第1の発明は鍋を誘導加熱する加熱コイルと、前記加熱コイルに接続し、前記加熱コイルを導通、遮断する半導体スイッチング素子を有するインバータ回路と,交流電源を整流し前記インバータ回路に電力供給する整流回路と、前記半導体スイッチング素子のゲート端子をオンオフする駆動回路と、前記駆動回路を介して前記半導体スイッチング素子をオンオフ制御する制御部と、
前記交流電源を直流電源に変換する第一の直流電源回路と、前記第一の直流電源回路より電源電圧を供給され、前記第一の直流電源回路の出力電圧より低い電圧にする第二の直流電源回路を有し、
前記制御部は前記第二の直流電源回路より電源電圧を供給され、
前記第一の直流電源回路は複数の出力電圧を有し、前記駆動回路は前記制御部の制御信号に応じて前記第一の直流電源回路より所定の出力電圧を供給され、前記制御部は前記半導体スイッチング素子のオン時間が所定時間以上のときは、前記第一の直流電源回路の出力電圧を、前記半導体スイッチング素子の前記半導体スイッチング素子のゲート端子の最大定格電圧より低い第一の電圧設定値にし、前記半導体スイッチング素子のオン時間が所定時間より短いときは第一の直流電源回路の出力電圧を第一の電圧設定値より低い第二の電圧設定値に設定することにより、
半導体スイッチング素子のオン時間が短いときは、IGBTの定常損失の上昇はわずかであり、ターンオン損失の低減や、駆動回路や第二の直流電源回路の消費電力が低減でき、オン時間が長いときは、IGBTの定常損失を低減でき、ターンオン損失は殆ど発生せず、従って半導体スイッチング素子のオン時間の長さに応じて、ターンオン損失、定常損失、ターンオフ損失の三つの損失の比率が変化し、駆動回路と第二の直流電源回路に電源供給する第一の直流電源回路の出力電圧の電圧設定値を設定することで鍋を誘導加熱しているときも駆動回路と第二の直流電源回路の消費電力を低減することができる。
第2の発明は、特に、第1の発明の炊飯器に、操作部と、前記操作部で設定された炊飯シーケンスまたは保温シーケンスに従って鍋を誘導加熱するための加熱シーケンスと、前記加熱シーケンスを停止している待機状態を制御部は判別し、前記制御部は前記待機状態と判別したときは第一の直流電源回路の出力電圧を第二の電圧設定値にすることにより、待機状態での駆動回路と第二の直流電源回路の消費電力を低減できる。
第3の発明は、特に、第2の発明の炊飯器に、第一の直流電源電圧の出力電圧を検出する電圧検出回路の検出電圧が第一の所定値より高いかどうかを判定する第一の判定値と前記第一の判定値よりも低い第二の所定値を判定する第二の判定値を有し、制御部は半導体スイッチング素子のオン時間が所定時間より短いときに電圧検出回路の出力電圧が第二の判定値より低いと前記半導体スイッチング素子をオフし、前記半導体スイッチング素子のオン時間が所定時間以上のときに前記電圧検出回路の検出電圧が前記第一の判定値より低いと前記半導体スイッチング素子をオフすることにより、半導体スイッチング素子のオン時間により駆動回路への電源電圧を最適にすることができ、半導体スイッチング素子の損失が過大になることを抑えることができるので、安全な誘導加熱式炊飯器を提供できる。
第4の発明は、特に、第1の発明の制御部を、半導体スイッチング素子のオン時間を所定時間より大きくするときは、第一の直流電源回路の出力電圧を第二の電圧設定値から第
一の電圧設定値に変更し、一定時間以上経過後に前記半導体スイッチング素子のオン時間を所定時間より大きくすることにより、第一の直流電源回路の電源電圧の変化量を考慮することができ、半導体スイッチング素子のオン時間を所定時間以上にするときに確実に駆動回路の電源電圧を第一の電圧設定値にできるので、半導体スイッチング素子のゲート端子への入力電圧が高くなり、半導体スイッチング素子(例えばIGBT)のコレクタ−エミッタ間の飽和電圧を小さくできる。つまり、第一の電圧設定値より低い第二の電圧設定値で半導体スイッチング素子のゲート端子に電圧印加することを防止することができ、半導体スイッチング素子に大電流が流れるときに飽和電圧が高くて定常損失が増加することを防止することができる。
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか1つの発明の半導体スイッチング素子を冷却するための冷却ファンを有し、前記冷却ファンへの電力は第一の直流電源回路より供給され、前記冷却ファンのオンオフ制御は制御部で行われるとすることにより、半導体スイッチング素子のオン時間が短いときは、第一の直流電源回路の出力電圧を第二の電圧設定値にして低くしているので、冷却ファンの回転数または風量が減少する。しかし、半導体スイッチング素子の損失はオン時間が短く、半導体スイッチング素子の電流値も低いので半導体スイッチング素子の損失が小さいので、冷却ファンの回転数や風量を減少させても、十分に半導体スイッチング素子を冷却できる。従って、半導体スイッチング素子のオン時間が所定時間より短いときは、第一の直流電源回路の出力電圧を第二の電圧設定値に低くできるので、駆動回路の消費電力と第二の直流電源回路の消費電力と冷却ファンの消費電力を低減することができる。
また、半導体スイッチング素子のオン時間が所定時間以上のときは、第一の直流電源回路の出力電圧を第一の電圧設定値に高くできるので、半導体スイッチング素子に大電流が流れ損失が大きくなっても、冷却ファンの回転数が上がり風量も増えるので半導体スイッチング素子を十分に冷却できる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における炊飯器の主要部ブロック図を示すものである。
図1において、鍋1は、特に図示していないが、磁性金属や非磁性金属を複数用いた積層体で構成されている。
加熱コイル2は、特に図示していないが鍋1の底面の中央部に対向した第一の加熱コイルと、鍋1の底面のコーナー部に対向した第二の加熱コイルで構成される。この第一の加熱コイルと第二の加熱コイルは電気的に直列接続している。第一の加熱コイルは渦巻き状の形状をしており、鍋1の底面中央部に一定の距離で配置される。第二の加熱コイルは第一の加熱コイルの同心円状の外側に配置され、鍋1の底面のコーナー部に一定の距離をおいて配置されている。加熱コイル2は複数の銅線を束ねたリッツ線を更に20数本で撚った線で構成されており、高周波電流が流れた時の電流分布を均一にしている。
インバータ回路3は、コンデンサ4と半導体スイッチング素子5とダイオード6で構成されている。インバータ回路3は、半導体スイッチング素子5をオンオフして、後述する加熱コイル2とコンデンサ3で構成される共振回路の加熱コイル2に高周波電力を供給し、鍋1を誘導加熱する。
コンデンサ4は、図1に示すように加熱コイル2に並列接続している。本実施例では高周波電流が流れても損失の少ないポリプロピレンコンデンサを使用している。
半導体スイッチング素子5は、MOSFETやIGBTなどの半導体素子で構成されている。MOSFETやIGBTは耐圧が高く、高周波のスイッチングが可能で、ゲート端子に電圧を印加することで大電流を流すことができるので、パワートランジスタに比べ省電力で大電流を流すことができるという利点がある。なお、本実施例では、この半導体素子にIGBTを使用している。
ダイオード6は、半導体スイッチング素子5の電流方向とは逆方向に電流が流れるように並列接続されている。
一般的にこのようなインバータ回路の構成は、加熱コイル2とコンデンサ3で並列共振回路を構成しているため、1石電圧共振形インバータといわれている。
交流電源7は、炊飯器に電力を供給するもので、電源周波数は、東日本地域では50Hz、西日本地域では60Hzとなっている。
整流回路8は、ダイオードブリッジ9、コイル10、コンデンサ11で構成されている。ここで、コンデンサ11の容量は数μFと小さく、加熱コイル2に電流を流すとリプルが生じる。本実施例では、このリプル電圧波形は交流電源7を全波整流した時の電圧波形と同じとなる。
制御部12は、マイクロコンピュータ13、同期信号発生回路14、両端電圧検出回路15により構成されており、駆動回路11を介して半導体スイッチング素子5をオンオフ制御する。
駆動回路11は、特に図示しないがNPNトランジスタとPNPトランジスタで構成されたプッシュプル回路で構成され、マイクロコンピュータ13からの出力がハイの間、半導体スイッチング素子5を構成するIGBTのゲート端子に電圧を印加し、IGBTをオンし、ロー出力している間はIGBTのゲート端子の電圧を0Vにして、IGBTをオフにする。なお、これは一例でプッシュプル回路を構成する部品はMOSFETなどで構成しても構わない。駆動回路11の動作については、後に詳述する。
両端電圧検出回路15は、半導体スイッチング素子5の両端電圧を検出する回路で、(CE)端子を複数の抵抗により所定の分圧比で分圧した抵抗分圧回路と、この抵抗分圧回路の出力電圧をピークホールドするためのエミッタフォロア回路で構成され、アナログ電圧をマイクロコンピュータ13のAD変換ポートに出力する。
同期信号発生回路14は、コンパレータや抵抗分圧回路などで構成され、(C2)端子を所定の比率で抵抗分圧した電圧と、(CE)端子を所定の比率で抵抗分圧した電圧をコンパレータによって比較し、(C2)端子の分圧電圧の方が高いときにハイ信号をマイクロコンピュータ13に出力し、(C2)端子の分圧電圧の方が低いときにロー信号をマイクロコンピュータ13に出力する。
マイクロコンピュータ13は、多数のカウンタ機能やタイマー機能やメモリ機能を利用して、オン時間設定部17、パルス発生部18、両端電圧設定値19、第一の直流電源電圧設定部20などを構成している。
パルス発生部18は、同期信号発生回路14の同期信号を検知すると、設定されたオン
時間のハイパルスを駆動回路11に出力する。本実施の形態では、マイクロコンピュータ13は8MHz発振子と32.728kHz発振子で動作する。従って、マイクロコンピュータ13で構成されるパルス発生部18のハイパルス幅の最小設定単位は、8MHz発振子で設定される最小周期である0.125μs単位で制御される。つまり、オン時間設定部17が出力データ(8bit)を1digit変更すると、パルス発生部18のハイパルス幅が0.125μs変化するようになっている。マイクロコンピュータ13はそのほかにも炊飯工程を制御する炊飯工程制御機能などを構成している。
両端電圧設定値19は、マイクロコンピュータ13のメモリを利用して、後述する加熱シーケンスごとに複数の値が記憶されており、半導体スイッチング素子5の両端電圧設定値19を予めROMによって記憶している。
オン時間設定部17は両端電圧検出回路15の出力値と両端電圧設定値19を比較してオン時間を設定する。オン時間設定部17は最小オン時間Ton1と最大オン時間Ton4の範囲内でオン時間を設定する。なお、本実施の形態では、インバータ回路3起動時は、Ton1からスタートし徐々にオン時間を長くしていく。
第一の直流電源電圧設定部20は、第一の直流電源回路21が出力する電圧を設定するために第一の電圧設定値22と第二の電圧設定値23を記憶しており、オン時間設定部17の設定したオン時間に基づいて、第一の直流電源回路21の出力電圧の設定値を判定し、制御する。本実施の形態では、オン時間Tons以上のオン時間のときは第一の電圧設定値22を設定し、オン時間Tonsより小さいときは第一の電圧設定値より低い第二の電圧設定値23を設定するようにしている。
第一の直流電源回路21は、特に図示しないが、スイッチング電源で構成され、交流電源7を半波整流した電圧を、マイクロコンピュータ13で構成された第一の直流電源電圧設定部20の設定した出力電圧になるように直流電源に変換している。交流電源7入力直後は、半導体スイッチング素子5を駆動しないので、第一の直流電源電圧設定部20は第二の電圧設定値23を設定値として第一の直流電源回路21に出力し、第一の直流電源回路21は出力電圧が10Vになるように制御する。
なお、本実施の形態では、半導体スイッチング素子5を構成するIGBTのゲート端子の遮断電圧のバラつき保証値は6Vである。つまり、ゲート端子に6V以上の電圧をオンすればIGBTのエミッタ−コレクタ間がオンする。10Vにしているのは、この遮断電圧がバラついても十分にIGBTのコレクタ−エミッタ間電圧がオンするからである。つまり第二の電圧設定値23は、第一の直流電源回路21の出力電圧をゲート端子の遮断電圧より高くなるよう設定することが重要である。
また、第一の直流電源回路21は、冷却ファン24を駆動するための電源も供給している。本実施の形態では、特に図示していないが、ファン駆動回路としてトランジスタやMOSFETをマイクロコンピュータ13でオンオフ制御することで、冷却ファン24を駆動したり停止したりすることができる。
ここで、上記で簡単に説明した駆動回路11の動作について、もう少し詳しく説明する。駆動回路11は、マイクロコンピュータ13が構成するパルス発生部18の出力がハイの間、第一の直流電源回路21の電源電圧を利用して、半導体スイッチング素子5を構成するIGBTのゲート端子に電圧を印加し、IGBTのコレクタ−エミッタ間をオンし、パルス発生部20がロー出力している間はIGBTのゲート端子の電圧を0Vにして、IGBTのコレクタ−エミッタ間をオフにする。なお、これは一例でプッシュプル回路を構成する部品はMOSFETなどで構成しても構わない。また、駆動回路11が利用する第
一の直流電源回路21の出力電圧は、前述したようにオン時間設定部17の設定したオン時間に基づいて、第一の直流電源回路21の出力電圧値から第一の直流電源電圧設定部20が設定した電圧となる。
第二の直流電源回路25は、NPNトランジスタ26と定電圧ダイオード27と抵抗28とコンデンサ29からなるエミッタフォロア回路で構成されており、第一の直流電源回路21を約5Vに降圧している。第二の直流電源回路25は、マイクロコンピュータ13や零電圧同期信号出力回路30などの電源となっている。
零電圧同期信号出力回路30は、特に図示していないが、交流電源7の(u)極が抵抗を介してトランジスタのベース端子に接続している。このトランジスタのコレクタ端子は第二の直流電源回路25と、抵抗を介して接続しており、(u)極の電位がもう一方の極より高いときにローを、低いときにハイをマイクロコンピュータ14に出力する。マイクロコンピュータ13はこの出力信号に同期して、両端電圧検出回路15の電圧を入力し、両端電圧設定値19と比較して、オン時間設定部17でオン時間の設定を行う。第一の直流電源電圧設定部20は、設定されたオン時間に基づいて第一の直流電源回路21の出力電圧を第一の電圧設定値22または第二の電圧設定値23に設定する。またマイクロコンピュータ13は零電圧同期信号出力回路30の出力信号に同期して、現在時刻の表示や、炊飯制御に関する処理などを開始する。
操作部31は、複数のモーメンタリスイッチで構成されている。各スイッチが使用者により押されると、マイクロコンピュータ13はスイッチが押されたことを検出し、各スイッチに応じて、所定の炊飯動作や保温動作をおこなう。
表示部32は、LCDと、赤、緑、橙などの複数のLEDで構成されている。マイクロコンピュータ13は、炊飯中や保温中などの炊飯器の状態に応じて、LCDの表示内容や点灯するLEDを設定している。LCDの表示内容としては、現在時刻の表示や、炊飯終了までの時間の表示、保温経過時間の表示などがある。
図2は、本発明の第1の実施の形態の炊飯器の要部断面構成図である。図面を簡潔にするために、電気的接続のためのリード線や、部品を固定するためのネジは省略している。
図2において、炊飯器のボディ(本体)41には、その上面を覆う蓋42が開閉自在に設置されている。ボディ41の収納部43は、その底部と側面部に加熱コイル2を配設し、加熱コイル2の外周側に放射状にフェライトコア44を配設する。加熱コイル2は鍋1の底部の中心の略真下に中心を有する巻き線である。
鍋1は、ステンレス、鉄、銅などの磁性体によって形成される。鍋1は、上端開口部に外側にせり出したフランジ45を有し、フランジ45を収納部43の上端から浮き上がった状態で載置することにより、収納部43に着脱自在に収納される。従って、鍋1は収納時に、収納部43との間に隙間を有する。
鍋1の温度を検出する温度検出部51はサーミスタで構成され、鍋1の底部の略中心に配置されている。サーミスタは温度で抵抗値が変わるので、このサーミスタと所定の抵抗値を有する抵抗で分圧回路を構成し、所定の電圧をこの分圧回路の両端に供給することで、サーミスタの抵抗値をアナログ電圧に変換できる。図1に示したマイクロコンピュータ13は、内蔵されたAD変換器を用いてこのアナログ電圧から温度を推定する。
蓋42は、蓋加熱板46、蓋加熱ヒータ47、第一の回路基板48を備えている。蓋加熱板46はステンレスなどの金属で形成され、蓋42に着脱自在に設定されている。
蓋加熱ヒータ47は蓋42に内蔵され、蓋加熱板46を加熱する。なお、蓋加熱ヒータ47は図1には特に図示していない。
第一の回路基板48は、スイッチ、LCD、マイクロコンピュータ13などで構成されている。
炊飯器のボディ(本体)41には、また、第二の回路基板49、巻き取り式の電源コード収納部50、冷却ファン24が配されている。
第二の回路基板49は、特に図示しないが、半導体スイッチング素子5を構成するIGBT、コンデンサ4,ダイオードブリッジ9、チョークコイル10、コンデンサ11などが搭載されている。
巻き取り式の電源コード収納部50はストッパーとばねを用いて電源コードを巻き取ることを可能にしている。電源コードは、交流電源7に接続して、炊飯器に電源を供給する。電源コード収納部50は、第二の回路基板49にリード線を介して電気的に接続している。
冷却ファン24は、第二の回路基板49、特に半導体スイッチング素子5からの発熱を排熱・空冷するもので、DCブラシレスモータの回転子にファンを取り付けたファンモータで構成されている。冷却ファン24は図1に示したように、第一の直流電源回路21より電源供給され、マイクロコンピュータ13でオンオフ制御される。
第一の回路基板48と第二の回路基板49は、特に図示しないが、リード線で電気的に接続しており、マイクロコンピュータ13内部に構成されたオン時間設定部17、パルス発生部18により、半導体スイッチング素子5をオンオフ制御し、加熱コイル2に高周波電流を供給する。加熱コイル2は高周波電流が流れると交番磁界を発生させ、この交番磁界により鍋1に渦電流が流れ,鍋1が発熱する。
以上のように,本実施例の炊飯器は、鍋1を誘導加熱し、鍋1内の調理物を加熱調理する。ここで調理物は、炊飯前の米と水又は炊き上がったご飯等である。
図3は、本発明の第1の実施の形態の第一の直流電源回路の主要部ブロック図を示している。
図3において、第一の直流電源回路21は、半波整流平滑回路61とスイッチング電源64から構成され、更にスイッチング電源64は、パワー半導体内蔵制御回路65、コイル66、平滑用のコンデンサ67、出力電圧検出回路68とから構成される。
半波整流平滑回路61は、ダイオード62とコンデンサ63を用いて交流電源7を半波整流平滑し、約141Vの直流電圧に変換している。ただし、これは一例でダイオードブリッジを用いて交流電源7を全波整流平滑してもかまわない。
スイッチング電源64は半端整流平滑回路61から電源供給を受けて、約7Vから約20Vの範囲の直流電圧を出力する。スイッチング電源64は、図示していないMOSFETなどのパワー半導体素子と、このパワー半導体素子を所定の電流値の範囲内でオンオフ制御する制御回路で構成されたパワー半導体内蔵制御回路65と、コイル66と、平滑用のコンデンサ67と、コンデンサ67の電圧が所定の設定値になるようにパワー半導体内蔵制御回路65をフィードバック制御するため出力電圧検出回路68で構成されている。
パワー半導体内蔵制御回路65は内蔵されたMOSFETを所定の電流値の範囲内でオンオフ制御することにより、コイル66を介してコンデンサ67を充電している。
出力電圧検出回路68は、図示していないフォトカプラと約20Vのツェナーダイオードと約10Vのツェナーダイオードで構成され、この二つのツェナーダイオードを切り替えることでフィードバック制御する出力電圧を切り替えている。たとえば、約20Vの出力電圧を設定するときはフォトカプラとツェナーダイオードを直列接続する。コンデンサ67の電圧が20Vを超えてくると20V用のツェナーダイオードが通電しフォトカプラがオンしてパワー半導体内蔵制御回路65に出力電圧が20Vを超えたことを送信する。パワー半導体内蔵制御回路65はこの信号を受けると、内蔵されたMOSFETのスイッチング動作をオフし、コンデンサ67への電力供給が停止し、電圧降下し、20Vより低くなると20V用のツェナーダイオードは通電しなくなりフォトカプラがオフしてパワー半導体内蔵制御回路65に出力電圧が20Vより低くなったこと送信する。パワー半導体内蔵制御回路9はこの信号を受けると、内蔵されたMOSFETのスイッチング動作を開始しコイル66を介してコンデンサ67を充電する。10Vの出力電圧に設定する場合は、フォトカプラと10V用のツェナーダイオードを直列接続することで同様の動作をすることができる。なお、本実施の形態の出力電圧検出回路68は、請求項3に示している電圧検出回路とはことなるものである。この電圧検出回路については、後述する。
つまり、本実施の形態では、半波整流平滑回路61の出力電圧約141Vをスイッチング電源64が約10Vまたは約20Vの直流電圧に降圧している。
制御部12は、マイクロコンピュータ13と、出力電圧検出回路68の検出電圧を切り替えるためのトランジスタ69を有している。
トランジスタ69は、マイクロコンピュータ13で構成した直流電源電圧設定部20の設定した電圧設定値に従い、オンオフすることで第一の直流電源電圧回路21の出力電圧を切り替える。
第二の直流電源回路25は図1と同様であり、ここでの説明は省略する。
本実施の形態の誘導加熱式炊飯器のマイクロコンピュータ13は、トランジスタ69にハイまたはローを出力して、第一の直流電源回路21を構成する出力電圧検出回路68の検知電圧の設定値を切り替える。本実施の形態では、マイクロコンピュータ13は第一の直流電源回路21の出力電圧を約20Vに設定するときにはトランジスタ69にロー信号を出力し、第一の直流電源回路21の出力電圧を約10Vに設定するときにはトランジスタ68にハイ信号を出力する。
図4は、本発明の第1の実施の形態の炊飯器の半導体スイッチング素子5のオン時間と半導体スイッチング素子5に流れるコレクタ電流の関係を示したグラフである。
図4に示すように、オン時間が長くなるほどコレクタ電流が大きくなる。つまり、Ton1のようにオン時間が短いときは半導体スイッチング素子5を構成するIGBTのゲート端子の電圧を低くしてコレクタ−エミッタ間電圧が上がってもスイッチング損失はそれほど大きくならない。なお第一の直流電源回路の出力電圧を切り替えるオン時間TonsはTon1とTon2の間に設定されている。
図5は、本発明の第1の実施の形態の炊飯器の半導体スイッチング素子5を構成するIGBTのコレクタ−エミッタ間電圧とコレクタ電流の関係を示したグラフで、(a)はI
GBTのゲート端子電圧が10V、(b)はIGBTのゲート端子電圧が15V、(c)はIGBTのゲート端子電圧が20Vのときのグラフである。
図5に示すように、ゲート端子電圧によってコレクタ−エミッタ間電圧とコレクタ電流は変動する。図4に示すようにオン時間が長くなるほどコレクタ電流が大きくなることを考慮すると、Ton1のようにオン時間が短いときはコレクタ電流自体が低いため、半導体スイッチング素子5を構成するIGBTのゲート端子の電圧を低くしてコレクタ−エミッタ間電圧が上がっても、スイッチング損失はそれほど大きくならないと判断できる。
図6は、本発明の第1の実施の形態の誘導加熱式炊飯器の炊飯器の主要部の動作波形を示している。
図6において、(a)は交流電源7の両端電圧波形を示している。(b)は零電圧同期信号出力回路30がマイクロコンピュータ13に出力するパルス波形を示している。(c)はオン時間設定部17が設定するオン時間を示している。(d)は両端電圧検出回路15がマイクロコンピュータ13に出力するアナログ電圧波形を示している。(e)は半導体スイッチング素子5を構成するIGBTのコレクタ電圧(CE)端子の包絡線波形を示している。(f)は第一の直流電源回路21の出力電圧波形を示している。(g)は図3の第一の直流電源電圧設定部20がトランジスタ69を介して出力電圧検出回路68に出力する制御信号を示している。図6(g)においては、Hiのときに第二の電圧設定値23を出力するように制御信号を出力し、Loのときに第一の電圧設定値22を出力するように制御信号を出力する。即ち、オン時間設定部17のオン時間がTons以上のときは第一の電圧設定値22を設定するためにLo出力し、オン時間Tonsより小さいときは第一の電圧設定値より低い第二の電圧設定値23を設定するためにHi出力となるようにしている。
図6について、図1、図3を用いて説明する。
零電圧同期信号出力回路30の出力信号のロー信号からハイ信号へのエッジから所定時間後に、オン時間設定部17が両端電圧検出回路15と両端電圧設定値19を比較し、オン時間を更新していく。より詳細には、零電圧同期信号出力回路30の出力信号のロー信号からハイ信号へのエッジ(t=T2、T4、T6、…)から所定時間後(t=T3、T5、T7、…)に、両端電圧検出回路15の出力電圧を読み込み、オン時間設定部17が両端電圧検出回路15の出力電圧と両端電圧設定値19を比較し、オン時間設定値を変更する。次のタイミング(t=T4、T6、…)で零電圧同期信号出力回路30の出力信号がローからハイに切り替わると、オン時間を変更値に更新していく。
例えば、図6の時間T2において、図6(b)の零電圧同期信号出力回路30の出力信号がローからハイに切り替わるエッジをマイクロコンピュータ13が検出すると、このエッジをトリガとして、マイクロコンピュータ13内のカウンタがマイクロコンピュータ13に接続した発振子の周期を利用して、時間を計測する。この計測した時間が所定時間経過したときのタイミングT3で、図6(d)の両端電圧検出回路15の出力電圧をマイクロコンピュータ13のAD変換器を利用して読み込む。
オン時間設定部17は、両端電圧検出回路15の検出電圧と両端電圧設定値19を比較し、この検出電圧が両端電圧設定値19より低ければ、オン時間を長く変更する。しかし、この変更値は次の、零電圧同期信号出力回路30の出力信号がローからハイに切り替わるエッジT4のタイミングに達するまでは使用されない。
本実施の形態の誘導加熱式炊飯器では、半導体スイッチング素子5のオン時間をTon
1からオン時間を少しずつ長くしながら目標のオン時間(Ton2やTon3)になるように制御している。
まず、時間T0では半導体スイッチング素子5のオン時間はTon1になるようにオン時間設定部17が設定している。第一の直流電源電圧設定部20は、半導体スイッチング素子5のオン時間Ton1が所定値Tonsより短いので図6(g)に示すように、出力電圧検出回路68にトランジスタ69を介してハイ信号を出力する。出力電圧検出回路68は、この信号に基づいて検出電圧を10Vにし、第一の直流電源回路21の出力電圧が10Vになるように制御される。
次に、時間T1ではオン時間設定部17が両端電圧設定値19と両端電圧検出回路15の出力電圧を比較して、半導体スイッチング素子5のオン時間がTonsに設定される。第一の直流電源電圧設定部20は設定されたオン時間がTonsであると判定し、第二の電圧設定値23から第一の電圧設定値22に変更する。ただし、この変更はオン時間の変更タイミングと同様に零電圧同期信号出力回路30の出力信号がローからハイに切り替わるエッジT2のタイミングに達するまでは使用されない。
時間T2において、図6(b)の零電圧同期信号出力回路30の出力信号がローからハイに切り替わると、ほぼ同期して、図6(c)のオン時間設定部17が変更したオン時間がTonsに更新され、パルス発生部18よりハイ信号を出力する。次に、第一の直流電源回路21の出力電圧が20Vになるように、マイクロコンピュータ13がトランジスタ69を介して出力電圧検出回路68にロー信号を出力し、検出電圧が20Vになるように設定する。また、マイクロコンピュータ13は両端電圧検出回路15の出力電圧を読み込むタイミングを計測し始める。
所定時間が経過したタイミングT3において、T1の時と同様に、両端電圧検出回路15の出力電圧をマイクロコンピュータ13のAD変換器を利用して読み込み、オン時間設定部17が、両端電圧検出回路15の出力電圧と両端電圧設定値19を比較し、図6(d)に示すように出力電圧が両端電圧設定値19より低いので、オン時間の設定値を長く変更する。図6においては、このときオン時間はTonsとTon2の間に達する。第一の直流電源電圧設定部20は、オン時間設定部17の設定したオン時間がTonsより大きいことを判定し、第一の電圧設定値22の設定を保持する。しかし、この変更したオン時間は、次のT4のタイミングに達するまでは更新されない。
また、本実施の形態では、第一の直流電源回路21の出力電圧は徐々に上昇し、図6(f)に示すようにT3時点で20Vに達する。
時間T4において、時間T2の時と同様に、図6(b)の零電圧同期信号出力回路30の出力信号がローからハイに切り替わると、ほぼ同期して、図6(c)のオン時間設定部17が変更したオン時間が更新され、マイクロコンピュータ13は両端電圧検出回路15の出力電圧を読み込むタイミングを計測し始める。
時間T5では、半導体スイッチング素子5のオン時間が更新される。時間T1の時と同様に、両端電圧検出回路15の出力電圧をマイクロコンピュータ13のAD変換器を利用して読み込み、オン時間設定部17が、両端電圧検出回路15の出力電圧と両端電圧設定値19を比較し、図6(d)に示すように出力電圧が両端電圧設定値19より低いので、オン時間の設定値を長く変更する。図6においては、このときオン時間はTon2に達する。第一の直流電源電圧設定部20は、オン時間設定部17の設定したオン時間がTonsより大きいことを判定し、第一の電圧設定値22の設定を保持する。しかし、この変更したオン時間は、次のT6のタイミングに達するまでは更新されない。
本実施の形態においては、T6からT7の期間に図6(a)の交流電源7の電源電圧が変動し、半導体スイッチング素子5の両端電圧が上昇し、タイミングT7においては、図6(d)に示すように両端電圧検出回路15の出力電圧が両端電圧設定値19を超えているため、オン時間設定部17がオン時間設定値を短く変更する。しかし、この変更値は、次のT8のタイミングになるまで更新されない。第一の直流電源電圧設定部20は、この変更したオン時間がTonsより大きいと判定し、第一の電圧設定値22を保持する。
時間T8に達すると、半導体スイッチング素子5のオン時間はTon2より短い時間に更新され、半導体スイッチング素子5の両端電圧は図6(d)に示すように両端電圧設定値19より低い値となる。
なお、本実施の形態の炊飯器では、オン時間設定部17の8bit出力が変化すると、パルス発生部18のハイパルス期間が変化する。
図7は、本発明の第1の実施の形態の炊飯器の温度検知部のタイムチャートと半導体スイッチング素子5のオン時間のタイムチャートを示している。(a)は温度検知部が検知した鍋底温度のタイムチャートを示している。(b)は半導体スイッチング素子5のオン時間のタイムチャートを示している。
図7(b)の半導体スイッチング素子5のオン時間のタイムチャートは、縦軸で半導体スイッチング素子5のオン時間を示し、横軸に、このオン時間で半導体スイッチング素子5をオンオフし加熱コイルに高周波電流を流す期間を示している。
図1から図7を用いて、本実施の形態の炊飯器の動作を説明する。
図7のS0において、図2に示した炊飯器の蓋内に配置された第一の回路基板48に実装された複数のモーメンタリスイッチ(操作部31)のうち、炊飯スタートを意味するモーメンタリスイッチを押すと、図1に示したマイクロコンピュータ13が入力操作部31の信号を検知し、炊飯シーケンスを開始する。S0以前の状態は炊飯器が待機している状態であり、第一の直流電源回路21の出力電圧は第二の電圧設定値23(約10V)に設定されている。
炊飯シーケンスは複数のサブシーケンスから構成されている。本実施の形態では、前炊き行程、炊飯量判定行程、沸騰維持行程、追い炊き行程で構成されている。
S0からS2までの期間は前炊き行程に該当する。前炊き行程では、S0からS1の期間にお米に水が吸収されやすい温度まで、半導体スイッチング素子5のオン時間をTon2にして、加熱コイル2に高周波電流を供給する。このとき、半導体スイッチング素子5のオン時間はTon1を初期値にして、徐々にオン時間を大きくし、最終的にTon2に達する。加熱コイル2は特に図示していないがTon2の場合は約40kHzで動作する。加熱コイル2が40kHzで動作する導通比は10秒/16秒である。
S1で図2に示した温度検出部51が60度を検知すると、マイクロコンピュータ13は予めプログラムされた内容に従って、半導体スイッチング素子5のオン時間をTon2にして、加熱コイルが40kHzで動作する導通比を可変にし、約60度の温度を、S2までの期間、維持するように制御する。
S2からS3までの期間は炊飯量判定行程に該当する。炊飯量判定行程では、半導体スイッチング素子5のオン時間をTon3にして、加熱コイル2に高周波電流を供給する。
オン時間が長いので加熱コイルに供給される電流も増加し、誘導加熱量も大きくなる。つまり、鍋1の温度も急激に上昇する。本実施の形態では、半導体スイッチング素子5のオン時間をTon3にして加熱コイル2の駆動を開始してから、温度検出部51が100度を検知するまでの経過時間(S2からS3までの時間)から、マイクロコンピュータ13が炊飯量を判定し、その後の沸騰維持行程における加熱コイル2の導通比、追い炊き行程における加熱コイル2駆動の導通比を設定する。
S3からS4までの期間は沸騰維持行程に該当する。沸騰維持行程では、マイクロコンピュータ13は半導体スイッチング素子5のオン時間をTon2に設定し、10秒/16秒の導通比で加熱コイル2を駆動する。加熱コイル2を駆動して鍋1を誘導加熱し続けると、鍋1内に残っていた水も蒸発し、鍋1の温度は100度を超え、S4では130度に達する。温度検出部51が130度を検知すると、マイクロコンピュータ13は半導体スイッチング素子5をオフして、加熱コイル2の駆動を停止するとともに沸騰維持行程を終了し、追い炊き行程に移行する。
S4からS5までの期間は追い炊き行程に該当する。追い炊き行程では、マイクロコンピュータ13は半導体スイッチング素子5のオン時間をTon2に設定し、2秒/16秒の導通比で加熱コイル2を高周波スイッチングする。マイクロコンピュータ13はS4からの経過時間を計時し、S5に達すると炊飯シーケンスを終了し、炊飯終了をブザー報知するとともに表示部32を構成する炊飯中の意味を示すLEDを消灯することで炊飯が終了したことを表示する。
同時にS5においてマイクロコンピュータ13は保温シーケンスを開始し、温度検出部51の温度が所定の温度より低くなるまで半導体スイッチング素子5をオフし、所定の温度より低くなったところで、再び半導体スイッチング素子5をオンオフし鍋1を誘導加熱し、この温度を維持するようにする。
以上のように、図7においては、半導体スイッチング素子5のオン時間がTon2、Ton3と複数設定されている。
また、図7に示すように、半導体スイッチング素子5をオンオフ制御して加熱コイル2に高周波電流を流すときは、図6(c)のように半導体スイッチング素子5の起動時のオン時間をTon1にして、徐々にオン時間を長くし、オン時間をTon2やTon3にする。
以上のように本実施の形態の誘導加熱式炊飯器では、半導体スイッチング素子5のオン時間の長さに応じて、半導体スイッチング素子5を駆動する駆動回路11に電力供給する第一の直流電源回路21の電源電圧を切り替えるので、半導体スイッチング素子5のオン時間が短く、通電電流が小さいときは第一の直流電源回路21の出力電圧を低くして、駆動回路21の消費電力と第二の直流電源回路25の消費電力を低くできる。冷却ファン24の電源電圧も第一の直流電源回路21より供給されているため、冷却ファン24の回転数や風量は低下するが、通電電流が小さく半導体スイッチング素子5の損失も小さくなるので十分に冷却でき、冷却ファンの駆動電流も小さくできる。従って、シーケンス中も炊飯器の消費電力を低減することができる。
また、本実施の形態の誘導加熱式炊飯器では、第一の直流電源回路21の出力電圧の設定値が第二の電圧設定値から第一の電圧設定値に上昇するまでの期間をT2からT3までの期間(約12ms)としたが、図3の第一の直流電源回路を構成するパワー半導体内蔵回路65やコイル66、コンデンサ67の定数によっては、この立ち上がり時間は変化する。そのことを考慮して、Tonsからオン時間を長くするまでの一定時間を100ms
程度にしても構わない。
(実施の形態2)
図8は、本発明の第2の実施の形態における炊飯器の主要部ブロック図である。
図8において、電圧検出回路81は抵抗分圧回路で構成され、アナログ電圧を出力する。このとき、第一の直流電源回路21の出力電圧が20Vのとき4Vを超えないように抵抗分圧回路の分圧比を設定している。
制御部82は、マイクロコンピュータ83、同期信号発生回路14、両端電圧検出回路15などで構成されている。
マイクロコンピュータ83は、オン時間設定部17、パルス発生部18、両端電圧設定値19、第一の直流電源電圧設定部20、第一の直流電源電圧判定部84をカウンタやメモリなどで構成している。
第一の直流電源電圧判定部84にはマイクロコンピュータ83のメモリを利用して、第一の判定値85と第二の判定値86を記憶している。
その他の構成は、本実施の形態1と同様であり、ここでの説明は省略する。
図8の誘導加熱式炊飯器の動作について説明する。
本発明の第1の実施の形態と同様に、オン時間設定部17が設定したオン時間により第一の直流電源電圧設定部20が第二の電圧設定値23を設定すると、第一の直流電源電圧判定部84が第二の判定値86を判定値として設定する。本実施の形態の誘導加熱式炊飯器では、第二の判定値は第一の直流電源電圧21の出力電圧が8V相当の値に設定されている。マイクロコンピュータ83は電圧検出回路81の出力電圧をAD変換ポートに入力し、第二の判定値86より低い値を検出すると、パルス発生部18の出力パルスを停止し、半導体スイッチング素子5をオフする。
オン時間設定部17が設定したオン時間が長くなり、Tonsを超えると第一の直流電源電圧設定部20は第一の電圧設定値22を設定する。第一の直流電源電圧判定部84はその情報を検出し、第一の判定値85を判定値として設定する。本実施の形態の誘導加熱式炊飯器では、第一の判定値85は第一の直流電源電圧21の出力電圧が15V相当の値に設定されている。マイクロコンピュータ83は電圧検出回路81の出力電圧をAD変換ポートに入力し、第一の判定値85より低い値を検出すると、パルス発生部18の出力パルスを停止し、半導体スイッチング素子5をオフする。
以上のように、半導体スイッチング素子のオン時間に応じて、第一の直流電源回路の出力電圧の下限値を決めることにより、半導体スイッチング素子のオン時間により駆動回路への電源電圧を最適にすることができ、半導体スイッチング素子の損失が過大になることを抑えることができるので、安全な誘導加熱式炊飯器を提供できる。