JP5217802B2 - 1,3−ジアミノ−4,6−ジベンジロキシベンゼンおよびその塩の製造方法 - Google Patents

1,3−ジアミノ−4,6−ジベンジロキシベンゼンおよびその塩の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、1,3−ジアミノ−4,6−ジベンジロキシベンゼンおよびその塩の製造方法に関する。1,3−ジアミノ−4,6−ジベンジロキシベンゼンを脱ベンジル化して得られる4,6−ジアミノレゾルシノールは、数多くの優れた特性を有するポリベンゾビスオキサゾール(PBO)のモノマーであり、産業上、重要な原料の一つである。PBOは強度、弾性率、耐熱性において、既存の芳香族ポリアミド繊維より遥かに優れたスーパー繊維を提供する。
従来、4,6−ジアミノレゾルシノールの製造方法としては、ハロベンゼンを原料とする方法があり、トリクロロベンゼンをニトロ化する方法(例えば、特許文献1参照)、ジハロベンゼンをニトロ化してアルカリで加水分解する方法(例えば、特許文献2〜4参照)が知られている。しかし、これらの方法においては、トリクロロベンゼンおよびそのニトロ化物は毒性が強く、皮膚のかぶれを引き起こすなどの問題があり、作業者の安全上好ましくない。また、ジハロベンゼンを出発物質とする方法では、異性体や1,3−ジハロ−2,4,6−トリニトロベンゼン等の好ましくない副生物が生成し、収率の低下や安全面での管理等の問題があった。また、工程数が多く、操作が煩雑で高コストになるなど、工業的に問題があった。
また、4,6−ジアミノレゾルシノールを安価なm−ジニトロベンゼンから直接製造する方法も知られている。例えば、m−ジニトロベンゼンを出発原料に無機電解質水溶液と有機溶媒とからなる不均一2層系の反応媒体中で、金属粉末還元剤による還元反応で、m−フェニレンジヒドロキシルアミンを得、酸触媒による転位反応を行っている例が挙げられる(例えば、特許文献5参照)。ところが、反応系中において、4,6−ジアミノレゾルシノールは酸素等の酸化剤に対して非常に敏感で不安定なため、著しい収率低下の問題がある。
一方、4,6−ジアミノレゾルシノールの中間体となる1,3−ジアミノ−4,6−ジベンジロキシベンゼンの製造方法としては、1,3−ジクロロベンゼンをジニトロ化した後、ナトリウムベンジラートを作用させてエーテル化する方法が知られている(例えば、特許文献6、7参照)。しかし、ニトロ化反応においては、衝撃に敏感なポリニトロ化物が副生しやすく、産業上危険性をはらみ、管理上も安全面から十分な注意が必要である。また、異性体生成による収率低下の問題がある。さらに、m−ジクロロベンゼンは比較的高価であるため、経済的な製法とは言い難い。
特開平2−500743号公報 特開平1−238561号公報 特開平7−233127号公報 特開平8−73417号公報 特開平11−49732号公報 特開平3−24038号公報 特開平8−208567号公報
このように、安全性に問題がなく、安定な分子構造を有する1,3−ジアミノ−4,6−ジアルコキシベンゼンの製造方法と、これを合成中間体とした4,6−ジアミノレゾルシノールの製造方法が求められていた。
本発明者らは、上述した問題点を解決し、安価な原料から1,3−ジアミノ−4,6−ジアルコキシベンゼンを得、これを中間体として4,6−ジアミノレゾルシノールを合成する方法を鋭意検討した。即ち、m−フェニレンジヒドロキシルアミン(PDHA)をベンジルアルコールおよび酸の存在下に転位〔バンバーガー(Bamberger)転位〕反応させ、1,3−ジアミノ−4,6−ジベンジロキシベンゼン(DAR−OBn)が得られることを見出した。さらに、得られた1,3−ジアミノ−4,6−ジベンジロキシベンゼンを脱ベンジル化して、4,6−ジアミノレゾルシノール(DAR)またはその塩が合成できることを見出し、本発明を完成させた。
Figure 0005217802
Figure 0005217802
本発明の目的は、重要な中間体である1,3−ジアミノ−4,6−ジベンジロキシベンゼンおよびその塩の製造方法を提供することにある。
m−フェニレンジヒドロキシルアミンから1,3−ジアミノ−4,6−ジベンジロキシベンゼンを合成する工程を転位工程とし、1,3−ジアミノ−4,6−ジベンジロキシベンゼンから4,6−ジアミノレゾルシノールを合成する工程を脱ベンジル化工程とする。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、転位工程について説明する。
m−フェニレンジヒドロキシルアミンの転位反応に用いるベンジルアルコールの添加量は、出発原料であるm−フェニレンジヒドロキシルアミンに対して2倍当量以上であり、通常は、m−フェニレンジヒドロキシルアミン 1重量部に対して10〜60重量部である。また、溶媒を兼ねて使用することもできる。ベンジルアルコールは、脱気処理し、溶存酸素等の酸化物を除いたものが好ましい。
転位反応に用いる酸は触媒として作用する。本発明において使用される酸触媒としては、塩酸、リン酸、スルホン酸、カルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種の酸が使用できる。
本発明において言うスルホン酸は、構造中にスルホン酸基を含有する化合物であり、特に限定されるものではないが、例えば、硫酸、フルオロスルホン酸、クロロスルホン酸等の無機スルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、ヘプタンスルホン酸、オクタンスルホン酸、ノナンスルホン酸、デカンスルホン酸、ドデカンスルホン酸、テトラデカンスルホン酸、DL−カンファー−10−スルホン酸等の脂肪族スルホン酸類、トリフルオロメタンスルホン酸、アミノメタンスルホン酸、2−ブロモエタンスルホン酸、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸、N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸、3−アミノプロパンスルホン酸、N−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホン酸、3−クロロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−モルホリノプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アミノ−5−メチルベンゼン−1−スルホン酸、タウリン等の置換脂肪族スルホン酸類、ベンゼンスルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、p−フェノールスルホン酸、グアヤコール−4−スルホン酸、p−スチレンスルホン酸、フェニルヒドラジン−p−スルホン酸、1,2−ベンゼンジスルホン酸、1,3−ベンゼンジスルホン酸、1,4−ベンゼンジスルホン酸、m−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、2,4−ジメチルベンゼンスルホン酸、2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸、2−メシチレンスルホン酸、p−エチルベンゼンスルホン酸、o−アミノベンゼンスルホン酸、m−キシリジン−6−スルホン酸、4−アミノ−2−メチルベンゼンスルホン酸、4−アミノ−クロロトルエン−5−スルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、2,6−ナフタレンジスルホン酸、2,7−ナフタレンジスルホン酸、1−ナフトール−2−スルホン酸、1−ナフトール−4−スルホン酸、1−ナフトール−8−スルホン酸、2−ナフトール−6−スルホン酸、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸、2−アミノ−5−ナフトール−7−スルホン酸、8−アミノ−1−ナフトール−3,6−ジスルホン酸、8−アミノナフタレン−1,3,6−トリスルホン酸、8−アニリノ−1−ナフタレンスルホン酸、4,4’−ジアミノスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、7−ヨード−8−ヒドロキシキノリン−5−スルホン酸、ジフェニルアミン−4−スルホン酸、1−ピレンスルホン酸、スルファニル酸、メタリル酸等の芳香族スルホン酸類、ナフィオン(デュポン社製)、スルホン酸型アンバーリスト、スルホン酸型アンバーライト(以上、ローム・アンド・ハース社製)、スルホン酸型ダイヤイオン(三菱化学社製)、スルホン酸型デュオライト(住友化学社製)、スルホン酸型ダウエックス(ダウ・ケミカル社製)、スルホン酸型ピュロライト(ピュロライト社製)、スルホン酸型レバチット(バイエル社製)等のスルホン酸型陽イオン交換樹脂類が挙げられる。
本発明において言うカルボン酸は、構造中にカルボキシル基を含有する化合物であり、特に限定されるものではないが、例えば、ギ酸、酢酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、モノフルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ブロモ酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、2−メチルプロパン酸、2−フルオロプロパン酸、2−ブロモプロパン酸、2,2−ジメチルプロパン酸、2−メチルブタン酸、2,2−ジメチルブタン酸、3−メチルブタン酸、2,3−ジメチルブタン酸、3−メチルブタン酸、2,3−ジメチルブタン酸、3,3−ジメチルブタン酸、蓚酸、無水酢酸、1,3−プロパン二酸、1,4−ブタン二酸、1,5−ペンタン二酸、1,6−ヘキサン二酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、2−メチル−1,3−プロパン二酸、2,2−ジメチル−1,3−プロパン二酸等の脂肪族カルボン酸、安息香酸、o−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、4−アセチル安息香酸、o−フルオロ安息香酸、フタル酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、1−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4−ビフェニルカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、9−アントラセンカルボン酸、2−キノリンカルボン酸、4−ピリジンカルボン酸等の芳香族カルボン酸類が挙げられる。
本発明では、これらのうち特に硫酸、塩酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸が有効である。なお、安全性、経済性を考慮すると硫酸の使用が特に有効である。
酸の使用量は、出発原料であるm−フェニレンジヒドロキシルアミンに対して2倍当量以上が必要で、4〜20倍当量が好ましい。
転位工程には、1,3−ジアミノ−4,6−ジベンジロキシベンゼンの酸化防止剤として、塩化錫(II)を添加することができる。塩化錫(II)には無水物と二水和物があるが、どちらの使用も可能である。使用量は、m−フェニレンジヒドロキシルアミン 1重量部に対して0.01〜20重量部であり、好ましくは0.1〜5重量部である。
転位工程では有機溶媒を使用することができる。通常、反応に不活性な有機溶媒として、特に限定されるものではないが、エーテル系有機溶媒、芳香族系有機溶媒等が挙げられる。具体的には、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジベンジルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系有機溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系有機溶媒が挙げられる。
反応温度は、0〜150℃の範囲で可能であるが、好ましくは20〜120℃の範囲である。
反応は、常圧下でも加圧下でも可能であるが、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、水素雰囲気下、あるいは両者の存在下の何れでもよい。
転位反応後の後処理は、特に限定されるものではないが、転位反応終了後、反応液に水を加え、必要によりエーテル等を加えて抽出し、pH7〜8まで中和する。さらに、この中和液に酢酸エチルを加えて抽出し、油層を濃縮する。得られた残渣をテトラヒドロフラン−ヘキサン溶液に溶解し、再沈殿により精製し、1,3−ジアミノ−4,6−ジベンジロキシベンゼンを得る。
なお、転位工程の原料であるm−フェニレンジヒドロキシルアミンは、特に限定されるものではないが、例えば、m−ジニトロベンゼンを還元する方法で合成可能である。
m−ジニトロベンゼンを還元してm−フェニレンジヒドロキシルアミンを生成させるには、例えば、還元剤を使用することも、還元触媒を使用することも可能である。
還元剤を使用する場合、特に限定されるものではないが、例えば、亜鉛、鉄、錫等の金属粉末を使用することができる。好ましくは亜鉛粉末である。添加量としては、原料であるm−ジニトロベンゼンを消失させるためには、m−ジニトロベンゼンに対して4倍当量以上が必要であり、6.0〜8.0倍当量が好ましい。金属粉末還元剤はニトロ基をヒドロキシルアミノ基に還元し、還元剤自身は金属酸化物となって反応系内に残留する。
大過剰の金属粉末還元剤を添加すると過還元が促進し、m−フェニレンジヒドロキシルアミンの収率が低下する。この場合、過還元とは、還元反応において生成した反応中間体であるm−フェニレンジヒドロキシルアミンが、さらに還元されてm−フェニレンジアミンが生成することをいう。
金属粉末還元剤の仕込み方は、特に限定されるものではないが、徐々に添加することが好ましい。添加速度が速すぎると過還元が生じ、m−フェニレンジヒドロキシルアミンの収率が低下する。また、金属粉末還元剤の添加に伴い、攪拌速度を高めて還元反応を促進させることが好ましい。
還元剤に金属粉末を使用する場合には、水の存在下で行う必要があり、水の添加量は、m−ジニトロベンゼンに対して2倍当量以上であり、溶媒を兼ねて使用する場合には、m−ジニトロベンゼン 1重量部に対して5〜20重量部である。
Figure 0005217802
一方、m−ジニトロベンゼンを還元するために還元触媒を使用する場合、還元触媒としては、ニッケル、コバルト、鉄、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、白金等の第VIII族の金属単身あるいは炭素、アルミナ、シリカ、ゼオライト、マグネシアおよびその他の担体に担持した触媒が使用できる。これらの触媒の中で、特に白金を炭素に担持した白金−炭素およびパラジウムを炭素に担持したパラジウム−炭素の担持触媒が好ましい。触媒の使用量は、m−ジニトロベンゼンに対して1〜5%金属−担持触媒として0.1〜30重量%が好ましい。
反応は水素加圧雰囲気下で行い、0.1〜0.3MPaが好ましい。
還元工程では有機溶媒を使用することができる。通常、反応に不活性な有機溶媒として、特に限定されるものではないが、アルコール系有機溶媒、エーテル系有機溶媒、芳香族系有機溶媒等が挙げられる。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジベンジルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらの有機溶媒の中で、特にテトラヒドロフランが好ましい。有機溶媒の使用量は、原料であるm−ジニトロベンゼン 1重量部に対して5〜50重量部、好ましくは10〜20重量部である。
反応は、常圧下でも加圧下でも可能であるが、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、水素雰囲気下、あるいは両者の存在下の何れでもよい。
金属粉末還元剤を使用する場合は、反応温度は−10〜80℃の範囲が利用でき、好ましくは0〜20℃の範囲である。一方、金属触媒を使用する場合は、反応温度は0〜150℃の範囲が利用できる。
還元工程後の後処理は、特に限定されるものではないが、還元反応終了後、反応液を濾過して固形物を濾別し、そのまま次工程に使用することも、直ちに減圧下で溶媒を留去して速やかに次工程に使用することもできる。
次に、脱ベンジル化工程について説明する。
1,3−ジアミノ−4,6−ジベンジロキシベンゼンの脱ベンジル化反応では、特に限定されるものではないが、貴金属触媒を用い、溶媒中、接触水素化により4,6−ジアミノレゾルシノールを合成することが可能である。
使用される貴金属触媒としては、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム等が挙げられ、これら第VIII族の金属単身あるいは炭素、アルミナ、シリカ、ゼオライト、マグネシアおよびその他の担体に担持した触媒が使用できる。これらの触媒の中で、特に白金を炭素に担持した白金−炭素およびパラジウムを炭素に担持したパラジウム−炭素の担持触媒が好ましい。触媒の使用量は、反応条件により異なるが、1,3−ジアミノ−4,6−ジベンジロキシベンゼンに対して1〜5%金属−担持触媒として0.1〜30重量%、好ましくは0.2〜10重量%である。
反応は、0.1〜3.0MPaの水素圧力下、20〜100℃の温度範囲、好適には20〜80℃の温度範囲で実施される。
溶媒としては、通常、反応に不活性な有機溶媒が使用でき、特に限定されるものではないが、アルコール系有機溶媒、エーテル系有機溶媒、芳香族系有機溶媒等が挙げられる。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジベンジルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等、またはこれらの混合物が挙げられる。これらの有機溶媒の中で、特にテトラヒドロフランが好ましい。
有機溶媒の使用量は、1,3−ジアミノ−4,6−ジベンジロキシベンゼン 1重量部に対して1〜100重量部、好ましくは2〜20重量部である。また、有機溶媒は脱気処理して使用することが好ましい。
m−フェニレンジヒドロキシルアミンをベンジルアルコールおよび酸の存在下にバンバーガー転位反応させることで、1,3−ジアミノ−4,6−ジベンジロキシベンゼンおよびその塩を安全に製造することができる。さらに、これらの脱ベンジル化により、4,6−ジアミノレゾルシノールおよびその塩を製造することができる。
以下、実施例を以って本発明をさらに詳細に説明するが、これらにより本発明が限定されるものではない。
実施例1
50mLの三口フラスコに、m−ジニトロベンゼン 0.80g(4.8mmol)と塩化アンモニウム2.50g(47mmol)を入れ、水15gとテトラヒドロフラン13gの混合溶媒に溶解させた。氷冷下、激しく攪拌しながら亜鉛粉末2.3g(35mmol)を15分間かけて少しずつ添加し、添加終了後、同温にてさらに30分間攪拌を続けた。反応終了後、反応液を濾過して固形物を除き、真空減圧下で溶媒を留去して、残渣を得た。この黒色残渣にベンジルアルコール40gと塩化錫(II)1.0gを加え、減圧下でフラスコ内を窒素置換した。激しく攪拌しながら濃硫酸7.8g(80mmol)を滴下し、窒素雰囲気下、50℃で2時間加熱攪拌した。室温まで冷却し、さらに塩化錫(II)1.0gを加え、10分間攪拌し、反応液を水100mLに添加した。次いで、ジエチルエーテル150mLで水層を洗浄し、分液した。28%アンモニア水で中和し、酢酸エチルで抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、残渣をテトラヒドロフラン−ヘキサン溶液に溶解し、再沈殿により目的化合物である1,3−ジアミノ−4,6−ジベンジロキシベンゼン(0.78g、51%)を得た。化合物の同定は、質量分析および核磁気共鳴分析により行った。
質量分析装置:ブルカー・ダルトニクス社製 MICRO−TOF
核磁気共鳴分析装置:バリアン社製 Gemini200
比較例1〜2
比較例1で水、比較例2でメタノールを、ベンジルアルコールの代わりに反応溶媒としてそれぞれ使用した以外は、実施例1と同様に行った。比較例1および比較例2において、ベンゾキノン類は得られたものの、1,3−ジアミノ−4,6−ジアルコキシベンゼン類は得られなかった。
参考例1
1,3−ジアミノ−4,6−ジベンジロキシベンゼン 0.50g(2.50mmol)をテトラヒドロフラン20mLに加えた。活性炭にパラジウムを5重量%担持したパラジウム触媒を0.25g混合物に加えた。混合物を75℃、0.35MPaの水素圧下で、水素が吸収されなくなるまで水素化した。室温まで冷却し、5mLの塩酸(37%)を加え、混合物を吸引濾過した。さらに、塩化錫(II)125mgを溶かした塩酸(37%)を5mL加え、この混合物を1時間攪拌し、続いて氷冷した。析出した結晶を濾別後、乾燥し、4,6−ジアミノレゾルシン2塩酸塩(0.38g、71%)を得た。

Claims (6)

  1. m−フェニレンジヒドロキシルアミンをベンジルアルコールおよび酸の存在下に、バンバーガー(Bamberger)転位反応させることを特徴とする1,3−ジアミノ−4,6−ジベンジロキシベンゼンおよびその塩の製造方法。
  2. 酸が、塩酸、リン酸、スルホン酸、カルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種の酸であることを特徴とする請求項1に記載の1,3−ジアミノ−4,6−ジベンジロキシベンゼンおよびその塩の製造方法。
  3. スルホン酸が、硫酸、メタンスルホン酸またはp−トルエンスルホン酸であり、カルボン酸がギ酸、酢酸、プロピオン酸またはトリフルオロ酢酸であることを特徴とする請求項2に記載の1,3−ジアミノ−4,6−ジベンジロキシベンゼンおよびその塩の製造方法。
  4. 酸が、硫酸であることを特徴とする請求項1に記載の1,3−ジアミノ−4,6−ジベンジロキシベンゼンおよびその塩の製造方法。
  5. 0〜150℃の反応温度で転位反応させることを特徴とする請求項1乃至4に記載の1,3−ジアミノ−4,6−ジベンジロキシベンゼンおよびその塩の製造方法。
  6. 転位反応を不活性ガス雰囲気下および/または水素雰囲気下で行うことを特徴とする請求項1乃至5に記載の1,3−ジアミノ−4,6−ジベンジロキシベンゼンおよびその塩の製造方法。
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