JP5216133B2 - スパークプラグ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関等に使用されるスパークプラグ、及び、その製造方法に関する。
内燃機関等の燃焼装置に使用されるスパークプラグは、例えば、軸線方向に延びる中心電極と、中心電極の外周に設けられる絶縁体と、絶縁体の外側に組付けられる円筒状の主体金具と、基端部が主体金具の先端部に接合される接地電極とを備える。接地電極は、その先端部が前記中心電極の先端部と対向するように、自身の略中間部分が曲げ返して配置され、これにより中心電極の先端部と接地電極との先端部の間に火花放電間隙が形成される。
また近年では、接地電極の先端部のうち、前記火花放電間隙を形成する部位に貴金属合金からなるチップを設け、着火性の向上を図る技術が知られている(例えば、特許文献1等参照)。
特開2009−37750号公報
しかしながら、貴金属合金は高価であり、製造コストの増大を招いてしまうおそれがある。そこで、製造コストの抑制を図るべく、前記チップを、比較的安価なニッケル(Ni)を主成分とするNi合金により形成することが考えられる。
ところが、一般にNi合金は、貴金属合金と比較して耐消耗性に劣るため、チップをNi合金により形成した場合には、チップが急速に消耗してしまうおそれがある。チップが消耗して放電ギャップが大きくなってしまうと、正規放電ギャップ以外で放電してしまうおそれがある。そのため、チップを設けたことによる着火性の向上効果が十分に奏されないことが懸念される。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、チップをNi主成分の金属により形成することで製造コストの抑制を図りつつ、優れた耐消耗性を実現することができるスパークプラグ、及び、その製造方法を提供することになる。
以下、上記目的を解決するのに適した各構成につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する構成に特有の作用効果を付記する。
構成1.本構成のスパークプラグは、軸線方向に貫通する軸孔を有する筒状の絶縁体と、
前記軸孔の先端側に挿設された中心電極と、
前記絶縁体の外周に設けられた筒状の主体金具と、
前記主体金具の先端部に、自身の基端部が固定された接地電極と、
前記接地電極の先端部に接合され、前記中心電極の先端部との間に間隙を形成するチップとを備えるスパークプラグであって、
前記チップは、ニッケルを93質量%以上含有する金属により形成されるとともに、
前記チップの硬度が、ビッカース硬度で85Hv以上163Hv以下とされることを特徴とする。
上記構成1によれば、チップがNiを主成分とする金属により形成されているため、チップを貴金属合金により形成する場合と比較して、製造コストを抑制することができる。
一方で、Niを主成分とする金属によりチップを形成した場合には、チップの耐消耗性が不十分となってしまうことが懸念されるが、上記構成1によれば、チップの硬度が163Hv以下とされており、チップを構成する金属の結晶粒の歪みが抑制されるように構成されている。従って、チップの内部において熱がスムーズに伝導されることとなり、チップの熱伝導性を向上させることができる。また、チップは、熱伝導性に優れるNiを93質量%以上含む金属により形成されているため、チップの熱伝導性を一層向上させることができる。すなわち、チップの硬度を163Hv以下としつつ、Ni含有量が93質量%以上の金属によりチップを形成することで、チップの熱伝導性を飛躍的に向上させることができる。その結果、チップの耐消耗性を飛躍的に向上させることができ、ひいてはチップを設けることによる着火性の向上効果を長期間に亘って維持することができる。
構成2.本構成のスパークプラグは、上記構成1において、前記チップのうち前記間隙を形成する面に、圧縮残留応力が加わっていることを特徴とする。
上記構成2によれば、チップのうち前記間隙を形成する面(放電面)に、圧縮残留応力が加わるように構成されている。従って、内燃機関等の動作に伴いチップに振動が加わった場合であっても、前記放電面において欠け等の破損が生じにくくなる。これにより、前記放電面における破損による間隙の急激な拡大をより確実に防止することができる。その結果、放電電圧の増大を抑制することができ、火花放電に伴う中心電極やチップの急激な消耗を抑制することができる。また、前記間隙以外での火花放電を抑制することができ、チップを設けることによる着火性の向上効果をより確実に発揮させることができる。
構成3.本構成のスパークプラグは、上記構成1又は2において、前記接地電極の中心軸に沿った、前記接地電極の先端から前記チップまでの距離が1.5mm以下とされており、
前記接地電極の硬度が、ビッカース硬度で90Hv以上200Hv以下とされることを特徴とする。
接地電極の存在による火炎核の成長阻害を抑制し、着火性の更なる向上を図るという点では、接地電極の先端近傍にチップを接合し、接地電極の中心軸に沿った、チップに対する接地電極の先端の突き出し量を極力小さくすることが好ましい。しかしながら、一般に接地電極は、所定の金属からなる線材を切断することで得られるところ、切断に伴い接地電極の端部に反りが生じてしまうと、接地電極の先端近傍にチップを接合した場合に、接地電極に対するチップの接合強度が低下してしまうおそれがある。接合強度が低下してしまうと、接地電極とチップとの接合境界に酸化スケールが形成されやすくなってしまい、酸化スケールの存在により、チップの熱が接地電極へと伝導されにくくなってしまうおそれがある。
この点、上記構成3によれば、接地電極の硬度が90Hv以上とされているため、切断に伴う接地電極の反りをより確実に防止することができる。従って、着火性の向上を図るべく、接地電極の先端までの距離が1.5mm以下となる位置にチップを接合した場合であっても、接地電極とチップとを強固に接合することができ、ひいては両者の接合境界における酸化スケールの形成を効果的に抑制することができる。その結果、チップから接地電極への熱伝導性を向上させることができ、チップの耐消耗性をより一層向上させることができる。
構成4.本構成のスパークプラグは、上記構成1乃至3のいずれかにおいて、前記接地電極は、Niを主成分とする金属により形成されるとともに、
前記チップ、及び、前記接地電極のうち少なくとも一方には、ケイ素(Si)、マンガン(Mn)、及び、アルミニウム(Al)のうち少なくとも一種が含有されることを特徴とする。
尚、「主成分」とあるのは、材料中、最も質量比の高い成分を指すものである(以下、同様)。
上記構成4によれば、接地電極がNiを主成分とする金属により形成されているため、接地電極の熱伝導性をより高めることができ、ひいてはチップの耐消耗性を一層向上させることができる。
さらに、上記構成4によれば、チップや接地電極に、SiやMn、Alが含有されているため、チップや接地電極の耐酸化性を向上させることができる。従って、チップや接地電極において、酸化に伴う熱伝導性の低下を抑制することができ、その結果、チップの耐消耗性をさらに向上させることができる。
構成5.本構成のスパークプラグは、上記構成1乃至4のいずれかにおいて、前記接地電極は、ニッケルを主成分とする金属により形成されるとともに、
前記チップ、及び、前記接地電極のうち少なくとも一方には、Siが0.5質量%以上1.3質量%以下、Mnが0.1質量%以上1.1質量%以下、Alが0.01質量%以上1.00質量%以下含有されることを特徴とすることを特徴とする。
上記構成5によれば、上記構成4による作用効果がより確実に発揮されることとなる。
構成6.本構成のスパークプラグは、上記構成1乃至5のいずれかにおいて、前記チップ、及び、前記接地電極のうち少なくとも一方には、希土類元素が一種以上含有されることを特徴とする。
上記構成6によれば、チップや接地電極には、希土類元素が一種以上含有されているため、チップや接地電極を構成する金属の粒成長を抑制することができる。その結果、チップや接地電極における、割れや欠け等の発生を効果的に防止することができる。
構成7.本構成のスパークプラグは、上記構成6において、希土類元素の総含有量が0.05質量%以上0.25質量%以下とされることを特徴とする。
上記構成7によれば、上記構成6による作用効果がより確実に発揮されることとなる。
構成8.本構成のスパークプラグの製造方法は、上記構成1乃至7のいずれかに記載のスパークプラグの製造方法であって、
抵抗溶接により、前記接地電極に前記チップを接合する接合工程を含み、
前記接合工程においては、
前記チップの一端面を前記接地電極に接触させた上で、前記チップをその他端面側から前記接地電極側に向けて加圧しつつ前記チップに通電することにより、前記接地電極に前記チップを接合し、
少なくとも前記チップへの通電時において、前記チップの一端面と他端面との間に位置する側面が大気に接していることを特徴とする。
上記構成8によれば、チップの側面を大気に接触させた状態で、チップが接地電極に溶接されるため、チップを十分に加熱することができる。従って、焼鈍が施された場合と同様に、チップの硬度を低減させることができる。すなわち、上記構成8によれば、チップの硬度を低減させるための工程を別段設けることなく、接合工程を経ることで硬度が163Hv以下のチップを容易に得ることができる。その結果、生産性の向上を図ることができる。
構成9.本構成のスパークプラグの製造方法は、上記構成8において、前記接合工程後における前記チップの硬度が、ビッカース硬度で100Hv以上とされることを特徴とする。
上記構成9によれば、接合工程後におけるチップの硬度が100Hv以上とされるため、スパークプラグを運搬する際などにおいて、チップに疵が付いてしまうことをより確実に防止することができる。
構成10.本構成のスパークプラグの製造方法は、上記構成8又は9において、前記接地電極のうち前記中心電極側に位置する面を棒状の支持治具により支持した上で、前記中心電極側の面の反対側の面から前記接地電極を押圧することにより、前記接地電極を屈曲させる屈曲工程を含み、
前記接地電極の硬度が、ビッカース硬度で150Hv以下とされることを特徴とする。
上記構成10によれば、接地電極の硬度が150Hv以下とされているため、屈曲工程における支持治具の折損をより確実に防止することができる。その結果、生産性の更なる向上を図ることができる。
スパークプラグの構成を示す一部破断正面図である。 スパークプラグの先端部の構成を示す一部破断拡大正面図である。 接合工程における、接地電極やチップ等を示す拡大断面模式図である。 (a),(b)は、屈曲工程における接地電極等を示す拡大模式図である。 距離Lを種々変更したサンプルにおける、着火性評価試験の試験結果を示すグラフである。 溶接法Aを説明するための治具等の拡大断面模式図である。
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、スパークプラグ1を示す一部破断正面図である。尚、図1では、スパークプラグ1の軸線CL1方向を図面における上下方向とし、下側をスパークプラグ1の先端側、上側を後端側として説明する。
スパークプラグ1は、筒状をなす絶縁体としての絶縁碍子2、これを保持する筒状の主体金具3などから構成されるものである。
絶縁碍子2は、周知のようにアルミナ等を焼成して形成されており、その外形部において、後端側に形成された後端側胴部10と、当該後端側胴部10よりも先端側において径方向外向きに突出形成された大径部11と、当該大径部11よりも先端側においてこれよりも細径に形成された中胴部12と、当該中胴部12よりも先端側においてこれよりも細径に形成された脚長部13とを備えている。加えて、絶縁碍子2のうち、大径部11、中胴部12、及び、大部分の脚長部13は、主体金具3の内部に収容されている。そして、中胴部12と脚長部13との連接部にはテーパ状の段部14が形成されており、当該段部14にて絶縁碍子2が主体金具3に係止されている。
さらに、絶縁碍子2には、軸線CL1に沿って延びる軸孔4が貫通形成されており、当該軸孔4の先端側には中心電極5が挿入、固定されている。当該中心電極5は、銅又は銅合金からなる内層5Aと、ニッケル(Ni)を主成分とするNi合金からなる外層5Bとを備えている。また、中心電極5は、全体として棒状(円柱状)をなし、その先端部分が絶縁碍子2の先端から突出している。
加えて、軸孔4の後端側には、絶縁碍子2の後端から突出した状態で端子電極6が挿入、固定されている。
さらに、軸孔4の中心電極5と端子電極6との間には、円柱状の抵抗体7が配設されている。当該抵抗体7の両端部は、導電性のガラスシール層8,9を介して、中心電極5と端子電極6とにそれぞれ電気的に接続されている。
加えて、前記主体金具3は、低炭素鋼等の金属により筒状に形成されており、その外周面にはスパークプラグ1を内燃機関や燃料電池改質器等の燃焼装置に取付けるためのねじ部(雄ねじ部)15が形成されている。また、ねじ部15の後端側には座部16が外周側に向けて突出形成されており、ねじ部15後端のねじ首17にはリング状のガスケット18が嵌め込まれている。さらに、主体金具3の後端側には、主体金具3を燃焼装置に取付ける際にレンチ等の工具を係合させるための断面六角形状の工具係合部19が設けられている。また、主体金具3の後端部には、径方向内側に向けて屈曲する加締め部20が設けられている。
また、主体金具3の内周面には、絶縁碍子2を係止するためのテーパ状の段部21が設けられている。そして、絶縁碍子2は、主体金具3に対してその後端側から先端側に向かって挿入され、自身の段部14が主体金具3の段部21に係止された状態で、主体金具3の後端側の開口部を径方向内側に加締めること、つまり上記加締め部20を形成することによって主体金具3に固定されている。尚、絶縁碍子2及び主体金具3双方の段部14,21間には、円環状の板パッキン22が介在されている。これにより、燃焼室内の気密性を保持し、燃焼室内に晒される絶縁碍子2の脚長部13と主体金具3の内周面との隙間に入り込む燃料ガスが外部に漏れないようになっている。
さらに、加締めによる密閉をより完全なものとするため、主体金具3の後端側においては、主体金具3と絶縁碍子2との間に環状のリング部材23,24が介在され、リング部材23,24間には滑石(タルク)25の粉末が充填されている。すなわち、主体金具3は、板パッキン22、リング部材23,24及び滑石25を介して絶縁碍子2を保持している。
また、図2に示すように、主体金具3の先端部26には、略中間部分にて曲げ返された棒状の接地電極27が接合されている。さらに、接地電極27の中心電極5側に位置する側面27Sに、円柱状をなすチップ32の一端面32Bが接合されている。本実施形態において、チップ32は、接地電極27の先端近傍に位置するようにその接合位置が設定されており、具体的には、接地電極27の中心軸CL2に沿った、接地電極27の先端からチップ32までの距離Lが1.5mm以下とされている。また、中心電極5の先端部とチップ32の他端面32Fとの間には、間隙としての火花放電間隙33が形成されており、当該火花放電間隙33において、軸線CL1にほぼ沿った方向で火花放電が行われるようになっている。
さらに、本実施形態において、チップ32は、Niを93質量%以上含有する金属により形成されている。また、チップ32には、ケイ素(Si)が0.5質量%以上1.3質量%以下、マンガン(Mn)が0.1質量%以上1.1質量%以下、アルミニウム(Al)が0.01質量%以上1.00質量%以下含有されている。併せて、チップ32には、希土類元素が一種以上含有されており、希土類元素の総含有量が0.05質量%以上0.25質量%以下とされている。
尚、希土類元素としては、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プロセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)及びルテチウム(Lu)から成るランタノイド、並びに、スカンジウム(Sc)を挙げることができる。
加えて、本実施形態では、チップ32の硬度が、ビッカース硬度で100Hv以上163Hv以下とされている。尚、チップ32の硬度を測定する部位としては、例えば、チップ32の中心軸を含む断面における、チップ32の断面中心を挙げることができる。
併せて、接地電極27は、Niを主成分とし、Siが0.5質量%以上1.3質量%以下、Mnが0.1質量%以上1.1質量%以下、Alが0.01質量%以上1.00質量%以下含有された合金により形成されている。さらに、接地電極27には、希土類元素が一種以上含有されており、希土類元素の総含有量が0.05質量%以上0.25質量%以下とされている。
さらに、本実施形態では、チップ32の前記他端面32F(火花放電間隙33を形成する面)に、圧縮残留応力が加わるように構成されている。
加えて、接地電極27の硬度は、ビッカース硬度で90Hv以上150Hv以下とされている。尚、接地電極27の硬度を測定する部位として、接地電極27のうち、主体金具3への接合後に加工が施された部位(つまり、加工に伴う硬度変化が生じ得る部位)や、接合に伴う硬度変化が生じ得る部位は除かれる。従って、接地電極27は、後述するように主体金具3に接合した後に、屈曲加工が施されて中心電極5側へと曲げ返されるため、接地電極27の硬度を測定する部位として、接地電極27の屈曲部分は除かれる。また、例えば、接地電極27のうち、チップ32の接合に伴う硬度変化が生じ得る部位(例えば、チップ32から1.0mm以内に位置する部位)も硬度を測定する部位から除かれる。
次に、上記のように構成されてなるスパークプラグ1の製造方法について説明する。
まず、主体金具3を予め加工しておく。すなわち、円柱状の金属素材(例えば、鉄系素材やステンレス素材)に対して冷間鍛造加工等により概形を形成するとともに、貫通孔を形成する。その後、切削加工を施すことで外形を整え、主体金具中間体を得る。
また、主体金具中間体とは別にNi合金からなる直棒状の接地電極27を製造しておく。すなわち、Ni合金に対して冷間鍛造加工(伸線加工)を施すことで、前記合金を徐々に細くしていく。冷間鍛造加工を経ることで、合金の硬度は90Hv以上とされる。そして、十分に細くされた段階で合金を所定長さに切断することにより、硬度が90Hv以上の直棒状の接地電極27が得られる。尚、接地電極27の硬度を低減させるために、接地電極27に対して熱処理(アニール処理)を行うこととしてもよい。但し、接地電極27の硬度が90Hvを下回らないように、熱処理の時間や加熱温度を調節することが必要である。
続いて、得られた接地電極27が、主体金具中間体の先端面に抵抗溶接される。当該溶接に際してはいわゆる「ダレ」が生じるので、その「ダレ」を除去した後、主体金具中間体の所定部位にねじ部15が転造によって形成される。これにより、接地電極27の溶接された主体金具3が得られる。
次いで、接地電極27の溶接された主体金具3に、亜鉛メッキ或いはNiメッキが施される。尚、耐食性向上を図るべく、その表面に、さらにクロメート処理が施されることとしてもよい。
一方、前記主体金具3とは別に、絶縁碍子2を成形加工しておく。例えば、アルミナを主体としバインダ等を含む原料粉末を用いて、成形用素地造粒物を調製するとともに、当該成形用素地造粒物を用いてラバープレス成形を行うことで、筒状の成形体が得られる。そして、得られた成形体に対し、研削加工が施され整形されるとともに、整形されたものが焼成炉で焼成されることにより、絶縁碍子2が得られる。
また、前記主体金具3、絶縁碍子2とは別に、中心電極5を製造しておく。すなわち、中央部に放熱性向上を図るための銅合金等を配置したNi合金に鍛造加工を施すことで中心電極5を作製する。
さらに、チップ32を予め製造しておく。すなわち、Niを93質量%以上含み、SiやMn、希土類元素をそれぞれ所定量含有する合金を用意し、当該合金に対して熱間鍛造、熱間圧延(溝ロール圧延)を施す。その後、線引き加工を施すことで、棒状素材を得た後、それを所定長に切断し、チップ32を得る。本実施形態では以上のようにしてチップ32を得たが、予め細く線引き加工した合金を所定長よりも長めに切断した後、型に押し込んで成形することでチップ32を得てもよい。尚、この時点におけるチップ32の硬度は比較的大きなもの(例えば、200Hv以上)となっている。また、線引き加工に伴い、チップ32には、その中心軸方向に沿って比較的大きな(例えば、200MPa程度の)引張応力が残留している。
次に、上記のようにして得られた絶縁碍子2及び中心電極5と、抵抗体7と、端子電極6とが、ガラスシール層8,9によって封着固定される。ガラスシール層8,9は、一般的にホウ珪酸ガラスと金属粉末とが混合されて調製されたものが、抵抗体7を挟むようにして絶縁碍子2の軸孔4内に注入された後、後方から前記端子電極6で押圧しつつ、焼成炉内にて加熱されることで焼成される。尚、このとき、絶縁碍子2の後端側胴部10表面には釉薬層が同時に焼成されることとしてもよいし、事前に釉薬層が形成されることとしてもよい。
その後、上記のようにそれぞれ作製された中心電極5及び端子電極6を備える絶縁碍子2と、接地電極27を備える主体金具3とが固定される。より詳しくは、主体金具3に絶縁碍子2を挿通した上で、比較的薄肉に形成された主体金具3の後端側の開口部を径方向内側に加締めること、つまり上記加締め部20を形成することによって絶縁碍子2と主体金具3とが固定される。
次いで、接合工程において、接地電極27の先端部にチップ32を接合する。すなわち、図3に示すように、チップ32の一端面32Bを接地電極27の中心電極5側の側面27Sに接触させるとともに、所定の溶接電極棒WSをチップ32の他端面32Fに接触させる。このとき、チップ32は、接地電極27の先端から1.5mm以内の範囲に配置される。次に、溶接電極棒WSを接地電極27側へと移動させ、溶接電極棒WSによりチップ32を所定圧力で押圧しつつ、溶接電極棒WSからチップ32へと所定の電流値で通電する。これにより、接地電極27に対してチップ32が接合される。
尚、少なくともチップ32へと通電する際に、チップ32の一端面32Bと他端面32Fとの間に位置する側面32Sが、治具等によって支持されることなく、大気に接するようになっている。側面32Sを支持することなく、側面32Sを大気に接触させた状態で、チップ32を溶接することにより、チップ32は十分に加熱されることとなる。その結果、チップ32の硬度は、焼鈍が施された場合と同様に低減し、その硬度が160Hv以下とされる。但し、接合工程後において、チップ32の硬度は100Hv以上とされる。
また、溶接電極棒WSによるチップ32の押圧荷重やチップ32に対する通電電流を調節することで、チップ32に残留していた引張応力が除去されるとともに、チップ32の他端面32Fに圧縮残留応力が加わった状態とされる。
続いて、屈曲工程において、接地電極27が中心電極5側に屈曲させられる。すなわち、図4(a)に示すように、中心電極5と接地電極27との間に、棒状の支持治具JG1を配置する。そして、支持治具JG1により接地電極27の前記側面27Sを支持した上で、接地電極27のうち前記側面27Sの背面に位置する面を所定の押圧治具JG2により押圧し、接地電極27を鈍角状に屈曲させる。次いで、図4(b)に示すように、所定の押圧治具JG3により、接地電極27の先端部を軸線CL1に沿って押圧することで、接地電極27を略直角状に屈曲させるとともに、中心電極5及びチップ32間に火花放電間隙33を形成する。そして最後に、火花放電間隙33の大きさを調整することにより上述したスパークプラグ1が得られる。
以上詳述したように、本実施形態によれば、チップ32がNiを主成分とする金属により形成されているため、貴金属合金を用いる場合と比較して、製造コストの抑制を図ることができる。
また、本実施形態においては、チップ32の硬度が163Hv以下とされており、チップ32を構成する金属の結晶粒の歪みが抑制されるように構成されている。従って、チップ32の内部において熱がスムーズに伝導されることとなり、チップ32の熱伝導性を向上させることができる。また、チップ32は、熱伝導性に優れるNiを93質量%以上含む金属により形成されているため、チップ32の熱伝導性を一層向上させることができる。すなわち、チップ32の硬度を163Hv以下としつつ、Ni含有量が93質量%以上の金属によりチップ32を形成することで、チップ32の熱伝導性を飛躍的に向上させることができる。その結果、チップ32の耐消耗性を飛躍的に向上させることができ、ひいてはチップ32を設けることによる着火性の向上効果を長期間に亘って維持することができる。
加えて、本実施形態では、チップ32の他端面32Fに、圧縮残留応力が加わるように構成されている。従って、内燃機関等の動作に伴いチップ32に振動が加わった場合であっても、前記他端面32Fにおいて欠け等の破損が生じにくくなる。これにより、前記他端面32Fにおける破損による火花放電間隙33の急激な拡大をより確実に防止することができる。その結果、放電電圧の増大を抑制することができ、火花放電に伴う中心電極5やチップ32の急激な消耗を抑制することができる。また、火花放電間隙33以外での火花放電を抑制することができ、チップ32を設けることによる着火性の向上効果をより確実に発揮させることができる。
さらに、チップ32の硬度が100Hv以上とされているため、スパークプラグ1を運搬する際などにおいて、チップ32に疵が付いてしまうことをより確実に防止することができる。
加えて、接地電極27の硬度が90Hv以上とされているため、接地電極27を製造する際の切断に伴って、接地電極27に反りが生じてしまうことをより確実に防止できる。従って、着火性の向上を図るべく、本実施形態のように、接地電極27の先端までの距離が1.5mm以下となる位置にチップ32を接合した場合であっても、接地電極27とチップ32とを強固に接合することができ、ひいては両者の接合境界における酸化スケールの形成を効果的に抑制することができる。その結果、チップ32から接地電極27に対する熱伝導性を向上させることができ、チップ32の耐消耗性をより一層向上させることができる。
併せて、接地電極27の硬度が150Hv以下とされているため、屈曲工程における支持治具JG1の折損をより確実に防止することができる。その結果、生産性の更なる向上を図ることができる。
また、チップ32及び接地電極27には、SiやMn、Alがそれぞれ所定量ずつ含有されているため、チップ32及び接地電極27の耐酸化性を向上させることができる。従って、チップ32及び接地電極27において、酸化に伴う熱伝導性の低下を抑制することができ、その結果、チップ32の耐消耗性をさらに向上させることができる。
さらに、チップ32及び接地電極27には、希土類元素が一種以上含有されるとともに、希土類元素の総含有量が0.05質量%以上0.25質量%以下とされている。従って、チップ32や接地電極27を構成する金属の粒成長を抑制することができる。チップ32や接地電極27における、割れや欠け等の発生を効果的に防止することができる。
次いで、上記実施形態によって奏される作用効果を確認すべく、チップの硬度を種々変更したスパークプラグのサンプルを複数作製し、各サンプルについて耐消耗性評価試験、及び、耐疵付き性評価試験を行った。
耐消耗性評価試験の概要は次の通りである。すなわち、サンプルを所定のチャンバーに取付けた上で、チャンバー内を大気雰囲気とするとともに、チャンバー内の圧力を0.4MPaに設定して、印加電圧の周波数を100Hzとして(すなわち、毎分6000回の割合で)各サンプルを20時間に亘って放電させた。そして、20時間経過後に、火花放電間隙の大きさの拡大量(ギャップ増加量)を測定した。ここで、ギャップ増加量が0.10mm未満となったサンプルは、耐消耗性に優れるとして「○」の評価を下すこととし、一方で、ギャップ増加量が0.10mm以上となったサンプルは、耐消耗性に劣るとして「×」の評価を下すこととした。
また、耐疵付き性評価試験の概要は次の通りである。すなわち、所定のオートグラフを用い、50N又は70Nの荷重にて、所定の超鋼により形成された四角柱状の金属片をチップの他端面に押し当てた。そして、荷重を加えた後に、チップの他端面を観察し、他端面に疵があるか否かを確認した。ここで、70Nの荷重を加えたときであっても、チップに疵が生じなかったサンプルは、耐疵付き性に極めて優れるとして「◎」の評価を下し、70Nの荷重を加えた際にチップに疵が生じたものの、50Nの荷重を加えた際にチップに疵が生じなかったものは、耐疵付き性に優れるとして「○」の評価を下すこととした。一方で、50Nの荷重を加えた際にチップに疵が生じたサンプルは、耐疵付き性に劣るとして「×」の評価を下すこととした。
表1に、耐消耗性評価試験の試験結果、及び、耐疵付き性評価試験の試験結果をそれぞれ示す。尚、表1には、ギャップ増加量に加えて、耐消耗性評価試験を行った際のチップの消耗体積を併せて示す。また、各サンプルともに、チップを、Niを93質量%以上含有する合金により形成した。さらに、チップの外径を1.5mmとし、接地電極の厚さを1.5mmとし、接地電極の幅を2.8mmとし、接地電極の先端から1.5mm離間した位置にチップを接合した(以下の試験において、チップや接地電極のサイズは、上記同様とした)。加えて、チップの硬度は、溶接時におけるチップの加熱条件を調節することで変更した。例えば、チップの硬度を比較的高くする場合には、チップの側面を金属製の治具により支持し、前記治具を伝わってチップの熱が逃げやすい状態で溶接を行った。
Figure 0005216133
表1に示すように、チップの硬度を163Hv以下としたサンプルは、ギャップ増加量が0.10mm未満となり、優れた耐消耗性を有することが確認された。これは、熱伝導性に優れるNiを多量に含む金属によりチップを形成した点、及び、チップの硬度を比較的低くしたことで、チップを構成する金属の結晶粒の歪みが抑制された点が相乗的に作用し、チップの熱伝導性が飛躍的に向上したことによると考えられる。
さらに、チップの硬度を100Hv以上としたサンプルは、70Nという非常に大きな荷重を加えた場合であっても、チップに疵が生じることなく、耐疵付き性に優れることが明らかとなった。
以上の試験結果より、耐消耗性の向上を図るべく、Niを93質量%以上含有する金属によりチップを形成するとともに、チップの硬度を163Hv以下とすることが好ましいといえる。
また、チップの耐疵付き性を向上させるためには、チップの硬度を100Hv以上とすることが好ましいといえる。
次に、他端面(火花放電間隙を形成する面)の残留応力を種々変更したチップが溶接されてなる接地電極のサンプルを作製し、各サンプルについて耐振動性評価試験を行った。耐振動性評価試験の概要は次の通りである。すなわち、所定の超音波ホーンにより、サンプルのうちチップが溶接された部位の背面に対して、周波数27.3kHzの振動を10時間に亘って加えた。そして、10時間経過後に、チップを観察し、チップの他端面における欠けの有無を確認した。ここで、チップに欠けが生じていなかった場合には、チップが優れた耐振動性を有するとして「○」の評価を下すこととし、一方で、チップに欠けが生じていた場合には、チップの耐振動性が劣るとして「×」の評価を下すこととした。表2に、各サンプルにおける、チップ他端面の残留応力と、試験結果とをそれぞれ示す。
尚、表2において、残留応力がマイナスとあるのは、チップの他端面に圧縮応力が残留していたことを示し、残留応力がプラスとあるのは、チップの他端面に引張応力が残留していたことを示す。また、他端面に引張応力が残留したチップを用意し、当該チップと接地電極とを溶接する際に、チップに加える荷重や電流を調節することによって、チップの他端面における残留応力を変更した。また、残留応力は、X線回折法を用いたX線残留応力測定装置により計測した。
Figure 0005216133
表2に示すように、チップの他端面に圧縮残留応力が加わっているサンプル(サンプル1〜4)は、チップに欠けが生じることなく、優れた耐振動性を有することが分かった。
上記試験の結果より、振動が加わった際において、チップの他端面の破損をより確実に防止するという観点から、チップの他端面(火花放電間隙を形成する面)に圧縮残留応力が加わっていることが好ましいといえる。
次に、接地電極の硬度を種々変更したスパークプラグのサンプルを複数作製し、各サンプルについて机上冷熱試験を行った。机上冷熱試験の概要は次の通りである。すなわち、サンプルに対して、大気雰囲気下にてチップの温度が980℃となるようバーナーで2分間加熱後、1分間徐冷することを1サイクルとして1000サイクル実施した。そして、1000サイクル終了後にサンプル断面を観察することで、接地電極とチップとの接合境界の長さに対する、当該接合境界において形成された酸化スケールの長さの割合(酸化スケール割合)を計測した。尚、各サンプルともに、接地電極の先端から1.5mm離間した部位に、チップを接合した。
さらに、机上冷熱試験を行った後のサンプルについて、上述の耐消耗性評価試験を行った。
表3に、両試験の試験結果をそれぞれ示す。尚、接地電極の硬度は、熱処理の条件を調節することで変更した。
Figure 0005216133
表3に示すように、接地電極の硬度を90Hv未満としたサンプルは、接地電極とチップとの接合境界に酸化スケールが生じやすくなってしまうことが確認された。これは、接地電極の硬度が比較的低かったために、切断に伴い接地電極の端部に微小ながらも反りが生じてしまい、ひいては接地電極に対するチップの接合強度が不十分となってしまったことに起因すると考えられる。また、接地電極とチップとの接合境界に酸化スケールが形成されたサンプルは、耐消耗性評価試験において、ギャップ増加量が比較的大きくなってしまうことが明らかとなった。これは、酸化スケールの存在により、チップから接地電極に対して熱が伝導されにくくなり、ひいてはチップが過熱されてしまったことによると考えられる。
これに対して、接地電極の硬度を90Hv以上としたサンプルは、接合境界に酸化スケールが形成されることなく、また、耐消耗性に極めて優れることが分かった。
次いで、接地電極の中心軸に沿った、接地電極の先端からのチップまでの距離Lを種々変更したスパークプラグのサンプルを複数作製し、各サンプルについて着火性評価試験を行った。着火性評価試験の概要は次の通りである。すなわち、各サンプルを排気量1.5Lのエンジンに取付けた上で、点火タイミングをMBT(最適点火位置)として火花放電をさせ、回転数1600rpmでエンジンを動作させた。そして、空燃比を徐々に増大(燃料を薄く)させつつ、各空燃比ごとにエンジントルクの変動率を測定し、エンジントルクの変動率が5%を上回ったときの空燃比を限界空燃比として特定した。尚、限界空燃比が大きいほど、着火性に優れることを意味する。図5に、当該試験の試験結果を示す。
図5に示すように、距離Lを1.5mm以下としたサンプルは、距離Lを1.5mmよりも大きくしたサンプルと比較して、限界空燃比がより増大し、着火性に優れることが確認された。これは、距離Lを小さくしたことで、接地電極の存在による火炎核の成長阻害が抑制されたためであると考えられる。
上記試験の試験結果より、着火性の向上を図るべく、接地電極の先端からチップまでの距離を1.5mm以下とする場合において、接地電極とチップとの接合境界における酸化スケールの形成を抑制し、チップの耐消耗性をより一層向上させるために、接地電極の硬度を90Hv以上とすることがより好ましいといえる。
次に、接地電極の硬度を種々変更したスパークプラグのサンプルを多数用意した上で、接地電極の硬度を同一としたサンプルについて上述した屈曲工程をそれぞれ行い、各接地電極の硬度ごとに、接地電極を支持する支持治具に折損が生じるまでの屈曲工程の回数(折損時回数)を計測した。ここで、折損時回数は20万回を限度に計測し、折損時回数が20万回を超えた場合には、生産性に極めて優れるとして「◎」の評価を下し、折損時回数が15万回以上20万回未満となった場合には、生産性に優れるとして「○」の評価を下すこととした。一方で、折損時回数が15万回未満となった場合には、生産性に劣るとして「×」の評価を下すこととした。表4に、当該試験の試験結果を示す。
Figure 0005216133
表4に示すように、接地電極の硬度を150Hv以下とした場合には、折損時回数が20万回を上回り、生産性に極めて優れることが確認された。
上記試験の結果より、生産性の向上を図るべく、接地電極の硬度を150Hv以下とすることが好ましいといえる。
次いで、抵抗溶接により接地電極にチップを接合するにあたって、図6に示すように、チップの側面を金属製の治具JG4により支持した上で、チップに通電を行った場合(溶接法A;比較例に相当する)と、チップの側面を支持することなく、大気に接触させた状態で、チップに通電を行った場合(溶接法B;実施例に相当する)とで、接地電極に接合した後のチップの硬度をそれぞれ5回ずつ測定した。表5に、各溶接法で接合したチップの硬度をそれぞれ示す。尚、接合前におけるチップの硬度は、200Hv〜260Hvとした。また、チップの硬度を測定する部位は、チップの中心軸を含む断面における、チップの断面中心とした。
Figure 0005216133
表5に示すように、溶接法Bによりチップを接合した場合には、チップの硬度が十分に低減することが明らかとなった。これは、チップの側面が支持されず、大気に接触していたため、溶接時においてチップの熱が逃げにくくなり、チップが十分に加熱されたことによると考えられる。
上記試験の結果より、特段の加工工程を設けることなく、チップの硬度をより確実に低減させるためには、抵抗溶接に際して、チップの側面を支持することなく、大気に接触させた状態で、チップに通電を行うことが好ましいといえる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では、チップ32及び接地電極27は、Si、Mn、及び、Alを含む金属により形成されているが、チップ32及び接地電極27を、Si、Mn、及び、Alのうち少なくとも一種を含む金属により形成することとしてもよい。また、チップ32や接地電極27を、SiやMn等を含有しない金属により形成することとしてもよい。さらに、SiやMn等を含有させる場合において、これらの含有量を適宜変更することとしてもよい。
(b)上記実施形態において、チップ32及び接地電極27の双方には、希土類元素が含有されているが、チップ32及び接地電極27の少なくとも一方に、希土類元素を含有させないこととしてもよい。
(c)上記実施形態では、接地電極27に対するチップ32の接合時に、チップ32の硬度が調節されるように構成されているが、接地電極27に対するチップ32の接合前、又は、接合後に、チップ32に熱処理を施すことで、チップ32の硬度を調節することとしてもよい。
(d)上記実施形態では、中心電極5とチップ32との間に火花放電間隙33が形成されているが、中心電極5の先端部に貴金属合金(例えば、白金合金やイリジウム合金等)からなる貴金属チップを設け、当該貴金属チップとチップ32との間に火花放電間隙33を形成することとしてもよい。
(e)上記実施形態では、工具係合部19は断面六角形状とされているが、工具係合部19の形状に関しては、このような形状に限定されるものではない。例えば、Bi−HEX(変形12角)形状〔ISO22977:2005(E)〕等とされていてもよい。
1…スパークプラグ
2…絶縁碍子(絶縁体)
3…主体金具
4…軸孔
5…中心電極
27…接地電極
32…チップ
32F…他端面
33…火花放電間隙(間隙)
CL1…軸線
JG1…支持治具

Claims (10)

  1. 軸線方向に貫通する軸孔を有する筒状の絶縁体と、
    前記軸孔の先端側に挿設された中心電極と、
    前記絶縁体の外周に設けられた筒状の主体金具と、
    前記主体金具の先端部に、自身の基端部が固定された接地電極と、
    前記接地電極の先端部に接合され、前記中心電極の先端部との間に間隙を形成するチップとを備えるスパークプラグであって、
    前記チップは、ニッケルを93質量%以上含有する金属により形成されるとともに、
    前記チップの硬度が、ビッカース硬度で85Hv以上163Hv以下とされることを特徴とするスパークプラグ。
  2. 前記チップのうち前記間隙を形成する面に、圧縮残留応力が加わっていることを特徴とする請求項1に記載のスパークプラグ。
  3. 前記接地電極の中心軸に沿った、前記接地電極の先端から前記チップまでの距離が1.5mm以下とされており、
    前記接地電極の硬度が、ビッカース硬度で90Hv以上200Hv以下とされることを特徴とする請求項1又は2に記載のスパークプラグ。
  4. 前記接地電極は、ニッケルを主成分とする金属により形成されるとともに、
    前記チップ、及び、前記接地電極のうち少なくとも一方には、ケイ素、マンガン、及び、アルミニウムのうち少なくとも一種が含有されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のスパークプラグ。
  5. 前記接地電極は、ニッケルを主成分とする金属により形成されるとともに、
    前記チップ、及び、前記接地電極のうち少なくとも一方には、ケイ素が0.5質量%以上1.3質量%以下、マンガンが0.1質量%以上1.1質量%以下、アルミニウムが0.01質量%以上1.00質量%以下含有されることを特徴とすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のスパークプラグ。
  6. 前記チップ、及び、前記接地電極のうち少なくとも一方には、希土類元素が一種以上含有されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のスパークプラグ。
  7. 希土類元素の総含有量が0.05質量%以上0.25質量%以下とされることを特徴とする請求項6に記載のスパークプラグ。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載のスパークプラグの製造方法であって、
    抵抗溶接により、前記接地電極に前記チップを接合する接合工程を含み、
    前記接合工程においては、
    前記チップの一端面を前記接地電極に接触させた上で、前記チップをその他端面側から前記接地電極側に向けて加圧しつつ前記チップに通電することにより、前記接地電極に前記チップを接合し、
    少なくとも前記チップへの通電時において、前記チップの一端面と他端面との間に位置する側面が大気に接していることを特徴とするスパークプラグの製造方法。
  9. 前記接合工程後における前記チップの硬度が、ビッカース硬度で100Hv以上とされることを特徴とする請求項8に記載のスパークプラグの製造方法。
  10. 前記接地電極のうち前記中心電極側に位置する面を棒状の支持治具により支持した上で、前記中心電極側の面の反対側の面から前記接地電極を押圧することにより、前記接地電極を屈曲させる屈曲工程を含み、
    前記接地電極の硬度が、ビッカース硬度で150Hv以下とされることを特徴とする請求項8又は9に記載のスパークプラグの製造方法。
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