JP5233485B2 - 無酸素銅スパッタリングターゲット材及び無酸素銅スパッタリングターゲット材の製造方法 - Google Patents

無酸素銅スパッタリングターゲット材及び無酸素銅スパッタリングターゲット材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、無酸素銅スパッタリングターゲット材及び無酸素銅スパッタリングターゲット材の製造方法に関する。特に、本発明は、安定したスパッタリングができる無酸素銅スパッタリングターゲット材及び無酸素銅スパッタリングターゲット材の製造方法に関する。
従来のスパッタリングターゲット材として、同質の金属板を互いに突き合わせ、摩擦攪拌接合法により接合し、接合部の金属結晶の平均結晶粒径が、非接合部の金属結晶の平均結晶粒径の20〜500%であるスパッタリングターゲット材がある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のスパッタリングターゲット材の原料としては、純銅も用いられている。
特許文献1に記載のスパッタリングターゲット材は、接合部の金属結晶の平均結晶粒径を非接合部の金属結晶の平均結晶粒径の20〜500%にするので、スパッタリングにより、組織が略均一な膜を対象物上に成膜できる。
特開2004−307906号公報
しかし、特許文献1に係るスパッタリングターゲット材においては、金属板と金属板との接合部は、接合部を除く部分と結晶組織が異なっており、均一なスパッタリングをするという点では不十分な場合がある。特に、ディスプレイパネルの大型化に応じてスパッタリングターゲット材の大型化が要求されており、所定の大きさの金属板同士を接合して大型のスパッタリングターゲット材を製造する場合において問題となりうる。
したがって、本発明の目的は、大型基板へ成膜でき、電極配線の電気抵抗の低減に対応できると共に、均一なスパッタリングができる大型サイズの無酸素銅スパッタリングターゲット材及び無酸素銅スパッタリングターゲット材の製造方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するため、純度が3N以上の無酸素銅からなる第1の板材及び第1の板材と同一材料から構成される第2の板材と、第1の板材と第2の板材との間に第1の板材及び第2の板材から形成される接合部とを備え、第1の板材及び第2の板材の平均粒径が0.02mm以上0.04mm以下、接合部は平均結晶粒径が0.02mmである無酸素銅スパッタリングターゲット材が提供される。
また、上記無酸素銅スパッタリングターゲット材は、ディスプレイパネル用のガラス基板の上面視における平面寸法より大きな平面寸法を有して形成することもできる。
また、本発明は、上記目的を達成するため、無酸素銅からなり、平均粒径が0.02mm以上0.04mm以下である第1の板材及び第1の板材と同一材料から構成される第2の板材を準備する板材準備工程と、第1の板材の側面と第2の板材の側面とを突き合わせる突き合わせ工程と、第1の板材の側面と第2の板材の側面とが突き合わされた突き合わせ部を摩擦攪拌接合により接合して接合部を形成する接合工程とを備え、接合工程は、平均結晶粒径が0.02mmである接合部を形成する無酸素銅スパッタリングターゲット材の製造方法が提供される。
本発明に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材及び無酸素銅スパッタリングターゲット材の製造方法によれば、大型基板へ成膜でき、電極配線の電気抵抗の低減に対応できると共に、均一なスパッタリングができる大型サイズの無酸素銅スパッタリングターゲット材及び無酸素銅スパッタリングターゲット材の製造方法を提供することができる。
[実施の形態]
(無酸素銅スパッタリングターゲット材1の構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材の部分斜視図の一例を示す。
本実施の形態に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材1は、一例として、電子部品用の所定の銅材からなる第1の板材20及び第2の板材22と、第1の板材20及び第2の板材22から形成され、第1の板材と第2の板材とを接合している接合部10とを備える。ここで、第1の板材20及び第2の板材22のうち、接合部10を除く領域が非接合部12となる。
第1の板材20及び第2の板材22の原材料としての銅材は、無酸素銅からなる。具体的に、第1の板材20及び第2の板材22はそれぞれ、純度が99.9%以上の無酸素銅及び不可避的不純物からなる原材料としての銅材から形成される。ここで、第1の板材20と第2の板材22とは、摩擦攪拌接合(Friction Stir Welding:FSW)により互いに接合される。そして、第1の板材20及び第2の板材22の間において、第1の板材20と第2の板材22とが接合された接合領域(接合部分)が、無酸素銅及び不可避的不純物からなる接合部10となる。
本実施の形態において、第1の板材20及び第2の板材22はそれぞれ、銅材の平均結晶粒径を引き継ぐ。したがって、非接合部12の平均結晶粒径は、第1の板材20及び第2の板材22の原材料としての銅材の平均結晶粒径を引き継ぐ。一方、接合部10は、第1の板材20の側面及び第2の板材22の側面を突き合わせて、FSW接合により形成される領域であり、第1の板材20及び第2の板材22を構成する銅材が塑性変形して形成される領域である。したがって、接合部10は、FSW接合により略0.02mm程度の平均結晶粒径の結晶粒子を含んで形成される。
ここで、本実施の形態においては、第1の板材20及び第2の板材22の結晶組織と、接合部10の結晶組織とを略同様の結晶組織とすべく、所定の平均結晶粒径を有する銅材を製造して第1の板材20及び第2の板材22の原料とする。具体的には、所定の粒径及び所定の質別を有する銅の板材からなる銅材同士をFSW接合により接合した場合に生じる接合部分の平均結晶粒径と実質的に同程度の平均結晶粒径を有する銅材を、第1の板材20及び第2の板材22の原料とする。これにより、第1の板材20及び第2の板材22の平均結晶粒径と接合部10の平均結晶粒径との差は、所定の範囲内に収まり、実質的に同程度(又は、実質的に同一)となる。
例えば、本実施の形態に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材1は、平均結晶粒径が0.02mm以上0.04mm以下程度の銅材から形成される非接合部12(第1の板材20及び第2の板材22から接合部10を除いた部分)と、FSW接合により第1の板材20の一部分、及び第2の板材22の一部分から形成され、平均結晶粒径が0.02mm以上0.03mm以下程度の接合部10とを備える。すなわち、本実施の形態に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材1においては、非接合部12の平均結晶粒径と接合部10の平均結晶粒径とが略同程度である。
なお、本実施の形態に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材1は、その上面視における形状が略矩形(一例として、略長方形)に形成される。そして、無酸素銅スパッタリングターゲット材1は、例えば、液晶ディスプレイ等におけるディスプレイ用のガラス基板の平面寸法より大きな平面寸法を有して形成することができる。また、本実施の形態に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材1は、その上面視における形状を略円形又は略多角形にして形成することもできる。
(無酸素銅スパッタリングターゲット材の製造方法)
図2は、本発明の実施の形態に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材の製造工程の流れの一例を示す。
まず、純度が99.9%以上の無酸素銅を鋳造して、所定の圧延処理を施すことにより、所定の寸法の板材を製作する(S100)。板材は、複数枚(少なくとも2枚)製作する。次に、第1の板材20及び第2の板材22としての2枚の板材の側面を互いに突き合わせて固定する(S110)。続いて、第1の板材20の側面と第2の板材22の側面とが突き合わされた部分である突き合わせ部をFSW接合により接合する(S120)。これにより、第1の板材20及び第2の板材22の平均結晶粒径との差が所定の範囲内の平均結晶粒径を有する接合部10が形成された接合材が得られる。次に、この接合材の表面及び裏面を所定の深さずつ研削する(S130)。これにより、本実施の形態に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材1が製造される。
図3は、本発明の実施の形態に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材の製造工程におけるFSW接合の概要を示す斜視図であり、図4は、本発明の実施の形態に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材の製造工程におけるFSW接合の概要を示す断面図である。
FSW接合は、先端に所定形状の突起34を有する回転ツール30を所定の方向に所定の回転速度で回転させ、回転している回転ツール30の突起34を、一方の板材と他方の板材との接合部分に押し込むことにより、突起34と各板材との間に生じた摩擦熱によって各板材の所定の領域を軟化させ、軟化した各板材の所定の領域を攪拌して接合する手法である。
すなわち、本実施の形態においては、図3に示すように、ショルダ32及び突起34を有する回転ツール30を所定の方向(例えば、図3における「A」の方向)に所定の回転速度で回転させつつ、被接合材料としての第1の板材20及び第2の板材22に所定の深さまで突起34を挿入する。そして、第1の板材20と第2の板材22とが接している境界、すなわち、突き合わせ部24に沿って回転ツール30を第1の板材20及び第2の板材22に対して相対的に移動させ、突き合わせ部24に沿って第1の板材20の側面20aと第2の板材22の側面22aとを接合する。一例として、回転ツール30を、第1の板材20及び第2の板材22の長手方向(例えば、図3における「B」の方向)に所定の速度で移動させる。
そして、図4に示すように、第1の板材20及び第2の板材22と突起34とが接して突起34が回転することにより摩擦熱が生じて、生じた摩擦熱により第1の板材20及び第2の板材22の一部がそれぞれ軟化して摩擦攪拌部40となり、流動化する。そして、摩擦攪拌部40が固化することにより、第1の板材20と第2の板材22とが接合部10を介して接合される。摩擦熱により流動化する部分は摩擦攪拌部40に略限定され、第1の板材20と第2の板材22とが固相で接合する。
例えば、平均結晶粒径が0.02mm以上0.04mm以下程度の無酸素銅からなる第1の板材20と第2の板材22とをFSW接合を用いて接合すると、平均結晶粒径が0.02mm以上0.03mm以下程度の細かい結晶粒径を有する結晶粒組織の接合部10が形成される。FSW接合による結晶組織への影響は、上述したように摩擦攪拌部40に略限定される。
したがって、平均結晶粒径が0.02mm以上0.04mm以下程度の第1の板材20と第2の板材22とを接合すると、接合部10の平均結晶粒径は0.02mm以上0.03mm以下程度となり、非接合部12(第1の板材20及び第2の板材22から接合部10を除いた部分)の平均結晶粒径は、第1の板材20及び第2の板材22の平均結晶粒径(0.02mm以上0.04mm以下程度)を引き継ぐこととなる。これにより、接合部10と非接合部12とで結晶粒組織が同程度である本実施の形態に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材1が得られる。
本実施の形態に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材1は、一例として、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)等の電子部品における電極配線の形成に用いることができる。例えば、無酸素銅スパッタリングターゲット材1は、ディスプレイパネルにおける電極配線の形成用途として用いることができる。
(実施の形態の効果)
本実施の形態に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材1は、アルミニウム系(抵抗率:4μΩcm程度)よりも低抵抗である純度が3N以上の無酸素銅(抵抗率:2μΩcm程度)からなる複数の板材を摩擦攪拌接合により接合して、接合部分の平均結晶粒径と非接合部分の平均結晶粒径とを略同程度にすることができる。接合部10の平均結晶粒径と非接合部12の平均結晶粒径との差を低減することができる。したがって、例えば、液晶パネルの大型化に伴って大面積化したガラス基板よりも広い面積を有するスパッタリングターゲット材であって、スパッタリングによるターゲットエロージョンの接合部10と非接合部12との間における進行の差を低減させ、安定したスパッタリングができる無酸素銅スパッタリングターゲット材1を提供することができる。
すなわち、本実施の形態に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材の製造方法によれば、一例として、第8世代の液晶パネル用ガラス基板のサイズ2200mm×2400mmよりも広い面積(例えば、約3m角で厚さが10mm以上)の無酸素銅スパッタリングターゲット材1であって、接合部分と非接合部分とでスパッタリングによるターゲットエロージョンの進行の差が実質的に生じずに、安定したスパッタリングができる大型基板用途としての無酸素銅スパッタリングターゲット材1を提供することができる。
また、本実施の形態に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材1の製造において、一方の板材と他方の板材とをFSW接合した後、接合後の板材に熱処理を施すことを要さないので、大面積のターゲット材を均一温度で熱処理する大型設備等(例えば、大型のターゲット材に対応する大型の炉、大型の圧延機等)が不要となる。
また、本実施の形態においてはスパッタリングターゲット材の原料として無酸素銅を用いており、無酸素銅は、純銅と同等又は純銅より高い導電性(低い電気抵抗)を有する。したがって、本実施の形態に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材1は、例えば、細線電極の配線材料として用いるのに有利である。
本発明の実施例に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材は、以下の工程を採用して製造した。まず、99.99%の純度の無酸素銅を鋳造した。そして、鋳造して得られた無酸素銅に熱間圧延処理と、中間熱処理と、冷間圧延処理とを施すことにより、厚さ15mm×幅500mm×長さ3000mmであり、平均結晶粒径(接合前粒径)が0.02mmの板材Aと、平均結晶粒径(接合前粒径)が0.04mmの板材Bとを製作した。ここで、板材の平均結晶粒径は、JIS H 0510に基づいて、標準写真と板材の写真との比較法により測定した。
また、比較例として、中間熱処理の処理温度と、冷間圧延処理の加工パススケジュールとをそれぞれ適宜変更することにより、平均結晶粒径(接合前粒径)が0.05mmの板材Cと、平均結晶粒径(接合前粒径)が0.1mmの板材Dと、平均結晶粒径(接合前粒径)が0.2mmの板材Eと、平均結晶粒径(接合前粒径)が0.3mmの板材Fと、平均結晶粒径(接合前粒径)が0.5mmの板材Gとをそれぞれ製作した。
次に、同一粒径の板材同士、すなわち、一方の板材Aと他方の板材Aとを長手方向の側面で突き合わせて併置・固定した(これにより、厚さ15mm×幅1000mm×長さ3000mmとなる)。続いて、一方の板材Aと他方の板材Aとの突き合わせ部分をFSW接合により接合した。これにより、実施例1に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材が得られた。同様にして、一方の板材Bと他方の板材BとをFSW接合により接合することにより、実施例2に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材が得られた。
また、実施例1及び実施例2と同様にして、一方の板材Cと他方の板材CとをFSW接合により接合することにより、比較例1に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材を得た。同様にして、板材Dから板材Gのそれぞれから、比較例2から比較例5に係る無酸素銅スパッタリング材を得た。
表1は、本発明の実施例及び比較例に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材の接合前及び接合後のそれぞれにおける結晶粒径の測定結果を示す。
Figure 0005233485
表1を参照すると、一方の板材Aと他方の板材Aとの突き合わせ部分をFSW接合して形成された接合部の平均結晶粒径、及び一方の板材Bと他方の板材Bとの突き合わせ部分をFSW接合して形成された接合部の平均結晶粒径はそれぞれ、0.02mmであった。すなわち、接合部の平均結晶粒径は、原料としての板材の平均結晶粒径と同一か、又は、原料としての板材の平均結晶粒径以下であることが示された。また、実施例1に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材、及び実施例2に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材のいずれとも、接合部に隣接する非接合部は、接合前の板材の平均結晶粒径と同一の平均結晶粒径を有していた。すなわち、実施例1及び実施例2に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材の接合部に隣接する非接合部は、接合部から離れている非接合部と同一の結晶粒組織を有していた。
一方、比較例1から5に係る無酸素銅スパッタリング材においては、接合部の平均結晶粒径は実施例1及び実施例2と略同様に、0.02mmから0.03mmを示した。そして、非接合部の平均結晶粒径についても、実施例1及び実施例2と同様に、比較例1から5に係る無酸素銅スパッタリング材のいずれも、接合部に隣接する非接合部は、接合前の板材の平均結晶粒径と同一の平均結晶粒径を有していた。すなわち、比較例1から5に係る無酸素銅スパッタリング材のそれぞれについて、接合部に隣接する非接合部は、接合部から離れている非接合部と同一の結晶粒組織を有していた。これは、非接合部が、原料としての板材の結晶粒組織を引き継いでいることを示す。
次に、実施例1及び実施例2、並びに比較例1から5に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材の表面及び裏面を、それぞれの表面から2mmの深さまで研削した。続いて、実施例1及び実施例2、並びに比較例1から5に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材のそれぞれについて、接合部を含むようにφ100mmの円形状に切り抜いた。このようにして、実施例1及び実施例2に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材のそれぞれから、実験用の無酸素銅スパッタリングターゲット2を作成すると共に、比較例1から5に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材のそれぞれから、実験用の無酸素銅スパッタリングターゲットを作成した。
図5は、本発明の実施例に係る実験用の無酸素銅スパッタリングターゲットのスパッタリング後の上面図を示す。
実施例(実施例1及び実施例2)及び比較例(比較例1から5)に係る実験用の無酸素銅スパッタリングターゲットを用いて、スパッタリングを実施した。スパッタリング装置としては、マグネトロンスパッタリング装置を使用した。スパッタリング条件は、以下のとおりである。すなわち、導入ガスとして1Paの圧力のアルゴン(Ar)ガスを用いると共に、RFパワーを300Wに設定してスパッタ処理の累計時間を180分とした。
スパッタリングの結果、スパッタリング後の無酸素銅スパッタリングターゲットの表面には、図5に示すように、スパッタリングが集中する領域に、リング状に窪んだエロージョン(侵食)領域50が形成された。実施例1及び実施例2に係る無酸素銅スパッタリングターゲット2においては、接合部10aと非接合部12aとの境界でのエロージョンの変化は目視では認められなかった。更に、実施例1及び実施例2に係る無酸素銅スパッタリングターゲット2においては、接合部10aと非接合部12aとの境界でエロージョンの進行には実質的に差が認められなかった。
一方、比較例1から5に係る無酸素銅スパッタリングターゲットにおいては、スパッタリング後の無酸素銅スパッタリングターゲットの表面には、接合部と非接合部との境界が目立ち、それぞれの部分でのエロージョンの進行にかなり差があることが認められた。
また、実施例(実施例1及び実施例2)及び比較例(比較例1から5)に係る無酸素銅スパッタリングターゲットのそれぞれについて、接合部10aと非接合部12aとでスパッタリングの状況の相違を定量的に調べることを目的として、接合部10aのエロージョン領域と非接合部12aのエロージョン領域それぞれの表面粗さをそれぞれ測定した。表面粗さは、JIS B0601に基づいて、算術平均粗さ(Ra)を測定した。なお、算術平均粗さの単位はμmである。ここで、エロージョン領域50のリング幅は20mm程度観察され、幅の中央部付近の3mm長について表面粗さを測定した。具体的に、接合部10aのエロージョン領域50に対応する部分(表面粗さ測定部分54)と、非接合部12aのエロージョン領域50に対応する部分(表面粗さ測定部分52)とのそれぞれについて、表面粗さを測定した。
表2は、本発明の実施例及び比較例に係る表面粗さの測定結果を示す。
Figure 0005233485
表2を参照すると、接合部10aと非接合部12aとの間における表面粗さの相違は、実施例1において3%であり、実施例2において8%であった。一方、比較例1から5においては、接合部10aの粒径と非接合部12aの粒径との差が大きくなるにつれて、接合部10aの表面粗さと非接合部12aの表面粗さとの相違が増大した。例えば、比較例1(接合部10aの平均結晶粒径が0.02mm、非接合部12aの平均結晶粒径が0.05mm)においては接合部10aと非接合部12aとの間における表面粗さの相違は13%であり、比較例5(接合部10aの平均結晶粒径が0.03mm、非接合部12aの平均結晶粒径が0.5mm)においては接合部10aと非接合部12aとの間における表面粗さの相違は80%と非常に大きな相違を示した。
以上の結果により、比較例1から5に係る無酸素銅スパッタリングターゲットではスパッタリングが不安定であり、スパッタリングによって形成される銅膜の均一性に影響を与える一方で、実施例1及び実施例2に係る無酸素銅スパッタリングターゲット2によれば、安定したスパッタリングが得られることが示された。
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、上記に記載した実施の形態及び実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態及び実施例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
実施の形態に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材の部分斜視図である。 実施の形態に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材の製造工程の流れを示す図である。 実施の形態に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材の製造工程におけるFSW接合の概要を示す斜視図である。 実施の形態に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材の製造工程におけるFSW接合の概要を示す断面図である。 実施例に係る実験用の無酸素銅スパッタリングターゲットのスパッタリング後の上面図である。
符号の説明
1 無酸素銅スパッタリングターゲット材
2 無酸素銅スパッタリングターゲット
10、10a 接合部
12、12a 非接合部
20 第1の板材
20a、22a 側面
22 第2の板材
24 突き合わせ部
30 回転ツール
32 ショルダ
34 突起
40 摩擦攪拌部
50 エロージョン領域
52、54 表面粗さ測定部分

Claims (3)

  1. 純度が3N以上の無酸素銅からなる第1の板材及び前記第1の板材と同一材料から構成される第2の板材と、
    前記第1の板材と前記第2の板材との間に前記第1の板材及び前記第2の板材から形成される接合部と
    を備え、
    前記第1の板材及び前記第2の板材の平均粒径が0.02mm以上0.04mm以下、前記接合部は平均結晶粒径が0.02mmである無酸素銅スパッタリングターゲット材。
  2. ディスプレイパネル用のガラス基板の上面視における平面寸法より大きな平面寸法を有する請求項1に記載の無酸素銅スパッタリングターゲット材。
  3. 無酸素銅からなり、平均粒径が0.02mm以上0.04mm以下である第1の板材及び前記第1の板材と同一材料から構成される第2の板材を準備する板材準備工程と、
    前記第1の板材の側面と前記第2の板材の側面とを突き合わせる突き合わせ工程と、
    前記第1の板材の側面と前記第2の板材の側面とが突き合わされた突き合わせ部を摩擦攪拌接合により接合して接合部を形成する接合工程と
    を備え、
    前記接合工程は、平均結晶粒径が0.02mmである前記接合部を形成する無酸素銅スパッタリングターゲット材の製造方法。
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