JP5232818B2 - 酸化ldl受容体に対する抗体を含んでなる医薬組成物 - Google Patents
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血流中には十分量の抗酸化物質があるため、もともと血流中には酸化LDLが生じにくくはあるが、例え生じた場合であっても、それらのほとんどは肝臓で代謝される。
酸化LDLのマクロファージ細胞内への蓄積は、そのようにして生成した酸化LDLが、種々の変性LDL(酸化LDL、アセチルLDL、サクシニルLDL、マロンジアルデヒドLDL)に対する受容体であるマクロファージの細胞表面のスカベンジャー受容体を介して細胞内に取り込まれることによるものである(Nature, Vol.343, p.531-535, 1990;Nature, Vol.343, p.570-572, 1990;Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol.87, p.9133-9137, 1990;Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol.87, p.8810-8814, 1990;Curr. Opin. Lipodol., Vol.2, p.295-300, 1991;及びJ. Clin. Invest., Vol.90, p.1450-1457, 1992)。
これまでの研究から、血流中の酸化LDLが、酸化LDL受容体を介して血管内皮細胞に取り込まれると、細胞内での一酸化窒素(NO)の産生が阻害され、この結果、血管内皮細胞の表面に細胞接着分子の発現が誘導されることが実験的に証明されている。このことから、細胞接着分子が発現する結果、マクロファージや単球が、血管内皮細胞上にトラップされ、トラップされたマクロファージや単球が、血管内皮下及び血管壁に潜り込むものと考えられている。そうして、血管内皮下及び血管壁に潜り込んだマクロファージは、上述したようにマクロファージスカベンジャー受容体を介した酸化LDLの取込みにより泡沫細胞化するものと考えられている。
この単球やマクロファージの血管内皮細胞への集結に深く関与する酸化LDL受容体は、多くの研究者が長年の間求め続けた結果、本発明者らが1997年に初めて同定に成功し、脚光を浴びているものである。酸化LDL受容体については、上述した性状及び機能以外の詳細な研究は、目下、精力的に進められているところである。
しかしながら、血小板や白血球などの他の細胞と酸化LDL受容体LOX-1との相互作用については全く解明されていない。
しかしながら、LOX-1と動脈硬化症や動脈内膜肥厚との因果関係については未だ詳細に解明されていない。
一方、PTCRやPTCAは、動脈閉塞部位にカテーテルやバルーンを挿入し、物理的に狭窄部位を除去して血管を開通させることから、血管の内膜の傷害を伴う。血管の傷害が起こると、血管平滑筋の増殖や内膜下への遊走が惹起され、PTCRやPTCAの施術部位が肥厚した再狭窄が起こる。PTCAの場合には、施術後数ヶ月以内に約40%の患者で血管再狭窄が起こる。
LOX-1と動脈硬化症の発症との関連性については、その可能性についての示唆はあるものの未だ明らかにされていない。また、動脈硬化症における炎症、及びPTCR若しくはPTCA施術後の虚血性再潅流傷害における炎症とLOX-1との関連性、並びにPTCR若しくはPTCA施術後の血管再狭窄とLOX-1の関連性についても未だ明らかにされていない。
糸球体腎炎の発症において、血小板が関与する証拠としては、次のような事実が明らかになっている。(1)電子顕微鏡や免疫組織化学的手法により、血小板膜抗原、血小板因子−4(platelet factor-4; PF‐4)、β‐トロンボグロブリン(β-thromboglobulin;β-TG)及びPDGF(platelet-derived growth factor)などの血小板中の顆粒物質が糸球体病変部に見られる、(2)顆粒物質の血小板中濃度の低下と、血流中濃度の上昇が見られる、(3)血小板寿命の短縮が認められる、(4)ADPでの血小板凝集が亢進している、(5)血流中のICを表す血小板凝集テストの陽性率がいくつかの腎炎において高値である、(6)抗血小板薬による蛋白尿の減少や腎臓機能改善が認められる。
DICは、何らかの機序で、内因性凝固過程を活性化する物質が血管内に流入し、全身の細小血管に広範に血栓が形成されて血液凝固第V因子、血液凝固第VIII因子及び血小板が消費されて減少する。本症を引き起こしやすい病態としては、細菌(例えばグラム陰性かん菌など)による敗血症、急性前骨髄球性白血病、溶血性***症候群、羊水エンボリー、前置胎盤早期剥離、腺癌の転移、ヘビ毒吠咬傷、肺手術、及び前立腺手術などが知られている。
血小板性紫斑病は、薬剤により血小板や赤血球などの血液細胞がアレルギー反応や自己免疫反応を起こし、血小板が破壊され血小板減少を来す疾患である。また、突発性血小板減少症は、脾臓のマクロファージにより血小板が急激に除去されてします病態であり、細菌やウイルスによる感染症あるいはSLEなどの自己免疫疾患などで頻繁に起こる。
一方、LOX-1と血小板及び活性化血小板との相互作用、LOX-1と種々の血小板減少症との関連性、並びにLOX-1と種々炎症との関連性については未だ全く明らかにされていない。
このような白血球の、血管内皮細胞への接着、血管内皮細胞上でのローリング、並びに白血球の組織への浸潤と、LOX-1との関連性については未だ全く明らかにされていない。
該酸化LDL受容体の機能、並びに酸化LDL受容体の様々な生体リガンドを同定、解明するとともに、該生体内リガンドの酸化LDL受容体への結合を阻害する能力を有する物質を見出すことは、該リガンドが酸化LDL受容体に結合し、及び/または該リガンドが酸化LDL受容体発現細胞に取り込まれることに起因する種々の疾患の予防及び治療に有用な薬剤開発において極めて重要な意義を有する。
(1)酸化LDL受容体が、血小板並びに活性化血小板と結合し、それらを細胞内に取り込む(貪食)こと、さらに、そのような結合及び取り込み(貪食)が、酸化LDL受容体に結合する物質、例えば酸化LDL受容体に結合する抗体により阻害される。
(2)酸化LDL受容体に結合する物質、例えば酸化LDLに結合する抗体が、血小板減少を伴う疾患における血小板減少を有意に阻害する。
(3)酸化LDL受容体に結合する物質、例えば酸化LDLに結合する抗体が、種々炎症性疾患における炎症反応の初期の過程である白血球の組織への浸潤を有意に阻害する。
(4)酸化LDL受容体に結合する物質、例えば酸化LDLに結合する抗体が、経皮的冠血管形成術(PTCA)の術後の血管再狭窄を有意に阻害する。
即ち、これらの知見に基づき、酸化LDL受容体に結合し酸化LDLの生体内リガンドの酸化LDL受容体への結合を阻害する物質(例えば、酸化LDLに結合する抗体など)を用いることにより、上記の種々疾患を予防、治療するための薬剤を開発することが可能となる。
(1)ヒト型モノクローナル抗体である抗LOX−1抗体を含んでなる血小板減少を伴う疾患を治療するための医薬組成物。
(2)F(ab’)2、Fab’、Fab、Fv、sFv、dsFvおよびdAbからなる群より選ばれる抗LOX−1抗体の一部を含んでなる血小板減少を伴う疾患を治療するための医薬組成物。
(3)血小板減少を伴う疾患が、DIC、汎発性血管内凝固症候群、播種性血管内凝固症候群、血小板性紫斑病または突発性血小板減少症である前記(1)または(2)に記載の医薬組成物。
(4)DICが、細菌による敗血症、急性前骨髄球性白血病、溶血性***症候群、羊水エンボリー、前置胎盤早期剥離、腺癌の転移、ヘビ毒吠咬傷、肺手術、または前立腺手術により引き起こされる前記(3)に記載の医薬組成物。
(5)血小板減少を伴う疾患が、酸化LDL受容体への血小板若しくは活性化血小板の結合に起因する疾患である前記(1)または(2)に記載の医薬組成物。
(6)血小板減少を伴う疾患が、酸化LDL受容体を発現する細胞による血小板若しくは活性化血小板の取込に起因する疾患である前記(1)または(2)に記載の医薬組成物。
(7)さらに薬学的に許容され得る担体を含む前記(1)または(2)に記載の医薬組成物。
また、本発明に包含されるヒト酸化LDL受容体に対するヒト抗体を含んでなる医薬組成物は、マウス由来の抗体をヒトに投与する際のアレルギー等の副作用を全く惹起しないことから医薬品として極めて有用である。
本発明における「哺乳動物」とは、ヒト、ウシ、ヤギ、ウサギ、マウス、ラット、ハムスター、及びモルモット等を意味し、好ましくは、ヒト、ウシ、ラット、マウスまたはハムスターであり、特に好ましくは、ヒトである。
本発明における「酸化LDL受容体」とは、前記「哺乳動物」に由来する酸化LDL受容体であって、好ましくは既報に記載されるとおりのヒト、ウシ、ウサギ、ラットまたはマウスの酸化LDL受容体である(Oxidized-LDL Receptor、Ox-LDL Receptorまたは LOX−1)である(Nature, Vol.386, p.73-77, 1997;脂質生化学研究, Vol.39, p.83-84, 1997; 特開平9-98787号公報;GenBank Accession No.BAA81912;Biochem. J., Vol.330 (Pt.3), p.1417-1422, 1998)。
具体的には、配列番号1に記載されるアミノ酸配列有するヒト酸化LDL受容体、または配列番号2に記載されるアミノ酸配列を有するウシ酸化LDL受容体である。
具体的には、前述の酸化LDL受容体(得に好ましくはヒトの酸化LDL受容体)またはその一部に結合する抗体である。
本発明の「抗体」は、前述の哺乳動物の酸化LDL受容体、好ましくはヒトの酸化LDL受容体(天然体、組換体、合成物、細胞培養上清を含む)若しくはその一部を抗原(免疫源)として用い、マウス、ラット、ハムスター、モルモットあるいはウサギ等の哺乳動物に免疫して得られる天然型抗体、遺伝子組換技術を用いて製造され得るキメラ抗体及びヒト型抗体(CDR-grafted抗体)、並びにヒト抗体産生トランスジェニック動物等を用いて製造され得るヒト抗体も包含する。
またモノクローナル抗体の場合には、IgG、IgM、IgA、IgDあるいはIgE等のいずれのアイソタイプを有するモノクローナル抗体をも包含する。好ましくは、IgGまたはIgMである。
モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマクローンのスクリーニングは、ハイブリドーマを、例えばマイクロタイタープレート中で培養し、増殖の見られたウェルの培養上清の前述のマウス免疫感作で用いた免疫抗原に対する反応性を、例えばRIAやELISA等の酵素免疫測定法によって測定することにより行なうことができる。
インビトロで培養する場合には、培養する細胞種の特性、試験研究の目的及び培養方法等の種々条件に合わせて、ハイブリドーマを増殖、維持及び保存させ、培養上清中にモノクローナル抗体を産生させるために用いられるような既知栄養培地あるいは既知の基本培地から誘導調製されるあらゆる栄養培地を用いて実施することが可能である。
モノクローナル抗体の単離、精製は、上述の培養上清あるいは腹水を、飽和硫酸アンモニウム、ユーグロブリン沈澱法、カプロイン酸法、カプリル酸法、イオン交換クロマトグラフィー(DEAEまたはDE52等)、抗イムノグロブリンカラムあるいはプロテインAカラム等のアフィニティカラムクロマトグラフィーに供すること等により行うことができる。
ヒトイムノグロブリン由来の定常領域は、IgG、IgM、IgA、IgD及びIgE等のアイソタイプにより各々固有のアミノ酸配列を有するが、本発明における組換キメラモノクローナル抗体の定常領域はいずれのアイソタイプに属するヒトイムノグログリンの定常領域であってもよい。好ましくは、ヒトIgGの定常領域である。
本発明におけるキメラモノクローナル抗体は、例えば以下のようにして製造することができる。しかしながら、そのような製造方法に限定されるものでないことは言うまでもない。
上記サザンブロット法により、マウスモノクローナル抗体のH鎖及びL鎖を各々コードする再配列されたVDJ遺伝子及びVJ遺伝子を同定する。同定したDNA断片を含む領域をショ糖密度勾配遠心にて分画し、ファージベクター(例えば、Charon 4A、Charon 28、λEMBL3、λEMBL4等)に組み込み、該ファージベクターで大腸菌(例えば、LE392、NM539等) を形質転換し、ゲノムライブラリーを作製する。そのゲノムライブラリーを適当なプローブ(H鎖J遺伝子、L鎖(κ)J遺伝子等)を用いて、例えばベントンデイビス法(サイエンス(Science)、第196巻、第180〜第182頁、1977年)に従って、プ ラークハイブリダイゼーションを行い、再配列されたVDJ遺伝子あるいはVJ遺伝子を各々含むポジティブクローンを得る。得られたクローンの制限酵素地図を作製し、塩基配列を決定し、目的とする再配列されたVH(VDJ)遺伝子あるいはVL(VJ)遺伝子を含む遺伝子が得られていることを確認する。
このようにして選別された抗体産生細胞の培養上清中から目的のキメラモノクローナル抗体を取得する。
換言すれば、例えばマウスモノクローナル抗体の超可変領域の相補性決定領域の一部または全部以外の全ての領域が、ヒトイムノグロブリンの対応領域と置き代わったモノクローナル抗体を意味する。
ヒトイムノグロブリン由来の定常領域は、IgG、IgM、IgA、IgD及びIgE等のアイソタイプにより各々固有のアミノ酸配列を有するが、本発明におけるヒト型モノクローナル抗体の定常領域はいずれのアイソタイプに属するヒトイムノグログリンの定常領域であってもよい。好ましくは、ヒトIgGの定常領域である。また、ヒトイムノグロブリン由来の可変領域の枠組領域についても限定されるものではない。
例えば、マウスモノクローナル抗体に由来する組換ヒト型モノクローナル抗体は、特表平4−506458号公報及び特開昭62−296890号公報等を参照して、遺伝子工学的に作製することができる。即ち、マウスモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマから、少なくとも1つのマウスH鎖CDR遺伝子と該マウスH鎖CDR遺伝子に対応する少なくとも1つのマウスL鎖CDR遺伝子を単離し、またヒトイムノグロブリン遺伝子から前記マウスH鎖CDRに対応するヒトH鎖CDR以外の全領域をコードするヒトH鎖遺伝子と、前マウスL鎖CDRに対応するヒトL鎖CDR以外の全領域をコードするヒトL鎖遺伝子を単離する。
ヒト抗体は、常法に従って、例えば、少なくともヒトイムノグロブリン遺伝子をマウス等のヒト以外の哺乳動物の遺伝子座中に組込むことにより作製されたトランスジェニック動物を、抗原で免疫感作することにより、前述したポリクローナル抗体あるいはモノクローナル抗体の作製法と同様にして製造することができる。
例えば、ヒト抗体を産生するトランスジェニックマウスは、ネイチャージェネティックス(Nature Genetics)、第15巻、第146〜第156頁、1997年;ネイチャージェネティックス、第7巻、第13〜第21頁、1994年;特表平4−504365号公報;国際出願公開WO94/25585号公報;日経サイエンス、6月号、第40〜第50頁、1995年;ネイチャー(Nature)、第368巻、第856〜第859頁、1994年;及び特表平6−500233号公報に記載の方法に従って作製することができる。
また、昨今開発された技術であるトランスジェニックなウシやブタのミルク中からヒト由来タンパクを製造方法を適用することも可能である(日系サイエンス、1997年4月号、第78頁乃至84頁)。
とりわけ注射剤の場合には、例えば生理食塩水あるいは市販の注射用蒸留水等の非毒性の薬学的に許容され得る担体中に0.1μg抗体/ml担体〜10mg抗体/ml担体の濃度となるように溶解または懸濁することにより製造することができる。このようにして製造された注射剤は、処置を必要とするヒト患者に対し、1回の投与において1kg体重あたり、1μg〜100mgの割合で、好ましくは50μg〜50mgの割合で、1日あたり1回〜数回投与することができる。投与の形態としては、静脈内注射、皮下注射、皮内注射、筋肉内注射あるいは腹腔内注射のような医療上適当な投与形態が例示できる。好ましくは静脈内注射である。
また、本発明の該医薬組成物は、酸化LDL受容体の動態異常、血小板及び活性化血小板の酸化LDL受容体への結合、及び/またはそれらの酸化LDL発現細胞内への取込(貪食)に起因する種々疾患、病変過程において白血球の組織への浸潤を伴う種々の疾患(例えば、炎症)、種々の炎症、動脈硬化症、PTCRやPTCA等の術後の血管再狭窄などの種々の疾患の予防及び治療において有用である。
通常炎症は、その発現速度及び進行速度により急性炎症と慢性炎症に大別される。一般に急性炎症とは、炎症反応が比較的急速に発現し進行が速く、その終了が明確な炎症である。一方、慢性炎症とは、炎症反応が比較的ゆっくりあるいは徐々に発現し、あるいはその発現の存在すた不明確な程度に発現し、数週間乃至数年間にわたり持続され、その終了も不明確な炎症である。本発明の炎症には、そのような急性炎症及び慢性炎症のいずれをが包含される。
また以下に記載する「参考例」は、本発明とは異なる観点に基づく発明ではあるが、本発明との技術比較のために言及する。
<1> 実験材料及実験方法
以下の実施例では、下記のような材料を用いた。また、各試験は、下記の方法により行った。
健常人の血液から取得した赤血球を、リン酸緩衝液で3回洗浄し、20%ヘマトクリットで、10%グルコースを含有するリン酸緩衝液中に縣濁させ天然赤血球として用いた。
老化赤血球は、該天然赤血球をリン酸緩衝液(20%ヘマトクリット)中で、37℃で4日間インキュベーションすることにより調製した(但し、経時的実験での使用を除く。)。ウシ大動脈内皮細胞(Bovine aortic endothelial cell; BAE)は、既報の方法に従って維持した(Nature, Vol.385, p.73-77, 1997)。Jurkat細胞及びHL60細胞は、RPMI1640培地(10%ウシ胎児血清、100U/mlのペニシリン、0.1mg/mlのストレプトマイシン、及び250ng/mlのFungizone(GIBCO製)を含有する)中で維持した。ウシLOX-1を安定して発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(BLOX-1-CHO)及び野生型CHO-K1細胞は、既報の方法に従って維持した(Nature, Vol.385, p.73-77, 1997)。
HL-60細胞のアポトーシスは、細胞(1×106個/ml)を50μMのシクロヘキシミド(cycloheximide)とともに37℃で3時間インキュベーションすることにより誘導した。Jurkat細胞のアポトーシスは、細胞(1×106個/ml)を200ng/mlの抗FasIgM抗体(クローンCH-11、医学生物学研究所製)とともに、37℃で6時間インキュベーションすることにより誘導した。ウシ大動脈内皮細胞(bovine arteryendothelial cell; BAE)のアポトーシスは、細胞を、50ng/mlの組換えヒト腫瘍壊死因子(R&D Systems製)とともに、37℃で6時間インキュベーションすることにより誘導した。
赤血球(ヘマトクリット値:1%)を、BAE、CHO-K1細胞またはBLOX-1-CHOとともに、栄養培地中で、37℃で30分間培養した。各々の細胞に結合しなかった赤血球を該栄養培地で複数回洗浄することにより除去した後、細胞を、4%ホルムアルデヒド及び0.2%グルタルアルデヒドを含有するリン酸緩衝液で固定した。各々の細胞に結合した赤血球の数を計数した(200〜400個のCHO細胞またはBAE細胞を、毎回計数した。)。
apoptotic細胞(1×106個/ml)を、BAE、CHO-K1細胞またはBLOX-1-CHOとともに、栄養培地中で、37℃で30分間培養した。各々の細胞に結合しなかったapoptotic細胞を該栄養培地で複数回洗浄することにより除去した後、細胞を、4%ホルムアルデヒド及び0.2%グルタルアルデヒドを含有するリン酸緩衝液で固定した。細胞を、May-Giemsaで染色した後、結合した細胞の割合または1若しくはそれ以上のapoptotic細胞の摂取(貪食)の割合を計算した(100〜200個のCHO細胞またはBAE細胞を、毎回計数した。)。
濃度勾配超遠心により、新鮮なヒトの血漿から、ヒトLDL(d=1.019〜1.063)を単離した(Nature, Vol.385, p.73-77, 1997)。LDLの酸化修飾及びアセチル化は、常法に従って行った(Biochem. Biophys. Res. Commun., Vol.1091,p.63-67, 1991)。
ウシ酸化LDL受容体LOX-1(bLOX-1)をコードするcDNA(配列番号3)を、既報(Nature, Vol.386, p.73-77, 1997及び特開平9-98787号公報)に記載の方法と同様にして調製した。
得られたcDNAを、2つのプライマー(5'-GGGGATCCTGATCTCATAAAGAAACAG-3'(配列番号5)、及び5'-GCGGATCCTGTGCTCTCAATAGATTCGC-3'(配列番号6)) を用いてPCRにより増幅し、BamHI切断部位が両端に付加されたウシLOX-1の細胞外領域をコードするcDNA(配列番号3の塩基番号215乃至844)を含むcDNA断片を調製した。
10%FBS(fetal bovine serum)含有HamF12培地中でサブコンフルエントに単層培養したCHO-K1細胞を、リポフェクタミン(Lipofectamine、GIBCO製)を用いて、pBLOX-Fc(1μg)並びに発現プラスミドベクターpSVbsr(10ng、フナコシ製;bsr(Blasticidin S-resistance)遺伝子及びSV40ウイルス由来のプロモーターを含む)により共形質転換した。
得られた形質転換細胞は、10%FCS(fetal calf serum)及びblasticidin-S(10μg/ml、フナコシ製)を含有するHamF12培地中で維持した。
bLOX-1-Fcを精製するため、blasticidin-S(10μg/ml、フナコシ製)を含有するHamF12培地中でコンフルエントに培養した形質転換体CHO-K1細胞の培地をCHO-SFM-II(GIBCO/BRL製)に替え、3日間培養した。この操作を数回繰返した後、培養上清800mlを得た。培養上清中のLOX-Fcは、Affi-Gel Protein A MAPS-II kit(Bio-rad製)を用いて次のように精製した。
また、上記精製LOX-Fcの取得は、下記ウェスタンブロッティングによっても確認した。
なお、LOX-Fcのアミノ酸配列を配列番号7に、またLOX-FcのcDNA配列を配列番号8に示す。
赤血球を4%ホルムアルデヒド及び0.2%グルタルアルデヒドで固定した後、リン酸緩衝液で3回洗浄した。次いで、赤血球(ヘマトクリット値:1%)を、50μg/mlのLOX-Fcまたは正常ヒトIgGとともに、10%ウシ胎児血清を含有するHam'sF12培地中で室温下90分間インキュベーションした。培養液で3回洗浄した後、赤血球を、ビオチン化抗ヒトIgG(Fc)とともに、室温下で30分間さらにインキュベーションし、チラミドシグナル増幅法(Tyramide signal amplification procedure)(TSA-directed green, Dupont/NEN)を用いて該製品の取り扱い説明書に従い染色し、蛍光顕微鏡法に供した。
ネイティブ(Native)なJurkat細胞またはapoptoticなJurkat細胞(各々1×106個/ml)を、50μg/mlのLOX-Fcまたは正常ヒトIgGとともに培地中で37℃で60分間インキュベーションした。ビトチン化抗ヒトIgG(1:250希釈)を加え、混合物を37℃でさらに30分間インキュベーションした。細胞を、4%ホルムアルデヒド及び0.2%グルタルアルデヒドで固定した後、リン酸緩衝液で3回洗浄し、チラミドシグナル増幅法(Tyramide signal amplification procedure)(TSA-directed green, Dupont/NEN)を用いて染色した。次いで、細胞を、0.1%Triton X-100により浸透性にし、2.5μg/mlのpropidium iodideで染色し、同焦点顕微鏡(conforcal microscopy)システム(Bio-Rad製)により分析した。浸透性にしない場合には、propidium iodideによる細胞の染色は、検出不能であった。
PSが老化赤血球またはapoptotic細胞の細胞表面上に曝されるているか否かを、ApoAlert Annexin Vapoptosis kit(Clontech製)を用いて、Annexin V-FITCにより検出した。細胞を、FACScalibur(Becton Dickinson製)上で、フローサイトメロリーにより分析した。
多重膜リポソーム(Multilamellar liposome)を、リン脂質、フォスファチジルコリン、及び遊離コレステロールを1:1:1のモル比で含むように調製した。該脂質を、クロロフォルム中で混合し、窒素ガスで乾燥させた。乾燥させた脂質を、最終濃度が10mMとなるようにリン酸緩衝液中に再縣濁させた。得られた混合物を、混合し10分間超音波処理し、使用時まで4℃で静置した。
図1に示すとおり、BAE細胞は老化赤血球とapoptotic細胞を貪食する能力を有することがわかった。
図1(a)は老化赤血球を、図1(b)はネイティブ赤血球を、図1(c)はapoptotic HL60細胞を、図1(d)は無処理のHL60細胞をそれぞれBAE細胞とインキュベートしたものであり、BAE細胞はネイティブ赤血球と無処理のHL60細胞には結合していない。
この貪食活性は酸化LDLにより明らかに阻害されることから、BAE細胞上の主要な酸化LDL受容体であるLOX-1が貪食活性を仲介するかについて試験した。
上記試験から、貪食活性のほとんどはLOX-1により仲介されることが示された(抗体阻害の効果から4分の3と推定される)。マクロファージのCD36(J. Clin. Invest., 90, 1513-1522, 1989)やクラスAスカベンジャーレセプター(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93,12456-12460(1996))を含むいくつかの受容体は、老化/apoptotic細胞に結合し、そして/あるいは貪食することが報告されている。また、それらは異なる細胞の異なるアポトーシスや老化の段階において異なる細胞種を認識するものと考えられている。マクロファージとは対照的に内皮細胞中でより低分子量が過剰なのは、LOX-1が、血液細胞, 平滑筋細胞や内皮細胞自身などの内皮細部の周りのapoptotic細胞への変化を認識するのに最適であることを示唆している。
CD36に関しては、対立する報告がされている。Ryeomら(J. Biol. Chem.,271,20536-20539(1996))は、apoptotic photoreceptor outer segmentのretinal pigment epithelium中のCD36への結合がPSによって阻害されることを示した。一方、Fasokら(J. Immunol., 149, 4029-4035(1992))は、αvβAインテグリン/CD36により仲介される単球由来のマクロファージによる貪食はPSにより阻害されないことを報告している。後者の貪食は、むしろthrombospondin(J. Immunol.,149, 4029-4035(1992))のRGDS配列に依存している。Macrosialinはマクロファージ中のPSと酸化LDLに結合することから、貪食の候補分子と考えられている。しかしながら、発現システムを用いた直接的な証拠はこれまでのところ報告されていない(Proc. Natl. Acad. Sci. USA.,92, 9580-9584(1995)。上記試験から、PSと酸化LDLが、形質転換細胞とネイティブ内皮細胞において、LOX-1により仲介される貪食が阻害されることが示された。また、LOX-1がマクロファージを含めた数種類の細胞中で発現されることから、LOX-1が他の細胞中の貪食システムの一部を担う示唆が示された。
レクチン類似分子が老化/apoptotic細胞の貪食システムに関与すると考えられている(Immunology 56, 351-358(1985), FEBS Lett.,296, 174-178(1992), J.immunol.,153, 3218-3227(1994))。炭水化物に対する結合特異性をさらに分析する必要はあるが、レクチン類似構造を有するLOX-1は、貪食システムの貪食に関与するかもしれない。
つまり、上記試験においては、LOX-1を内皮細胞中での老化/apoptotic細胞の貪食受容体として同定し、LOX-1がアポトーシス過程における最も初期の段階である、細胞表面へのPS出現を認識することを同定した。
前述の参考例と同様にして、ヒト血小板のウシLOX-1−CHOへの結合を解析した。
図14に示すとおり、ネイティブ血小板のLOX-1への結合(図14(a))に比べ、トロンビンにより活性化された活性化血小板のLOX-1の結合が有意に高いことが見出された。また、このトロンビンによる活性化血小板のLOX-1への結合は、フォスファチジルコリンリポソーム(100μg/ml)により約81%阻害されるが阻害された。一方、フォスファチジルコリンリポソーム(100μg/ml)では、約12%しか阻害されなかった。
図15に示すとおり、血小板のLOX-1への結合は、酸化LDL濃度に反比例して低減した。
図18に示すとおり、トロンビンにより活性化された活性化血小板のLOX-1-CHOへの結合は、トロンビンの濃度に依存して増加した。また、コラーゲン(20μg/ml)により活性化させた活性化血小板も、トロンビンの場合と同様にLOX-1-CHOに有意に結合した。
図16に示すとおり、活性化血小板のLOX-1−CHOへの結合及び貪食は、抗LOX-1抗体により有意に阻害された。
また、BAE細胞を用いて前記実施例と同様にして行った試験においても、活性化血小板のBAEへの有意な結合が確認された(蛍光強度:150.94±10.21)。一方、この結合は、抗LOX-1抗体により有意に阻害された(蛍光強度:56.44±14.71、阻害率:63.3%)。なお、対照IgG抗体を用いた場合には、該結合はほとんど阻害されなかった(蛍光強度:144.89±11.93、阻害率:4.0%)。
<I.材料及び方法>
<1>血小板の調製
Baenzinger及びMajerusらの標準的方法に従って、血小板を単離した(MethodsEnzymol., Vol.31, p.149-155, 1974)。簡便に述べると下記のとおり。健常人の血液を3.8%クエン酸ナトリウム(9:1)中に回収した。血液を、遠心(200×g、15分)し、血小板に富んだ血症(Platelet-rich plasma; PRP)を得た。PRPに酸/クエン酸/デキストロース(ACD:2.5% trisodium citrate、1.5%クエン酸、及び2%グルコース;PRP:ACD=9:1)を遠心(1000×g、15分)し、洗浄PRPを得た。ペレットを1μg/mlのPGE1(Sigma製)を含むHepes-Tyrode's緩衝液(10mMのHepes、137mMのNaCl、2.68mMのKCl、0.42mMのNaH2PO4、1.7mMのMgCl2、11.9mMのNaHCO3及び5mMのグルコース)中に懸濁した。ペレット懸濁液を、遠心(1000×g、15分)した。得られたペレットを、Hepes-Tyrode's緩衝液中に再懸濁させ、これを洗浄血小板として使用した。
BLOX-CHOは、前記参考例と同様にして作製した。BLOX1-CHO及び親細胞株であるCHO-K1は、湿度95%、5%CO2、及び37℃の条件下で、Ham's F12培地(Gibco製)中で維持した。但し、当該培地には、100U/mlのペニシリンG、100μg/mlストレプトマイシン、0.25μg/mlのamphotericin-B(Gibco製)、及び10%ウシ胎児血清を添加した。各々の細胞は、アッセイの前に24穴マイクロプレートに蒔いた。
ウシ大動脈内皮細胞(Bovine aortic endothelial cell;BAE)は、既報と同様にして調製した(Nature, Vol.386, p.73-77, 1997)。BAEは、湿度95%、5%CO2、及び37℃の条件下で、Dulbecco's modified Eagle's培地(DMEM)(Gibco製)中で維持した。但し、当該培地には、100U/mlのペニシリンG、100μg/mlストレプトマイシン、0.25μg/mlのamphotericin-B(Gibco製)、及び20%ウシ胎児血清を添加した。BAEは、アッセイの2日前に24穴マイクロプレートに蒔いた。
血小板を、1μMのCalcein-AM(Molecular Probe社製)とともに37℃で30分間インキュベーションすることによりCalceinで蛍光標識した。次いで蛍光標識血小板を、0.3%BSA(Sigma製)を含むHepes-Tyrode's緩衝液で2回洗浄することにより過剰のCalcein-AMを除去した。次いで、10%新生児ウシ血清(Gibco製)を含むHepes-Tyrode's緩衝液中で血小板の密度を1×108個/mlの調整した。
BLOX1-CHO及びCHO-K1の各々を、栄養培地で2回洗浄し、血小板とともに37℃で60分間インキュベーションした。リン酸緩衝液で細胞を洗浄して、細胞に結合しなかった血小板を除去した。細胞を、ハーベストし、フローサイトメーター(FACS Calibur; Becton-Dikinson製)で分析した。各々の細胞への血小板の結合の程度は、細胞数10,000個に対する蛍光強度(FL-1-H;励起515-545nm)で表した。
BAEを栄養培地で2回洗浄し、血小板とともに37℃で180分間インキュベーションした。リン酸緩衝液で細胞を洗浄して、細胞に結合しなかった血小板を除去した。細胞を、ハーベストし、フローサイトメーター(FACS Calibur; Becton-Dikinson製)で分析した。各々の細胞への血小板の結合の程度は、細胞数10,000個に対する蛍光強度(FL-1-H;励起515-545nm)で表した。但し、後述する幾つかのアッセイにおいては、血小板を加える10分前に抗LOX-1抗体または対照マウス抗体(Vector製)を加えた。
BLOX1-CHOまたはCHO-K1細胞を、上記と同じ蛍光物質とともにインキュベーションすることにより蛍光標識した。細胞に結合しなかった血小板を除去した後、細胞を4℃に冷却し、Dil標識酸化LDLとともに4℃で30分間インキュベーションして、形質膜を可視化し、直ちに4%ホルムアルデヒドで固定化した。次いで、細胞を同焦点レーザー顕微鏡(Biorad製)に供した。
洗浄血小板を、後述の図面の説明において示した試薬で室温下で10分間刺激した後、FITC標識抗CD41aモノクローナル抗体(Pharmingen製)で染色した。染色の強度は、休止血小板と活性化血小板との間で差異はなかった。BLOX1-CHOを、血小板とともに37℃で60分間インキュベーションした。細胞への血小板の結合を、上述と同様にしてフローサイトメーターで分析した。但し、後述すついくつかのアッセイにおいては、血小板を加える10分前に、リン脂質リポソームまたはリポ蛋白を加えた。
洗浄血小板の最終濃度を、2%新生児ウシ血清を含むHepes-Tyrode's緩衝液(休止血小板)中で5×107個/mlに調整した後、1U/mlのトロンビンまたは20μg/mlのコラーゲン(活性化血小板)で刺激した。20分後、ヒルジン(Calibiochem製)を加え、最終濃度を1U/mlとしトロンビンを不活性化した。次いで、BAEを、血小板とともに37℃で180分間インキュベーションした。栄養培地で洗浄した後、BAEを、0.2%BSA含有DMEM培地中で20時間インキュベーションした。培養上清を回収し、ET-1の濃度を既報に従ってサインドイッチELISAにより測定した(J. Immunol. Methods, Vil.127, p.165-170, 1990)。但し、いくつかのアッセイにおいては、血小板を加える10分前に抗LOX-1抗体または対照マウスIgG(10μg/ml)をBAEに加えた。
BLOX1-CHO及びCHO-K1の各々の細胞を、10μg/mlの抗LOX-1抗体の存在下または非存在下で30分間前培養した。細胞を、Ham's F12培地で3回洗浄し、10mMのTris-HCl(pH7.4)及び150mMのNaClで10倍に希釈した250μlのPRP(Platelet-richplasma)とともにインキュベーションした。次いで、トロンビンに対するfluoregenicな基質である、butyloxycarbonyl-Val-Pro-Arg-methylcoumarylamide(15nmolのペプチド研究所製)を含む90mMのCaCl2(50μl)を細胞に加えた。トロンビンの活性化を、30分間に放出されるアミノメリルクマリンの量を測定することにより定量した。
ヒトLDL(d=1.019-1.063)を、既報に従った濃度勾配超遠心により新鮮なヒト血漿から単離した(Natire, Vol.386, p.73-77, 1997)。LDLを、7.5μMのCuSO4に37で20時間曝すことにより3mg蛋白/mlの濃度で酸化した。当該酸化は、tiobarbituric acid反応性物質(10.7nmol/mg蛋白)の量の計測、並びに天然LDLとの比較におけるゲル電気泳動状態(相対的ゲル電気泳動状態:3.25)をモニターすることにより行った。酸化LDLを、1,1'-dioctadecyl-3,3,3',3'-tetramethylindocarbocyanine perchlorate(Dil)(Molecular Probe社製)で標識した。
リン脂質、フォスファチジルコリン及び遊離コレステロール(1:1:1)でクロロフォルム中に混合し、窒素ガス中で乾燥した。乾燥した脂質を、リン酸緩衝液中に再懸濁させ、最終濃度を10mMとし、10分間超音波処理した。
<図19及び図20>LOX-1発現細胞への血小板の結合
Calceinで標識した血小板の結合(緑色)がBLOX-CHO(左)で観察されたが、CHOK1(右)では観察されなかった(図19)。
同焦点顕微鏡下では、BLOX1-CHOに随伴した血小板の消失が観察された。形質膜をDilで可視化(赤色)し、血小板をcalceinで標識した(緑色)。血小板は、形質膜上だけでなく、細胞内にも検出された(図20)。
<図21及び図22>LOX-1に対する中和抗体はBLOX1-CHO(図21)またはBAE(図22)への血小板の結合を阻害した。
血小板の結合は、抗LOX-1抗体で有意に阻害されたが(p<0.01)、対照IgGでは阻害されなかった。細胞への血小板の結合は、細胞10,000個に対する蛍光強度で表した。データは、3回の試験の平均値(及び標準偏差)である。
血小板のBLOX1-CHOへの結合は、アゴニストによる刺激の後に観察された。トロンビンの場合には、トロンビンの濃度に依存して血小板の結合が増強された。またコラーゲンによる刺激によっても増強された。
<図24>トロンビンにより増強された血小板の細胞への結合に対するリン脂質の効果。
リン脂質リポソームは、血小板のBLOX1-CHOへの結合を顕著に阻害したが、pホスファチジルコリンリポソームは阻害しなかった。
<図25>酸化LDLは、血小板のBLOX1-CHOへの結合を用量依存的に阻害したが、天然LDLは阻害しなかった。値は、リポ蛋白を加えない場合の血小板の結合率として表した。
<図27>血漿中でのトロンビンの産生に対する血小板とLOX-1との相互作用の効果。
血小板に富んだ血漿(PRP)中のトロンビン活性は、BLOX1-CHOとともにインキュベーションすることにより有意に増強された。トロンビン活性は、fluorogenicな基質の解離(30分間)の程度を測定することにより求めた。データは3回の試験の平均値(及び標準偏差)である。
酸化LDLは、血管内皮細胞を、抗血液凝固(anti-coagulant)の状態から血液凝固(coagulant)の状態に変化させ、血小板と血管内皮細胞との相互作用を増強させることが知られている(Curr. Opin. Lipidol., Vol.8, p.320-328, 1997)。本発明者らは、この血小板と血管内皮細胞との相互作用へのLOX-1の関わり、並びにLOX-1の血栓形成系への関与について研究することを試みた。Calceionで蛍光標識した血小板をLOX-1を安定に発現する細胞(BLOX1-CHO)または親細胞株CHO-K1とともにインキュベーションした。蛍光顕微鏡での計測により、BLOX1-CHOの細胞表面に極めて多数の血小板が結合するが、CHO-K1には結合しないことが明らかとなった(図19)。次に、細胞に結合した血小板の行く末を調べるために、当該細胞を血小板とともにインキュベーションした後、同焦点顕微鏡で観察した。細胞を固定化した後、細胞の形質膜をDilで標識して可視化した(図20、赤色)。血小板から放出される蛍光シグナル(図20、緑色)は、形質膜上のみならず、細胞内においても検出された。これにより、LOX-1が、血小板を結合するだけでなく、血小板の貪食も行うことが示された。
血小板に対するアゴニストであるトロンビン、コラーゲン及びトロンボキサンA2は、フォスファチジルセリン(PS)の血小板の細胞表面への外出化(externalization)を誘導することが知られている(J. Biol. Chem., Vol.265, p.17420-17423, 1990)。PSは、通常は、血小板の形質膜の脂質の二重層中の内部リーフレット(inner leaflet)に局在している。そこで、LOX-1への血小板の結合に対して、PSが競合するか否かを調べた。図24に示されるとおり、培地中にPSを加えると、血小板の細胞への結合がほぼ完全に阻害された。一方、LOX-1のリガンドではないフォスファチジルコリン(PC)の場合には阻害されなかった。これらの結果を併せると、活性化血小板の細胞表面上のPSが活性化血小板のLOX-1への結合の決定基であると考えることができる。
これらの知見に基づき、LOX-1と血小板との相互作用が細胞内活性化及び細胞機能不全を誘導するか否かを調べた。図26に示されるとおり、BAEを活性化血小板とともにインキュベーションすると、BAEからのET-1の放出が増大される。一方、休止血小板ではその増大が認められなかった。活性化血小板におけるET-1に放出のい増大は、抗LOX-1抗体により有意に阻害された。ET-1の産生に対する効果については、血小板から放出されるメディエーターを含む活性化血小板の培養液の効果は、活性化血小板自身の効果に比べ非常に小さいものであった。LOX-1は、内皮細胞が血小板と直接接触することにより媒介される血管内皮細胞の活性化の過程において関与する可能性を有している(Circ. Res., Vol.69, p.832-841, 1991)。興味深いことに、高コレステロール血症マウスでは、ET-1の作用を阻害すると血管内皮の機能が弱まることが報告されている(Hypertension, Vol.31, p.499-504, 1998)。高コレステロール血症においてはLOX-1の発現が増強されていることから、LOX-1を介したアテローム性分子の産生の増大は、動脈硬化症の進行に重大な影響を与えている可能性があると考えられる。
Sprague-Dawleyラット(雄5乃至7週齢、JCL製)に、生理食塩水にて1mg/mlに調整したLPS(リポ多糖;Sigma製)を3mg/kgの濃度で腹腔内投与した。LPSの投与の直後に、生理食塩水にて1mg/mlに調整した抗LOX-1抗体またはLOX-1に反応性を有しない対照抗体を5mg/kgの濃度で静脈内投与した。またLPS及び抗体のいずれも投与しないラットを正常対照として用いた。LPS投与前、並びにLPS投与から2時間後に採血し、自動血球測定装置Sysmex F800(日本光電製)により血中血小板数を測定した。
結果を図28に示す。対照抗体投与群では、LPS投与から2時間後に血小板の減少が起こった。一方、抗LOX-1抗体投与群では、その血小板の減少が有意に抑制された。
Sprague-Dawleyラット(雄6乃至7週齢、各群6匹、SLC製)に、抗LOX-1抗体(2、5、10mg/kg)または生理食塩水(5mg/kg)を静脈内投与した。次いで、ペントバルビタール(30乃至50mg/kg, i.p.)で麻酔し、抗体(または生理食塩水)の静脈内投与から1時間後に、生理食塩水にて調整したLPS(リポ多糖;Sigma製)を1mg/kgの濃度で経気道的に投与した。対照群である正常ラットには生理食塩水を経気道的に投与した。
LPS投与から24時間後に、各ラットをエーテル麻酔下で開腹し、腹部大動脈を切断し、放血死させた。次いで、咽頭部を切開し、気道にカットダウンチューブ(JMS製)を挿入した。該チューブを通じて5mlシリンジで0.05mMのEDTAを含有する生理食塩水、即ちBALF(肺胞液)回収液(5ml)を注入し15回シリンジを往復させてBALFを回収した。回収したBALFを氷冷保存した後、遠心(1000rpm、10分、4℃)し、遠心上清をデカントにて除去し、0.5mlのBALF回収液を加え軽く懸濁させた。この懸濁液に含まれる白血球数を、自動血球測定装置Sysmex F800(日本光電製)で計測した。
結果を図29に示す。抗LOX-1抗体投与群では、組織に浸潤する白血球数を抗体濃度依存的に有意に抑制した。驚くべきことに、抗体濃度が10mg/kgでは、白血球の組織浸潤を約50%阻害した。
Sprague-Dawleyラット(200g、SLC製)に、抗LOX-1抗体(10mg/kg)または生理食塩水(10mg/kg)を静脈内投与した。次いで、抗体(または生理食塩水)の静脈内投与から1時間後に、生理食塩水にて調整したLPS(リポ多糖;Sigma製)を1mg/kgの濃度で足底に投与した。対照群である正常ラットには生理食塩水を足底に投与した。
LPS投与から12時間後に、各ラットから常法に従って採血し、眼前房に浸潤した白血球数を、自動血球測定装置Sysmex F800(日本光電製)で計測した。また、眼前房に漏出した総蛋白量を測定した。
結果を図30及び図31に示す。抗LOX-1抗体投与群では、眼前房組織に浸潤する白血球数並びに漏出する蛋白量を有意に抑制した。
Sprague-Dawleyラット(雄約300g、SLC製)をペントバルビタール(30乃至50mg/kg, i.p.)で麻酔した。外科手術により頚動脈及び外頚を露出させ、両動脈を一時的に結合させ血流を一時的に止めた。次いで、外頚動脈に穴を空け、2Fバルーンカテーテル(Baxter製)を挿入し、0.4mlの空気を送り込み、その圧力で血管を内膜を3回擦った。次いで、外頚動脈を縛り、一時的に結合させておいた頚動脈と内頚動脈を解き血流を再開させた。手術部位を縫い合わせ、直ちに抗LOX-1抗体(10mg/kg)を静脈内投与した。
その後3日毎に4回ずつ抗体(10mg/kg)を静脈内投与した。2週間後、ラットを再度ペントバルビタール(30乃至50mg/kg, i.p.)で麻酔し、4%ホルムアルデヒド/リン酸緩衝液で還流固定を行い、頚動脈を取り出した。頚動脈をパラフィンで包埋し、1つのサンプルから6つの切片を作成し、エラスチカ・ワンギーソン染色を行った。NIH analyze systemを用いて、各切片の血管内膜の肥厚の状態を評価した。内膜と中膜の面積の比を算出し、有意な肥厚が見られる2つの切片を選びその平均をそのサンプルの肥厚量とした。
結果を図32に示す。抗LOX-1抗体により、PTCAの術後再狭窄が有意に抑制された。
Claims (7)
- ヒト型モノクローナル抗体である抗LOX−1抗体を含んでなる血小板減少を伴う疾患を治療するための医薬組成物。
- F(ab’)2、Fab’、Fab、Fv、sFv、dsFvおよびdAbからなる群より選ばれる抗LOX−1抗体の一部を含んでなる血小板減少を伴う疾患を治療するための医薬組成物。
- 血小板減少を伴う疾患が、DIC、汎発性血管内凝固症候群、播種性血管内凝固症候群、血小板性紫斑病または突発性血小板減少症である請求項1または2に記載の医薬組成物。
- DICが、細菌による敗血症、急性前骨髄球性白血病、溶血性***症候群、羊水エンボリー、前置胎盤早期剥離、腺癌の転移、ヘビ毒吠咬傷、肺手術、または前立腺手術により引き起こされる請求項3に記載の医薬組成物。
- 血小板減少を伴う疾患が、酸化LDL受容体への血小板若しくは活性化血小板の結合に起因する疾患である請求項1または2に記載の医薬組成物。
- 血小板減少を伴う疾患が、酸化LDL受容体を発現する細胞による血小板若しくは活性化血小板の取込に起因する疾患である請求項1または2に記載の医薬組成物。
- さらに薬学的に許容され得る担体を含む請求項1または2に記載の医薬組成物。
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