JP5220481B2 - レーザ誘起プラズマ発光分析による木材密度の測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、木材の非破壊的な密度の測定方法に関し、より詳しくは、レーザ誘起プラズマ発光分析を木材の密度測定に活用し、木材の含水率に拘わらずその木材の気乾密度(含水率15%時の密度をいう。以下単に「木材密度」という。)を非破壊的に測定する方法に関する。
樹木の切断面に現れる年輪は、木材の密度の差が視覚的に濃淡として現れているものであり、この密度分布を調べることにより、樹木の成長量や過去の生育環境等が明らかになる。一方、木材の密度の値が、木材の強度、音の伝播、周波数、熱伝導等のあらゆる物性値と深く関係を持っているので、密度の値はこれらの諸処の特性を把握する上で極めて重要である。
そして、密度は単位体積(cm3)当たりの質量(g)であるから、一般に木材の密度の測定は、試料の形状が正しい直方体と見なせる場合は、寸法測定によって体積を求める。また全乾(含水率0%)測定対象物等、収縮により変形したものは、浮力を応用した水銀浸漬法によって体積を求め、試料の質量をその求めた体積で割ればよい。
また、γ線やX線などの放射線の透過率を用いて、非破壊的に密度を測定する手法も用いられており、下記特許文献1にはマイクロフォーカスX線CT装置を用いた木材の密度測定の一例が示されている。
特開2006−78251号公報
しかしながら、木材の密度測定の試験方法であるJIS Z2101によると、密度の測定は試料の含水率を15%で行うことが規定されているため、粗木取りの後、恒温恒湿室に1ヶ月から3ヵ月間投入する必要があるため、木材の密度測定には長期間を要するという問題があった。
また、γ線やX線などの放射線の透過率を用いて非破壊的に密度を測定するには、これらの放射線は常に水の影響を受けるために多量の水を含んだ木材の密度は測定不可能であり、所定の含水率になるように乾燥させる必要があり、短時間で密度を測定することができないという問題がある。さらにこれらの従来の密度の測定方法では、測定対象物から試料を採取する必要があるため、測定対象物を破壊しなければ測定できないという問題がある。
本発明は、木材の密度が木材の物理的性質を求める上で、極めて重要な値であるにも拘わらず、含水率調整に長時間を要し、測定対象物を破壊しなければならないという問題点に鑑みて、鋭意研究・検討の結果なされたものであり、簡単にして、精度の高い木材の密度を非破壊的に測定する方法を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するための第1の発明は、レーザ誘起プラズマ発光分析によって木材の表面から得られる炭素の蛍光強度と、質量と体積の比として求められる木材の気乾密度との検量線を作成し、該検量線を使用して、木材の含水率に無関係に、かつ非破壊的に測定する木材密度の測定方法である。
検量線を作成するときの測定対象物の含水率はJISZ2101で規定されている15%とするが、作成された検量線を使用するときの測定対象物の含水率は、15%に限定されることなく任意でよく、得られる木材の密度は常に含水率15%時の値が得られる。
第2の発明は、第1の発明において前記検量線の作成時の測定対象物は、樹木の平滑な切断面において、年輪の中心と樹木の一外側または両外側を中央かつ一直線上に含む薄厚、小幅の角板(以下、単に「角板」ともいう。)とし、前記検量線の作成時おける前記木材の表面から得られる炭素の蛍光強度が、前記中央かつ一直線上を一外側から年輪中心まで、または年輪中心を通り更に他の外側までの複数点の測定値の平均値であることを特徴とする木材密度の測定方法である。
測定対象物は、上記角板のみならず、伐採した樹木を軸直角にスライスし、さらに木軸の方向に年輪を中心に平行切断して年輪中心部を含む薄厚、小幅の角板相当品としてもよい。
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記検量線の使用時おける前記木材の表面から得られる炭素の蛍光強度の測定方向が、樹木の平滑な切断面において、年輪に直交する方向であり、かつ木材の単位面積当たりの測定点数が均等または均等になるように重み付けがなされていることを特徴とする木材密度の測定方法である。
検量線使用時の測定対象物の炭素の蛍光強度の測定は、年輪の中心を含まないものであっても、測定方向が年輪に直交していればよい。
第4の発明は、第1乃至第3のいずれか1の発明において、前記木材密度の測定対象が含水率不明の木材であって、該含水率不明の木材の密度から前記測定した木材密度を差引き、前記含水率不明の木材の単位体積当たり15%以上或いは15%未満の含水量を算出して、該含水率不明の木材の乾燥コントロールに使用することを特徴とする木材密度の測定方法である。
第5の発明は、第1乃至第3いずれか1の発明において、前記木材の密度の測定対象が含水率不明の木材であって、該含水率不明の木材の密度から前記測定した木材密度を差引き、前記含水率不明の木材の単位体積当たり15%以上或いは15%未満の含水量を算出して、該含水率不明の木材の用途選別に使用することを特徴とする木材密度の測定方法である。
第1の発明は、レーザ誘起プラズマ発光分析によって木材の表面から得られる炭素の蛍光強度と、質量と体積の比として求められる木材の気乾密度との検量線を作成し、該検量線を使用して、木材の含水率に無関係に、かつ非破壊的に測定することを特徴とする木材密度の測定方法であるから、検量線を作成するときは、含水率が15%の測定対象物を必要とするが、その検量線使用時の測定対象物は、含水率に関係なく炭素の蛍光強度を測定して、その炭素の蛍光強度に対応する木材密度を樹種に関係なくその検量線から読みとることができるので、木材密度を短時間に、非破壊で測定できという効果がある。
第2の発明は、第1の発明において、前記検量線の作成時の測定対象物は、伐採した樹木を製材した角柱体を軸直角方向にスライスし、年輪中心と角部を残し他を除外した薄厚、小幅の角板または伐採した樹木を軸直角にスライスし、さらに木軸の方向に年輪を中心に平行切断して年輪中心部を含む薄厚、小幅の角板相当品とすることができるから、検量線作成時の測定対象物の製作及び体積計算が容易で、また検量線作成時の、炭素の蛍光強度はレーザ誘起プラズマ発光分析による測定値(スポット)の単純平均値を用いることができるので、効率よく精度の高い検量線を作成できるという効果がある。
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記検量線の使用時おける前記木材の表面から得られる炭素の蛍光強度の測定方向が、樹木の平滑な切断面において、年輪に直交する方向であり、かつ木材の単位面積当たりの測定点数が均等または均等になるように重み付けがなされていることを特徴とする木材密度の測定方法であるから、検量線使用時の測定対象物の炭素の蛍光強度の測定は、測定方向が年輪に直交していればよく、年輪の中心を含んでいない柱材等であっても密度の測定ができるという効果がある。また、測定点を減少させることができるので、短時間で効率的に、検量線を使用して木材密度を算出することができるという効果がある。
第4または第5の発明は、第1乃至第3のいずれか1の発明において、前記木材の密度の測定対象が含水率不明の木材であって、該含水率不明お木材の密度から前記測定した木材密度を差引き、前記含水率不明の木材の単位体積当たり15%以上或いは15%未満の含水量を算出して、該含水率不明の木材の乾燥コントロールまたは木材の用途選別に使用することができるという効果がある。
本発明は、(1)木材の主な構成元素は炭素「C」、水素「H」、酸素「O」であり、その他に極微量Ca、K、Na、Mg、Fe、Mn、Cu、Co、Si等を含有しているが、その重量比率(%)は、C:H:O=50:6:43でほぼ一定であること、(2)木材の密度は単位体積あたりの細胞壁の量に比例すること、(3)また、木材の「C」元素は、「H」と「O」からなる水分(HO)の量に関係なく、同体積では一定の値を示すことから、レーザ誘起プラズマ発光分析よる簡便な方法で「C」元素を定量することにより、含水率を問わず、気乾密度(含水率がJISZ2101に規定の15%)を求めることができることに着眼している。
図9は木材の構成元素の重量比率の分析結果を示した表であり、分析結果はC:H:Oの重量比率(%)が、C:H:O=50:6:43であると上述したことと整合しており、また分析結果はこの比率が樹種が異なっても同じであることを示している。
最初に本発明の実施の形態に使用する分析装置について、図に基いて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るLIBS(レーザ誘起プラズマ発光分析装置)100を説明するためのブロック図である。
図1において、30はレーザ発信器(例えば、YAGレーザ発信器)であり、図示しない制御手段としての主制御装置により所定のタイミングで発生する駆動パルスに基づいて、所定パルス幅のパルスレーザ光Lを出力する。
40はレーザ発信器から出力されたパルスレーザ光を集光する光ファイバ入射系、20はその詳細を後述する光学系ユニット、50はレーザ光伝送用光ファイバであり、その一端が光ファイバ入射系40に接続され、他端が光学系ユニット20に接続されている。10は木材を所定の形状に加工した測定対象物であり、パルスレーザ光Lの焦点が木材の測定面となるように配置されている。
70は測定対象物である木材から放出された蛍光を分光して全ての波長と強度を測定する蛍光測定器70であり、80は蛍光測定器70による測定値から、測定対象物10に含まれている元素とその量を割り出す計算機、90は分析結果などを表示する表示器である。60は、蛍光伝送用光ファイバであり、一端が光学系ユニット20に接続され、他端が蛍光測定器に接続されている。蛍光測定器70と計算機80とは、図示しないタイミング調整機構により各動作タイミングが制御されている。
図2は本発明の実施の形態に係る光学系ユニット20の断面図である。図2において、21はパルスレーザ光Lの光軸を軸線とする円筒状の本体筒部、22はこの本体筒部21の側部にはパルスレーザ光Lの光軸に対して直交する方向に設けられた蛍光導光筒部である。
本体筒部21の一端である基端にはレーザ光伝送用光ファイバ50の端部が接続され、このレーザ光伝送用光ファイバ50の端部であるレーザ光出射面50aを介してパルスレーザ光Lが本体筒部21の内部に出射される。23は平板上の分配反射ミラーであり、本体筒部21内の略中央部に、パルスレーザ光Lの光軸に対して45゜傾斜して設置され、パルスレーザ光Lを本体筒部21の他端である先端へ向けて透過するとともに、分配反射ミラー23の下面には可視光および紫外光を含む蛍光Fを反射する蛍光反射面231が形成されている。
25は、レーザ光伝送用光ファイバ50で伝送されるパルスレーザ光Lを集光して測定対象物10に照射させるとともに、測定対象物10の表面に含まれている原子から放出される蛍光Fを集光して蛍光伝送用光ファイバ60に導光させるための集光レンズ群である。この集光レンズ群25は、本体筒部21の先端部に配置され、分配反射ミラー23を透過したパルスレーザ光Lを集光させてから測定対象物10へと照射させ、レーザ光入射面が平坦でレーザ光出射面が凸弧面状に突出した第1のレンズ251、レーザ光入射面が凸弧面状に突出しレーザ光出射面が凹弧面状に凹んだ第2のレンズ252、レーザ光入射面およびレーザ光出射面のそれぞれが凸弧面状に突出した第3のレンズ253、およびレーザ光入射面が凸弧面状に突出しレーザ光出射面が平坦な第4のレンズ254で構成されている。
そして、集光レンズ群25には、測定対象物10へのパルスレーザ光Lの照射にて放出された蛍光Fが入射され、この蛍光Fは集光された後、分配反射ミラー23の蛍光反射面231に導光され蛍光導光筒部22に反射される。したがって、この集光レンズ群25は、パルスレーザ光Lが照射された測定対象物10の表面に含まれている原子から放出される蛍光Fを集光する蛍光集光手段としての蛍光集光光学系でもある。
24は蛍光集光レンズであり分配反射ミラー23の蛍光反射面231で反射された蛍光Fを集光し、蛍光入射面60aを介し蛍光導光筒部22の先端に接続保持された蛍光伝送用光ファイバ60に導光している。
図3は、本発明の実施の形態に係る分配反射ミラー23の波長と、透過率および反射率との関係を説明するためのグラフであり、分配反射ミラー23は、波長の短かい方のパルスレーザ光Lは透過し、波長の長い方の蛍光Fは反射する。
次に、本発明の実施の形態に係る分析装置による測定対象物の元素の分析方法について説明する。
所定の形状に加工した木材である測定対象物10を分析装置から照射されるパルスレーザ光Lの焦点位置にセットした後、レーザ発振器30によりパルスレーザ光Lを出力する。出力したパルスレーザ光Lは、光ファイバ入射系40にて集光されてからレーザ光伝送用光ファイバ50により光学系ユニット20へと伝送され、分配反射ミラー23を透過し、集光レンズ群25で集光されて測定対象物10の表面に照射される。
パルスレーザ光Lの照射により測定対象物10の表面は高温度に瞬時に加熱されてプラズマ化され、測定対象物10の表面からプラズマが発生する。
測定対象物10の表面からプラズマが発生した後、レーザ発振器30からのパルスレーザ光Lの照射を停止し、パルスレーザ光Lの照射停止とともに、測定対象物10の表面で発生したプラズマが再結合を始め、数μ秒ないし数十μ秒の間は測定対象物10中の元素は励起状態のまま原子となり、この励起状態の原子が下準位に遷移するとき、原子は原子数に比例した蛍光Fを放出する。
放出された蛍光Fは、集光レンズ群25に入射し、この集光レンズ群25で集光され分配反射ミラー23の蛍光反射面231で反射されて蛍光導光筒部22内へと導光される。蛍光導光筒部22内へと導光された蛍光Fは、蛍光集光レンズ24で集光され蛍光伝送用光ファイバ60の蛍光入射面60aに導光される。
そして、蛍光伝送用光ファイバ60により導光された蛍光Fは蛍光測定器70内に伝送され、蛍光測定器70で蛍光Fは分光され全ての波長と強度が測定され、計算機80により測定対象物10に含まれている元素とその量が割り出され、分析結果等が表示器90で表示される。
このように、集光レンズ群25により、レーザ光伝送用光ファイバ50で伝送するパルスレーザ光Lが集光され測定対象物10に照射されるとともに、パルスレーザ光Lの照射によって測定対象物10の表面に含まれている原子から放出される蛍光Fが集光され蛍光伝送用光ファイバ60に伝送されるので、測定対象物10の形状の影響による感度低下が少なく、高い分析精度が得られる。
上述の分析装置、分析方法は本発明を実施するための一例であって、これに限定されるものではなく、これらを変形した分析装置、分析方法が適用できることは特に言及するまでもない。
次に、検量線の作成方法について説明する。(1)まず、密度の異なる測定対象物を作製する。図4は本発明の実施の形態に係る測定対象物を説明するために例示したものであり、図(A)は伐採した樹木を製材した柱状体を軸直角方向にスライスした正方形板の平滑なスライス面を示している。図(B)は、本実施の形態に係る検量線作成のための測定対象物であり、図(A)の正方形板の年輪中心と角部を残し他を除外した角板を示している。角板は、伐採した樹木を軸直角にスライスし、さらに木軸の方向に年輪を中心に平行切断して年輪中心部を含む薄厚、小幅の角板相当品としてもよいし、上記角板または角板相当品における年輪中心から一側端までの半分としてもよい。
測定対象は、数種類取り揃える。樹種は密度が異なれば、同種のものでも異種のものでもよい。但し、検量線の作成に当ては、木の密度の測定方法として従来から使用されている軟X線デンシトメトリを活用するため、含水率はJISZ2101で規定されている15%とする必要がある。
即ち、木の密度は、含水量によって異なるが、作成される検量線は含水率が15%時の密度を表示するものとなる。
(2)図5は本発明の実施の形態に係る検量線の作図方法を説明するためのグラフである。図5の左側(第2象限)は、従来木の密度の測定方法として使用されている軟X線デンシトメトリによる木の密度を表示したグラフである。横軸がX線の透過度、縦軸が木の密度であり、直線が検量線Rである。
右側(第1象限)は、本実施の形態に係るレーザ誘起プラズマ発光分析による木の密度を表示したグラフである。横軸が炭素の蛍光強度、縦軸が木の密度であり、直線が検量線Sを表示している。検量線Rは従来の軟X線デンシトメトリにより実測した値(グラフ上、×印)より求めたものであり、詳細は省略する。
(3)検量線R上の点(T)に対応する測定対象物(図4(B)参照)と同一対象物について、年輪中心と両端の角部を含む直線上を所定の間隔で炭素の蛍光強度を測定し、その平均値を第1象限の横軸上にとり(点1、単位はa.u.)、検量線R上の点(T)の木の密度(縦軸上、点2)をとる。
(4)横軸上の点1と縦軸上の点2から、第1象限に点(V)を求める。
(5)(2)と同様に、検量線R上の点(U)に対応する測定対象物と同一対象物について、年輪中心と両端の角部を含む直線上を所定の間隔で炭素の蛍光強度を測定し、その平均値を第1象限の横軸上にとり(点3、単位はa.u.)、検量線R上の点(T)の木の密度(縦軸上、点4)をとる。
(6)横軸上の点3と縦軸上の点4から、第1象限に点(W)を求める。
(7)第1象限にプロットされた点(V)、点(W)を通る直線を引くと、この直線が検量線Sである。
横軸は、検量線Sが所定の傾斜となるように任意にとればよい。
また、本実施の形態においては、測定対象物を角板または角板相当品としたが、これに限定されるものではない。測定対象物を角板または角板相当品とするのは、検量線作成時において、スポットとして測定した炭素の蛍光強度を単純平均した平均値を横軸にとればよいからであり、密度計算時の体積計算が容易だからでる。
また、炭素の蛍光強度の測定点は、木材の一般的組織を代表するように、木口断面において、年輪に直交する方向に200μm以下の等間隔とするのが好ましい。
次に、作成した検量線を使用して木材密度を算出する方法について説明する。
(1)樹木の平滑な切断面について、年輪中心を含む直線上を両外側まで、所定間隔で炭素の蛍光強度(スポット)を測定し、その平均値を求める。
但し、炭素の蛍光強度の測定点が木材の断面積に対して、均等になるように配分する、または均等になるように、測定点の測定値に対する重み付けをする。
(2)(1)で求めた炭素の蛍光強度を先に作成した検量線を示すグラフの横軸にとり、検量線Sとの交点より、縦軸の木材の密度を求める。この木材の密度が含水率15%時の木材の密度である。
上述において、検量線Rは、軟X線デンシトメトリ法を活用する場合について説明したが、これを使用しないで、密度の異なる複数の測定対象の木材を用意して、従来の体積と質量から求められる密度とレーザ誘起プラズマ発光分析を使用して、検量線を求めても良い。
上述の通り、本実施の形態に係る方法により、作成した検量線を使用することにより、その測定対象物の含水率15%時の密度を知ることができることから、含水率不明の木材の密度から、本実施の形態に係る測定法で求めた含水率15%時の密度を差し引くことによって、単位体積当たり15%以上或いは15%未満の含水量を求めることができるので、含水率不明の木材の水分管理、乾燥工程の厳密なコントロール、乾燥度に起因する木材の用途選別等が現場において、短時間に非破壊的にできるのでその効用は大きい。
また、本実施の形態に係る炭素の蛍光強度の測定は大気中で測定できるので、製造現場におけるオンライン測定が可能である。
また、樹木の平滑な切断面の面分布測定が可能であり、レ−ザ照射によるスポット分析であることから、樹木の平滑な切断面の表面を局部破壊して分析できるので、同一部位にレ−ザ照射を繰り返すことで、切断面に付着した異物の影響を除去した炭素の蛍光強度の測定が可能である。さらに光ファイバ伝送により、分析装置本体と測定ヘッドを離して設置する遠隔分析ができるので、製造ラインに組み込んだ分析が可能である。
(1)分析装置(LIBS)
東芝電子管デバイス株式会社LIS−201シリーズ
(2)測定対象物
樹種 スギ
形状 角板
長さ×幅×厚さ:約160mm×25mm×5mm
含水率 15%
測定対象物数
6枚
(3)測定
測定面 測定対象物の平滑な表面
測定範囲・方向 年輪中心を含む測定対象物の中央線上を一端から他端まで年輪に直角に測定対象物の長手方向
測定間隔 500μm
レーザスポット径 360μm
(4)測定結果
図6は、本発明の実施形態に係るレ−ザ誘起プラズマ発光分析による木材の構成元素の波長と蛍光強度を示したグラフである。波長247.9nmの所に炭素による強い蛍光が表れている。
図7は、本発明の実施例に係るレ−ザ誘起プラズマ発光分析方法により作成された検量線であり、6測定対象物の内の1測定対象物の左側のデータを示している。測定対象物の年輪中心を含み左端までの左側の測定点毎の炭素の蛍光強度を任意単位(a.u.)で表示し(右側は省略)、切断刃物に付着したオイルが、測定対象物である木口表面に付着した影響と考えられる測定初期のデータのバラツキを除去するため、4回目以降のデータを示している(測定回数毎のバラツキを示すグラフは省略)。晩材部(年輪部)は炭素の蛍光強度が高く、早材部(年輪間)においては、炭素の蛍光強度が低くなっており、木材の組織の差異が炭素の蛍光強度の相違として表示されている。
図8は、本発明の実施例に係るレーザ誘起プラズマ発光分析を活用して作成した検量線である。□点は、軟X線デンシメトリーの実測定点を本検量線上にスライドさせたものであり、●点が、従来法による測定対象物の体積と質量から求めた密度と、本発明に係る炭素の蛍光強度との関係から求められた実測点であるが、従来法による●点の軟X線デンシメトリーを活用した検量線とのずれも小さく、本発明に係る検量線の精度は高く、この検量線を使用して精度の高い木材密度を測定することが可能である。
なお、検量線作成時、図7に示す測定対象物の年輪中心からの距離に対する炭素の蛍光強度(横軸)を単純平均した値を使用して図8の●点を表示したが、炭素の蛍光強度(横軸)を距離に関して積分して、その積分値を測定範囲(距離)で割った値を使用すれば、より精度を上げることができる。
本発明の実施形態に係るLIBS(レ−ザ誘起プラズマ発光分析装置)を説明するためのブロック図である。 本発明の実施形態に係る光学系ユニットの断面図である。 本発明の実施形態に係る分配反射ミラーの波長と、透過率および反射率との関係を説明するためのグラフである。 本発明の実施形態に係る測定対象物を説明するため例示したものである。 本発明の実施形態に係る検量線の作図方法を説明するためのグラフである。 本発明の実施形態に係るレ−ザ誘起プラズマ発光分析による木材の構成元素の波長と蛍光強度を示したグラフである。 本発明の実施例に係る測定対象物の炭素の蛍光強度を示したグラフである。 本発明の実施例に係るレ−ザ誘起プラズマ発光分析の活用により作成した検量線である。 木材の構成元素の比率(重量比)を示した一覧表である。
符号の説明
100・・・LIBS(レーザ誘起プラズマ発光分析装置)
10・・・測定対象物(角板)
20・・・光学系ユニット
21・・・本体筒部
22・・・蛍光導光筒部
23・・・分配反射ミラー
231・・・蛍光反射面
24・・・蛍光集光レンズ
25・・・集光レンズ群
251・・・第1レンズ
252・・・第2レンズ
253・・・第3レンズ
254・・・第4レンズ
30・・・レーザ発信器
40・・・光ファイバ入射系
50・・・光ファイバ(レーザ光伝送用)
50a・・・レーザ光出射面
60・・・光ファイバ(蛍光伝送用)
60a・・・蛍光入射面
70・・・蛍光測定器
80・・・計算機
90・・・表示器
L・・・パルスレーザ光
F・・・蛍光

Claims (5)

  1. レーザ誘起プラズマ発光分析によって木材の表面から得られる炭素の蛍光強度と、質量と体積の比として求められる木材の気乾密度(含水率15%時の密度をいう。以下単に「木材密度」という。)との検量線を作成し、該検量線を使用して、木材の含水率に無関係に、かつ非破壊的に測定することを特徴とする木材密度の測定方法。
  2. 前記検量線の作成時の測定対象物は、樹木の平滑な切断面において、年輪の中心と樹木の一外側または両外側を中央かつ一直線上に含む薄厚、小幅の角板(以下「角板」という。)とし、前記検量線の作成時における前記木材の表面から得られる炭素の蛍光強度が、前記中央かつ一直線上を一外側から年輪中心まで、または年輪中心を通り更に他の外側までの複数点の測定値の平均値であることを特徴とする請求項1に記載の木材密度の測定方法。
  3. 前記検量線の使用時おける前記木材の表面から得られる炭素の蛍光強度の測定方向が、樹木の平滑な切断面において、年輪に直交する方向であり、かつ木材の単位面積当たりの測定点数が均等になるように配分または均等になるように重み付けがなされていることを特徴とする請求項1または2に記載の木材密度の測定方法。
  4. 前記木材密度の測定対象が含水率不明の木材であって、該測定対象である木材の密度から請求項1から3のいずれか1つに記載の木材密度の測定方法により得られた前記木材密度を差引き、前記測定対象である木材の単位体積当たり15%以上或いは15%未満の含水量を算出して、得られた含水量に基づき前記測定対象である木材の乾燥制御を行なうことを特徴とする乾燥制御方法
  5. 前記木材密度の測定対象が含水率不明の木材であって、該測定対象である木材の密度から請求項1から3のいずれか1つに記載の木材密度の測定方法により得られた前記木材密度を差引き、前記測定対象である木材の単位体積当たり15%以上或いは15%未満の含水量を算出して、得られた含水量に基づき前記測定対象である木材の用途選別を行うことを特徴とする用途選別方法
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