JP5249640B2 - 帯鋸刃 - Google Patents

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Description

本発明は帯鋸刃に係り、さらに詳細には、帯鋸刃によるワークの切断加工時に生じた切り屑が帯鋸刃とワークの切断面との間の間隙内に侵入することを防止する機能を備えた帯鋸刃に関する。
従来から知られている代表的な帯鋸刃として、例えば、図8に示すような帯鋸刃101がある。帯鋸刃101は、直歯103Sと左右に振り出された右アサリ歯105Rと左アサリ歯107Lとを適数備えて構成される一群のパターンを複数有するものである。
帯鋸刃101においては、左右のアサリ歯105R、107L以外に帯鋸刃101の胴部109の側面から、すなわち帯鋸刃101の厚み方向に突出した部分は無いのが一般的である。
上述の帯鋸刃101において、胴部109を形成する胴材と歯部113を形成する刃材とが異なる、例えば、胴材に弾性限度の高いバネ鋼を使用し、刃材には硬度の高い高速度鋼を使用したバイメタル帯鋸刃もある(例えば、特許文献1)。
バイメタル帯鋸刃における胴部109と歯部113との接合部(溶接のビード)111は、図9(a)に示す如く接合部(溶接のビード)111が胴部109の両側面に盛り上がって凸状部が発生することがある。この場合、後工程においてこの接合部(溶接のビード)111を圧延または研磨して平坦にしている。
例えば、接合部(溶接のビード)111の凸状部を研磨した場合には、図9(b)に示すように、接合部(溶接のビード)111の断面積が減少する。また、接合部(溶接のビード)111を圧延した場合には、溶接接合部(溶接のビード)111の断面積が減少する。また、接合部(溶接のビード)111を圧延した場合には、接合部(溶接のビード)111の断面積が減少すると同時に、図9(c)に示すような、微細な凹部115が両側面に発生することがある。
上述の如き胴部109を形成する胴材と歯部113を形成する刃材とが異なる帯鋸刃の場合、胴材と刃材の一部を溶かしあって溶接接合する時に、材料同士を互いに密着する方向に加圧するため、前述の図9(a)の如く接合部(溶接のビード)が盛り上がった状態になる。したがって、この盛り上がった部分を平坦にするための圧延加工または研磨加工の如き後工程が必要である。
この圧延加工または研磨加工の如き後工程が必要な理由として、帯鋸刃の製作工程におけるフライス加工等による歯切り工程において、大量生産を行うために歯切り加工前の材料を重ね合わせて加工するとき、この材料に凸状部分があると材料を平行に多数枚重ね合わせることが出来なくなるからである。
ところで、一般的に無端状の帯鋸刃は、帯鋸盤の鋸刃ハウジング内の駆動ホイール及び従動ホイールに掛け回して装着されており、更に鋸刃ガイド等を介して捻られることで、材料面に直角切断加工が行われる。よって、胴材には両ホイールから受ける張力と回転及びガイドによって受ける捻りの力により金属疲労が生じる。または、切削加工(ワークの切断加工)時には、帯鋸刃とワークの切断面との間の間隙に侵入した切り屑などによって鋸刃側面に与えられる外力によって金属疲労が生じ、それに耐えられなくなることにより、応力が集中し易い接合部からチッピング(歯欠け)が発生したり、応力が集中し易いガレットなどから亀裂が入り、胴破断を発生したりすることがある。
上述の接合部(溶接のビード)が盛り上がって凸状部を形成している場合には、圧延や研磨加工をしたものに比べて明らかに接合部(溶接のビード)の断面積も大きく接合強度も大きい。
また、前述の帯鋸刃101で金属材料等の被加工材(ワーク)Mを切断加工した場合、必ず切り屑117が発生するものであり、通常、発生した切り屑117は、図10に示すように、カールして帯鋸刃101の切れ歯の掬い面と帯鋸刃101の進行方向119に位置する逃げ面との間に形成されるガレット121内に納まっている。
しかし、切り屑の中には、帯鋸刃101において切断加工したときにカールしてもガレット121内に納まらずに、図11に示すように、糸状に発生して帯鋸刃の側面と被加工材Mとの隙間125に侵入するものもある。また、被加工材Mの材質によっては、切り屑がカールせずに糸状に長くなり、ガレット121内に納まらずに上述の隙間125に侵入するものもある。
歯先が被加工材Mに喰い込んでいるにも拘わらず、前記隙間125に侵入した切り屑が切断加工中の帯鋸刃の側面に外力を及ぼすことが原因となり、歯先の欠け、すなわちチッピングが発生し、早期の切れ曲がり現象や切断面不良等の悪影響を及ぼし、更にその外力によってガレット部の金属疲労の進行が早められて早期の胴破断を生じさせたりすることがある。
なお、帯鋸刃における側面から突出した突出部を備えた先行例として、特許文献2〜4がある。
すなわち、帯鋸刃の切れ曲り現象を防止する方法の1つとして、鋸刃側面に凸状の突起を備えた鋸刃は、例えば、特許文献2及び特許文献3に開示されている。特許文献2、3に記載の構成は、凸状の突起がワークの切断面に当接することで、鋸刃の材料に対する傾きを防止することによって、その効果を発揮するものである。しかし、特許文献3においては、その凸状の突起部が胴部に備えてあり、その突起部と歯底との間に切り屑が侵入する問題点がある。すなわち、特許文献2及び特許文献3に記載の構成においては、凸状の突起がワークの切断面に当接するために切削抵抗は増加するという問題点がある。
また、特許文献4に記載された構成では、アサリ歯と鋸刃側面にろう付けされた広い幅の歯との利点を組み合わせることにより、全てが広い幅の歯を備えた鋸身よりも簡単に製造でき、且つ全ての刃がアサリ歯の鋸身よりも優れた切断表面と真っ直ぐな切断面が得られるものであって、その突起状の広い幅の歯は、切れ歯として切断面に対して接することで、その効果を発揮するものである。然し乍、その突起状の広い幅の歯は、切れ歯として切断面に対して接するため、切削抵抗は増加するという問題点がある。
特開2003−340644号公報 特開2002−113612号公報 特開2005−088109号公報 特開2000−343324号公報
本発明は上述の如き問題を解決するためになされたものであり、本発明の課題は、胴材と刃材とが異なる帯鋸刃において、ワークの切断加工時に生じた切り屑が帯鋸刃とワークの切断面との間の間隙に侵入することを防止すると共に、切削抵抗が増加することを抑制し、胴材と刃材の接合部分から破損して生ずる歯欠け、及び歯底から破損して生ずる胴破断などを防止することのできる帯鋸刃を提供することである。
本発明は前述のごとき問題に鑑みてなされたもので、胴材と刃材とを溶接接合しかつ歯切りを行うと共に左右のアサリ出しを行って、直歯と左右のアサリ歯とを備えた帯鋸刃であって、前記胴材と前記刃材との溶接接合部に前記胴材の側面から突出した凸状部を備え、前記胴材の側面からの前記凸状部の突出高さ寸法は、前記胴材の側面からの前記左右のアサリ歯の歯先までの突出高さ寸法よりも小さいことを特徴とするものである。
また、胴材の歯切りを行った鋸歯の先端部に硬質チップを溶接接合して備えた帯鋸刃であって、前記溶接接合部に前記胴材の側面から突出した凸状部を備え、前記胴材からの前記凸状部の突出高さ寸法は、前記胴材の側面からの前記硬質チップの最大突出高さ寸法よりも小さいことを特徴とするものである。
また、前記帯鋸刃において、前記凸状部の前記突出高さ寸法は、帯鋸刃によってワークを切断するときに、帯鋸刃における前記胴材の側面とワークの切断面との間隙への切屑の侵入を防止する高さ寸法であることを特徴とするものである。
本発明によれば、帯鋸刃によるワークの切断加工(切削加工)時に、生じた切り屑が帯鋸刃の側面とワークの切断面との間に侵入することを防止することができる。したがって、帯鋸刃とワークの切断面との間の間隙に切り屑が入り込むことによって生じる問題を解消することができるものである。
また、帯鋸刃の胴材と刃材との溶接接合部に凸状部を備えた構成とすることにより、溶接接合部の強度向上を図ることができ、前述したごとき従来の問題を解消し得るものである。
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
図1、2は、本発明の第一の実施の形態に係る帯鋸刃1を示す説明図であり、図1は、帯鋸刃1の正面図、図2は図1におけるA−A断面の拡大説明図、図3はワーク(被加工材)Mの切断加工(切削加工)の状態を示した図であり、図4は図3のP部を拡大した図である。
図1に示す帯鋸刃1は、胴部2の厚さtが1.0mm、胴幅Wは38mm、で胴材14と刃材15は従来の帯鋸刃における材料と同一であるバイメタル帯鋸刃である。
また、歯間ピッチが1インチ当たり2枚の歯と、1インチ当たり3枚の歯との計5種類の歯ピッチを1グループとする不等ピッチ(バリアブルピッチ)からなり、アサリ歯のアサリ振出量(HL,HR)は0.40mmであって、アサリパターンは直歯3S、左アサリ歯5L、右アサリ歯7R、左アサリ歯9L、右アサリ歯11Rの5枚構成からなっている。
前記帯鋸刃1は、帯状の胴材14と帯状の刃材15とを溶接接合部12において一体的に溶接し接合した後、歯切り加工を行うためにガレットGの加工を行うことによって各鋸歯3S,5L,7R,9L,11Rが形成されている。そして、左右のアサリ歯5L,7R,9L,11Rは、それぞれアサリ曲げ位置(アサリ曲げライン)13において左右方向に振り出しを行うことによってアサリ歯に形成してある。
前記アサリ曲げ位置13は、前記ガレットGにおける底部GBと前記溶接接合部12との間に位置する。換言すれば前記アサリ曲げ位置13と各アサリ歯5L,7R,9L,11Rの歯先との間に前記溶接接合部12が位置することになる。
図1、図2に示す帯鋸刃1において、深さhのガレットGを有する前記各歯(直歯3S、左アサリ歯5L、右アサリ歯7R、左アサリ歯9L、右アサリ歯11R)において、それぞれの歯先とガレットGの底部GBの間の位置で、歯先からガレットGの底部GB側へ向かって距離H(H=1.5mm)の位置に、前記溶接接合部12が備えられている。この溶接接合部12には、前記胴部2の左右両側から突出した凸状部BL,BRが備えられている。
前記溶接接合部12における凸状部BL,BRは、前記胴材14に刃材15を溶接したときの溶接ビードからなるものであって、その突出量(胴材14の側面からの突出高さTL,TR)は、胴材14の側面からの前記左右のアサリ歯5L,7R,9L,11Rの歯先までの高さ寸法(アサリ振出量)HL,HRよりも小さな寸法である。そして、前記凸状部BL,BRの突出高さ寸法TL,TRは、ワークMの切断面MFと帯鋸刃1の側面との間の間隙125(図3参照)との間へ、ワークMの切削(切断)加工時に生じた糸状の切り屑が侵入することを防止する機能を有する高さ寸法に設けてある。
なお、帯鋸刃1における側面からの凸状部BL、BRの突出量(突出高さ寸法)TL、TRは、直歯では約0.1mmであるが、アサリ歯の場合にはアサリ振出量の分だけ大きくなるが、図4に示すように、アサリ歯における凸状部BL、BRと被加工材Mの切断面MFとの隙間aは切削加工に悪影響がでない範囲で出来るだけゼロに近い方が好ましい。
次に第二の実施の形態の帯鋸刃1A(図示省略)は、上述の第一の実施の形態の帯鋸刃1において、前記凸状部BL、BRの突出量を約0.40mmにして、左右のアサリ歯のアサリ振り出し量と同一寸法に設けたものであり、その他の構成は帯鋸刃1と同一である。
次に、本願発明に係る比較実験用の帯鋸刃20について説明する。
図5、図6は、本発明に係る比較実験用帯鋸刃20を示す説明図であり、図5は、帯鋸刃20の正面図、図6は図5におけるB−B断面の拡大説明図である。
図5に示す比較実験用の帯鋸刃20では、前記第一の実施の形態の帯鋸刃1と同様に胴部材料14と歯部材料15の異なるバイメタル帯鋸刃である。
また、帯鋸刃20の構成は、前記帯鋸刃1における前記胴部2の左右両側に突出して形成される溶接ビードからなる凸状部BL、BRの構成以外は同一なので、同一の構成要素には同一の符号を附しその詳細な説明を省略する。
帯鋸刃20において、歯先からの深さhが一番大きいガレットGを有する直歯3S、3Sの歯底を結んだラインLから胴部2の鋸背方向に距離w(w=3.0mm)だけ離れた位置に、前記胴部2の左右両側面に長手方向に連続して延伸する溶接のビードからなる凸状部fが形成してある。すなわち凸状部fはガレットGの底部GBと帯鋸刃20の背部との間に備えられている。
この凸状部fの帯鋸刃20の側面からの左右への突出量(TL、TR)は0.2mmである。なお、アサリ歯のアサリ振出量は帯鋸刃1と同一の0.4mmである。また、この凸状部fは帯鋸刃20の左右アサリ歯の歯先より左右に突出しない様に設けてある。
次に、第一の実施の形態における帯鋸刃1と、第二の実施の形態の帯鋸刃1Aと、比較実験用の帯鋸刃20及び図1,2に示した帯鋸刃において凸状部BL,BRを備えていない通常の帯鋸刃(図示省略)との四種類の同一長さの帯鋸刃を用いて切断性能の比較試験を実施した結果を以下に説明する。
切断試験には、被加工材(ワーク)MとしてSUS304(18-8ステンレス鋼)、250φを使用し、鋸速[40m/min]で約15分でもって上記被加工材Mの1カットを終了出来る切削条件に設定して20カットのときに歯先の状態を観察するものとした。
その結果、凸状部のない通常の帯鋸刃では、10歯にチッピング(歯欠け)が発生したが、本実施形態に係る帯鋸刃(1、1A)には全くチッピング(歯欠け)が発生していなかった。しかし、帯鋸刃1Aでは1カット終了時に切曲りと、うねり模様が発生し、20カットまで切断できなかった。
帯鋸刃1Aによる切断において、切曲りと、うねり模様が発生した原因は、左右のアサリ歯に備えた凸状部がアサリ歯の歯先のコーナー部よりも外側に振り出されているために、切断中にアサリ歯の歯先が切り開いていく切断溝よりも、左右の凸状部の幅の方が広いため、凸状部が切断材料の切断面に接触して、過剰な摩擦力を受けることが原因である。
さらに、帯鋸刃1と帯鋸刃20および通常の帯鋸刃を新しいものに交換しての同一条件による切断試験によれば、20カットを切断したときの歯先の状態は、通常の帯鋸刃では10歯にチッピング(歯欠け)が発生したのに対して、帯鋸刃1および帯鋸刃20は共にチッピング(歯欠け)が発生しなかった。
また、このときの切断面の状態を観察すると、通常の帯鋸刃の場合には、切り屑が切断面に当たって、むしれた様な面になっているのに対して、帯鋸刃1と帯鋸刃20では、その様な状態は観察されなかった。
これは通常の帯鋸刃の場合、切断中に生じた切り屑が帯鋸刃の側面と被加工材Mの切断面との間の隙間に侵入することで、歯先が材料に喰い込んでいるにも拘わらず帯鋸刃に外力が加わるため、胴部と歯部の接合部が耐え切れずにその接合部が破断することからチッピング(歯欠け)が発生し、また材料の切断面に切り屑が当たることによる切断面不良が発生しているものである。
しかしながら、帯鋸刃1と帯鋸刃20では、帯鋸刃の側面に凸状部が設けられていることで、切断材の切断面と帯鋸刃との間の間隙に切り屑が侵入することを防止できたためチッピング(歯欠け)や切断面不良の発生が抑制することが可能になったものと思われる。
帯鋸刃20では、溶接ビードからなる凸状部fよりも歯先側でアサリ出しの曲げを実施するので、凸状部fの突出量(突出高さ)がアサリ歯のアサリ振出量よりも小さければ、切断中に材料の切断面に凸状部fが接触することはない。帯鋸刃1の場合には、凸状部分の方がアサリ出しの曲げ位置よりも歯先寄りにあるので、凸状部が突出形成される溶接のビードからなる凸状部BL、BRの凸出量は歯先の振り出し量よりも小さくなるように考慮しないと、切断材料の切断面に胴部の凸状部BL、BRが接触し、早期切れ曲がり、切断不良、チッピング(歯欠け)等が発生することがある。
また、上述の3種類の帯鋸刃1と帯鋸刃20および通常の帯鋸刃の3本で、被加工材Mとしてアルミ材(A6061:Al-Mg-Siの熱処理系構造用合金)、200φを、鋸速150[m/min]で、約1分でもって1カットを終了できる切削条件で切断試験を実施したところ、チッピング(歯欠け)に関しては何れの帯鋸刃にも発生しなかったが、これは材料がやわらかいためと思われる。
しかし、切断面の状態ではSUS304、250φと同様に通常の帯鋸刃の場合には、切断面に切り屑がこすれた様なむしれ面であったのに対して、帯鋸刃1と帯鋸刃20にはその様な切り屑によるむしれ面は観察されなかった。
しかしながら、さらに切断試験を続けると、帯鋸刃20は歯底付近の凸状部から早期胴破断をしてしまった。これは、溶接(熱処理)によって凸状部及びその周辺部の結晶粒径や組織が変化し粘性を低下させ、しかも凸状部が連続して形成されているために、金属疲労としては、いちばん応力の集中する箇所である歯底(ガレットGの底部GBと同義)付近に凸状部が設けてあることとなり、歯底付近からクラックが入って破断につながったものと考えられる。
しかし、帯鋸刃1の場合には、帯鋸刃の金属疲労でいちばん応力が集中する歯底付近には、凸状部が設けられておらず、即ち凸状部は歯底よりも歯先側の位置で不連続に形成されていることで、前記アルミ材(A6061:Al-Mg-Siの熱処理系構造用合金)、200φを同じ切削条件で切断した場合、切り屑によるむしれ状態もなく、被加工材Mがアルミ材ということでチッピング(歯欠け)も発生せずに、また胴部疲労による早期胴破断も発生しないことを確認することができた。
次に、上述の帯鋸刃1と、帯鋸刃1と同じ構成の帯鋸刃の胴部と歯部の溶接接合部を研磨して凸状部をフラットにした帯鋸刃A(図示省略)と、前記溶接接合部を圧延によりフラットにした帯鋸刃B(図示省略)の3種類を用意し、各帯鋸刃の溶接接合部の断面を観察すると、前記図9に示したように、図9(a)、(b)、(c)と同様な断面形状が観察された。
上述の3種類の溶接接合部の断面形状を有する3本の帯鋸刃1、帯鋸刃A、帯鋸刃Bを使用して、被加工材MがSS400、200w×36tのフラットバーを、図7に示すように帯鋸盤(図示省略)の固定バイスVに固定して、鋸速[60m/min]の一定速度で、鋸刃の一歯当たりの切り込み量を徐々に大きくして(切り込み方向の速度を次第に大きくすることにより切削時の負荷を徐々に上げて)切断試験を行った。
その結果、溶接接合部を圧延によりフラットにした帯鋸刃Bは、1カットを約40秒で切断終了する条件で切断を行うと、胴材と刃材の溶接接合部のビード部から歯欠けを起こし、それに対して、溶接接合部を研磨して凸状部をフラットにした帯鋸刃Aは、1カットを約33秒で切断終了する条件で切断を行うと、胴材と刃材の溶接接合部のビード部から歯欠けが発生し、帯鋸刃1は1カットを約26秒で切断終了する条件で切断を行うと、胴材と刃材の溶接接合部のビード部から歯欠けが発生した。
以上の切断試験から、鋸速が一定であることから胴材14と刃材15との溶接接合部の強度は、いちばん速い切り込み速度まで歯が欠けなかった帯鋸刃1がいちばん強度あるものと判断できる。
これは、前記図9(a、b、c)に示した3種類の接合部の断面形状おおび断面積を観察すると解るように、溶接接合部111を圧延によりフラットにした帯鋸刃Bは、前記図9(c)に示すような、凹部115が発生することがある。したがって帯鋸刃Bが3種類の帯鋸刃1、帯鋸刃A、帯鋸刃Bの中でいちばん溶接接合部111の強度が弱いという結果になった。
帯鋸刃Bに次いで溶接接合部111の強度が弱かったのが溶接接合部111を研磨して凸状部をフラットにした帯鋸刃Aであり、いちばん溶接接合部111が強かったのは、帯鋸刃1で、それは、溶接接合部111の断面積がいちばん大きいためと理解される。
以上の実施の形態の説明においては、胴部材料と歯部材料が異なるいわゆるバイメタル帯鋸刃を例にして説明したが、胴部材料と歯部材料が同一の帯鋸刃(溶接接合部がないもの)、ピッチ構成が5枚以外の帯鋸刃、アサリパターンやアサリの振り出し量、凸出量の相違する帯鋸刃、歯先に高低差を有する帯鋸刃、丸鋸等に適用しても本発明と同様な効果を期待することが可能である。
ところで、本発明は前述したごとき実施形態のみに限るものではなく、適宜の変更を行うことによりその他の形態でもって実施可能である。すなわち前記説明においては凸状部を形成する場合、溶接のビードによって形成する場合について例示した。しかし、適宜の樹脂を帯鋸刃の両側面に線状に粘着,溶着した後に一体的に固化した構成とすることも可能である。
また、帯鋸刃には左右方向にアサリ振り出しを行った左右のアサリ歯を備えた帯鋸刃に限ることなく、歯先部が幅広くなる鳩尾形状の超硬チップなどの硬質チップを溶接接合(ロー接も含む)して備えた帯鋸刃がある。この種の帯鋸刃41は、既に公知であるが、図12に示すように、鋸歯43の先端部に、歯先部が幅広になる鳩尾形状の種々形状の硬質チップ45A,45B,45Cを溶接接合した構成である。
したがって、鋸歯43の先端部に各硬質チップ45A,45B,45Cを溶接接合したときの溶接ビードを凸状部47として備えることができる。この場合、前記帯鋸刃41における胴材41Aの側面からの左右方向への凸状部47の突出高さは、前記各硬質チップ45A〜45Cにおいて左右方向の幅寸法が最も大きな硬質チップ45Aにおける歯先部Cが前記胴材41Aの側面から左右方向に突出した突出高さ寸法よりも小さく設けるものである。
このような構成においても前述した帯鋸刃と同様の効果を奏し得るものである。
本願発明の実施形態に係る帯鋸刃の説明図(正面図)。 図1におけるA−A断面の拡大説明図。 本発明の実施形態に係る帯鋸刃による切削状態を示す説明図。 図3におけるP部の拡大説明図。 本願発明に係る第三の実施の形態の帯鋸刃20の説明図(正面図)。 図5におけるB−B断面の拡大説明図である。 本発明に係る帯鋸刃1を使用した切断試験において、被加工材MがSS400、200w×36tのフラットバーの切断状態を説明する図。 従来のバイメタル帯鋸刃の構成の一例を説明する図で、図8(a)は、帯鋸刃101の正面図、図8(b)は底面図、図8(c)は図8(a)の右側面図。 従来のバイメタル帯鋸刃101の溶接接合部の断面形状の説明図で、図9(a)は溶接接合部111のビードの断面図、図9(b)は溶接接合部111のビードを平坦に研磨した状態を示す図、図9(c)は溶接接合部111のビードを圧延して平坦にしたときの断面の状態を示す図。 従来のバイメタル帯鋸刃101で金属材料等の被加工材Mを切断加工した場合の切り屑117の状態を示した図で、帯鋸刃101を正面方向から見た断面図。 従来のバイメタル帯鋸刃101で金属材料等の被加工材Mを切断加工した場合のガレット内に納まらなかった切り屑117の状態を示した図で、帯鋸刃101進行方向から見た断面図。 鳩尾形状の硬質チップを備えた帯鋸刃を示す説明図である。
符号の説明
1、20、101 帯鋸刃
2 胴部
3S、3SA 直歯
5L 左アサリ歯
7R 右アサリ歯
9L 左アサリ歯
11R 右アサリ歯
12 溶接接合部
13 アサリ曲げ位置
14 胴材
15 刃材
a アサリ歯における凸状部(BL、BR)と被加工材Mとの隙間
h ガレットGの歯先からの深さ
t 胴部2の厚さ
BL、BR 凸状部
L 直歯3S、3SAの歯底を結んだライン
H 凸状部(BL、BR)の歯先からの距離
TL、TR 直歯の凸状部の突出量
G ガレット
M 被加工材
V 固定バイス
W 胴幅
GB ガレットの底部

Claims (3)

  1. 胴材と刃材とを溶接接合しかつ歯切りを行うと共に左右のアサリ出しを行って、直歯と左右のアサリ歯とを備えた帯鋸刃であって、前記胴材と前記刃材との溶接接合部に前記胴材の側面から突出した凸状部を備え、前記胴材の側面からの前記凸状部の突出高さ寸法は、前記胴材の側面からの前記左右のアサリ歯の歯先までの突出高さ寸法よりも小さいことを特徴とする帯鋸刃。
  2. 胴材の歯切りを行った鋸歯の先端部に硬質チップを溶接接合して備えた帯鋸刃であって、前記溶接接合部に前記胴材の側面から突出した凸状部を備え、前記胴材からの前記凸状部の突出高さ寸法は、前記胴材の側面からの前記硬質チップの最大突出高さ寸法よりも小さいことを特徴とする帯鋸刃。
  3. 請求項1又は2に記載の帯鋸刃において、前記凸状部の前記突出高さ寸法は、帯鋸刃によってワークを切断するときに、帯鋸刃における前記胴材の側面とワークの切断面との間隙への切屑の侵入を防止する高さ寸法であることを特徴とする帯鋸刃。
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