しかしながら、従来のDIN搭載のナビゲーション装置を含むナビゲーションシステムは、ナビゲーション装置本体の筐体に金属筐体を使用するため、前述したような電波の受信の問題から、GPSアンテナをナビゲーション装置本体の筐体と一体化して設置することができず、配線を介してGPSアンテナを車両ルーフ上やダッシュボード上等に設置する必要があった。よって、ユーザにとって、GPSアンテナの設置位置を決めたり、配線が目立たないように設置したりなどする手間が生じるという問題点を有していた。
また、特許文献1および特許文献2に開示のナビゲーション装置は、ナビゲーション装置本体の筐体として樹脂筐体を使用するため、ナビゲーション装置本体の強度が金属筐体を使用した場合に比べて低くなるという問題を有していた。さらに、特許文献1および特許文献2に開示のナビゲーション装置は、ナビゲーション装置本体の筐体として樹脂筐体を使用しているので、ナビゲーション装置本体から筐体外部への電磁ノイズの放射や筐体外部からの電磁ノイズの重畳などの問題が生じやすく、電磁ノイズの対策のために余分な手間が多くかかるという問題点を有していた。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、車両のDINスペースに収納されるナビゲーション装置を含むナビゲーションシステムにおいて、設置時のユーザの手間をより低減させるとともに、強度がより高く、且つ、電磁ノイズにより強いナビゲーションシステムを実現することにある。
請求項1のナビゲーションシステムは、上記課題を解決するために、略直方体状の金属筐体に納められて車両のDINスペースに収納されるナビゲーション装置を含むナビゲーションシステムであって、GPS衛星からの電波を受信するGPSアンテナを含み、前記ナビゲーション装置は、前記金属筐体にへこみが設けられているととともに、前記金属筐体の前記へこみの部分の一部に前記金属筐体を貫通する貫通孔が設けられていて、前記へこみの部分に少なくとも高さが収まるように前記GPSアンテナが搭載されており、前記貫通孔を通して一部が前記金属筐体の外部に露出しており、且つ、その露出した部分が前記へこみに少なくとも高さが収まっている回路基板を有していて、前記GPSアンテナは、前記回路基板上に実装されている平面アンテナであって、前記回路基板上の配線によって前記ナビゲーション装置と連絡されており、前記へこみは、前記GPSアンテナの受信対象となるGPS衛星が少なくとも0°よりも大きい最低仰角にあるとした場合のこのGPS衛星と前記GPSアンテナの端部とを結ぶ線分が前記金属筐体によって遮られることのない形状に設けられていることを特徴としている。
これによれば、ナビゲーション装置を納める金属筐体のへこみの部分に収まるようにGPSアンテナが搭載されているので、GPSアンテナの設置位置を決めたり、配線が目立たないように設置したりなどする手間をユーザに生じさせずに済む。また、このへこみの部分に少なくとも高さが収まるようにGPSアンテナが搭載されているので、ユーザがこのナビゲーション装置を車両のDINスペースに収納する場合に、このGPSアンテナが収納の邪魔になりにくい。他にも、回路基板は金属筐体のへこみに少なくとも高さが収まるので、このナビゲーション装置を車両のDINスペースに収納する場合に、この回路基板が収納の邪魔になりにくい。
さらに、以上の構成によれば、ナビゲーション装置本体の筐体として金属筐体を使用することになるので、ナビゲーション装置本体の筐体として樹脂筐体を使用する場合に比べてナビゲーション装置本体の強度を強くすることができ、ナビゲーションシステムの強度を強くすることができる。また、以上の構成によれば、金属筐体にへこみを設けるので、へこみの部分の曲げ構造によって、ナビゲーション装置本体の強度をより強くすることが可能になる。例えばナビゲーション装置の金属筐体の天板部分の金属を取り除いて、代わりに樹脂でカバーする場合に比べて、へこみの部分の曲げ構造によってナビゲーション装置本体の強度を強くすることができる。さらに、以上の構成によれば、ナビゲーション装置本体の筐体として金属筐体を使用しているので、ナビゲーション装置を構成する電子部品などからの筐体外部への電磁ノイズの放射や筐体外部からの電磁ノイズを、ナビゲーション装置本体の筐体として樹脂筐体を使用する場合に比べて、より効果的にシールディングすることができる。
また、以上の構成によれば、金属筐体のへこみは、GPSアンテナの受信対象となるGPS衛星が少なくとも0°よりも大きい最低仰角にあるとした場合のこのGPS衛星とGPSアンテナの端部とを結ぶ線分が、金属筐体によって遮られることのない形状に設けられているので、GPS衛星からの電波を金属筐体によって妨害されずにGPSアンテナで受信することができる。
その結果、車両のDINスペースに収納されるナビゲーション装置を含むナビゲーションシステムにおいて、設置時のユーザの手間をより低減させるとともに、強度がより高く、且つ、電磁ノイズにより強いナビゲーションシステムを実現することが可能になる。
また、請求項2のナビゲーションシステムでは、前記ナビゲーション装置は、前記へこみを覆う樹脂製のカバーをさらに備えていることを特徴としている。
これによれば、樹脂製のカバーによってGPSアンテナを覆うことによって、異物や水分によるGPSアンテナの破損・誤動作を防ぐことができる。また、樹脂製のカバーによって覆うため、GPS衛星からの電波のGPSアンテナでの受信を妨害しにくい。
また、請求項3のナビゲーション装置では、前記樹脂製のカバーは、前記へこみを前記金属筐体の外形に沿って覆うことを特徴としている。
これによれば、樹脂製のカバーは、金属筐体のへこみを当該金属筐体の外形に沿って覆うので、このナビゲーション装置を車両のDINスペースに格納する場合に、この樹脂製のカバーが格納の邪魔になることがない。
また、請求項4のナビゲーションシステムでは、前記GPSアンテナのアンテナ面は、前記車両のDINスペースへの前記ナビゲーション装置の挿入方向と略平行になるように前記ナビゲーション装置に搭載されていることを特徴としている。
この請求項4のように、GPSアンテナのアンテナ面が、車両のDINスペースへのナビゲーション装置の挿入方向と略平行となるようにナビゲーション装置に搭載されている態様としてもよい。
また、請求項5のナビゲーションシステムでは、前記GPSアンテナは、当該GPSアンテナのアンテナ面を水平面に対して前記車両の前方方向へ傾けて前記ナビゲーション装置に搭載されていることを特徴としている。
これによれば、GPSアンテナの最大放射方向が車両前方方向に向くことになるので、車両のフロントガラスを通して送波されてくるGPS衛星からの電波の受信をより行い易くすることができる。また、ナビゲーション装置をDINスペースに収納する車両が、車両の後部に電波を遮蔽するような構成を備えている車両(例えば、トラックやトレーラーなど)であった場合にも、車両のフロントガラスを通して送波されてくるGPS衛星からの電波の受信をより行い易くすることによって、GPS衛星からの電波を受信できる可能性が高い方向からの電波の受信を優先的に行い、GPS衛星からの電波をより効率的に受信することを可能にする。
また、請求項6のナビゲーションシステムでは、前記へこみの部分にあたる前記金属筐体の表面のうち、少なくとも前記貫通孔よりも位置の高い部分の表面が、水平面に対して90°よりもなだらかな斜面となっていることを特徴としている。
これによれば、GPSアンテナが受信対象とするGPS衛星が少なくとも0°よりも大きい最低仰角にある場合のこのGPS衛星とGPSアンテナの端部とを結ぶ線分が金属筐体によって遮られることのない形状にへこみを設ける場合に、へこみの部分にあたる金属筐体の表面のうち、少なくとも貫通孔よりも位置の高い部分の表面を水平面に対して垂直になるように設ける場合に比べて、回路基板をより金属筐体の内部に残すことが可能になる。よって、以上の構成によれば、回路基板のうちの金属筐体の外部に露出する部分をより低減することによって、回路基板上の電子部品などをより保護することが可能になる。
また、請求項7のナビゲーションシステムでは、前記回路基板上のGNDと前記金属筐体のうちの前記貫通孔の周囲の部分とが、導電性の部材によって接続されていることを特徴としている。
これによれば、ナビゲーション装置を納める金属筐体を導電性の部材によって接地させることができるので、より効果的に当該ナビゲーション装置を構成する電子部品などからの筐体外部への電磁ノイズの放射を抑えたり、筐体外部からの電磁ノイズによる筐体内部での電磁ノイズの重畳を抑えたりすることが可能になる。
また、金属筐体の接地は、金属筐体のうちの貫通孔の周囲の部分とこの貫通孔を通した回路基板のGNDとを導電性の部材で電気的に接続するだけで行うことができるので、上述したような電磁ノイズの対策を容易に行うことができる。
従って、車両のDINスペースに収納されるナビゲーション装置を含むナビゲーションシステムにおいて、設置時のユーザの手間をより低減させるとともに、強度がより高く、且つ、電磁ノイズにより強いナビゲーションシステムをより容易に実現することが可能になる。
また、請求項8のナビゲーションシステムでは、前記導電性の部材は、前記貫通孔を間に挟んで前記貫通孔の周囲の部分に設けられた弾性を有する部材であって、この弾性を有する部材同士で前記回路基板を挟み込むことによって、前記回路基板上のGNDと前記金属筐体のうちの前記貫通孔の周囲の部分とを接続させていることを特徴としている。
この請求項8のように、貫通孔を間に挟んで前記貫通孔の周囲の部分に設けられた弾性を有する部材同士で回路基板を挟み込むことによって、回路基板上のGNDと金属筐体のうちの貫通孔の周囲の部分とを接続させる態様としてもよい。例えば、金属筐体のうちの貫通孔の周囲の部分に設けられた金属製のバネ部などによって回路基板を挟み込むことによって、回路基板上のGNDと金属筐体のうちの貫通孔の周囲の部分とを接続させる態様とすることが可能である。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1(a)は、本発明が適用されたナビゲーションシステム100を正面から見た模式図であり、図1(b)は、図1(a)のナビゲーションシステム100のIB―IB線断面の模式図である。ナビゲーションシステム100は、図1(a)および図1(b)に示すように、GPSアンテナ1、ナビゲーションユニット2、画像表示ユニット3、および樹脂カバー4を含んでいる。また、ナビゲーションシステム100は車両に搭載され、特にナビゲーションユニット2は、車両のDINスペースに収納されるものとする。なお、図1(a)および図1(b)では、ナビゲーションシステム100に備えられる操作スイッチなどの図示およびナビゲーションユニット2に備えられる内部機器の図示を説明の簡略化のため省略している。
GPSアンテナ1は、GPS衛星からの電波を受信するためのアンテナであって、周知のアンテナを用いることができる。本実施形態では一例として、GPSアンテナ1が、後述する回路基板22に実装されるパッチアンテナであるものとして以降の説明を行う。また、GPSアンテナ1は、GPSアンテナ1のアンテナ面が回路基板22の面に略平行になるように実装される。
なお、GPSアンテナ1は、GPS衛星からの電波を受信するアンテナに加え、グロナス(global navigation satellite system)、ガリレオ(galileo)等のGPS衛星以外の人工衛星からの電波を受信するアンテナも含む、人工衛星からの電波を受信するアンテナであってもよい。
ナビゲーションユニット2は、ユニット本体の外筐となる金属筐体21と回路基板22とを備えている。なお、本実施形態では一例として、ナビゲーションユニット2は、同一の金属筐体21中にCD/DVDプレーヤーやオーディオ機器などの他の車載機器も含んでいる一体型のナビゲーションユニットであるものとして以降の説明を続ける。また、本実施形態では、便宜上、ナビゲーションユニット2の金属筐体21内に備えられるCD/DVDプレーヤーやオーディオ機器、オーディオ回路、チルト機構等の説明を省略する。
金属筐体21は、車両のダッシュボードに設けられているDINスペースに収納される大きさであり、直方体の形状の一部にへこみが設けられた略直方体状の形状となっている。なお、このへこみの形状の詳細については後述する。また、金属筐体21に設けられたこのへこみの部分の一部には、回路基板22を通すための貫通孔23が設けられている。ここでは、DINスペースは略水平方向に設けられているものとし、このDINスペースにナビゲーションユニット2を収納した場合には、ナビゲーションユニット2の金属筐体21の底板および天板の面が略水平方向に並ぶものとする。つまり、ナビゲーションユニット2が略水平方向に収納される。なお、DINスペースにナビゲーションユニット2を収納する場合には、図1(b)中のAの矢印で示す方向にナビゲーションユニット2は挿入されるものとする。また、金属筐体21のへこみは、DINスペースにナビゲーションユニット2を収納した場合の、DINスペースの手前側、且つ、天頂側の縁の領域に設けられる。
回路基板22は、ナビゲーション装置のナビゲーション機能としての処理(例えば、地図縮尺変更処理、メニュー表示選択処理、マップマッチング処理、目的地設定処理、経路探索実行処理、経路案内開始処理、現在位置修正処理、表示画面変更処理、音量調整処理等)を実行するための周知のCPUおよびROMやRAMなどのメモリ等の各種電子部品やこれらを結ぶ配線等を備えている。つまり、回路基板22は、ナビゲーション機能としての処理を実行するためのコンピュータが備えられている。
また、回路基板22は、回路基板22の面が金属筐体21の天板の面と略水平方向に並ぶように固定されている。詳しくは、回路基板22は、例えばネジ止めや嵌め合わせなどによって金属筐体21に直接的または間接的に固定される。また、回路基板22は金属筐体21のへこみの一部に設けられた貫通孔23を通して一部が露出しており、この回路基板22の金属筐体21から露出した部分の上面にGPSアンテナ1を実装している。そして、GPSアンテナ1は、回路基板22上の配線によって前述のナビゲーション機能としての処理を実行するためのコンピュータと連絡されている。なお、回路基板22上の電子部品等の部品の保護の観点から、回路基板22のうちの金属筐体21外に露出する領域に備えられる部品は、GPSアンテナ1との連絡に用いるための配線など最小限にとどめることが好ましい。また、GPSアンテナ1は、アンテナ面が回路基板22の面に略水平方向に並ぶように回路基板22上に実装される。よって、GPSアンテナ1のアンテナ面も金属筐体21の天板の面と略水平方向に並ぶことになる。
また、回路基板22上へのGPSアンテナ1の実装は、金属筐体21のへこみの部分に少なくとも高さが収まるように、つまり、金属筐体21の天板の高さを超えないように行われる。これは、車両のDINスペースにナビゲーションユニット2を収納する場合に、GPSアンテナ1がつかえたりして収納の邪魔にならないようにするためである。さらに、図1(b)に示すように、回路基板22およびGPSアンテナ1は、ナビゲーションユニット2をDINスペースに収納した場合に、DINスペースの手前側に設けられる後述の画像表示ユニット3の面を超えてはみ出さない位置に収まるように設けることが好ましい。このようにすれば、DINスペースから回路基板22およびGPSアンテナ1が画像表示ユニット3の面を超えてはみ出して邪魔になることがなくなる。
また、回路基板22上の電子部品等の部品の保護の観点から、回路基板22に備えられる部品のうち金属筐体21の外部に露出する領域に備えられる部品は、GPSアンテナ1との連絡に用いるための配線など最小限にとどめることが好ましい。
画像表示ユニット3は、車両の走行を案内するための地図や目的地選択画面等のナビゲーション機能に関する画面表示を行うものであって、フルカラー表示が可能なものであり、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等のディスプレイを主体として構成することができる。また、画像表示ユニット3は、DVDプレーヤー等の再生映像も表示できるものとする。なお、画像表示ユニット3は、画面表示を行わない不使用時には、ナビゲーションユニット2とともに車両のDINスペースに収納される構成であってもよい。
樹脂カバー4は、金属筐体21のへこみの部分に露出しているGPSアンテナおよび回路基板22を覆うための樹脂製のカバーである。また、樹脂カバー4は、DINスペースにナビゲーションユニット2を収納する場合に収納の邪魔にならないよう、図1(b)に示すように、金属筐体21と画像表示ユニット3とが組み合わされた構造の外形に沿った形状となっている。
なお、本実施形態では、ナビゲーションユニット2は、同一の金属筐体21にCD/DVDプレーヤーやオーディオ機器などの他の車載機器も含んでいる一体型のナビゲーションユニットである構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、ナビゲーションユニット2は、CD/DVDプレーヤーやオーディオ機器などの他の車載機器を同一の金属筐体21に含まず、これらの車載器機と別体となって車両のDINスペースに収納されるインダッシュ型のナビゲーションユニットである構成としてもよい。
次に、図2を用いて、金属筐体21のへこみの形状についての詳細な説明を行う。図2は、ナビゲーションシステム100における金属筐体21のへこみの形状の設計例を示す模式図である。なお、図2中では、便宜上、樹脂カバー4の図示を省略している。また、図2中では、GPSアンテナ1が受信対象とするGPS衛星5が、ナビゲーションシステム100を搭載した(つまり、ナビゲーションユニット2をDINスペースに収納した)車両の前方に存在するものとする。なお、図2中のAで示す矢印は、DINスペースにナビゲーションユニット2を収納する場合にナビゲーションユニット2が挿入される方向を示している。
金属筐体21のへこみの形状は、GPSアンテナ1を配置する位置に対し、GPS衛星5からの電波の受信の障害とならないように設計される。GPSアンテナ1が受信対象とするGPS衛星5の電波は、GPS衛星5の仰角が低いほど弱いので、GPSアンテナ1が受信対象とするGPS衛星5の最低仰角とGPSアンテナ1の取り付け位置とに基づいて金属筐体21のへこみの形状を設計する。なお、GPS衛星5の最低仰角は、0°よりも大きい値で任意に設定可能であって、例えばGPSアンテナ1が要求する電波強度に応じて設定されるものである。
図2に示すように、金属筐体21のへこみの形状は、受信対象とするGPS衛星5の最低仰角を例えば15°とした場合には、最低仰角15°の位置のGPS衛星5の中心とGPSアンテナ1の端部とを結ぶ線分が金属筐体21によって遮られることのない形状とすればよい。図2の例では車両の前方方向に対しての説明のみを行ったが、図1(a)に示すように車両の左右方向においても同様の形状とする構成としてもよい。なお、ここで言うところの線分とは、GPS衛星5の中心とGPSアンテナ1の端部とを仮想的に結ぶ線分である。また、GPSアンテナ1の端部とは、回路基板22に接する側のいずれの端部であってもよいし、回路基板22に接する側とは反対にある天頂側のいずれの端部であってもよい。さらに、本実施形態では、GPS衛星5の中心とGPSアンテナ1の端部とを結ぶ線分を想定したが、GPS衛星5の中心以外とGPSアンテナ1の端部とを結ぶ線分を想定してもよい。また、金属筐体21のへこみの部分にあたる金属筐体21の表面のうち、回路基板22を通す貫通孔23が設けられた面が、水平面に対して90°よりもなだらかな斜面となるように金属筐体21のへこみは設けられる。
以上の構成によれば、ナビゲーション機能としての処理を実行するためのコンピュータを納める金属筐体21のへこみの部分に収まるようにGPSアンテナ1が搭載されているので、GPSアンテナ1の設置位置を決めたり、GPSアンテナ1の配線が目立たないように設置したりなどする手間をユーザに生じさせずに済む。また、このへこみの部分に少なくとも高さが収まるようにGPSアンテナ1が搭載されるので、ユーザがナビゲーションユニット2を車両のDINスペースに収納する場合に、このGPSアンテナ1が収納の邪魔になりにくい。
さらに、以上の構成によれば、ナビゲーションユニット2の筐体として金属製の筐体を使用することになるので、ナビゲーションユニット2の筐体として樹脂製の筐体を使用する場合に比べてナビゲーションユニット2の強度を強くすることができ、ナビゲーションシステム100の強度を強くすることができる。また、以上の構成によれば、金属筐体21にへこみを設けるので、へこみの部分の曲げ構造によって、ナビゲーションユニット2の強度をより強くすることが可能になる。例えばナビゲーションユニット2の金属筐体21の天板部分の金属を取り除いて、代わりに樹脂でカバーする場合に比べて、へこみの部分の曲げ構造によってナビゲーションユニット2の強度を強くすることができる。さらに、以上の構成によれば、ナビゲーションユニット2の筐体として金属製の筐体を使用しているので、ナビゲーションユニット2内部の電子部品などからの筐体外部への電磁ノイズの放射や筐体外部からの電磁ノイズを、ナビゲーションユニット2の筐体として樹脂製の筐体を使用する場合に比べて、より効果的にシールディングすることができる。
また、以上の構成によれば、金属筐体21のへこみは、GPSアンテナ1が受信対象とするGPS衛星5が少なくとも0°よりも大きい最低仰角にある場合のこのGPS衛星5とGPSアンテナ1の端部とを結ぶ線分が、金属筐体21によって遮られることのない形状に設けられるので、GPS衛星5からの電波を金属筐体21によって妨害されずにGPSアンテナ1で受信することができる。
近年においては、車両の軽量化などのため車両の金属部分が減少し、電波を受信しやすい環境になっている。また、ロシアのグロナスや欧州のガリレオ等の米国以外の人工衛星が増えることにより、GPSアンテナ1の電波の受信可能な範囲が制限されていても電波の受信に十分な人工衛星数が確保できるようになると予測されている。よって、本実施形態で説明したようなへこみに収まるようにGPSアンテナ1を設ける構成は、十分に人工衛星からの電波をGPSアンテナ1で受信することが可能な構成と言える。
従って、以上の構成によれば、設置時のユーザの手間をより低減させるとともに、強度がより高く、且つ、電磁ノイズにより強い、車両のDINスペースに収納されるナビゲーションユニット2を含むナビゲーションシステム100を実現することが可能になる。
また、以上の構成によれば、金属筐体21のへこみの部分にあたる金属筐体21の表面のうち、回路基板22を通す貫通孔23が設けられた面が、水平面に対して90°よりもなだらかな斜面となるように金属筐体21のへこみが設けられるので、へこみの部分にあたる金属筐体の表面のうち、回路基板22を通す貫通孔23が設けられた面を水平面に対して垂直になるように設ける場合に比べて、回路基板22をより金属筐体21の内部に残すことが可能になる。よって、以上の構成によれば、回路基板22のうちの金属筐体21の外部に露出する部分をより低減することによって、回路基板22上の電子部品などをより保護することが可能になる。
なお、金属筐体21のへこみの部分にあたる金属筐体21の表面のうち、少なくとも回路基板22を通す貫通孔23よりも位置の高い部分の表面が、水平面に対して90°よりもなだらかな斜面となっていればよい。これによっても、回路基板22のうちの金属筐体21の外部に露出する部分をより低減することによって、回路基板22上の電子部品などをより保護することが可能になる。また、金属筐体21のへこみの部分にあたる金属筐体21の表面のうち、回路基板22を通す貫通孔23よりも位置の低い部分の表面の形状は、回路基板22を通す貫通孔23よりも位置の高い部分の表面の形状を延長した形状をしていてもよいし、回路基板22を通す貫通孔23よりも位置の高い部分の表面の形状を延長した形状をしていなくてもよい。
さらに、回路基板22上のGNDと金属筐体21の曲げ部分先端とを導電性の部材によって接続することによって接地させることが好ましい。なお、金属筐体21の曲げ部分先端とは、図3中のBで示す円で囲った箇所のような金属筐体21のうちの貫通孔23の周囲の部分を表している。なお、図3は、金属筐体21のへこみに設けられた貫通孔23とこの貫通孔23に通された回路基板22とを示す模式図である。また、上述の接続が貫通孔23の周囲の全体にまんべんなく行われる構成であることが望ましいが、EMC(electro magnetic compatibility)の観点からは、適度な間隔をおいて上述の接続を行うことでも同様の効果が得られる。例えば、1.2GHzを使用するGPSアンテナ1への金属筐体21内部からの影響を防止する場合、波長約250mmの1/10である25mm以下の間隔をおいて上述の接続を行うことが好ましい。
ここで、回路基板22上のGNDと金属筐体21の曲げ部分先端とを接続する導電性の部材によって接続する方法の一例を図4(a)〜図4(d)を用いて説明する。図4(a)〜図4(d)は、回路基板22上のGNDと金属筐体21の曲げ部分先端とを接続する導電性の部材によって接続する方法の一例を示す図である。例えば、図4(a)に示すように、回路基板22のGNDが設けられた部分と金属筐体21の曲げ部分先端とを金属製のネジでネジ止めすることによって、金属筐体21の曲げ部分先端を回路基板22上のGNDに接地させる構成としてもよい。また、図4(b)に示すように、金属筐体21の曲げ部分先端に金属製のバネ部を設けたバネ構造とし、貫通孔23を間に挟んで金属筐体21の曲げ部分先端にそれぞれ設けられたバネ部同士によって回路基板22のGNDが設けられた部分を挟み込むことによって、金属筐体21の曲げ部分先端を回路基板22上のGNDに接地させる構成としてもよい。なお、図4(b)では、バネ構造として金属製の部材を曲げたバネ部を設ける構成を示したが、必ずしもこれに限らない。バネ構造としては、弾性を有する導電性の部材を設ける構成であれば他の構造であってもよい。さらに、回路基板22上のGNDと金属筐体21の曲げ部分先端との間に導電スポンジを挟みこむことによって、金属筐体21の曲げ部分先端を回路基板22上のGNDに接地させる構成としてもよい。また、回路基板22上のGNDと金属筐体21の曲げ部分先端とを半田付けすることによって、金属筐体21の曲げ部分先端を回路基板22上のGNDに接地させる構成としてもよい。
以上の構成によれば、ナビゲーション機能としての処理を実行するためのコンピュータを納める金属筐体21を導電性の部材によって接地させることができるので、より効果的にナビゲーションユニット2内部の電子部品などからの金属筐体21外部への電磁ノイズの放射を抑えたり、金属筐体21外部からの電磁ノイズによる金属筐体21内部での電磁ノイズの重畳を抑えたりすることが可能になる。
なお、前述の実施形態では、DINスペースにナビゲーションユニット2が略水平方向に収納される構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、DINスペースが略水平方向と言える程度の範囲を超えて傾いて(以下、傾斜して)車両に設けられている場合には、ナビゲーションユニット2が図5に示すように略水平方向から傾いた方向に収納される構成であってもよい。図5は、ナビゲーションユニット2が傾斜して収納される場合における金属筐体21のへこみの形状の設計例を示す模式図である。なお、図5中では、便宜上、樹脂カバー4の図示を省略している。また、図5中のAで示す矢印は、DINスペースにナビゲーションユニット2を収納する場合にナビゲーションユニット2が挿入される方向を示している。ナビゲーションユニット2が傾斜して収納される場合であっても、金属筐体21のへこみの形状は、受信対象とするGPS衛星5が最低仰角の位置にあると想定したときのGPS衛星5とGPSアンテナ1の端部とを結ぶ線分が金属筐体21によって遮られることのない形状とすればよい。
また、前述の実施形態では、回路基板22の面およびGPSアンテナ1のアンテナ面が金属筐体21の天板の面と略水平方向に並ぶように設けられる構成を示したが、必ずしもこれに限らず、回路基板22の面およびGPSアンテナ1のアンテナ面が、金属筐体21の天板の面に対して略水平方向と言える程度の範囲を超えて傾いて設けられる構成であってもよい。
例えば、トラックやトレーラーなど、車両の後部に電波を遮蔽するような構成を備えている車両のDINスペースにナビゲーションユニット2を収納する場合には、図6に示すように、車両後方へのGPSアンテナ1の視界を確保せず、車両前方のフロントガラス方向のGPS衛星5からの電波をより効率的に受信することができるように、GPSアンテナ1のアンテナ面を水平面に対して車両の前方方向へ傾ける構成としてもよい。図6は、フロントガラス方向のGPS衛星5からの電波の受信に特化したナビゲーションユニット2の設計例を示す模式図である。なお、図6中では、便宜上、樹脂カバー4の図示を省略している。また、図6中のAで示す矢印は、DINスペースにナビゲーションユニット2を収納する場合にナビゲーションユニット2が挿入される方向を示している。
GPSアンテナ1のアンテナ面を水平面に対して車両の前方方向へ傾ける構成によれば、GPSアンテナ1の最大放射方向が車両前方方向に向くことになるので、車両のフロントガラスを通して送波されてくるGPS衛星5からの電波の受信をより行い易くすることができる。よって、ナビゲーションユニット2をDINスペースに収納する車両が、トラックやトレーラーなど、車両の後部に電波を遮蔽するような構成を備えている車両であった場合にも、車両のフロントガラスを通して送波されてくるGPS衛星5からの電波の受信をより行い易くすることによって、GPS衛星5からの電波を受信できる可能性が高い方向からの電波の受信を優先的に行い、GPS衛星5からの電波をより効率的に受信することを可能にする。
なお、前述の実施形態では、金属筐体21のうちのDINスペースの手前側、且つ、天頂側の縁の領域にへこみを設ける構成を示したが、ナビゲーションユニット2の外形限界の大きさの画像表示ユニット3を設ける場合など、金属筐体21のへこみをDINスペースの手前側、且つ、天頂側の縁の領域に設けることができない場合には、金属筐体21のへこみをDINスペースの手前側以外の箇所に設ける構成としてもよい。例えば、図7(a)および図7(b)に示すように、金属筐体21の天面の中央の領域にへこみを設ける構成としてもよい。図7(a)は、金属筐体21の天面の中央の領域にへこみを設けたナビゲーションシステム100を正面から見た模式図であり、図7(b)は、図7(a)のナビゲーションシステム100のVIIB―VIIB線断面の模式図である。なお、DINスペースにナビゲーションユニット2を収納する場合には、図7(b)中のAの矢印で示す方向にナビゲーションユニット2は挿入されるものとする。
例えば、金属筐体21の天面の中央の領域にへこみを設ける場合には、図8に示すように、受信対象とするGPS衛星5が車両の前方および後方でそれぞれ最低仰角の位置にあると想定したときのGPS衛星5とGPSアンテナ1の端部とを結ぶ線分が金属筐体21によって遮られることのない形状とすればよい。図8は、金属筐体21の天面の中央の領域にへこみを設けたナビゲーションユニット2の設計例を示す模式図である。なお、図8中では、便宜上、樹脂カバー4の図示を省略している。また、図8中のAで示す矢印は、DINスペースにナビゲーションユニット2を収納する場合にナビゲーションユニット2が挿入される方向を示している。なお、図8の例では車両の前後方向に対しての説明のみを行ったが、図7(a)に示すように車両の左右方向においても同様の形状とする構成としてもよい。
また、金属筐体21のへこみを、金属筐体21の縁の領域以外の金属筐体21の天面の中央からずれた領域に設ける構成であってもよい。この場合であっても、金属筐体21の天面の中央にへこみを設ける場合と同様に、GPSアンテナ1が受信対象とするGPS衛星5の最低仰角とGPSアンテナ1の取り付け位置とに基づいて金属筐体21のへこみの形状を設計すればよい。
他にも、図9(a)および図9(b)に示すように、金属筐体21のうちのDINスペースの奥側、且つ、天頂側の縁の領域にへこみを設ける構成としてもよい。図9(a)は、金属筐体21のうちのDINスペースの奥側、且つ、天頂側の縁の領域にへこみを設けたナビゲーションシステム100を正面から見た模式図であり、図9(b)は、図9(a)のナビゲーションシステム100のIXB―IXB線断面の模式図である。なお、DINスペースにナビゲーションユニット2を収納する場合には、図9(b)中のAの矢印で示す方向にナビゲーションユニット2は挿入されるものとする。
例えば、金属筐体21のうちのDINスペースの奥側、且つ、天頂側の縁の領域にへこみを設ける場合には、図10に示すように、受信対象とするGPS衛星5が車両の後方で最低仰角の位置にあると想定したときのGPS衛星5とGPSアンテナ1の端部とを結ぶ線分が金属筐体21によって遮られることのない形状とすればよい。図10は、金属筐体21のうちのDINスペースの奥側、且つ、天頂側の縁の領域にへこみを設けたナビゲーションユニット2の設計例を示す模式図である。なお、図10中では、便宜上、樹脂カバー4の図示を省略している。また、図10中のAで示す矢印は、DINスペースにナビゲーションユニット2を収納する場合にナビゲーションユニット2が挿入される方向を示している。なお、図10の例では車両の後方方向に対しての説明のみを行ったが、図9(a)に示すように車両の左右方向においても同様の形状とする構成としてもよい。
また、金属筐体21のへこみをDINスペースの手前側以外の箇所に設ける構成とした場合には、金属筐体21のへこみの部分に収まるようにGPSアンテナ1および回路基板22を設ければよい。これは、金属筐体21のへこみに収まるようにGPSアンテナ1および回路基板22を設ければ、ナビゲーションユニット2を車両のDINスペースに格納する場合に、GPSアンテナ1および回路基板22が格納の邪魔になることがないためである。
さらに、金属筐体21のへこみをDINスペースの手前側以外の箇所に設ける構成とした場合には、樹脂カバー4は、金属筐体21のへこみを金属筐体21の外形に沿って覆う構成とすればよい。これは、金属筐体21のへこみを金属筐体21の外形に沿って覆うように樹脂カバー4を設ければ、ナビゲーションユニット2を車両のDINスペースに格納する場合に、樹脂カバー4が格納の邪魔になることがないためである。
以上の構成によれば、金属筐体21のへこみをDINスペースの手前側以外の箇所に設ける構成とした場合にも、設置時のユーザの手間をより低減させるとともに、強度がより高く、且つ、電磁ノイズにより強い、車両のDINスペースに収納されるナビゲーションユニット2を含むナビゲーションシステム100を実現することが可能になる。
なお、前述の実施形態では、回路基板22の金属筐体21から露出した部分の上面にGPSアンテナ1を実装する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、回路基板22を金属筐体21から露出させない構成としてもよい。この場合の構成の一例を、図11を用いて説明を行う。図11は、回路基板22を金属筐体21から露出させない構成としたナビゲーションユニット2の設計例を示す模式図である。なお、図11中のAで示す矢印は、DINスペースにナビゲーションユニット2を収納する場合にナビゲーションユニット2が挿入される方向を示している。
回路基板22を金属筐体21から露出させない構成とする場合には、図11に示すように、GPSアンテナ1の代わりに、樹脂製のレドームでGPSアンテナ1を覆ったアンテナモジュール1aを用いる構成とすればよい。そして、GPSアンテナモジュール1a中のGPSアンテナ1と回路基板22との連絡は、金属筐体21の貫通孔23を通した同軸線やフレキシブルケーブル等の配線24によって行う構成とすればよい。なお、GPSアンテナモジュール1aについても、車両のDINスペースにナビゲーションユニット2を収納する場合に、GPSアンテナモジュール1aがつかえたりして収納の邪魔にならないように、金属筐体21のへこみの部分に少なくとも高さが収まるように設ける。また、GPSアンテナモジュール1aは、ナビゲーションユニット2をDINスペースに収納した場合に、DINスペースの手前側に設けられる画像表示ユニット3の面を超えてはみ出さない位置に収まるように設けることが好ましい。また、この場合にも、図11に示すように、受信対象とするGPS衛星5が最低仰角の位置にあると想定したときのGPS衛星5とGPSアンテナ1の端部とを結ぶ線分が金属筐体21によって遮られることのない形状とすればよい。
以上の構成によっても、設置時のユーザの手間をより低減させるとともに、強度がより高く、且つ、電磁ノイズにより強い、車両のDINスペースに収納されるナビゲーションユニット2を含むナビゲーションシステム100を実現することが可能になる。
また、前述の実施形態では、図1(a)、図7(a)、および図9(a)に示すように、GPSアンテナ1をナビゲーションシステム100の本体の左右方向の中心に配置する構成を示したが、必ずしもこれに限らず、ナビゲーションシステム100の本体の左右方向の中心からずれた位置に配置する構成としてもよい。この場合にも、受信対象とするGPS衛星5が最低仰角の位置にあると想定したときのGPS衛星5とGPSアンテナ1の端部とを結ぶ線分が金属筐体21によって遮られることのない形状とすればよい。
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。