との間で、バイアスを印加する、所謂、ブレードバイアスを利用することが古くから提案されている。前記バイアス印加の効果は、現像剤担持体上における現像剤への電荷制御や、現像剤コート量のコントロールなどが知られている。
ブレードバイアスを用いた現像系においては、現像剤担持体表面と規制ブレード表面との間に、電位差を設けることが必要であるため、規制ブレードとしては、導電性部材を用いることが一般的であった。
特開2001−323160号公報
しかしながら、例えば、規制ブレードとして金属を用いた場合では、次のような注意が必要であった。すなわち、規制ブレードと現像剤担持体との間で電位差を維持するものは
、介在するトナー層の他は、現像剤担持体の表面層のみであるため、現像ローラ表面で絶縁破壊が発生しないよう、印加バイアス値、及び、現像ローラの抵抗値に注意する必要があった。
前記絶縁破壊発生の防止においては、潜像担持体のピンホールにおけるサージ電流の防止と同様の手段が効果的である。しかし、希に存在する潜像担持体上のピンホールに対して、規制ブレードは全面において導電性があるため、サージ電流防止としての現像ローラ表面層の耐圧性は、より厳しい条件が必要であった。
特許文献1に示したような体積抵抗値を持つ現像ローラの場合、表面層の体積抵抗値は10Ω・cmから10Ω・cm程度の範囲が望ましいと考えられる。しかし、この範囲の抵抗値は、導電材の分散性などの条件に非常に敏感なため、所望の値の抵抗値を安定して得ることが難しい。
また、層厚も薄いため、一部でも導電材が局在化した場合などでは、その部分の抵抗変動は大きくなるなど、より導電材の分散性の影響が大きくなることが懸念されていた。
また、薄膜における電気抵抗は、必ずしもオームの法則に従わず、印加される電圧の増加と共に、電気抵抗が低くなる傾向がある。これは、比較的抵抗が高い物質で出来た薄膜に電圧を印加した場合、リーク電流が発生するためであるが、このリーク電流は、膜が薄い場合に特有な現象であり、電圧の増加につれて電流は大きく増加する。
従って、薄膜層の抵抗値の扱いは非常に難しく、材質の変化や層厚の振れに対して抵抗値が大きく変化することがあり、表層膜としての耐圧性や、ブレードバイアスをかけた時の効果等と、印加するバイアス値との関係を明確に捉えることが困難であった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、現像剤担持体と規制部材との間において印加されるバイアスによる異常画像発生の防止と、現像剤担持体上の現像剤層のコート量アップとを両立し、良好な画像が得られるバイアス印加領域を拡大することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明にあっては、
導電性及び弾性を有する基層と、前記基層の外周側に設けられた表面層とを有して、回転可能に設けられた現像剤担持体と、
導電性を有して前記現像剤担持体に当接するように設けられ、前記現像剤担持体上の一成分現像剤を規制する規制部材と、
前記現像剤担持体と前記規制部材との間に電位差を生じさせる電位差設定手段と、
を備えた現像装置において、
前記現像剤担持体は、前記現像剤担持体に対して金属ローラを従動回転可能に当接させた状態で、前記現像剤担持体を回転させながら、前記現像剤担持体と前記金属ローラとの間に流れる電流の電流密度が、安定した状態で、0.5μA/mm以上になるようにバイアス印加が行われた場合に、
前記バイアス印加から2秒後、60秒後の電流値をそれぞれ、It、Isとし、Logは常用対数を示すものとすると、
Log(It/Is)>0.1
を満たすものであって、
前記電位差をVb(V)とし、前記現像剤担持体の前記表面層の厚さをt(μm)とした場合に、
0.05<t<4.00であり、
0.05<t≦2.00の場合、55×t<Vb<120×t+250
2.00<t<4.00の場合、55×t<Vb<500
を満たし、
前記現像剤担持体の前記表面層は、炭素原子を含む酸化ケイ素により形成され、
前記表面層における酸素とケイ素の組成比(O/Si)、及び、炭素とケイ素の組成比(C/Si)は、
1.00≦(O/Si)≦1.95
0.05≦(C/Si)≦1.00
を満たすことを特徴とする。
本発明によれば、現像剤担持体と規制部材との間において印加されるバイアスによる異常画像発生の防止と、現像剤担持体上の現像剤層のコート量アップとを両立し、良好な画像が得られるバイアス印加領域を拡大することが可能となる。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
以下に、本発明を適用できる画像形成装置の一例として、レーザプリンタについて説明する。
<画像形成装置>
図2は、本実施形態の画像形成装置Aの概略構成を示す断面図である。
画像形成装置Aは、電子写真プロセス利用のフルカラーレーザプリンタである。画像形成装置Aには、帯電装置、現像装置、クリーニング装置、及び、像担持体(潜像担持体、被現像剤担持体)としての感光体ドラム1等を一体として有するプロセスカートリッジBが、画像形成装置本体に着脱自在に設けられている。
プロセスカートリッジBは、イエロー、マゼンダ、シアン、黒色の各色に対応したプロセスカートリッジBy,Bm,Bc,Bkが設けられており、これらのプロセスカートリッジBは、一方向に並列配置されている(4連に並べられている)。
各色のプロセスカートリッジBにおいて、感光体ドラム上に形成された現像剤像(トナー像)が、転写装置の中間転写ベルト20上に転写されることにより、フルカラー画像が形成され、その後の記録材への転写工程、及び、定着工程を経て画像が形成される。
ここで、本実施形態における電子写真プロセスは、接触現像装置を適用したものであり、現像剤は、各色共に、一成分現像剤として、平均粒径6.0μmの非磁性一成分トナーを使用した。なお、プロセスカートリッジBの詳細については後述する。
各色のプロセスカートリッジBにより、各色の感光体ドラム上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト20を挟んで、各色の感光体ドラムの対向位置にそれぞれ設けられた1次転写ローラ22により、中間転写ベルト20上に転写される。ここで、各色の感光体ドラム1y,1m,1c,1kの対向位置に、それぞれ1次転写ローラ22y,22m,22c,22kが設けられている。そして、中間転写ベルト20上に転写されたトナー像は、中間転写ベルト20の移動方向下流側に設けられた2次転写ローラ23により、一括して記録材上に転写される。なお、中間転写ベルト20上の未転写トナーは、中間転写ベルトクリーナ21によって回収される。
記録材Pは、画像形成装置A下部のカセット24内に積載されており、印字動作の要求とともに給送ローラ25により搬送され、2次転写ローラ位置において、中間転写ベルト上に形成されたトナー像が転写される。
その後、定着ユニット26により記録材上のトナー像は記録材に加熱定着され、排出部27を経て画像形成装置外部に排出される。
画像形成装置Aにおいては、各4色のプロセスカートリッジ等を収納する上部のユニットと、転写ユニット、記録材等を収納する下部ユニットは分離可能になっている。そして、記録材詰まり等のジャム処理発生時や、プロセスカートリッジの交換時において、上下のユニットを開口することにより前記処理を行う。
次に、プロセスカートリッジBの構成について説明する。
図3は、本実施形態の画像形成装置において、並列におかれた4つのプロセスカートリッジの1つについて、概略構成を示す断面図である。なお、4つのプロセスカートリッジの構成は、本質的にはすべて同じである。
画像形成プロセスの中心となる感光体ドラム1として、本実施形態では、アルミニウム製シリンダの外周面に機能性膜である下引き層、キャリア発生層、キャリア移送層を順にコーティングした有機感光体ドラムを用いている。画像形成プロセスにおいて、感光体ドラム1は、所定の速度で画像形成装置により図中矢印a方向へ駆動される。
帯電装置を構成する帯電ローラ2は、導電性ゴムのローラ部を感光体ドラム1に加圧接触するように設けられ、矢印b方向に従動回転する。ここで、帯電ローラ2の芯金には、帯電工程として、感光体ドラム1に対して−1100Vの直流電圧が印加されており、これにより誘起された電荷によって、感光体ドラムの表面電位は、−550Vとなる一様な暗部電位(Vd)が形成される。
この一様な表面電荷分布面に対して、スキャナユニット10により、画像データに対応して発光されるレーザ光のスポットパターンは、図3中の矢印Lで示すように、感光体ドラム1を露光する。すると、露光された部位は、キャリア発生層からのキャリアにより表面の電荷が消失し、電位が低下する。この結果、露光部位は明部電位Vl=−100V、未露光部位は暗部電位Vd=−550Vの静電潜像が、感光体ドラム上に形成される。
前記静電潜像は、現像装置Dにおいて、所定のコート量及び電荷量になるように形成されたトナーコート層により現像され、静電潜像を実像化する。
各プロセスカートリッジBの感光体ドラム1に接触する中間転写ベルト20は、感光体ドラム1に対向した1次転写ローラ22により感光体ドラム1に加圧されている。また、1次転写ローラ22には直流電圧が印加されており、感光体ドラム1との間で電界が形成されている。
これにより、感光体ドラム1上で実像化されたトナー像は、中間転写ベルト20が加圧接触する転写領域において、電界の力を受けて感光体ドラム1上から中間転写ベルト20上に転写される。
一方、感光体ドラム1上で中間転写ベルト20に転写されずに残った未転写トナーは、クリーニング装置Cに設置されたウレタンゴム製のクリーニングブレード6により、ドラム表面から掻き落とされ、クリーニング容器内に収納される。
現像装置Dは、回転可能に設けられた現像剤担持体としての現像ローラ3、供給ローラ5、現像ローラ上のトナーを規制し現像ローラ上にトナーコート層を形成する規制部材としての規制ブレード4、トナー、及び、これらを収納する現像容器等から構成される。
現像ローラ3として、本実施形態では、外径φ6mmの芯金に導電性の弾性層3mmが
形成されたφ12mmの弾性ローラを用いている。また、供給ローラ5としては、外径φ6mmの芯金上に体積抵抗値1014Ωcmの絶縁性ウレタンスポンジゴムの弾性層5mmを形成した、外径φ16mmの弾性スポンジローラを用いている。
現像ローラ3は、感光体ドラム1に接触しながら、感光体ドラム1の回転方向に対して順方向(図に示すc方向)に回転しており、供給ローラ5は、現像ローラ3に接触しながら、現像ローラ3の回転方向と逆方向(図に示すd方向)に回転する。
供給ローラ5は、現像容器内の非磁性一成分トナーTを付着させ、現像ローラ3との接触面に搬送し、供給すると共に、現像ローラ3上において、現像部で現像されずに残ったトナーを、現像ローラ3上から剥ぎ取り、現像容器内に回収する機能を持つ。
供給ローラ5から現像ローラ3上に供給されたトナーは、現像ローラ3と規制ブレード4との当接面を通過する際、摩擦帯電により帯電すると共に、コート層厚の規制を受け、所定の帯電量、及び、コート層厚を持つトナーコート層が形成される。
現像ローラ3には、画像形成工程時にDCバイアス=−300Vが印加されており、前記工程によりマイナスに帯電したトナーは、感光体ドラム1に接触する現像部において、その電位差により、明部電位部にのみ飛翔して、感光体ドラム上の静電潜像を現像する。
なお、画像形成装置Aは、レーザプリンタLBP5300(キヤノン株式会社製)をベースとしたものであり、実施例に明記していない項目については、LBP5300の仕様で設定を変えることなく使用している。
<実施例及び比較例>
以下に、本実施形態の特徴となる、現像ローラ3の構成と、規制ブレード4へのバイアス印加により、現像ローラ3と規制ブレード4との間に設けられた電位差であるブレードバイアスを適用した現像装置について説明する。以下の説明では、実施例、及び、これに対する比較例を挙げて説明する。
<実施例1>
図1は、画像形成装置Aに適用した現像装置Dであって、実施例1の特徴的な構成である、現像ローラ3、及び、規制ブレード4を有する現像装置Dの概略構成を示す断面図である。
本実施例において、現像ローラ3は、現像ローラ3の芯金を通じて、現像バイアス電源から、バイアスの供給を受けることが可能になっている。また、規制ブレード4は、規制ブレード4の導電接点を通じて、ブレードバイアス電源から、バイアスの供給を受けることが可能になっている。ここで、現像バイアス電源及びブレードバイアス電源は、現像装置D又は画像形成装置本体に設けられている。現像バイアス電源及びブレードバイアス電源は、電位差設定手段に相当する。
現像ローラ3の弾性層は、2層構成になっており、芯金3を被覆する基層3と、基層3の外周側に設けられ、基層3を被覆して、感光体ドラム1及び規制ブレード4に直接接触する表面層3とから構成される。
なお、以下に記載する実施例及び比較例中における、現像ローラの表面層の厚さの測定は、薄膜測定装置「F20−EXR」(フィルメトリクス株式会社製)を用いて測定した。
基層3の抵抗は、現像ローラ3表面において、現像ローラ3の芯金3に印加されたバイアスと同じ電位が得られるように、体積抵抗値10Ω・cmとした。
また、基層3は、感光体ドラム1に対して柔軟に安定して当接できるよう、現像ローラ3のJIS−A硬度が45°になるようなシリコーンゴムを用いた。
一方、本実施形態の特徴的な構成である表面層3には、絶縁性のウレタン樹脂薄膜を用いた。
表面層3となるウレタン樹脂層は、ポリウレタン樹脂を、主にメチルエチルケトンを主溶剤として用いた有機溶剤混合溶液で希釈し、硬化剤としてイソシアネートを添加し、十分に撹拌したものを樹脂原料液とした。この樹脂原料液中に、弾性体基層を被覆したローラを浸漬して、ディッピング塗工した。
なお、前記ウレタン樹脂薄膜は、ディッピング塗工の際の引き上げ速度等を変えることで、ウレタン樹脂の物性を変えることなく、任意の厚さを得ることが可能である。本実施例においては、実施例1−Aとして層厚0.9μm、実施例1−Bとして層厚1.7μm、実施例1−Cとして層厚3.8μmの絶縁性ウレタン樹脂薄膜を表面層とした現像ローラを用いた。
規制ブレード4は、支持板金4に、当接部材として厚さ80μmのSUS(ステンレス鋼)板4が接着されたものを用いており、現像ローラ3に対しては2gf/mm(19.6mN/mm)の圧力で当接するように位置調整されている。
規制ブレード4には、画像形成時において、ブレードバイアス電源により、支持板金4を通じて、DCバイアス−600Vが印加されており、現像ローラ3に対するブレードバイアス値としては、−300Vの電位差が設けられていることになる。
<実施例2>
実施例2における現像装置の概略構成は、実施例1と同様であるが、本実施例においては、実施例1に対して現像ローラ3の構成が異なっている。なお、現像ローラに対する規制ブレードの当接圧、ブレードバイアス等も、実施例1と同様の条件で設定されている。
本実施例における現像ローラの弾性層の基層は、実施例1と同様のものを用いているが、表面層として、炭素原子を含む酸化ケイ素(SiOx)を主成分とした絶縁性薄膜を用いた。
前記表面層の製膜は、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて行った。プラズマCVD法による製膜は以下の方法で行った。
シリコーンゴムによる弾性体基層を被覆したローラを真空チャンバ内に置き、これに平行に、平板電極を近接設置する。その後、チャンバ内にSiOx膜の原料ガスとなる、ガス状化した有機ケイ素化化合物、及び、必要に応じて、不活性ガス、酸化性ガス等を充満させる。そこで、前記ローラを回転させながら、前記ローラと平板電極間に、高周波電力を供給してプラズマを発生させることで、前記原料ガスの分子が弾性体基層表面で成長し、表層膜が形成される。
なお、前記SiOx膜は、原料ガスの組成、原料ガスのチャンバ内での圧力濃度、プラズマ照射時間等で変えることが可能である。
本実施例においては、実施例2−A〜実施例2−Fとして、それぞれ異なる層厚のSiOx膜を表面層とした現像ローラを用いた。SiOx膜は、実施例2−Aとして層厚0.3μm、実施例2−Bとして層厚0.5μm、実施例2−Cとして層厚0.9μm、実施例2−Dとして層厚1.4μm、実施例2−Eとして層厚2.5μm、実施例2−Fとして層厚3.1μmのものを用いた。
これらのSiOx膜は、それぞれSiOとSiCの組成比が異なるため、物性に関しても、違いが計測されるが、いずれも、絶縁性の特徴を示すことは確認されている(この点については後述する)。また、前記の特性は、表面層における酸素とケイ素の組成比(O/Si)、及び、炭素とケイ素の組成比(C/Si)が、
1.00≦(O/Si)≦1.95
0.05≦(C/Si)≦1.00
を満たす場合において確認できた。
また、前記組成比の測定は、X線光電子分光装置「Quantum2000」(アルバック・ファイ株式会社製)を用いた。そして、X線源をAlKαとして、現像ローラ表面のSiの2p軌道、O及びCの1s軌道の結合エネルギーを測定し、それぞれのピーク値から各原子の存在比を算出することで、(O/Si)及び(C/Si)の組成比を求めた。
<比較例>
本比較例における現像装置の概略構成は、実施例1と同様であるが、本比較例においては、実施例1に対して現像ローラ3の構成が異なっている。なお、現像ローラに対する規制ブレードの当接圧、ブレードバイアス等も、実施例1と同様の条件で設定されている。
本比較例における現像ローラの弾性層の基層は、実施例1と同様のものを用いているが、表面層は、厚さ10μmの導電性ウレタン樹脂膜を用いている。
前記ウレタン樹脂は、実施例1に示されたウレタン樹脂の生成過程において、樹脂原料液中にカーボンブラックを分散したものであり、このカーボンブラックの導電性により、体積抵抗値を10Ω・cm程度になるようにしている。
<各実施例及び比較例における評価と考察>
以下に、本実施形態の特徴である、高抵抗表面層の層厚と、ブレードバイアスの関係について述べる。
<表面層の電気特性の定義>
本実施形態の特徴を示す、絶縁性膜の定義について説明する。
一般に、固体のバルク抵抗は、オームの法則から求められるものであるが、薄膜の抵抗値を測定することは難しい。実施例1のような原料溶液を固化するような物質の場合、ガラス基盤等の試料台上で、比較的厚い膜を形成すれば、4端子法などにより計測することが可能である。
しかしながら、物質の特性は、バルクと界面で異なるのが一般的で、薄膜化した場合では、バルクに対して、界面の物性の影響が大きくなるため、物性が異なってくる場合がある。
また、特に、実施例2で示した、CVD法のような、化学蒸着を利用した方法では、基層界面から膜が成長するため、基層物質が、表層膜の物性に、大きな影響を与えやすい。
更に、非常に薄い膜では、絶縁破壊が起こらないような電位差であっても、リーク電流が発生することで、オームの法則が成立しなくなり、物質の抵抗値が、膜の状態や印加バイアスによって異なり、一義的に定義することは難しい。
一般に、物質の電気特性は、オームの法則に従うものであり、印加バイアスに対して流れる電流値が比例するため、この比例定数抵抗値として定義できる。しかしながら、高抵抗の薄膜物質においては、オームの法則に従わず、印加バイアスが高くなるに従って抵抗値が低くなり、より電流が流れやすくなる現象が見られる。これは、薄膜に特有なリーク電流が、電位差に応じて増加することが原因と考えられる。この現象を示すものとして、図4に、印加バイアスに対する電流値を計測した結果を、実施例1−A、実施例2−C、2−D、及び、比較例の各現像ローラについて示す。
ここで、前記測定は、100rpmで回転させる現像ローラに対して、φ16mmの金属ローラを従動回転可能に当接させた状態で、現像ローラを回転させながら、両者に所定のバイアスを印加し、その60秒後に流れている電流を計測したものである。なお、この時の当接領域は、ローラの長手方向(軸方向)幅が190mm、回転方向幅が1mmであった。
この結果が示すように、いずれの現像ローラにおいても、それぞれ特定の印加バイアスに閾値を持って、急激に電流が流れやすくなっている。したがって、この測定方法からは、表面層の抵抗が高いと思われる、実施例に示した現像ローラと、表面層の抵抗が比較的低い現像ローラとの間に、大きな特徴の違いを見出すことは難しい。
一方、同様の測定手段を用いて、バイアスを印加した直後からの、時間の経過に対する電流値の変化についても測定を行った。
その結果を、図5に示す。なお、この時の各現像ローラに対する印加バイアスは、安定した状態、すなわち、少なくとも図4で示した閾値より大きな値になるような条件において測定している。具体的には、バイアス印加から60秒後における電流の電流密度が、0.5μA/mm以上になるような条件で測定を行った。この電流密度は、金属ローラと現像ローラとの間に流れる電流値を、金属ローラと現像ローラとの接触面積で割った値である。
図5の結果から、実施例1,2に示した現像ローラの電流値が、バイアス印加の直後から、時間の経過に伴い、大きく低下する傾向を示しているのに対して、比較例の現像ローラでは、電流値に大きな変化が見られないことが分かる。この現象は、導電体である現像ローラの基層と、これに対向する金属ローラとに挟まれた表面層の関係を、電気回路として考えることで理解できる。
比較例の場合は、表面層は、単純に抵抗体として考えることができるが、実施例1,2の現像ローラの場合では、表面層の抵抗値が非常に大きいため、抵抗体とコンデンサとの平行回路と考えられる。従って、この回路が時定数を持っていて、時間の経過に伴い、電流値が減少していく現象が現れていると考えられる。
すなわち、前記測定において、時間の経過に伴い、電流値が減少する現象が見られる場合は、表面層が非常に高い抵抗値を持つと言える。
時間変化に対する電流値の変化を示す値として、バイアス印加の2秒後電流値Itと、60秒後の電流値Isとにおける、比の対数であるLog(It/Is)について、各現像ローラを用いて求めた結果を、図6及び図7に示す。ここで、Logは常用対数を示すものとする。
時間に対する電流値の変化が無い場合、対数表示での値は0になる。
抵抗値が非常に高いと思われる、実施例1、及び、実施例2の現像ローラで、その値は全てプラスになっており、少なくとも0.1以上を示す。これに対して、比較例の現像ローラは、時間の経過に対して電流値の変化がないため0付近以下の値を示しており、実施例の現像ローラとの違いを見ることが出来る。
少なくとも、基層に対して、薄層の表面層を持つ構成の現像ローラにおいて、バイアス印加の際に、時定数を持って、電流値の減少が観測される場合、基層抵抗に対する表面層の抵抗値は、非常に高いと定義することができる。
ここで定義された、非常に高い抵抗値を持つ表面層を持つ現像ローラは、バイアス印加に対しての耐圧性能が高いことが期待できる。
なお、図7は、横軸を表面層の厚さの順に並べているが、層厚とLog(It/Is)の値との関係としてみると、Log(It/Is)の値は、層厚と共に増加していくが、あるところからは、逆に減少していくように見える。
この現象は、層厚が薄いうちは、層厚の増加に伴い、リーク電流が減少することで、表面層のコンデンサとしての容量が大きくなるが、リーク電流が十分小さくなった層厚の厚さになると、層厚の厚さの増加と共に容量は小さくなることで理解できる。
また、比較例のLog(It/Is)の値が僅かなマイナスを示す現象は、比較的抵抗の高い導電体において、一般的に見られる現象である。電流は、導電体中に分散している導電粒子等の導電材をサイトにして、その間を流れるが、電流が流れることで、このサイト間は、配向等により、電流が流れやすくなるためだと考えられる。
<ブレードバイアス効果>
実施例1、実施例2、及び、比較例の各現像ローラを用いて、前記ブレードバイアスを変化させ、それぞれの場合における画像評価を行った。
実施例1−B、及び、実施例2−Cの現像ローラを用いて、ブレードバイアスを変化させた時の、シアントナーにおける画像濃度変化の測定結果を、それぞれ、図8、図9に示す。なお、画像濃度の測定は、エックスライト(X−Rite)株式会社製504分光濃度計を用いて行った。
ブレードバイアスに対する画像濃度は、それぞれの現像ローラで異なる閾値を持って変化することが分かった。図8、図9に示した濃度変化を見ると、ブレードバイアス値の増加に伴い濃度が上昇し、ある一定の値で安定していることが分かる。
ブレードバイアスにより、濃度上昇が認められているバイアス値の範囲における画像上を見ると、画像中には、不均一なムラが認められる。その一方で、あるバイアス値以上において、濃度上昇が無くなり、濃度が安定した状態の画像では、前記のムラは無く、均一な画像が得られていた。
すなわち、画像濃度の上昇は、画像上において、部分的に濃度の高い場所が発生し、バイアス値を上げるに連れて、この領域が広がるものによるものだと言える。そのため、ここでは、この画像ムラが無くなり、均一な画像が得られるところを、ブレードバイアス値による画像濃度上昇現象の閾値(ブレードバイアス効果が得られる値)とした。
実施例1、実施例2、及び、比較例の現像ローラについて、ブレードバイアス値に対する画像濃度の変化を測定したところ、全ての現像ローラにおいて、同様の閾値が認められた。図10に、各現像ローラの表面層の層厚と、前記閾値との関係を示す。
図10から分かるように、10μmの表面層を持つ比較例を除いて、全ての現像ローラの閾値は、ほぼ一直線上に存在し、その直線は、ブレードバイスをVb(V)、表面層の層厚をt(μm)とすると、
Vb=55×t
に、近似することが出来た。
画像濃度の飽和値の存在は、前述のブレードバイアスと表面層の電流値に閾値があることに関係すると考えられる。前述のように、比較例以外の現像ローラについては、前記閾値を超えないブレードバイアス条件では、表面層の抵抗値が非常に高く、そのため、規制ブレードとの当接部における現像ローラ表面の電位は、規制ブレードとの表面電位に近い。従って、この間での電界形成はなく、トナーに対する影響は何も起こらない。
一方、前記閾値を超えるブレードバイアスを印加すると、表面層の抵抗値はある程度下がるため、これに伴い、現像ローラ表面の電位も、本来の現像ローラに印加されたバイアス値に近づく。これにより、規制ブレードと現像ローラ表面との間に電位差ができ、ここを通過する際のトナーは、この電界の影響を受け、トナー搬送量、電荷付与等が変化する。図8、図9に示した例について見ても、表面層の層厚の厚い、実施例1−Bの方が、ブレードバイアスにおける閾値が高く、これに伴って、濃度変化量も大きくなっていることは、この現象を示している。
なお、前記のメカニズムによると、前記閾値は、表面層の層厚と共に、材質としての抵抗値の影響も受けると考えられる。
この点に関して、図4中に示した、実施例1−A、実施例2−C、及び、実施例2−Dの現像ローラに注目すると、各現像ローラの表面層厚さは、実施例1−Aと実施例2−Cがほぼ同じであるのに対して、実施例2−Dは約1.5倍ほどである。
一方で、図4に示した、印加電圧に対する電流値の挙動は、厚さの異なる実施例1−Aと実施例2−Dが非常に似ているのに対して、厚さがほぼ同じ実施例1−Aと実施例2−Cで有意差がある。このことより、実施例2−Cや実施例2−Dの表面層に対して、実施例1−Aの表面層は、材質としての抵抗値に有意差があるといえる。
しかしながら、このような抵抗値の違いは、これらの現像ローラにおけるブレードバイアスの効果において、図10に示したように、表面層の厚さへの影響に比べて非常に小さいと言える。
この理由は、表面層の抵抗値が非常に高い場合においては、印加バイアスによって抵抗値が変化する現象が、リーク電流を主要因として、表面層の厚さに大きく関係することによると考えられる。すなわち、材質としての抵抗値が、ある程度の範囲内の表面層ならば、ブレードバイアスの濃度変化の閾値は、表面層厚さとの関係で示すことができると言える。
なお、図4に示した測定では、実際の画像形成時には存在する、現像ローラ表面と規制ブレードとの間の、高抵抗層となるトナー層が無い。そのため、この時の電流値が大きく変化する電圧の閾値は、実際のブレードバイアスによる濃度変化の閾値と、必ずしも一致しないと考えられる。
<ブレードバイアスの上限値>
前記ブレードバイアスの上限値について、異常画像の発生状況の評価を行った。
高いブレードバイアスを印加した場合に、異常画像の発生としては、主に3つの現象が認められた。その3つの現象を以下に異常画像(A)〜(C)として示す。
(A)横スジ:ランダムに発生する一直線上の画像スジで、バイアスを高くすると本数が増加する。
(B)白点:発生初期は、非常に小さな多数の白点で、バイアス値を高くすると、発生範囲が広がると共に、白点の大きさが増加する。
(C)カブリ:バイアスを高くすることで、本来の白地部が現像される。
以上の現象は、全ての現像ローラで発生する可能性があるが、いずれかの現象が発生した場合、それ以上高いブレードバイアスを印加することが難しくなるため、それぞれの現像ローラで、全ての現象は確認できなかった。
実施例1、実施例2、及び、比較例の各現像ローラを用いて、前記ブレードバイアスを上げていった時、最初に発生する異常画像(A)〜(C)とその時のブレードバイアス値を図11に示す。
異常画像(A)については、表面層でサージ電流が流れて、現像ローラ表面の電位が規制ブレードと同電位になることが考えられる。従って、耐圧性の比較的低い薄い膜で、最初の問題として表れると考えられる。
異常画像(B)については、発生する電位差や、発生した画像の様子から、放電現象に関係するものと考えられる。異常画像(B)は、エアーギャップで放電現象が発生する電位差よりも、数十V程度低いバイアスで発生している。このことから、トナー層が介在することで、放電限界の電位が低くなり、放電現象が発生し、その際、大きな電荷が、トナーを媒体として移動するため、トナー塊の移動を伴い、多量の白い点として画像上に発生すると思われる。
異常画像(C)は、ブレードバイアスにより現像ローラの表面電位が高くなり、感光体ドラムの白地部の電位との差が無くなることが原因と考えられる。表面層の表面抵抗に比べて、体積抵抗が高い場合に起こるもので、表面層の層厚が厚くなると起こりやすいと考えられる。
図11に示す結果を、異常画像の発生限界バイアス値と表面層の層厚との関係として図12に示す。
図12から、異常画像の発生限界バイアス値は、層厚2μm付近までは、層厚の増加に伴い直線的に増加するが、それ以降では、ほぼ一定な値になっていることが分かる。
ここで、表面層が2μm以下の場合では、異常画像が(A)又は(B)であるのに対して、表面層が2μm以上の場合では、異常画像が(C)であることに注目する。
異常画像(A)又は(B)の発生は、表面層の耐圧性能に関わるもので、その発生限界値は、層厚の増加と共に高くなると予想される。これに対して、異常画像(C)は、表面層の抵抗値の上昇により発生しやすくなる現象であり、層厚の増加により発生しやすくなることが予想される。
図5の測定を行った際の、印加ブレードバイアスVb(V)に対する、現像ローラ上の表面電位Vd(V)について、その差分Vb−d(V)(=Vb−Vd)を測定した。層厚とVb−dとの関係を、Vb=200VとVb=300Vの場合について、図13に示す。この結果からは、現像ローラの表面電位降下が、表面層の層厚が2μmを超えた現像ローラで、急激に大きくなっていることが分かる。
これより、表面層の層厚が2μmを超えた場合では、現像ローラの表面電位は、現像ローラの芯金に印加されたバイアスに対して、同じ電位を維持することが難しくなり、異常画像(C)のような現象が発生しやすくなっていることが分かる。
図12より、異常画像の発生限界値は、次のように近似することができる。すなわち、異常画像の発生限界値は、表面層の層厚が2μm以下の場合では、
Vb<120×t+250
のように近似できる。また、表面層の層厚が2μm以上の場合では、
Vb<500
のように近似できる。
なお、比較例の現像ローラについては、予想通り、実施例の現像ローラより低いブレードバイアスで異常画像が発生している。このブレードバイアスが前記式の切片である250Vに近い値を示していることは、実施例における、高抵抗表面層の耐圧性能が、かなり薄い領域から機能していることを示していると考えられる。
<有効なブレードバイアス領域>
前記結果をまとめたものとして、図14に、表面層の層厚に対する、ブレードバイアスVb(電位差Vb)の有効領域を示す。
表面層を持つ現像ローラにおいて、その表面層が容量成分を持つような高抵抗層である場合、バイアス印加から2秒後の電流値をIt、60秒後の電流値をIsとする。ここで、表面層を持つ現像ローラにおいて、その表面層が容量成分を持つような高抵抗層である場合とは、すなわち、現像ローラに当接させた金属ローラ現像ローラ間に流れる電流の電流密度が、0.5μA/mm以上になるようなバイアス印加の条件下をいう。このとき、
Log(It/Is)>0.1
である場合であって、少なくとも、表面層の層厚t(μm)が、
0<t<4.00
の範囲において、ブレードバイアスVb(V)は、
Vb>55×t
の関係を満たす時、ブレードバイアスの効果が得られる。
また、
0<t≦2.00の範囲で、Vb<120×t+250、
2.00<t<4.00の範囲で、Vb<500
にすることで、ブレードバイアスによる画像不良の発生を抑制することができる。
なお、比較例に示した、導電性の表面層を持つ現像ローラにおいては、ブレードバイアスの効果が得られるのは、60V以上であったのに対して、画像不良は280Vで発生しており、その有効範囲は220Vと、本実施例に比べて明らかに狭い。比較例の表層の層厚を、10μmから薄くした場合でも、ブレードバイアスの有効下限値が60V以上広がることはなく、また、ブレードバイアスの有効上限値における異常画像が(C)であることから、厚くした場合でも、上限値が大きくなることは期待できない。
従って、本実施例で述べた、高抵抗で薄層の表面層を持つ現像ローラでは、比較例で示した導電性の表層を持つ現像ローラに比べて、ブレードバイアスを広い範囲で使用することが可能になった。
<CVD法によるSiOx膜の優位性>
CVD法に代表される乾式の気相成長を用いることで、1μm以下の超薄膜でも、安定して作ることができる。
本実施形態では、現像ローラの表面層として、比較例で示した従来系の表面層に比べ、高抵抗材を薄層化して用いることを特徴とするが、薄層化した場合は、前述の通り、表面層の厚みムラが大きな物性の違いに表れるため、安定した均一な製膜方法が重要になる。
湿式による塗料による製膜では、溶液の粘度や、溶液中の分散材による分散性の問題が、厚みの均一性に対する課題となりやすい。また、基層表面に形状ムラがある場合などでは、溶液の表面張力により、その形状を埋めるように膜が形成されるため、厚みムラの原因になりやすく、薄い表面層ほど、均一に作ることが難しかった。
これに対して、気相成長法では、原料物質が、原子又は分子単位で基層表面上に付着し、更に成長することで膜が形成される。このため、ナノオーダーからの均一な超薄膜が可能で、表面に形状ムラがあった場合でも、形状ムラに沿った、均一な膜厚の表面層の形成が可能である。
実施例2で示した、前記SiOx膜を表面層として用いた現像ローラでは、最小50nmの膜厚の表面層においても、ブレードバイアスの値が、数V程度で濃度の上昇が確認でき、また、少なくとも300V程度では、異常画像の発生が無かったことは確認できた。したがって、表面層の層厚t(μm)としては、
0.05<t<4.00
であると、より好ましい。
また、前記SiOx膜は、その組成比において、膜の柔軟性に特徴を持つ。Si−O、又は、Si−Cの組成のみを持つ薄膜は、非常に硬質であるが、その両方の組成を持つ薄膜には柔軟性が生まれる。
ここで、現像ローラの基層に弾性体を用いた場合、表面層として硬質の薄膜を用いると、基層の変形に表面層が追従しきれず、表面層に、ひび割れ等の破損が発生することが懸念される。
これに対して、実施例2に示した表面層を持つ現像ローラは、Si−O、及び、Si−Cの組成を持つものであり、厚さ4μm以下の表面層では、少なくとも、実施例において使用した、非常に柔軟な基層上でも、ひび割れ等の表面の破損は発生しなかった。
以上説明したように、本実施形態では、
Log(It/Is)>0.1
を満たすような、表面層が高抵抗成分と、容量成分を持つ現像ローラを用いることを特徴とする。このことで、電位差設定手段により現像ローラと規制ブレードとの間で設けられる電位差に対して、現像ローラの耐圧性能を上げることができる。また、電位差(ブレードバイアス)Vb(V)については、現像ローラの表面層の厚さt(μm)が、
0.05<t<4.00の範囲において、Vb>55×t
としている。このことで、現像剤層のコート量アップが実現でき、画像濃度アップ等の効果が得られる。このように本実施形態によれば、従来の表面層を持つ現像ローラに比べて
、現像ローラと規制ブレードとの間で設けられる、有効な電位差の幅(印加バイアスの有効領域)を広くすることが可能となる。
ここで、現像ローラを、金属ローラとの間で従動回転させながら、これらの間に流れる電流の電流密度が、安定した状態で、0.5μA/mm以上になるようなバイアス印加の条件下において、バイアス印加から2秒後の電流値をIt、60秒後の電流値をIsとしている。
また、電位差Vb(V)、及び、現像ローラの表面層の厚さt(μm)について、
0.05<t≦2.00の範囲においては、Vb<120×t+250
とし、
2.00<t<4.00の範囲においては、Vb<500
とした。このことで、高電位差時における、異常画像の発生を抑えることが可能となる。
ここで、本実施形態では、表面層の膜厚tを4μm以下の範囲で規定している。これは、本発明の効果を、4μm以下の範囲で検証することが出来たためである。なお、4μm以上の膜厚においても、本発明の効果を得ることは可能かもしれないが、膜厚を厚くする
と、弾力性を持つ組成の膜でも割れが発生しやすくなる、膜形成に時間がかかる等の課題があるため、本発明では、4μm以下の膜厚に限定して、効果を検証した。
また、現像ローラの表面層を、気相成長により形成することで、表面層として高抵抗物質を用いる場合に重要な条件となる、薄くても均一性に優れた表面層が形成可能になる。
また、現像ローラの表面層を、炭素原子を含む酸化ケイ素により形成し、前記表面層における酸素とケイ素組成比(O/Si)を、
1.00≦(O/Si)≦1.95、
また、炭素とケイ素(C/Si)を、
0.05≦(C/Si)≦1.00
とした。このことで、弾性体基層の変形に対しても、ひび割れ等の発生の無い、柔軟性を有する表面層を提供することが可能となる。
実施例1の現像装置の概略構成を示す断面図。 実施形態の画像形成装置の概略構成を示す断面図。 実施形態の画像形成装置において、並列におかれた4つのプロセスカートリッジの1つについて、概略構成を示す断面図。 現像ローラにバイアス印加した際のバイアス値に対する電流量変化について示す図。 現像ローラにバイアス印加した際の時間に対する電流量変化について示す図。 現像ローラにバイアス印加した際における、2秒後と60秒後の電流値の比を示す図。 現像ローラにバイアス印加した際における、2秒後と60秒後の電流値の比を示す図。 ブレードバイアス印加における画像濃度変化を示す図。 ブレードバイアス印加における画像濃度変化を示す図。 現像ローラの表面層の層厚と、閾値(ブレードバイアス効果が得られる値)との関係を示す図。 現像ローラにおける、ブレードバイアス印加による異常画像発生結果を示す図。 異常画像の発生限界バイアス値と表面層の層厚との関係を示す図。 表面層の層厚に対する現像ローラの表面電位降下量を示す図。 表面層の層厚に対する、ブレードバイアスの有効領域を示す図。
符号の説明
3 現像ローラ
表面層
基層
4 規制ブレード
支持板金
SUS板
D 現像装置

Claims (2)

  1. 導電性及び弾性を有する基層と、前記基層の外周側に設けられた表面層とを有して、回転可能に設けられた現像剤担持体と、
    導電性を有して前記現像剤担持体に当接するように設けられ、前記現像剤担持体上の一成分現像剤を規制する規制部材と、
    前記現像剤担持体と前記規制部材との間に電位差を生じさせる電位差設定手段と、
    を備えた現像装置において、
    前記現像剤担持体は、前記現像剤担持体に対して金属ローラを従動回転可能に当接させた状態で、前記現像剤担持体を回転させながら、前記現像剤担持体と前記金属ローラとの間に流れる電流の電流密度が、安定した状態で、0.5μA/mm以上になるようにバイアス印加が行われた場合に、
    前記バイアス印加から2秒後、60秒後の電流値をそれぞれ、It、Isとし、Logは常用対数を示すものとすると、
    Log(It/Is)>0.1
    を満たすものであって、
    前記電位差をVb(V)とし、前記現像剤担持体の前記表面層の厚さをt(μm)とした場合に、
    0.05<t<4.00であり、
    0.05<t≦2.00の場合、55×t<Vb<120×t+250
    2.00<t<4.00の場合、55×t<Vb<500
    を満たし、
    前記現像剤担持体の前記表面層は、炭素原子を含む酸化ケイ素により形成され、
    前記表面層における酸素とケイ素の組成比(O/Si)、及び、炭素とケイ素の組成比(C/Si)は、
    1.00≦(O/Si)≦1.95
    0.05≦(C/Si)≦1.00
    を満たすことを特徴とする現像装置。
  2. 前記現像剤担持体の前記表面層は、気相成長により形成されたことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
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