JP5247132B2 - 空調システム - Google Patents
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Description
そこで、本発明の目的は、エネルギー消費効率を向上することができる電子機器を収納するキャビネットを配置した被調和室の空調システムを提供することにある。
図1は本発明の一実施形態に係るコンピュータルーム(被調和室)2の空調システム100を示す図である。このコンピュータルーム2は、第一の空気調和装置(以下、「空気調和装置」を「空調装置」という)1と第二の空調装置110とを備え、これらによって室内が空調される。第二の空調装置110は、室外に設置される室外ユニット(第二の熱源機)120と、コンピュータルーム2に設置される室内ユニット130とを備え、これらがユニット配管140で接続されることによって冷凍サイクルを行う冷凍回路を構成している。
四方弁122は、冷房運転と暖房運転とを切り換えるための切換弁であり、図2では冷房運転の状態を示している。この場合、圧縮機121から吐出された冷媒は、四方弁122を経由して室外熱交換器123へ流れた後に室内熱交換器131へと流れ、室外熱交換器123が凝縮器、室内熱交換器131が蒸発器として機能して冷房運転状態となり、室内ファン132により室内空気が室内熱交換器131で熱交換されて室内を冷房する。
また、四方弁122を暖房側に切り換えたときには、図示は省略するが、圧縮機121から吐出された冷媒が四方弁122を経由して室内熱交換器131へ流れた後に室外熱交換器123へと流れ、室内熱交換器131が凝縮器、室外熱交換器123が蒸発器として機能して暖房運転状態となり、室内を暖房する。
なお、本実施形態では、第二の空調装置110をビルトイン型に構成する場合を示したが、これに限らず、天井埋込型、天井吊り型、壁掛け型、床置き型などの公知の空気調和装置を広く適用することが可能である。
この電子機器冷却ユニット20は、図3に示すように、蒸発器21、膨張弁(不図示)等を収容し、熱源機30は、図1に示すように、能力可変型の圧縮機(第一圧縮機)32、凝縮器(室外熱交換器)35、膨張弁36、室外ファン37等を収容する。そして、圧縮機121が冷凍回路に充填された冷媒を圧縮して吐出することにより、凝縮器35と蒸発器21との間で冷媒を循環して冷凍サイクル運転(第一の冷凍サイクル)を行う。この冷凍サイクル運転は、冷房運転を行う冷凍サイクルであり、本構成では、電子機器3から排出された空気がリアドア12内の蒸発器21を流通するよう構成されるため、この際に蒸発器21によって排出空気が冷却されて室内に排出される。
キャビネット11は、収納される電子機器3の規格に合致した大きさを有し、板金性の天板11A、底板11B及び側板11C、11Dを備えて矩形状に形成されている。このキャビネット11の前面及び後面にはそれぞれ前面開口64(図1参照)及び後面開口65が形成され、この開口64、65を通じてキャビネット11内にコンピュータルーム2の室内空気が流通する。また、キャビネット11は、天板11Aと底板11Bとの間に、これら天板11A及び底板11Bと略平行に配置された仕切り板(棚部)11Eを備える。この仕切り板11Eは、キャビネット11内を区分けするものであり、仕切り板11E上に電子機器3が配置される。この仕切り板11Eは、両側板11C、11Dに形成された支持部(不図示)によって支持されており、この支持部は上下方向に所定間隔ごとに複数設けられている。これによって、仕切り板11Eを所望の位置の支持部に配置したり、複数の当該仕切り板11Eをキャビネット11内に配置することができる。
また、リアドア12の外面の略中央部には、図4に示すように、開口部12Aが形成されており、この開口部12Aには、所定径の孔68が略一面に形成された表面材69が配置されている。この表面材69は、各孔68を通じてリアドア12を通風可能とすると共に、このリアドア12の内部に配置される蒸発器21を外部に露出させないように機能し、サーバラック10の美観の向上を図っている。
ここで、表面材69の各孔68は、通風を阻害しないように開口率が例えば60パーセント以上となるように形成されている。さらに、この孔68孔の径は、人の手指よりも小さな径に設定されている。これによれば、例えば、サーバラック10に配置される電子機器3のオペレータ)がこの孔68を通じて蒸発器21に触れることが防止され、この蒸発器21のフィンで手指をけがするといった事故を未然に防ぐことができる。
蒸発器21の上側蒸発部22及び下側蒸発部23は、それぞれ各蒸発部22、23に繋がる細径の液分岐管27A、27Bと、太径のガス管29とを備え、これら液分岐管27A、27B及びガス管29は、リアドア12のヒンジ66側にまとめて配置されている。本構成では、図6に示すように、ガス管29を液管27(液分岐管27A、27B)よりもリアドア12のヒンジ66側に配置されている。このため、ガス管29のガス管接続部POUTに繋がる太径のフレキシブルガス管26は、ヒンジ66のより近い位置に配置されるため、リアドア12を開閉する際に、フレキシブルガス管26の撓み量を小さく抑えることができ、このリアドア12を小さな力で開閉することができる。
蒸発器21は、図7に示すように、冷媒が流れる冷媒管70と、この冷媒管70に積層配置される複数の放熱用のフィン71とを備えて構成されるフィンチューブ型の熱交換器であり、この蒸発器21の両端には、フィン71を押さえる管板72が配置されている。この管板72は、蒸発器21をリアドア12(図6参照)に配置する場合に、このリアドア12側に当該リアドア12と略平行に延びる取付部72Aを備えて略L字状に形成されている。本実施形態では、この取付部72Aを用いてリアドア12にねじ止めされることにより、蒸発器21がリアドア12内に固定されている。
カバー材74は、リアドア12を開放した場合であっても、電子機器冷却ユニット20のサービスマン以外が誤って蒸発器21のフィンに触れることを防止するものである。このカバー材74は、周囲に形成されたねじ孔(不図示)を通じてリアドア12にねじ止めで固定されている。ここで。ねじ孔の一部をダルマ孔として、カバー材74をリアドア12に仮止めしたねじに引掛けられるようにすることが望ましい。これによれば、メンテナンス時にカバー材74をリアドア12に仮固定することができるため、このカバー材74をリアドア12に容易に着脱することができる。
また、カバー材74は、このカバー材74を取り扱うための一対のハンドル75を備える。このハンドル75は、カバー材74の高さ方向の略中央の縁部にそれぞれ取り付けられており、通風を阻害するものではない。
また、カバー材74には、図5に示すように、このカバー材74をリアドア12に取り付けた際に、膨張弁28A、28Bに相当する位置に開口76が形成されている。この開口76は、カバー材74を取り外すことなく、膨張弁28A、28Bをメンテナンスするためのものであり、例えば、膨張弁28A、28Bの動作を確認したり、当該膨張弁28A、28Bのコイル部が不良の場合には、この開口76を通じてコイル部の交換が可能である。
また、第二の空調装置110についても、この空調装置110を制御する電装ユニット(以下、第二制御ユニットという(図1参照))85と、室内配置のリモートコントローラ(不図示)とを備えると共に、室内温度を検出する室内温度センサを備え、第二制御ユニット85は、リモートコントローラに設定された目標温度と室内温度センサが検出した室内温度を入力し、空調装置110の各部(圧縮機121や各種制御弁等)を制御する。
そこで、本実施形態では、空調システム100全体のエネルギー消費効率(トータル効率)が最適になるように、各空調装置1、110の運転を中枢的に制御する集中コントローラ(運転制御手段)200(図1参照)を備えている。
本構成では、上記効率特性曲線f1、f2を事前測定或いはシミュレーションなどによって予め取得しておき、これら効率特性曲線に基づいて空調システム100のトータル効率が最適になるように、空調システム100全体の冷凍負荷毎に、各空調装置1、110の圧縮機32、121の運転周波数(能力)を決定するテーブルデータを、集中コントローラの記録部に記録している。ここで、図9は、このテーブルデータに基づいて各圧縮機32、121の運転周波数を制御した場合の空調システム100の効率特性曲線f3を模式的に示す図である。なお、図9の横軸は、各空調装置1、110の各々の最大能力を100%とした場合の空調システム100全体の能力を0〜200%で示している。
また、上述の効率特性曲線f1、f2は各空調装置1,110の設置環境(外気温度等)によっても若干変化するため、本構成では、以下の制御フローに示すように、上記テーブルデータに基づいて各圧縮機32、121の運転周波数を決めて運転した後、各圧縮機32、121の運転周波数を補正する補正処理を行うようにしている。
まず、集中コントローラ200は、第一の空調装置1の負荷(電子機器3の冷却負荷)を特定する情報(負荷特定情報)を取得し、つまり、排熱温度センサ29E、29Fが検出した排熱温度及び設定された目標温度を取得すると共に、第二の空調装置110から負荷(空調負荷)を特定する情報(負荷特定情報)として、室内温度と目標温度とを取得する(ステップS1)。
続いて、集中コントローラ200は、第一の空調装置1の目標温度と排熱温度との差温に基づいて第一の空調装置1の負荷を算出すると共に、第二の空調装置110の目標温度と室内温度との差温に基づいて第二の空調装置1の負荷を算出し、これらの算出結果を加算することにより、空調システム100全体の負荷(以下、冷凍負荷という)を取得する(ステップS2)。なお、この負荷の算出処理は各空調装置1、110の制御ユニット80、85が行い、集中コントローラ200が各制御ユニット80、85が算出した負荷を取得し、空調システム100全体の冷凍負荷を取得するようにしてもよい。
この場合、集中コントローラ200は、空調システム100全体の冷凍負荷が低い領域、より具体的には、第一の空調装置1の効率(エネルギー消費効率)が100%近傍になるまでの低負荷範囲(能力比55%以下の範囲(図8参照))では、第一の空調装置1だけを運転し、電子機器3の排出空気の冷却を確実に行うようにしている。また、この低負荷範囲を超えている場合には、第一の空調装置1の運転を継続しつつ、空調システム100のトータル効率が良くなる能力比で、各空調装置1、110の圧縮機32、121を運転制御する。
このため、図9に示すように、冷凍負荷(=能力比)が55%のときは第一の空調装置1だけを図8に示す能力比55%の状態で運転して効率比を略100%の状態にすることができる。また、冷凍負荷が110%のときは各空調装置1、110を図8に示す能力比55%の状態(各空調装置1、110の効率が略100%の状態)で各々運転することにより、空調システム100全体の効率比を略100%の状態で運転することができる。また、上述した冷凍負荷55%、110%以外の範囲でも、各空調装置1、110を各々の負荷で独立運転する場合よりも高いエネルギー消費効率になるように運転することができる。
このように、空調システム100全体の冷凍負荷に基づいて各空調装置1、110の運転能力を決定することにより、各空調装置1、110の運転能力を適切に配分して空調システム100全体のエネルギー消費効率を高くすることができる。
具体的には、集中コントローラ200は、所定の時間間隔で各空調装置1、110から取得した室内温度と目標温度との差温を求め、この差温が徐々に小さくなっているか否かを判定する。そして、集中コントローラ200は、差温が小さくなっていない場合(例えば、差温が以前より大きくなった場合等)には、いずれか一方の空調装置1、110(例えば、第一の空調装置1)の能力(圧縮機の運転周波数)を所定量だけ増大する処理、或いは、両方の空調装置1、110の能力(圧縮機32、121の運転周波数)を所定量だけ増大する処理を行うと共に、上記差温に基づいて過冷却が生じていた場合には、いずれか一方或いは両方の空調装置1、110の能力を減少する、といった能力の増減を行う。
これによって、実際の設置環境などに起因して効率特性曲線が若干変更した場合でも、空調システム100全体の能力を、冷凍負荷に合った能力に適切に制御することができる。
また、本実施形態では、各空調装置1、110の全負荷時における能力を略等しくしたので、一方の空調装置1又は110の運転停止等の不具合が生じた場合でも、他方の空調装置110又は1で空調システム100全体の能力の大幅な落ち込み(本例では能力50%以下となる事態)を回避できる。しかも、各空調装置1、110の能力が最大冷凍負荷の略50%に対応する能力に設定されるので、冷凍負荷が50%を大きく超えるような例外ケースが生じない限りは、電子機器3の稼働を継続できる程度の冷凍サイクル運転を継続でき、サービスマンが故障対応をするまで、電子機器3を適切に稼働させることができる。
また、本実施形態では、各空調装置1、110の効率特性を基にして各圧縮機32、121の運転周波数を制御した後、室内温度と目標温度との差温が小さくならない場合には、該差温が小さくなるように各圧縮機32、121の運転周波数を補正するようにしたので、設置環境等に起因して効率特性が変化した場合でも、コンピュータルーム(被調和室)2の冷凍負荷を満足するように空調システム100の運転能力を制御することができる。
また、本実施形態では、電子機器冷却ユニット20は、冷凍サイクルを構成する蒸発器21を備える構成について説明したが、これに限るものではなく、例えば、熱源機としてのチラーユニットと冷水配管を介して接続される空気−水熱交換器を備える構成としてもよい。
2 コンピュータルーム(被調和室)
3 電子機器
4 ファン
10 サーバラック
11 キャビネット
12 リアドア
20 電子機器冷却ユニット
21 蒸発器
30 熱源機(第一の熱源機)
32 圧縮機(第一圧縮機)
80 第一制御ユニット
85 第二制御ユニット
100 空調システム
110 第二の空調装置(第二の冷凍サイクル)
120 室外ユニット(第二の熱源機)
121 圧縮機(第二圧縮機)
130 室内ユニット
200 集中コントローラ
f1、f2、f3 効率特性曲線
Claims (5)
- 電子機器を収納するキャビネットを配置した被調和室の空調システムであって、
第一圧縮機及び凝縮器を有する第一の熱源機と、
前記第一の熱源機から延びる冷媒配管に接続されると共に、ファン付きの電子機器を収容したキャビネットの開口を閉塞するリアドアに配設された蒸発器と、
により第一の冷凍サイクルを構成し、
前記電子機器に付設したファンで送風される空気を前記リアドアの蒸発器で冷却して被調和室に戻すと共に、
第二圧縮機、室外熱交換器、膨張弁及び室内熱交換器を有し、前記被調和室を空調する第二の冷凍サイクルを備え、
前記電子機器に付設したファンで送風される空気の温度と前記第一の冷凍サイクルでの目標温度との差に基づく負荷と、室内温度と前記第二の冷凍サイクルでの目標温度との差に基づく負荷との加算値を冷凍負荷とし、
前記冷凍負荷が、前記第一の冷凍サイクルのエネルギー消費効率比が100%近傍になるまでの低負荷範囲では前記第一の冷凍サイクルだけを運転し、前記低負荷範囲を超えている場合には、前記第一の冷凍サイクルの運転を継続しつつ、トータル効率が良くなる能力比で、前記第一及び第二の冷凍サイクルをそれぞれ運転する運転制御手段を備えたことを特徴とする空調システム。 - 第一及び第二の冷凍サイクルの全負荷時における能力を略等しく設定したことを特徴とする請求項1に記載の空調システム。
- 前記運転制御手段が、第一の冷凍サイクルを優先して、トータル効率が良くなる範囲で、第一及び第二の冷凍サイクルを運転することを特徴とする請求項1または2に記載の空調システム。
- 前記トータル効率が良くなる範囲が、第一及び第二の冷凍サイクルの各効率特性を基にして予め設定されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の空調システム。
- 前記運転制御手段が、第一及び第二の冷凍サイクルの各効率特性を基にして前記第一圧縮機及び第二圧縮機の運転周波数を制御した後、室内温度と目標温度との差温が小さくならない場合には、該差温が小さくなるように前記第一圧縮機及び第二圧縮機の運転周波数を補正することを特徴とする請求項4に記載の空調システム。
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