JP5230969B2 - 心筋芽細胞を含むシート - Google Patents
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Suzuki K et al., Circulation. 2004 Sep 14; 110 (11 Suppl 1): II 225-30 Miyahara Y et al., Nat Med. 2006 Apr; 12(4): 459-65
(1)心筋芽細胞を含むシート、
(2)脂肪組織由来幹細胞を培養することを特徴とする、心筋芽細胞を得る方法、
(3)培養がDMSO、またはOP9培養上清の存在下で行われるものである、(2)記載の方法、
(4)脂肪組織由来幹細胞がADMPCである、(2)または(3)記載の方法、
(5)(2)から(4)のいずれか記載の方法により得ることのできる、心筋芽細胞、
(6)心筋芽細胞を含むシートを得る方法であって、
下記工程:
(a)脂肪組織由来幹細胞を心筋芽細胞に分化させ、次に、
(b)心筋芽細胞を含むシートを形成させる、
を含む、方法、
(7)脂肪組織由来幹細胞から心筋芽細胞への分化が、DMSO、またはOP9培養上清の存在下で行われるものである、(6)記載の方法、
(8)脂肪組織由来幹細胞がADMPCである、(6)または(7)記載の方法、
(9)(6)から(8)のいずれか記載の方法により得ることのできる、心筋芽細胞を含むシート、
(10)心筋芽細胞への分化を促進する物質をスクリーニングする方法であって、下記工程:
(a)脂肪組織由来幹細胞を候補物質を含む培地にて心筋芽細胞に分化させ;
(b)脂肪組織由来幹細胞の心筋芽細胞への分化を調べる、
を含み、該分化が、候補物質不含培地にて脂肪組織由来幹細胞を培養した場合の分化と比較して促進されている場合に、該候補物質が心筋芽細胞への分化を促進する物質であることを示す、方法、
(11)(10)記載の方法により得ることのできる、心筋芽細胞への分化を促進する物質、および
(12)(10)記載の方法に用いられる、心筋芽細胞への分化を促進する物質をスクリーニングするためのキット、
を提供するものである。
(a)脂肪組織由来幹細胞を候補物質を含む培地にて心筋芽細胞に分化させ;
(b)脂肪組織由来幹細胞の心筋芽細胞への分化を調べる、
を含み、該分化が、候補物質不含培地にて脂肪組織由来幹細胞を培養した場合の分化と比較して促進されている場合に、該候補物質が心筋芽細胞への分化を促進する物質であることを示す方法に関するものである。候補物質としては種々のものがあり、例えば、レチノイン酸、BMP2、BMP4、TGFβ2、HGF、bFGF、チロキシン、またはオキシトンのアナログおよび誘導体などが挙げられるが、これらに限定されない。脂肪組織由来幹細胞の心筋芽細胞への分化は上述の通りである。心筋芽細胞への分化は、種々の方法、例えば、α−CAまたはMLCなどの心筋芽細胞マーカーの発現をRT−PCRによって測定することにより、調べることができる。
(a)脂肪組織由来幹細胞を候補物質を含む培地にて心筋芽細胞に分化させ;
(b)脂肪組織由来幹細胞の心筋芽細胞への分化を調べる、
を含み、該分化が、候補物質不含培地にて脂肪組織由来幹細胞を培養した場合の分化と比較して抑制されている場合に、該候補物質が心筋芽細胞への分化を抑制する物質であることを示す、方法に関するものである。候補物質としては種々のものがあり、例えば、ノギンのアナログおよび誘導体などが挙げられるが、これらに限定されない。
(a)脂肪組織由来幹細胞を候補物質を含む培地にて心筋芽細胞に分化させ;または
(b)候補物質存在下にて心筋芽細胞を含むシートを形成させ;
(c)心筋芽細胞を含むシートの形成を調べる、
を含む、該形成が、候補物質不含系にて形成させたものと比較して促進または抑制されている場合に、該候補物質が心筋芽細胞を含むシートの形成を促進または抑制する物質であることを示す方法に関するものである。シートの形成を調べる方法は、上述の通りである。候補物質の添加は、上記工程(a)および(b)の両方において行われてもよいし、一方にて行われてもよい。
インフォームドコンセントを受けた対象10人(男性4人および女性6人)から、胃癌手術中に余分な脂肪組織を摘出した。プロトコールは、Osaka University Graduate School of Medicine Review Boards for Human Researchに準ずるものであった。全ての対象を少なくとも10時間絶食させた。対象の年齢は55±5歳(平均±SE;範囲40〜60歳)であった。ステロイド剤またはTZDの投与を受けている対象はいなかった。対象から、腹部皮下(筋膜表面の外側)脂肪組織および大網脂肪組織1〜10gを得た。脂肪組織を刻み、次に、0.075% コラゲナーゼ(Sigma Chemical Co.)含有ハンクス緩衝塩類溶液(HBSS)中、37℃のウォーターバスにて振盪しながら1時間消化した。消化産物をCell Strainer(BD Bioscience)で濾過し、800gにて10分間遠心した。Lymphoprep(d=1.077)(Nycomed)を用い、比重法により赤血球を除去し、得られた前脂肪組織由来多系統前駆細胞集団を10% ウシ胎児血清(Hyclone)を含むDMEM中に細胞を播種した。24時間培養して細胞を付着させ、洗浄後、EDTAで処理して、ADMPCを得た。次に、ADMPCを、培地I:60% DMEM−低グルコース、40% MCDB201、10μg/mL EGF、1nM デキサメサゾン、100μM アスコルビン酸、および5% FBS中、密度10,000細胞/cm2にてヒトフィブロネクチンコートディッシュに播種し、3から5継代し、実験に用いた(図1)。
ADMPCにおける遺伝子の発現をRT−PCRにより調べた。対照として、特表2005−502352号公報記載の方法により得られた脂肪組織由来幹細胞(以下、「ADSC」という)を用いた。RT−PCRを、以下の通りに行った。得られた細胞から、Mag−Extractorキット(TOYOBO)を用いて製造元の推奨プロトコールに従い、トータルRNAを単離した。トータルRNA500ngをDNase処理し、Superscript III逆転写酵素RNase H(−)(Invitrogen)を用いて、cDNAを合成した。Islet−1、Nkx2.5、GATA−4、α−CA、MLC、MHC、およびGAPDHについて、KOD−plus(TOYOBO)を用いて、以下の条件でRT−PCRを行った:94℃で2分間変性、次に、94℃で15秒間の変性、予め決定した温度で30秒間のアニーリング、68℃で30秒間の伸長を40サイクル。各遺伝子についてのアニーリング温度およびプライマー配列を表1に示す。得られた増幅産物を2% アガロースゲルにて電気泳動した。結果を図2および3に示す。ADMPCが未分化マーカーであるIslet−1を発現していること、ならびに心筋芽細胞のマーカーであるα−CAおよびMLCを発現していないことを確認した。
DMSO(群1)、またはOP9培養上清(群2)を含む培地IにてADMPCを14日間培養し、得られた細胞における遺伝子の発現を上述の通りRT−PCRにより調べた。対照として、培地Iにて培養したADMPCを用いた。結果を図7に示す。群1および2の細胞において、心筋芽細胞のマーカーであるα−CAおよびMLCが発現していること、すなわち、ADMPCが心筋芽細胞へと分化・誘導されたことが確認できた。
次に、ADMPCをDMSO存在下で1、2、3、4、5、7、10、14日間培養して、心筋芽細胞への分化を調べた。対照としてADMPCおよび心筋細胞を用いた。結果を図8から12に示す。DMSO存在下で培養することにより、心筋芽細胞を得られることが分かった。
得られた心筋芽細胞を、DMSOを含む培地I中、温度感受性培養皿(株式会社セルシードより供与)中37℃にて培養し、細胞塊を形成させた。20℃以下にて30分間インキュベーションすることにより、細胞塊を剥離させ、心筋芽細胞を含むシートを得た(図13参照)。得られたシートを以下の移植実験に用いた。
ヌードラットの冠動脈を結紮することにより、心筋梗塞モデルラットを作成した。次に、傷害領域に心筋芽細胞を含むシートを移植した。移植後2週間および10週間における心機能を、エコーにより、拡張末期径(LVDd)、収縮末期径(LVDs)、左室駆出率(%EF)および左室内径短縮率(%FS)を計測して、評価した。対照として、上記同様形成させたADMPCを含むシートを用いた。結果を図14から19に示す。心筋芽細胞を含むシートを移植して2週間および10週間後のラットにおいて、壁運動を確認し、心機能が著しく改善されていることが分かった。これに対し、ADMPCを含むシートを移植したラットにおいて、2週間後では壁運動を確認したが、10週間後では確認できなかった。
移植後12週間にラットを犠牲死させて、心臓を摘出した。摘出した心臓を4% パラホルムアルデヒド液で固定した後、70% エタノールに置換した。固定した心臓を数ミリ幅に切り出し、パラフィンで固めてブロックを作製した。得られたパラフィンブロックをミクロトームを用いて2μmに薄切し、スライドガラスに張り付け、乾燥させた。得られた薄切片についてヘマトキシリン・エオジン染色および免疫組織染色を以下の通り行った。
薄切片を脱パラフィンし、水で洗浄した。ヘマトキシリン液で10分間染色し、ぬるま湯で3分間色だしした。水洗後、エオジンで5分間染色した。アルコールで分別、脱水した。キシレンで透徹後封入し、顕微鏡にて観察した。結果を図20および21に示す。移植したシートが生着していることが確認できた。
薄切片を脱パラフィンし、水で洗浄した。免疫賦活処理し、10% 正常ヤギ血清を添加したTBS−Tに浸漬し、4℃にて24時間ブロッキングした。TBS−Tで洗浄後、10% 正常ヤギ血清を添加したTBS−Tで100倍希釈した1次抗体を試料に滴下し、37℃で1時間反応させた。1次抗体として、抗ヒトα−cA抗体(AmericanResearch Products,Inc)、抗ヒトMHC抗体(Upstate cell signaling solutions)および抗ヒトHLA−ABC抗体(株式会社 ホクドー)を用いた。TBS−Tで洗浄後、シンプルステインラットMAX−PO(株式会社ニチレイバイオサイエンス)を滴下し、室温で30分間反応させた。TBS−Tで洗浄後、シンプルステインAEC溶液(株式会社ニチレイバイオサイエンス)を滴下し、検鏡しながら発色させた。水で洗浄後、ヘマトキシリン液で3分間染色し、核染色を行った。水で洗浄後、非水溶性封入剤(株式会社ニチレイバイオサイエンス)を滴下し、カバーガラスで封入し、顕微鏡にて観察した。結果を図22から27に示す。心筋芽細胞を含むシートを移植した部位が、HLA−ABC陽性、すなわちヒト由来であり、α−CAおよびMHCを発現していることが確認できた。従って、移植した心筋芽細胞が心筋細胞に分化転換していることが分かった。
1.膵臓細胞への分化能
ADMPCを国際公開公報WO2007/039986に記載の方法により、膵内分泌細胞へ分化させた。得られた膵内分泌細胞を図28に示す。ADMPCは、膵内分泌細胞に分化できること、すなわち、膵前駆細胞としての機能を有することを確認した。また、かかるADMPCから膵内分泌細胞への分化の効率は、ADSCからのものと比較して高いものであった(データは示していない)。
肝前駆細胞を肝芽細胞・肝細胞へと分化させることが知られているDMSO(0.1%)、HGF(10ng/mL)、bFGF(10ng/mL)、およびオンコスタチンM(10ng/mL)を培地Iに添加して培地IIを調製した。ADMPCを培地II中で14日間培養し、肝細胞を得た。得られた肝細胞を図29に示す。ADMPCは、肝細胞へと分化できること、すなわち、肝前駆細胞としての機能を有することを確認した。また、ADMPCから肝細胞への分化の効率は、ADSCからのものと比較して高いものであった(データは示していない)。
ADMPCを、脂肪細胞分化剤であるPPAR−γアゴニストを用いて培養し、脂肪細胞へ分化させた。得られた脂肪細胞をオイルレッドO染色し、脂質含有量を測定した。対照としてADSCを用いた。結果を図34に示す。ADMPCは、脂肪細胞へと分化できること、すなわち、脂肪前駆細胞としての機能を有することが分かった。また、かかる分化の効率は、ADSCと比較して高いものであった。以上より、ADMPCが多系統細胞に分化する能力を有する細胞であることを確認した。
ヒト脂肪組織を大きさ2〜3mm2の断片に刻み、コラゲナーゼIを用いて消化した。消化物を、10% FBSおよび抗生剤を含むDMEMにて24〜36時間培養し、0.02% EDTAで処理して、脂肪組織由来細胞を得た。得られた脂肪組織由来細胞を60% DMEM(低グルコース)、40% MCDB201、1×ITS(10.0mg/L インスリン、5.5mg/L トランスフェリン、6.7ng 亜セレン酸ナトリウム)、10ng/mL rhEGF、1nM デキサメサゾン、0.1mM アスコルビン酸、および5% FCS(Hyclone)を含む培地中、フィブロネクチンコートディッシュで3〜5継代培養して拡大した。脂肪組織由来細胞の顕微鏡像を図35に示す。
脂肪組織由来細胞を0.25% トリプシン/EDTA(ナカライテスク)で処理して解離させ、単一化した細胞を、20% FCS、1mM グルタミン(GIBCO Invitrogen)、および1% 非必須アミノ酸(GIBCO Invitrogen)を含むノックアウトDMEM(GIBCO Invitrogen)中、低接着培養ディッシュ(Hydrocell;セルシード)にて2〜3日間培養した。細胞は自己凝集し、アディポスフェアを形成した。アディポスフェアの顕微鏡像を図36に示す。
得られたアディポスフェアを、PBSにて2〜3回洗浄(1000〜1200rpmにて遠心)し、60% DMEM(低グルコース)、40% MCDB201、1×ITS、1nM デキサメサゾン、100μM アスコルビン酸、10ng/mL rhEGF、bFGF、HGFおよびOSM(オンコスタチンM)を含む培地中、低接着培養ディッシュ(Hydrocell;セルシード)にて3〜4週間培養した。培養開始の10日目から0.1% DMSOを添加して、肝小葉様細胞塊を得た。得られた肝小葉様細胞塊の顕微鏡像を図37に示す。
1.RNAの抽出
肝小葉様細胞塊からのRNAの抽出を、RNeasy Protect Mini Kit(QIAGEN)を用いて、以下の通り行った。肝小葉様細胞塊を回収し、10μl/ml 2−メルカプトエタノール(Naacalai Tesqu)を含むバッファーRLTを600μl/107細胞の割合で加えた。20G針でピペッティングして、細胞をホモジェナイズし、次に、70% エタノール600μlを添加した。得られた混合液700μlを2mlのコレクションチューブ内のRNeay Miniカラムに移し、1000rpmにて15秒間遠心した。次に、バッファーRW1 350μlをカラムに添加し、1000rpmにて15秒間遠心した。DNase Iストック溶液(QIAGEN)10μlを、バッファーRDD 70μlに添加して転倒混和し、RNeasy Miniカラム内のRNeasyシリカゲルメンブレンに添加し、室温で15分間インキュベーションした。バッファーRW1 350μlを添加し、1000rpmにて15秒間遠心した。2mlコレクションチューブを新たなものに交換した。カラムにバッファーRPE 500μlを添加し、1000rpmにて15秒間遠心した。さらに、バッファーRPE 500μlを添加し、1000rpmにて2分間遠心し、次に、1500rpmにて1分間遠心した。カラムを1.5mlコレクションチューブに移し、RNase free water30〜50μlをRNeasyシリカゲルメンブレンに添加し、1000rpmにて1分間遠心し、RNAを抽出した。
抽出したRNA溶液11.5μlに、0.5mM Random Primer(Invitorogen)0.5μlおよび10mM dNTPmix(Invitorogen)1μlを添加し、65℃にて5分間反応させ、次に、氷上で冷却した。得られた混合物に5×First−Strandバッファー(Invitorogen)4μl、0.1M DTT(Invitorogen)1μl、RNaseOUT(Invitorogen)1μl、およびSuperScript III RT(Invitorogen)1μlを添加し、25℃で5分間、50℃で60分間、70℃で15分間反応させ、1本鎖cDNAを作成した。得られたcDNAを使用まで4℃にて保存した。
作成したcDNA 9μlに、TaqMan Universal PCR Master Mix(Applied Biosystems)10μlおよびTaqMan Gene Expression Assays(Applied Biosystems)1μlを添加した。Applied Byosytems 7900 Fast Real−Time PCRシステムにて次の条件でリアルタイムPCRを行った:95℃で10分間変性、95℃で15秒間および60℃で1分間を40サイクル。α−フェトプロテイン、アルブミン、CYP1B1、CYP2B6、グルタミン合成酵素、ケラチン18およびケラチン19について用いたTaqManプローブを以下の表3に示す。また、内部標準としてGAPDH(Applied Biosystems)を用いた。対照試料として、Seo MJ. et al., 2005 Mar 4; 328(1): 258-64記載の方法により得られた肝細胞(「従来法」と表す)、線維芽細胞、HepG2、および脂肪組織由来細胞(「ADSC」と表す)を用いた。結果を図38〜43に示す(図中の縦軸は、蛍光強度を示す)。本発明の方法により得られた肝小葉様細胞塊が、従来法で得られた肝細胞と比較して、α−フェトプロテイン、アルブミン、ケラチン18、ケラチン18、ケラチン19、CYP1B1およびグルタミン合成酵素を高発現することが分かった。また、アルブミンを除くこれらの遺伝子の発現は、HepG2におけるものより有意に高かった。
A.ウエスタンブロット分析
1.試料の調製
肝小葉様細胞塊をPBS(Nacalai Tesque)で3回洗浄し、次に、M−PER(PIERCE)を添加した。細胞を超音波破砕にて溶解し、14000gにて15分間遠心して、未溶解の細胞成分を除去した。試料と当量のサンプルバッファー(Nacalai Tesque)を添加し、100℃にて5分間ボイルし、氷冷した。得られた試料のタンパク質濃度を、BCA Protein Assay Reagent(PIERCE)を用いて測定した。
電気泳動用ゲルミニプレート(PAG ミニ「第一」;第一化学薬品)、ランニングバッファーを用いて、SDS−PAGEを行った。用いたタンパク質の量は、5μgであった。泳動条件は、スタッキングゲル中は10mA、ランニングゲル中は40mAとした。
上記の泳動したゲルをブロティングバッファーで10分間洗浄した。次に、ゲル中のタンパク質を、Wet式ブロティング(100mA、一晩)にてニトロセルロースメンブレンに写し取った。
メンブレンを0.1% Tween20含有PBSにて10分間洗浄した。ブロッキングワン(Nacalai Tesque)を用いて室温で1時間反応させた。1次抗体として、Human Albumin抗体(BETHYL)またはAlpha Fetoprotein Ab−2(LAB Vision)の500倍希釈液と1時間反応させた。0.1% Tween20含有PBSにて15分間洗浄した(3回)。2次抗体として、ポリクローナルブタ抗ウサギ免疫グロブリン/HRPまたはポリクローナルウサギ抗ヤギ免疫グロブリン/HRPの1000倍希釈液と1時間反応させた。0.1% Tween20含有PBSにて15分間洗浄した(3回)。ECL Plus Western Blotting Detection Reagentsを用いてバンドを検出した。結果を図44および45に示す。本発明の方法により得られた肝小葉様細胞塊が、α−フェトプロテインおよびアルブミンを十分量産生することが分かった。
1.切片の作成
肝小葉様細胞塊をPBS(Nacali Tesque)で3回洗浄し、遠心した。得られたペレットをTissue−Tek OCT−compound(Sakura Fineteck Inc.)に包埋し、−30℃で保存した。クリオスタットを用いて7μmの切片を作成し、スライドガラスに貼付し、−30℃にて保存した。
上記の切片をドライヤーで乾燥させ、4% パラホルムアルデヒドにて30分間固定した。PBSにて5分間3回洗浄した。ブロッキングワン(Nacalai Tesque)を用いて室温にて1時間反応させた。PBSで5分間3回洗浄した。1次抗体のポリクローナルウサギ抗ヒトアルブミン抗体(DAKO)の400倍希釈液、またはポリクローナルウサギ抗ヒトα−1−フェトプロテイン抗体(DAKO)の300倍希釈液と1時間反応させた。PBSで10分間3回洗浄した。2次抗体のAlexaFluor[商標]466ヤギ抗ウサギIgG抗体(Molecular Probes)の500倍希釈液と1時間反応させた。PBSで10分間3回洗浄した。Perma Fluor(日本ターナー)を用いて包埋し、顕微鏡にて観察した。結果を図46および図47に示す。肝小葉細胞塊におけるα−フェトプロテイン、およびアルブミンの存在を確認した。これにより、肝小葉細胞塊が実際にこれらのタンパク質を産生することが分かった。
1.尿素の生成
肝小葉様細胞塊を5mM NH4Cl含有ハンクス緩衝塩溶液(Gibco)5ml中で2時間インキュベーションした。上清0.5mlの尿素濃度を、QuantiChrom Urea Assay Kit(Bioassay Systems)を用いて測定した。得られた濃度に上清の総体積をかけて、トータルの生成尿素量を計算した。対照としてHepG2を用いた。
NH4Cl含有ハンクス緩衝塩溶液を除去し、肝小葉様細胞塊をPBSにて洗浄した。緩衝液を添加し、超音波破砕を行い、細胞をホモジェナイズした。細胞ホモジネート50μlに緩衝液1mlを加え、さらに発色液50μlを添加して、攪拌した。得られた溶液の蛍光値を、励起:356nm、放出:458nmにて測定し、DNA濃度を決定した。DNA濃度に、添加した緩衝溶液の体積をかけて総DNAを計算した。
得られたトータルの生成尿素量を総DNA量で割り、総生成尿素量を決定した。結果を図48に示す。肝小葉様細胞塊がHepG2と比較して、十分量の尿素を産生したことが分かった。これにより、本発明により得られる肝小葉様細胞塊が十分な解毒作用を有することが確認できた。
1.マウス肝炎モデルの作成
NOD−SCIDマウスに、四塩化炭素(CCl4)を300μl/kgにて週2回、12週間腹腔内注入し、マウス肝炎モデルを作成した。
肝小葉様細胞塊をハンクス緩衝塩溶液で洗浄し、遠心してペレットとした。上記のマウスをセボフルエンにて麻酔した。左傍正中切開にて開復し、左腎臓を露出し、腎皮膜を剥離してポケットを作成した。作成したポケット内にペレット化した細胞塊を注入して移植した。腹壁を2層にて閉腹した。
移植10日目に、マウスから採血し、血中ビリルビン濃度を測定した。結果を図49に示す。肝小葉様細胞塊を移植した群は、移植しなかった群と比較して、血中ビリルビン濃度が低減されることが分かった。これにより、本発明の方法により得ることのできる肝小葉様細胞塊が、肝機能の低下により生じる疾患の治療に有効であることが分かった。
SEQ ID NO:2:Islet-1 reverse primer
SEQ ID NO:3:Nkx2.5 forward primer
SEQ ID NO:4:Nkx2.5 reverse primer
SEQ ID NO:5:GATA-4 forward primer
SEQ ID NO:6:GATA-4 reverse primer
SEQ ID NO:7:α-CA forward primer
SEQ ID NO:8:α-CA reverse primer
SEQ ID NO:9:MLC2v forward primer
SEQ ID NO:10:MLC2v reverse primer
SEQ ID NO:11:MHC forward primer
SEQ ID NO:12:MHC reverse primer
SEQ ID NO:13:GAPDH forward primer
SEQ ID NO:14:GAPDH reverse primer
Claims (4)
- 心筋芽細胞を含むシートの製造方法であって、
下記工程:
(a)DMSOの存在下で、脂肪組織由来幹細胞を心筋芽細胞に分化させる工程;そして
(b)心筋芽細胞を含むシートを形成させる工程;
を含む、方法。 - 脂肪組織由来幹細胞がADMPCである、請求項1に記載の方法。
- DMSOの存在下で、脂肪組織由来幹細胞を心筋芽細胞に分化させる工程を含む、心
筋芽細胞の製造方法。 - 脂肪組織由来幹細胞がADMPCである、請求項3に記載の方法。
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