JP5251346B2 - 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 - Google Patents

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Description

この発明は、動力伝達チェーン、さらに詳しくは、自動車等の車両の無段変速機(CVT)に好適な動力伝達チェーンおよび動力伝達装置に関する。
自動車用無段変速機として、図6に示すように、固定シーブ(2a)および可動シーブ(2b)を有しエンジン側に設けられたドライブプーリ(2)と、固定シーブ(3b)および可動シーブ(3a)を有し駆動輪側に設けられたドリブンプーリ(3)と、両者間に架け渡された無端状動力伝達チェーン(1)とからなり、油圧アクチュエータによって可動シーブ(2b)(3a)を固定シーブ(2a)(3b)に対して接近・離隔させることにより、油圧でチェーン(1)をクランプし、このクランプ力によりプーリ(2)(3)とチェーン(1)との間に接触荷重を生じさせ、この接触部の摩擦力によりトルクを伝達するものが知られている。
動力伝達チェーンとしては、ピンが挿通される前後挿通部を有する複数のリンクと、一のリンクの前挿通部と他のリンクの後挿通部とが対応するようにチェーン幅方向に並ぶリンク同士を連結する前後に並ぶ複数の第1ピンおよび複数の第2ピンとを備え、第1ピンと第2ピンとが相対的に転がり接触移動することにより、リンク同士の長さ方向の屈曲が可能とされているものが知られている(例えば特許文献1)。
特開2006−2783号公報
上記特許文献1のものでは、2種類の長さが異なるリンクをランダムに配列することで騒音の低減が図られている。しかしながら、重量という点では、各リンクの重量がほぼ同じであり、チェーン進行方向での単位長さあたりの重量(線密度)は均一と見なせる。線密度が均一ということは、一定条件において、弦固有周波数がただ1つになり、このため、チェーンの弦振動が発生した場合、特定の周波数の騒音が大きくなることが考えられる。
この発明の目的は、チェーンの弦振動を抑え、これにより、騒音および振動を低減した動力伝達チェーンおよび動力伝達装置を提供することにある。
この発明による動力伝達チェーンは、複数のリンクと、複数の第1ピンおよび複数の第2ピンとを備えており、第1ピンと第2ピンとが相対的に転がり接触移動することにより、リンク同士の長さ方向の屈曲が可能とされている動力伝達チェーンにおいて、チェーンの進行方向複数箇所に、単位長さあたりの重量が基準部分と相違する重量不均一部が設けられており、重量不均一部を構成するリンクは、チェーン進行方向に隣り合うリンク間の隙間を埋める突出部が形成されていることで、その重量が増大させられていることを特徴とするものである。
「重量不均一部」は、2種類のピッチ長が異なるリンクをランダムに配列した場合における基準リンクがある部分とピッチ長が長いリンクがある部分との重量不均一ではなく、所要箇所において、例えば、リンクの厚みを増厚(全体を厚くしてもよく、また、段付きリンクとして一部だけを厚くしてもよい)することなどによって達成される。増厚することに代えてまたは増厚に加えて、リンクの全体形状を大きくしてもよく、リンクの比重を変更してもよい。また、リンクだけでなく、ピンの形状や比重を合わせて変更するようにしてもよい。
弦の固有周波数fは、弦の長さをL、張力をT、単位長さあたりの重量をρとして、f=√(T/ρ)÷2Lで定義される。例えば、ρを1.1倍にすると、fは0.95倍となり、ρを1.2倍にすると、fは0.91倍になる。fが0.95倍となると、チェーン進行方向での弦固有周波数が異なる効果が顕著になることから、単位長さあたりの重量比(重量不均一部の重量/基準部分の重量)にして、1.1倍以上であることが好ましく、1.2倍以上であることがより好ましい。
動力伝達チェーンは、例えば、ピンが挿通される前後挿通部を有する複数のリンクと、一のリンクの前挿通部と他のリンクの後挿通部とが対応するようにチェーン幅方向に並ぶリンク同士を連結する前後に並ぶ複数の第1ピンおよび複数の第2ピンとを備え、第1ピンと第2ピンとが相対的に転がり接触移動することにより、リンク同士の長さ方向の屈曲が可能とされているものとされる。
この発明による動力伝達チェーンでは、例えば、所定枚数のリンクからなる第1のリンク列、所定枚数のリンクからなる第2のリンク列および所定枚数のリンクからなる第3のリンク列を1単位(リンクユニット)として、このリンクユニットをチェーン進行方向に所要数配置することでチェーンを構成することが好ましい。この場合、重量不均一部は、リンクユニットの1つまたは複数を上記の重量増大リンクで構成することで得ることができる。
リンクユニットにおいては、幅方向に並ぶリンクの枚数は、全て同じとされて、リンク枚数がそれぞれ8枚の第1から第3までのリンク列が1つのリンクユニットとされることがあり、また、各リンク列のリンク枚数について多い少ないを作り、例えば、リンク枚数が5枚のリンク列とリンク枚数が7枚のリンク列とリンク枚数が8枚のリンク列とがリンクユニットとされたり、リンク枚数が8枚)のリンク列2つとリンク枚数が9枚のリンク列1つとがリンクユニットとされることがある。
このようなリンクユニットがチェーン進行方向に所要数配置されることでチェーンが構成されるが、この場合、チェーン進行方向に並ぶリンク間には、干渉を避けるための隙間が必要となり、この隙間は、チェーンの弦振動を抑えるという点では不利なものとなる。そこで、重量不均一部を形成するに際し、チェーン進行方向に並ぶリンク同士の干渉を避けるための隙間を埋める突出部をこの隙間を介して対向するリンクに一体化して、リンクを段付き状とすることが好ましい。
このようにすると、リンク間の摩擦力が大きくなり、チェーンの弦振動に対して、この摩擦力が抵抗力となって振動を減衰させることができ、上記重量不均一部の形成との相乗効果によって、チェーンの弦振動の減衰効果をより大きいものとすることができる。ここで、「隙間を埋める」とは、リンク同士が常時接触することだけを意味するものではなく、隙間が完全に0ではないが、摩擦力が抵抗力となってチェーンの弦振動を減衰させることができる程度の微小な隙間が存在している場合も含まれるものとする。突出部の厚みは、リンクの厚みと同じとされる(リンクの薄肉部分の厚みをtとして、突出部を含む厚肉部の厚みが2tとなる)。必要に応じて、突出部が設けられていないものも使用される。突出部は、リンクの前挿通部側に設けてもよく、後挿通部側に設けてもよく、また、チェーン幅方向内側に設けてもよく、チェーン幅方向外側に設けてもよい。突出部を設けるに際しては、他のリンクと干渉を避けるために、少なくともリンクの前端部および後端部は、薄肉のまま(基準のリンクと同じ厚み)とされる。ピンの断面形状およびリンクの前後挿通部や輪郭形状は、重量不均一部と基準部分とで同じ形状とされる。突出部は、前挿通部または後挿通部の周縁部を増厚するようにして形成されることになり、この結果、リンクの強度が上がり、耐久性も向上する。
この発明による動力伝達チェーンでは、第1ピンおよび第2ピンの少なくとも一方がプーリと接触して摩擦力により動力伝達する。いずれか一方のピンがプーリと接触するチェーンにおいては、第1ピンおよび第2ピンのうちのいずれか一方は、このチェーンが無段変速機で使用される際にプーリに接触する方のピン(以下では、「第1ピン」または「ピン」と称す)とされ、他方は、プーリに接触しない方のピン(インターピースまたはストリップと称されており、以下では、「第2ピン」または「インターピース」と称す)とされる。
第1ピンおよび第2ピンのうちの一方は、一のリンクの前挿通部に固定されかつ他のリンクの後挿通部に移動可能に嵌め入れられ、同他方は、一のリンクの前挿通部に移動可能に嵌め入れられかつ他のリンクの後挿通部に固定されていることが好ましい。
ピン固定部へのピンの固定は、例えば、機械的圧入によるピン固定部内縁とピン外周面との嵌合固定とされるが、これに代えて、焼き嵌めまたは冷やし嵌めによってもよい。嵌合固定は、ピン固定部の長さ方向に対して直交する部分の縁(上下の縁)で行われるのが好ましい。この嵌合固定の後、予張力付与工程において予張力が付与されることにより、リンクのピン固定部(ピン圧入部)に均等にかつ適正な残留圧縮応力が付与される。
リンクは、例えば、ばね鋼や炭素工具鋼製とされる。リンクの材質は、ばね鋼や炭素工具鋼に限られるものではなく、軸受鋼などの他の鋼でももちろんよい。リンクは、前後挿通部がそれぞれ独立の貫通孔(柱有りリンク)とされていてもよく、前後挿通部が1つの貫通孔(柱無しリンク)とされていてもよい。ピンの材質としては、軸受鋼などの適宜な鋼が使用される。
第1ピンおよび第2ピンは、例えば、いずれか一方の接触面が平坦面とされ、他方の接触面が相対的に転がり接触移動可能なインボリュート曲面に形成される。また、第1ピンおよび第2ピンは、それぞれの接触面が所要の曲面に形成されるようにしてもよい。
なお、この明細書において、リンクの長さ方向の一端側を前、同他端側を後としているが、この前後は便宜的なものであり、リンクの長さ方向が前後方向と常に一致することを意味するものではない。
上記の動力伝達チェーンが使用される無段変速機では、各プーリは、円錐状のシーブ面を有する固定シーブと、固定シーブのシーブ面に対向する円錐状のシーブ面を有する可動シーブとからなり、両シーブのシーブ面間にチェーンを挟持し、可動シーブを油圧アクチュエータによって移動させることにより、無段変速機のシーブ面間距離したがってチェーンの巻き掛け半径が変化するものとされる。
この発明による動力伝達装置は、円錐面状のシーブ面を有する第1のプーリと、円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリと、これら第1および第2のプーリに掛け渡される動力伝達チェーンとを備えたもので、動力伝達チェーンが上記に記載のものとされる。
この動力伝達装置は、自動車等の車両の無段変速機としての使用に好適なものとなる。
この発明の動力伝達チェーンによると、チェーンの進行方向複数箇所に、単位長さあたりの重量が基準部分と相違する重量不均一部が設けられているので、弦固有周波数がチェーン進行方向の位置によって異なるものとなり、チェーンの弦振動が発生した場合でも、特定の周波数の騒音が大きくなることが抑えられ、これにより、騒音および振動が低減する。
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。以下の説明において、上下は、図4の上下をいうものとする。
図1は、この発明による動力伝達チェーン(1)を示しており、複数のリンク(11)(21)(31)と、複数の複数のピン(第1ピン)(14)およびインターピース(第2ピン)(15)とを備えており、第1ピン(14)と第2ピン(15)とが相対的に転がり接触移動することにより、リンク(11)(21)(31)同士の長さ方向の屈曲が可能とされている。二点鎖線で囲んだ部分は、重量不均一部(H)とされており、これ以外の基準部分(Q)に対してリンク(31)が増厚されて、部分的に重量が増大させられている。また、符号(21)で示すリンクは、符号(11)で示すリンクに比べてそのピッチ長が長くなされている。
このような動力伝達チェーン(1)における弦振動に関し、弦の固有周波数fは、弦の長さをL、張力をT、単位長さあたりの重量をρとして、f=√(T/ρ)÷2Lで定義される。弦固有周波数fが一定であると、この周波数の騒音が大きくなる可能性がある。重量不均一部(H)は、弦固有周波数がチェーン進行方向の位置によって異なるものとなるように、単位長さあたりの重量が基準部分(Q)と相違するように構成されたものである。
図2および図3に示すように、基準部分(Q)および重量不均一部(H)は、それぞれ、チェーン長さ方向に所定間隔をおいて設けられた前後挿通部(12)(13)を有する複数のリンク(11)と、チェーン幅方向に並ぶリンク(11)同士を長さ方向に屈曲可能に連結するピン(14)およびインターピース(15)とを備えており、基準部分(Q)を構成するリンク(11)(21)が均一厚みであるのに対し、重量不均一部(H)を構成するリンクは、同様の均一厚みのもの(11)の他、段付き状のものが複数(全部で4種類)(31)(32)(33)(34)使用されている。
図2および図3において、インターピース(15)は、ピン(14)よりも短くなされ、また、ピン(14)は、インターピース(15)に比べて前後方向の幅が広くなされて、両者は、インターピース(15)が前側に、ピン(14)が後側に配置された状態で対向させられている。
チェーン(1)は、幅方向同位相の複数のリンクで構成されるリンク列を進行方向(前後方向)に3つ並べて1つのリンクユニットとし、この3列のリンク列からなるリンクユニットを進行方向に複数連結して形成されている。この実施形態では、リンク枚数が5枚のリンク列とリンク枚数が7枚のリンク列とリンク枚数が8枚のリンク列とが1つのリンクユニットとされている。
図4は、均一厚みの基準リンク(11)、ピン(14)およびインターピース(15)の形状を示している。段付き状リンク(31)(32)(33)(34)は、後述する突出部(31a)(32a)(33a)(34a)が付加されているだけで、リンク(31)(32)(33)(34)の輪郭形状や前後挿通部(12)(13)の形状は、基準リンク(11)と同じとされている。
図4に示すように、各リンク(11)の前挿通部(12)は、ピン(14)が移動可能に嵌め合わせられるピン可動部(16)およびインターピース(15)が固定されるインターピース固定部(17)からなり、後挿通部(13)は、ピン(14)が固定されるピン固定部(18)およびインターピース(15)が移動可能に嵌め合わせられるインターピース可動部(19)からなる。
リンク(11)のピン固定部(18)とインターピース可動部(19)との境界部分には、インターピース可動部(19)の上下の凹円弧状案内部(19a)(19b)にそれぞれ連なりピン固定部(18)に固定されているピン(14)を保持する上下の凸円弧状保持部(18a)(18b)が設けられている。同様に、インターピース固定部(17)とピン可動部(16)との境界部分には、ピン可動部(16)の上下の凹円弧状案内部(16a)(16b)にそれぞれ連なりインターピース固定部(17)に固定されているインターピース(15)を保持する上下の凸円弧状保持部(17a)(17b)が設けられている。
チェーン幅方向に並ぶリンク(11)を連結するに際しては、一のリンク(11)(21)(31)(32)(33)(34)の前挿通部(12)と他のリンク(11)(21)(31)(32)(33)(34)の後挿通部(13)とが対応するようにリンク(11)(21)(31)(32)(33)(34)同士が重ねられ、ピン(14)が一のリンク(11)(21)(31)(32)(33)(34)の後挿通部(13)に固定されかつ他のリンク(11)(21)(31)(32)(33)(34)の前挿通部(12)に移動可能に嵌め合わせられ、インターピース(15)が一のリンク(11)(21)(31)(32)(33)(34)の後挿通部(13)に移動可能に嵌め合わせられかつ他のリンク(11)(21)(31)(32)(33)(34)の前挿通部(12)に固定される。そして、このピン(14)とインターピース(15)とが相対的に転がり接触移動することにより、リンク(11)(21)(31)(32)(33)(34)同士の長さ方向(前後方向)の屈曲が可能とされる。
ピン(14)を基準としたピン(14)とインターピース(15)との接触位置の軌跡は、円のインボリュートとされており、この実施形態では、ピン(14)の転がり接触面(14a)が、断面において半径Rb、中心Mの基礎円を持つインボリュート形状を有し、インターピース(15)の転がり接触面(15c)が平坦面(断面形状が直線)とされている。これにより、各リンク(11)がチェーン(1)の直線部分から曲線部分へまたは曲線部分から直線部分へと移行する際、前挿通部(12)においては、ピン(14)が固定状態のインターピース(15)に対してその転がり接触面(14a)がインターピース(15)の転がり接触面(15c)に転がり接触(若干のすべり接触を含む)しながらピン可動部(16)内を移動し、後挿通部(13)においては、インターピース(15)がインターピース可動部(19)内を固定状態のピン(14)に対してその転がり接触面(15c)がピン(14)の転がり接触面(14a)に転がり接触(若干のすべり接触を含む)しながら移動する。なお、図4において、符号AおよびBで示す箇所は、チェーン(1)の直線部分においてピン(14)とインターピース(15)とが接触している線(断面では点)であり、AB間の距離がピッチである。
この動力伝達チェーン(1)は、図5に示すV型プーリ式CVTで使用されるが、この際、プーリ軸(2e)を有するプーリ(2)の固定シーブ(2a)および可動シーブ(2b)の各円錐状シーブ面(2c)(2d)にインターピース(15)の端面が接触しない状態で、ピン(14)の端面がプーリ(2)の円錐状シーブ面(2c)(2d)に接触し、この接触による摩擦力により動力が伝達される。
図2に示した基準部分(Q)では、リンク(11)がすべて均一厚みのものとされており、チェーン進行方向(図2の上下方向)に並ぶリンク(11)間には、隙間(G1)(G2)(G3)が存在している。これらの隙間(G1)(G2)(G3)は、チェーン(1)の弦振動の発生に対しては相対的に不利なものとなっている。そこで、図3に示す重量不均一部(H)では、これらの隙間(G1)(G2)(G3)を埋める突出部(31a)(32a)(33a)(34a)を有する段付き状のリンク(31)(32)(33)(34)が使用されている。
例えば、図2において、符号(L1)で示すリンクには、(G1)で示されている隙間を埋めるための突出部(31a)が形成され、これが図3に符号(31)で示すリンクとなっている。また、図2において、符号(L2)で示すリンクには、(G2)で示されている隙間を埋めるための突出部(33a)が形成され、これが図3に符号(33)で示すリンクとなっている。このようにして、隙間(G1)(G2)(G3)を介してチェーン幅方向に対向する1対のリンク(11)のうちのいずれか一方の対向面に、この隙間(G1)(G2)(G3)を埋める突出部(31a)(32a)(33a)(34a)が一体に形成されていることにより、重量不均一部(H)を構成する段付きリンク(31)(32)(33)(34)が形成されている。
なお、図3では、段付き状のリンク(31)(32)(33)(34)として、チェーン進行方向の後側でかつチェーン幅方向左面に突出部(31a)があるもの(31)のほか、チェーン進行方向の前側でかつチェーン幅方向左面に突出部(32a)があるもの(32)、チェーン進行方向の前側でかつチェーン幅方向右面に突出部(33a)があるもの(33)およびチェーン進行方向の後側でかつチェーン幅方向右面に突出部(34a)があるもの(34)の計4種類とも使用されているが、これらをすべて使用する必要はない。
この動力伝達チェーン(1)は、必要な数のピン(14)およびインターピース(15)を組立て治具上に垂直状に保持した後、リンク(11)(21)(31)(32)(33)(34)を1つずつあるいは数枚まとめて圧入していくことにより製造される。この圧入は、ピン(14)およびインターピース(15)の上下縁部とピン固定部(18)およびインターピース固定部(17)の上下縁部との間において行われており、その圧入代は0.005mm〜0.1mmとされている。こうして、組み立てられたチェーン(1)には張力が付与(予張)される。
上記の動力伝達チェーン(1)では、ピンの上下移動の繰り返しにより、多角形振動が生じ、これが騒音の要因となるが、ピン(14)とインターピース(15)とが相対的に転がり接触移動しかつピン(14)を基準としたピン(14)とインターピース(15)との接触位置の軌跡が円のインボリュートとされていることにより、ピンおよびインターピースの接触面がともに円弧面である場合などと比べて、振動を小さくすることができ、騒音を低減することができる。また、CVTで使用された場合、ピン(14)とインターピース(15)とは、各可動部(16)(19)に案内されて転がり接触移動するので、プーリ(2)のシーブ面(2c)(2d)に対してピン(14)はほとんど回転しないことになり、摩擦損失が低減し、高い動力伝達率が確保される。
さらに、チェーン(1)の弦振動に対し、重量不均一部(H)が設けられていることで、弦固有周波数がチェーン進行方向の位置によって異なるものとなり、チェーン(1)の弦振動が発生した場合でも、特定の周波数の騒音が大きくなることが抑えられる。しかも、重量不均一部(H)では、均一厚みのリンク(11)間に存在する隙間(G1)(G2)(G3)が段付き状リンク(31)(32)(33)(34)に形成された突出部(31a)(32a)(33a)(34a)によって埋められることにより、チェーン(1)の弦振動が抑えられ、これにより、より一層騒音および振動が低減したものとなっている。
なお、上記の式f=√(T/ρ)÷2Lにおいて、例えば、ρを1.1倍にすると、fは0.95倍となり、ρを1.2倍にすると、fは0.91倍になる。fが0.95倍となると、チェーン進行方向での弦固有周波数が異なる効果が顕著になることから、重量不均一部(H)では、単位長さあたりの重量比(重量不均一部(H)の重量/基準部分(Q)の重量)にして、1.1倍以上であることが好ましく、1.2倍以上であることがより好ましい。
図1は、この発明による動力伝達チェーンの1実施形態を示す側面図である。 図2は、この発明による動力伝達チェーンの基準部分の構成を示す拡大平面図である。 図3は、この発明による動力伝達チェーンの重量不均一部の構成を示す拡大平面図である。 図4は、図1の要部拡大側面図である。 図5は、動力伝達チェーンがプーリに取り付けられた状態を示す正面図である。 図6は、無段変速機を示す斜視図である。
符号の説明
(1) 動力伝達チェーン
(2)(3) プーリ
(2a)(3b) 固定シーブ
(2b)(3a) 可動シーブ
(2c)(2d) 円錐状シーブ面
(11)(21)(31)(32)(33)(34) リンク
(12) 前挿通部
(13) 後挿通部
(14) ピン(第1ピン)
(15) インターピース(第2ピン)
(31a)(32a)(33a)(34a) 突出部
(H) 重量不均一部
(Q) 基準部分

Claims (2)

  1. 複数のリンクと、複数の第1ピンおよび複数の第2ピンとを備えており、第1ピンと第2ピンとが相対的に転がり接触移動することにより、リンク同士の長さ方向の屈曲が可能とされている動力伝達チェーンにおいて、
    チェーンの進行方向複数箇所に、単位長さあたりの重量が基準部分と相違する重量不均一部が設けられており、
    重量不均一部を構成するリンクは、チェーン進行方向に隣り合うリンク間の隙間を埋める突出部が形成されていることで、その重量が増大させられていることを特徴とする動力伝達チェーン。
  2. 円錐面状のシーブ面を有する第1のプーリと、円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリと、これら第1および第2のプーリに掛け渡される動力伝達チェーンとを備え、動力伝達チェーンが請求項1記載の動力伝達装置。
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