JP5206920B2 - 潜像印刷物 - Google Patents

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Description

本発明は、銀行券、株券、債券等の有価証券並びに各種証明書及び重要書類等の偽造防止及び複製防止が必要とされる印刷物に関するものである。
銀行券、株券、債券等の有価証券並びに各種証明書及び重要書類等の印刷物は、その価値を保証又は維持する必要があるため、特殊な印刷パターンを施した印刷物に万線フィルタ又はレンチキュラーレンズ等の判別具を重ね合わせることにより潜像画像が発現する印刷物と、該潜像画像の有無を視認することにより印刷物の真偽判別を行う方法がある。
例えば、万線フィルタから成る判別具を重ね合わせることにより潜像画像が発現する印刷物とその真偽判別方法としては、万線画線で印刷した背景画像部と、背景画像部と異なる角度の万線画線で印刷した潜像画像部とを有する印刷物が存在する。当該印刷物の背景画像部と潜像画像部は、区分けして視認することが一見困難であるが、万線フィルタを印刷物に所定の角度で重ね合わせた場合には背景画像部と潜像画像部を区分けして視認できる方法が知られている。
その一例としては、第1の方向と第2の方向に位相変調されたパターンが形成された印刷物と、当該印刷物の第1の方向と万線状フィルタの万線状パターンの方向とを一致するように前記万線状フィルタを重ね合わせることにより形成される第1の多階調画像と、前記万線状フィルタの重ね合わせる角度を前記印刷物の第2の方向に一致するように変えると第2の多階調画像が形成されることを特徴とする印刷物及び画像形成法がある(例えば、特許文献1参照)。
また、基材上に、線部と非線部でなり、同一ピッチ及び幅から成る万線パターンに対し、万線位相を1/2ピッチずらして形成された潜像部を備えている複数種の潜像万線パターンが、それぞれ異なる角度で重ね合わされて印刷された潜像を有する印刷物であって、前記複数種の潜像万線パターンがそれぞれ色違いであることを特徴とする印刷物と、前記印刷物の万線パターンと同一ピッチのフィルムを前記複数種の潜像パターンに重ね合わせることにより潜像部を顕像化することを特徴とする画像形成法がある(例えば、特許文献2参照)。
また、基材上に、レンズアレイ(ハエの目レンズ、ハニカムレンズ、レンチキュラーレンズ等)を重ねることにより画像が現れるドットパターンを構成するそれぞれのドットが、少なくとも2種類以上のスクリーン線数で、かつ、少なくとも2種類以上のスクリーン角度の網点から成る印刷物において、真正物であればドットパターンを構成するそれぞれのドットの網点面積率が同じであるためレンズアレイを重ねることにより特定画像が現出し、複写物の場合はコピーすることによりスクリーン線数の大きさ又は網点角度で再現されるドットが潰れ、ドットの濃度が変化することにより前記特定画像と異なる画像が現出する印刷物がある(例えば、特許文献3参照)。
特開平10−230674号公報 特開2004−174997号公報 特開2001−324949号公報
しかしながら、特開平10−230674号公報は、判別具を重ね合わせる方向(角度)を印刷物の方向に応じて変える煩わしさがある。また、万線状フィルタ等により形成される画像は、単色の多階調画像に制限されるという問題があった。
また、特開2004−174997号公報は、多色の画像を形成することは可能であるが、万線位相を1/2ピッチ、すなわち同一ピッチでずらしていることから顕像化する潜像画像は2階調画像となる。また、複数種の潜像万線パターンをそれぞれ異なる角度に重ね合わせて印刷しているため、多階調の潜像画像を形成するには、それぞれの潜像万線パターンの角度に合わせて判別具の重ねる角度を変える煩わしさがあった。さらに、潜像万線パターンの組合せの種類数は、3色が限度であり、それ以上の色を使用した場合は、潜像全体が黒ずみ、顕像化しても色再現性等が劣るという問題があった。
また、特開2001−324949号公報は、入出力解像度の特性を利用したものであり、昨今の複写機やインキジェット複合機等のデジタル機器類における画像の入出力解像度の高精細化又はモアレ低減機能等の補正機能の発達によって、ドットパターンをつぶれないように複写又はモアレ低減機能等により、ドット濃度の濃淡の発生の抑制がなされるおそれがある。
本発明は、基材上に、複数の等色の画素が規則的に配列されて二つの潜像画像が形成された潜像印刷物であって、複数の画素において、第1の方向に位相をずらし、かつ、機能性を有しないインキで印刷された第1の領域による第1の潜像模様と、機能性を有するインキにより印刷された第2の領域による第2の潜像模様と、機能性を有しないインキと同じインキで印刷された背景模様から成ることを特徴とする潜像印刷物である。
本発明は、第1の領域と第2の領域が重複して配置されている領域が、機能性を有するインキで印刷されていることを特徴とする潜像印刷物である。
本発明は、基材上に、複数の画素が規則的に配列されて二つの潜像画像が形成された潜像印刷物であって、複数の画素において、第1の方向に位相をずらし、かつ、機能性を有するインキで印刷された領域を少なくとも含む第1の領域による第1の潜像模様と、機能性を有するインキと同じインキにより印刷された第2の領域による第2の潜像模様と、機能性を有しないインキで印刷された背景模様から成り、第1の領域が前記第2の領域内に配置されたことを特徴とする潜像印刷物である。
本発明は、第1の領域内の一部領域が、機能性を有するインキと機能性を有しないインキで構成された複数の画素から成ることを特徴とする潜像印刷物である。
本発明は、第1の領域及び第2の領域を構成する複数の画素は、等色であることを特徴とする潜像印刷物である。
本発明は、機能性を有するインキで印刷した第1の領域及び第2の領域の画素と、機能性を有しないインキで印刷した背景模様の一部の画素とは等色で、かつ、機能性を有しないインキで印刷した第1の領域及び第2の領域の画素と、機能性を有しないインキで印刷した背景模様の一部の画素以外の画素とが等色であることを特徴とする潜像印刷物である。
本発明は、前記機能性を有するインキにより印刷された前記第2の領域内において、前記第1の方向とは異なる第2の方向に、前記複数の画素の位相をずらして配列された第3の潜像模様を有することを特徴とする潜像印刷物である。
本発明は、前記第1の領域と前記第3の領域は、一部重複して配置されていることを特徴とする潜像印刷物である。
本発明は、基材上に、複数の等色の画素が規則的に配列されて二つの潜像画像が形成された潜像印刷物であって、前記複数の画素において、第1の方向に位相をずらし、かつ、機能性を有するインキで印刷された領域を少なくとも含む第1の領域による第1の潜像模様と、前記機能性を有するインキと同じインキにより印刷された第2の領域による第2の潜像模様と、前記機能性を有するインキとは異なる機能性を有するインキで印刷された背景模様から成り、前記第1の領域が前記第2の領域内に配置されたことを特徴とする潜像印刷物である。
本発明は、前記機能性を有するインキが、所定の光を照射した時に、励起又は発光するインキ、所定の温度により変色する示温インキ、所定の角度により色彩が変化する光学的変化インキ又は指定のフィルタを介して色彩が変化するインキのいずれか一つである潜像印刷物である。
本発明の潜像印刷物は、規則的に複数配列した等色の画素により潜像画像を形成しているため、潜像印刷物を肉眼でのみ観察した場合には潜像画像を視認することは困難である。
また、本発明の潜像印刷物は、複数の画素において、第1の方向にずらした位相に合わせてレンチキュラーレンズ等の判別具を密着させたとき、第1の潜像模様が視認され、第2の領域を印刷した機能性インキに対応した処理を行うことで第2の潜像模様が視認されるため、潜像画像の明瞭性(判別性)が良好である。
また、本発明の潜像印刷物は、第2の領域内で第1の方向とは異なる第2の方向に画素の位相をずらすことで、第2の方向にずらした位相に合わせてレンチキュラーレンズ等の判別具を密着させたとき、第3の潜像模様も視認されるため、一つの印刷物において三つの潜像模様を形成することができ、偽造防止効果が高い印刷物が提供できる。
また、本発明の潜像印刷物は、潜像を形成する第1の領域の画素を同一方向に対して多階調に位相変調されて形成されていることから、潜像画像を多階調画像により表現することができる。
また、本発明の潜像印刷物は、機能性材料を含有するインキにより潜像画像を形成しているため、スキャナやコピー機等を使用した複写等による偽造を防止することができる。
以下、本発明の実施を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は以下に述べる実施するための最良の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載における技術的思想の範囲内であれば、その他の色々な実施の形態が含まれる。
本発明の潜像印刷物は、可視光(又は自然光)では情報は視認できないが、規則的に配置された画素の一部を位相変調によって意図的にずらし、レンチキュラーレンズを重ねることで第1の情報(又は潜像)が視認できることと、画素を領域分けして機能性を有するインキから成る画素と機能性を有さないインキから成る画素を等色に印刷し、紫外線や赤外線等のある特定波長を照射すると、機能性を有する領域のみが第2の情報(又は潜像)として視認できることを特徴としている。なお、等色とは機能性を有するインキから成る画素と機能性を有さないインキから成る画素を可視光(又は自然光)で観察した場合に、等しい色に観察されることであり、メタメリズムの関係である特定の光源下で等しく見えた色が異なる色で観察された場合においても、本明細書では前記の画素は等色であると定義するものとする。
図1は、本発明の潜像印刷物A1の一例を示す平面図である。図1に示すように潜像印刷物A1は、基材1上に画素をマトリックス状に印刷しており、可視光下では一様な地模様2として視認できる。また、画素により印刷されたすべての印刷領域5内には、第1の領域3(「1」の領域)と第2の領域4(「H」の領域)と模様領域7(「1」又は「H」以外の印刷領域)が設けられている。しかし、可視光下では潜像印刷物A1を目視しても「1」や「H」の情報は視認できない。
図2は、潜像印刷物A1にレンチキュラーレンズLを重ね合わせた場合の観察図である。図2(a)に示すように潜像印刷物A1にレンチキュラーレンズLを重ねた場合は、第1の領域3により第1の潜像、具体的には「1」の文字が視認することができる。図2(b)は、第1の領域3とその周辺の模様領域7の拡大図である。図2(b)に示すように、第1の領域3は、画素3’、模様領域7は画素7’によりそれぞれ構成されており、画素3’及び画素7’の形状、大きさ、ピッチ及び色は同一であり、画素を構成するインキには、どちらも機能性を有さない。ただし、第2の領域4と重複している領域の画素はこの限りではない。また、画素の配列は、縦方向(Y方向)において同一延長線上(又は同一直線上)に画素3’と画素7’を配置している。しかし、横方向(X方向)においては、画素3’と画素7’は同一延長線上(又は同一直線上)に配置しておらず、画素3’は位相変調によりずれている。なお、画素7’に対して画素3’のずれ量を小さくすることで、潜像印刷物A1を可視光で視認しても、情報は視認できなくなる。
図2(a)、(b)に示すように、潜像印刷物A1にレンチキュラーレンズLを重ね合わせて観察した場合は、第1の領域3を第1の潜像として視認できる。すなわち、画素3’と画素7’とは、同一延長線上に配置せず、位相変調させているため、第1の領域3は情報、具体的には「1」という数字を視認できる。
レンチキュラーレンズLは、蒲鉾状のレンズが万線のように複数形成されているため、第1の領域の位相変調方向と蒲鉾状のレンズの配列されている方向が一致するように(具体的にはY方向)レンチキュラーレンズLを潜像印刷物A1に重ねて合わせることにより、位相変調して形成された第1の領域が拡大され、その他の領域が消失又は隠蔽された状態になるため第1の領域が第1の潜像として視認される。
図3は、潜像印刷物A1に光源Kにより特定波長の光を照射した場合における第2の潜像が視認された状態を示す図である。図3(a)に示すように、潜像印刷物A1に特定波長の光を照射した場合は、第2の領域4の「H」の文字を第2の潜像として視認することができる。図3(b)は、第2の領域4とその周辺の模様領域7の拡大図である。図3(b)に示すように、第2の領域4は、画素4’、模様領域7は画素7’でそれぞれ構成されており、画素4’及び画素7’の配列、大きさ、ピッチ及び色は同一である。このため、可視光下では、潜像印刷物A1を視認しても第2の領域4から成る「H」という情報は視認できない。一方、画素4’を構成するインキは機能性を有するが、画素7’を構成するインキは機能性を有さないため、特定波長の光を照射すると、第2の領域4から成る「H」という情報が視認できる。このため、潜像印刷物A1は、可視光下でレンチキュラーレンズLを重ねることで、第1の領域3による「1」という情報が視認できる。
一方、特定波長の光を照射すると、図3に示すように、第2の領域4の「H」という情報が視認できるため二種類の情報が付与できる。なお、本発明の構成で、第1の領域3と第2の領域4とが重複している領域の画素は、画素3’と画素4’との両方の構成を併せ持つことになる。また、画素3’、画素4’、画素7’については、模式的に示すために大きく例示しているが、実際には視認できないほど微細な画素で印刷されていることが望ましい。また、機能性を有するインキは、第2の領域4にカーボンブラックを使用することが好ましい。また、機能性を有さないインキは、第2の領域以外の領域を、シアン、マゼンタ、イエローの3色によるブラックを使用することが好ましい。
図4は、本発明の別の形態である潜像印刷物A2の一例を示す平面図である。図4に示すように、潜像印刷物A2は、図1から図3の潜像印刷物A1に対し、第2の領域4の配置や構成を変えているが、そのほかの構成は同一であるため、特に異なる構成のみ説明する。模様領域7の画素7’は機能性を有さないインキで構成されている。また、第1の領域3の画素3’は機能性を有するインキで構成されているが、一部の画素3’は機能性を有する領域3’aと機能性を有さない領域3’bで構成されている。また、第1の領域3は、第2の領域4内に有している。この時、第1の領域3の画素3’は、第2の領域4の画素4’に対して、画素の配列は、縦方向(Y方向)において同一延長線上(又は同一直線上)に画素3’と画素4’を配置している。しかし、横方向(X方向)においては、画素3’と画素4’は同一延長線上(又は同一直線上)に配置しておらず、画素3’は位相変調によりずれている。なお、画素3’と画素4’の形状、大きさ、ピッチ及び色は同一である。また、機能性を有する領域3’aの機能性は画素4’と同一とする。なお、図4(c)には、縦方向に分割し、上半分の画素3’aは機能性を有し、下半分の画素3’bは機能性を有さない例で示しているが、横方向の分割でも構わない。
図4(a)に示すように、潜像印刷物A2を可視光下でレンチキュラーレンズLを重ねると、第1の領域3により「1」の情報が視認できる。一方、レンチキュラーレンズLを重ねた状態で特定波長を照射すると、機能性を有する第1の領域3の画素3´と画素3´aが、レンチキュラーレンズLを通して視認できる。一方、模様領域7の画素7´と第1の領域3の画素3´bは、機能性を有さないため、レンチキュラーレンズLを通して視認できない。したがって、視認できる情報は、第1の領域3の「1」となる。また、第1の領域3の画素3´bは視認できないため、「1」の中に第2の情報として「長方形」が視認できる。このため、潜像印刷物A2は、レンチキュラーレンズLを重ねて、可視光と特定波長の二通りの環境で、二つの情報を視認することができる。





























図5は、本発明の別の形態である潜像印刷物A3の一例を示す平面図である。図5に示すように潜像印刷物A3は、図1から図3の潜像印刷物A1に対し、第2の領域4の配置や構成を変えており、第1の領域3は、第2の領域4内に配置されている。また、第2の領域4の内部に新たな領域を設け、画素の位相変調による配置や構成を変えているが、そのほかの構成は同一であるため、特に異なる構成のみ説明する。図5(d)に示すように模様領域7の画素7’は、機能性を有さないインキで構成されているが、第1の領域3の画素3’は機能性を有しており、縦方向(Y方向)に位相変調され、ずれて配置されている。また、第2の領域4は、領域内に第3の領域6を有している。第3の領域6の画素6’は、第2の領域4の画素4’に対して、機能性を有していること、形状、大きさ、ピッチ及び色は同一である。しかし、画素6’の配置位置は、画素3’の配置位置と異なる方向(X方向)に位相変調され、画素3’の配置位置と異なる方向にずれて配置されている。
なお、ここでは、説明しやすいように画素の位相変調の方向をXY方向としているが、位相変調する画素が規則的に配列されていれば、位相変調の方向はXY方向に限るものではない。
図5(a)に示すように、潜像印刷物A3に可視光下でレンチキュラーレンズLを重ねると、第1の領域3により「1」の情報が視認できる。また、図5(b)に示すように、潜像印刷物A3に特定波長を照射すると、特定波長を吸収する機能性を有する第2の領域4により「☆」の情報が視認できる。さらに、図5(c)に示すように、図5(a)と異なる方向にレンチキュラーレンズLを重ねた状態で特定波長を照射すると、特定波長を吸収する機能性を有する第2の領域4内の第3の領域6の画素6’は、レンチキュラーレンズLを通して視認できる。
一方、第3の領域6以外の領域は、位相変調による画素の配置位置が異なるため、レンチキュラーレンズLにより視認できない。したがって、視認できる情報は、第1の領域3の「1」と、第2の領域4の「☆」と、第2の領域4内に第3の領域6を形成した場合は、「☆」の中に第3の情報として「◎」を視認できる。このため、潜像印刷物A3は、特定波長を照射することにより一つの情報を視認することができ、レンチキュラーレンズLを重ねることで、可視光と特定波長の二通りの環境により、二つの情報を視認することができる。よって、三つの情報を視認することができる。
潜像印刷物A1、A2及びA3の画素の形状は、一例として画素3’、画素4’、画素7’及び画素6’の形状を円形としているが、画素の形状は特に限定されず、正方形、長方形、円、楕円、星形又は多角形等の形状にすることができる。また、各画素の形状はすべて同一とすることが望ましいが、特に限定されるものではない。また、潜像印刷物A1、A2及びA3は、画素の大きさ(高さ及び幅)と配置間隔(ピッチ)の関係を1:2としたが、画素の大きさと配置間隔は特に限定されるものではない。また、潜像印刷物A1、A2及びA3の画素の配置間隔は、水平方向と垂直方向を同一としたが、特に限定されるものではない。なお、潜像画像の視認性を向上させるために、レンチキュラーレンズのピッチ方向と同一方向となる画素の配置間隔は、レンチキュラーレンズのピッチとほぼ同じにすることが望ましいが、この限りではない。
潜像印刷物A1、A2及びA3を印刷する基材1は、紙、プラスチック、フィルム及び金属板等、特に限定されるものではない。
本発明の潜像印刷物A1、A2及びA3を印刷する印刷方式は、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、スクリーン印刷方式、フレキソ印刷方式、インキジェットプリンタ及びレーザプリンタ等、特に限定されるものではない。
本発明の潜像印刷物A1、A2及びA3の印刷領域5のデザインは、文字、数字、記号及び絵柄の少なくとも一つで構成することができるため、特に限定されるものではない。また、同様に第1の領域3、第2の領域4、第3の領域6のデザインも、文字、数字、記号及び絵柄等、特に限定されるものではない。
また、機能性材料は特に限定するものではなく、赤外線吸収剤、発光剤として、例えば紫外線励起可視発光剤、紫外線励起赤外発光剤、赤外線励起可視発光剤、赤外線励起赤外発光剤、可視光励起赤外発光剤又は可視光励起可視発光剤等の発光剤、示温インキに用いられるコレステリック液晶等の公知の機能性材料を使用することができる。また、光学的変化特性を有するインキは、パールインキ等の公知の光学的変化特性を有するインキを使用することができる。
例えば、機能性材料として赤外線吸収色素を含有するインキを使用する場合は、赤外線吸収特性があれば特に限定されず、公知のグラビアインキ、スクリーンインキ、プロセスインキ等を使用することができる。例えば、プロセスインキであるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)の基本4色インキ(以下「基本4色インキ」という)のうちのブラック(Bk)等を使用することができる。このブラックインキは、例えばカーボンブラックを主体とする黒色顔料を使用した場合には、紫外線領域から赤外線領域まで全域にわたり吸収特性を有している。また、赤外線吸収特性を有するインキはブラックインキに限らず、赤外線吸収性色素を含まない特色インキにカーボンブラックを添加したインキを使用することもできる。なお、特色インキとは、基本4色インキを除く、特殊な色を有するインキのことである。
また、画素に赤外線吸収剤を含有したインキを使用する場合、他の画素には等色で赤外線吸収剤を含有しないインキを使用することが好ましい。赤外線吸収性色素を含まないインキとしては、赤外線吸収特性を有さなければ特に限定されず、公知のグラビアインキ、スクリーンインキ、プロセスインキ等を使用することができる。例えば、基本4色インキのうち、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)は、赤外線を吸収しない性質を持っており、これら3色を重ね合わせたもので黒色系を表現すれば赤外線を吸収しない色素と同様な効果が得られる。又はクロモファインブラックインキ(大日精化工業株式会社製)やインキジェットプリンタ用の染料系インキ(例えば、Canon製染料系ブラックインキ等)を使用することもできる。
また、例えば、赤外線吸収性色素を含有しないインキを使用せず、赤外線吸収性色素を含有するインキにより画素4’と画素7’を印刷する場合は、画素4’と画素7’を印刷する赤外線吸収性色素を含むインキをそれぞれ相対的な配合、すなわち、いずれか一方の画素を印刷するインキの赤外線吸収色素の含有量を他方より少なくするか、又は多く含有することにより階調の異なる潜像印刷物を作製することもできる。なお、この場合の潜像印刷物を赤外線カメラにより観察した場合は、画素4’が画素7’に対して相対的に視認することができる。
次に、機能性材料として発光剤を含有するインキを使用した潜像印刷物について説明する。機能性材料として紫外線発光剤を含有するインキを使用する場合は、機能性材料が特定波長により発光特性を有すれば特に限定されず、紫外線励起により赤外発光する蛍光顔料、赤外線励起により可視発光する蛍光顔料、可視光により赤外発光する蛍光顔料等、特定波長の光を照射することにより発光する公知の材料を使用することができる。
例えば、画素4’に発光剤を含有するインキを使用した場合は、画素7’を画素4’と等色で発光剤の含有しないインキにより形成することが好ましい。発光剤を含まないインキは、発光特性を有さなければ特に限定されず、公知のインキを使用することができる。なお、蛍光顔料を含むインキを用いて構成された画素4’は、蛍光顔料を含む無色のインキを使用し、蛍光顔料を含まないインキの上に刷り重ねても同様の効果が得られる。
次に、機能性材料として示温インキに用いられるコレステリック液晶等を使用した潜像印刷物について説明する。機能性材料として示温インキに用いられるコレステリック液晶等を含有するインキを使用する場合には、機能性材料が示温特性を有すれば特に限定されず、公知の材料を使用することができる。例えば、画素4’に示温インキに用いられるコレステリック液晶等を含有するインキを使用した場合は、画素7’を画素4’と等色でコレステリック液晶等を含有しないインキを使用するか、又は等色で特性の異なるコレステリック液晶等を使用することが好ましい。
次に、光学的変化特性を有するインキとしてパールインキを使用した潜像印刷物について説明する。光学的変化特性を有するインキを使用する場合には、光学的変化特性を有すれば特に限定されず、公知の材料を使用することができる。例えば、画素4’にパールインキを使用した場合は、画素7’を画素4’と等色で光学的変化特性を有さないインキを使用するか、又は等色で光学的変化特性の異なるパールインキを使用することが好ましい。
次に、メタメリズム特性を有するインキを使用した潜像印刷物について説明する。画素4’を形成するインキとしてメタメリズム特性を有するインキを使用する場合は、インキがメタメリズム特性を有すれば特に限定されず、公知の材料を使用することができる。画素4’にメタメリズム特性を有するインキを使用した場合は、画素7’に画素4’に使用するインキとメタメリズムの関係にあるインキを使用することが好ましい。
本発明の潜像印刷物A1からA3までの第1の領域3、第2の領域4及び模様領域7を形成する画素3’、画素4’及び画素7’の色は、それぞれ1色のみならず、2色以上の色を使用することができる。例えば、第1の領域3、第2の領域4及び模様領域7の画素を2色(ブラックインキとマゼンタインキ)の画素で形成することができる。また、プロセス基本4色インキを使用してもよい。さらに、位相変調の階調も潜像印刷物A1からA3までの図では2階調の位相変調で説明したが、256階調などの多階調でもよい。よって、プロセス4色で画素を構成し、256階調の位相変調で潜像画像部を形成すれば、第1の潜像として256階調のフルカラー画像を得ることができる。このように所望の色数の多階調画像を得ることができる。
また、画素の配置は、例えば2色の場合、2色の画素を水平方向に交互に配置し、垂直方向は同色の配置としてもよい。また、2色の画素を垂直方向に交互に配置し、水平方向を同色の配置としてもよい。さらに、水平方向、垂直方向ともに2色を交互に配置することもできる。
また、例えば、プロセス4色インキの場合は、4色とも水平方向に配置又は垂直方向に配置することもできるが、2色を水平方向、2色を垂直方向の組合せにしても所望の効果は得られる。また、各色の配置順も特に限定されるものではない。さらに、周期性のない配置(各色交互に配置しない任意な配置)にすることもできる。なお、各色の画素の位相変調方向の配置間隔はレンズのピッチにほぼ一致することが望ましい。さらに、この場合、特に4色以上で視認性の良いフルカラー画像を得るためには、位相変調方向に4色配置するよりも、位相変調方向とは異なる方向に4色の画素を配置することが望ましい。又は、位相変調方向に2色、位相変調方向とは異なる方向に2色の組合せとした配置が望ましい。これは、位相変調方向の配置の場合、配置間隔はレンズのピッチに依存するため、配置間隔に制約があり、潜像画像の視認性、色再現性が低下するおそれがあるからである。一方、位相変調方向とは異なる方向の配置の場合、レンズのピッチに依存することなく、配置間隔を設定できるので、画素の配置を潜像画像の視認性や画素の配置のデザイン性に応じた配置に設定することができる。
以下、上記の本発明の潜像印刷物について具体的な実施例を挙げ、詳細に説明する。
(実施例1)
図6を用いて、基材1に赤外線吸収性色素を含有するインキ(ブラックA)と赤外線吸収性色素を含有しないインキ(ブラックBとマゼンタ)を使用した潜像印刷物B1の例について説明する。第1の領域3は、赤外線吸収性色素を含有するインキ(ブラックA)による画素3K’と、赤外線吸収性色素を含有しないインキ(マゼンタ)による画素3M’の配置方向を同一方向に位相変調してずらして形成した。第2の領域4は、画素3K’と同じ赤外線吸収性色素を含有するインキ(ブラックA)による画素4K’と、画素3M’と同じ赤外線吸収性色素を含有しないインキ(マゼンタ)による画素4M’を規則的に配置して形成した。また、模様領域7は、画素3K’と等色の赤外線吸収性色素を含まないインキ(ブラックB)による画素7K’と画素3M’と同じ赤外線吸収性色素を含有しないインキ(マゼンタ)による画素7M’を規則的に配置して形成した。
具体的には、基材として市販のインキジェットプリンタ用専用紙(Canon社製 高品位専用紙)を使用し、マゼンタとブラックの2色のインキを用いて市販のインキジェットプリンタ(Canon社製 PIXUS MP950)により印刷を行った。赤外線吸収性色素を含むインキとしては、顔料系ブラックインキを用い、赤外線吸収性色素を含まないインキとして染料系ブラックインキ及びマゼンタインキを用いた。画素は、一辺の長さが127μmの正方形とし、画素の配置は、2色の画素を水平方向に交互に配置し、配置間隔は水平方向及び垂直方向ともピッチを254μmとした。
潜像印刷物B1にレンチキュラーレンズLを重ね合わせて観察した場合は、図6(a)に示すように、第1の領域を第1の潜像として視認することができた。レンチキュラーレンズLは、蒲鉾状のレンズが万線のように複数形成されている。第1の領域3の位相変調方向と蒲鉾状のレンズが配列されている方向が一致するように、レンチキュラーレンズLを潜像印刷物B1に重ねて合わせた場合は、位相変調して形成された第1の領域3が拡大されるため、第1の潜像として「1」を視認することができた。
潜像印刷物B1に対して赤外線光源K1による赤外線を照射し、赤外線カメラを用いて観察した場合は、図6(b)に示すように第2の領域を第2の潜像として「☆」を視認することができた。一方、模様領域7の画素7K’と画素7M’、第1の領域3の画素3M’、第2の領域の画素4M’は、赤外線吸収性色素を含まないインキにより印刷されているために赤外線を透過する特性を有し、赤外線カメラを用いて観察した場合には視認することはできなかった。
また、赤外線吸収性色素を含むインキと赤外線吸収性色素を含まないインキは等色であるため、潜像印刷物B1を通常の光源下や自然光(可視光)で観察した場合には、赤外線吸収性色素を含むインキを用いて印刷された画素4K’と、赤外線吸収性色素を含まないインキを用いて印刷された画素7K’を区分けして視認することはできなかった。
(実施例2)
図7を用いて、基材1に赤外線吸収性色素を含有するインキ(ブラックA)と、赤外線吸収性色素を含有しないインキ(イエロー、マゼンタ、シアン)を使用した潜像印刷物B2の例について説明する。第1の領域3は、赤外線吸収性色素を含有するインキ(ブラックA)による画素3K’と、赤外線吸収性色素を含有しないインキ(マゼンタ)による画素3M’の配置方向を同一方向に位相変調してずらして形成した。第2の領域4は、画素3K’と同じ赤外線吸収性色素を含有するインキ(ブラックA)による画素4K’と、赤外線吸収性色素を含有しないインキ(マゼンタ)による画素4M’を規則的に配置して形成した。また、模様領域7は、画素3’と等色の赤外線吸収性色素を含まないインキ(イエロー、マゼンタ、シアンで構成されたブラック)による画素7K’と、赤外線吸収性色素を含有しないインキ(マゼンタ)による画素7M’を規則的に配置して形成した。
具体的には、基材として市販のインキジェットプリンタ用専用紙(Canon社製 高品位専用紙)を使用し、基本4色インキを用いて市販のインキジェットプリンタ(Canon社製 PIXUS MP950)により印刷を行った。赤外線吸収性色素を含むインキとしては、顔料系ブラックインキを用い、赤外線吸収性色素を含まないインキとしてはシアン、マゼンタ、イエローの三原色で構成されたブラックインキ及びマゼンタインキを用いた。画素は、一辺の長さを127μmの正方形とし、画素の配置は、2色の画素を水平方向に交互に配置し、配置間隔は、水平方向及び垂直方向ともピッチを254μmとした。
潜像印刷物B2にレンチキュラーレンズLを重ね合わせて観察した場合は、図7(a)に示すように第1の領域を第1の潜像として視認することができた。レンチキュラーレンズLは、蒲鉾状のレンズが万線のように複数形成されている。第1の領域3の位相変調方向と蒲鉾状のレンズが配列されている方向が一致するように、レンチキュラーレンズLを潜像印刷物B2に重ねて合わせた場合は、位相変調して形成された第1の領域3が拡大されるため、第1の潜像として「1」を視認することができた。
潜像印刷物B2に対して赤外線光源K2による赤外線を照射し、赤外線カメラを用いて観察した場合は、図7(b)に示すように、第2の領域を第2の潜像として「☆」を視認することができた。一方、模様領域7の画素7K’と画素7M’、第1の領域3の画素3M’、第2の領域の画素4M’は、赤外線吸収性色素を含まないインキにより印刷されているために赤外線を透過する特性を有し、赤外線カメラを用いて観察した場合には視認することはできなかった。また、前記赤外線吸収性色素を含むインキと赤外線吸収性色素を含まないインキは等色であるため、潜像印刷物B1を通常の光源下や自然光(可視光)で観察した場合には、赤外線吸収性色素を含むインキを用いて印刷された画素4K’と、赤外線吸収性色素を含まないインキを用いて印刷された画素7K’を区分けして視認することはできなかった。
(実施例3)
次に、図8を用いて、基材1に紫外線励起可視発光剤を含有するインキ(マゼンタに無色蛍光インキを加刷)により印刷した画素4M’と、紫外線励起可視発光剤を含有しないインキ(ブラック)により印刷した画素4K’から成る第2の領域4と、さらに紫外線励起可視発光剤を含有するインキ(マゼンタに無色蛍光インキを加刷)により印刷した画素3M’と、紫外線励起可視発光剤を含有しないインキ(ブラック)により印刷した画素3K’から成る第1の領域3と、紫外線励起可視発光剤を含有しないインキ(マゼンタとブラック)により印刷した画素7M’と画素7K’から成る模様領域7を有する潜像印刷物B2の例について説明する。なお、各領域の形成、画素の配置位置、大きさ、ピッチ及び形状等の構成は潜像印刷物B1と同一であるため、特に異なる構成のみ説明する。
具体的には、基材として蛍光増白剤を含有しない厚さ97μmの白色上質紙(福井紙業(株)社製)を使用し、マゼンタとブラックの2色のインキを使用して市販のインキジェットプリンタ(EPSON社製 PX−V630)で印刷を行った。発光剤を含まないインキとしては、マゼンタインキとブラックインキを用い、発光剤を含むインキとして紫外線を照射することによりイエローに発光する無色蛍光インキ(ダイコー社製 EPSON用ブラックライト対応インキ イエロー)を用い、マゼンタインキの画素に加刷した。
潜像印刷物B3にレンチキュラーレンズLを重ね合わせて観察した場合は、図8(a)に示すように第1の潜像を視認することができた。
潜像印刷物B3にブラックライトK3により紫外線を照射して観察した場合は、図8(b)に示すような第2の潜像を視認することができた。図8に示すように、潜像印刷物B3の第2の領域4の画素4M’及び第1の領域3の画素3M’により形成されている領域は、紫外線励起可視発光剤を含むインキを使用しているため第2の潜像として「☆」を視認することができた。
一方、第2の領域4の画素4K’、第1の領域3の画素3K’及び模様領域7の画素7M’と画素7K’は、紫外線励起可視発光剤を含まないインキを使用しているため蛍光発光が生じず、視認することはできなかった。また、紫外線励起可視発光剤を含むインキと紫外線励起可視発光剤を含まないインキは等色であるため、潜像印刷物B3を通常の光源下や自然光(可視光)で観察した場合は、紫外線励起可視発光剤を含むインキを用いて印刷された画素4M’と紫外線励起可視発光剤を含まないインキを用いて印刷された画素7M’を区分けして視認することはできなかった。
(実施例4)
次に、図9を用いて、基材1に画素4M’と画素7M’を互いにメタメリズムの関係にある2つのインキを使用した潜像印刷物B4の例について説明する。なお、各領域の形成、画素の配置位置、大きさ、ピッチ及び形状等の構成は潜像印刷物B1と同一であるため、特に異なる構成のみ説明する。
具体的には、図10(a)に示すようなメタメリズム特性を有するインキを使用した。画素4M’及び画素3M’には、図10(a)に示す特定の波長領域にピークを有することを特徴とするメタメリズムインキRを使用した。メタメリズム特性を有するインキの組成の一例は、以下のとおりである。
[赤色系メタメリズムインキの組成]
紫色系顔料 1〜5 重量部
赤色系顔料(1) 1〜5 重量部
赤色系顔料(2)0.5〜1 重量部
黄色系顔料 20〜30 重量部
ワニス 55〜65 重量部
助剤 5〜10 重量部
画素7M’には、図10(a)に示す前記特定の波長領域において、インキとは異なる分光反射率特性を有し、その他の波長領域においては略同等の特性を有することを特徴とするメタメリズムインキGを使用した。メタメリズム特性を有するインキの組成の一例は、以下のとおりである。
[緑色系メタメリズムインキの組成]
緑色系顔料 2〜5 重量部
赤色系顔料(1)0.5〜1 重量部
赤色系顔料(2) 5〜10 重量部
黄色系顔料 20〜30 重量部
ワニス 55〜65 重量部
助剤 5〜10 重量部
図10(b)に示すように、特定の波長領域を特徴的に抽出(透過)するフィルタF(富士フィルム製光学フィルタ SP−8)は、略530nm以下の波長の透過率は0%であり、略600nm以上の波長の透過率は90%以上である。図10(a)に示した赤色系メタメリズムインキと、緑色系メタメリズムインキは、特定の波長領域において異なる分光反射率特性を有することを特徴とし、その他の波長領域においては略同等の分光反射率特性を有しているため等色関係にある。したがって、潜像印刷物B3を通常の光源下や自然光(可視光)で観察した場合は、画素4M’及び画素3M’により形成された領域と画素7M’により形成された領域を区分けして視認することはできなかった。一方、フィルタFを重ねて潜像印刷物B4を観察した場合には、フィルタにより略530nm以下の波長が遮蔽(カット)され、略600nm以上の波長領域のみが透過された状態で潜像印刷物B4を観察することになる。よって、画素4M’及び画素3M’は、この波長領域ではインキの分光反射率が高いことから赤色系に観察され、画素7M’は、この波長領域ではインキの分光反射率が第1の領域の画素に対して相対的に低いことから、緑色系に観察されるため、画素4M’及び画素3M’と画素7M’が異色の状態で視認されることから、第2の潜像として「☆」を視認することができた。
潜像印刷物B4にレンチキュラーレンズLを重ね合わせて観察した場合は、図9(a)に示すように第1の潜像として「1」を視認することができた。
潜像印刷物B4に、ある特定の波長領域を特徴的に抽出又は透過するフィルタFを重ねて観察した場合は、図9(b)に示すように第2の潜像として「☆」を視認することができた。
(実施例5)
次に、図11を用いて、実施例1の潜像印刷物B1の変形例である潜像印刷物B1’について説明する。なお、第1の領域と第2の領域の形成、画素の配置位置、大きさ、ピッチ及び形状等の構成は、潜像印刷物B1と同一であるため、特に異なる構成のみ説明する。
図11(b)に示すように、潜像印刷物B1’は、第2の領域4内部に配置した赤外線吸収性色素を含むインキ(ブラックA)による画素4K’及び赤外線吸収性色素を含有しないインキ(マゼンタ)による画素4M’と、配置方向を同一方向に位相変調してずらして配置した画素3K’及び画素3M’と異なる方向に位相変調して配置した画素4K’と同じ赤外線吸収性色素を含むインキ(ブラックA)による画素6K’及び画素4M’と同じ赤外線吸収性色素を含有しないインキ(マゼンタ)による画素6M’を配置して第3の領域6を形成した。なお、第1の領域3と第3の領域6とが重複している領域の画素は、画素3K’及び画素3M’と画素6K’及び画素6M’の両方の構成を併せ持つことになる。
図11(a)に示すように、実施例1の潜像印刷物B1の第1潜像を視認した場合におけるレンチキュラーレンズを重ねた方向とは異なる方向にレンチキュラーレンズLを重ね、赤外線を照射した場合には第3の領域6を形成する画素のうち画素6K’を第3の潜像として「◎」を視認することができた。
なお、本実施例5では、第3の潜像模様を形成する画素を、第1の潜像を形成している位相変調した画素とは異なる方向に位相変調しており、この位相変調の方向は、第1の潜像模様がY方向に、第3の潜像模様がX方向と90度の差をもって配列しているが、第3の潜像模様を形成する画素の位相変調の方向は、第1の潜像模様を形成する画素の位相変調の方向と異なる角度で配列されていればよく、第1の潜像模様を形成する画素の位相変調の方向と、第3の潜像模様を形成する画素の位相変調の方向は垂直関係(90度)に限るものではない。
潜像印刷物の一実施例を示す平面図 潜像印刷物A1の第1の潜像を示す平面図とその一部拡大図 潜像印刷物A1の第2潜像を示す平面図とその一部拡大図 潜像印刷物A2の潜像を示す平面図とその一部拡大図 潜像印刷物A3の潜像を示す平面図とその一部拡大図 潜像印刷物B1の潜像を示す平面図とその一部拡大図 潜像印刷物B2の潜像を示す平面図とその一部拡大図 潜像印刷物B3の潜像を示す平面図とその一部拡大図 潜像印刷物B4の潜像を示す平面図とその一部拡大図 メタメリズムインキの特性及びフィルタの透過特性を示すグラフ 潜像印刷物B1’の潜像を示す平面図とその一部拡大図
符号の説明
A1、A2、A3、B1、B2、B3、B4、B1’ 潜像印刷物
L レンチキュラーレンズ
F フィルタ
X 変位
Y 変位
1 基材
2 地模様
3 第1の領域
4 第2の領域
5 印刷領域
6 第3の領域
7 模様領域
3’、4’、5’、6’、7’ 画素
K 、K1、K2、K3、K4 光源
a 、b 画素領域

Claims (2)

  1. 基材上に、2色以上の異なる色を有する複数の画素がマトリックス状に配列された印刷領域が形成され、
    前記印刷領域は、前記複数の画素の一部の位相が第1の方向にずれることにより形成された第1の潜像模様を構成する第1の領域と、機能性を有するインキのみにより形成された第2の潜像模様を構成する第2の領域と、前記第1の領域及び前記第2の領域以外の模様領域とから成り、
    前記第1の領域、前記第2の領域及び前記模様領域を構成する前記複数の画素は、形状、大きさ及びピッチが同一であり、
    前記第1の領域及び前記模様領域を構成する複数の画素は、機能性を有さないインキ又は前記機能性とは異なる機能性を有するインキにより形成され、
    前記第1の領域は、前記第1の潜像模様が所望の色数の多階調画像となるように前記異なる2色以上の色の画素が配置され、
    前記印刷領域にレンチキュラーレンズを重ね合わせると、前記第1の潜像模様が所望の色数の多階調画像として視認され、前記第2の領域を形成した機能性を有するインキに対応した観察方法では前記第2の潜像模様が視認されることを特徴とする潜像印刷物。
  2. 前記第2の領域は、前記複数の画素の一部の位相が前記第1の方向とは異なる第2の方向にずれることにより形成された第3の潜像模様を構成する第3の領域を有し、
    前記第3の潜像模様は、前記レンチキュラーレンズを前記第2の方向に沿って重ね合わせた場合及び前記レンチキュラーレンズを前記第2の方向に沿って重ね合わせながら前記第2の領域を形成した機能性を有するインキに対応した観察方法で観察すると、視認することが可能なことを特徴とする請求項記載の潜像印刷物。
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