JP5221447B2 - 圧排器具 - Google Patents
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Description
殊に、内視鏡の視野の下で、トロカールや小切開創を通して行われる、内視鏡下手術の場合は、手術空間や視界に制約があること、また、内視鏡による最適視野の確保のため、この圧排操作は一層重要な役割を担っている。
しかし、従来の圧排鉗子では、鉗子の圧排面積が小さいために、面積が大きく体腔内で動きやすい小腸などの臓器を確実に保持することは困難であり、一方、手などでは小さな切開創からのアプローチができないといった問題がある。
また、前記同様に内視鏡下手術を適用としつつ、前記のような把持部を持たない自己保持可能な器具として、臓器等の圧排部となる柔軟性の面状シートと、該面状シートの周囲に固着して環状を形成した可撓性の弾性フレームとにより構成し、臓器等を圧排し体腔内部に挿着したさいに、器具を組織間に挟持させ、弾性フレームの復元力により自己保持可能とした器具として、あるいは、前記構成の圧排器具の面状シート、または弾性フレームに糸を1つあるいは複数を延設して構成し、糸の張力により自己保持可能な器具として提案されたものがある。(特許文献2)
一方、引用文献2の器具では、把持部がないため、構成が簡易で低コストの器具となり、また、圧排部の体腔内での自由度も高いものとなるが、弾性フレームの復元力により器具を体腔内で確実に自己保持させるためには、組織間に確実に挟持されることが必要で、症例によっては条件に合わない場合も多々あり、常に適用できるわけではなく、鉗子などによる補助が必要となる場合がある。また、圧排を自己保持に頼るため手術中に外れてしまう懸念も払拭できないことから圧排の安定性に問題がある。また、体外から糸により吊り、該糸の張力により保持する器具は、予め糸が取り付けられているため、該糸を使用しない場合には邪魔になる懸念があり汎用性がない。
本手段の器具によると、柔軟性を備える面状シートと弾性復元力を備えるフレームのみから形成されるため、構成が簡易で、製造も容易となり、また、体腔内挿入後は、把持部による制約がないため鉗子等により自由な位置や向きに移動させることができる。また、この構成により、体腔内に挿入するさいはフレームを押し潰し、全体を細径化することによりトロカールや小切開創からの体腔内への挿入が可能となり、また、体腔内では、フレームの復元力により元の広い圧排面を有する形状に戻るため、内視鏡下手術に適用可能な広い圧排面を有する器具とすることができる。
また、通孔部を糸通し用の孔として利用すると、本器具に複数の通孔部を備えておき、該通孔部に糸を通して、圧排面に組織を圧排した状態で該糸を体外に取り出し、体外部で該糸の端部を保持させて、糸の張力により圧排する器具として使用することができ、また、同様に複数の通孔部を備えておいて、該通孔部に糸を通し、組織を圧排した状態で該糸により圧排周辺組織と縫合しておくことにより圧排を保持することもできる。
本器具により組織を圧排するさいに、内視鏡下外科手術において汎用に用いられている長尺な鉗子である、先端部が手元操作により開閉自在で、かつ、閉じた状態を維持できる把持部として形成され、長いシャフトと手元操作部を備えた把持鉗子を用い、複数一対(面状シート縁部に備える2箇所一対のものについて説明する)に設けられた通孔部の一方に該把持鉗子のシャフトを貫通させ、他方の通孔部を利用して鉗子先端の開閉把持部でフレーム部分を把持し(把持部を閉じ)、把持(閉じた状態)を維持することで圧排器具と把持鉗子が一体となり、(図3参照)鉗子を手元操作部から保持することにより、圧排器具の圧排面により安定した圧排が可能となる。
尚、圧排器具を保持する鉗子は、上記のような把持鉗子でなくとも、器具のシャフト部を2つ(あるいは複数)の通孔部に貫通させるなどにより、圧排部は2点(複数点)で保持され圧排器具と鉗子等は一体化することができる。
また、面状シート及びフレームを楕円とすると、挿入のさいに細径化しやすく、また、長手方向へは広い圧排面を確保することができる。尚、記載の楕円に類似する形状とは、例えば、ラグビーボールのような形状などの全体として円を押し潰したような形状全般のことを示している。
図1は、本実施の形態の圧排器具の全体構成図、図2は、本形態の一部断面図を示している。
本例の圧排器具は、主に内視鏡下外科手術のさいに体腔内に挿入され、施術周辺組織を圧排制御する用途で用いられ、圧排面を形成するする柔軟な面状シート1と、該面状シート1の縁部周囲に接着あるいは溶着して環状を形成する弾性復元力を備えたフレーム2とにより構成し、前記面状シート1の辺縁部には、後記する鉗子を着脱自在に取り付け保持するための2箇所一対の通孔3(本例においては、後記する二対)を設けて形成した。
また、この面状シート1には、該面状シート1の長径の両端、及び、短径の両端の辺縁部に当たる部位に、後記する鉗子を保持するための貫通孔(通孔3)を各々明け、長径の両端の通孔3a、3bを一対、短径の両端の通孔3c、3dを一対とした二対を形成した。また、該通孔部3には破損防止の補強のため該面状シート1と同様なシリコーンゴムのシートを通孔3よりわずかに大きく形成し、同様な孔を穿った補強材31を接着あるいは溶着して取り付けて構成した。尚、本例においては、二対の通孔3は、いずれも圧排面をほぼ同等の面積に分けるものとして形成されるが、偏った面積比に分ける位置に設定しても良く、また、辺縁部に多数の通孔3を備えて、必要に応じて適当の通孔3の2つを選択して、該選択された2つの通孔3を一対として使用するようなものであっても良い。
そして、該フレーム2を前記により形成した面状シート1の外周辺縁に沿って全周囲に亘り接着あるいは溶着して一体化して本例の圧排器具とした。
本例の圧排器具は、体外から本器具による組織の圧排を保持する器具として、内視鏡下手術に汎用される把持鉗子と共に用いられる。
本例で用いられる把持鉗子4は、汎用な鉗子であるため詳細な説明は省略するが、簡単には、先端部に備えて把持部となる、手元操作部43の操作により自在に開閉、及び、閉じた状態を維持可能な上下一対の顎部41と、該顎部41から延設される内視鏡下手術に適用可能なように長尺に形成されるシャフト42と、基部に設ける、前記顎部41を操作すると共に鉗子の保持部となる手元操作部43より基本構成される。尚、本圧排器具を保持するための鉗子としては、本例の把持鉗子に特定するものではなく、棒状のもので圧排部が保持できるものであれば良い。
前記把持鉗子4の圧排器具への装着は、2箇所一対の通孔3の一方、例えば通孔3aに把持鉗子4を貫通させシャフト42を保持し、続いて、前記一対の通孔3の他方側の通孔3bに把持鉗子4の顎部41の一方、例えば下側顎部411を通し、該顎部41を閉じて、他方側の上側顎部412と共に圧排器具のフレーム2を挟持した状態で、手元操作により顎部41が閉じた状態を維持することにより、前記把持鉗子4のシャフト42と顎部41により通孔部3の2点で本圧排器具が保持されて、該圧排器具と把持鉗子が一体化される。これにより、汎用の鉗子を利用した把持部が着脱自在の圧排器具として機能させることができる。
通孔部3は面状シート1の他、フレーム2に付設しても良く、本例では通孔51を備える突起5として該フレーム2の長径の両端、及び、短径の両端に当たる部分に2対備えて形成した。尚、通孔部3としては、貫通孔を基本とし、少なくとも一つは貫通孔であることが望ましいが、通孔部の用途によっては、前述の作用に記載したように、例えば、把持鉗子の顎部41により把持される部分では、把持可能な突起部などであっても良い。
1.先ず、本形態の圧排器具のみを面状シートの柔軟性及びフレームの弾性を利用して、細径になるように押し縮め、トロカールあるいは小切開創から体腔内に押し入れる。
2.徐々に押し入れ、体腔内に圧排器具の先端部分が突出したら、該先端に備えられている通孔部3を、把持鉗子先端の顎部41で把持して体腔内に引っ張り入れる。(体腔内に完全に出ると、圧排器具は、弾性復元力により元のラグビーボール形状に復元する。)
3.把持鉗子によりそのまま通孔部を把持し、圧排したい組織近傍へ器具を移動し、圧排条件に適合させて位置、方向を決定し、配置する。
4.圧排位置が決まったら、別の把持鉗子4をトロカールから挿入し、適当な鉗子等の補助により、該把持鉗子4を前述した通りに圧排器具の通孔部3に取り付け圧排器具と一体化させる。
5.術中、一体化した把持鉗子の手元操作部を保持することにより、圧排器具による組織の圧排を維持する。
6.圧排器具の体外への取り出しは、一体化した状態のまま、あるいは、一度分離し、体外部からの把持鉗子により顎部41で通孔部3を把持して、小切開創から引き出して取り出す。
2. フレーム
21.超弾性合金
22.カバーチューブ
23.外套チューブ
3. 通孔部
31.補強材
4. 把持鉗子
41.顎部
42.シャフト
43.手元操作部
5. 突起
51.通孔
Claims (4)
- 外科手術のさい体腔内に挿入し、臓器等を圧排保持するための器具であって、圧排面を形成する柔軟性を備える面状シートと、該面状シートの縁部周囲に固着して環状を形成する弾性復元力を備えたフレームとにより構成し、前記面状シートを貫通して、あるいは、前記フレームに付設して通孔部を備え、該通孔部は、複数を一対として、一対あるいは複数対形成し、一対の通孔部を直線で結ぶと、前記圧排面を2分する位置に備えることを特徴とする圧排器具。
- 前記通孔部を結ぶ直線により2分された圧排面は、各々ほぼ同等の面積を有するか、あるいは、大きい方の面積が圧排面全面に対して50%より大きく、80%以下である請求項1の圧排器具。
- 前記フレームは超弾性合金を含んで形成する請求項1乃至2のいずれかの圧排器具。
- 前記面状シート及びフレームは、楕円、あるいは、楕円に類似する形状に形成される請求項1乃至3のいずれかの圧排器具。
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