JP5229458B2 - 摺動性に優れたポリアセタール樹脂組成物 - Google Patents
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Description
本発明において、10量体以下の環状シロキサンオリゴマーとしては、例えば、次に示す一般式
(化1)
(R1R2SiO)m
(式中R1、R2は炭素数1〜8のアルキル基またはフェニル基を示し、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、これらは同一でも異なっていてもよい。mは3〜10の整数を示す。)
で表される化合物が挙げられる。これらの環状シロキサンオリゴマーのポリアセタール樹脂組成物中における含有量は、100ppm以下であることが高信頼性を発現させるために必要である。さらに好ましくは50ppm以下である。
前記オキシメチレン基以外の構成単位としては例えば、オキシエチレン基(−CH2CH2O−)、オキシプロピレン基(−CH2CH2CH2O−)、オキシブチレン基(−CH2CH2CH2CH2O−)等の炭素数2以上10以下の、分岐していてもよいオキシアルキレン基が挙げられ、中でも炭素数2以上4以下の分岐していてもよいオキシアルキレン基が好ましく、特にオキシエチレン基が好ましい。またこの様な、オキシメチレン基以外のオキシアルキレン構造単位の含有量としては、ポリアセタール樹脂中において0.1重量%以上40重量%以下であることが好ましい。
コモノマーである環状ホルマールおよび/またはエーテルとしては、例えば、1,3−ジオキソラン、2−エチル−1,3−ジオキソラン、2−プロピル−1,3−ジオキソラン、2−ブチル−1,3−ジオキソラン、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン、2−フェニル−2−メチル−1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、2,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン、2−エチル−4−メチル−1,3−ジオキソラン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン、2,2,4−トリメチル−1,3−ジオキソラン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン、4−ブチルオキシメチル−1,3−ジオキソラン、4−フェノキシメチル−1,3−ジオキソラン、4−クロルメチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキカビシクロ[3,4,0]ノナン、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、エピクロルヒドリン、スチレンオキシド、オキシタン、3,3−ビス(クロロメチル)オキセタン、テトラヒドロフラン、およびオキセパン等が挙げられる。これらの中でも1,3−ジオキソランが特に好ましい。
オキシメチレン共重合体は、下記一般式(1)で示される構造を有するトリオキサン100重量部に対して、0.3〜50重量部の1種あるいは2種以上のコモノマーと共重合して得られたものである。
また、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル等の多官能エポキシ化合物を架橋・分岐剤として添加しても良い。
前記触媒の使用量は、トリオキサン1モルに対して、通常1×10−7〜1×10−3モルであり、好ましくは1×10−7〜1×10−4モルである。触媒の使用量がこれより多いと熱安定性が低下し、少ないと重合収率が低下する。
一般に、これら分子量調整剤は目標とする分子量に応じて、モノマー100重量部に対して0〜1.0重量部の範囲で添加量が調整される。
これら分子量調節剤は、通常、トリオキサンとコモノマーの混合原料液に供給される。添加位置に特に制限はないが、カチオン活性触媒を該混合原料液に供給する前に供給するのが好ましい。
重合時間には、重合収率又は熱安定性の面からコモノマーの割合によって好ましい下限が存在し、コモノマーの割合が増加するに伴い重合時間も長くする必要がある。例えば、トリオキサン100モルに対して1,3−ジオキソランを11〜20モル共重合させる場合には、5〜120分、好ましくは6〜60分が適当である。
失活剤として用いられる有機アミン系化合物としては、一級、二級、三級の脂肪族アミンや芳香族アミン、ヘテロ環アミン等が使用でき、具体的には、例えば、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノ−n−ブチルアミン、ジ―n―ブチルアミン、トリプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、N,N−ジメチルブチルアミン、アニリン、ジフェニルアミン、ピリジン、ピペリジン、モルホリン、メラミン、メチロールメラミン等が挙げられる。
これら例示される触媒失活剤の中でも3価の有機リン化合物および3級アミンが好ましい。3価の有機リン化合物の中で、特に好ましい化合物は熱的に安定でかつ熱による成形品の着色弊害を及ぼさないトリフェニルホスフィンである。3級アミンの中で、特に好ましい化合物はトリエチルアミンおよびN,N−ジメチルブチルアミンである。
失活剤は完全に触媒を失活させる量入れる必要は無く、後述の有機アミン添加加熱保持時に粗ポリアセタール共重合体の分子量低下が製品の許容範囲に抑えられるようにすればよい。失活剤の使用量は、使用触媒のモル数に対して、通常0.01〜500倍、好ましくは0.05〜100倍である。
失活剤を溶液、懸濁液の形態で使用する場合、使用される溶剤は特に限定されるものではない。例えば、水、アルコール類、原料モノマー、コモノマー、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチレンジクロライド、エチレンジクロライド等の脂肪族または芳香族の各種有機溶媒が挙げられる。これらは、混合して使用することも可能である。
押出機には、ニーディング部は総長さとして2D1〜10D1設置される必要があり、この範囲よりニーディング部が短いと粗ポリアセタール樹脂の溶融が不十分となり、あるいは粗ポリアセタール樹脂に予め安定剤と混合させている場合は粗ポリアセタール樹脂と安定剤との混合が不十分になり安定剤を過剰に入れなければ目的とする効果が得られず、またこの範囲よりニーディング部が長いとニーディング部の過剰なせん断応力によりポリアセタール樹脂が分解してしまい着色あるいは粘度(あるいは分子量)低下による不安定構造が新たに形成されてしまう等の弊害が生ずる。ニーディング部以外のスクリューには過剰なせん断応力が発生しないフライト部(スクリュー状のセグメント)を設置することが望ましい。
ニーディング部はスクリュー長さ方向に対し、2D1〜10D1の長さ連続して設置される必要はなく、ニーディング部とニーディング部の間にフライト部を導入する構成として、ニーディング部を2ゾーンあるいは2ゾーン以上に分割して押出機のスクリューに設置することもできる。
押出機で粗ポリアセタール樹脂を溶融させる際に、失活処理した粗ポリアセタール樹脂に予め、添加剤、例えば酸化防止剤、熱安定剤、摺動剤等を一括あるいは分割して添加しておくことができる。
熱安定剤としては、メラミン、メチロ−ルメラミン、ベンゾグアナミン、シアノグアニジン、N,N−ジアリールメラミン等のアミン置換トリアジン類、ポリアミド類、尿素誘導体、ヒドラジン誘導体、ウレタン類等およびナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウムの無機酸塩、水酸化物、有機酸塩等が例示される。
その他の添加剤の例として、着色剤、核剤、蛍光増白剤、又はペンタエリスリトールテトラステアレート等の脂肪酸エステル系又はシリコン系化合物等の離型剤、ポリエチレングリコール、グリセリンのような帯電防止剤、高級脂肪酸塩、ベンゾトリアゾール系またはベンゾフェノン系化合物のような紫外線吸収剤、あるいはヒンダードアミン系のような光安定剤が例示される。
これら添加剤を添加する場合は1種類あるいは2種類以上添加することができ、また添加量は各種添加剤に応じてそれぞれ適宜選択する必要があるが、各添加剤それぞれポリアセタール樹脂100重量部に対し、0.001〜5.0重量部添加される。
本発明のポリエチレン樹脂(B)としては、数平均分子量で2×104〜50×104のものが好適に使用される。ポリエチレン樹脂としては、低密度ポリエチレン、エチレンとα−オレフィンとの共重合体からなる直鎖状低密度ポリエチレンおよび超低密度ポリエチレンが挙げられ、中でも低密度ポリエチレンが好適に用いられ、低密度ポリエチレン樹脂(直鎖低密度ポリエチレン樹脂やその共重合体を含む。)とは密度が0.910〜0.940g/cm3のものを示し、また超低密度ポリエチレン樹脂とは密度が0.875g/cm3以上で0.910g/cm3未満のものを示す。低密度ポリエチレンは、高密度ポリエチレンと比較して結晶性が低いので、ポリアセタールとある程度混和し、摩擦摩耗特性がより向上するので好ましい。また、ポリエチレン樹脂は、従来のマルチサイト触媒により重合されたものでも、シングルサイト触媒を用いて重合されたものでも良い。また、グリシジルメタクリレートなどのエポキシや無水マレイン酸などの酸無水物などで変性されたポリエチレン樹脂でも良い。本発明に用いるポリエチレン樹脂の溶融粘度は、通常、ASTM−D1238に基づく溶融指数(MI)(測定条件:190℃、2.16kg荷重下)が好ましくは0.01〜150g/10分であり、より好ましくは0.1〜100g/10分であり、ポリエチレン樹脂の溶融指数が前記0.01g/10分未満であると、ポリアセタール樹脂中での分散性が低下し、摩擦摩耗特性の低下や機械物性の低下が生ずる場合がある。一方、前記150g/10分を超えると、摩擦摩耗特性が低下する場合がある。
シリコーンオイル(C)とポリエチレンワックスとポリエチレン樹脂(B)の重量比は0.01〜4の範囲が好ましく、より好適には0.05〜2の範囲である。
減圧脱揮の時間は15〜60分とすることが好ましい。減圧脱揮の時間が15分より短いと粗ポリアセタールが溶融時に発生させるホルムアルデヒドガス及び環状シロキサンオリゴマーを十分に脱揮することができない。またせん断応力が押出機に比べはるかに弱い2軸の表面更新型横型反応機内でも滞留時間が60分を超えるとポリアセタール樹脂が黄変あるいは主鎖分解による熱安定性低下してしまう結果となり好ましくない。減圧脱揮時に窒素ガス等の不活性ガスあるいは脱揮減圧条件で気化するアルコールや水等を減圧処理設備に導入し外部からの空気の混入を避けることや、あるいは減圧度を制御することも好適である。
(A)ポリアセタール樹脂
トリオキサンと1,3−ジオキソランとのオキシメチレンコポリマーで、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製のポリアセタール樹脂(溶融指数(MI):45g/10分)を用いた。
ポリアセタール樹脂; 商品名ユピタールF40−03
尚、MIの測定は、ASTM−D1238(190℃、2.16kg荷重下)に基づく
(A)粗ポリアセタール樹脂トリオキサン100重量部に対して、1,3−ジオキソラン4.5重量部、触媒として三フッ化ホウ素ジエチルエーテラートをベンゼン溶液(0.62mol/Kg−ベンゼン)として全モノマー1molに対して0.06mmol、及び分子量調整剤としてメチラールをベンゼン溶液(25重量%)として、全モノマーに対して2000ppm連続添加し、温度を65℃に設定したジャケットを有するセルフクリーニング型パドルを持つ二軸のニーダー中で、重合機の滞在時間が15分になる様に連続的に重合を行った。
生成した重合物に対して、トリフェニルホスフィンをベンゼン溶液(25重量%)として、添加した三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート 1molに対して2molとなる様に添加し、触媒を失活後、粉砕して粗ポリアセタール樹脂を得た。MI値は48.0あった。
三井化学(株)製、商品名:ハイワックス405MP、分子量4000、酸価1
低密度ポリエチレン(密度0.916g/cm3、数平均分子量22000)(日本ユニカー(株)製、商品名:NUC−8350、MI:18g/10分)尚、MIの測定は、JIS K6922−2に基づく。
25℃における動粘度100×104cSt(信越化学工業(株)製、ポリジメチルシロキサン、商品名:KF-96-1000000CS)
(i)試験片の成形
評価用のポリアセタール樹脂組成物を、シリンダー温度200℃、金型温度80℃の条件下で射出成形により円筒型スラスト試験片(サイズ:外径25.6mm×内径20.0mm×高さ15.0mm)に成形した。
(ii)摩擦摩耗試験機
オリエンテック(株)製、スラスト式摩擦摩耗試験機を用いた。
(iii)評価方法
同一円筒形状の上記射出成形試験片を、自材と相手材用のスラスト試験片として用いた。前記自材と相手材の端面同士を上部側を自材、下部側を相手材として、突合せ面が水平面となるように配置した。上部側の自材を固定し、下部側の相手材を円周方向に回転させることにより動摩擦係数(μ)を求めた。
測定条件は、温度23℃、湿度50%雰囲気下で、面圧力0.25MPa、回転運動の平均内径の線速度0.1m/秒とした。
上記(1)と同様の円筒型スラスト試験片、及び試験機を用い、温度23℃、湿度50%雰囲気下で、面圧力0.05MPa、平均内径の線速度0.3m/秒にて20 時間走行させ、比摩耗量を求めた。
尚、比摩耗量の単位は[×10−2mm3/kg・km]とした。
パージアンドトラップ-ガスクロマトグラフを用いて測定を行った。検量線は東京化成工業株式会社製の試薬を用いて行った。尚、検出感度は量数に依存しないことが確認されたため、6量体のものを検量線として用いた。
<装置条件>
GC;HP−6890
Column;HP−5(φ0.32mm×30m×t0.5μm)
Oven Temp;50℃(2分)−20℃/分−320℃(5分)
Inj Temp;300℃
Detector;FID
Carrier;2.0ml/分(He)
Purging Time;10分
Purging Temp;210℃
ポリアセタール樹脂(A)100重量部に対して、ポリエチレンワックス(B)1.5重量部、シリコーンオイル(C)1重量部、及びポリエチレン樹脂(B)1重量部を、スーパーミキサー((株)カワタ製)を用いて混合したのち、表1に記載の条件で二軸押出機〔池貝鉄工(株)製、型式:PCM−30〕を用いて樹脂組成物(ペレット形状物)を得た。続いてこの樹脂組成物からそれぞれ射出成形機を用いて円筒型スラスト試験片を成形し、動摩擦係数、比摩耗量の評価に供するとともにペレット中の環状シロキサンオリゴマーの含有率を測定した。
粗ポリアセタール樹脂(A)100重量部に対して、安定剤としてトリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(チバガイギー社製、商品名イルガノックス245)0.3重量部、メラミン0.1重量部、水酸化マグネシウム0.05重量部、更には、ポリエチレンワックス(B)1.5重量部、シリコーンオイル(C)1重量部、及びポリエチレン樹脂(B)1重量部を、スーパーミキサー((株)カワタ製)を用いて混合したのち、表1に記載の条件で二軸押出機〔池貝鉄工(株)製、型式:PCM−30〕を用いて樹脂組成物(ペレット形状物)を得た。続いてこの樹脂組成物からそれぞれ射出成形機を用いて円筒型スラスト試験片を成形し、動摩擦係数、比摩耗量の評価に供すると共にペレット中の環状シロキサンオリゴマーの含有率を測定した。
粗ポリアセタール共重合体100重量部に、安定剤としてトリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(チバガイギー社製、商品名イルガノックス245)0.3重量部、メラミン0.1重量部、水酸化マグネシウム0.05重量部、更には、ポリエチレンワックス(B)1.5重量部、シリコーンオイル(C)1重量部、及びポリエチレン樹脂(B)1重量部を、スーパーミキサー((株)カワタ製)を用いて混合したのち、自動定量フィード機能の付いたホッパーより、フィード口から10.5〜14.0D1の位置に長さ3D1のニーディング部が設置され、14.0〜17.5D1、24.5〜28.0D1の位置にベントが設置され、24.5〜28.0D1のベント前方下部にシールリング(0.5D)を導入した同方向回転型2軸押出機(内径69mm, L/D31.5)に60kg/時間で導入し、粗ポリアセタール共重合体をベント部で20kPaの減圧として220℃で溶融させ、連続的に2軸の表面更新型横型混練機に導入した。2軸の表面更新型横型反応機中(実効内容積60L:全内容積から攪拌翼が占める体積を除いた体積)での滞在時間が25分となるように液面調整をおこない、20kPaの減圧下220℃で減圧脱揮をおこないながら連続的にギアポンプで抜き出し、樹脂組成物(ペレット形状物)を得た。続いてこの樹脂組成物からそれぞれ射出成形機を用いて円筒型スラスト試験片を成形し、動摩擦係数、比摩耗量の評価に供すると共にペレット中の環状シロキサンオリゴマーの含有率を測定した。
Claims (4)
- 粗ポリアセタール樹脂(A)100重量部に対し、数平均分子量500〜15000のポリエチレンワックス0.1〜10重量部及び/又は数平均分子量2*104〜50*104のポリエチレン樹脂(B)0.1〜10重量部、並びに25℃における動粘度が50*104cSt以上のシリコーンオイル(C)0.1〜5重量部を添加した後、二軸押出機で溶融させ、溶融状態のまま二軸の表面更新型横型混練機に連続的に導入し、内部樹脂温度が190〜240℃で且つ−50kPa以上の減圧下で15〜60分間、減圧脱揮を行うことを特徴とするポリアセタール樹脂組成物の製造方法。
- ポリアセタール樹脂(A)中の触媒を失活処理し、次いでシリコーンオイル(C)を添加した後、更に酸化防止剤又は熱安定剤を添加して加熱溶融し、熱的に不安定な構造を分解除去することを特徴とする請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物の製造方法。
- 触媒の失活剤がトリフェニルフォスフィンであることを特徴とする請求項2に記載のポリアセタール樹脂組成物の製造方法。
- 酸化防止剤がヒンダードフェノール系酸化防止剤、並びに熱安定剤が塩基性の熱安定剤であることを特徴とする請求項2に記載のポリアセタール樹脂組成物の製造方法。
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