<第1の実施形態>
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
図1は、本発明の実施形態に係るシート処理装置の一例としての印刷装置100の構成を示す断面図である。
印刷装置100は、イメージリーダ部110、データ処理部120、プリンタ部130、フィニッシャ本体150を有する。原稿給送装置111は、セットされた原稿121を先頭頁から順に1枚ずつ搬送し、ガラス112上を図の左から右方向に搬送して排紙トレイ113へ排出する。このときスキャナユニット114は、所定の位置に保持された状態にあり、このスキャナユニット114上を原稿121が通過することにより原稿121の読み取りが行われる。原稿の通過時、スキャナユニット114のランプ115の光が原稿121に照射され、その原稿121からの反射光がミラー116、レンズ117を介してイメージセンサ118に導かれる。こうしてイメージセンサ118により原稿の画像が読み取られて、その原稿画像に対応する画像信号が生成され、その画像信号は画像処理が施されてデータ処理部120へ送られる。データ処理部120は、この印刷装置100の制御と、プリンタ部130に出力するためのプリントデータの生成処理、及びフィニッシャ本体150の排紙部の施錠/開錠の制御などを行う。
データ処理部120により生成されたプリントデータは露光制御部131へ送られ、露光制御部131は、そのデータに応じたレーザ光を出力する。このレーザ光は、感光ドラム132に照射されて感光ドラム132上に静電潜像が形成される。こうして形成された感光ドラム132上の静電潜像は現像器によりトナー像として現像され、そのトナー像は、転写部137において、カセット133,134、手差し給紙部135、両面搬送パス136のいずれかから給送されたシートに転写される。こうしてトナー像が転写されたシートは、定着部138に送られて定着処理が施される。この定着部138を通過したシートはフラッパ139により一旦パス140に導かれ、シートの後端がフラッパ139を抜けた後にシートをスイッチバックさせてフラッパ139により排出ローラ141へ導かれる。これにより、トナー像が転写されたシートは、その像形成面を下向きにした状態(フェイスダウン)で排出ローラ141により排出される。
また、シートの両面に印刷する場合には、シートを定着部138から真っ直ぐ排出ローラ141へ導き、シートの後端がフラッパ139を抜けた直後にシートをスイッチバックして、フラッパ139により両面搬送パス136へ導く。
排出ローラ141から排出されたシートは、フィニッシャ本体150へ送り込まれる。フィニッシャ本体150では、シートをZ形に折りたたむ処理、綴じ処理、穴あけ等の仕上げ処理を行う。この時、排出ローラ141により排紙されたシートは、パンチユニット等の仕上げ処理部151に送られる。こうして仕上げ処理がなされたシートの排出パスは2手に分かれる。一つは、ユーザが特定されず、施錠機構のない、ユーザが自由に取り出し可能な排紙部(以下、エスケープトレイ(第2の排紙部))152に排出するパスである。他方は、仕上げ処理終了後、エスケープトレイ152に排紙せずに、施錠可能な(施錠機能を備える)鍵付き排紙トレイ153(第1の排紙部)に排紙して貯蔵するパスである。
鍵付き排紙トレイ153への排紙は、ユーザからの指示、或はデータ処理部120の記憶部204(図2)に予めプログラムされたプログラムを制御部201が読み出して実行することにより行われる。その結果、複数の鍵付き排紙トレイ153の一つを選択して、そこにシートを排出して保持させることができる。尚、鍵付き排紙トレイ153は、制御部201から施錠信号があった場合に施錠され、開錠信号があった場合に開錠される。また、管理者のみが持つ物理的な鍵によって施錠、開錠できる。
次に、鍵付き排紙トレイ153の施錠/開閉を制御するデータ処理部120の構成を説明する。
図2は、本発明の実施形態に係る印刷装置におけるデータ処理部120の機能構成を示すブロック図である。
このデータ処理部120は、制御部201、読取データ処理部202、プリントデータ処理部203、記憶部204、操作部205、表示部206を有している。更に、ユーザの認証を行うユーザ認証部207、及びホストI/FとなるネットワークI/F部208を具備している。
この印刷装置100は、例えば、複数種類の機能を実現する複合機(MFP)で実現される。また印刷装置100は、ネットワーク108に接続され、このネットワーク108を利用して画像データや装置情報をやりとりが可能である。
図2において、原稿給送装置111を含むイメージリーダ部110は、束状の、或は1枚の原稿画像を読み取った画像信号に基づいて、所定密度(例えば、600dpi)のラスタ画像データを得る。印刷装置100は、このラスタ画像データに基づいてプリントデータを生成し、そのプリントデータに従ってプリンタ部130により記録媒体(シート)に印刷する。
この印刷装置100への操作者(ユーザ)からの指示は、印刷装置100の操作部205から行われる。操作入力時の画面の表示、及び、処理中の画像データの状態表示は表示部206に表示される。操作部205と表示部206は一体型であってもよい。その場合、表示部206の表面にタッチパネルを設け、当該タッチパネルを操作部205として機能させる。更に本実施形態では、ユーザ認証部207は、操作部205を介して入力されたユーザ情報(ユーザIDやパスワード)と、予め記憶部204に登録されたユーザ情報と照合し、認証を行う。そして、ユーザ認証部207により、ユーザを正しく認証できた場合、制御部201は、ユーザに印刷装置100の利用権限を与える。言い換えると、ユーザを正しく認証できた場合、制御部201は、印刷装置100に当該ユーザをログインさせる。一方、ユーザを正しく認証できなかった場合、制御部201は、印刷装置100の利用権限をユーザに与えない。つまり、ユーザを正しく認証できなかった場合、制御部201は、印刷装置100に当該ユーザをログインさせない。なお、ユーザ認証部207は、情報読取部を備えており、ユーザが所持するカードがかざされたことに応じてカード内のユーザ情報を読み取り、読み取ったユーザ情報と、予め記憶されたユーザ情報とに基づいて認証してもよい。また、印刷装置100の情報読取部によって読み取られるユーザ情報は、カードに記憶させるものに限らず、携帯電話やPDAなど、可搬記憶装置に記憶されていてもよい。なお、また、ユーザは、印刷装置100にログインした状態にあるときに、操作部205を介してログアウトするための指示を行うことができる。制御部201は、ユーザからログアウトするための指示があった場合、当該ユーザを印刷装置100からログアウトさせる。このように、制御部201は、ユーザのログイン制御を行う。
ネットワークI/F部208は、制御部201から送出された印刷データや装置の動作を指示する設定を入力する入力バッファ(不図示)を有している。また、このネットワークI/F部208には、制御部201へ送出する信号や機器情報を含む出力データを一時的に保持する出力バッファ(不図示)が設けられている。またネットワークI/F部208は、制御部201との間で送受信される信号や通信パケットの入出力も行う。ネットワークI/F部208を介して入力された印刷データは記憶部204に保持される。ここで、入力される印刷データは、例えば、PDL(ページ記述言語)データで構成される。制御部201は、この入力された印刷データを解析(例えば、PDL解析処理)し、その解析結果から中間言語を生成し、更にプリンタ部130が処理可能なビットマップデータを生成する。具体的には、制御部201は、印刷データの解析とその解析による中間言語情報の作成を行うとともに、その中間言語情報の作成と並行してラスタライズ処理を行う。このラスタライズ処理は、印刷データに含まれる表示色RGBからプリンタ部130が処理可能なYMCKへの変換を含む。また、印刷データに含まれる文字コードから予め格納されているビットパターン、アウトラインフォント等のフォントデータへの変換等の処理を含んでいる。その後、ラスタライズ処理では、ページ単位或はバンド単位でビットマップデータを作成し、このビットマップデータに対しディザパターンを用いる疑似階調処理を施し、プリンタ部130において印刷処理が可能なプリントデータを生成する。こうして作成されたプリントデータは、DRAM等に代表される画像メモリである記憶部204に格納される。この記憶部204に格納されているプリントデータの読み出しは、DMAコントローラ(不図示)で制御される。
こうして記憶部204から読み出されたプリントデータは、プリントデータ処理部203に転送される。プリントデータ処理部203は、印刷装置100に併せたハーフトーン等の処理を行い、再度、DMAコントローラによって記憶部204に転送する。次に、そのDMAコントローラが、記憶部204から、そのプリントデータを読み出し、ビデオ信号としてプリンタ部130へ転送して印刷が実行される。
制御部201は、操作部205から指示されたモードに応じて、上述の各部に対する制御を行う。この制御は記憶部204に格納されている制御プログラムに基づき実行される。この記憶部204に格納されている制御プログラムには、タスクと称されるロードモジュール単位に時分割制御を行うためのOS(オペレーティングシステム)を含み、このOSによって機能単位に実行制御される複数の機能プログラムが含まれている。
次に、鍵付き排紙トレイ153を印刷ジョブの排紙先として指定する方法について説明する。
図3は、本実施形態に係る印刷装置に接続されているホストPCのアプリケーションからプリント指示を行う際に表示されるプリント条件を設定するためのユーザインターフェース画面の一例を示す図である。
画面上部には、プリントを行う際の各種設定項目がタブ化されており、これらタブには、ページ設定301、仕上げ302、給紙303、印刷品質304がある。鍵付き排紙トレイ153にシートを排紙する場合、ユーザは、ページ設定301の出力方法306のプルダウンメニューから「鍵付き排紙トレイ」を指定する。その他、ページ設定301の画面には、原稿サイズ、用紙サイズ、レイアウト、倍率などを設定する項目307や、設定確認308ボタン、設定完了を指示するOKボタン309、設定をキャンセルするキャンセルボタン310などがある。
出力方法306で「鍵付き排紙トレイ」が指定された状態で、アプリケーションで作成された画像データの送信指示を受付けた場合、ホストPCは、鍵付き排紙トレイを排紙先として指定したジョブを印刷装置100に送信する。そして、印刷装置100の制御部201は、受信したジョブの画像データをシートに印刷し、印刷されたシートを鍵付き排紙トレイ153に排紙するよう制御する。
一方、印刷装置100本体で原稿の複写を行う場合でも、ユーザは、シートの排出先として鍵付き排紙トレイ153を指定することができる。例えば大量印刷を行うために印刷装置100から離れる必要がある場合にも、ユーザは、シートの排出先として鍵付き排紙トレイ153を指定することができる。このように複写時にも、そのコピー済みのシートの排紙先として鍵付き排紙トレイ153を指定することにより、ユーザが印刷装置100から離れても印刷される文書のセキュリティを確保することが可能になる。
ユーザが印刷装置100本体でコピーの操作指示を行う場合、装置外部からユーザ情報が入力されると、ユーザ認証部207がユーザ情報との照合を行い、ユーザの認証成功したら、当該ユーザを印刷装置100にログインさせる。すなわち、制御部201は、ユーザの認証に成功した場合に、当該ユーザに対して印刷装置100の利用権限を与える。また、ユーザからログアウトするための指示を受付けた場合に、制御部201は、当該ユーザを印刷装置100からログアウトさせる。
次に本実施形態に係る印刷装置で、印刷済のシートを鍵付き排紙トレイ153に排出するように指示する方法について図4及び図5を参照して説明する。
図4は、本実施形態に係る印刷装置がユーザに使用権限を与えた直後の操作画面の一例を示す図である。この操作画面は表示部206に表示される。
ここでは画面上部に、印刷装置100で使用できる機能をタブで表示しており、コピー401、送信/FAX402、ボックス403、リモートスキャナ404のタブが表示されている。そして、その下の設定情報表示部405には、現在の設定情報がまとめて表示されている。画面中央から下の設定変更項目ボタンは、動作方法を設定するための項目が表示されている。これら項目として、等倍406、倍率407、用紙選択408、排紙選択409、ソータ410、両面411のボタンが表示されている。またその他の変更については応用モードボタン412に統合されている。この応用モードボタン412には、その他の各種設定が階層化されている。尚、図4に示す操作画面では、排紙選択ボタン409が選択された状態である。選択された状態の排紙選択ボタン409は、選択されていることがユーザにわかるように、他のボタンとは異なる色によって表示される。
コピー指示において、ユーザは鍵付き排紙トレイを指定する場合、排紙選択ボタン409を押す。排紙選択ボタン409が押下されると、制御部201は、図5に示す排紙トレイ選択画面500を表示部206に表示する。
図5は、本実施形態に係る印刷装置100の表示部206に表示される排紙トレイ選択画面の一例を示す図である。
この排紙トレイ選択画面500には排紙トレイ指定項目501が含まれており、プルダウンメニューによって、通常のエスケープトレイ152か、鍵付き排紙トレイ153のいずれかを選択できる。尚、図5では、3段の鍵付き排紙トレイ153のうちの一つを選択できるようになっているが、既に排紙先として指定されている状態の鍵付き排紙トレイ153については、選択できないようにメニューをグレーアウト表示しても良い。また或いは、指定されている状態の鍵付き排紙トレイ153の段を指定できないようにする構成であってもよい。尚、図5では、3段の鍵付き排紙トレイが設けられており、ここで鍵付きトレイ1〜3として示されており、「鍵付きトレイ1」が選択されている場合を示している。このように、「鍵付きトレイ1」が排紙先として選択された状態で、不図示のスタートキーが押されると、制御部201は、コピーを行うためのジョブを生成し、当該ジョブの排紙先を「鍵付きトレイ1」に設定する。そして、制御部201は、当該ジョブを、印刷ジョブキュー605に記憶させ、ジョブの実行順序に従って実行する。この場合、制御部201は、当該ジョブの実行タイミングで、鍵付き排紙トレイ1が空いているか否かを判定し、空いていれば、当該鍵付き排紙トレイ1にシートを排紙する。一方、鍵付き排紙トレイが空いていなければ、当該ジョブを保持したままにする。
また、ユーザは、複数の鍵付き排紙トレイのうち、特定の鍵付き排紙トレイを指定せずに、「鍵付き排紙トレイ」という指定のみを行うこともできる。「鍵付き排紙トレイ」が指定された場合、制御部201は、複数の鍵付き排紙トレイの中から、空いている鍵付き排紙トレイを検索し、空いている鍵付き排紙トレイにシートを排紙するよう制御する。以下、ユーザが、特定の鍵付き排紙トレイを指定せずに、複数の鍵付き排紙トレイのうち、空いている鍵付き排紙トレイに排紙するよう指定した場合の制御を例に説明する。
この印刷装置でセキュリティを確保しながら印刷する場合、本実施形態では次のように制御する。
図6は、本実施形態に係る印刷装置のソフトウェアモジュール及び装置構成を説明する図である。
データ処理部120は、ユーザ認証部207や、操作部205、ネットワークI/F部208と通信したり、複数のタスクを実行することによってジョブを記憶部204に記憶したり、実行したりする。
なお、タスクには、ユーザ認証タスク603、ネットワーク監視タスク604、印刷ジョブ受付タスク601、印刷ジョブ実行タスク602などがある。
また、記憶部204には、セキュアプリントキュー606と、印刷ジョブキュー605がある。
データ処理部120に含まれる制御部201は、セキュアプリントを実行するよう指定されたジョブを受信すると、印刷ジョブキュー605に格納し、ジョブを受付けた順に実行する。そして、ジョブの排紙先として、鍵付き排紙トレイ153が指定されている場合、制御部201は、当該ジョブを実行することによって、当該ジョブのシートを、鍵付き排紙トレイに排紙するよう制御する。また、ジョブの実行順になったが、鍵付き排紙トレイが、他のユーザのジョブにより使用中で空きがない場合、制御部201は、当該ジョブを印刷ジョブキュー605からセキュアプリントキュー606に退避させる。そして、制御部201は、指定された鍵付き排紙トレイに空きができたか否か監視し、空きができた場合に、ジョブを実行し、空いた鍵付き排紙トレイにシートを排紙する。このように、制御部201は、鍵付き排紙トレイの状態に応じて、ジョブの印刷を制御することが可能である。
図6では、記憶部204、操作部205、ユーザ認証部207、ネットワークI/F部208及びデータ処理部120に対応する各タスク間の情報の関係が示されている。
印刷ジョブ受付タスク601は、印刷ジョブを受信してプリントキューに格納するタスクである。ここでいう印刷ジョブには、イメージリーダ部110で読み取った画像データをプリンタ部130で印刷するコピージョブや、ホストPCから受信した画像データをプリンタ部130で印刷するプリントジョブが含まれる。また、不図示のファクシミリ通信部によって受信した画像データをプリンタ部130によって印刷するファクシミリジョブが含まれる。印刷ジョブ実行タスク602は、セキュアプリントキュー606或いは印刷ジョブキュー605に格納されている印刷ジョブを監視し、実行するタスクである。ユーザ認証タスク603は、ユーザ認証部207及び操作部205の状況を監視しており、ユーザからの操作要求があったことを通知するタスクである。またネットワーク監視タスク604は、ネックワークI/F部208による、ネットワークを介してホストPCから入力されるプリントジョブの受付を監視する。印刷ジョブ受付タスク601は、ユーザ認証タスク603及びネットワーク監視タスク604から印刷ジョブの通知を受けて、その印刷ジョブの内容を判断して記憶部204のセキュアプリントキュー606或いは印刷ジョブキュー605にジョブを格納する。セキュアプリントキュー606については後述する。
図7は、本実施形態に係る印刷装置100の制御部201が実行する印刷ジョブ受付タスク601の処理を説明するフローチャートである。制御部201は、記憶部204に記憶されたプログラムを実行することによって、図7のフローチャートに示す各ステップを実行する。なお、ホストPCは、アプリケーションソフト等により作成された画像データと、当該画像データの印刷設定情報と、ユーザ情報を印刷装置100に送信する。印刷設定情報には、印刷するシートのサイズ情報や、シートの排紙先の情報等が含まれる。
まずステップS1で、制御部201は、ホストPCから印刷ジョブを受信するとステップS2に進み、セキュアプリントが指定されているか否かを判定する。セキュアプリントが指定されていないと判断するとステップS5に進み、通常の印刷ジョブとして、受信した印刷ジョブを印刷ジョブキュー605に登録する。
一方、ステップS2で鍵付き排紙トレイに排紙するよう指定されていると判断するとステップS3に処理を進める。S3にて、制御部201は、受信した印刷ジョブを鍵付き排紙トレイに排紙する印刷ジョブとして印刷ジョブキュー605に保持させる。次にステップS4に進み、制御部201は、その印刷ジョブのユーザ情報と、その受信した印刷ジョブとの関連付けを行い、ユーザによる認証がなされるのを待つ。なお、当該ユーザ情報は、制御部201が、ホストPCから印刷ジョブとともに受信し、受信したユーザ情報を印刷ジョブに関連付けて管理すればよい。例えば、ホストPCは、ジョブの実行指示を受付けた場合に、ユーザ情報を入力するための画面をディスプレイに表示し、ユーザ情報を入力させる。そして、ホストPCは、印刷ジョブとユーザ情報を印刷装置100に送信する。その後、制御部201は、ユーザ情報を受け取り、印刷ジョブとの関連付けを行えばよい。なお、ユーザ情報は、印刷ジョブの送信のたびにユーザに入力させるのではなく、ユーザがホストPCにログインする際に入力させ、入力されたユーザ情報を保持しておいてもよい。そして、ホストPCは、ジョブの送信時に、保持されたユーザ情報を送信すればよい。
また、ホストPCが、ユーザ情報そのものを送信するのではなく、印刷ジョブとともにホストPCの識別情報を送信し、制御部201は、当該識別情報から、ユーザ情報を割り出してもよい。そして、制御部201は、割り出したユーザ情報と印刷ジョブを関連付けて記憶部204に記憶する。この場合、制御部201は、記憶部204に、ホストPCの識別情報と、ユーザ情報とを対応付けたテーブルを記憶しておくことによって、ホストPCの識別情報からユーザ情報を割り出すことができる。なお、ホストPCの識別情報には、ホストPCのホスト名またはIPアドレスを用いればよい。
このようにして、制御部201は、印刷ジョブとユーザ情報とを関連付けて管理しておくことにより、操作部205からユーザ情報が入力された場合に、入力されたユーザ情報に対応する印刷ジョブを特定できるようにしておく。
図8は、本実施形態に係る印刷装置100において、印刷ジョブキュー605に格納されている印刷ジョブをプリントする際の処理を説明するフローチャートである。図8のフローチャートに示す各ステップは、制御部201が、記憶部204に記憶されたプログラムを実行することによって行われる。
先ずステップS11で、制御部201は、印刷ジョブキュー605の格納されているジョブ情報を取得する。
次にステップS12に進み、制御部201は、その印刷ジョブに含まれる印刷設定情報に設定されている排紙先の情報により、当該印刷ジョブを実行することにより印刷されるシートの排紙先を識別する。次にステップS13に進み、制御部201は、その印刷ジョブに応じて、印刷装置100の各部に、そのジョブの実行指示を行い、次にステップS14でプリンタ部130を動作させて、その印刷ジョブの印刷を実行する。制御部201は、印刷ジョブの排紙先として鍵付き排紙トレイ153が指定されている場合、図1に示す3段あるうち、他のユーザの印刷物が排紙されていない鍵付き排紙トレイに当該印刷ジョブの印刷物を排紙する。一方、制御部201は、印刷ジョブの排紙先として鍵付き排紙トレイ153が指定されていない場合、図1に示すエスケープトレイ152に印刷物を排紙する。また、印刷ジョブの排紙先として鍵付き排紙トレイ153が指定されているが、鍵付き排紙トレイがいずれも使用されている場合、制御部201は次のように制御する。制御部201は、実行しようとする印刷ジョブのユーザ情報と同じユーザ情報の印刷ジョブの印刷物が排紙された鍵付き排紙トレイがあるか否かを判定する。実行しようとする印刷ジョブのユーザ情報と同じユーザ情報の印刷ジョブの印刷物が排紙された鍵付き排紙トレイがあれば、制御部201は、実行しようとする印刷ジョブの印刷物を、その鍵付き排紙トレイに排紙する。一方、制御部201は、実行しようとする印刷ジョブのユーザ情報と同じユーザ情報の印刷ジョブの印刷物が排紙された鍵付き排紙トレイがなければ、実行しようとする印刷ジョブを、セキュアプリントキュー606に移動させる。セキュアプリントキュー606に印刷ジョブを格納した場合、当該印刷ジョブは、鍵付き排紙トレイ153に空きができた場合に制御部201によって実行される。具体的に、制御部201は、鍵付き排紙トレイに空きができたか否かを監視する。そして、制御部201は、鍵付き排紙トレイ153に空きができたら、セキュアプリントキュー606に格納されたジョブの印刷を行い、印刷されたジョブのシートを空いた鍵付き排紙トレイに排紙する。
図9は、印刷装置100において、印刷ジョブで指定された排紙先に排紙した後、ユーザに印刷装置100の利用権限を与え、鍵付き排紙トレイ153を開錠する際の処理を説明するフローチャートである。図9のフローチャートに示す各ステップは、制御部201が、記憶部204に記憶されたプログラムを実行することによって行われる。
先ずステップS21で、制御部201は、ユーザ認証部207により、ユーザの認証に成功したことが通知されると、認証したユーザを印刷装置100にログインさせ、ステップS22に処理を進める。S22で、制御部201は、鍵付き排紙トレイ153に排紙されたシートが存在するか否かを判定する。ここで、該当する印刷ジョブがないと判断すると、制御部201はステップS27に処理を進め、表示部206に通常の操作画面(ジョブの設定を受付けるジョブ設定画面)を表示する。
一方、ステップS22で、制御部201は、該当する印刷ジョブが存在すると判定した場合は、ステップS23に処理を進める。制御部201は、図10に示すような鍵付き排紙トレイの管理テーブルを参照して、鍵付き排紙トレイ153の情報を取得する。
図10は、本実施形態に係る鍵付き排紙トレイ153の情報を管理する管理テーブルを説明する図である。
鍵付き排紙トレイ管理テーブルは、排紙トレイ名(鍵付きトレイ段)1010、ユーザ名1020及び格納ジョブ1030の項目を有している。図10に示す管理テーブルには、排紙トレイ1に、User_Aによって印刷を指示された、Job_A.docを印刷することによって排紙された印刷物が格納されていることが示されている。また、排紙トレイ2に、User_Bによって印刷を指示された、Job_B.xlsを印刷することによって排紙された印刷物が格納されていることが示されている。さらに、排紙トレイ3には、User_Cによって印刷を指示されたJob_C.pdfを印刷することによって排紙された印刷物が格納されていることが示されている。
制御部201は、これらの情報から、どの排紙トレイに、どのユーザの、どのような印刷物が排紙されているかを認識することができる。
その後、ステップS24に進み、制御部201は、認証されたユーザの印刷物が排紙されている鍵付き排紙トレイを特定し、特定された排紙トレイ番号を、表示部206を介してユーザに通知する。そして、ユーザによって開錠するための指示を受付けたら、制御部201は、特定された鍵付き排紙トレイを開錠する。鍵付き排紙トレイが開錠されたら、ユーザは、鍵付き排紙トレイを引き出し、鍵付き排紙トレイに排紙された印刷物を回収する。その後、制御部201は、ステップS25に進み、その鍵付き排紙トレイ153からシートが除去されたことを排紙トレイ153に備えられたセンサによって検知するとステップS26に処理を進める。S26で、制御部201は、S24で開錠された鍵付き排紙トレイを施錠する。なお、ユーザによって施錠指示があった場合に、制御部201が、S24で開錠された鍵付き排紙トレイを施錠しても良い。または、ユーザが印刷装置100からログアウトするための指示を行った場合に、制御部201は、S24で開錠された鍵付き排紙トレイを施錠するようにしてもよい。こうして施錠した後にステップS27に進み、制御部201は、ユーザが印刷装置100にログインした状態のままの場合、通常の操作画面を表示部206に表示する。一方、ユーザがログアウトするための指示を行った場合、制御部201は、ログイン待ち状態の画面を表示部206に表示させる。
以上説明した制御によって、ユーザは、鍵付き排紙トレイに排紙された自分の印刷物を取得することができる。
しかしながら、このような鍵付き排紙トレイを備える印刷装置を用いて印刷する場合、印刷物の出力先として指定された鍵付き排紙トレイに空きがない場合、印刷装置100による印刷処理が実行できなくなる。このような場合、他の鍵付き排紙トレイに排紙された他のユーザの印刷物が取り除かれる必要がある。しかし、他のユーザの印刷物が排紙された鍵付き排紙トレイは、他のユーザが当該他のユーザのユーザ情報を入力しない限り、開錠されない。そのため、鍵付き排紙トレイに排紙された印刷物を取り除くことができない。そのためユーザは、その鍵付き排紙トレイに排紙された印刷物が、他のユーザによって取り除かれて鍵付き排紙トレイの空きができるのを待たなければならなかった。
そこで、本実施形態では、制御部201は、セキュアプリントキュー606に印刷ジョブを格納し、鍵付き排紙トレイが空くのを待っている状態の印刷ジョブの印刷物を、ユーザが取りにきた場合、次のように制御する。制御部201は、ユーザ認証部207によってユーザが認証されたことを検知すると、当該認証されたユーザの印刷ジョブの排紙先をエスケープトレイに変更し、印刷ジョブの印刷を実行する。それによって、印刷物を取りにきたユーザの印刷物はエスケープトレイに排紙され、他のユーザの印刷物が排紙された状態の鍵付き排紙トレイが空くのを待つことなく、自分の印刷ジョブの印刷物を回収することができる。
このような制御について、以下に具体的に説明する。
図11は、本実施形態に係る印刷装置100における印刷ジョブの実行時の排紙制御(方法1)を説明するフローチャートである。図11のフローチャートに示す各ステップは、制御部201が、記憶部204に記憶されたプログラムを実行することによって行われる。
先ずS31で、制御部201は、印刷ジョブキュー605に格納された印刷ジョブのうち、実行対象とするジョブを決定する。制御部201は、通常、印刷ジョブキュー605に記憶された印刷ジョブを、受付けた順に実行対象とする。
そして、S32に進み、制御部201は、実行対象の印刷ジョブの排紙先として鍵付き排紙トレイ153が指定されているか否かを判定する。ここで鍵付き排紙トレイ153が指定されていない場合は、S42で当該印刷ジョブを実行し、印刷ジョブの印刷物をエスケープトレイ152に排紙して処理を終了する。
一方、印刷ジョブの排紙先として鍵付き排紙トレイ153が指定されている場合はステップS33に進み、制御部201は、実行対象の印刷ジョブの印刷物を排紙可能な鍵付き排紙トレイ153があるか否かを判定する。ここで排紙可能な鍵付き排紙トレイ153があると判定した場合はステップS34に進み、制御部201は、印刷ジョブのシートの排紙先を鍵付き排紙トレイ153に決定して、S42に進む。S42で、制御部201は、当該印刷ジョブを実行し、印刷ジョブの印刷物を空いている鍵付き排紙トレイに排紙する。
一方、ステップS33で、鍵付き排紙トレイ153に空きがないと判断するとステップS35に進み、制御部201は、その印刷ジョブを記憶部204のセキュアプリントキュー606に移動させる。その後、ステップS36に進み、制御部201は、ユーザ認証部207によってユーザの認証が正常に行われると、ステップS41に処理を進める。一方、ユーザが認証されないときはステップS37に処理を進める。S37にて、制御部201は、鍵付き排紙トレイ153に空きができたかどうかを判断する。ステップS36,S37でいずれも判定が否定の場合は、ステップS38に処理を進め、制御部201は、ユーザにより、その印刷ジョブをキャンセルするための指示を受けたかどうかを判定する。印刷ジョブがキャンセルするための指示を受付けるとステップS39に進み、制御部201は、その印刷ジョブをキャンセルして、この処理を終了する。一方、キャンセルするための指示を受付けていない場合には、制御部201は、S36〜S38の処理を繰り返す。
一方ステップS37で、制御部201は、鍵付き排紙トレイ153に空きができたと判断した場合はステップS40に処理を進める。S40で、制御部201は、実行対象の印刷ジョブの排紙先を、空きができた鍵付き排紙トレイ153に設定してステップS42に処理を進める。S42で、制御部201は実行対象のジョブを実行し、設定された鍵付き排紙トレイに、実行対象のジョブのシートを排紙させる。なお、ここで、鍵付き排紙トレイ153に印刷ジョブの印刷物を排紙した場合、制御部201は、図10に示す管理テーブルの1020に、実行した印刷ジョブのユーザ名を格納する。また、制御部201は、1030に、実行した印刷ジョブで印刷したデータのファイル名を格納する。
またステップS36で、ユーザ認証部207によりユーザの認証に成功した場合はステップS41に進み、セキュアプリントキュー606に移動したプリントジョブの排紙先をエスケープトレイ152に変更し、S42に処理を進める。S42で、制御部201は、実行対象のジョブを実行し、当該ジョブのシートをエスケープトレイ152に排紙するよう制御する。
図12(A)は、本実施形態に係る印刷装置100のジョブステータスの表示画面例を示す図である。
このジョブステータス画面では、印刷ジョブキューの番号(No)ごとに、ドキュメント種類、ファイル名、ユーザ名、排紙先、ステータスが示されている。この操作画面は、印刷ジョブキュー605に格納された印刷ジョブに含まれる印刷設定情報に基づいて表示部206に表示される。また、当該操作画面は、図4に示す画面において、不図示のボタンによって、ジョブステータス画面の表示が指示されると制御部201によって表示される。1201は、ユーザ(Usr_X)のファイル名(file_H.doc)のジョブに対して、ジョブ番号「4」、排紙先が「鍵付き排紙トレイ3」であることを示している。
図12(B)は、ユーザ(Usr_X)のファイル名(file_H.doc)のジョブより先に実行される複数のジョブの実行が完了した後のジョブステータスを表示する画面である。
この時、1210で示すジョブ番号「1」は、「鍵付き排紙トレイ3」に空きが無いために、印刷待ち状態にあることを表示している。ユーザ(Usr_X)のファイル名(file_H.doc)は、制御部201によって印刷ジョブキュー605からセキュアプリントキュー606に移動されている。なお、図12に示すユーザ(Usr_X)のファイル名(file_H.doc)の次に位置するユーザ(User_C)のファイル名(file_D.xls)のジョブは、排紙先がエスケープトレイであり、排紙可能である。そのため、ユーザ(User_C)のファイル名(file_D.xls)のジョブは、ユーザ(Usr_X)のファイル名(file_H.doc)より先に実行されている。
この状態で、ユーザがユーザ認証部207によって認証されると、制御部201は、ユーザX(Usr_X)のジョブの排紙先を鍵付き排紙トレイから、エスケープトレイに変更する。そして、エスケープトレイへの変更が完了すると、制御部201は、図12(C)の1220で示すように、排紙先が「エスケープトレイ152に変更された」旨を表示部206に表示させる。ここでは更に1221で示すように、その変更した部分が強調して表示されている。これによりユーザに、そのユーザの印刷ジョブの排紙先が変更されたことを認識させている。尚、このステップS36のユーザ認証は、印刷装置100の操作部205から入力されたパスワードによって、または、印刷装置100のユーザ認証部207が備えるカードリーダ等により読み取られた情報に基づいて行われる。従って、ユーザが認証された場合、そのユーザが印刷装置100の近くにいることになる。
このように、印刷ジョブの排紙先が鍵付き排紙トレイに指定されている場合で、かつその鍵付き排紙トレイに空きがない場合、制御部201は、ユーザによって認証情報が入力されるのを待つ。そして、ユーザ情報が入力されると、制御部201は、入力されたユーザ情報に基づいてユーザの認証を行う。そして認証に成功すると、制御部201は、セキュアプリントキュー606に格納されたジョブのうち、認証されたユーザXの印刷ジョブを特定し、その印刷ジョブの排紙先をエスケープトレイ152に変更して印刷を実行させる。
また、ユーザが印刷物を印刷装置100に取りにくるまでに、鍵付き排紙トレイ153に排紙されたシートが他のユーザによって取り除かれ、空きができた場合には、空いた鍵付き排紙トレイに印刷物を排紙する。すなわち、ユーザが取りに来るより早く鍵付き排紙トレイが空いた場合には、ユーザが印刷装置100に来てから自分の印刷物を手に入れるまでの時間を短縮することができる。
なお、図11に示すフローチャートは、各ジョブに対して制御部201によって実行されるものであり、複数のジョブに対して並行して実行することができる。例えば、あるジョブに対して、S36〜S38の処理を行っている場合に、S31にて次のジョブを実行対象のジョブとして決定し、決定されたジョブについてS32以降の処理を行うことができる。なお、印刷に関しては、あるジョブの印刷中に、他のジョブの印刷を行うことはできないため、制御部201は、あるジョブの印刷が終わり次第、別のジョブの印刷を行うよう制御する。
<第2の実施形態>
上述した第1の実施形態では、鍵付き排紙トレイに空きがない場合に、鍵付き排紙トレイに排紙できないジョブのシートを、ユーザが認証された場合に、エスケープトレイに排紙する例について説明した。
しかしながら、鍵付き排紙トレイの空きの有無に関わらず、ユーザを認証したタイミングで、印刷ジョブキュー605に記憶されたジョブのうち、特定のジョブの排紙先を鍵付き排紙トレイからエスケープトレイに変更しても良い。特定のジョブとは、認証されたユーザのジョブで、鍵付き排紙トレイに排紙するよう指定されたジョブである。それによって、ユーザが、印刷装置100の近傍にいる場合には、鍵付き排紙トレイに排紙されたシートを、当該鍵付き排紙トレイを開けて、取り出すといった行為を省き、より簡単にシートを手に入れることができる。
なお、第2の実施形態における図1〜図10までに説明した構成及び制御については、第1の実施形態と同様であるため、詳しい説明を省略する。
図13は、本実施形態に係る印刷装置における印刷ジョブ実行時の排紙部の決定制御(方法2)を説明するフローチャートである。図13に示すフローチャートは、制御部201が、記憶部204に記憶されたプログラムを実行することによって行われる。
まず、S131で、制御部201は、ユーザがログインしたか否かを判定する。制御部201は、ユーザ認証部207によってユーザを認証された場合に、当該ユーザを印刷装置100にログインさせる。
ユーザがログインしたと判定した場合、S132で制御部201は、当該ユーザのジョブで、実行待ちのジョブがあるか否かを判定する。実行待ちのジョブがないと判定した場合、S135に処理を進める。一方、実行待ちのジョブがあると判定した場合、S133で、制御部201は、当該実行待ちのジョブの排紙先が鍵付き排紙トレイか否かを判定する。当該実行待ちのジョブの排紙先が鍵付き排紙トレイではない(通常のジョブである)と判定した場合、S135に処理を進める。一方、当該実行待ちのジョブの排紙先が鍵付き排紙トレイであると判定した場合、S134に処理を進める。S134で、制御部201は、当該実行待ちのジョブの排紙先を鍵付き排紙トレイからエスケープトレイに変更する。そして、S135に処理を進める。
S135にて、制御部201は、ジョブの設定画面を表示し、ユーザから受付けた指示に従った処理を実行する。ここで、制御部201は、ユーザから受付けた指示に基づいて、コピーを実行したり、データ送信を実行したりする。
そして、S136で、制御部201は、ユーザからログアウトの指示を受付けたか否かを判定する。ユーザからログアウトの指示を受付けていない場合、制御部201は、S135の処理を繰り返す。一方、ユーザからログアウトの指示を受付けたと判定した場合、制御部201は、S137で当該ユーザを印刷装置100からログアウトさせる。
そして、S138で、制御部201は、S134で排紙先をエスケープトレイに変更したジョブがあるか否かを判定する。S134で排紙先をエスケープトレイに変更したジョブがないと判定した場合、S131に処理を戻す。一方、S134で排紙先をエスケープトレイに変更したジョブがあると判定した場合、当該ジョブの排紙先をエスケープトレイから、鍵付き排紙トレイに変更する。
図14(A)は、本実施形態に係る印刷装置100のジョブステータスの表示画面例を示す図である。
ユーザから印刷ジョブを受信し、印刷ジョブキュー605に格納すると、その時、この印刷装置100を利用しているユーザがジョブステータス画面の表示指示を行った場合、図14(A)に示す操作画面が表示される。この操作画面では、ユーザ(USr_X)のファイル名「file_H.doc」の印刷ジョブの排紙先として、図14(A)の1401のように「鍵付き排紙トレイ3」が指定されている。
図14(B)は、ユーザ認証部207がユーザ(usr_X)の認証に成功したときのジョブステータスの表示例を示す図である。
図14(B)に示すジョブ1411は、印刷ジョブキュー605の3番目に存在する。この状態で、ユーザが印刷装置100にログインすると、1411で示すように、その排紙先が「鍵付き排紙トレイ3」から「エスケープトレイ」に変更される。メッセージ1410は、排紙先が「鍵付き排紙トレイ3」から「エスケープトレイ」に変更されたことをユーザに通知するために表示される。
更に、排紙先がエスケープトレイ152へ変更された後、ジョブ1411の印刷が開始されるまでの間に、ユーザが印刷装置100からログアウトした場合、制御部201は、次のように制御する。制御部201は、図14(C)の1421で示すように、そのジョブの排紙先を「鍵付き排紙トレイ」に戻して、その旨1420を表示する。
尚、この場合、そのユーザは、この操作画面を見ていない可能性があるため、そのユーザの携帯端末やPC等に通知し、携帯端末やPCの画面に表示させても良い。
第2の実施形態によれば、制御部201は、ユーザが印刷装置100にログインしている状態のときには当該ユーザの印刷ジョブのうち、鍵付き排紙トレイに排紙するよう指定されたジョブの排紙先をエスケープトレイに変更する。その後、制御部201は、ユーザが印刷装置100にログインしている間は、当該印刷ジョブの排紙先をエスケープトレイに変更した状態にする。そして、ユーザが印刷装置100からログアウトした場合に、制御部201は、当該印刷ジョブの排紙先をエスケープトレイから鍵付き排紙トレイに戻す。
それによって、ユーザが印刷装置100にログアウトして、印刷装置100の前を離れた場合に、ユーザの印刷物がエスケープトレイに排紙され、第三者に見られてしまうことを防ぐことができる。
ここで、印刷装置100は、最後にユーザの操作を受付けてから所定の時間が経過した場合に、当該ユーザを印刷装置100からログアウトさせる自動ログアウト機能を備えていてもよい。その場合、ユーザがログアウトするための指示を行うことを忘れた場合でも、当該ユーザは自動的にログアウトされ、ユーザのジョブの排紙先は鍵付き排紙トレイに戻るため、印刷物が第三者に見られることを防ぐことができる。
<その他の実施形態>
上述した実施形態において、例えば、印刷ジョブに含まれるデータが大量にあり、当該印刷ジョブの実行により排紙されるシートが鍵付き排紙トレイ153に収まりきらない場合がある。その場合、制御部201は、当該印刷ジョブの複数枚のシートの全てを排紙完了させることができない。その場合、制御部201は、ユーザを認証するまで、当該印刷ジョブのシートを鍵付き排紙トレイに排紙することなく、記憶部204に保持させればよい。制御部201は、鍵付き排紙トレイに排紙可能なシートの枚数を、記憶部204に予め記憶された鍵付き排紙トレイに排紙可能なシートの枚数情報によって取得すればよい。シートの枚数情報は、印刷装置100の工場出荷時に記憶されていてもよいし、制御部201が、鍵付き排紙トレイから装置情報として取得してもよい。制御部201は、印刷ジョブのページ数と印刷設定情報から、印刷ジョブの実行により排紙されるシートの枚数を算出し、記憶部204に記憶されたシートの枚数情報と比較して、排紙完了できるか否かを判定すればよい。例えば、印刷ジョブが500ページあり、印刷設定情報として両面印刷が指定されている場合、当該印刷ジョブを実行することにより排紙されるシートの枚数は250枚と算出される。
また、例えば、制御部201は、当該印刷ジョブを実行し、当該印刷ジョブのシートを鍵付き排紙トレイに途中まで排紙し、残りのシートを印刷するための印刷データを記憶部204に保持させておいてもよい。その場合、ユーザが認証された場合に、制御部201は、記憶部204に保持された印刷データに基づいて、残りのシートを印刷する。印刷されたシートはエスケープトレイに排紙すればよい。それによって、ユーザは、途中までの印刷データは鍵付き排紙トレイから取り出すことによって、いち早く手に入れることができ、残りのシートもエスケープトレイから回収することができる。このように、制御部201は、印刷ジョブを実行することにより排紙される一部のシートを鍵付き排紙トレイに排紙させ、当該印刷ジョブの残りのシートを、ユーザを認証した場合に、エスケープトレイに排紙させてもよい。
なお、上述した実施形態では、ユーザがジョブの排紙先として意図的に鍵付き排紙トレイを指定する場合を説明した。これに限らず、ユーザが指定せずに印刷装置100の制御部201が受信したジョブの排紙先を自動的に鍵付き排紙トレイに決定してもよい。その場合、印刷装置100の制御部201は、排紙先が指定されていないジョブを受付けた場合に、当該ジョブの排紙先を、鍵付き排紙トレイに排紙するよう制御すればよい。その後、上述したような制御を行えばよい。
上述した複数の実施形態で説明した制御を組み合わせた制御が、制御部201によって行われてもよい。
また上述した実施形態では、印刷装置100を例に説明したが、ファクシミリ専用装置であってもよく、複写専用装置であってもよい。
以上の実施形態の各工程の全部又は一部は、ネットワーク又はコンピュータ読取可能な記憶媒体を介して取得したソフトウエア(プログラム)をコンピュータ等の処理装置(CPU、プロセッサ)にて実行することでも実現できる。