JP5217996B2 - ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物に関するものである。さらに詳しくは、流動性、耐衝撃性、難燃性に優れたポリカーボネート樹脂組成物に関するものである。
ポリカーボネート樹脂は、耐熱性、機械的物性、電気的特性に優れた樹脂であり、例えば自動車材料、電気電子機器材料、住宅材料、その他の工業分野における部品製造用材料等に幅広く利用されている。特に、難燃化されたポリカーボネート樹脂組成物は、コンピューター、ノートブック型パソコン、携帯電話、プリンター、複写機等のOA・情報機器等の部材として好適に使用されている。
ポリカーボネート樹脂に難燃性を付与する手段としては、従来、ハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤をポリカーボネート樹脂に配合することがなされてきた。
しかしながら、塩素や臭素を含有するハロゲン系難燃剤を配合したポリカーボネート樹脂組成物は、熱安定性の低下を招いたり、成形加工時における成形機のスクリューや成形金型の腐食を招いたりすることがあった。
一方、ハロゲン系化合物を用いることなく熱可塑性樹脂に難燃性を付与する手法として、リン酸系難燃剤を使用する手法が盛んに検討されている。(例えば、特許文献1参照)リン系難燃剤を配合したポリカーボネート樹脂は、気層中の燃焼ガス希釈効果、燃焼時に成形品表面に断熱炭化層を形成することによる、燃焼ガスや燃焼に必要な空気の遮断効果や熱伝導を遅延させる効果等を発揮し、難燃性が向上することが知られている。
特開昭59−202240号公報
しかしながら、高い難燃性を得る目的で、又は流動性を高める目的で、上記リン系難燃剤の配合量を多くすると、ポリカーボネート樹脂が持つ優れた耐熱性や優れた耐衝撃性が著しく低下する傾向にあった。また、リン系難燃剤を過剰に配合したポリカーボネート樹脂組成物を製品に用いた場合は、廃棄時においては製品からリン系難燃剤がブリードアウトし、環境汚染を引き起こす可能性があり、また近年、人体へ危険性も指摘されている。したがって、その使用量をできるだけ減らしつつ、高い難燃性が付与されたポリカーボネート樹脂組成物が強く要求されていた。
本発明は上記の課題に鑑みて創案されたもので、流動性、耐衝撃性、難燃性のバランスに優れたポリカーボネート樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明の発明者は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、リン系難燃剤を配合したポリカーボネート樹脂に所定の置換基を有するジアリールエーテル化合物を含有させることにより、耐衝撃性を損なうことなく、流動性、難燃性を向上させることができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂100重量部と、リン系難燃剤3重量部〜15重量部と、フルオロポリマー0.01〜1重量部と、下記式(1)で表されるジアリールエーテル化合物0.1重量部〜6重量部とを含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物である。
Figure 0005217996
[式(1)中、R及びRは、各々独立に、炭素数10〜30の脂肪族炭化水素基を表し、Arは、各々独立に、炭素数6〜12の芳香族基を表し、m及びnは、0≦m≦7、0≦n≦7および1≦m+nを満たす整数を表す。]
このとき、該リン系難燃剤が、下記式(2)で表されるリン酸エステルであることが好ましい。
Figure 0005217996
[式中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ、炭素数1〜6のアルキル基またはアルキル基で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基を示し、p、q、rおよびsは、それぞれ0または1であり、mは1から5の整数であり、Xはアリーレン基を示す]
また、耐衝撃改良剤をポリカーボネート樹脂100重量部に対し、0.5〜15重量部含有することが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物によれば、耐衝撃性を損なうことなく、従来よりも高い流動性及び高い難燃性を実現できる。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
[1.概要]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、少なくとも、ポリカーボネート樹脂と、リン系難燃剤と、フルオロポリマーと、下記式(1)で表されるジアリールエーテル化合物(以下、適宜「ジアリールエーテル化合物」という。)とを含有する。
Figure 0005217996
[式(1)中、R及びRは、各々独立に、炭素数10〜30の脂肪族炭化水素基を表し、Arは、各々独立に、炭素数6〜12の芳香族基を表し、m及びnは、0≦m≦7、0≦n≦7および1≦m+nを満たす整数を表す。]
このように、リン系難燃剤とジアリールエーテル化合物とを組み合わせてポリカーボネート樹脂に含有させることにより、リン系難燃剤だけをポリカーボネート樹脂に含有させた場合と比較し、耐衝撃性を損なうことなく、優れた流動性、及び優れた難燃性を実現することができる。
[2.ポリカーボネート樹脂]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物が含有するポリカーボネート樹脂の種類に制限は無い。また、ポリカーボネート樹脂は、1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び任意の比率で併用してもよい。
また、ポリカーボネート樹脂は芳香族ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリカーボネート樹脂等に分類できるが、いずれを用いることもできる。中でも、耐熱性、機械的物性、電気的特性等の観点から、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
芳香族ポリカーボネート樹脂の具体的な種類に制限は無いが、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを反応させてなる芳香族ポリカーボネート重合体が挙げられる。この際、芳香族ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体に加えて、ポリヒドロキシ化合物等を反応させるようにしても良い。また芳香族ポリカーボネート重合体は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。さらに、芳香族ポリカーボネート重合体は1種の繰り返し単位からなる単重合体であってもよく、2種以上の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。通常、このような芳香族ポリカーボネート重合体は、熱可塑性の樹脂となる。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、芳香族ジヒドロキシ化合物の例を挙げると、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル等のジヒドロキシジアリールエーテル類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;
ハイドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられる。
これらの中でもビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、特に耐衝撃性の点から2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)が好ましい。
なお、芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、カーボネート前駆体の例を挙げると、カルボニルハライド、カーボネートエステル、ハロホルメ−ト等が使用される。具体的には例えば、ホスゲン;ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
なお、カーボネート前駆体は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
・芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法
芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。以下、これらの方法のうち特に好適なものについて具体的に説明する。
・・界面重合法
まず、芳香族ポリカーボネート樹脂を界面重合法で製造する場合について説明する。界面重合法では、反応に不活性な有機溶媒及びアルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(好ましくは、ホスゲン)とを反応させた後、重合触媒の存在下で界面重合を行うことによって芳香族ポリカーボネート樹脂を得る。なお、反応系には、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)を存在させるようにしてもよく、芳香族ジヒドロキシ化合物の酸化防止のために酸化防止剤を存在させるようにしてもよい。
芳香族ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体は、前述のとおりである。なお、カーボネート前駆体の中でもホスゲンを用いることが好ましく、ホスゲンを用いた場合の方法は特にホスゲン法と呼ばれる。
反応に不活性な有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素等;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;などが挙げられる。なお、有機溶媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
アルカリ水溶液に含有されるアルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物が挙げられるが、中でも水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましい。なお、アルカリ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
アルカリ水溶液中のアルカリ化合物の濃度に制限は無いが、通常、反応のアルカリ水溶液中のpHを10〜12にコントロールするために、5〜10重量%で使用される。また、例えばホスゲンを吹き込むに際しては、水相のpHが10〜12、好ましくは10〜11になる様にコントロールするために、ビスフェノール化合物とアルカリ化合物とのモル比を、通常1:1.9以上、中でも1:2.0以上、また、通常1:3.2以下、中でも1:2.5以下とすることが好ましい。
重合触媒としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン、ピリジン等の第三級アミン類;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩等;などが挙げられる。なお、重合触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
分子量調整剤としては、例えば、一価のフェノール性水酸基を有する化合物が挙げられる。具体例を挙げると、m−メチルフェノール、p−メチルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、及びp−長鎖アルキル置換フェノール等が挙げられる。なお、分子量調整剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
分子量調整剤の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物100モルに対して、通常0.5モル以上、好ましくは1モル以上であり、また、通常50モル以下、好ましくは30モル以下である。分子量調整剤の使用量をこの範囲とすることで、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の熱安定性及び耐加水分解性を向上させることができる。
反応の際に、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望の芳香族ポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。例えば、カーボネート前駆体としてホスゲンを用いた場合には、分子量調整剤は芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンとの反応(ホスゲン化)の時から重合反応開始時までの間であれば任意の時期に混合できる。
なお、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は通常は数分(例えば、10分)〜数時間(例えば、6時間)である。
・・溶融エステル交換法
次に、芳香族ポリカーボネート樹脂を溶融エステル交換法で製造する場合について説明する。溶融エステル交換法では、例えば、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応を行う。
芳香族ジヒドロキシ化合物は、前述の通りである。
一方、炭酸ジエステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート等の炭酸ジアルキル化合物;ジフェニルカーボネート;ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネートなどが挙げられる。中でも、ジフェニルカーボネート及び置換ジフェニルカーボネートが好ましく、特にジフェニルカーボネートがより好ましい。なお、炭酸ジエステルは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの比率は所望の芳香族ポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であるが、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステルを等モル量以上用いることが好ましく、中でも1.01モル以上用いることがより好ましい。なお、上限は通常1.30モル以下である。このような範囲にすることで、末端水酸基量を好適な範囲に調整できる。
芳香族ポリカーボネート樹脂では、その末端水酸基量が熱安定性、加水分解安定性、色調等に大きな影響を及ぼす傾向がある。このため、公知の任意の方法によって末端水酸基量を必要に応じて調整してもよい。エステル交換反応においては、通常、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率;エステル交換反応時の減圧度などを調整することにより、末端水酸基量を調整した芳香族ポリカーボネート樹脂を得ることができる。なお、この操作により、通常は得られる芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量を調整することもできる。
炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率を調整して末端水酸基量を調整する場合、その混合比率は前記の通りである。
また、より積極的な調整方法としては、反応時に別途、末端停止剤を混合する方法が挙げられる。この際の末端停止剤としては、例えば、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類などが挙げられる。なお、末端停止剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
溶融エステル交換法により芳香族ポリカーボネート樹脂を製造する際には、通常、エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒は任意のものを使用できる。中でも、例えばアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を用いることが好ましい。また補助的に、例えば塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物などの塩基性化合物を併用してもよい。なお、エステル交換触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
溶融エステル交換法において、反応温度は通常100〜320℃である。また、反応時の圧力は通常2mmHg以下の減圧条件である。具体的操作としては、前記の条件で、芳香族ヒドロキシ化合物等の副生成物を除去しながら、溶融重縮合反応を行えばよい。
溶融重縮合反応は、バッチ式、連続式の何れの方法でも行うことができる。バッチ式で行う場合、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望の芳香族ポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。ただし中でも、芳香族ポリカーボネート樹脂及び芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の安定性等を考慮すると、溶融重縮合反応は連続式で行うことが好ましい。
溶融エステル交換法においては、必要に応じて、触媒失活剤を用いても良い。触媒失活剤としてはエステル交換触媒を中和する化合物を任意に用いることができる。その例を挙げると、イオウ含有酸性化合物及びその誘導体などが挙げられる。なお、触媒失活剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
触媒失活剤の使用量は、前記のエステル交換触媒が含有するアルカリ金属又はアルカリ土類金属に対して、通常0.5当量以上、好ましくは1当量以上であり、また、通常10当量以下、好ましくは5当量以下である。更には、芳香族ポリカーボネート樹脂に対して、通常1ppm以上であり、また、通常100ppm以下、好ましくは20ppm以下である。
本発明におけるポリカーボネート樹脂は、分岐構造を有していても良い。分岐構造を有するポリカーボネート樹脂を用いることで、燃焼時の滴下防止性が高める傾向にあるため好ましい。中でも、分岐構造を有する芳香族ポリカーボネート樹脂(以下、適宜「分岐芳香族ポリカーボネート樹脂」という)が、高い難燃性を得られやすく好ましい。
分岐芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法の例を挙げると、特開平8−259687号公報、特開平8−245782号公報等に記載の方法が挙げられる。これらの文献に記載の方法では、溶融エステル交換法により芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸のジエステルとを反応させる際、触媒の条件または製造条件を選択することにより、分岐剤を使用することなく、加水分解安定性に優れた分岐構造を有する芳香族ポリカーボネート樹脂を得ることができる。
また、分岐芳香族ポリカーボネート樹脂を製造する他の方法として、上述の芳香族ポリカーボネート樹脂の原料である、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体の他に、三官能以上の多官能性芳香族化合物を用い、界面重合法又は溶融ステル交換法にて、これらを共重合する方法が挙げられる。
三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、例えば、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)べンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のポリヒドロキシ化合物類;
3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインド−ル(即ち、イサチンビスフェノール)、5−クロロイサチン、5,7−ジクロロイサチン、5−ブロムイサチンなどが挙げられる。中でも1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
多官能性芳香族化合物は、前記芳香族ジヒドロキシ化合物の一部を置換して使用することができる。多官能性芳香族化合物の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、通常0.01モル%以上、好ましくは0.1モル%以上であり、また、通常10モル%以下、好ましくは3モル%以下である。
なお、多官能性芳香族化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
溶融エステル交換法によって得られた芳香族ポリカーボネート樹脂に含まれる分岐構造は、例えば、以下の式(3)〜(6)の構造が挙げられる。なお、下記式(3)〜(6)において、Xは、単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、または、−O−、−S−、−CO−、−SO−、−SO−で示される二価の基からなる群より選ばれるものを示す。
Figure 0005217996
Figure 0005217996
Figure 0005217996
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分岐芳香族ポリカーボネート樹脂を製造する方法としては、上述した方法の中でも、上述の溶融エステル交換法によって製造する製造方法が特に好ましい。比較的安価で、工業的入手のしやすい原料により製造できるためである。このため、ポリカーボネート樹脂も、溶融エステル交換法により製造することが好ましい。
・ポリカーボネート樹脂に関するその他の事項
ポリカーボネート樹脂の分子量は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、溶液粘度から換算した粘度平均分子量[Mv]は、通常10000以上、好ましくは16000以上、より好ましくは18000以上であり、また、通常40000以下、好ましくは30000以下である。粘度平均分子量を前記範囲の下限値以上とすることにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の機械的強度をより向上させることができ、機械的強度の要求の高い用途に用いる場合により好ましいものとなる。一方、粘度平均分子量を前記範囲の上限値以下とすることにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の流動性低下を抑制して改善でき、成形加工性を高めて成形加工を容易に行えるようになる。なお、粘度平均分子量の異なる2種類以上のポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよく、この場合には、粘度平均分子量が上記の好適な範囲外であるポリカーボネート樹脂を混合してもよい。
なお、粘度平均分子量[Mv]とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10−4Mv0.83、から算出される値を意味する。また極限粘度[η]とは、各溶液濃度[C](g/dl)での比粘度[ηsp]を測定し、下記式により算出した値である。
Figure 0005217996
ポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、通常1000ppm以下、好ましくは800ppm以下、より好ましくは600ppm以下である。これにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の滞留熱安定性及び色調をより向上させることができる。また、その下限は、特に溶融エステル交換法で製造されたポリカーボネート樹脂では、通常10ppm以上、好ましくは30ppm以上、より好ましくは40ppm以上である。これにより、分子量の低下を抑制し、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の機械的特性をより向上させることができる。
なお、末端水酸基濃度の単位は、ポリカーボネート樹脂の重量に対する、末端水酸基の重量をppmで表示したものである。その測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)である。
ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネート樹脂単独(ポリカーボネート樹脂単独とは、ポリカーボネート樹脂の1種のみを含む態様に限定されず、例えば、モノマー組成や分子量が互いに異なる複数種のポリカーボネート樹脂を含む態様を含む意味で用いる。)で用いてもよく、ポリカーボネート樹脂と他の熱可塑性樹脂とのアロイ(混合物)とを組み合わせて用いてもよい。さらに、例えば、難燃性を更に高める目的で、ポリカーボネート樹脂を、シロキサン構造を有するオリゴマーまたはポリマーとの共重合体等の、ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体として構成してもよい。
また、成形品の外観の向上や流動性の向上を図るため、ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネートオリゴマーを含有していてもよい。このポリカーボネートオリゴマーの粘度平均分子量[Mv]は、通常1500以上、好ましくは2000以上であり、また、通常9500以下、好ましくは9000以下である。さらに、含有されるポリカーボネートリゴマーは、ポリカーボネート樹脂(ポリカーボネートオリゴマーを含む)の30重量%以下とすることが好ましい。
更にポリカーボネート樹脂は、バージン原料だけでなく、使用済みの製品から再生されたポリカーボネート樹脂(いわゆるマテリアルリサイクルされたポリカーボネート樹脂)であってもよい。前記の使用済みの製品としては、例えば、光学ディスク等の光記録媒体;導光板;自動車窓ガラス、自動車ヘッドランプレンズ、風防等の車両透明部材;水ボトル等の容器;メガネレンズ;防音壁、ガラス窓、波板等の建築部材などが挙げられる。また、製品の不適合品、スプルー、ランナー等から得られた粉砕品またはそれらを溶融して得たペレット等も使用可能である。
ただし、再生されたポリカーボネート樹脂は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物に含まれるポリカーボネート樹脂のうち、80重量%以下であることが好ましく、中でも50重量%以下であることがより好ましい。再生されたポリカーボネート樹脂は、熱劣化や経年劣化等の劣化を受けている可能性が高いため、このようなポリカーボネート樹脂を前記の範囲よりも多く用いた場合、色相や機械的物性を低下させる可能性があるためである。
[3.リン系難燃剤]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物はリン系難燃剤を含有する。このようにリン系難燃剤を含有することで、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の難燃性を向上させることができる。本発明におけるリン系難燃剤としては、分子中にリンを含む化合物であり、低分子であっても、オリゴマーであっても、ポリマーであってもよく、例えば、下記の一般式(2)又は(7)で表されるリン系化合物が挙げられるが、熱安定性の面から、一般式(2)で表されるリン系難燃剤が特に好ましい。
Figure 0005217996
[式中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ、炭素数1〜6のアルキル基またはアルキル基で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基を示し、p、q、rおよびsは、それぞれ0または1であり、mは1から5の整数であり、Xはアリーレン基を示す]
Figure 0005217996
[式中、R5、R6及びR7は、それぞれ、炭素数1〜6のアルキル基又はアルキル基で
置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基を示し、h、i及びjは、それぞれ0
又は1を示す。]
上記一般式(2)で表されるリン系化合物は、mが1〜5の縮合燐酸エステルであり、mが異なる縮合燐酸エステルの混合物については、mはそれらの混合物の平均値となる。Xは、アリーレン基を示し、例えばレゾルシノール、ハイドロキノン、ビスフェノールA等のジヒドロキシ化合物から誘導される二価の基である。
一般式(2)で表されるリン系化合物の具体例としては、ジヒドロキシ化合物にレゾルシノールを使用した場合は、フェニルレゾルシン・ポリホスフェート、クレジル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・クレジル・レゾルシン・ポリホスフェート、キシリル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル−p−t−ブチルフェニル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・イソプロピルフェニル・レゾルシンポリホスフェート、クレジル・キシリル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・イソプロピルフェニル・ジイソプロピルフェニル・レゾルシンポリホスフェート等が挙げられる。
上記一般式(7)で表されるリン系化合物は、公知の方法で、オキシ塩化リン等から製造することができる。一般式(7)で表されるリン系化合物の具体例としては、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸ジフェニル2−エチルクレジル、リン酸トリ(イソプロピルフェニル)、メチルホスホン酸ジフェニルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステル、リン酸ジフェニルクレジル、リン酸トリブチル等が挙げられる。
また、本発明におけるリン系難燃剤は、ホスファゼン化合物であってもよい。そのような化合物としては、環状フェノキシホスファゼン化合物、鎖状フェノキシホスファゼン化合物及び架橋フェノキシホスファゼン化合物から選ばれた少なくとも一種である。
リン系難燃剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、通常3重量部以上、好ましくは5重量部以上であり、通常15重量部未満、好ましくは12重量部未満である。リン系難燃剤の配合量が3重量部を下回る場合は、難燃性が不十分であり、15重量部を超えると著しい耐熱性の低下や、機械物性の低下を引き起こす傾向にある為、好ましくない。
[4.フルオロポリマー]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、フルオロポリマーを含有する。フルオロポリマーを含有することにより、燃焼時の滴下防止性が向上する。好ましいフルオロポリマーは、フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンであり、ポリカーボネート樹脂組成物に優れた難燃性を発揮させる上で効果的である。フィブリル形成能とは、樹脂組成物を製造する時の混練、射出成形法で成形品を製造する時の混練で、剪断応力を受けてフィブリル化(繊維化)する性質をいい、フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンは、ASTM規格でタイプ3に分類される。
本発明に用いるフルオロポリマーは、ファインパウダー状のフルオロポリマー、フルオロポリマーの水性ディスパージョン、ASやPMMA等の第2の樹脂との粉体状混合物等、様々な形態のフルオロポリマーを使用することができ、具体的な商品としては、三井デュポンフロロケミカル(株)製「テフロン(登録商標)6J」、ダイキン工業(株)製「ポリフロンF−201(登録商標)」を例示することができ、また、フルオロポリマーの水性ディスパージョンとして、三井デュポンフロロケミカル(株)製「テフロン(登録商標)30J」、ダイキン工業(株)製「ポリフロンD−1(登録商標)」、「ポリフロンD−2(登録商標)」、「ポリフロンD−2C(登録商標)」、「ポリフロンD−2CE(登録商標)」、ASやPMMA等の第2の樹脂との粉体状混合物として、GEスペシャリティケミカルズ社製「Blendex 449(登録商標)」、三菱レーヨン(株)製「メタブレンA−3800(登録商標)」を例示することができる。
フルオロポリマーの配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、通常0.01以上、好ましくは0.05以上、特に好ましくは0.1以上であり、通常1重量部未満、好ましくは0.75重量部未満、特に好ましくは0.5重量部未満である。フルオロポリマーの含有量が、0.01重量部を下回る場合は、滴下防止効果が不十分であり、1重量部を超える場合は、成形品の外観が低下しやすく好ましくない。
[5.ジアリールエーテル化合物]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、下記式(1)で表されるジアリールエーテル化合物(即ち、ジアリールエーテル化合物(1))を含有する。
Figure 0005217996
式(1)中、R及びRは脂肪族炭化水素基を表し、好ましくはアルキル基を表す。また、R及びRの炭素数は、10以上、好ましくは12以上であり、30以下、好ましくは24以下、より好ましくは20以下である。また、R及びRの炭素鎖は直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよく、環状でもよく、これらが組み合わされた構造のものでもよい。
このように、ジアリールエーテル化合物(1)をリン系難燃剤と組み合わせてポリカーボネート樹脂組成物に含有させることにより、燃焼時に発泡して微小な気泡を形成し、この気泡の作用によってポリカーボネート樹脂組成物の難燃性が向上する。このような気泡が形成される理由は定かではないが、本発明者の検討によれば、ある程度の大きさを有する炭化水素基を置換基として有することが何らかの作用を発揮しているものと推察される。また、ある程度の長さを有する長鎖脂肪族基を有していることにより、ポリカーボネート樹脂組成物の耐衝撃性を低下させることなく、流動性を向上させることが可能となっているものと考えられる。その他、ある程度の長さを有する長鎖脂肪族基を有していることにより、ジアリールエーテル化合物(1)自体の耐熱性が向上し、成形加工時におけるアウトガスが著しく減少する傾向にある為、好ましい。中でも上記の作用は、R及びRがアルキル基である場合、即ち、ジアリールエーテル化合物(1)が炭素数10〜30のアルキル基を有する場合に顕著になる。したがって、R及びRはアルキル基であることが特に好ましい。また、R及びRの炭素数が大きすぎるとポリカーボネート樹脂への分散性が著しく低下する可能性があるため、R及びRの炭素数には上限が存在する。
及びRがArに置換する位置に制限は無い。
さらに、同じArに置換するR同士及びR同士は、それぞれ、直接又は連結基を介して結合して環を形成していてもよい。この場合、R同士及びR同士が結合して形成される環は、脂肪族の環であってもよく、芳香族の環であってもよい。
なお、RとRとは、同じでもよく、異なっていてもよい。さらに、1分子中にRが複数存在する場合、及び、Rが複数存在する場合には、R同士及びR同士は、それぞれ、同じでもよく、異なっていてもよい。
及びRの例を挙げるとデシル基(炭素数10)、ドデシル基(炭素数12)、テトラデシル基(炭素数14)、ペンタデシル基(炭素数15)、ヘキサデシル基(炭素数16)、オクタデシル基(炭素数18)等が挙げられる。
なお、R及びRは、1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び任意の比率で併用してもよい。
式(1)中、Arは、炭素数が6以上であり、12以下、好ましくは10以下の芳香族基を表す。なお、Arの価数は当該Arに置換するR及びRの数に応じて決まり、例えばm=n=2である場合には2つのArはそれぞれ3価である。Arの炭素数が大きすぎるとジアリールエーテル化合物(1)の共役構造が大きくなるに起因し、ジアリールエーテル化合物(1)自体が着色する傾向にある為、ポリカーボネート樹脂組成物の色相を著しく低下させる可能性がある。なお、ジアリールエーテル化合物(1)が有する2個のArは、互いに、同じでもよく、異なっていてもよい。
式(1)中、m及びnは、0又は1以上であり、7以下、好ましくは5以下の整数を表す。なお、mとnとは同じでもよく、異なっていてもよい。さらに、m+nは、1以上、好ましくは2以上であり、通常7以下、好ましくは5以下である。
ジアリールエーテル化合物(1)の例を挙げると、以下の構造のものが挙げられる。ただし、ジアリールエーテル化合物(1)は以下の例示物に限定されるものではない。また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ジアリールエーテル化合物(1)を1種類だけ含有していてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び任意の比率で含んでいてもよい。
Figure 0005217996
Figure 0005217996
ジアリールエーテル化合物(1)の粘度は、通常5mm/s以上、好ましくは7mm/s以上、より好ましくは10mm/s以上であり、通常500mm/s以下、好ましくは300mm/s以下、より好ましくは150mm/s以下である。粘度を上述の範囲とすることでポリカーボネート樹脂とのブレンド及び混練の際のハンドリング性が向上し、かつ分散性も向上する傾向にある。
なお、ここで、粘度とは温度40℃における動粘度を表す。
ジアリールエーテル化合物(1)の25℃における蒸気圧は、通常1×10−12Pa以上、好ましくは1×10−10Pa以上、より好ましくは1×10−9Pa以上であり、通常1×10−3Pa以下、好ましくは1×10−4Pa以下、より好ましくは1×10−5Pa以下である。蒸気圧を上述の範囲とすることでポリカーボネート樹脂との混練時及び成形時に発生するガスが著しく低減する傾向にある。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に含有させるジアリールエーテル化合物(1)の量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、通常0.1重量部以上、好ましくは0.5重量部以上、より好ましくは0.75重量部以上であり、通常6重量部以下、好ましくは4.5重量部以下、より好ましくは4重量部以下である。ジアリールエーテル化合物(1)の量を前記範囲の下限値以上とすることで透明性、耐衝撃性及び耐熱性を維持しながらポリカーボネート樹脂組成物の耐擦傷性を高めることが可能である。ただし、量が多くなりすぎると逆に耐擦傷性が低下し、ガスの発生量も増加し、さらに機械的物性等が低下する可能性があるので、前記のような上限値がある。
[6.その他の成分]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、所望の諸物性を著しく損なわない限り、必要に応じて、上述したもの以外にその他の成分を含有していてもよい。その他の成分の例を挙げると、ポリカーボネート樹脂以外の樹脂、各種樹脂添加剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
[7.耐衝撃改良剤]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、適宜耐衝撃改良剤を含有しても良い。耐衝撃改良剤を含有することで、効果的に耐衝撃性を向上させることができる。
本発明で用いる耐衝撃改良剤としては、一般にポリエステル樹脂やポリカーボネート樹脂に配合してその耐衝撃性を改良するのに用いられているものを適宜選択して用いればよい。例えばゴム性重合体やゴム性重合体にこれと反応する化合物を共重合させたものを用いる。耐衝撃改良剤のガラス転移温度は0℃以下、特にー20℃以下であるのが好ましい。
耐衝撃改良剤の具体例としては、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、ジエン系共重合体(スチレン・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、アクリル・ブタジエンゴム等)、エチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合体(エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体等)、エチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体(エチレン・メタクリレート共重合体、エチレン・ブチルアクリレート共重合体等)、エチレンと脂肪族ビニル化合物との共重合体、エチレンとプロピレンと非共役ジエンとのターポリマー、アクリルゴム(ポリブチルアクリレート、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、ブチルアクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート共重合体等)、シリコーン系ゴム(ポリオルガノシロキサンゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキル(メタ)アクリレートゴムとからなるIPN型複合ゴム)等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。尚、本発明において(メタ)アクリレートはアクリレートとメタクリレートを意味し(メタ)アクリル酸はアクリル酸とメタクリル酸を意味する。
また耐衝撃改良剤の他の例としては、ゴム性重合体に単量体成分を重合した共重合体が挙げられる。この単量体としては例えば、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸化合物等が挙げられる。また、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル化合物;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物;マレイン酸、フタル酸、イタコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸化合物やそれらの無水物(例えば無水マレイン酸等)も挙げられる。これらの単量体は単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
耐衝撃改良剤は、耐衝撃性改良の点から、コア/シェル型グラフト共重合体タイプのものが好ましい。なかでもブタジエン成分含有ゴム、ブチルアクリレート成分含有ゴム、シリコーン系ゴムから選ばれるゴム性重合体をコア層とし、その周囲にアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物から選ばれる単量体を共重合して形成されたシェル層からなる、コア/シェル型グラフト共重合体が特に好ましい。
コア/シェル型グラフト共重合体の例としては、メチルメタクリレート−ブタジエン−
スチレン重合体(MBS)、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−ス
チレン重合体(MABS)、メチルメタクリレート−ブタジエン重合体(MB)、メチル
メタクリレート−アクリルゴム重合体(MA)、メチルメタクリレート−アクリルゴム−
スチレン重合体(MAS)、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム共重合体
、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム−スチレン共重合体、メチルメタク
リレート−(アクリル・シリコーンIPN(interpenetrating pol
ymer network)ゴム)重合体等が挙げられる。これらのゴム性重合体は、1
種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
耐衝撃改良剤の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、通常0.5重量部以上、好ましくは1重量部以上、更に好ましくは1.5重量部以上、また通常20重量部未満、好ましくは15重量部未満、更に好ましくは12重量部未満である。耐衝撃改良剤の配合量が0.5重量部未満では、耐衝撃性の改良効果が小さく、20重量部を越えると耐熱性や剛性が低下することがある。
・その他の樹脂
その他の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリスチレン樹脂、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)などのスチレン系樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリメタクリレート樹脂等が挙げられる。
なお、その他の樹脂は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
・樹脂添加剤
樹脂添加剤としては、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、離型剤、紫外線吸収剤、染顔料、難燃剤、滴下防止剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。なお、樹脂添加剤は1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
以下、本発明のポリカーボネート樹脂組成物に好適な添加剤の例について具体的に説明する。
熱安定剤としては、例えばリン系化合物が挙げられる。リン系化合物としては、公知の任意のものを使用できる。具体例を挙げると、リン酸、ホスホン酸、亜燐酸、ホスフィン酸、ポリリン酸などのリンのオキソ酸;酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウムなどの酸性ピロリン酸金属塩;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸亜鉛など第1族または第2B族金属のリン酸塩;有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物、有機ホスホナイト化合物などが挙げられる。これらの中でも、下記式(8)で表される有機ホスフェート化合物及び/又は下記式(9)で表される有機ホスファイト化合物が好ましい。
Figure 0005217996
上記式(8)において、Rはアルキル基またはアリール基を表す。中でもRは、炭素数が通常1以上、好ましくは2以上であり、通常30以下、好ましくは25以下のアルキル基、または、炭素数が通常6以上であり、通常30以下のアリール基であることがより好ましい。さらに、Rは、アリール基よりもアルキル基が好ましい。なお、Rが2以上存在する場合、R同士はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
また、式(8)において、tは、通常0以上、好ましくは1以上であり、また、通常2以下の整数を表す。
Figure 0005217996
式(9)中、R’はアルキル基またはアリール基を表す。中でもR’は、炭素数が1以上30以下のアルキル基、又は、炭素数が6以上30以下のアリール基であることが好ましい。なお、R’同士はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記式(9)で表される有機ホスファイト化合物の好ましい具体例としては、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
なお、熱安定剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
熱安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、通常0.001重量部以上、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.03重量部以上であり、また、通常1重量部以下、好ましくは0.7重量部以下、より好ましくは0.5重量部以下である。熱安定剤が少なすぎると熱安定効果が不十分となる可能性があり、熱安定剤が多すぎると効果が頭打ちとなり経済的でなくなる可能性がある。
[8.ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法に制限はなく、公知のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法を広く採用できる。
具体例を挙げると、本発明に係るポリカーボネート樹脂、リン系難燃剤、フルオロポリマー、及びジアリールエーテル化合物(1)、並びに、必要に応じて配合されるその他の成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。
また、例えば、各成分を予め混合せずに、または、一部の成分のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給して溶融混練して、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を製造することもできる。
また、例えば、一部の成分を予め混合し押出機に供給して溶融混練することで得られる樹脂組成物をマスターバッチとし、このマスターバッチを再度残りの成分と混合し、溶融混練することによって本発明のポリカーボネート樹脂組成物を製造することもできる。
また、例えば、分散し難い成分を混合する際には、その分散し難い成分を予め水や有機溶剤等の溶媒に溶解又は分散させ、その溶液又は分散液と混練するようにすることで、分散性を高めることもできる。
[9.利点]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は流動性、耐衝撃性、難燃性に優れる。これは、リン系難燃剤が難燃剤として作用することに加え、難燃剤と組み合わせて用いたことによりジアリールエーテル化合物が燃焼時に効率的に発泡して発泡構造を形成することによって、燃焼ガスの遮断効果及び断熱効果等を発揮し、著しい消炎性を示すためと推察される。
また、ジアリールエーテル化合物は、従来の難燃剤とは異なり、通常はポリカーボネート樹脂組成物に多量に含有させても色相、耐衝撃性をはじめとする機械的物性及び温熱安定性等の低下を招くことが無く、更に成形時のガスの発生量が極めて小さい。更に、ジアリールエーテル化合物を含有することにより、ポリカーボネート樹脂組成物の流動性を著しく向上させることができる。
[10.成形体]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、通常、任意の形状に成形して成形体(樹脂組成物成形体)として用いる。この成形体の形状、模様、色彩、寸法などに制限はなく、その成形体の用途に応じて任意に設定すればよい。
成形体の例を挙げると、電気電子機器、OA機器、情報端末機器、機械部品、家電製品、車輌部品、建築部材、各種容器、レジャー用品・雑貨類、照明機器等の部品が挙げられる。これらの中でも、特に電気電子機器、OA機器、情報端末機器、家電製品等の部品へ用いて好適であり、電気電子機器の部品に用いて特に好適である。
前記の電気電子機器としては、例えば、パソコン、ゲーム機、テレビなどのディスプレイ装置、プリンター、コピー機、スキャナー、ファックス、電子手帳やPDA、電子式卓上計算機、電子辞書、カメラ、ビデオカメラ、携帯電話、電池パック、記録媒体のドライブや読み取り装置、マウス、テンキー、CDプレーヤー、MDプレーヤー、携帯ラジオ・オーディオプレーヤー等が挙げられる。
成形体の製造方法は、特に限定されず、ポリカーボネート樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法などが挙げられる。また、ホットランナー方式を使用した成形法を用いることも出来る。
得られた本発明の成形体は、上述したように難燃性の高い実用的な成形体として用いることが可能である。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。なお、以下の説明において[部]とは、特に断らない限り重量基準に基づく「重量部」を表す。実施例及び比較例において用いた原料は次のとおりである。
ポリカーボネート樹脂:ポリ−4,4−イソプロピリデンジフェニルカーボネート、
三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名:ユーピロン(登録商標)S−3000N、 粘度平均分子量:21000、「PC」と略記。
リン系難燃剤:レゾルシノールビス−2,6−キシレニルホスフェート、大八化学工業社製、商品名:PX−200、「P−FR」と略記。
フルオロポリマー:ポリテトラフルオロエチレン、三井デュポンフロロケミカル社製、商品名:テフロン(登録商標)6J、「PTFE」と略記。
ジアリールエーテル化合物:炭素数12または14のアルキル基で置換されたアルキルジフェニルエーテル(2〜4置換体の混合物)、松村石油社製、商品名:モレスコハイルーブ LB−100(40℃における動粘度100mm/sec、25℃における蒸気圧2.0×10−8Pa)、「Ar」と略記。
耐衝撃改良剤:ポリブタジエンコア/ポリメチルメタクリレートシェル系共重合体、呉羽化学工業社製、商品名:パラロイドEXL−2603、「IM」と略記。
[樹脂ペレット製造]
上述の、ポリカーボネート樹脂、リン系難燃剤、フルオロポリマー、ジアリールエーテル化合物、及び耐衝撃改良剤を表2に示す割合(重量部)で配合し、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製(TEX30HSST)に供給し、スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/時間、バレル温度260℃の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
[UL試験用試験片の作製]
上述の製造方法で得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、日本製鋼所製のJ50−EP型射出成形機を用いて、シリンダー温度260℃、金型温度80℃、成形サイクル30秒の条件で射出成形し、長さ125mm、幅13mm、厚さ1.6mm(1/16インチ)の試験片を成形した。得られた成形体はUL試験用サンプルとして、後述する要領で難燃性の評価を行った。
[難燃性評価]
各ポリカーボネート樹脂組成物の難燃性の評価は、UL試験用試験片を温度23℃、湿度50%の恒温室の中で48時間調湿し、米国アンダーライターズ・ラボラトリーズ(UL)が定めているUL94試験(機器の部品用プラスチック材料の燃焼試験)に準拠して行なった。UL94Vとは、鉛直に保持した所定の大きさの試験片にバーナーの炎を10秒間接炎した後の残炎時間やドリップ性から難燃性を評価する方法であり、V−0、V−1及びV−2の難燃性を有するためには、以下の表1に示す基準を満たすことが必要となる。
Figure 0005217996
ここで残炎時間とは、着火源を遠ざけた後の、試験片の有炎燃焼を続ける時間の長さである。また、ドリップによる綿着火とは、試験片の下端から約300mm下にある標識用の綿が、試験片からの滴下(ドリップ)物によって着火されるかどうかによって決定される。さらに、5試料のうち、1つでも上記基準を満たさないものがある場合、V−2を満足しないとしてNR(not rated)と評価した。結果を表2に示す。
なお、全残炎時間(総燃焼時間)を「Σt」(単位:sec)、各試料の残炎時間(最大燃焼時間)を「Maxt」(単位:sec)、ドリップによる面着火の回数を「Drip」(単位:/10)と表記した。
[流動性評価]
各ポリカーボネート樹脂組成物の流動性は、上述の製造方法で得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、高化式フローテスター(島津製作所製)を使用して、温度280℃、荷重160kgf/cmの条件下で、単位時間あたりの流出量「Q値」を測定し、評価した。この際使用したオリフィスは、直径1mm×長さ10mmのものである。結果を表2に示す。(「Q」と略記)
なお、Q値は値が大きいほど、流動性が高いことを意味し、好ましい。
[耐衝撃性評価]
上述の製造方法で得られたペレットを、120℃で4時間以上乾燥した後、名機製作所製 M150AII−SJ型射出成形機を使用し、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、成形サイクル55秒の条件で、ASTM D256に準拠した、厚み3.2mmの試験片を作成し、この試験片に0.25Rのノッチを切削し、23℃において、Izod衝撃強度(単位:J/m)を測定した。結果を表2に示す。(「Izod」と略記)
Figure 0005217996
表2から分かるように、実施例1〜3の試験片は高い難燃性を示す。比較例1と比較すれば分かるように、この難燃性はリン系難燃剤だけをポリカーボネート樹脂組成物に含有させた場合よりも高いものである。また、同様に実施例1〜3と比較例1を比較すると、ジアリールエーテル化合物を含有することにより、耐衝撃性の損なうことなく、流動性が向上していることが分かる。また、実施例1〜3と比較例2を比較し、ジアリールエーテル化合物を所定量だけ含有させることにより、上述のような従来には無い優れた効果が発揮されていることが確認できた。
本発明は産業上の幅広い分野に利用することが可能であり、例えば、電気電子機器やその部品、OA機器、情報端末機器、機械部品、家電製品、車輌部品、建築部材、各種容器、レジャー用品・雑貨類、照明機器などの分野に用いて好適である。

Claims (3)

  1. ポリカーボネート樹脂100重量部と、
    リン系難燃剤3重量部〜15重量部と、
    フルオロポリマー0.01〜1重量部と、
    下記式(1)で表されるジアリールエーテル化合物0.1重量部〜6重量部とを含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 0005217996
    [式(1)中、R及びRは、各々独立に、炭素数10〜30の脂肪族炭化水素基を表し、Arは、各々独立に、炭素数6〜12の芳香族基を表し、m及びnは、0≦m≦7、0≦n≦7および1≦m+nを満たす整数を表す。]
  2. 該リン系難燃剤が、下記式(2)で表されるリン酸エステルであることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 0005217996
    [式中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ、炭素数1〜6のアルキル基またはアルキル基で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基を示し、p、q、rおよびsは、それぞれ0または1であり、mは1から5の整数であり、Xはアリーレン基を示す]
  3. さらに、耐衝撃改良剤をポリカーボネート樹脂100重量部に対し、0.5〜20重量部含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
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