図2は、本発明の実施例である入出金管理方法の実施に使用される現金入出金機10のブロック図である。
図2に示されているように、現金入出金機10は、主制御部11、記憶部12、表示部13、カードリーダ14、入力部15、伝票記録部16、紙幣取扱部17及び硬貨取扱部18から構成されている。
主制御部11は、現金入出金機10全体を統括制御する機能を備えている。例えば、主制御部11は、記憶部12に格納された制御プログラムに基づいて、現金入出金機10全体を統括制御する。また、主制御部11は、紙幣取扱部17及び硬貨取扱部18によって入出金処理が行われると、記録部12が有する装置内有高管理テーブルの各項目に処置内容及び処理金額等の所定内容を登録(記録)し、入出金処理毎の入出金処理履歴を記憶部12に更新登録する。更に、主制御部11は、各種の演算を実施する演算部としても機能する。
記憶部12には、主制御部11が実行する制御プログラムが格納されている。また、記憶部12は、装置内の現金有高を記録するための装置内有高管理テーブルを有している。この装置内有高管理テーブル内の各項目に入出金処理に伴う所定内容が登録されることより、入出金処理履歴が更新される。
表示部13は、各種の処理操作の案内、現金処理のための入力画面、入力部15から入力された情報、金種別の入金又は出金の金額及び入金又は出金の合計金額を表示する。例えば、表示部13は液晶ディスプレイ等の表示画面を有している。
カードリーダ14は、現金入出金機10の利用者であるレジ担当者及び店長(管理者)等が使用する利用者識別カード(以下、単にIDカードと称する)の情報を読みとる。ここで、IDカードには、利用者区分情報(例えば、レジ担当者、管理者、現金回収者を表わす情報)及びカードを特定するためのカード固有番号がカード情報として記録されている。更に、レジ担当者用のIDカードには、レジスタを特定するためのレジ番号もカード情報として記録されている。なお、レジ担当者に対して所定のレジスタが特定されたIDカードを配布せずに、レジスタ毎にレジ番号が記録されたIDカードを準備しても良い。
入力部15は、例えば、キーボード又は表示部13上に配置されたタッチパネルである。入力部15は、レジ担当者、管理者及び現金回収者による操作に対応した入力信号を生成し、当該入力信号を主制御部11に供給する。なお、主制御部11は、供給される入力信号に応じて、入金処理、出金処理、締上処理、回収処理等の各種処理を実行する。
伝票記録部16は、紙幣取扱部17及び硬貨取扱部18で行われた入金又は出金処理の金額及び金種別枚数を伝票に記載し、当該伝票を出力する。伝票記録部16は、例えば、プリンタである。
紙幣取扱部17は、一万円札、五千円札、二千円札及び千円札等の紙幣のみの入出金処理を実施する。図2に示されているように、紙幣取扱部17は、紙幣制御部21、紙幣入出金口22、紙幣鑑別部23、紙幣一時保留部24、紙幣釣銭収納庫25及び紙幣回収庫26から構成されている。
紙幣制御部21は、紙幣取扱部17内の各部を制御し、入金処理又は出金処理等の各種の処理を実行する。例えば、紙幣制御部21は、記憶部12又は紙幣取扱部17内に設けられた紙幣記憶部(図示せず)に格納された制御プログラムに基づいて、紙幣取扱部17全体の動作制御を行う。
紙幣入出金口22は、入金処理時にレジスタから回収した紙幣を一括して受け入れるための入金口と、出金処理時に釣銭としての紙幣を排出するための出金口としての機能を有している。例えば、紙幣入出金口22は、紙幣シャッタ(図示せず)の開閉により、紙幣の入出金時のみに開口した状態になる。
紙幣鑑別部23は、紙幣の金種を鑑別し、鑑別した紙幣を金種毎に計数する。また、紙幣鑑別部23は、偽造紙幣であるか否かの鑑別を行う。更に、紙幣鑑別部23は、紙幣の破損の有無も鑑別する。なお、紙幣鑑別部23によって偽造紙幣又は破損紙幣と判断された紙幣は、紙幣入出金口22から返却される。また、紙幣鑑別部23によって偽造紙幣又は破損紙幣と判断された紙幣は、専用の回収庫に収納されても良い。
紙幣一時保留部24は、紙幣鑑別部23で鑑別及び計数された紙幣を集積するとともに一時的に待機させる。紙幣一時保留部24に一時的に待機された紙幣は、紙幣制御部21からの搬送指示に応じて紙幣入出金口23又は紙幣釣銭収納庫25若しくは紙幣回収庫26に搬送される。
紙幣釣銭収納庫25は、レジスタ用の釣銭準備金として使用される紙幣を金種別に収納する。例えば、紙幣釣銭収納庫25は1万円、5千円、2千円及び千円の金種毎に紙幣を収納することができる。ここで、1万円は釣銭として使用されることはないが、後述する入金制御によって一万円札も紙幣釣銭収納庫23に収納されることがあるため、本実施例においては紙幣釣銭収納庫25の金種別の振り分けに1万円も含まれている。紙幣釣銭収納庫25には、収納する紙幣の保管基準額が金種毎に設定されている。なお、紙幣制御部21は、この保管基準額を保つように、入金処理された紙幣を紙幣釣銭収納庫25又は紙幣回収庫26に振り分ける。
紙幣回収庫26は、売上金を金種別に収納する金庫であって、現金入出金機10から着脱自在な構造となっている。従って、紙幣回収庫26に収納された売上金は、紙幣回収庫26に収納されたままでの状態で小売店を統括する本部店舗に搬送される。紙幣回収庫26は、防犯上の観点等から小売店での開閉(すなわち、紙幣の取り出し)を行うことが出来ない構造となっている。
硬貨取扱部18は、500円、100円、50円、10円、5円及び1円等の硬貨のみの入出金処理を実施する。図2に示されているように、硬貨取扱部18は、硬貨制御部31、硬貨入金口32、硬貨鑑別部33、硬貨リジェクト口34、硬貨一時保留庫35、硬貨釣銭収納庫36、硬貨回収庫37及び硬貨出金庫38から構成されている。
硬貨制御部31は、硬貨取扱部18内の各部を制御し、入金処理又は出金処理等の各種の処理を実行する。例えば、硬貨制御部31は、記憶部12又は硬貨取扱部18内に設けられた硬貨記憶部(図示せず)に格納された制御プログラムに基づいて、硬貨取扱部18全体の動作制御を行う。
硬貨入金口32は、入金処理時にレジスタから回収した硬貨を一括して受け入れるための入金口として機能する。例えば、硬貨入金口32は、硬貨シャッタ(図示せず)の開閉により、硬貨の入金時のみに開口した状態になる。
硬貨鑑別部33は、硬貨の金種を鑑別し、鑑別した硬貨を金種毎に計数する。また、硬貨鑑別部33は、偽造硬貨であるか否かの鑑別を行う。更に、硬貨鑑別部33は、硬貨の破損の有無も鑑別する。
硬貨リジェクト口32は、硬貨鑑別部33によって偽造硬貨又は破損硬貨と判断された硬貨を返却するための返却口として機能する。なお、上述した硬貨リジェクト口32に代えて偽造硬貨又は破損硬貨専用の回収庫を設置することにより、硬貨鑑別部33によって硬貨鑑別部33によって偽造硬貨又は破損硬貨と判断された硬貨が当該回収庫に収納されても良い。
硬貨一時保留部35は、硬貨鑑別部33で鑑別及び計数された硬貨を集積するとともに一時的に待機させる。硬貨一時保留部35に一時的に待機された硬貨は、硬貨制御部31からの搬送指示に応じて硬貨リジェクト口32又は硬貨釣銭収納庫36若しくは硬貨回収庫37に搬送される。
硬貨釣銭収納庫36は、レジスタ用の釣銭準備金として使用される硬貨を金種別に収納する。硬貨釣銭収納庫36は500円、100円、50円、10円、5円及び1円の金種毎に硬貨を収納することができる。硬貨釣銭収納庫36には、収納する硬貨の保管基準額が金種毎に設定されている。なお、硬貨制御部31は、この保管基準額を保つように、入金処理された硬貨を硬貨釣銭収納庫36又は硬貨回収庫37に振り分ける。
硬貨回収庫37は、売上金を金種別に収納する金庫であって、現金入出金機10から着脱自在な構造となっている。従って、硬貨回収庫37に収納された売上金は、硬貨回収庫37に収納されたままでの状態で小売店を統括する本部店舗に搬送される。硬貨回収庫37は、防犯上の観点等から小売店での開閉(すなわち、紙幣の取り出し)を行うことが出来ない構造となっている。
硬貨出金庫38においては、出金処理時にレジスタ用の釣銭準備金として使用される硬貨が金種別に集積される。硬貨出金庫38は、レジ担当者等の出金者が出金された現金額を容易に算出することが出来るような構造となっている。例えば、硬貨出金庫38には、金種毎に積まれた現金の枚数を容易に計数できるような目盛が設けてられている。
次に、記憶部12が有する装置内有高管理テーブルの一例について、図3を参照しつつ詳細に説明する。
図3に示されているように、装置内有高管理テーブルは、通番、レジ番号、カード番号、処理日時、取引区分、金額、累計売上額、売上収納額及び釣銭収納額から構成されている。通番の領域には、処理毎に付与される通し番号が書込まれる。レジ番号の領域には、レジ担当者のIDカードから読み取られたレジ番号(レジスタを特定するためにレジスタ毎に割り当てられた番号)が書込まれる。カード番号の領域には、IDカードから読み取られた利用者区分情報番号が書込まれる。例えば、管理者の区分情報番号は7777であり、レジ担当者の区分情報番号は9999である。処理日時の領域には、取引が実施された日時が書込まれる。
取引区分の領域には、各種取引内容が記載される。例えば、取引内容には、小口出金、通常出金、入金及び締上がある。ここで、小口出金とは、レジスタの釣銭用の出金ではなく、文具代や新聞代等の所定の経費の支払いに使用される出金(すなわち、予定外の出金)のことである。通常出金とは、小売店の開店準備を行うための準備金(すなわち、レジスタに供給される釣銭)として使用される出金(すなわち、業務上必ず行われる出金)のことである。また、通常出金は、レジスタ毎に行われる。入金とは、売上金及び開店前に供給された釣銭を現金入出金機10に供給する処理のことである。また、入金も、レジスタ毎に行われる。締上とは、小売店の閉店時に最終的な売上額を算出するための処理である。例えば、小口出金及び締上は管理者のみが行うことができ、通常出金及び入金はレジ担当者のみが行うことができるように設定されている。
金額の領域には、入金、小口出金及び通常出金の処理における入金額又は出金額が書込まれる。累計売上額の領域には、各カード番号による入金又は通常出金の各金額を集計した売上額が書込まれる。例えば、レジ担当者による入金又は出金処理が実施されるとレジスタ毎の売上額の累計が累計売上額の領域に記載され、店長等による締上が実施されると小売店に設置された全レジスタの売上額の累計が累計売上額の領域に書込まれる。累計売上額は、締上が実施されることによってクリアされる(すなわち、0が書込まれる)。なお、累計売上額には、小売出金の金額は集計されない。
売上収納額の領域には、取引実施後に売上として紙幣回収庫26及び硬貨回収庫37に収納されている金額が通常書込まれる。しかしながら、紙幣回収庫26及び硬貨回収庫37に現金が収納されていない場合に小口出金が行なわれると、売上収納額から小口出金額を減算した金額が売上収納額の領域に書込まれる。例えば、紙幣回収庫26及び硬貨回収庫37に現金が収納されていない場合に、小口出金として10万円が出金されると、売上収納額の領域には現在の収納金額ではなく、現在の収納金額である0円から小口出金額の10万円が減算された値であるマイナス10万円が書込まれる。そして、更に小口出金として10万円が出金されると、前回の売上収納額として書込まれたマイナス10万円から小口出金額の10万円が減算されたマイナス20万円が売上収納額の領域に書込まれる。すなわち、紙幣回収庫26及び硬貨回収庫37に現金が収納されていない場合に小口出金が行われると、売上収納額の領域には、小口出金の累計額のマイナス金額(累積額)が書込まれる。一方、紙幣回収庫26及び硬貨回収庫37に現金が収納されている場合に小口出金が行なわれても、売上収納額から小口出金額が減算されることはなく、売上収納額の領域には、紙幣回収庫26及び硬貨回収庫37に収納されている金額が書込まれる。また、紙幣回収庫26及び硬貨回収庫37に現金が収納されていない場合に通常出金が行なわれも、売上収納額から通常出金額が減算されることはなく、売上収納額の領域には、前回の処理時書込まれた金額が再度書込まれる。更に、売上収納額は、売上回収が実施されることによってクリアされる(すなわち、0が書込まれる)。
釣銭収納額の領域には、入出金処理後に釣銭として紙幣釣銭収納庫25及び硬貨釣銭収納庫36に収納されている金額が書込まれる。
次に、図4を参照しつつ、小口出金の処理の手順を詳細に説明する。
小売店の店長等の管理者によって自己が所有するIDカードが現金入出金機10に設けられたカード挿入排出口に挿入されることにより、IDカードの利用者区分、カード番号がカードリーダ14によって読み取られる(ステップS41)。続いて、管理者による入力部15の操作により、自己の個人識別コード(以下、単に個人IDと称する)及びパスワードが入力される(ステップS42)。
主制御部11は、管理者が入力した個人ID及びパスワードを、予め記憶部12に登録されている個人ID及びパスワードと照合する。主制御部11は、当該照合によって入力情報が記録情報と一致する場合に、IDカードから読み取られた利用者区分に基づき、管理者が処理することができる「小口出金」及び「締上」が表示されたメニュー画面を表示部13に表示する(ステップS43)。ここで、管理者がメニュー画面の「小口出金」を選択することにより、当該選択に応じた入力信号が入力部15から主制御部11に供給される。主制御部11は、入力信号の供給によって「小口出金」の選択を受付け(ステップS44)、表示部13に小口出金額入力画面を表示される。
次に、管理者による入力部15の操作によって小口出金額が入力されると、当該小口出金額を表わす入力信号が入力部15から主制御部11に供給され、主制御部11は、入力された小口出金額を受け付ける(ステップS45)。主制御部11は、入力された小口出金額と紙幣釣銭収納庫25及び硬貨釣銭収納庫36内の現金とを比較し、当該小口出金額を出金することが可能であるか否かを判断する(ステップS46)。
ステップS46において、紙幣釣銭収納庫25及び硬貨釣銭収納庫36内の現金の不足等により出金することが出来ないと判断された場合に、主制御部11は、その旨を表示部13に表示させるとともに、小口出金処理を終了させる。一方、ステップS46において、当該小口出金額を出金することが可能と判断された場合には、紙幣釣銭収納庫25及び硬貨釣銭収納庫36から当該小口出金額に対応する紙幣及び硬貨が紙幣鑑別部23及び硬貨鑑別部33に供給される。紙幣鑑別部23及び硬貨鑑別部33に供給された紙幣及び硬貨は、紙幣鑑別部23及び硬貨鑑別部33によって計数され、その後に紙幣入出金口22及び硬貨出金庫38から出金される(ステップS47)。
入力された小口出金額と同額の現金が出金されると、主制御部11は今回の小口出金処理結果として通番、カード番号、処理日時、取引区分、金額、累計売上額、売上収納額及び釣銭収納額を記憶部13の装置内有高管理テーブルの各領域に追加書込むことで、入出金処理履歴の更新登録を行う(ステップS48)。続いて、伝票記録部16によって今回の小口出金処理の結果が表示された伝票が発行され、IDカードがカード挿入排出口から排出される(ステップS49)。
次に、図5を参照しつつ、ステップS48の入出金処理履歴の更新登録における売上収納額及び釣銭収納額の算出方法について詳細に説明するとともに、現金入出金機10における出金制御についても説明する。
ステップS47において小口出金額が出金された後に、主制御部11は、売上収納額が0円以下であるかを判別する(ステップS51)。ステップS51において、売上収納額が0円以下(すなわち、紙幣回収庫26及び硬貨回収庫37内に現金が無い)の場合に、主制御部11は、装置内有高管理テーブル内の最新の売上収納額から今回の小口出金額を減算し、減算後の金額を今回の売上収納額とする(ステップS52)。続いて、主制御部11は、装置内有高管理テーブル内の最新の釣銭収納額から今回の小口出金額を減算し、減算後の金額を今回の釣銭収納額とする(ステップS52)。
一方、ステップS51において、売上収納額が1円以上(すなわち、紙幣回収庫26及び硬貨回収庫37内に現金が収納されている)の場合に、主制御部11は、紙幣回収庫26及び硬貨回収庫37内の現金額を今回の売上収納額とする(ステップS54)。続いて、主制御部11は、装置内有高管理テーブル内の最新の釣銭収納額から今回の小口出金額を減算し、減算後の金額を今回の釣銭収納額とする(ステップS52)。
上述した売上収納額及び釣銭収納額の算出方法により、紙幣回収庫26及び硬貨回収庫37内に現金が無い状態において小口出金が行われると、売上収納額が小口出金額の累計額だけマイナス計上(すなわち、小口出金額の累積)されることになる。このような出金制御により、入金処理が実施される前の小口出金額の累計額を算出しておくことができる。なお、後述する入金処理において、売上収納額がマイナス計上されている状態では、紙幣釣銭収納庫25及び硬貨釣銭収納庫36のみ現金が収納され、紙幣回収庫26及び硬貨回収庫37には現金が収納されることはない。一方、後述する入金処理において、売上収納額が0円以上(すなわち、紙幣回収庫26及び硬貨回収庫37内に現金が収納された状態)では、紙幣釣銭収納庫25、硬貨釣銭収納庫36、紙幣回収庫26又は硬貨回収庫37のいずれかに現金が収納される。これによって、入金処理が実施される前の小口出金に伴う締上時の過収納を防止することができる。この理由は、後述する入金制御及び入出金処理の具体例の説明とともに説明する。
なお、通常出金の場合は、作業者がレジ担当者となり、図5のステップS51の判断がされることがなく、常に紙幣回収庫26及び硬貨回収庫37内の現金額が通常出金処理時の売上収納額として装置内有高管理テーブルに書き込まれる。従って、上記部分以外は小口出金処理と変わらないため、その説明は省略する。
次に、図6を参照しつつ、入金の処理の手順を詳細に説明する。
レジ担当者によって自己が所有するIDカードが現金入出金機10に設けられたカード挿入排出口に挿入されることにより、IDカードの利用者区分、レジ番号及びカード番号がカードリーダ14によって読み取られる(ステップS61)。続いて、レジ担当者による入力部15の操作により、自己の個人ID及びパスワードが入力される(ステップS62)。
主制御部11は、レジ担当者が入力した個人ID及びパスワードを、予め記憶部12に登録されている個人ID及びパスワードと照合する。主制御部11は、当該照合によって入力情報が記録情報と一致する場合に、IDカードから読み取られた利用者区分に基づき、レジ担当者が処理することができる「通常出金」及び「入金」が表示されたメニュー画面を表示部13に表示する(ステップS63)。ここで、レジ担当者がメニュー画面の「入金」を選択することにより、当該選択に応じた入力信号が入力部15から主制御部11に供給される。主制御部11は、入力信号の供給によって「入金」の選択を受付ける(ステップS64)。
「入金」の選択を受付けた主制御部11は、紙幣取扱部17及び硬貨取扱部18に紙幣シャッタ及び硬貨シャッタの開放を指示する。紙幣シャッタ及び硬貨シャッタの開放により開口した紙幣入出金口22及び硬貨入金口32にレジスタから回収された現金が供給され、当該供給された現金が紙幣鑑別部23及び硬貨鑑別部33によって鑑別及び計数される(ステップS65)。
次に、計数された現金が紙幣一時保留部24及び硬貨一時保留部35によって一時保留された状態で、主制御部11は、金種毎の枚数及び金額並びに全金種の合計額を計数結果として表示部13に表示させる。当該計数結果を確認したレジ担当者によって入力された「納入する(すなわち、入金金額と計数金額とが一致する)」又は「納入しない(すなわち、入金金額と計数金額とが一致しない)」の入力信号が主制御部11に供給される(ステップS66)。
ステップS66において、供給された現金を納入する場合には、紙幣一時保留部24及び硬貨一時保留部35によって一時保留された現金が、紙幣釣銭収納庫25、硬貨釣銭収納庫36、紙幣回収庫26又は硬貨回収庫37のいずれかに収納される。更に、主制御部11は、当該収納結果に応じて通番、レジ番号、カード番号、処理日時、取引区分、金額、累計売上額、売上収納額及び釣銭収納額を記憶部13の装置内有高管理テーブルの各領域に追加書込むことで、入出金処理履歴の更新登録を行う(ステップS67)。続いて、伝票記録部16によって今回の入金処理の結果が表示された伝票が発行され、IDカードがカード挿入排出口から排出される(ステップS68)。
一方、ステップS66において、供給された現金を納入しない場合には、紙幣一時保留部24及び硬貨一時保留部35によって一時保留された現金が、紙幣入出金口22及び硬貨リジェクト口34から返却される(ステップS69)。
次に、図7を参照しつつ、ステップS67の入金方法及び入出金処理履歴の更新登録における売上収納額及び釣銭収納額の算出方法について詳細に説明するとともに、現金入出金機10における入金制御についても説明する。
ステップS66において供給された現金を納入する場合に、主制御部11は、最新の売上収納額が0円以下であるかを判別する(ステップS71)。ステップS71において、売上収納額が0円以下(すなわち、紙幣回収庫26及び硬貨回収庫37内に現金が無い)の場合に、主制御部11は、今回の入金処理の入金額の値が最新の売上収納額の絶対値よりも小さいか判別する(ステップS72)。
ステップS72において、入金額の値が売上収納額の絶対値より小さい場合には、主制御部11は、今回入金された現金を紙幣釣銭収納庫25及び硬貨釣銭収納庫36だけに金種毎に収納するように、紙幣取扱部17及び硬貨取扱部18を制御する(ステップS73)。すなわち、主制御部11は、今回の入金額だけでは小口出金に伴う紙幣釣銭収納庫25及び硬貨釣銭収納庫36の減額を補填することができないと判断し、今回の入金額の全現金を紙幣釣銭収納庫25及び硬貨釣銭収納庫36に収納する。これによって、今回の入金が、小口出金に伴う紙幣釣銭収納庫25及び硬貨釣銭収納庫36の減額の一部が補填されたとして取扱われる。続いて、主制御部11は、装置内有高管理テーブル内の最新の釣銭収納額に今回の入金額を加算し、加算後の金額を今回の釣銭収納額とする。また、主制御部11は、装置内有高管理テーブル内の最新の売上収納額に入金額を加算し、加算後の金額を今回の売上収納額とする(ステップS74)。
一方、ステップS72において、入金額の値が売上収納額の絶対値以上の場合には、主制御部11は、売上収納額の絶対値に等しい現金額を紙幣釣銭収納庫25及び硬貨釣銭収納庫36に収納するように、紙幣取扱部17及び硬貨取扱部18を制御する(ステップS75)。なお、本ステップにおいて当該収納する金額を構成する金種は、千円札及び五千札を優先的に使用することが望ましい。これにより、釣銭として使用されることがない一万円札の紙幣釣銭収納庫25及び硬貨釣銭収納庫36への収納を防止することができるからである。続いて、主制御部11は、装置内有高管理テーブル内の最新の売上収納額を一旦0円とする(ステップS77)。更に、主制御部11は、ステップS75において収納されていない残りの現金を紙幣釣銭収納庫25、硬貨釣銭収納庫36、紙幣回収庫26又は硬貨回収庫37のいずれかに収納するように、紙幣取扱部17及び硬貨取扱部18を制御する(ステップS77)。そして、主制御部11は、装置内有高管理テーブル内の最新の釣銭収納額にステップS75及びステップS77において紙幣釣銭収納庫25及び硬貨釣銭収納庫36に収納された現金額を加算し、加算後の金額を今回の釣銭収納額とする。また、主制御部11は、ステップS78において紙幣回収庫26及び硬貨回収庫37に収納された現金額を今回の売上収納額とする(ステップS78)。以上のようなステップS75乃至ステップ78を経ることによって、入金処理前にマイナス計上(累積)されていた小口出金に伴う紙幣釣銭収納庫25及び硬貨釣銭収納庫36の減額を完全に補填した上で、紙幣回収庫26及び硬貨回収庫37に売上金を収納することができる。
ステップS71において、売上収納額が0円以上である場合には、入金処理前の小口出金に伴う紙幣釣銭収納庫25及び硬貨釣銭収納庫36の減額が完全に補填されているため、主制御部11は、今回の入金処理によって供給された現金を紙幣釣銭収納庫25、硬貨釣銭収納庫36、紙幣回収庫26又は硬貨回収庫37のいずれかに収納するように、紙幣取扱部17及び硬貨取扱部18を制御する(ステップS79)。続いて、制御部11は、装置内有高管理テーブル内の最新の釣銭収納額にステップS79において紙幣釣銭収納庫25及び硬貨釣銭収納庫36に収納された現金額を加算し、加算後の金額を今回の釣銭収納額とする。また、主制御部11は、装置内有高管理テーブル内の最新の売上収納額にステップS79において紙幣回収庫26及び硬貨回収庫37に収納された現金額を加算し、加算後の金額を今回の売上収納額とする(ステップS78)。
このような入金制御により、入金前の小口出金に伴う紙幣釣銭収納庫25及び硬貨釣銭収納庫36の減額が完全に補填されていない状態においてのみ、入金処理により供給される現金が小口出金に伴う紙幣釣銭収納庫25及び硬貨釣銭収納庫36の減額の補填に優先的に使用されることになる。これによって、入金処理前の小口出金に伴う幣釣銭収納庫25及び硬貨釣銭収納庫36の減額が無くなるため、入金処理時における小口出金に伴う過収納を防止することが可能となる。
次に、図3及び図8を参照しつつ、実際の入出金処理の具体例を説明するとともに、本発明の具体的な効果を説明する。
先ず、小売店の開店前の状態として、紙幣回収庫26及び硬貨回収庫37内の現金額である売上収納額は0円であり、紙幣釣銭収納庫25及び硬貨釣銭収納庫36内の現金額である釣銭収納額は50万円である。
その後、小売店の開店前に、管理者によって小口出金として10万円が現金入出金機10から出金される。この小口出金処理後の売上収納額は、0円から10万円だけ減算した金額であるマイナス10万円になる。また、この小口出金処理後の釣銭収納額は、50万円から10万円だけ減算した金額である40万円になる。この小口出金処理後に更新登録された装置内有高管理テーブルを図3の通番1の行に記載する。
前回の小口出金後に、更に管理者によって追加の小口出金として10万円が現金入出金機10から出金される。この小口出金処理後の売上収納額は、マイナス10万円から10万円だけ減算した金額であるマイナス20万円になる。また、この小口出金処理後の釣銭収納額は、40万円から10万円だけ減算した金額である30万円になる。この小口出金処理後に更新登録された装置内有高管理テーブルを図3の通番2の行に記載する。
その後、レジ番号1のレジ担当者により、レジスタ準備金である通常出金として10万円が現金入出金機10から出金される。この通常出金処理後の売上収納額は、マイナス20万円から変更が無い。また、この通常出金処理後の釣銭収納額は、30万円から10万円だけ減算した金額である20万円になる。この通常出金処理後に更新登録された装置内有高管理テーブルを図3の通番3の行に記載する。
更に、レジ番号2のレジ担当者により、レジスタ準備金である通常出金として10万円が現金入出金機10から出金される。この通常出金処理後の売上収納額は、マイナス20万円から変更が無い。また、この通常出金処理後の釣銭収納額は、20万円から10万円だけ減算した金額である10万円になる。この通常出金処理後に更新登録された装置内有高管理テーブルを図3の通番4の行に記載する。
その後、小売店の営業時間が終了し、レジ番号2のレジ担当者によって通常出金したレジスタ準備金を含む売上金として15万円が現金入出金機10に入金される。入金額15万円の詳細は、一万円札が2枚、五千円札が20枚、千円札が30枚である。しかしながら、入金額15万円は、小売出金に伴う紙幣釣銭収納庫25及び硬貨釣銭収納庫36の減額(マイナス20万円)を完全に補填することができないため、入金処理の全額が紙幣釣銭収納庫25に収納される。従って、この入金処理後の売上額は、入金額の15万円から通常出金額の10万円だけ減算した金額である5万円になる。また、この入金処理後の売上収納額は、マイナス20万円から15万円だけ加算した金額であるマイナス5万円になる。更に、この入金処理後の釣銭収納額は、10万円から15万円だけ加算した金額である25万円になる。この通常出金処理後に更新登録された装置内有高管理テーブルを図3の通番5の行に記載する。
続いて、レジ番号1のレジ担当者によって通常出金したレジスタ準備金を含む売上金として40万円が現金入出金機10に入金される。
入金額40万円の詳細は、一万円札が15枚、五千円札が20枚、千円札が150枚である。ここで、五千円札及び千円札からなる25万円だけで、小口出金に伴う紙幣釣銭収納庫25及び硬貨釣銭収納庫36の減額(マイナス5万円)を完全に補填することができるため、五千円札及び千円札からなる25万円だけが紙幣釣銭収納庫25に収納される。一方、小口出金に伴う紙幣釣銭収納庫25及び硬貨釣銭収納庫36の減額(マイナス5万円)が完全に補填されているため、一万円札15枚はすべて紙幣回収庫26に収納される。従って、この入金処理後の売上額は、入金額の40万円から通常出金額の10万円だけ減算した金額である30万円になる。また、この入金処理後の売上収納額は、紙幣回収庫26に収納される15万円になる。更に、この入金処理後の釣銭収納額は、25万円から25万円だけ加算した金額である50万円になる。この通常出金処理後に更新登録された装置内有高管理テーブルを図3の通番6の行に記載する。
すべてのレジスタからの入金処理の終了後に、管理者によって締上処理が行われる。締上の結果として、合計出金額が40万円(通番1乃至4の合計金額)、合計入金額が45万円(通番5及び6の合計金額)、最終売上額が15万円となる。また、売上額が35万円、売上収納額が15万円、釣銭収納額が50万円となる。
従来の入出金管理方法によると、2つのレジスタからの入金の一万円が17枚であることから、締上時に売上収納額が17万となり、2万円の過収納が発生することになる。しかしながら、本実施例の入出金管理方法によれば、売上収納額と最終売上額が一致しており、過収納が発生しないことが上記の具体例から判る。
以上のように、本発明の入出金管理方法によれば、回収庫に収納された現金額が0円である場合において小口出金が行われる度に小口出金の金額を累積処理し、小口出金が累積されている場合に入金処理が行われると、小口出金の累積額から入金処理の入金額を減じ、入金処理の入金額が小口出金の累積額よりも多い場合にのみ、複数のレジスタの各々から回収した現金を回収庫に収納することを許容することによって、締上時点における現金回収庫の過収納を防止することができる。