[第1実施の形態]
以下、本発明に関わる第1実施の形態について、図1乃至図4を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施の形態に係わる電磁駆動装置を備えた光量調節装置の分解斜視図である。図2は、図1に示す電磁駆動装置の軸中心位置での縦断面図である。図3は、図2に示す縦断面図のピニオンギア部分を取り出して示す要部拡大断面図である。図4は、図1の光量調節装置を下側から見た状態で、電磁駆動装置のピニオンギアとステータ磁極部との位置関係を示すための要部説明図である。
図1乃至図5に示す光量調節装置における電磁駆動装置は、1−2相励磁の駆動方式による電磁駆動装置であって、一般的な2つのコイルを備える2相のステッピングモータMとして構成する。
この電磁駆動装置(ステッピングモータM)は、ステータ1、第1のコイル2、第2のコイル3、ボビン4、マグネット5、コア6、軸(出力軸)7、軸受け8、カバー9を備える。
このステータ1は、SUY(純鉄)等の軟磁性材料により形成されており、第1の外側磁極部1a、第2の外側磁極部1b、平板部1cを備える。この平板部1cは、円環状の平板部に形成されている。この平板部1cの中央には、後述の軸受け8が取り付けられる穴部が形成されている。
この枠体部1cの相対向する両端部には、それぞれ直角に折曲して延出する第1の外側磁極部1aと第2の外側磁極部1bとを設ける。これら第1の外側磁極部1aと第2の外側磁極部1bとは、それぞれ櫛歯形状に形成され、後述するロータユニットの回転軸に対して平行となるように配置される。
電磁駆動装置用のボビン4には、第1のコイル2と、第2のコイル3とを巻回する。
図2に示すように、ロータユニットRは、マグネット5、コア6及び軸(出力軸)7を備える。
このマグネット5は、円筒形状の着磁部を有する。マグネット5の着磁部は、図4に示すように、円周方向にN分割(着磁極数:N)(本実施の形態では8分割(着磁極数:8))され、S極とN極が交互に着磁されている。
コア6は、軟磁性材料製で、円筒形に形成され、その軸中心部に穿孔された軸孔に、マルテンサイト系やフェライト系SUS等の強磁性材料からなる軸棒状の軸(出力軸)7を圧入等により固定して配置する。
マグネット5の内径側には、コア6を接着等により固着する。
図2に示すように、軸受け8は、軟磁性材料により円筒形状に形成し、ステータ1の穴部に圧入等により取り付ける。このように取り付けられた軸受け8は、軸棒状の軸7の一端部を回転自由に支受する。
この電磁駆動装置では、カバー9の内側に、軸受け8を設置したステータ1、第1のコイル2及び第2のコイル3が巻回されたボビン4、ロータユニット、を配置して構成する。この電磁駆動装置では、ロータユニットの軸棒状の軸7の両端部が、軸受け8とカバー9に設けられたロータ軸支持部と、によって回転自在に支持される。
この電磁駆動装置では、第1のコイル2及び第2のコイル3が、ステータ1の平板部1cに隣接して配置される。第1のコイル2は、軸方向におけるマグネット5とステータ1の平板部1cとの間で、第1の外側磁極部1aを中心にボビン4に巻回される。このように構成した電磁駆動装置では、第1のコイル2へ通電することにより、ステータ1の第1の外側磁極部1aが励磁される。
また、第2のコイル3は、軸方向におけるマグネット5とステータ1の平板部1cとの間で、第2の外側磁極部1bを中心にボビン4に巻回される。このように構成した電磁駆動装置では、第2のコイル3へ通電することにより、ステータ1の第2の外側磁極部1bが励磁される。
この電磁駆動装置では、ステータ1の第1の外側磁極部1aと第2の外側磁極部1bとを、マグネット5の外周面に所定の隙間を開けて対向するように配置する。このように構成した電磁駆動装置では、第1のコイル2へ通電することで、第1の外側磁極部1aとコア6の第1の外側磁極部1aに対向する部分及び第1のコイル2に対向する部分とをそれぞれ反対の極に励磁する。そして、この電磁駆動装置では、その磁極間にマグネット5を横切る磁束を発生させ、磁束を効果的にマグネット5に作用させる。
同様に、この電磁駆動装置では、第2のコイル3へ通電することで、第2の外側磁極部1bと、コア6の第2の外側磁極部1bに対向する部分及び第2のコイル3に対向する部分と、をそれぞれ反対の極に励磁する。そして、この電磁駆動装置では、その磁極間にマグネット5を横切る磁束が発生するので、磁束を効果的にマグネット5に作用させることができる。また、この電磁駆動装置では、軸受け8を軟磁性材料にし、軸7を強磁性材料にすることで磁路として活用することができ、モータの磁気回路の抵抗を低くでき、出力を向上できる。
次に、上述のように構成した電磁駆動装置であるステッピングモータMの出力軸に対して、ロータの磁極の位置とピニオンの歯型の位置との相互間の位相を所定の位置関係となるように結合する手段について説明する。すなわち、この電磁駆動装置では、モータに装着されたマグネットの着磁位相と、このモータの出力軸に固定される駆動部材との相互位相精度を高くするための構成と、製造方法とを用いて、出力軸にピニオンギアを取り付ける。
このため、この電磁駆動装置では、ステッピングモータMの出力軸に対して、回転位相のない固定部材20を介して、ピニオンギア21を取り付ける。
この固定部材20は、レーザ光吸収性樹脂を材料として、フランジ付きスリーブ状(円筒部材の端部開口周囲に円環状部材を一体化した構造)に形成する。この固定部材20には、中心軸に沿って軸7に対する圧入用の穴部20aが穿設されている。さらに、固定部材20のフランジ部分の筒部がある側の面は、軸方向に垂直な中空円盤状の平面に形成された溶着部20bとして構成されている。また、固定部材20の筒部の外周面部は、後述するピニオンギア21が嵌合する嵌合部20cとして構成されている。
このように構成された固定部材20は、ステッピングモータMの出力軸を、穴部20aに圧入して取り付けられる。
また、駆動部材としてのピニオンギア21は、全体をレーザ光透過性樹脂で形成する。ピニオンギア21は、後述する回転部材18に噛み合うギア部21aと、軸方向に垂直な円盤状の平面をもつ溶着部21bと、固定部材20の嵌合部20cに嵌合する挿通孔である嵌合部21cと、を備える。なお、この挿通孔である嵌合部21cは、固定部材20の嵌合部20cに対して、製造誤差、組み付け誤差等を吸収できる程度の遊びを設けた開口として構成する。
このギア部21aは、ステッピングモータMの出力軸の回転トルクを伝達するための歯車として構成する。溶着部21bは、ギア部21aの一方の端面部からフランジ状に延出するよう構成する。この溶着部21bの外側端面(ギア部21aがあるのと反対側の平面)は、ギア部21aの回転軸に垂直な中空円盤状の平面に形成する。但し、溶着部21bの外径は、ギア部21aの歯先円よりも大きく形成する。
なお、この駆動部材としてのピニオンギア21は、少なくとも溶着部21bだけをレーザ光透過性樹脂(又は所定波長の光を透過可能な材料)で形成したものであっても良い。
このピニオンギア21には、溶着部21bの一部をV字状に切欠し溶着時に位相決め治具Jをはめてギア歯に対する回転方向の位相を決められるように形成した位相決め部21dを形成する。
このピニオンギア21を取り付ける場合には、ステッピングモータMの出力軸に圧入固定した固定部材20の嵌合部20cに、挿通孔である嵌合部21cを挿通する。これと共に、固定部材20の溶着部20bの平面上にピニオンギア21の溶着部21bを位置調整可能な状態で当接させる。したがって、溶着部21bは固定部材20とピニオンギア21が当接する領域となる。
そして、ステッピングモータMのマグネット5に対する位相決めをした状態で、レーザ光を溶着部21bを透過させて固定部材20の溶着部20bに照射して瞬時に溶着させることにより一体化させる。このようにピニオンギア21に溶着用の溶着部21bを設けたことで、溶着面を確保しやすくなり、溶着作業を容易にできる。さらに、ピニオンギア21は、ギア部21aから離間した溶着部21bの場所で溶着固定されるので、固定時にギア部21aの歯面が変形することがない。また、ピニオンギア21は、樹脂で形成されるため、歯面の摩擦を少なくでき、強度も確保しやすい。
次に、ステッピングモータMの出力軸に対して、固定部材20を介して、ピニオンギア21を取り付けるための組立手順について、図2、図3及び図4を参照しながら工程毎に説明する。
まず、製造開始の工程として、ステッピングモータMの軸7に固定部材20を圧入して固定する。
次に図4に示すように、ステッピングモータMを軸7(ロータユニット)が回転可能なように治具にセットする。そして、第1のコイル2に電流を流してヨーク1の第1の外側磁極部1aを励磁させて、軸7と一体のマグネット5を所定の回転位相状態に保持する。
次に、ステッピングモータMの軸7に固定された固定部材20の筒胴部である嵌合部20cに、ピニオンギア21の挿通孔である嵌合部21cを回転自由でかつ位相決め用の遊びが設けられるように挿通させて、組み込む。さらに、ピニオンギア21は、図示しない治具によって押し付けられることにより、溶着部21bの平面を、固定部材20の溶着部20bの平面に密着される状態にセットされる。
次に、この回転自由な状態にあるピニオンギア21の位相決め部21dに位相決め治具Jを嵌合させて位置決めすることにより、所定の回転位相になるようにセットする。このとき、ピニオンギア21は、嵌合部21cが固定部材20の嵌合部20cに所定の隙間を持って遊挿される状態となるので、軸中心位置を合わせたときに、マグネット5の所定の回転位相状態保持力に抗する力が発生しないようにできる。
すなわち、ピニオンギア21は、位相決め部21dによって、マグネット5の着磁状態に対応した初期位置に位置決めされる。
次に、固着手段である図示しないレーザ光照射装置からレーザ光LAをピニオンギア21の溶着部21bと、固定部材20の溶着部20bとの接触面に照射し、溶着部21bを溶着部20bに溶着させ、ピニオンギア21を固定部材20に固定する。
このときのレーザ光の照射の仕方は、図3に示すように2個所をスポット(点)で照射しても良いし、溶着部21bを円弧状にライン照射しても良い。照射されたレーザ光は、ピニオンギア21の溶着部21bを透過して固定部材20の溶着部20bに到達して吸収される。そして溶着部21bと溶着部20bとが接触している溶着面で吸収されたレーザ光は、エネルギーとして蓄積されるので、溶着部20bが加熱溶融されるとともに、溶着部20bからの熱伝達により溶着部21bと溶着部20bの接触面が加熱溶融される。このときに溶着部21bと溶着部20bは治具によって密着されているので、溶着部21bと溶着部20bとが一体的に接合され、ステッピングモータMの出力軸に固定部材20を介してピニオンギア21が取り付けられる。
このようにして取り付けられたピニオンギア21の軸7に対する輪転強度は、固定部材20を軸7に圧入したときの輪転強度及びピニオンギア21の固定部材20への溶着強度で決まる。
また、固定部材20の軸7に対する圧入輪転強度は、固定部材20の挿通孔の径を小さくして向上させることができる。このとき軸7が圧入されたことによって固定部材20が変形して外径が膨らむ場合には、ピニオンギア21の嵌合部21cの径を固定部材20の嵌合部20cの変形分を見込んで設計して吸収できるので、圧入量を増すことで輪転強度を向上させやすい。
さらに、ピニオンギア21の固定部材20への溶着強度は、ピニオンギア21にギア部21aの外径よりも大きな外径の溶着部21bを設け、固定部材20に設けられた溶着部20bと溶着固定する構成によって強化されている。
上述のようにして製作された電磁駆動装置では、ピニオンギア21のギア部21aの歯と、マグネット5の着磁部の着磁位相とが、相対的に所定の位置関係となる。具体的には、図4に示すように、ピニオンギア21のギア部21aの基準歯21eが図中真下を向いた状態で、位相決め部21dと、マグネット5の着磁部における所定の磁極の磁極中心とのなす角がθ1となる位置関係である。
この図4は、電磁駆動装置が初期位置にある状態を示している。この初期位置状態では、コイル2に正通電してステータ1の第1磁極部1aをN極に励磁したときに、ピニオンギア21の基準歯21eが図中真下に向くように設定されている。
また、この電磁駆動装置の製造方法では、光を利用した固着手段であるレーザ光による溶着時の熱エネルギーが、マグネット5の内側に配置された軟磁性材料製コア6側へ速やかに放熱される。よって、この電磁駆動装置の製造方法では、レーザ光による溶着時の熱エネルギーがマグネット5の着磁部に熱減磁の影響を与えることを抑制できる。
これと共に、この電磁駆動装置の製造方法では、レーザ光による溶着処理が瞬時に終了するから短時間で効率良く製造できるので、組立コストを低減し、廉価な製品を提供できる。さらに、この電磁駆動装置の製造方法では、ピニオンギア21をマグネット5に固定するためにかかる時間は一瞬で済み、コイル通電保持によるマグネット5への発熱の影響をほとんど受けない。
また、この電磁駆動装置の製造方法では、コイル通電によるロータ軸位置保持力に抗する回転力が発生しないため、相互位相精度の良いものとなる。すなわち、この電磁駆動装置の製造方法では、レーザ光による溶着処理の際に、ピニオンギア21とマグネット5とを相対的に回転させるような力が働くことが無いので,これらの相互位相精度が高い製品を製作できる。
さらに、この電磁駆動装置の製造方法では、ピニオンギア21のギア部21aとは別に設けられる位相決め部21dにて溶着固定されるため、ピニオンギア21の外径の大小にかかわらずピニオンギア21の歯型が変形することがない。この電磁駆動装置の製造方法では、ピニオンギア21を溶着治具へセットする際に、溶着部21bの一部に設けられた位相決め部21dに位相決め治具Jを当接させて位置決めするので、固定時にギア部21aの歯面を傷付ける心配がない。
これと共に、この電磁駆動装置の製造方法では、溶着部21bがギア部21aの歯先円よりもラジアル方向に大きく広がった外形に形成されているので、回転方向に対する溶着強度を高めることができる。
この電磁駆動装置の製造方法では、マグネット5と一体化される軸7に圧入固定される固定部材20とピニオンギア21との固定の際に、位相決めを行うものである。その際、マグネット5の位相決めは、ステッピングモータMのコイルの通電で行う。ピニオンギア21の溶着治具へのセット時は、溶着部21bの一部に設けられた位相決め部21dに位相決め治具Jで位置決めするものである。よって、この電磁駆動装置の製造方法では、位相決め治具Jをピニオンギア21の位置決めセット時に外部から見える構造にすることが容易なため、作業性が良い。
また、この電磁駆動装置の製造方法では、ピニオンギア21とマグネット5とを別体で構成することを前提とする。このピニオンギア21は、レーザ光透過性樹脂で形成されるものである。具体的にいうと、ピニオンギア21は、ポリカーボネイト(PC)やポリアセタール樹脂(POM)等の一般的な材料を使用して形成することにより、ギア部21aの歯面の摩擦を少なくし、歯面強度を十分に確保できる。またマグネット5は、磁力の高いネオジマグネットを使用可能となる。
図1及び図2に示すように、この電磁駆動装置が装着される光量調節装置を構成するためのベース部材10は、中央に開口部10aが形成されたリング状の部材である。ベース部材10には、モータ取付部10bと、後述の初期位置センサーが取り付けられるセンサー保持部10cとが設けられている。
また、この光量調節装置は、ベース部材10に対して装着された、回転部材18、遮光羽根F及びカム部材19を備える。
光量調節装置に装着する光量調節部材としての遮光羽根Fは、複数(本実施の形態では7枚)の羽根部材(11,12,13,14,15,16,17)で構成されている。
この遮光羽根Fは、遮光性を有し開口量を規制するよう構成され、全体を合成樹脂により一体成型により製作した薄板状の羽根基部を備える。この羽根基部は、第1基部11a,12a,13a,14a,15a,16a,17aと、第2基部11b,12b,13b,14b,15b,16b,17bとで構成する。
この第1基部の一方の面には、円柱或いは円筒状の第1軸部11c,12c,13c,14c,15c,16c,17cを一体的に突設する。これと共に、第1基部の他方の面には、円柱或いは円筒状の第2軸部11d,12d,13d,14d,15d,16d,17d(一部不図示)を一体的に突設する。
この遮光羽根Fは、光軸を中心に円周方向に第1基部11a〜17a及び第2基部11b〜17bを均等配置して構成されている。遮光羽根Fは、遮光性を有する第1基部11a〜17a及び第2基部11b〜17bが重ね合わされることで絞り開口の開口量を制御可能に構成されている。この遮光羽根Fでは、第1基部11a〜17a及び第2基部11b〜17bの重ね合わせが大きいほど絞り開口量は小さくなる。
回転部材18は、遮光羽根F(11,12,13,14,15,16,17)の開閉手段としての回転部材である。この回転部材18は、中央に円形開口部18aが形成されたリング状に形成されている。この回転部材18には、軸穴部18b,18c,18d,18e,18f,18g,18hと、回転嵌合突起部18iと、ギア部18jと、センサ用の遮光部18kが設けられている。
この回転部材18の平面における円形開口の周囲には、リング状の回転嵌合突起部18iを突設する。この回転嵌合突起部18iは、回転部材18がベース部材10のリング形状に重ね合わされた状態で、押え部材10の開口部10aに摺動可能にはまり、ベース部材10と同芯に回転部材18が回動自由となるようガイドする。
回転部材18に設けたギア部18jは、回転部材18の外周部の一部の円弧状の所定範囲にギア歯を配置して構成されている。このギア部18jには、前述した電磁駆動装置のピニオンギア21が噛み合わされる。このように構成することにより、電磁駆動装置を駆動してピニオンギア21を正転又は逆転させて、ベース部材10に対して回転部材18を回動操作可能とする。
また、光量調節装置には、ベース部材10に対する回転部材18の初期位置を検出するための初期位置検出手段を設ける。この初期位置検出手段を構成するため、ベース部材10には、筒枠状に形成されたセンサー保持部10dを設ける。このセンサー保持部10dには、初期位置センサー22をはめ込んで取り付ける。
さらに、ベース部材10には、センサー保持部10dの中から他を発し、ベース部材10の円弧に沿って所定長さ延出する貫通溝であるガイド溝10eを穿設する。
これと共に回転部材18には、ガイド溝10eに対応した所定位置に、小矩形突片状の遮光部18kを突設する。
そして、ベース部材10に回転部材18を装着することにより、遮光部18kがガイド溝10e内に挿入された状態で移動可能となるように構成する。さらに、この初期位置検出手段では、ベース部材10に対して回転部材18がこの初期位置にあるとき、遮光部18kが、センサー保持部10d内の初期位置センサー22に検知される位置に移動しているように構成する。
すなわち、この初期位置検出手段では、回転部材18の回動動作に伴って遮光部18kが初期位置センサー22に挿入されて遮光部18kが検知されているときに、回転部材18が初期位置状態にあると検知する。なお、この初期位置検出手段では、遮光部18kが初期位置センサー22から退避されて、初期位置センサー22が遮光部18kを検知していないときに、回転部材18が初期位置から逸脱して移動中であると検知する。
この光量調節装置では、初期位置センサー22が遮光部18kを検知したときに、光量調節部材としての遮光羽根Fが、全開状態となる。
回転部材18と相俟って遮光羽根Fの開閉手段を構成するカム部材19は、中央に円形開口部19aが形成されたリング状の部材である。このカム部材19には、円周側から中心側へ向けて略斜めのラジアル方向に沿って形成された複数のカム溝部19b,19c,19d,19e,19f,19g,19hを穿設する。
これらカム溝部19b,19c,19d,19e,19f,19g,19hには、それぞれ対応する第2軸部11d,12d,13d,14d,15d,16d,17dが摺動自在に挿入される。
カム部材19には、その外周部における所定対応箇所(ここでは中心角の3分割位置)にそれぞれ回転部材18を摺動自在に支受する台座部19Jを立設する。これと共に、カム部材19には、その外周部に配置された台座部19Jの各間位置に、それぞれ係着フック部19kを突設する。この係着フック部19kは、矩形柱状でその自由端部に内側に向けて突出するフックが形成されている。
この係着フック部19kは、ベース部材10の外周部における各対応位置に矩形溝状に穿設された係着凹部10Fに係着して、カム部材19にベース部材10を保持させるように構成する。なお、このとき台座部19Jは、カム部材19とベース部材10との間の間隔を一定に保持するスペーサとして機能する。
次に、この光量調節装置の組立について説明する。この光量調節装置では、カム部材19上に遮光羽根Fを載置し、第2軸部11d乃至17dをそれぞれ対応するカム溝部19b乃至19hに挿入する。
さらに、この遮光羽根Fの上に回転部材18を載置し、遮光羽根Fの第1軸部11c乃至17cをそれぞれ対応する回転部材18の軸穴部18b乃至18hに挿入する。
次に、その上にベース部材10を被せ、回転部材18と遮光羽根F11〜17を間に挟んだ状態でカム部材19に係着フック部19kで係着して、全体を一体的に組み付ける。
このように組み立てられた光量調節装置では、回転部材18の回転嵌合突起部18iがベース部材10の開口部10aに嵌合して回転可能に支持されている。また遮光羽根11〜17の第1軸部11c〜17cは、回転部材8の軸穴部18b〜18hにそれぞれ回動可能に嵌合されている。第2軸部11d〜17dは、カム部材19のカム溝部19b〜19hにそれぞれ摺動可能に嵌合されている。
この光量調節装置では、遮光羽根11〜17が光軸を中心に円周方向に均等配置されて、遮光性を有する第1基部11a〜17a及び第2基部11b〜17bが重ね合わされることで絞り開口を制御可能となる。遮光羽根11〜17は、重ね合わせが大きいほど絞り開口量は小さくなる。
次に、上述のように構成された光量調節装置の動作を説明する。
この光量調節装置では、制御手段が回転部材18の初期位置を基準にして電磁駆動装置を制御する。
このため制御手段は、電磁駆動装置を制御して、回転部材18を初期位置に戻すよう制御する。そして、制御手段は、初期位置センサー22が遮光部18kを検知して遮光羽根F11乃至17が初期位置状態に復帰したことを検知したときに電磁駆動装置を停止させる制御を行う。
次に、制御手段は、所要の絞り位置まで電磁駆動装置を1−2相駆動させる。この時、制御手段は、電磁駆動装置の出力軸と一体のピニオンギア21を図1の反時計方向に回転させる。
ピニオンギア21は、回転部材18のギア部18jに噛み合っているので回転部材18が図1の時計方向に回転する。回転部材18の軸穴部18b〜18hには遮光羽根F11〜17の第1軸部11c〜17cが嵌合している。このため、遮光羽根F11〜17は、それぞれ第1軸部11c〜17cの動作によって第2軸部11d〜17dがカム部材19のカム溝部19b〜19hに沿って移動される。
これら7枚の遮光羽根F11〜17は、それぞれが同様の回転動作をするので、カム部材19の開口部19aを全開する状態から所定の絞り径となる絞り位置まで移動する。
なお、所要の絞り位置から初期位置状態に戻す場合には、制御手段が、初期位置センサー22により遮光部18kが検出されるまで、電磁駆動装置を絞り方向とは逆方向に駆動させる。
[第2実施の形態]
次に、本発明の第2実施の形態について、図5を参照しながら説明する。図5は、本発明の第2実施の形態に係わる、ピニオンギア部を取り出して示す要部拡大縦断面図である。
本第2実施の形態は、固定部材とピニオンギアとの部分が異なるものであり、その他の構成は前述した第1実施の形態と同等であるので、その異なる部分について説明する。
本第2実施の形態と、前述した第1実施の形態との主な違いは、第1実施の形態ではピニオンギア21が固定部材20を介して軸7に取り付けられるのに対して、本第2実施の形態では、ピニオンギア24が直接に、軸7に取り付けられる点にある。
図5に示すように、本第2実施の形態に係わる固定部材23は、レーザ光吸収性樹脂を材料として円筒形状(円柱に貫通孔を穿孔した形状)に形成する。この固定部材23には、円柱の中心軸と同芯の円形貫通孔として形成された軸挿通用の挿通穴部23aを穿孔する。したがって、固定部材23には回転位相がない。さらに、固定部材23には、軸方向の一方の端面を、中心軸と直交する平面である溶着部23bに形成する。
このように構成した固定部材23は、ステッピングモータMの軸7を穴部23aに圧入する等の固定手段により、軸7に取り付けられる。
本第2実施の形態に係わるピニオンギア24は、レーザ光透過性樹脂を材料として一体に形成される。ピニオンギア24には、回転部材18に噛み合うギア部24aと、軸方向に垂直な円盤状の平面をもつ溶着部24bと、軸7に嵌合する嵌合部24cと、図示しない位相決め部24dを設ける。
ピニオンギア24の溶着部24bは、ギア部24aの歯先円よりも大きな外径のフランジ状に形成される。また、溶着部24bは、その外側に向いた端面をピニオンギア24の中心軸(回転軸)と直交する平面に形成する。
また、前述した第1実施の形態と同様に、溶着部24bの一部には、図示しないが、溶着時に治具にてギア歯に対する回転方向の位相を決める位相決め部24dを穿設する。
ピニオンギア24は、ステッピングモータMの出力軸に固着された固定部材23上に載置された状態で、レーザ光LAを溶着部24bに向けて照射することで、溶着部24bが固定部材23の溶着部23bに溶着され、固定部材23に固定される。
次に、本第2実施の形態に係わる固定部材23とピニオンギア24とを、ステッピングモータMの出力軸に取り付ける組立手順について説明する。
この組立に当たっては、まず、テッピングモータMの軸7の所定位置に固定部材23を圧入固定する。
次に、ステッピングモータMを、軸7(ロータユニット)が回転可能な状態で治具にセットし、第1のコイル2に電流を流してヨーク1の第1の外側磁極部1aを励磁することにより、マグネット5を所定の回転位相状態に保持する。
次に、ピニオンギア24を、軸7の回りに回転自由な状態で、固定部材23上に載置する。そして、図示しないピニオンギア24の位相決め部に、図示しない位相決め治具Jを嵌合させて位置決めすることにより、所定の回転位相になるようにセットする。
このとき、ピニオンギア24その嵌合部24cは、軸7に所定の隙間を持って回転自由に挿通された状態にあるので、軸中心位置が合わされるように位相決めされたときに、マグネット5の所定の回転位相状態の保持力に抗する力が発生しない。
さらに図5に示すように、ピニオンギア24を固定部材23上に載置した状態で、図示しない治具等を用いてピニオンギア24の溶着部24bの平面を、固定部材23の溶着部23bの平面に密着させる。
そして、レーザ光LAをピニオンギア24の溶着部24bと固定部材23の溶着部23bとの接触面に照射することで溶着部24bを溶着部23bに溶着させ、ピニオンギア24を固定部材23に固定する。
レーザ光LAの照射の仕方は、図5に示すように、2個所をスポット(点)で照射しても良いし、溶着部24bを円弧状にライン照射しても良い。照射されたレーザ光LAは、ピニオンギア24の溶着部24bを透過して固定部材23の溶着部23bに到達し吸収される。このときに溶着部24bと溶着部23bとが接触している溶着面で吸収されたレーザ光LAがエネルギーとして蓄積され、その結果、溶着部23bが加熱溶融されるとともに、溶着部23bからの熱伝達により溶着部24bと溶着部23bの接触面が加熱溶融される。この際に溶着部24bと溶着部23bは、治具によって密着されているので、溶着部24bと溶着部23bとが溶け合わさって一体的に接合する。
本第2実施の形態では、ピニオンギア24の貫通孔である嵌合部24cに直接ステッピングモータMの出力用の軸7が挿通される。よって、前述した第1実施の形態のピニオンギア21のような軸7に固定部材20の嵌合部20cを介してピニオンギア21の嵌合部21cをはめ込む構成と比較して、嵌合部24cの孔内周面から歯車の歯底までの距離を長くとれる。よって、本第2実施の形態は、嵌合部24cの孔内周面から歯車の歯底までの距離の余裕(歯底余裕)の少ないギアに適用すると有効である。
また、本第2実施の形態では、固定部材23の挿通穴部23aに、ステッピングモータMの出力用の軸7を圧入したとき、挿通穴部23aが固定部材23の厚み分の長さだけしかない。そこで、固定部材23の圧入強度を保つために、固定部材23の圧さを、前述した第1実施の形態における、嵌合部20cまで穴部20aが延長されたものと比較して、固定部材23の厚み(軸方向長さ)を、長くする必要がある。
なお、上述した本第2実施の形態における以上説明した以外の構成、作用、効果は、前述した第1実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
なお、上述した第1及び第2実施の形態では、固定部材20(固定部材23)と、ピニオンギア21(ピニオンギア24)とをレーザ光で溶着固定する構成について説明した。
しかし、本発明では、固定部材20(固定部材23)と、ピニオンギア21(ピニオンギア24)とを、光を利用した固着手段としての光硬化型接着剤で固着する手段を用いて固着しても良い。この場合には、光硬化型接着剤を固定部材20(固定部材23)とピニオンギア21(ピニオンギア24)が当接する領域に塗布し、少なくとも光硬化型接着剤を硬化させるための波長を持つ光線(光を利用した固着手段)を透過させる材料で構成されていれば良い。
[第3実施の形態]
次に、本発明の第3実施の形態について、図6乃至図11を参照しながら説明する。図6は、第3実施の形態に係わる電磁駆動装置を備えた光量調節装置の分解斜視図である。図7は、図6の電磁駆動装置の一部を構成するロータユニットを取り出して示す要部拡大斜視図である。図8は、図7のロータユニットの軸方向に沿って切断した断面を示す要部拡大断面図である。図9は、図6の光量調節装置における電磁駆動装置の軸中心位置で切断し、径方向外側から内側を見た状態を示す縦断面図である。図10は、図6の光量調節装置における電磁駆動装置のシャッタ羽根が開放状態にあるときのロータユニットとステータ磁極部との位置関係を表す平面図である。図11は、図6の光量調節装置における電磁駆動装置のシャッタ羽根が閉鎖状態にあるときのロータユニットとステータ磁極部との位置関係を表す平面図である。
この電磁駆動装置は、ステータ31、コイル32、ボビン33、ロータユニットL及び軸受け38を備える。このステータ1は、SUY(純鉄)等の軟磁性材料により形成されており、4つの櫛歯形状で構成される外側磁極部31a〜31d、円板部31eを備える。この円板部31fの中央には、軸受け38が取り付けられる穴部31fを形成する。外側磁極部31a〜31dは、後述するロータユニットLの回転軸に対して平行に配置される。
この電磁駆動装置では、コイル32を、ボビン33のボビン部33aに巻回して配置する。ボビン33は、端子台33cと、端子台33cに一体で形成される樹脂端子33dとを備える。コイル32の2つの線端は、樹脂端子33dにからげる。さらに、ボビン33には、後述のマグネット34(マグネット部材)を覆うカバー部23bを一体に形成する。
図7に示すように、ロータユニットLは、マグネット34、コア35、軸(出力軸)36、駆動レバー37及び固定部材43を備える。マグネット24は、レーザ光吸収性樹脂をバインダー材とした材料を用いて射出成形により形成されたマグネット部材である。
図10に示すように、マグネット34は、円筒形状に形成され、円周方向にN分割(着磁極数:N)(本第3実施の形態では8分割(着磁極数:8))され、S極とN極が交互に着磁されている(図10参照)。
コア35は、軟磁性材料にて円筒形状(厚肉のリング状)に形成され、この円筒形状部分の軸中心には、マルテンサイト系やフェライト系SUS等の強磁性材料からなる軸棒状の軸(出力軸)36を圧入等により固定するための挿通穴35aが穿孔されている。
マグネット34の内周側の空間には、コア35が嵌め込まれる。これらマグネット34とコア35とは、接着等の手段により一体化される。
固定部材43は、レーザ光吸収性樹脂製で、全体が、厚肉で大径の中空円板状の一方の側面部における中空孔部の周囲に小径の筒状部を一体に突設した、縦断面が略逆T字形状となるようなリング状に形成されている。この固定部材43には、その中心軸部に軸棒状の軸(出力軸)36を圧入するための軸穴部43aが穿孔されている。この固定部材43の突設された小径の筒状部は、駆動レバー37の嵌挿用の開口部(穴部)が嵌合する嵌合部43cとして構成する。この固定部材43には、大径の中空円板状部分における固定部材43からラジアル方向に広がるリング状の平面部である溶着部43bを、中心軸に直交する平面に形成する。
このように構成された固定部材43は、マグネット34の内周側に嵌め込まれたコア35の一方の端面上に、相対向する平面が密着するように配置される。これによりコア35の軸穴部35aと固定部材43の軸穴部43aとが同芯で直列状に並んだ状態となったところへ、軸棒状の軸36を圧入して、マグネット34、コア35、固定部材43及び軸36を一体化する。なお、固定部材43は、コア35とマグネット34との間を接着剤で貼着しても良い。
駆動レバー37は、レーザ光透過性樹脂で形成される。駆動レバー37は、マグネット34の回転出力を伝達するための駆動部材であって、溶着部37bと、腕部37cと、駆動ピン37aとを有する。この溶着部37bは、マグネット34の円筒軸方向に垂直な円盤状の平面に形成する。腕部37cは、溶着部37bの側面から径方向外側に延びる腕状に一体に形成する。駆動ピン37aは、腕部37cの先端でマグネット34の円筒軸と平行な方向に延びる円柱状に形成する。
駆動部材としての駆動レバー37は、レーザ光を溶着部37bに照射して溶着部37bを固定部材43の溶着部43bに溶着することにより、固定部材43に固定されて、固定部材43、マグネット34、コア35及び軸36と、一体化される。これにより、マグネット34の着磁位相と駆動レバー37の回転出力伝達部との相互位相精度の高い電磁駆動装置を構成することができる。また、駆動レバー37に設けた溶着部37bで溶着固定するため、固定時に回転出力伝達部が変形することがない。また、駆動レバー37は樹脂で形成されるため、回転出力伝達部の摩擦を少なくでき、強度も確保しやすい。
次に、ロータユニットLの組立手順について説明する(図7、図8、図10及び図11参照)。
このロータユニットLの製造にあたっては、まず、マグネット34を着磁治具を利用してラジアル方向着磁する。
次に、コア35に軸36を圧入して固定する。
次に、コア35にマグネット34を接着等により固定する。
次に、固定一体化されたマグネット34、コア35、軸36及び固定部材43を回転可能に図示しない治具にセットする。そして、治具に設けられたマグネット34の着磁部34aの所定位置に所定の隙間で対向するヨークに電流を流してヨークを励磁することによりマグネット34を、治具内で所定の回転位相状態に保持する。
次に、駆動レバー37を治具にセットする。このとき、駆動レバー37は、駆動ピン37aを利用して治具に対して位置決めされることにより所定の回転位相の状態にセットされる。すなわち、駆動レバー37は、駆動ピン37aによって、マグネット34の着磁状態に対応した初期位置に位相決めされる。
次に、駆動レバー37の溶着部37bを固定部材43の溶着部43bに密着させる。そして、レーザ光LAを駆動レバー37の溶着部37bと固定部材43の溶着部43bとの接触面に照射することで溶着部43bを溶着部37bに溶着させ、駆動レバー37を固定部材43に固定する。
ここで、レーザ光LAの照射の仕方は、図8のように2個所をスポット(点)で照射しても良いし、溶着部37bを円弧状にライン照射しても良い。照射されたレーザ光LAは、駆動レバー37の溶着部37bを透過して固定部材43の溶着部43bに到達し吸収される。このとき、溶着部37bと溶着部43bとが接触している溶着面では、吸収されたレーザ光がエネルギーとして蓄積され、その結果、溶着部43bが加熱溶融される。これと共に、溶着部43bからの熱伝達により溶着部37bの接触面が加熱溶融される。このときに溶着部37bと溶着部43bとは、治具によって密着されているので、溶着部37bと溶着部43bとが一体的に接合する。
以上説明した工程により、ロータユニットLが作成される。
このようにして構成したロータユニットLは、駆動レバー37の駆動ピン37aと、マグネット34の着磁部34aの着磁位相とが、所定の値となる。具体的には図10及び図11のように、駆動レバー37の駆動ピン37aはマグネット34の着磁部34aのS極とN極との境界線の径方向延長上に位置するように固定される。
このロータユニットLの構成では、軟磁性材料からなるコア35が固定部材43の溶着部43bの内側に配置されるため、溶着時のレーザ光LAによる発熱を放熱する効果があり、マグネット34の着磁部34aに影響を与えにくい。
上述した工程で製作されるロータユニットLは、駆動レバー37と固定部材43との固定をレーザ溶着にて行うので、固定にかかる時間が一瞬で済み、コイル通電保持によるマグネット34への発熱の影響がほとんどない。また、上述した工程で製作されるロータユニットLは、駆動レバー37と固定部材43とを固定する際に、コイル通電によるロータ軸位置保持力に抗する回転力が発生しないため、相互位相精度を高くできる。
上述した工程で製作されるロータユニットLでは、着磁治具を利用してマグネット34を着磁する際に位相決めを行う必要がなく、溶着治具で固定部材43と、駆動レバー37とを固定する際に位相決めを行うものである。その際、マグネット34の位相決めは、溶着治具内に設けられるコイルの通電で行う。また、駆動レバー37の溶着治具に対する位相決めは、駆動レバー37を溶着治具にセットするときに、駆動ピン37aを治具に対して位置決めすることにより行う。よって、マグネット34の位相決めに当たっては、駆動レバー37がマグネット34の外径よりも大きくても、位相決め固定に何ら支障をきたさない。
図8に示すように、ロータユニットLは、ユニット状態で軸棒状の軸36の一端である第2端部36bがコア35から外部に露出しており、軸36の他端である第1端部36aがコア35から外部に露出している。
図6に示すように、ロータユニットLを支受するステータ31には、その底部に穿孔した穴部31eに、軸受け38を圧入等により取り付ける。この軸受け38は、軟磁性材料からなる第1円筒部38a及び第2円筒部38bを貫通する軸受孔に、ロータユニットLの軸36の第2端部36bを軸着する。
上述のように構成された軸受け38が固定されたステータ31、コイル32が巻回されたボビン33及びロータユニットLは、ベース部材39(図6では裏面側に相当する部分)に一体的に装着されて、電磁駆動装置を構成する。
このベース部材39は、中央に開口部39aが形成されたリング状の部材であり、軸部39b、39c、穴部39d、ロータ軸支持部39eが設けられている。
このロータ軸支持部39eには、ロータユニットLの軸36の第1端部36aが軸着される。これにより、ロータユニットLは、軸受け38とロータ軸支持部39eとにより回転自在に支受される。
また、この電磁駆動装置では、コイル32を、ステータ31の円板部31f上に配置する。このコイル32は、軸方向におけるマグネット34とステータ31の円板部31fとの間で、コア38の第1円筒部38aを中心に入れたボビン33に巻回して配置される。これにより、コイル32へ通電することにより、ステータ31の外側磁極部31a〜31dが励磁される。
本第3実施の形態では、ステータ31の外側磁極部31a〜31dは、マグネット34の着磁部34aの外周面に所定の隙間をあけて対向する構成となっている。そして、コア35と、軸受け38とにより、内側磁極部が形成される。
この電磁駆動装置では、コイル32へ通電することで、外側磁極部31a〜31dと、内側磁極部とをそれぞれ反対の極に励磁して、その磁極間にマグネット34を横切る磁束を発生させ、磁束を効果的にマグネット24に作用させる。また、この電磁駆動装置では、軸受け38を軟磁性材料にし、軸36を強磁性材料にすることで磁路として活用する。これにより電磁駆動装置は、磁気回路の抵抗を低くでき、出力向上につながる。
このように構成した電磁駆動装置は、シャッタ羽根30、31を駆動するためのものである。ここで、本第3実施の形態の光量調節装置における電磁駆動装置は、軸支持部39eをベース部材39に一体で形成しているが、これらを別体の部品とすることで電磁駆動装置をユニット化してベース部材39に組み付けるようにしても良い。
上述のように構成された電磁駆動装置で駆動される光量調節装置は、電磁駆動装置の機台となっているベース部材39に対して装着される、シャッタ羽根40、41及び押え部材42を備える。
シャッタ羽根40、41は、それぞれ光量調節部材であり、遮光性を有し、軸穴部40a、41aと長穴部40b、41bとが形成されている。
押え部材42は、シャッタ羽根40、41を間に挟んでベース部材39に固定され、シャッタ羽根40、41の光軸方向の抜け止めの役割を果たす。その際、シャッタ羽根40は、軸穴部40aがベース部材39の軸部39bに嵌合して回転可能に支持される。シャッタ羽根41は、軸穴部41aがベース部材39の軸部39cに嵌合して回転可能に支持される。また、駆動レバー37の駆動ピン37aは、シャッタ羽根40の長穴部40bとシャッタ羽根41の長穴部41bとに回動可能に支受される。
これにより本第3実施の形態に係わる電磁駆動装置を備えた光量調節装置が構成される。
次に、上述のように構成した本第3実施の形態の光量調節装置の動作について説明する。
図10は、シャッタ羽根40、41がベース部材39の開口部39aから退避しているシャッタ開放状態を表している。この状態は、コイル32を正通電することで、ステータ31の外側磁極部31a〜31dをS極に励磁した状態である。また、この状態でコイル32の通電をOFFしても、ステータ31とマグネット34とに働くコギング力により、その位置が保持される。すなわち、図10に示す状態では、着磁部34aのN極の中心が外側磁極部31a〜31dの中心に一致するように図中時計方向に回転する力が働いている。しかし図10に示す状態では、駆動レバー37の腕部37cがボビン33のカバー部33bに当接して止められその位置が保持される。
次に、図10の状態からコイル32に逆通電することで、ステータ31の外側磁極部31a〜31dをN極に励磁する。するとマグネット34は、図10に向かって反時計方向に回転し、図11の状態となる。
その際、マグネット34に固定されている駆動レバー37も回転し、駆動ピン37aがシャッタ羽根40の長穴部40b及びシャッタ羽根41の長穴部41bを押す。すると、シャッタ羽根40は、軸穴部40aを中心に図6の時計方向に回転する。これと共に、シャッタ羽根41は、軸穴部41aを中心に図6に向かって反時計方向に回転する。この動作により、シャッタ羽根40、41は、ベース部材39の開口部39aを覆って、シャッタ閉鎖状態となる。
また、図11の状態でコイル32の通電をOFFした場合には、ステータ31とマグネット34とに働くコギング力により、その位置が保持される。すなわち図11の状態では、着磁部34aのS極の中心が外側磁極部31a〜31dの中心に一致するように図11に向かって反時計方向に回転する力が働いている。しかしこの状態では、駆動レバー37の腕部37cがボビン33のカバー部33bに当接して止められるので、その位置が保持される。
なお、シャッタ閉鎖状態からシャッタ開放状態に戻すときは、コイル32の通電を逆通電させれば、上述とは逆の動作でシャッタ開放状態に戻る。
[第4実施の形態]
次に、本発明の第4実施の形態について、図12乃至図17を参照しながら説明する。図12は、第4実施の形態に係わる電磁駆動装置を備えた光量調節装置の分解斜視図である。図13は、図12の電磁駆動装置の一部を構成するロータユニットを取り出して示す要部拡大斜視図である。図14は、図13のロータユニットの軸方向に沿って切断した断面を示す要部拡大断面図である。図15は、図12の光量調節装置における電磁駆動装置の軸中心位置で切断し、径方向外側から内側を見た状態を示す縦断面図である。図16は、図12の光量調節装置における電磁駆動装置のND羽根が退避状態にあるときのロータユニットとステータ磁極部との位置関係を表す平面図である。図17は、図12の光量調節装置における電磁駆動装置のND羽根が挿入状態にあるときのロータユニットとステータ磁極部との位置関係を表す平面図である。
本第4実施の形態に係わる電磁駆動装置は、ステータ51、コイル52、ボビン53、ロータユニットL1、軸受け59、ベース部材60及び押え部材61を備える。
このステータ51は、SUY等の軟磁性材料により形成されており、2つの櫛歯形状で構成される外側磁極部51a、51b、円板部51c、穴部51dを備えている。この円板部51cの中央には、軸受け59が取り付けられる穴部51dが形成されている。外側磁極部51a〜51bは、ロータユニットL1の回転軸に対し平行に配置される。
この電磁駆動装置では、コイル52をボビン53のボビン部53aに巻回して配置する。ボビン53は、端子台53cと、端子台53cに一体で形成される樹脂端子53dとを備える。コイル52の2つの線端は、樹脂端子53dにからげられる。さらにボビン53には、後述するマグネット(マグネット部材)54を覆うカバー部53bを一体に形成する。
図13に示すように、ロータユニットL1は、マグネット54、コア55、軸(出力軸)56、固定部材57及びND羽根(光学フィルタ用の部材)58を備える。
図16に示すように、マグネット54は、円筒形状に形成され、円周方向にN分割(着磁極数:N)(本第4実施の形態では4分割(着磁極数:4))され、S極とN極が交互に着磁されている。
コア55は、軟磁性材料にて円筒形状(厚肉のリング状)に形成される。このコア55の円筒形状部分の軸中心には、マルテンサイト系やフェライト系SUS等の強磁性材料からなる軸棒状の軸(出力軸)56を圧入等により固定するための挿通穴35aが穿孔されている。
マグネット54の内周側の空間には、コア55が嵌め込まれる。これらマグネット54とコア55とは、接着等の手段により一体化される。
図14に示すように固定部材57は、レーザ光吸収性樹脂製で、全体が、厚肉で大径の中空円板状の一方の側面部における中空孔部の周囲に小径の筒状部を一体に突設した、縦断面が略逆T字形状となるようなリング状に形成されている。
この固定部材57には、その中心軸部に軸棒状の軸56を圧入するための軸穴部57aが穿孔されている。この固定部材57に突設された小径の筒状部は、ND羽根58の嵌挿用の開口部(穴部)が嵌合する嵌合部57cとして構成する。この固定部材57には、大径の中空円板状部分における固定部材57からラジアル方向に広がるリング状の平面部である溶着部57bを、中心軸に直交する平面に形成する。
このように構成された固定部材57は、マグネット54の内周側に嵌め込まれたコア55の一方の端面上に、相対向する平面が密着するように配置される。これによりコア55の軸穴部55aと固定部材57の軸穴部57aとが同芯で直列状に並んだ状態となったところへ、軸棒状の軸56を圧入して、マグネット54、コア55、固定部材57及び軸56を一体化する。なお、固定部材57は、コア55とマグネット54との間を接着剤で貼着しても良い。
ND羽根58は、Neutral Densityフィルタを構成するための部材であって、レーザ光透過性樹脂からなる基材に、部分的に光量調節層を蒸着等により積層して形成する。このND羽根58は、溶着部58aと、腕部58cと、光学フィルタ部58dと、ストッパ部58eとを備える。
この溶着部58bは、マグネット54の円筒軸方向に垂直な円盤状の平面に形成する。腕部58cは、溶着部58aの側面から径方向外側に延びる腕状に形成する。光学フィルタ部58dは、通過光量を制限するための円板状に形成する。ストッパ部58eは、光学フィルタ部58dの自由端部に小矩形突片状に延出するよう一体に形成する。
このND羽根58では、光学フィルタ部58dとストッパ部58eとの部分を共に、部分蒸着等の加工を行って、Neutral Densityフィルタ機能を持つものに構成する。さらに、このND羽根58では、少なくとも溶着部58aの部分を含むその他の部分(光学フィルタ部58dとストッパ部58eとの部分以外の部分)をレーザ光透過性樹脂からなる基材のままの、レーザ光を透過させる状態に構成する。
フィルタ用の部材としてのND羽根58は、レーザ光を溶着部58aに照射して溶着部58aを固定部材57の溶着部57bに溶着することにより、固定部材57に固定されて、固定部材57、マグネット54、コア55及び軸56と、一体化される。これにより、マグネット54の着磁位相とND羽根58の相互位相精度の高い電磁駆動装置を構成することができる。また、ND羽根58に設けた溶着部58aで溶着固定するため、固定時に回転出力伝達部が変形することがない。また、ND羽根58は、樹脂で形成されるため、回転出力伝達部の摩擦を少なくでき、強度も確保しやすい。
次に、ロータユニットL1の組立手順について説明する。(図13、図14、図15及び図16参照)
このロータユニットL1の製造にあたっては、マグネット54を着磁治具を利用してラジアル方向着磁する。
次に、コア55に軸56を圧入して固定する。
次に、マグネット54をコア55に接着等により固定する。
次に、固定部材57を軸56に圧入により固定する。
次に、固定一体化されたマグネット54、コア55、軸56、固定部材57を回転可能に図示しない治具にセットする。そして、治具に設けられたマグネット54の着磁部の所定位置に所定の隙間で対向するヨークに電流を流してヨークを励磁することによりマグネット54を、治具内で所定の回転位相状態に保持する。
次に、ND羽根58を治具にセットする。このとき、ND羽根58は、ストッパ部58eを利用して治具に対して位置決めされることにより所定の回転位相の状態にセットされる。
次に、ND羽根58の溶着部58aを固定部材57の溶着部57bに密着させる。そして、レーザ光LAをND羽根58の溶着部58aと固定部材57の溶着部57bとの接触面に照射することで溶着部58aを溶着部57bに溶着させ、ND羽根58を固定部材57に固定する。
ここで、レーザ光LAの照射の仕方は、図14に示すように2個所をスポット(点)で照射しても良いし、溶着部58aを円弧状にライン照射しても良い。照射されたレーザ光LAは、ND羽根58の溶着部58aを透過して固定部材57の溶着部57bに到達し吸収される。このとき、溶着部58aと溶着部57bとが接触している溶着面では、吸収されたレーザ光LAがエネルギーとして蓄積され、その結果、溶着部57bが加熱溶融される。これと共に、溶着部57bからの熱伝達により溶着部58aと溶着部57bの接触面が加熱溶融される。このときに溶着部58aと溶着部57bは治具によって密着されているので、溶着部58aと溶着部57bとが一体的に接合する。
以上説明した工程により、ロータユニットLが作成される。このようにして構成したロータユニットL1は、ND羽根58の光学フィルタ部58dとマグネット54の着磁位相とが所定の値となる。具体的には、図16及び図17のように、ND羽根58の光学フィルタ部58dがマグネット54の着磁部のS極とN極との境界線の径方向延長上に位置するように固定される。
このロータユニットLの構成では、軟磁性材料からなるコア55が固定部材57の溶着部57bの内側に配置されるため、溶着時のレーザ光LAによる発熱を放熱する効果があり、マグネット54の着磁部に影響を与えにくい。
上述した工程で製作されるロータユニットL1は、ND羽根58と固定部材57との固定をレーザ溶着にて行うので、固定にかかる時間は一瞬で済み、コイル通電保持によるマグネット54への発熱の影響はほとんどない。また、コイル通電によるロータ軸位置保持力に抗する回転力は発生しないため、相互位相精度の良いものとなる。
上述した工程で製作されるロータユニットL1は、着磁治具を利用してマグネット54を着磁する際に位相決めを行う必要がなく、溶着治具でマグネット54と、ND羽根58とを固定する際に位相決めを行うものである。その際、マグネット54の位相決めは、溶着治具内に設けられるコイルの通電で行う。ND羽根58の溶着治具に対する位相決めは、ND羽根58を溶着治具にセットするときに、ストッパ部58eを治具に対して位置決めすることにより行う。よって、ND羽根58の位相決めに当たっては、ND羽根58がマグネット54の外径よりも大きくても、位相決め固定に何ら支障をきたさない。
図14に示すように、このロータユニットL1では、ユニット状態で軸56の一端である第1端部56aがコア55よりも外部に露出しており、軸56の他端である第2端部56bがコア55よりも外部に露出している。
図12及び図15に示すように、ロータユニットL1を支受するステータ51には、その平板部に穿孔した穴部51dに、軸受け59を圧入等により取り付ける。この軸受け59は、軟磁性材料からなる第1円筒部59a及び第2円筒部59bを貫通する軸受孔に、ロータユニットL1の軸56の第2端部56bを軸着する。
上述のように構成された軸受け59が固定されたステータ51、コイル52が巻回されたボビン53及びロータユニットL1は、ベース部材60に一体的に装着されて、電磁駆動装置を構成する。
このベース部材60は、中央に開口部60aが設けられたリング状の部材に形成されている。このベース部材60には、ロータユニットの軸支持部60bと、モータ取付部60cが設けられている。
このモータ取付部60cには、軸受け59が固定されたステータ51と、コイル52が巻回されたボビン53と、ロータユニットL1とが装着される。このロータユニットL1は、軸受け59と軸支持部60bとにより回転自在に支持される。
この電磁駆動装置では、コイル52が、マグネット54とステータ51の円板部51cとの間に、軸方向に沿って配置される。このコイル52は、軸受け59の第1円筒部59aを中心に挿通した中空のボビン53に巻回して配置される。これにより、この電磁駆動装置では、コイル52へ通電することにより、ステータ51の外側磁極部51a〜51bが励磁される。
この電磁駆動装置では、ステータ51の外側磁極部51a〜51bが、マグネット54の外周面に所定の隙間をあけて対向する構成となっている。そして、コア55と、軸受け59とにより、内側磁極部が形成される。
この電磁駆動装置では、コイル52へ通電することで、外側磁極部51a〜51bと内側磁極部とをそれぞれ反対の極に励磁して、その磁極間にマグネット54を横切る磁束を発生させ、磁束を効果的にマグネット54に作用させる。また、この電磁駆動装置では、軸受け59を軟磁性材料にし、軸56を強磁性材料にすることで磁路として活用する。これにより、この電磁駆動装置では、磁気回路の抵抗を低くでき、出力向上につなげることができる。
なお、上述した光量調節装置における電磁駆動装置は、軸支持部60bをベース部材60に一体で形成した構成について説明したが、これらを別体の部品とすることで電磁駆動装置をユニット化してベース部材60に組み付けるようにしても良い。
この電磁駆動装置では、上述のようにしてベース部材60上に、ステータ51、コイル52、ボビン53、ロータユニットL1及び軸受け59を取り付けた後、ベース部材60に押え部材61を取り付ける。
これにより、この電磁駆動装置では、押え部材61がND羽根58を所定の隙間を持って間に挟んだ状態で、ベース部材60に固定されて、本第4実施の形態の電磁駆動装置を備えた光量調節装置が構成される。
次に、上述のように構成した本第4実施の形態の光量調節装置の動作について説明する。
図16はND羽根58がベース部材60の開口部60aから退避しているND羽根退避状態を表している。この状態は、コイル52に正通電することで、ステータ51の外側磁極部51a〜51bをS極に励磁した状態である。また、この状態では、コイル52への通電をOFFとしても、ステータ51とマグネット54とに働くコギング力により、その位置が保持される。すなわち、図16においてマグネット54の着磁部のN極の中心が外側磁極部51a〜51bの中心に一致するように図中時計方向に回転する力が働いているが、その状態でND羽根58の腕部58cがボビン53のカバー部53b及びベース部材60に当接して止められている状態にある。
次に、図16の状態からコイル52を逆通電することで、ステータ51の外側磁極部51a〜51bをN極に励磁する。すると、マグネット54は、図16に向かって反時計方向に回転し、図17の状態となる。
このとき、マグネット54に固定されているND羽根58が回転してベース部材60の開口部60aを覆って、ND羽根挿入状態となる。また、この電磁駆動装置では、図17の状態でコイル52への通電をOFFしても、ステータ51とマグネット54とに働くコギング力により、その位置が保持される。すなわち、図17の状態では、マグネット54の着磁部のS極の中心が外側磁極部51a〜51bの中心に一致するように図17に向かって反時計方向に回転する力が働いている。しかしこの状態では、ND羽根58の腕部58cがボビン53のカバー部53b及びベース部材60に当接して止められるので、その位置が保持される。
なお、ND羽根挿入状態からND羽根退避状態に戻すときは、コイル52の通電を逆通電させれば、上述とは逆の動作でシャッタ開放状態に戻る。
また、上述した本第3及び第4実施の形態では、マグネット34(マグネット54)、コア35(コア55)及び固定部材43(固定部材57)を一体化し、固定部材43(固定部材57)の溶着部43b(溶着部57b)を、駆動レバー37(ND羽根58)とレーザ光で溶着固定する構成について説明した。
しかし、本発明では、固定部材43(固定部材57)に対して駆動レバー37(ND羽根58)を、光を利用した固着手段としての光硬化型接着剤で固着する手段を用いて固着しても良い。この場合には、少なくとも駆動レバー37(ND羽根58)が光硬化型接着剤を硬化させるための波長を持つ光線(光を利用した固着手段)を透過させる材料で構成されていれば良い。
また、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、その他種々の構成を採り得ることは勿論である。